(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029939
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】処理液供給装置およびこれを備えた基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20161114BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
H01L21/30 564Z
H01L21/304 648K
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-245176(P2012-245176)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2014-93507(P2014-93507A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】506322684
【氏名又は名称】株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(72)【発明者】
【氏名】福井 元規
(72)【発明者】
【氏名】小野 和也
(72)【発明者】
【氏名】永沢 克二
【審査官】
佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−114607(JP,A)
【文献】
特開2007−005576(JP,A)
【文献】
特開2000−015082(JP,A)
【文献】
特開2008−205311(JP,A)
【文献】
特開2012−142404(JP,A)
【文献】
特開2002−273113(JP,A)
【文献】
特開2002−260995(JP,A)
【文献】
特開2005−064349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00 −21/00 、
B05D 1/00 − 7/26 、
G03F 7/00 、 7/06 − 7/07 、
7/12 − 7/14 、 7/26 − 7/42 、
H01L21/027、21/30 、21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理部に対して処理液を供給する処理液供給装置であって、
各処理部に関連して設けられ、対応する処理部に向けて処理液を圧送するポンプと、
ポンプの一次側における処理液の流路を、処理部ごとに開閉する複数の弁部材と、
を備え、
各処理部は、個別に電源を投入・遮断可能に構成されており、
処理部の電源が遮断されたときには、その処理部に対応する弁部材は閉止し、
前記処理部のそれぞれは、処理ユニットと、処理ユニットに基板を搬送する主搬送機構を有し、基板に一連の処理を行う基板処理列である処理液供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の処理液供給装置において、
弁部材は、各処理部に対して1つずつ設けられている処理液供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載の処理液供給装置において、
弁部材は、各ポンプに対して1つずつ設けられている処理液供給装置。
【請求項4】
請求項1から3いずれかに記載の処理液供給装置において、
異なる処理部に対応する弁部材の一次側は、同じタンクに連通接続されている処理液供給装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の処理液供給装置において、
前記弁部材は、その電源が遮断されているときに閉状態となる機能を有し、
処理部の電源が遮断されたときには、その処理部に対応する弁部材の電源を遮断する処理液供給装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の処理液供給装置において、
処理部に応じた弁部材に電力を個別に供給するための複数の弁部材用配線を備え、
各処理部の電源は、複数の処理部用開閉器によって個別に投入・遮断され、
各弁部材用配線は、対応する処理部用開閉器の二次側にそれぞれ電気的に接続されている処理液供給装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の処理液供給装置において、
弁部材用配線は、さらに、同じ処理部に対応するポンプに対して電力を供給する処理液供給装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の処理液供給装置において、
異なる処理部に対応するポンプは、互いに異なる設置スペースに設置されている処理液供給装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の処理液供給装置において、
同じ処理部に対応するポンプ同士は、同じ設置スペースに設置されている処理液供給装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の処理液供給装置において、
各設置スペースは互いに分離されている処理液供給装置。
【請求項11】
請求項8から10のいずれかに記載の処理液供給装置において、
各設置スペースを個別に開放可能な複数の開閉機構を備えている処理液供給装置。
【請求項12】
請求項11に記載の処理液供給装置において、
各開閉機構は、対応する設置スペースに配置されるポンプを処理液供給装置の筐体外に移動可能である処理液供給装置。
【請求項13】
複数の処理部と、
各処理部に対して処理液を供給する、請求項1から12のいずれかに記載の処理液供給装置と、
を備え、
前記処理部のそれぞれは、処理ユニットと、処理ユニットに基板を搬送する主搬送機構を有し、基板に一連の処理を行う基板処理列である基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用のガラス基板、液晶表示装置用のガラス基板、光ディスク用の基板など(以下、単に基板と称する)を処理する処理液供給装置およびこれを備えた基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図10(a)に示すように、複数の処理部85、86に対して処理液を供給する処理液供給装置91がある。処理液供給装置91は、タンク93と配管94乃至96とポンプ97、98等を備えている。タンク93には、配管94の一端が連通接続されている。配管94の他端は、配管95、96に分岐している。配管95は処理部85に連通しており、配管96は処理部86に連通している。配管95、96の途中には、それぞれポンプ97、98が設けられている。各ポンプ97、98が作動すると、タンク93内の処理液が処理部85、86の双方に供給される。
【0003】
各処理部85、86は、それぞれ基板に処理を行う処理ユニット88、89を備えている。各処理ユニット88、89は、処理液供給装置91によって供給される処理液を使用する。これによれば、各処理部85、86において基板処理を並行して行うことができ、基板処理能力(スループット)を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
なお、処理液供給装置91は、処理部85、86を備えた基板処理装置の外部に設けられていてもよいし、その内部に設けられていてもよい。前者の場合、処理部85、86を備える装置を「基板処理装置」または「装置本体」と呼び、処理液供給装置91を「処理液供給装置」、「別置キャビネット」あるいは「付帯設備」と呼んで、両者を区別する(例えば、特許文献2、3参照)。後者の場合、処理部85、86と処理液供給装置91を備える装置全体をまとめて、「基板処理装置」と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−10291号公報
【特許文献2】特開2000−173902号公報
【特許文献3】特開2000−182926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
ポンプ97、98等に対して点検、補修または修理など(以下、「メンテナンス」と言う)を行う場合、ポンプ97、98を停止させる。
【0007】
例えば、
図10(b)に示すように、ポンプ97のみを配管95から取り外している場合、配管95の内部は大気に開放されている。このときに、ポンプ98が作動すれば、配管95内に空気が吸い込まれてポンプ98に流入してしまい、ポンプ98は気泡を含んだ処理液を圧送してしまう。この結果、処理ユニット89において処理液の吐出不良等が発生し、処理部86は基板に適切に処理を行うことができない。このため、メンテナンスの対象がポンプ97、98の双方の場合だけでなく、一方のみの場合であっても、ポンプ97、98の双方を停止させ、処理部85、86を休止させる。
【0008】
このように、ポンプ97、98の少なくとも一方に対してメンテナンスを行うときには、全ての処理部85、86を一斉に休止させるので、基板処理能力が著しく低下してしまうという不都合がある。
【0009】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、複数の処理部に対して処理液を供給することができ、かつ、処理部の基板処理能力が著しく低下することを抑制できる処理液供給装置およびこれを備えた基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、処理ユニットを有する複数の処理部に対して処理液を供給する処理液供給装置であって、各処理部に関連して設けられ、対応する処理部に向けて処理液を圧送するポンプと、ポンプの一次側における処理液の流路を、処理部ごとに開閉する複数の弁部材と、を備えている処理液供給装置である。
【0011】
[作用・効果]本発明に係る処理液供給装置によれば、各処理部に対応付けられた複数のポンプを有する。各ポンプは、それぞれ単一の処理部に向けて処理を供給する。複数の処理部に対応するポンプがそれぞれ作動すると、複数の処理部に処理液が供給される。これにより、各処理部は同時に基板を処理することができ、基板処理能力を高めることができる。
【0012】
また、一部の処理部に対応するポンプ(以下、適宜、「一部のポンプ」と略記する)が停止すると、一部の処理部に対する処理液の供給が停止する。この場合、弁部材によって一部のポンプの一次側における流路のみを閉止すると、一部のポンプを通る処理液の流路と、他のポンプを通る処理液の流路とを分離することができる。このため、一部のポンプに対してメンテナンスを行っても、他のポンプは処理液を適切に供給することができ、他の処理部は適切に基板処理を行うことができる。このように、処理部に応じたポンプの一次側の流路を個別に開閉する弁部材を備えているので、一部のポンプにメンテナンスを行う場合であっても、処理部を部分的に稼動させることができる。よって、基板処理能力が著しく低下することを抑制することができる。
【0013】
上述した発明において、弁部材は、各処理部に対して1つずつ設けられていることが好ましい。これによれば、単一の処理部に関連して設けられるポンプが複数である場合であっても、それらのポンプの一次側における流路を、単一の弁部材によって一括して閉止することができる。また、弁部材の部品点数を減らし、装置構成を簡略化することができる。
【0014】
上述した発明において、弁部材は、各ポンプに対して1つずつ設けられていることが好ましい。これによれば、単一の処理部に関連して設けられるポンプが複数である場合であっても、それらのポンプの一次側における流路を、複数の弁部材によって個別に閉止することができる。よって、各ポンプに対するメンテナンスを柔軟に行うことができる。
【0015】
上述した発明において、異なる処理部に対応する弁部材の一次側は、同じタンクに連通接続されていることが好ましい。2以上の処理部によって共用されるタンクに対して、処理液供給装置を好適に適用することができる。
【0016】
上述した発明において、各処理部は、個別に電源を投入・遮断可能に構成されており、処理部の電源が遮断されたときには、その処理部に対応する弁部材は閉止することが好ましい。これによれば、処理部の電源の遮断に連動して、その処理部に対応するポンプの一次側における流路のみを閉止することができる。すなわち、ポンプの一次側を適切なタイミングで閉止することできる。
【0017】
上述した発明において、前記弁部材は、その電源が遮断されているときに閉状態となる機能を有し、処理部の電源が遮断されたときには、その処理部に対応する弁部材の電源を遮断することが好ましい。すなわち、弁部材は電源喪失時に閉状態になる弁部材であり、処理部の電源の遮断に連動してその処理部に対応する弁部材の電源の遮断することが好ましい。これによれば、ポンプの一次側の流路を確実に閉止することができる。
【0018】
上述した発明において、処理部に応じた弁部材に電力を個別に供給するための複数の弁部材用配線を備え、各処理部の電源は、複数の処理部用開閉器によって個別に投入・遮断され、各弁部材用配線は、対応する処理部用開閉器の二次側にそれぞれ電気的に接続されていることが好ましい。弁部材用配線を備えているので、各処理部に応じた弁部材を個別に閉止させることができる。また、これら弁部材用配線は対応する処理部用開閉器によって開閉されるので、処理部の電源と当該処理部に対応する弁部材の電源を、一括して投入・遮断することができる。
【0019】
上述した発明において、弁部材用配線は、さらに、同じ処理部に対応するポンプに対して電力を供給することが好ましい。これによれば、同じ処理部に関連して設けられる弁部材およびポンプの各電源を一括して投入・遮断することができる。
【0020】
上述した発明において、異なる処理部に対応するポンプは、互いに異なる設置スペースに設置されていることが好ましい。これによれば、いずれの処理部を休止させた場合であっても、同じ設置スペース内に停止中のポンプと作動中のポンプとが混在することがない。よって、ポンプ等に対してメンテナンスを好適に行うことができる。
【0021】
上述した発明において、同じ処理部に対応するポンプ同士は、同じ設置スペースに設置されていることが好ましい。これによれば、同じ処理部に対応するポンプが1つの設置スペースに集約されているので、メンテナンスを効率良く行うことができる。また、設置スペースが増大することを好適に抑制することができる。
【0022】
上述した発明において、各設置スペースは互いに分離されていることが好ましい。各設置スペースは分離されているので、停止中のポンプに対してメンテナンスを行う際に、作動中のポンプから影響を受けたり、作動中のポンプに影響を与えることを好適に防ぐことができる。このため、停止中のポンプに対してメンテナンスを好適に行うことができるとともに、メンテナンス中であっても作動中のポンプは処理液を適切に供給し続けることができる。
【0023】
上述した発明において、各設置スペースを個別に開放可能な複数の開閉機構を備えていることが好ましい。メンテナンス対象のポンプが配置されている設置スペースのみを開放することができるので、メンテナンスを好適に行うことができる。
【0024】
上述した発明において、各開閉機構は、対応する設置スペースに配置されるポンプを処理液供給装置の筐体外に移動可能であることが好ましい。ポンプを筐体外に出した状態でメンテナンスを行うことができるので、メンテナンスの作業性を向上できる。また、メンテナンスによって発生した振動が作動中のポンプに伝わることを好適に回避でき、ポンプの圧送品質が変動することを抑制することができる。これにより、稼動中の処理部において処理液の吐出が乱れることを防ぎ、稼動中の処理部が行う処理品質が低下することを防ぐことができる。
【0025】
また、本発明は、処理ユニットを有する複数の処理部と、各処理部に対して処理液を供給する、請求項1から13のいずれかに記載の処理液供給装置と、を備える基板処理装置である。
【0026】
[作用・効果]本発明に係る基板処理装置によれば、処理部と処理液供給装置が同じ装置内に設けられているので、両者を好適に連携させることができる。
【0027】
なお、本明細書は、次のような処理液供給装置およびこれを備えた基板処理装置に係る発明も開示している。
【0028】
(1)異なる処理部に対応する弁部材の一次側は、互いに連通していることが好ましい。また、異なる処理部に対応する弁部材の一次側がともに連通している集合管を備えていることが好ましい。これによれば、異なる処理部に対応する処理液の流路の一部が共通化されているので、処理液供給装置の構成を簡略化することができる。
【0029】
(2)各開閉機構は、筐体の内部と外部との間でポンプを移動させる引き出しユニットであることが好ましい。これによれば、ポンプを筐体内に収容することができるとともに、ポンプを筐体外に容易に引き出すことができる。
【0030】
(3)各設置スペースには、さらに、同じ処理部に対応する弁部材が設置されていることが好ましい。同じ処理部に対応するポンプおよび弁部材が1つの設置スペースに集約されているので、メンテナンスを好適に行うことができる。
【0031】
(4)各設置スペースは、互いに隔壁によって隔てられていることが好ましい。隔壁によって設置スペースが仕切られているので、停止中のポンプに対してメンテナンスを一層好適に行うことができ、かつ、メンテナンス中であっても作動中のポンプは処理液を一層適切に供給することができる。
【0032】
(5)複数の設置スペースは、複数の処理部の下方に配置されていることが好ましい。これによれば、各処理部と処理液供給装置とが近接して配置されているので、両者を好適に連携させることができる。また、複数の処理部は、互いに上下方向に並ぶように設けられていることが好ましい。これによれば、平面視における処理部の設置面積をコンパクトにすることができる。さらに、複数の設置スペースは、互いに上下方向に並ぶように設けられていることが好ましい。これによれば、平面視における設置スペースの設置面積をコンパクトにすることができる。
【0033】
(6)処理部は、処理部内の処理ユニットに基板を搬送する主搬送機構をさらに有することが好ましい。このような処理部によれば、基板に好適に処理を行うことができる。なお、本明細書では、処理ユニットと主搬送機構とを有する処理部を、特に「基板処理列」と呼ぶ。
【0034】
(7)複数の処理部のうち、少なくとも2以上の処理部は、基板に対して同じ処理を行うことが好ましい。また、複数の処理部のうち、少なくとも2以上の処理部は、同種の処理液を使用する処理ユニットをそれぞれ有していることが好ましい。これらによれば、少なくとも2以上の処理部において、同じ処理を並行して行うことができる。
【0035】
(8)処理液供給装置は、その外部に設けられた基板処理装置が有する複数の処理部に対して、処理液を供給することが好ましい。処理液供給装置は、処理部を備える基板処理装置とは別個に設けられているので、処理液供給装置の配置の自由度を高められる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る処理液供給装置と基板処理装置によれば、弁部材は、ポンプの一次側の流路を処理部ごとに個別に閉止することができる。よって、一部の処理部に対応したポンプに対してメンテナンスを行う場合であっても、他の処理部に対応したポンプを好適に作動させることができる。これにより、処理部を部分的に稼動させることができ、基板処理能力が著しく低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【
図2】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【
図3】処理ユニットおよび設置スペースの配置を示す概略側面図である。
【
図4】処理ユニットの配置を示す概略側面図である。
【
図5】
図2におけるa−a矢視の各垂直断面図である。
【
図6】処理液供給系統の構成の一例を示す図である。
【
図7】引出ユニットの動作を示す基板処理装置の外観斜視図である。
【
図8】実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【
図9】
図9(a)、(b)は変形実施例に係る処理液供給装置の概略構成を示す図である。
【
図10】
図10(a)、(b)は従来の基板処理装置の概略構成を示す図である。
【実施例1】
【0038】
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。まず、本実施例1の概要を説明する。
図1は、実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【0039】
[実施例1の概要]
基板処理装置1は、複数の処理部5、6を備えている。処理部5、6は、それぞれ基板(例えば、半導体ウエハ)に処理を行う処理ユニット8、9を備えている。
【0040】
基板処理装置1は、さらに処理液供給装置11を備えている。処理液供給装置11は、複数の処理部5、6に対して処理液を供給する。
【0041】
処理液供給装置11は、処理液を貯留するタンク12を備えている。タンク12には配管17の一端が連通接続されている。配管17の他端は配管21、26に分岐している。配管21、26は、それぞれ処理部5、6に連通している。配管17は、この発明における集合管に相当する。
【0042】
配管21には、ポンプ22と弁部材23が介在されている。ポンプ22は二次側(処理部5)に向けて処理液を圧送する。弁部材23は、ポンプ22の一次側に配置され、ポンプ22の一次側における処理液の流路を開閉する。同様に、配管26の途中には、ポンプ27と弁部材28が設けられている。
【0043】
上述した基板処理装置1は、次のように動作する。
【0044】
各弁部材23、28を開放した状態で各ポンプ22、27を作動させると、タンク12の処理液は、配管17を経由して配管21、26の両方に流れ込む。各配管21/26に流入した処理液は、ポンプ22/27によって処理部5/6に供給される。各処理部5、6は基板処理を並行して行うことができ、基板の処理効率を高めることができる。
【0045】
また、ポンプ22を停止させ、ポンプ27のみを作動させると、タンク12の処理液は、配管17を経由して配管26のみに流れ込み、処理部6に供給される。このとき、弁部材23を閉止させると、ポンプ22を通過する処理液の流路と、ポンプ27を通過する処理液の流路が分離される。この場合、ポンプ22を配管21から取り外す等によって配管21の内部が大気に開放されても、ポンプ27に空気(気泡)が混入することがない。よって、ポンプ22に対してメンテナンスを好適に行うことができるとともに、ポンプ27は処理液を安定的に供給することができる。よって、処理部6のみが適切に基板処理を行うことができる。
【0046】
反対に、ポンプ27に対してメンテナンスを行う場合であっても、弁部材23を開放させ、弁部材28を閉止させた状態で、ポンプ22のみを作動させる。これにより、処理部5のみを好適に稼動させつつ、ポンプ27に対してメンテナンスを好適に行うことができる。
【0047】
このように、本実施例1によれば、ポンプ22/27の一次側の流路を個別に閉止する弁部材23/28を備えているので、ポンプ22/27の一方に対してメンテナンスを行う場合であっても、ポンプ22/27の他方を適切に作動させることができる。これにより、ポンプ22/27の他方に対応する処理部5、6のいずれかを適切に稼動させることができ、基板処理能力が著しく低下することを好適に抑制できる。
【0048】
また、弁部材23、28の一次側は同じタンク12に連通接続されているので、処理部5、6によってタンク12を共用することができる。よって、処理液供給源に関連する構成を簡素化することができる。
【0049】
また、弁部材23、28の一次側がともに連通する配管17を備えているので、管路に関連する構成を簡略化することができる。
【0050】
以下では、本実施例1に係る基板処理装置1の具体的な構成を例示する。
図2は、実施例1に係る基板処理装置1の概略構成を示す平面図であり、
図3は基板処理装置1が有する処理ユニットおよび設置スペースの配置を示す概略側面図であり、
図4は基板処理装置1が有する処理ユニットの配置を示す概略側面図であり、
図5は、
図2におけるa−a矢視の各垂直断面図である。
【0051】
[ID部3、処理部5/6、IF部7]
図2を参照する。基板処理装置1は、インデクサ部(以下、「ID部」と呼ぶ)3と複数の処理部5、6とインターフェイス部(以下、「IF部」と呼ぶ)7とを備えている。
図3乃至
図5に示すように、処理部5、6は、上下方向に並ぶように積層されている。ID部3は、各処理部5、6の一側方に隣接するように設けられている。IF部7は、各処理部5、6の他側方に隣接するように設けられている。
図2に示すように、IF部7は、さらに、基板処理装置1とは別体の外部装置である露光機EXPに隣接している。以下、ID部3、処理部5、6、IF部7について順に説明する。
【0052】
ID部3は、カセットCと各処理部5、6との間で基板Wを搬送する。ID部3は、載置台4とID用搬送機構T
IDを備えている。載置台4は、複数(4個)のカセットCを載置可能である。カセットCは複数の基板Wを収容する。ID用搬送機構T
IDは、水平方向および鉛直方向に移動可能に構成され、カセット載置台4に載置されたカセットCおよび処理部5、6に対して基板Wを搬送する。
【0053】
各処理部5、6は、ID部3とIF部7の間にわたって基板Wを往復搬送しつつ、それぞれ同じ処理を行う(具体的には、基板Wにレジスト膜等を形成し、かつ、露光された基板Wを現像する)。各処理部5、6は略同じ構成であるので、処理部5について説明し、処理部6については同符号を付すことで説明を省略する。
【0054】
処理部5は、処理ユニット8の他に、処理ユニット8に基板Wを搬送する主搬送機構T
1、T
2を備えている。各主搬送機構T
1、T
2は、ID部3とIF部7とを結ぶ方向に並ぶように配置されている。各主搬送機構T
1、T
2は、水平方向および鉛直方向に移動可能である。各主搬送機構T
1、T
2同士は、双方向に基板Wを受け渡す。また、主搬送機構T
1はID用搬送機構T
IDとの間で基板Wを受け渡す。主搬送機構T
2はIF部7(後述するIF用搬送機構T
IF1)との間で基板Wを受け渡す。
【0055】
本明細書では、処理ユニットと主搬送機構とを有する処理部を、特に「基板処理列」と呼ぶ。以下では、処理部5、6を、適宜に「基板処理列5、6」と呼ぶ。
【0056】
ID用搬送機構T
IDと主搬送機構T
1の間には、基板Wを載置する載置部PASS
1が配置されている。同様に、主搬送機構T
1と主搬送機構T
2の間、および、主搬送機構T
2とIF用搬送機構T
IF1の間には、それぞれ、載置部PASS
2および載置部PASS
3が配置されている。各載置部PASS
1乃至PASS
3は、搬送機構同士が基板Wを受け渡すときに利用される。
【0057】
図5を参照する。載置部PASS
1は、載置部PASS
1Aと載置部PASS
1Bを有する。載置部PASS
1A、PASS
1Bは、基板Wの搬送方向によって使い分けられる。たとえば、載置部PASS
1Aには、ID用搬送機構T
IDから主搬送機構T
1へ搬送される基板Wが載置され、載置部PASS
1Bには、主搬送機構T
1からID用搬送機構T
IDへ搬送される基板Wが載置される。載置部PASS
2、載置部PASS
3も同様である。
【0058】
図2を参照する。基板処理列5が有する処理ユニット8は、大きく、主搬送機構T
1が基板Wの搬送を負担する処理ユニットと、主搬送機構T
2が基板Wの搬送を負担する処理ユニットとに分けられる。前者は、液処理ユニットUcおよび熱処理ユニットUh1である。後者は、現像処理ユニットDEV、熱処理ユニットUh2およびエッジ露光ユニットEEWである(エッジ露光ユニットEEWについては
図4を参照)。
【0059】
まず、主搬送機構T
1が基板Wの搬送を負担する処理ユニットについて説明する。液処理ユニットUcは主搬送機構T
1の一側方に配置され、熱処理ユニットUh1は主搬送機構T
1の他側方に配置されている。
【0060】
図3に示すように、液処理ユニットUcは、具体的には、2つの反射防止膜用塗布処理ユニットBARCと、2つのレジスト膜用塗布処理ユニットRESISTである。反射防止膜用塗布処理ユニットBARCは、基板Wに反射防止膜材料を塗布し、反射防止膜を形成する処理を行う。レジスト膜用塗布処理ユニットRESISTは、基板Wにレジストを塗布し、レジスト膜を形成する処理を行う。
【0061】
図2を参照する。各液処理ユニットUcは、いわゆる回転式塗布処理ユニットであり、ノズル31と飛散防止カップ32を備えている。ノズル31は、基板Wに処理液を吐出する。飛散防止カップ32は、基板Wから飛散する処理液を受け止めて回収する。さらに、各液処理ユニットUcは、単一の基板Wを略水平姿勢で回転可能に保持する保持部等(不図示)を備えている。各塗布処理ユニットBARC/RESISTは、それぞれ反射防止膜材料/レジストのほかに、溶剤やリンス液を使用する。リンス液としては、純水や界面活性剤等が例示される。
【0062】
図4に示すように、熱処理ユニットUh1は、具体的には、加熱ユニットHP、冷却ユニットCP、加熱冷却ユニットPHPおよびアドヒージョン処理ユニットAHLである。加熱ユニットHPは基板Wを加熱する。冷却ユニットCPは基板Wを冷却する。加熱冷却ユニットPHPは、加熱処理と冷却処理を続けて行う。アドヒージョン処理ユニットAHLは、基板Wと被膜の密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルシラザン)の蒸気雰囲気で熱処理する。各熱処理ユニットUh1は、基本的に、基板Wを載置する載置台や電熱ヒーター等を備えている。アドヒージョン処理ユニットAHLは、HMDSを使用する。
【0063】
図2を参照して、主搬送機構T
2が基板Wの搬送を負担する処理ユニットについて説明する。現像処理ユニットDEVは、主搬送機構T
2の一側方に配置され、熱処理ユニットUh2およびエッジ露光ユニットEEWは主搬送機構T
2の他側方に配置されている。
【0064】
現像処理ユニットDEVは、基板Wに現像処理を行う。現像処理ユニットDEVは、液処理ユニットの一種である。現像処理ユニットDEVは、ノズル33と飛散防止カップ34を備えている。ノズル33は基板Wに処理液を吐出する。飛散防止カップ34は基板Wから飛散する処理液を受け止めて回収する。さらに、現像処理ユニットDEVは、単一の基板Wを略水平姿勢で回転可能に保持する保持部等(不図示)を備えている。現像処理ユニットDEVは、現像液のほかに、界面活性剤やリンス液を使用する。リンス液としては、純水等が例示される。
【0065】
図4に示すように、熱処理ユニットUh2は、加熱ユニットHP、冷却ユニットCPである。なお、加熱冷却ユニットPHPについては、IF用搬送機構T
IF1が基板Wの搬送を負担する。エッジ露光ユニットEEWは、基板Wの周縁を露光する。エッジ露光ユニットEEWは、図示を省略するが、基板Wを保持する保持部と、保持部を回転するモータと、基板Wに光を照射する光照射部等を備えている。
【0066】
図2を参照する。IF部7は、基板処理列5、6と露光機EXPに対して基板Wを搬送する。IF部7は基板Wを搬送する複数のIF用搬送機構T
IF1、T
IF2を備えている。IF用搬送機構T
IF1とIF用搬送機構T
IF2は、互いに基板Wを受け渡す。IF用搬送機構T
IF1は、さらに基板処理列5、6との間で基板Wを搬送する。IF用搬送機構T
IF2は、さらに露光機EXPとの間で基板Wを搬送する。
【0067】
IF用搬送機構T
IF1、T
IF2の間には、基板Wを載置し、冷却する載置部PASS−CPが配置されている。載置部PASS−CPの下方には、図示を省略するが、基板Wを載置する載置部と、基板Wを一時的に収容するバッファ部が積層されている。載置部PASS−CPには、IF用搬送機構T
IF1からIF用搬送機構T
IF2へ搬送される基板Wが載置される。不図示の載置部には、IF用搬送機構T
IF2からIF用搬送機構T
IF1へ搬送される基板Wが載置される。不図示のバッファ部は、載置部PASS−CP等に基板Wを予定通り載置できないときに、使用される。
【0068】
[処理液供給装置11]
処理液供給装置11は、上述したレジスト、反射防止膜材料、溶剤、リンス液、純水、界面活性剤、HMDSおよび現像液のうちから適宜に選択される、少なくとも1種以上の処理液を供給する。本実施例1では、レジストおよび反射防止膜材料がそれぞれ処理液供給装置11によって基板処理列5、6に供給される。すなわち、処理液供給装置11は、レジスト用の処理液供給装置11Rと、反射防止膜材料用の処理液供給装置11Nを備えている。
【0069】
なお、本実施例では、説明の便宜上、処理液供給装置11R、11Nは略同じ構成であるものとする。また、その他の処理液を供給する機構については、処理液供給装置11とは異なる構成であるので、それらの機構に関しては詳細な説明を省略する。
【0070】
図6を参照して、処理液供給装置11の詳細な構成について説明する。
図6は、レジストを供給する処理液供給装置11Rの構成の一例を示す図である。
【0071】
図示するように、タンク12は、2つのボトル12a、12bを備えている。各ボトル12a、12b内には、レジストが貯留されている。
【0072】
各ボトル12a、12bには、配管13a、13bの一端がそれぞれ連通接続されている。配管13a、13bの他端は、三方弁14を介して配管17の一端に連結されている。三方弁14は、配管17に連通接続する配管を、配管13aと配管13bとの間で切り換える。
【0073】
配管13a、13bの途中には、トラップタンク15a、15bが設けられている。トラップタンク15a、15bは、それぞれ、レジストを一時的に貯留するとともに、レジストからエアを分離して捕集する。ボトル12a、12bが空になると、対応するトラップタンク15a、15b内に貯留されるレジストの量が減少する。そこで、トラップタンク15a、15b内のレジストの量を検知するためのセンサ(例えば、液面センサ)を備え、このセンサの検知結果に基づいてボトル12a、12bが空であるか否かを判別可能に構成されている。
【0074】
また、トラップタンク15a、15bには、その内部を大気に開放するためのベント管16a、16bが連通接続されている。ベント管16a、16bは、不図示のリリーフバルブによって開閉される。
【0075】
そして、例えば、ボトル12aが空であると判断されると、三方弁14を切り換えて、配管13bを配管17に連通接続させる。これにより、ボトル12bからトラップタンク15bを通じてレジストを供給させる。その間に、ボトル12aを新たなボトル12aに交換する。その際、ベント管16aを開放し、トラップタンク15a内を大気に開放する。やがて、ボトル12bが空になると、三方弁14を切り換えて、ボルト12bに代えてボトル12aからレジストを供給させる。その間に、ボルト12bの交換を行う。
【0076】
配管17の他端には、配管21、26が連通接続されている。
【0077】
配管21の途中には、単一の弁部材23が設けられている。配管21は、弁部材23の二次側において、さらに配管21a、21bに分岐されている。配管21a、21bは、基板処理列5に設けられる2つのレジスト膜用塗布処理ユニットRESISTに個別に処理液を供給する。配管21a、21bの途中には、それぞれポンプ22a、22bが設けられている。これらポンプ22a、22bの一次側における流路は弁部材23によって一括して開閉される。
【0078】
同様に、配管26は、さらに配管26a、26bに分岐されており、各配管26a、26bは、それぞれ基板処理列6における2つのレジスト膜用塗布処理ユニットRESISTに向けて処理液を流す。配管26には単一の弁部材28が介在されており、配管26a、26bにはポンプ27a、27bがそれぞれ介在されている。
【0079】
なお、上述した処理液供給装置11Rの構成はあくまでも一例であり、タンク12の構成や、配管21、26の構成などを適宜に選択してもよい。
【0080】
処理液供給装置11Nの場合は、タンク12に貯留されている処理液が反射防止膜材料であり、供給する諸ユニットが反射防止膜用塗布処理ユニットBARCとなる。それ以外の構成については、基本的に処理液供給装置11Rと略同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0081】
次に、
図3、
図7を参照して、ポンプ22、27のレイアウトを説明する。
図7は、引き出しユニットの動きを示す装置の斜視図である。
【0082】
図示するように、基板処理列5、6(より詳しくは、液処理ユニットUc)の下方には、引き出しユニット41、42が設けられている。引き出しユニット41、42は、上下方向に並ぶように積層されている。
【0083】
引き出しユニット41は、基板処理列5に関連して設けられているポンプ22を保持している。
図3では、処理液供給装置11Rが有するポンプを符号「22Ra」、「22Rb」で示し、処理液供給装置11Nが有するポンプを符号「22Na」、「22Nb」で示す。同様に、引き出しユニット42は、基板処理列6に関連して設けられているポンプ27Ra、27Rb、27Na、27Nbを保持している。このように、引き出しユニット41、42は、ポンプ22、27を設置するための互いに分離された設置スペースS1、S2を画定している。
【0084】
引き出しユニット41と引き出しユニット42との間には、隔壁43が設けられている。隔壁43は、設置スペースS1、S2を隔てている。
【0085】
図7に示すように、引き出しユニット41は、処理液供給装置11(基板処理装置1)の筐体44に対して略水平方向にスライド移動可能に設けられている。この引き出しユニット41によって、ポンプ22R、22Nを筐体44の内部と外部の間にわたって移動させることができる。引き出しユニット42も、同様に、筐体44に対して移動可能に設けられている。引き出しユニット41、42は、この発明における開閉機構に相当する。
【0086】
次に、実施例1に係る基板処理装置1の動作について説明する。以下では、基板処理列5、6の両方が稼動する動作と、基板処理列5、6の一方のみが稼動する動作とに分けて説明する。また、処理液供給装置11R、11Nを特に区別することなく説明する。
【0087】
[基板処理列5、6が稼動する動作]
弁部材23、28を開放させた状態で、ポンプ22a、22b、27a、27bを作動させる。これにより、処理液供給装置11は、基板処理列5、6に処理液を供給する。各基板処理列5/6はそれぞれ基板Wに対して処理を行う。
【0088】
ここで、基板Wに対して行われる処理について、ID部3からIF部7への搬送と、IF部7からID部3への搬送とに分けて説明する。
【0089】
<ID部3からIF部7への搬送>
ID用搬送機構T
IDは、カセットCから基板Wを搬出し、基板処理列5、6に交互に搬送する。
【0090】
各基板処理列5/6では次のように動作する。主搬送機構T
1は、ID部3から受け取った基板Wを、液処理ユニットUcおよび熱処理ユニットUh1に所定の順番で搬送する。各種処理ユニットが所定の処理を行うことにより、反射防止膜およびレジスト膜を形成する塗布処理が基板Wに施される。この際、基板処理列5/6の各塗布処理ユニットBARC/RESISTは、処理液供給装置11から供給される反射防止膜材料およびレジストを使用する。主搬送機構T
1は、一連の処理が施された基板Wを主搬送機構T
2に渡す。主搬送機構T
2は、受け取った基板Wをエッジ露光ユニットEEWに搬送する。エッジ露光ユニットEEWは、基板Wの周縁部を露光する。主搬送機構T
2は、エッジ露光処理が施された基板WをIF部7に搬出する。
【0091】
IF用搬送機構T
IF1は、各基板処理列5、6から交互に基板Wを受け取り、IF用搬送機構T
IF2に渡す。IF用搬送機構T
IF2は、受け取った基板Wを露光機EXPに搬出する。
【0092】
<IF部7からID部3への搬送>
IF用搬送機構T
IF2は、露光機EXPから露光済みの基板Wを受け取り、IF用搬送機構T
IF1に渡す。IF用搬送機構T
IF1は、受け取った基板Wを加熱冷却ユニットPHPに搬送する。加熱冷却ユニットPHPは、基板Wに露光後加熱処理(Post Exposure Bake)を行う。IF用搬送機構T
IF1は、露光後加熱処理が施された基板Wを各基板処理列5、6に搬出する。
【0093】
各基板処理列5/6では次のように動作する。すなわち、主搬送機構T
2が、IF部7から基板Wを受け取り、現像処理ユニットDEVおよび熱処理ユニットUh2に所定の順番で搬送する。これにより、基板Wを現像する現像処理等が行われる。主搬送機構T
2は、現像処理が施された基板Wを主搬送機構T
1に渡す。主搬送機構T
1は、受け取った基板WをID部3に搬出する。
【0094】
ID用搬送機構T
IDは、基板処理列5、6から基板Wを交互に受け取り、カセットCに搬入する。
【0095】
[基板処理列5、6の一方のみが稼動する動作]
基板処理列5のみが稼動する場合を例示する。弁部材23を開放させ、弁部材28を閉止させた状態で、ポンプ22a、22bのみを作動させる。これにより、処理液供給装置11は、処理液を基板処理列5のみに供給する。
【0096】
基板処理装置1は、基板処理列5のみを経由してID部3とIF部7の間で基板Wを往復搬送させ、基板処理列5のみが基板Wに処理を行う。基板処理列6には基板Wを搬送せず、基板処理列6は休止している。
【0097】
ここで、基板処理列6に応じたポンプ27に対してメンテナンスを行う場合は、引き出しユニット42のみをスライド移動させる。これにより、停止中のポンプ27a、27bのみが筐体44外に引き出される。この状態で、ポンプ27a、27bに対してメンテナンスを好適に行うことができる。メンテナンスとしては、例えば、ポンプ27a、27bの交換等である。
【0098】
このように、本実施例1によれば、上述したように、弁部材23、28によってポンプ22、27の一次側の流路を、基板処理列5/6ごとに閉止することができる。よって、ポンプ22/27の一方に対してメンテナンスを行う場合であっても、ポンプ22/27の他方を好適に作動させることができ、基板処理列5/6のいずれかを稼動させることができる。よって、基板処理能力が著しく低下することを抑制できる。
【0099】
また、各基板処理列5に関連して設けられる弁部材23は単一であるので、ポンプ22a、22bの一次側における流路を弁部材23によって一括して閉止することができる。同様に、ポンプ27a、27bの一次側における流路を単一の弁部材28によって一括して閉止することができる。よって、弁部材23、28の部品点数を減らし、装置構成を簡略化することができる。
【0100】
また、ポンプ22/27同士は、互いに異なる設置スペースS1、S2に設置されているので、ポンプ22/27のいずれかを停止させた場合に、同じ設置スペースS1/S2内に停止中のポンプと作動中のポンプとが混在することがない。よって、ポンプ等に対してメンテナンスを好適に行うことができる。
【0101】
また、基板処理列5に対応するポンプ22a・22b同士は同じ設置スペースS1に設置され、基板処理列6に対応するポンプ27a・27b同士も同じ設置スペースS2に設置されている。よって、メンテナンスを効率良く行うことができる。また、設置スペースS1、S2が増大することを好適に抑制することができる。
【0102】
また、各設置スペースS1、S2は、引き出しユニット41、42によって分離形成されているので、ポンプ22/27の一方に対してメンテナンスを行う際に、ポンプ22/27の他方から影響を受けたり、ポンプ22/27の他方に影響を与えることを好適に防ぐことができる。よって、ポンプ22/27の一方に対してメンテナンスを好適に行うことができるとともに、メンテナンス中であってもポンプ22/27の他方は処理液を適切に供給することができる。さらに、各設置スペースS1、S2は、互いに隔壁43によって隔てられているので、メンテナンス作業とポンプの作動が互いに干渉することを一層抑制することができる。
【0103】
また、引き出しユニット41、42は各設置スペースS1/S2を個別に開放することができるので、メンテナンスを好適に行うことができる。
【0104】
さらに、引き出しユニット41、42は、筐体44外にポンプ22、27を移動させることができるので、ポンプ22、27を筐体44外に出した状態でメンテナンスを行うことができる。これにより、メンテナンスによって作動中のポンプ22/27を振動させたり、作動中のポンプ22/27に接続される配管21/26を動かすおそれがない。このため、作動中のポンプ22/27が圧送する処理液の流量を精度よく安定させることができる。この結果、基板処理列5/6において処理液の吐出不良等が発生することを好適に抑制することができる。
【0105】
さらに、引き出しユニット41、42は、筐体44に対してスライド移動可能に設けられているので、好適にポンプ22/27を筐体44外に移動させることができる。
【0106】
また、基板処理列5/6の下方に設置スペースS1/S2が配置されているので、基板処理列5/6と処理液供給装置11とを好適に連携させることができる。
【0107】
また、各基板処理列5/6は、処理ユニット8/9と、主搬送機構T
1、T
2を備えているので、基板Wに一連の処理を好適に行うことができる。
【実施例2】
【0108】
以下、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。
図8は、実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。実施例2の処理液供給装置11は、各処理部5/6の電源の遮断に連動して、対応する弁部材23/28を閉止させることを特徴とする。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0109】
実施例2に係る基板処理装置1は、各処理部5/6に対して、個別に電力を供給可能に構成されている。具体的には、各処理部5/6の電源は、処理部用開閉器51/56によってそれぞれ投入・遮断される。処理部用開閉器51/56の一次側は、外部電源50に電気的に接続されている。
【0110】
処理液供給装置11は、弁部材用配線61、66と弁部材63、68を備えている。弁部材用配線61、66は、処理部用開閉器51、56の二次側に電気的に接続されている。弁部材用配線61、66は、それぞれ弁部材63、68に対して電力を個別に供給する。弁部材63、68は、それぞれ配管21、26の途中に設けられている。弁部材63、68は、電力によって作動する。
【0111】
弁部材63/68の詳細な構成は、図示を省略するが、種々の構成を採用できる。例えば、各弁部材63/68は、エア制御バルブと空気管と電磁弁とを備えてもよい。ここで、エア制御バルブは、配管21/26に介在され、空気圧に応じて配管21/26を開閉する。空気管は、エア制御バルブに連通接続され、エア制御バルブに空気圧を与える。電磁弁は、空気管の途中に介在され、エア制御バルブに与える空気圧を調整する。このように構成される弁部材63/68では、電力によって電磁弁を開閉させることによって、エア制御バルブを作動させ、配管21/26を開閉させることができる。あるいは、弁部材63/68は、配管21/26に介在される電磁弁であってもよい。このように構成される弁部材63/68では、電力によって電磁弁を作動させることによって、配管21/26を直接的に開閉させることができる。
【0112】
また、各弁部材63/68は、その電源が遮断されたときに閉止状態になる機能を有している。各弁部材63/68の電源が喪失したときには、配管21/26は閉止される。
【0113】
弁部材用配線61は、さらにポンプ22に電力を供給する。同様に、弁部材用配線66は、さらにポンプ27に電力を供給する。各ポンプ22、27は、弁部材用配線61、66によって供給される電力によって作動する。
【0114】
そして、例えば、処理部5の電源のみを遮断するとき、処理部用開閉器51を開く。これにより、処理部5、弁部材63及びポンプ22の電源が一括して遮断される。弁部材63は閉状態になり、ポンプ22の一次側の流路を閉止する。これにより、ポンプ22を含む流路が、ポンプ27を含む流路から分離される。ポンプ22は、無電圧状態になる。このように、ポンプ22に対してメンテナンスを好適に行うことができる状態となる。他方、処理部6、弁部材68及びポンプ27の電源は投入されたままであるので、処理部6のみを好適に稼動させることができる。反対に、処理部6の電源のみを遮断するときも、同様である。
【0115】
このように、実施例2によれば、処理部5/6の電源が個別に遮断されたときには、その処理部5/6に関連して設けられる弁部材63/68のみが配管21/26を閉止する。これにより、電源が遮断された処理部5/6に対応するポンプ22/27の一次側における流路のみが閉止される。よって、ポンプ22/27に対するメンテナンスを円滑に開始することができる。
【0116】
また、弁部材63/68は、その電源が遮断されているときに閉状態となる弁部材であり、処理部5/6の電源の遮断に連動して、対応する弁部材63/68の電源が遮断される。このため、ポンプ22/27の一次側を的確に閉止することができる。
【0117】
また、弁部材用配線61/66を備えているので、弁部材63/68を個別に作動させることができる。
【0118】
また、各弁部材用配線61/66はそれぞれ処理部用開閉器51/56によって開閉されるので、処理部5/6の電源の遮断と、対応する弁部材63/68の電源の遮断とを好適に連動させることができる。さらに、各弁部材用配線61/66によれば、処理部5/6の電源の遮断と、対応するポンプ22/27の電源の遮断とを好適に連動させることができる。
【0119】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0120】
(1)上述した実施例1、2では、処理部5/6に対して1つずつ弁部材23/28が設けられていたが、これに限られない。例えば、各ポンプ22a、22b、27a、27bに対して1つずつ弁部材を設けるように変更してもよい。
【0121】
図9(a)を参照する。
図9は、変形例に係る処理液供給装置の概略構成を示す図である。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。図示するように、配管21a、21bの途中には弁部材73a、73bが設けられ、配管26a、26bの途中には弁部材78a、78bが設けられている。このような変形例によれば、各ポンプ22a、22b、27a、27bを通る各流路を個別に分離することができ、各ポンプに対するメンテナンスをきめ細かく柔軟に行うことができる。
【0122】
(2)上述した実施例1では、各塗布処理ユニットRESISTに対して1つずつポンプ22a、22b、27a、27bが設けられていたが、これに限られない。例えば、処理部5/6に対して1つずつポンプを設けるように変更してもよい。
【0123】
図9(b)を参照する。図示するように、配管21の途中には単一のポンプ22と単一の弁部材23が設けられ、配管26の途中には単一のポンプ27と単一の弁部材28が設けられている。ポンプ22は処理部5が有する複数の処理ユニット8に向けて処理液を圧送し、ポンプ27は処理液が有する複数の処理ユニット9に向けて圧送する。これによれば、ポンプ22、27に関連する構成を簡略化することができる。
【0124】
(3)上述した実施例1、2では、弁部材23、28(63、68)の一次側に連通する共通の配管17を備えていたが、これに限られない。
図9(b)に示すように配管17を省略してもよい。この場合、配管21、26を並列的にタンク12に連通接続させるように変更してもよい。
【0125】
(4)上述した実施例1、2では、処理液供給源としてタンク12を例示したが、これに限られない。タンク12を、工場に設けられているファシリティ(ユーティリティ)設備等に変更してもよい。なお、実施例1、2では、処理液供給装置11はタンク12を備えていたが、タンク12を備えていない処理液供給装置に変更してもよい。
【0126】
(5)上述した実施例1では、同じ処理部5に対応するポンプ22Ra、22Rb、22Na、22Nbが同じ設置スペースS1に設置されていたが、これに限られない。例えば、各ポンプ22Ra、22Rb、22Na、22Nbを互いに異なる設置スペースSにそれぞれ配置してもよい。ポンプ27Ra、27Rb、27Na、27Nbに関しても同様に変更してもよい。これによれば、各ポンプに対してメンテナンスを柔軟に行うことができる。
【0127】
(6)上述した実施例1では、ポンプ22、27のみの配置を詳細に説明したが、その他の構成についても、適宜に配置してもよい。
【0128】
たとえば、基板処理列5に関連して設けられるポンプ22および弁部材23を同じ設置スペースS1に配置してもよい。同様に、基板処理列6に関連して設けられるポンプ27および弁部材28を同じ設置スペースS2に配置してもよい。これによれば、互いに関連するポンプおよび弁部材が1つの設置スペースSに集約されているので、メンテナンスを好適に行うことができる。
【0129】
また、各基板処理列5/6によって共用されるタンク12等を、設置スペースS1、S2とは異なるスペースに配置してもよい。
【0130】
(7)上述した実施例1では、ポンプ22、27を筐体44の外部に移動させることができる引き出しユニット41、42を例示したが、これに限られない。例えば、引き出しユニット41、42に代えて、設置スペースS1、S2を個別に開放可能な扉や蓋等を採用してもよい。この変形例では、ポンプ22、27を筐体44の外部に引き出すことができない。しかしながら、この場合であっても、ポンプ22/27の一方に対してメンテナンスを行っているときでも、ポンプ22/27の他方は好適に作動することができる。
【0131】
(8)上述した実施例1、2では、基板処理装置1が処理液供給装置11を備えていたが、これに限られない。すなわち、基板処理装置1とは別体に設けられる処理液供給装置に変更してもよい。この場合、処理液供給装置は、外部に設けられる基板処理装置1内の処理部5、6に処理液を供給する。
【0132】
(9)上述した実施例2では、弁部材用配線61/66によってポンプ22/27に電力を供給するが、これに限られない。すなわち、弁部材用配線61/66とは別個の配線によって、ポンプ22/27に電力を供給するように変更してもよい。
【0133】
(10)上述した実施例2では、弁部材用配線61/66は処理部用開閉器51、56によって開閉されていたが、これに限られない。例えば、処理部用開閉器51とは別個に設けられる弁部材用開閉器によって、弁部材用配線61を開閉するように変更してもよい。この変形実施例であっても、処理部用開閉器51および弁部材開閉器の作動を連動させるリレー回路等を備えることによって、基板処理列5に対する電源の遮断と、弁部材63に対する電源の遮断とを、好適に連動させることができる。弁部材用配線66に関しても、同様に変更してもよい。
【0134】
(11)上述した実施例2では、弁部材63/68は、電源喪失時に自動的に閉止状態となる機能を有していたが、これに限られない。すなわち、そのような機能を有しない弁部材に変更してもよい。この変形実施例であっても、処理部用開閉器51/56の作動に連動して弁部材63/68を閉止させるように制御することによって、処理部5/6に対する電源の遮断と、ポンプ22/27の一次側における流路の閉止とを好適に連動させることができる。
【0135】
(12)上述した実施例1では、弁部材23、28については特に詳しく説明しなかったが、種々の仕様の弁部材を選択することができる。たとえば、電力で作動する弁部材23、28であってもよいし、手動で作動する弁部材23、28であってもよい。
【0136】
(13)上述した実施例2では、処理部用開閉器51、56について特に説明しなかったが、電気配線を開閉する各種のスイッチを適用することができる。例えば、処理部用開閉器51、56は、マグネットコンタクタ、電磁開閉器またはブレーカ等であってもよい。
【0137】
(14)上述した実施例1では、基板処理列5、6は2基の主搬送機構T
1、T
2を備えていたが、これに限られない。例えば、1基の主搬送機構を備える基板処理列に変更してもよいし、3基以上の主搬送機構を備える基板処理列に変更してもよい。
【0138】
(15)上述した実施例1では、各処理部5、6は、基板処理列5、6であったが、これに限られず、基板処理列でなくてもよい。すなわち、処理部5、6は、1または2以上の処理ユニット8、9を備えるのみで、処理ユニット8、9に基板Wを搬送する主搬送機構を備えていなくてもよい。
【0139】
(16)上述した実施例1、2では、各処理ユニット8、9は、基板Wを1枚ずつ処理する処理ユニット(いわゆる「枚葉式処理ユニット」)であったが、これに限られない。例えば、複数枚の基板Wを一括して処理する処理ユニット(いわゆる「バッチ式処理ユニット」)に変更してもよい。
【0140】
(17)上述した実施例1、2では、処理部5、6は、同じ処理を行うものであったが、これに限られない。すなわち、処理部5、6が互いに異なる処理を行うように変更してもよい。また、この変更に応じて、処理液供給装置11が供給する処理液の種類を適宜に変更してもよい。
【0141】
(18)上述した実施例1、2では、処理部5、6は、基板Wにレジスト膜等を形成し、かつ、基板Wを現像する処理を行うものであったが、処理部5、6の処理内容はこれに限られない。例えば、処理部5、6の処理内容は、処理対象の基板Wに応じて種々の処理内容に変更することができる。
【0142】
(19)上述した実施例1、2では、基板処理装置1は2つの処理部5、6を備えていたが、これに限られない。すなわち、3以上の処理部を備えるように変更してもよい。
【0143】
(20)上述した各実施例および各変形実施例の各構成を適宜に組み合わせるように変更してもよい。
【符号の説明】
【0144】
1 …基板処理装置
3 …インデクサ部(ID部)
5、6 …処理部(基板処理列)
7 …インターフェイス部(IF部)
8、9 …処理ユニット
11 …処理液供給装置
11、11R、11N …処理液供給装置
12、12a、12b …タンク(ボトル)
13a、13b、17、21、21a、21b、26、26a、26b …配管
17 …集合管
22、22a、22b、27、27a、27b …ポンプ
23、28,63、68、73a、73b、78a、78b …弁部材
41、42 …引き出しユニット(開閉機構)
43 …隔壁
44 …筐体
51、56 …処理部用開閉器
61、66 …弁部材用配線
S1、S2 …設置スペース
T
1、T
2 …主搬送機構
W …基板