特許第6029941号(P6029941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029941
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】舗装機械用画像生成装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   E01C19/48 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-246578(P2012-246578)
(22)【出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2014-95211(P2014-95211A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】市川 智子
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−019353(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/043522(WO,A1)
【文献】 特開2011−071919(JP,A)
【文献】 実開昭04−077608(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパ部、トラクタ部、及びスクリード部を有する舗装機械に取り付けられた複数の撮像手段が撮像した入力画像に基づいて出力画像を生成する舗装機械用画像生成装置であって、
前記出力画像は、前記ホッパ部を見下ろすホッパ部画像、前記スクリード部の進行方向左側の周辺領域を見下ろす左側周辺画像、前記スクリード部の進行方向右側の周辺領域を見下ろす右側周辺画像、及び前記トラクタ部のイラスト画像を含み、前記舗装機械を上から見下ろした状態を表すように前記ホッパ部画像、前記左側周辺画像、前記右側周辺画像、及び前記イラスト画像を配置
前記ホッパ部画像及び前記左側周辺画像は、三次元空間における同じ領域に対応する画像部分が別々に表示されるように、該画像部分を個別に含む2つの画像であり、
前記ホッパ部画像及び前記右側周辺画像は、三次元空間における同じ領域に対応する画像部分が別々に表示されるように、該画像部分を個別に含む2つの画像であり、
前記ホッパ部画像は前記出力画像の中央上部に配置され、
前記左側周辺画像は、前記出力画像の左部で且つ前記ホッパ部画像の左側に配置され、且つ、
前記右側周辺画像は、前記出力画像の右部で且つ前記ホッパ部画像の右側に配置される、
舗装機械用画像生成装置。
【請求項2】
記左側周辺画像は、前記スクリード部の左側端部の画像、及び、前記ホッパ部の左側端部の画像の少なくとも一方を含み、
前記右側周辺画像は、前記スクリード部の右側端部の画像、及び、前記ホッパ部の右側端部の画像の少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の舗装機械用画像生成装置。
【請求項3】
ホッパ部、トラクタ部、及びスクリード部を有する舗装機械に取り付けられた複数の撮像手段が撮像した入力画像に基づいて出力画像を生成する舗装機械用画像生成装置であって、
前記出力画像は、前記ホッパ部を見下ろすホッパ部画像、前記スクリード部の進行方向左側の周辺領域を見下ろす左側周辺画像、前記スクリード部の進行方向右側の周辺領域を見下ろす右側周辺画像、及び前記トラクタ部のイラスト画像を含み、前記舗装機械を上から見下ろした状態を表すように前記ホッパ部画像、前記左側周辺画像、前記右側周辺画像、及び前記イラスト画像を配置し、
前記ホッパ部画像及び前記左側周辺画像は、三次元空間における同じ領域に対応する画像部分が別々に表示されるように、該画像部分を個別に含む2つの画像であり、
前記ホッパ部画像及び前記右側周辺画像は、三次元空間における同じ領域に対応する画像部分が別々に表示されるように、該画像部分を個別に含む2つの画像であり、
前記左側周辺画像は、前記スクリード部の左側端部の画像、及び、前記ホッパ部の左側端部の画像の少なくとも一方を含み、
前記右側周辺画像は、前記スクリード部の右側端部の画像、及び、前記ホッパ部の右側端部の画像の少なくとも一方を含み、
前記複数の撮像手段のうちの一つである前記トラクタ部の左側部に取り付けられた左側部カメラの撮像範囲は、前記ホッパ部及び前記スクリード部の少なくとも一方を含み、
前記複数の撮像手段のうちの一つである前記トラクタ部の右側部に取り付けられた右側部カメラの撮像範囲は、前記ホッパ部及び前記スクリード部の少なくとも一方を含む、
装機械用画像生成装置。
【請求項4】
前記ホッパ部画像は、前記トラクタ部の前部に取り付けられた前部カメラが撮像した入力画像に基づいて生成され、
前記左側周辺画像は、前記トラクタ部の左側部に取り付けられた左側部カメラが撮像した入力画像に基づいて生成され、
前記右側周辺画像は、前記トラクタ部の右側部に取り付けられた右側部カメラが撮像した入力画像に基づいて生成される、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の舗装機械用画像生成装置。
【請求項5】
前記前部カメラの撮像範囲は、前記ホッパ部の全体をカバーしている、
請求項に記載の舗装機械用画像生成装置。
【請求項6】
前記左側部カメラが撮像した入力画像の非矩形部分は、矩形の前記左側周辺画像に対応付けられ、且つ、
前記右側部カメラが撮像した入力画像の非矩形部分は、矩形の前記右側周辺画像に対応付けられる、
請求項3乃至5の何れか一項に記載の舗装機械用画像生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装機械に取り付けられた複数のカメラが撮像した複数の入力画像に基づいて出力画像を生成する舗装機械用画像生成装置及びその装置を用いた舗装機械用操作支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホッパ内部を撮像するカメラと、ホッパの左外側周辺部を撮像するカメラと、ホッパの右外側周辺部を撮像するカメラとを備えるアスファルトフィニッシャの運転者支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−19353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のアスファルトフィニッシャは、車体幅方向に変位可能な運転席から視認できる位置に各カメラで撮像された映像を映し出すモニタを備える。そして、運転者支援装置は、車体幅方向における運転席の位置に応じてモニタに映し出される映像を自動的に切り換える。その結果、運転者支援装置は、運転席の位置に応じて変化する死角領域を運転者が容易に視認できるようにする。
【0005】
しかしながら、特許文献1の運転者支援装置は、ホッパの周囲の死角領域を運転者が視認できるようにするのみであり、アスファルトフィニッシャの周囲にある他の死角領域を運転者に視認させることができない。そのため、特許文献1の運転者支援装置は、アスファルトフィニッシャの運転を支援するには不十分である。
【0006】
上述の点に鑑み、本発明は、周囲の死角領域をより分かり易く提示する舗装機械用画像生成装置及び舗装機械用操作支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明の実施例に係る舗装機械用画像生成装置は、ホッパ部、トラクタ部、及びスクリード部を有する舗装機械に取り付けられた複数の撮像手段が撮像した入力画像に基づいて出力画像を生成する舗装機械用画像生成装置であって、前記出力画像は、前記ホッパ部を見下ろすホッパ部画像、前記舗装機械の進行方向左側の周辺領域を見下ろす左側周辺画像、前記舗装機械の進行方向右側の周辺領域を見下ろす右側周辺画像、及び前記トラクタ部のイラスト画像を含み、前記舗装機械を上から見下ろした状態を表すように前記ホッパ部画像、前記左側周辺画像、前記右側周辺画像、及び前記イラスト画像を配置する。
【0008】
また、本発明の実施例に係る舗装機械用操作支援システムは、舗装機械の移動又は操作を支援する操作支援システムであって、上述の舗装機械用画像生成装置と、前記舗装機械を移動させ或いは操作するための操作部の周辺に設置され、該舗装機械用画像生成装置が生成する出力画像を表示する表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上述の手段により、本発明は、周囲の死角領域をより分かり易く提示する舗装機械用画像生成装置及び舗装機械用操作支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る画像生成装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
図2】画像生成装置が搭載されるアスファルトフィニッシャの構成例を示す図である。
図3】出力画像の表示例(その1)である。
図4】出力画像の表示例(その2)である。
図5】出力画像生成処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0012】
図1は、本発明に係る画像生成装置の構成例100を概略的に示すブロック図である。
【0013】
画像生成装置100は、例えば、舗装機械に搭載されたカメラ2が撮像した入力画像に基づいて出力画像を生成しその出力画像を運転者に提示する装置である。本実施例では、画像生成装置100は、舗装機械としてのアスファルトフィニッシャ60に搭載され、主に、制御部1、カメラ2、入力部3、記憶部4、及び表示部5で構成される。
【0014】
図2は、画像生成装置100が搭載されるアスファルトフィニッシャ60の構成例を示す図であり、図2(A)が左側面図を示し、図2(B)が上面図を示し、図2(C)が後面図を示す。
【0015】
アスファルトフィニッシャ60は、主に、トラクタ部61、ホッパ部62、及びスクリード部63で構成される。
【0016】
トラクタ部61は、アスファルトフィニッシャ60を走行させるための機構である。本実施例では、トラクタ部61は、走行用油圧モータを用いて4つのホイールを回転させてアスファルトフィニッシャ60を移動させる。走行用油圧モータ(図示せず。)は、ディーゼルエンジン等の原動機(図示せず。)が駆動する油圧ポンプ(図示せず。)から作動油の供給を受けて回転する。また、トラクタ部61の上部には運転席64及び操作部65を含むキャブが配置される。
【0017】
また、トラクタ部61には、右側部、左側部、及び前部にカメラ2(右側部カメラ2R、左側部カメラ2L、前部カメラ2F)が取り付けられる。なお、キャブ内の運転者が視認し易い位置には表示部5が設置される。また、本実施例では、トラクタ部61から見たホッパ部62の方向を前方とし、トラクタ部61から見たスクリード部63の方向を後方とする。
【0018】
ホッパ部62は、アスファルト合材を受け入れるための機構であり、本実施例では、油圧シリンダ(図示せず。)によって車幅方向に開閉可能に構成される。アスファルトフィニッシャ60は、通常、ホッパ部62を全開状態にしてダンプカー(図示せず。)の荷台からアスファルト合材を受け入れる。なお、図2は、ホッパ部62が全開状態であることを示す。そして、ホッパ部62内のアスファルト合材が減少するとホッパ部62を閉じ、ホッパ部62の内壁付近にあったアスファルト合材をホッパ部62の中央部に集めてスクリード部63に給送できるようにする。
【0019】
スクリード部63は、アスファルト合材を敷き均すための機構であり、本実施例では、油圧シリンダ(図示せず。)によって、鉛直方向に昇降可能に、且つ、車幅方向に伸縮可能に構成される。具体的には、スクリード部63の幅は、車幅方向に伸長された場合に、トラクタ部61の幅より大きい。
【0020】
次に、画像生成装置100の各構成要素について説明する。
【0021】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、後述する出力画像生成手段10に対応するプログラムをROMやNVRAMに記憶し、一時記憶領域としてRAMを利用しながら出力画像生成手段10に対応する処理をCPUに実行させる。
【0022】
カメラ2は、アスファルトフィニッシャ60の周辺を映し出す入力画像を取得するための装置であり、例えば、キャブにいる運転者の死角領域を撮像できるようトラクタ部61に取り付けられる。
【0023】
死角領域は、例えば、ホッパ部62の内部空間(特に、トラクタ部61に近い部分)、ホッパ部62を閉じたときのホッパ部62の前端の左右隅部の外側の空間、アスファルトフィニッシャ60の左右の側部近辺の路面に近い空間(特に、車幅方向でキャブの反対側にある空間であり、例えば、本実施例のようにキャブが車幅方向右側に設置されている場合にはアスファルトフィニッシャ60の左側部近辺の路面に近い空間である。)等を含む。
【0024】
また、カメラ2は、トラクタ部61の右側部、左側部、及び前部以外の位置(例えば、後部である。)に取り付けられていてもよく、広い範囲を撮像できるよう広角レンズ又は魚眼レンズが装着されていてもよい。また、カメラ2は、ホッパ部62に取り付けられてもよく、スクリード部63に取り付けられてもよい。
【0025】
本実施例では、カメラ2は、前部カメラ2F、左側部カメラ2L、及び右側部カメラ2Rを含む。前部カメラ2Fは、図2(A)及び図2(B)に示すように、トラクタ部61の前部上端に取り付けられ、その光軸2FXが進行方向前方に延び、且つ、路面との間に側面視で角度α(例えば65度である。)を形成するように取り付けられる。また、左側部カメラ2Lは、図2(A)〜図2(C)に示すように、トラクタ部61の左側部上端に取り付けられ、その光軸2LXが、トラクタ部61の左側面との間に上面視で角度β(例えば70度である。)を形成し、且つ、路面との間に背面視で角度γを形成するように取り付けられる。右側部カメラ2Rは、左右を逆にして、左側部カメラ2Lと同様に取り付けられる。なお、図2(B)の破線で囲まれる領域2FAは、前部カメラ2Fの撮像範囲を示し、一点鎖線で囲まれる領域2LAは、左側部カメラ2Lの撮像範囲を示し、二点鎖線で囲まれる領域2RAは、右側部カメラ2Rの撮像範囲を示す。
【0026】
また、カメラ2は、トラクタ部61から延びる取り付け用ステーに取り付けられてもよく、取り付け用ステーを介さずにトラクタ部61に直接的に取り付けられてもよく、トラクタ部61に埋め込まれてもよい。
【0027】
また、カメラ2は、制御部1からの制御信号に応じて入力画像を取得し、取得した入力画像を制御部1に対して出力する。なお、カメラ2は、魚眼レンズ又は広角レンズを用いて入力画像を取得した場合には、それらレンズを用いることによって生じる見掛け上の歪曲やアオリを補正した補正済みの入力画像を制御部1に対して出力してもよく、その見掛け上の歪曲やアオリを補正していない入力画像をそのまま制御部1に対して出力してもよい。そのまま出力した場合には、制御部1がその見掛け上の歪曲やアオリを補正する。
【0028】
このようにして、カメラ2は、アスファルトフィニッシャ60の左側方及び右側方並びにホッパ部62の内部及び周辺にある複数の死角領域がその撮像範囲に含まれるように入力画像を取得する。
【0029】
入力部3は、運転者を含む操作者が画像生成装置100に対して各種情報を入力できるようにするための装置であり、例えば、タッチパネル、ボタンスイッチ等である。
【0030】
記憶部4は、各種情報を記憶するための装置であり、例えば、ハードディスク、光学ディスク、又は半導体メモリ等である。
【0031】
表示部5は、画像情報を表示するための装置であり、例えば、キャブ内に設置された液晶ディスプレイ等であって、制御部1が出力する各種画像を表示する。
【0032】
出力画像生成手段10は、出力画像を生成するための手段であり、例えば、記憶部4に記憶された入力画像・出力画像対応マップ40を参照し、カメラ2が撮像した入力画像が位置する入力画像平面上の座標と、出力画像が位置する出力画像平面上の座標とを対応付ける。具体的には、出力画像生成手段10は、出力画像における各画素の値(例えば、輝度値、色相値、彩度値等である。)と入力画像における各画素の値とを関連付けて出力画像を生成する。
【0033】
入力画像・出力画像対応マップ40は、カメラ2の光学中心、焦点距離、CCDサイズ、光軸方向ベクトル、カメラ水平方向ベクトル、射影方式等の各種パラメータに基づいて予め設定される、入力画像平面上の座標と出力画像平面上の座標との対応関係を記憶する。また、入力画像平面上の座標と出力画像平面上の座標との対応関係は、入力画像が見掛け上の歪曲やアオリを含む場合には、その見掛け上の歪曲やアオリが出力画像に現れないように設定される。例えば、入力画像平面上の非矩形領域を構成する座標群が出力画像平面上の矩形領域を構成する座標群に対応付けられる。一方、入力画像における見掛け上の歪曲やアオリが入力画像取得時に既に補正されている場合には、例えば、入力画像平面上の矩形領域を構成する座標群がそのまま出力画像平面上の矩形領域を構成する座標群に対応付けられる。
【0034】
図3及び図4は、アスファルトフィニッシャ60に搭載された三台のカメラ2(左側部カメラ2L、右側部カメラ2R、及び前部カメラ2F)の入力画像を用いて生成される出力画像を表示部5に表示させたときの表示例である。なお、図3の出力画像は、ホッパ部62が全開のときのアスファルトフィニッシャ60の状態を示し、図4の出力画像は、ホッパ部62が閉じたときのアスファルトフィニッシャ60の状態を示す。
【0035】
出力画像は、主に、ホッパ部画像HG、左側周辺画像LG、右側周辺画像RG、及び、イラスト画像61CGを含む。また、画像生成装置100は、アスファルトフィニッシャ60の前方が表示部5の画面上方に一致することを操作者が認識できるように、ホッパ部画像HG、左側周辺画像LG、右側周辺画像RG、及び、イラスト画像61CGを出力画像上の所定位置に所定の大きさで配置する。アスファルトフィニッシャ60及びその周辺を上から見下ろした状態を表す画像を操作者に提示することによって、アスファルトフィニッシャ60と周囲の物体との間の位置関係をより分かり易く操作者に認識させるためである。
【0036】
ホッパ部画像HGは、前部カメラ2Fの入力画像に基づいて生成される画像である。本実施例では、ホッパ部画像HGは、トラクタ部61側からホッパ部62を見下ろす画像であり、前部カメラ2Fの入力画像の一部を切り出すことによって生成され、出力画像の中央上部に配置される。
【0037】
左側周辺画像LGは、左側部カメラ2Lの入力画像に基づいて生成される画像である。本実施例では、左側周辺画像LGは、トラクタ部61側からアスファルトフィニッシャ60の進行方向左側の周辺領域を見下ろす画像である。具体的には、左側周辺画像LGは、左側部カメラ2Lの入力画像の一部を切り出して歪み補正を施し、さらに画像回転処理を施すことにより生成され、出力画像の左側端部に配置される。また、左側周辺画像LGは、スクリード部63の左側端部の画像、及び、全開状態にあるホッパ部62の左側端部の画像を含む。歪み補正は、広角レンズ等を用いることによって生じる見掛け上の歪曲やアオリを補正するための画像処理である。画像回転処理は、アスファルトフィニッシャ60の進行方向前方(表示部5の画面上方)と左側周辺画像LG内の画像の向きとを一致させるための画像処理である。本実施例では、左側部カメラ2Lの入力画像に関する入力画像平面上の座標と出力画像平面上の座標との対応関係が、歪み補正及び画像回転処理による効果を予め取り込んだ状態で、入力画像・出力画像対応マップ40に記憶されている。なお、入力画像・出力画像対応マップ40は、歪み補正及び画像回転処理がリアルタイムに施された結果として得られる入力画像に関する入力画像平面上の座標と出力画像平面上の座標との対応関係を記憶するようにしてもよい。また、歪み補正及び画像回転処理は、ホッパ部画像HGに対して施されてもよい。
【0038】
右側周辺画像RGは、右側部カメラ2Rの入力画像に基づいて生成される画像である。本実施例では、右側周辺画像RGは、トラクタ部61側からアスファルトフィニッシャ60の進行方向右側の周辺領域を見下ろす画像であり、右側部カメラ2Rの入力画像の一部を切り出して歪み補正を施し、さらに画像回転処理を施すことにより生成され、出力画像の右側端部に配置される。また、右側周辺画像RGは、スクリード部63の右側端部の画像、及び、全開状態にあるホッパ部62の右側端部の画像を含む。本実施例では、右側部カメラ2Rの入力画像に関する入力画像平面上の座標と出力画像平面上の座標との対応関係が、歪み補正及び画像回転処理による効果を予め取り込んだ状態で、入力画像・出力画像対応マップ40に記憶されている。なお、入力画像・出力画像対応マップ40は、歪み補正及び画像回転処理がリアルタイムに施された結果として得られる入力画像に関する入力画像平面上の座標と出力画像平面上の座標との対応関係を記憶するようにしてもよい。
【0039】
イラスト画像61CGは、トラクタ部61のコンピュータグラフィクスであり、カメラ2の撮像領域には含まれないトラクタ部61の画像の代わりに、操作者がトラクタ部61の位置を認識できるように表示される。なお、イラスト画像61CGは、出力画像の中央下部に配置される。
【0040】
このようにして、出力画像は、アスファルトフィニッシャ60及びその近傍を上空から見下ろした画像を表示する。
【0041】
なお、上述の実施例では、ホッパ部画像HG及び左側周辺画像LGは、三次元空間における同じ領域に対応する画像部分を含む不連続な画像対である。同様に、ホッパ部画像HG及び右側周辺画像RGも、三次元空間における同じ領域に対応する画像部分を含む不連続な画像対である。このように、画像生成装置100は、三次元空間における同じ領域に対応する画像部分が二箇所で表示されるように出力画像を表示する。すなわち、三次元空間における同じ領域に対応する画像部分が二箇所で表示されないようにするための画像処理を必要としない。また、そのような画像処理に伴う画像部分の消失、画像部分の視認性の低下等を生じさせることもない。そのため、画像生成装置100は、演算負荷の増大を抑制しながらも、アスファルトフィニッシャ60の周囲の状況を分かり易く提示する出力画像を生成できる。
【0042】
また、上述の実施例では、ホッパ画像HG、左側周辺画像LG、及び右側周辺画像RGのそれぞれが、対応する一つのカメラが撮像した入力画像に基づいて生成される。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、ホッパ画像HG、左側周辺画像LG、及び右側周辺画像RGのそれぞれは、二つ以上のカメラが撮像した入力画像に基づいて生成されてもよい。
【0043】
次に、図5を参照しながら、画像生成装置100が出力画像を生成する処理(以下、「出力画像生成処理」とする。)について説明する。なお、図5は、出力画像生成処理の流れを示すフローチャートである。また、画像生成装置100は、カメラ2が入力画像を取得する度に、出力画像生成処理を実行する。
【0044】
最初に、制御部1は、出力画像生成手段10により、入力画像・出力画像対応マップ40を参照し、出力画像平面上の各座標に対応する入力画像平面上の座標が有する値(例えば、輝度値、色相値、彩度値等である。)を取得し、その取得した値を、対応する出力画像平面上の各座標の値として採用する(ステップS1)。
【0045】
その後、制御部1は、出力画像平面上の全ての座標の値を入力画像平面上の座標の値に関連付けたか否かを判定し(ステップS2)、未だ全ての座標の値を関連付けていないと判定した場合には(ステップS2のNO)、ステップS1及びステップS2の処理を繰り返すようにする。
【0046】
一方、制御部1は、全ての座標の値を関連付けたと判定した場合には(ステップS2のYES)、出力画像を表示部5に表示して、今回の出力画像生成処理を終了させる。
【0047】
以上の構成により、画像生成装置100は、複数のカメラが取得する入力画像に基づいて、アスファルトフィニッシャ60と作業員等を含む周辺障害物との位置関係を操作者に直感的に把握させることが可能な出力画像を生成することができる。
【0048】
また、画像生成装置100は、アスファルトフィニッシャ60及びその近傍を上空から見下ろす状態を操作者に提示するように、ホッパ部画像HG、左側周辺画像LG、右側周辺画像RG、及びイラスト画像61CGを出力画像上に配置する。これにより、操作者は、運転席64から離れることなく、アスファルトフィニッシャ60の周囲にある死角領域を視認することができる。その結果、画像生成装置100は、アスファルトフィニッシャ60の安全性及び操作性を向上させることができる。具体的には、画像生成装置100は、ホッパ部62内のアスファルト合材の残量、舗装予定の路面における地物(例えば、マンホールである。)の位置等を操作者に提示できる。また、画像生成装置100は、アスファルトフィニッシャ60の周辺で作業する作業員の位置を操作者に提示できる。そのため、操作者は、表示部5を見て地物や作業員の位置を確認した上で、ホッパ部62の開閉、スクリード部63の伸縮、スクリード部63の昇降等の各種操作を実行できる。また、操作者は、作業員とホッパ部、スクリード部、又はダンプカーとの関係で危険を察知した場合には、各種操作の中止、アスファルトフィニッシャの停止等を行うことができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0050】
例えば、画像生成装置100は、グースアスファルト合材を用いるグースアスファルトフィニッシャに搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1・・・制御部 2・・・カメラ 2L・・・左側部カメラ 2R・・右側部カメラ 2F・・前部カメラ 3・・・入力部 4・・・記憶部 5・・・表示部 10・・・出力画像生成手段 40・・・入力画像・出力画像対応マップ 60・・・アスファルトフィニッシャ 61・・・トラクタ部 62・・・ホッパ部 63・・・スクリード部 64・・・運転席 65・・・操作部
図1
図2
図5
図3
図4