(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ダンパには、開口を閉鎖した場合にケースに当接する端部のうち、開口を開閉する方向に延びる端部を、開口の閉鎖方向側の端部に向かってダンパの移動方向と直交する方向の中央部側に斜めに延びる傾斜面とし、
ケースには、傾斜面と平行を成すように形成され、ダンパによって開口を閉鎖した状態でダンパの傾斜面が当接することで、開口におけるダンパの開閉方向に延びる端部とケースとの隙間を閉塞する当接面が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
ダンパは、開口を開閉するダンパ本体と、ダンパ本体からケース内側に延びるように設けられ、ダンパ本体を支持する支持部と、支持部の端部をケース内に回転自在に支持する支軸と、を有し、支軸を回転中心としてダンパ本体を移動させることによって開口を開閉する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空気調和装置。
ケースには、開口として、センターベント吹出口に連通するセンターベント開口と、センターベント開口に隣接するように配置され、サイドベント吹出口に連通するサイドベント開口と、が設けられ、
ダンパは、センターベント開口を開閉するセンターベント部と、サイドベント開口の一部を開閉するサイドベント部と、を有し、
ダンパのセンターベント部とサイドベント部との間には、ケースのセンターベント開口とサイドベント開口との間に向かって突出し、センターベント開口およびサイドベント開口の閉鎖方向側の端部に向かってダンパの移動方向と直交する方向の中央部側に斜めに延びるリブが設けられ、
ケースのセンターベント開口とサイドベント開口との間には、ダンパによってセンターベント開口を閉鎖した状態でリブのダンパの移動方向と直交する方向の外側の面が当接することで、センターベント開口を閉鎖した状態におけるケース内でのセンターベント開口とサイドベント開口との連通を規制するリブ当接面が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至
図14は、本発明の一実施形態を示すものである。なお、本実施形態における前後方向、左右方向(幅方向)および上下方向を表す記載は、本発明の空気調和装置を備えた車両の前後方向、左右方向(幅方向)および上下方向に対応するものである。
【0014】
本発明の車両用空気調和装置は、車室内前部のダッシュボード1内に設けられている。車両用空気調和装置は、ダッシュボード1の幅方向中央部において後方に臨むセンターベント吹出口2と、ダッシュボード1の幅方向両側において後方に臨むサイドベント吹出口3と、ダッシュボード1の下部の幅方向両側において下方に臨むフット吹出口4と、ダッシュボード1の上部の幅方向に渡って上方に臨むデフロスタ吹出口5と、を有している。
車両用空気調和装置は、これらの複数の吹出口2,3,4,5の少なくとも1つから冷却または加熱した空気を車室内に吹出すことによって車室内の空気の温度および湿度の調整や、ガラスの曇りの除去を行うものである。
【0015】
車両用空気調和装置は、車室外の空気および車室内の空気の一方または両方を吸入可能な送風ユニット100と、送風ユニット100から送られた空気を冷却または加熱して車室内に供給するための空調ユニット200とを有し、互いに車両の幅方向に並べて配置されている。
【0016】
送風ユニット100は、外周部に複数の羽根が設けられた円筒状のシロッコファンを有している。送風ユニット100は、車室内の空気を吸入するための内気吸入口101が上部の前後方向の後側に設けられ、車室外の空気を吸入するための外気吸入口102が上部の前後方向の前側に設けられている。
【0017】
空調ユニット200は、内部に空気が流通可能なケース210と、ケース210内を流通する空気を冷却するための冷却用熱交換器220と、ケース210内を流通する空気を加熱するための加熱用熱交換器230と、ケース210内を流通する空気の加熱用熱交換器230と熱交換する空気の風量を調整するためのエアミックスダンパ240と、センターベント吹出口2およびサイドベント吹出口3から吹出される空気の風量を調整するための第1ダンパ250と、フット吹出口4から吹出される空気の風量を調整するための第2ダンパ260と、デフロスタ吹出口5から吹出される空気の風量を調整するための第3ダンパ270と、を有している。
【0018】
ケース210の幅方向一側面の前後方向の前部には、送風ユニット100から送風された空気を流入させるための流入開口211が設けられている。ケース210の上面の前後方向の後側には、センターベント吹出口2に連通するセンターベント開口212が幅方向中央部に設けられ、センターベント開口212の幅方向両側には、サイドベント吹出口3に連通するサイドベント開口213が設けられている。また、ケース210の上面の前後方向の前側には、デフロスタ吹出口5に連通するデフロスタ開口214がセンターベント開口212およびサイドベント開口213に隣接して設けられている。さらに、ケース210の下面の前後方向の後側には、フット吹出口4に連通するフット開口215が設けられている。
【0019】
ケース210内には、流入開口211が設けられた前後方向の前側に冷却用熱交換器220が配置され、前後方向の後側に加熱用熱交換器230が配置されている。ケース210内には、流入開口211から流入した空気を冷却用熱交換器220に向かって流通させるための流入空気通風路216と、センターベント開口212、サイドベント開口213、デフロスタ開口214およびフット開口215から流出する空気を流通させるための流出空気通風路217と、冷却用熱交換器220を通過した空気を加熱用熱交換器230を通過させて流出空気通風路217に連通させるための加熱空気通風路218と、冷却用熱交換器220を通過した空気を加熱用熱交換器230を通過させることなく流出空気通風路に連通させる冷却空気バイパス通風路219と、が設けられている。
【0020】
また、ケース210の幅方向両側には、加熱空気通風路218を流通する空気の一部を冷却空気バイパス通風路219を流通する空気と混合させることなくデフロスタ開口214に流通させるための加熱空気バイパス通風路218aが、加熱空気通風路218から流出空気通風路217のデフロスタ開口214まで幅方向外側に張り出すように形成されている。加熱空気バイパス通風路218aは、加熱空気通風路218および流出空気通風路217の幅方向外側に配置されているが、加熱空気通風路218および流出空気通風路217に対して仕切られておらず、加熱空気通風路218および流出空気通風路217と同一の空間内に形成されている。
【0021】
冷却用熱交換器220は、例えば、冷凍サイクルの構成要素としての蒸発器が用いられ、蒸発器において冷媒を吸熱させることによって蒸発器を通過する空気を冷却する。
【0022】
加熱用熱交換器230は、例えば、車両のエンジンを冷却するための冷却水回路に接続された放熱器が用いられ、放熱器において冷却水を放熱させることによって放熱器を通過する空気を加熱する。
【0023】
エアミックスダンパ240は、幅方向に延びる矩形状の板状部材であり、短手方向一端の両側に設けられた支軸241を介してケース210内に回転自在に支持されている。エアミックスダンパ240は、板状部材の両面に例えば発泡ウレタン樹脂等からなるシール部材242が貼り付けられている。エアミックスダンパ240は、短手方向他端側を下方且つ前後方向の後方(
図3において時計回り)に回転させることにより加熱用熱交換器230の空気の流通方向上流側の加熱空気通風路218を閉鎖可能である。また、エアミックスダンパ240は、短手方向他端側を前後方向の前方且つ上方(
図3において反時計回り)に回転させることにより冷却空気バイパス通風路219を閉鎖可能である。さらに、エアミックスダンパ240は、短手方向他端側を加熱空気通風路218を閉鎖する位置と冷却空気バイパス通風路219を閉鎖する位置との間に位置させることによって、冷却用熱交換器220を通過した空気の一部を加熱空気通風路218側に流通させ、その他の空気を冷却空気バイパス通風路219側に流通させることが可能である。エアミックスダンパ240は、図示しない電動モータによって駆動可能であり、車室内を設定温度とするために必要な車室内に供給する空気の温度である必要吹出温度に応じて開度が調整される。
【0024】
第1ダンパ250は、センターベント開口212およびサイドベント開口213の一部をケース210の内側から閉鎖可能なダンパ本体251と、ダンパ本体251の幅方向両側から下方に延びるように形成された一対の支持部252と、支持部252の下端から幅方向外側に延びる支軸253とを有している。第1ダンパ250は、支軸253を介してケース210内に回転自在に支持されている。第1ダンパ250は、ダンパ本体251が前側に位置している状態でセンターベント開口212およびサイドベント開口213が全開の状態となり、ダンパ本体251を後側に移動させることによってセンターベント開口212が全閉の状態となるとともに、サイドベント開口213が一部開く状態となる。
【0025】
ダンパ本体251は、幅方向に延びると共に前後方向に円弧状に湾曲するように形成されている。ダンパ本体251は、支軸253からダンパ本体251までの距離を曲率半径とする曲率の円弧状に湾曲している。ダンパ本体251は、幅方向中央部にセンターベント開口212を開閉するセンターベント部251aが設けられ、センターベント部251aの幅方向両側にサイドベント部251bが設けられている。サイドベント部251bは、前端部がセンターベント部251aの前端部と面一となる位置に設けられ、前後方向の長さ寸法がセンターベント部251aの前後方向の長さ寸法よりも小さく形成されている。このため、センターベント部251aの後端部とサイドベント部251bの後端部との間には、段差が形成される。この段差部分に位置するセンターベント部251aの後側の幅方向両端部には、後端部に向かって幅方向中央部側に延びる傾斜面251cが形成されている。また、ダンパ本体251の幅方向両端部に位置する各サイドベント部251bの側面部には、後端部に向かって幅方向中央部側に延びる傾斜面251dが形成されている。センターベント部251aの後端面および傾斜面251cと、サイドベント部251bの後端面および傾斜面251dには、シール部材254が貼り付けられている。
【0026】
ダンパ本体251の前端部には、幅方向に渡って上方に延びるとともに、幅方向両端部から幅方向外側に延びるフランジ251eが形成されている。フランジ251eは、幅方向寸法が、ダンパ本体251の幅方向寸法よりも大きく形成されている。フランジ251eのダンパ本体251の幅方向外側に張り出す部分は、ケース210の幅方向外側に張り出す加熱空気バイパス通風路218a内を移動可能である。フランジ251eの後面の外縁部には、シール部材255が貼り付けられている。
【0027】
ダンパ本体251のセンターベント部251aと各サイドベント部251bとの間のセンターベント部251a側には、センターベント部251aの前後方向に渡って上方に延びるリブ251fが形成されている。各リブ251fの幅方向外側面には、シール部材256が貼り付けられている。
【0028】
ダンパ本体251によってセンターベント開口212およびサイドベント開口213の前側を閉鎖すると、
図5に示すセンターベント部251aの後端面および傾斜面251cが、
図6に示すケース210のセンターベント開口212の後縁部および側縁部に設けられ、センターベント部251aの後端面および傾斜面251cと平行を成すように形成された当接面212aに当接する。また、
図5に示すサイドベント部251bの後端面および傾斜面251dが、
図6に示すケース210のサイドベント開口213の前後方向中央部および幅方向外側の側縁部に設けられ、サイドベント部251bの後端面および傾斜面251dと平行を成すように形成された当接面213aに当接する。さらに、
図5に示すフランジ251eの後側の面が、
図3に示すケース210のセンターベント開口212および各サイドベント開口213の前縁部に設けられ、フランジ251eの後側の面と平行を成すように形成された当接面212bに当接する。センターベント部251aの後端面および傾斜面251cと当接面212a、サイドベント部251bの後端面および傾斜面251dと当接面213a、および、フランジ251eの後側の面と当接面212bが平行を成すとは、厳密に平行を成すものに限られず、ダンパ本体251の移動の際に当接面212a,213a,212bとの間で大きな摩擦抵抗を生じなければ略平行を成すものでもよい。
【0029】
ここで、フランジ251eのダンパ本体251の幅方向外側に張り出す部分は、加熱空気バイパス通風路218aの壁面を当接面212bとして当接する。
【0030】
これにより、センターベント開口212とサイドベント開口213の前側は、ダンパ本体251によって隙間なく閉鎖される。
【0031】
また、ダンパ本体251によってセンターベント開口212およびサイドベント開口213の前側の一部を閉鎖すると、各リブ251fの幅方向外側面が、ケース210のセンターベント開口212およびサイドベント開口213の間に設けられた当接面212cに当接する。
【0032】
これにより、ケース210内におけるセンターベント開口212とサイドベント開口213を連通する隙間は、ダンパ本体251によって閉鎖される。
【0033】
第2ダンパ260は、幅方向に延びる矩形状の部材であり、短手方向一端の両側に設けられた支軸261を介してケース210内のセンターベント開口212およびサイドベント開口213の前後方向の後方に回転自在に支持されている。第2ダンパ260は、板状部材の両面の外縁部に沿ってシール部材262が貼り付けられている。第2ダンパ260は、短手方向他端側を下方且つ前後方向の後方(
図3において時計回り)に回転させることによりフット開口215に連通する通風路215aを閉鎖可能である。また、第2ダンパ260は、短手方向他端側を前後方向の前方且つ上方(
図3において反時計回り)に回転させることによりサイドベント開口213の後側の一部を閉鎖可能である。さらに、第2ダンパ260は、通風路215aを閉鎖する位置とサイドベント開口213の後側を閉鎖する位置との間に位置することによって、冷却用熱交換器220を通過した空気の一部をフット開口215側に流通させ、その他の空気をサイドベント開口213側に流通させることが可能である。
【0034】
また、第2ダンパ260のセンターベント開口212側の面には、第1ダンパ250によってセンターベント開口およびサイドベント開口213の前側を閉鎖した状態で、サイドベント開口213の後側を閉鎖可能なように、第1ダンパ250のセンターベント部251aの後端部を受容可能な凹部263が形成されている。
【0035】
さらに、第2ダンパ260のセンターベント開口212側の面には、第2ダンパ260によってサイドベント開口213の後側を閉鎖した状態におけるケース210のセンターベント開口212とサイドベント開口213との間の部分に対応する位置に短手方向に渡ってシール部材264が貼り付けられている。これにより、ケース210内のセンターベント開口212側とサイドベント開口213側とを連通する隙間は、第2ダンパ260によるサイドベント開口213の閉鎖時において、シール部材264によって閉鎖される。
【0036】
第3ダンパ270は、幅方向に延びる板状部材であり、短手方向略中央部の両側に設けられた支軸271を介してケース210内に回転自在に支持されている。第3ダンパ270は、デフロスタ開口214の前側を開閉する部分の下面および後側を開閉する部分の上面にシール部材272が貼り付けられている。これにより、第3ダンパ270は、
図3において時計回りに回転させることによって、デフロスタ開口214を閉鎖し、
図3において反時計回りに回転させることによってデフロスタ開口214を開放する。
【0037】
第1〜第3ダンパ250,260,270は、歯車等の動力伝達装置を介して連結されており、図示しない電動モータによって駆動される。
【0038】
以上のように構成された車両用空気調和装置において、温度および湿度が調整された空気を車室内に供給する際には、複数の吹出口2,3,4,5の1つまたは複数の吹出口から車室内に空気を吹出すパターンとして複数の吹出モードを有し、複数の吹出モードから1つの吹出モードが選択可能である。以下に、ベントモード、フットモード、バイレベルモード、デフロスタモード、デフフットモードの各吹出モードについて説明する。
【0039】
ベントモードは、主に必要吹出し温度が低温の場合に設定される。このため、エアミックスダンパ240は、冷却用熱交換器220を通過した空気の全てまたは大部分が冷却空気バイパス通風路219側に流通する位置に設定される。
ベントモードでは、
図8に示すように、第1ダンパ250によってセンターベント開口212およびサイドベント開口213の前側を開放し、第2ダンパ260によってサイドベント開口213の後側を開放すると共にフット開口215に連通する通風路215aを閉鎖し、第3ダンパ270によってデフロスタ開口214を閉鎖する。
これにより、流入空気通風路216を流通して冷却用熱交換器220を通過した空気は、流出空気通風路217を流通してセンターベント開口212およびサイドベント開口213から流出し、センターベント吹出口2およびサイドベント吹出口3から車室内に吹出される。
【0040】
フットモードは、主に必要吹出し温度が高温の場合に設定される。このため、エアミックスダンパ240は、冷却用熱交換器220を通過した空気の全てまたは大部分が加熱空気通風路218側に流通する位置に設定される。
フットモードでは、
図9に示すように、第1ダンパ250によってセンターベント開口212およびサイドベント開口213の前側を閉鎖し、第2ダンパ260によってサイドベント開口213の後側を閉鎖すると共にフット開口215に連通する通風路215aを開放し、第3ダンパ270によってデフロスタ開口214を閉鎖する。
これにより、流入空気通風路216を流通して冷却用熱交換器220を通過した空気は、流出空気通風路217を流通してフット開口215から流出し、フット吹出口4から車室内に吹出される。
【0041】
バイレベルモードは、ベントモードが設定される必要吹出し温度とフットモードが設定される必要吹出し温度との間の必要吹出し温度の場合に設定される。このため、エアミックスダンパ240は、冷却用熱交換器220を通過した空気が分岐されて加熱空気通風路218および冷却空気バイパス通風路219のそれぞれに流通する位置に設定される。
バイレベルモードでは、
図10に示すように、第1ダンパ250によってセンターベント開口212の一部およびサイドベント開口213の前側の一部を開放し、第2ダンパ260によってサイドベント開口213の後側を開放すると共にフット開口215に連通する通風路215aを開放し、第3ダンパ270によってデフロスタ開口214を閉鎖する。
これにより、流入空気通風路216を流通して冷却用熱交換器220を通過した空気は、流出空気通風路217を流通してセンターベント開口212、サイドベント開口213およびフット開口215から流出し、センターベント吹出口2、サイドベント吹出口3およびフット吹出口4から車室内に吹出される。
【0042】
デフロスタモードは、フロントガラスおよびサイドガラスに曇りが生じた場合に設定される。このため、エアミックスダンパ240は、冷却用熱交換器220を通過した空気の全てまたは大部分が加熱空気通風路218側に流通する位置に設定される。
デフロスタモードでは、
図11に示すように、第1ダンパ250によってセンターベント開口212およびサイドベント開口213の前側を閉鎖し、第2ダンパ260によってサイドベント開口213の後側を開放すると共にフット開口215に連通する通風路215aを閉鎖し、第3ダンパ270によってデフロスタ開口214を開放する。
これにより、流入空気通風路216を流通して冷却用熱交換器220を通過した空気は、流出空気通風路217を流通してサイドベント開口213およびデフロスタ開口214から流出し、サイドベント吹出口3およびデフロスタ吹出口5から車室内に吹出される。
【0043】
デフフットモードは、主に必要吹出し温度が高温であり、フロントガラスおよびサイドガラスに曇りが生じた場合に設定される。このため、エアミックスダンパ240は、冷却用熱交換器220を通過した空気の全てまたは大部分が加熱空気通風路218側に流通する位置に設定される。
デフフットモードでは、
図12に示すように、第1ダンパ250によってセンターベント開口212およびサイドベント開口213の前側を閉鎖し、第2ダンパによってサイドベント開口213の後側を開放すると共にフット開口215に連通する通風路215aを開放し、第3ダンパ270によってデフロスタ開口214を開放する。
これにより、流入空気通風路216を流通して冷却用熱交換器220を通過した空気は、流出空気通風路217を流通してサイドベント開口213、デフロスタ開口214およびフット開口215から流出し、サイドベント吹出口3、フット吹出口4およびデフロスタ吹出口5から車室内に吹出される。
【0044】
デフロスタモードおよびデフフットモードにおいて、デフロスタ開口214からは、加熱用熱交換器230を通過して加熱された空気の一部を、ケース210の幅方向両側の加熱空気バイパス通風路218aを介して流出させることが可能である。このため、デフロスタ開口214から流出する空気には、冷却空気バイパス通風路219を流通した空気と混合されない高温の空気が含まれるため、ガラスの曇りの除去が容易となる。
【0045】
吹出モードの切換え時には、サイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212が第1ダンパ250によって開閉される。ダンパ本体251のセンターベント部251aの幅方向両側を前後方向に延びる端部は、センターベント開口212を閉鎖する方向側の端部に向かって幅方向中央部側に斜めに延びる傾斜面251cが形成されている。また、ダンパ本体251の幅方向両側に位置するサイドベント部251bの前後方向に延びる端部は、サイドベント開口213を閉鎖する方向側の端部に向かってダンパ本体251の幅方向中央部側に斜めに延びる傾斜面251dが形成されている。これにより、第1ダンパ250の動作時には、
図13に示すように、傾斜面251c,251dを、当接面212a,213aから離れた状態とし、
図14に示すように、第1ダンパ250によるサイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212の閉鎖時にのみ、傾斜面251c,251dを当接面212a,213aに当接させることが可能となる。
【0046】
また、ダンパ本体251の前端に設けられたフランジ251eの幅方向両端部は、
図13および
図14に示すように、ケース210の幅方向両面から外側に張り出すように形成された加熱空気バイパス通風路218a内を移動可能であり、加熱空気バイパス通風路218aの壁面を当接面212bとして当接させることが可能である。
【0047】
このように、本実施形態の車両用空気調和装置によれば、フランジ251eの幅方向両端側は、ケース210の他の部分よりも外側に張り出すように形成された加熱空気バイパス通風路218a内を移動可能である。
これにより、ケース210にフランジ251eの幅法両端部が移動可能なスペースを別途形成する必要がないので、ケース210の外径寸法を大きくすることなくサイドベント開口213およびセンターベント開口212を必要な大きさに形成することが可能となる。また、フランジ251eの幅方向両端側の移動スペースを、加熱空気バイパス通風路218aとしたので、別途フランジ251eの幅方向両側の移動スペースと加熱空気バイパス通風路218aをそれぞれ確保する必要がなく、ケースの小型化を図ることが可能となる。
【0048】
また、第1ダンパ250のサイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212の開閉方向に延びる端部を、サイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212の閉鎖方向に向かってダンパ本体251の幅方向中央部側に斜めに延びる傾斜面251c,251dとし、ケース210には、傾斜面251c,251dと平行を成すように形成され、第1ダンパ250によってサイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212を閉鎖した状態で、第1ダンパ250の傾斜面251c,251dが当接することで、サイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212における第1ダンパ250の移動方向に延びる端部とケース210との隙間を閉塞する当接面212a,213aが形成されている。
これにより、第1ダンパ250の動作時において、第1ダンパ250の傾斜面251c,251dに設けられたシール部材254を、当接面212a,213aから離した状態とすることができるので、シール部材254と当接面212a,213aとの間の摩擦抵抗を低減し、第1ダンパ250の開閉動作に必要な操作力を小さくすることができる。また、第1ダンパ250の動作時において、シール部材254を当接面212a,213aから離した状態とすることができるので、シール部材254の劣化を抑制することができる。
【0049】
また、第1ダンパ250は、サイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212を開閉するダンパ本体251と、ダンパ本体251からケース210内側に延びるように設けられ、ダンパ本体251を支持する支持部252と、支持部252の端部をケース210内に回転自在に支持する支軸253と、を有し、支軸253を回転中心としてダンパ本体251を移動させることでサイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212を開閉している。
これにより、第1ダンパ250の支軸253を回転させることによってサイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212の開閉が可能となることから、複雑な機構を要することなく簡単な機構によって開閉動作が可能となり、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0050】
また、ダンパ本体251のセンターベント部251aとサイドベント部251bとの間には、センターベント開口212とサイドベント開口213との間に向かって延出すると共にサイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212を閉鎖する方向側の端部に向かってダンパ本体251の幅方向中央部側に斜め延びるリブ251fが設けられ、ケース210のセンターベント開口212とサイドベント開口213との間には、フランジ251eと平行を成すように形成され、第1ダンパ250によってセンターベント開口212を閉鎖した状態におけるケース210内でのセンターベント開口212とサイドベント開口213との連通を規制する当接面212cが設けられている。
これにより、第1ダンパ250の動作時において、リブ251fに設けられたシール部材256を、当接面212cから離した状態とすることができるので、シール部材256と当接面212cとの間の摩擦抵抗を低減し、第1ダンパ250の開閉動作に必要な操作力を小さくすることができる。また、第1ダンパ250の動作時において、シール部材256を当接面212cから離した状態とすることができるので、シール部材256の劣化を抑制することができる。
【0051】
また、ケース210内のセンターベント開口212およびサイドベント開口213の近傍に設けられ、フット開口215に連通する通風路215aを開閉する第2ダンパ260を備え、第2ダンパ260によってサイドベント開口213の後側を閉鎖可能としている。
これにより、第1ダンパ250および第2ダンパ260によってサイドベント開口213を全開の状態から全閉の状態まで開度を調整することができるので、各サイドベント吹出口3に開閉ダンパを取り付ける必要がなく、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0052】
なお、前記実施形態では、第1ダンパ250の傾斜面251c,251dおよびリブ251fをそれぞれダンパ本体251の幅方向中央部側に斜めに延びる平面状に形成するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、ダンパ本体251の幅方向中央部側に斜めに延びる傾斜面であれば、曲面状に形成されていてもよい。
【0053】
また、前記実施形態では、第1ダンパ250を、ダンパ本体251と、ダンパ本体251の幅方向両側から下方に延びるように形成された一対の支持部252と、支持部252の下端から幅方向外側に延びる支軸253とを有し、支軸253を回転中心としてダンパ本体251を回転させることにより、サイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212を開閉するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。開口内を移動させることによって開口を開閉するダンパであれば、例えば、ケース210の開口の近傍にダンパの端部を案内するレールを設け、開口が設けられたケース210の面と平行にダンパを移動させることによって開口を開閉するようにしてもよい。
【0054】
また、前記実施形態では、本発明の適用例として、サイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212を開閉する第1ダンパ250を示したが、これに限られるものではない。例えば、センターベント吹出口2およびサイドベント吹出口3に連通する1つのベント開口を開閉するダンパに適用してもよいし、また、デフロスタ開口214やフット開口215を開閉するダンパに適用してもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、第1ダンパ250のダンパ本体251にシール部材254,255,256を貼り付けるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。第1ダンパ250によってサイドベント開口213の前側およびセンターベント開口212を閉鎖したときにダンパ本体251が当接する当接面212a,212b,212c,213aにシール部材を貼り付けるようにしてもよい。
【0056】
また、前記実施形態では、フランジ251eの幅方向両端側を、加熱空気バイパス通風路218a内を移動可能とし、加熱空気バイパス通風路218aの壁面を当接面212bとして当接させるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。ケース210の他の部分よりも幅方向外側に張り出すように形成された部分の内側にフランジ251eの幅方向両端側が移動可能且つ当接可能であれば、他の通風路であってもよい。