特許第6029947号(P6029947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029947
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   A61F13/49 313A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-254511(P2012-254511)
(22)【出願日】2012年11月20日
(65)【公開番号】特開2014-100312(P2014-100312A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(72)【発明者】
【氏名】坂倉 嵩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信也
(72)【発明者】
【氏名】柳原 茂人
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0130644(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0313389(US,A1)
【文献】 特開2006−280679(JP,A)
【文献】 特開2005−261958(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0192152(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌当接面側に表面シート、非肌当接面側に裏面シート、前記表面シートと裏面シートの間に吸収体を配置した縦長の吸収性本体を有し、該吸収性本体は、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部、背側に位置する背側部、及び該腹側部と該背側部との間に配置される股下部を有し、該吸収性本体の背側部の左右両側には一対のファスニングテープを有し、腹側部の非肌当接面側に、ファスニングテープを止着する被止着領域を有する使い捨ておむつであって、
前記ファスニングテープは、テープ基材と、該テープ基材の片面に固定されて止着部を形成するフック部材とを有しており、前記フック部材に、吸収性本体長手方向に配向したスリットが、吸収性本体幅方向に間隔を設けて複数本形成されており、該フック部材の、吸収性本体長手方向における前後両端部に、前記スリットが延在していない非スリット部を有し、
前記フック部材は、前記テープ基材と接着された接着領域、及び該接着領域どうし間に位置し、該テープ基材と接着されていない非接着領域を有し、
前記接着領域が、前記フック部材の吸収性本体幅方向の両端部に形成されており且つ少なくとも一箇所以上の前記スリット間に形成されている、使い捨ておむつ。
【請求項2】
複数の前記スリットは、それぞれの長さが、前記ファスニングテープの基端側から先端側に向かって徐々に短くなるように形成されている、請求項記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
複数の前記スリットは、前記ファスニングテープの基端側から先端側にむかって間隔が狭くなるように形成されている、請求項記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記スリットが、前記フック部材及び前記テープ基材に、全体を貫通するか又は該フック部材を貫通してテープ基材の厚み方向の途中まで達するように一体的に形成されている、請求項1〜の何れか1項記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、背側部の左右両側に設けられた一対のファスニングテープを、腹側部の外面に設けた被止着領域に脱着可能に止着して着用者に装着するようにした展開型の使い捨ておむつが知られている。
しかし、着用者である幼児がファスニングテープを引っ張ったり、幼児又は成人が着用中のおむつに衣類等が引っ掛かる場合があり、ファスニングテープが意図せずに被止着領域から剥がれてしまう場合がある。
この意図しない剥がれを防止するためには、ファスニングテープの被止着領域に対する係合力を強固にすれば良いが、その場合には、おむつの交換時等の意図的に剥がす場合にも、引き剥がし難くなってしまう。
【0003】
ファスニングテープと被止着領域との係合に関する技術として、特許文献1には、複数のフック部材の小片を、小片間に隙間を設けた状態に固定して止着部を形成する技術が記載されている。
また、特許文献2には、非止着領域を形成するターゲットテープを、腹側部の幅方向中央部の両側それぞれに配置し、そのそれぞれの幅方向中央側を固定する一方、幅方向外方側を自由状態とすることで、トイレ等の狭い空間内で場所をとらずにファスニングテープを剥がせるようにする技術が記載されている。
また、特許文献3,4には、ファスニングテープを基材テープ部材と、基材テープ部材に固定されたフックテープ部材とから構成し、フックテープ部材を、複数の小片を隣接配置して構成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−344514号公報
【特許文献2】特開2008−79641号公報
【特許文献3】特開2008−161571号公報
【特許文献4】特開2011−229984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術においては、フック部材の小片間に隙間があるため、ファスニングテープに引き剥がす力が意図せずに加わったときに、最初の小片が剥がれると、その後の小片も連続して剥がれてしまい、意図しないファスニングテープの剥がれを効果的に防止することはできない。
特許文献2の技術は、トイレ等の狭い空間内で場所をとらずにファスニングテープを剥がせるようにする技術であり、意図しないファスニングテープの剥がれを効果的に防止することはできない。
特許文献3,4の技術は、剥離初期におけるフックテープ部材の接着面積が小さく、十分な初期係合力が得られないため意図しないファスニングテープの剥がれを効果的に防止することはできない。
【0006】
従って、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、肌当接面側に表面シート、非肌当接面側に裏面シート、前記表面シートと裏面シートの間に吸収体を配置した縦長の吸収性本体を有し、該吸収性本体は、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部、背側に位置する背側部、及び該腹側部と該背側部との間に配置される股下部を有し、該吸収性本体の背側部の左右両側には一対のファスニングテープを有し、腹側部の非肌当接面側に、ファスニングテープを止着する被止着領域を有する使い捨ておむつであって、前記ファスニングテープは、テープ基材と、該テープ基材の片面に固定されて止着部を形成するフック部材とを有しており、前記フック部材に、吸収性本体長手方向に配向したスリットが形成されており、該フック部材の、吸収性本体長手方向における前後両端部に、前記スリットが延在していない非スリット部を有する使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の使い捨ておむつによれば、剥がし始めは比較的強い力を要し、剥がし始めると相対的に低い力で無理なく剥がせるということを達成することで、装着中の衝撃などで意図しないファスニングテープの剥がれを効果的に防止することができると共に、おむつの締めなおしなど意図的にファスニングテープを剥がすことも容易である。
特に、スリットの長手方向の両端が、フック部材の同方向の両端に達していないため、フック部材をひとつの部材として扱うことができ、フック材自体の強度も維持できるとともに後述する様々なメルトパターンの応用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態としての使い捨ておむつの斜視図である。
図2図2は、図1に示す使い捨ておむつを平面状に拡げた展開状態を示す一部破断平面図である。
図3図3は、図1に示すおむつのファスニングテープ及びその近傍を拡大して示す斜視図である。
図4図4は、図2のII−II線断面図である。
図5図5は、図1に示す使い捨ておむつの作用効果を説明する説明図である。
図6図6は、本発明におけるスリットの形成態様の例を示す斜視図である。
図7図7は、本発明における接着領域及び非接着領域の形成態様の例を示す斜視図である。
図8図8は、本発明における強接着領域及び弱接着領域の形成態様の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の使い捨ておむつをその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態としての使い捨ておむつ1(以下、おむつ1という)は、図1及び図2に示すように、いわゆる展開型のおむつであり、肌当接面側に表面シート2、非肌当接面側に裏面シート3、前記表面シートと裏面シートの間に吸収体4を配置した縦長の吸収性本体5を有し、該吸収性本体5は、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部A、背側に位置する背側部B、及び該腹側部1Aと該背側部1Bとの間に配置される股下部Cを有している。そして、吸収性本体5の背側部Bの左右両側には一対のファスニングテープ6,6を有し、腹側部Aの非肌当接面側に、ファスニングテープを止着する被止着領域91を有している。
尚、使い捨ておむつ1は、図1に示すように平面状に拡げた状態において、吸収性本体5と同方向に長い形状を有している。本明細書において、吸収性本体長手方向Xは、おむつを平面状に拡げた状態において、吸収性本体5の長手方向に沿う方向であり、吸収性本体幅方向Yは、おむつを平面状に拡げた状態において、吸収性本体5の幅方向に沿う方向である。
【0011】
おむつ1について、より詳細に説明すると、吸収性本体5は、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の裏面シート3及びこれら両シート間に介在された液保持性の吸収体4からなる基本構造を有しており、更に、弾性部材71を有する立体ガード形成用シート7,7が左右両側部に配され、着用時には、立体ガード形成用シート7,7の内側縁側が起立して立体ガードが形成される。
【0012】
おむつ1は、吸収性本体長手方向に延びる中央線CLの左右両側が線対称の構造を有するため、以下においては、図2の右側のファスニングテープ6について説明するが、左側のファスニングテープ6も、左右対称とする以外は同一の構成を有することが好ましい。
【0013】
おむつ1におけるファスニングテープ6は、図3及び図4に示すように、テープ基材62と、該テープ基材62の片面に固定されたフック部材63とからなる。フック部材63は、ファスニングテープ6の止着部61を形成している。
テープ基材62は、吸収性本体5を構成するシート間に固定された部分62Aと、吸収性本体5の背側部Bにおける側縁から延出して、ファスニングテープ6の一部を構成している部分とを有している。
【0014】
フック部材63は、図4に示すように、シート状のベースシート64と、該ベースシート64の表面から起立する多数の係合突起65,65・・・とからなる。このようなフッ
ク部材63としては、例えば錨形や鉤形の係合突起を有するもの等を用いることができる。フック部材63としては、公知の機械的面ファスナーのオス部材を用いることもでき、例えば「マジックテープ(登録商標)」(クラレ社製)、「クイックロン(登録商標)」(YKK社製)、「マジクロス(登録商標)」(カネボウベルタッチ社製)等におけるオス部材等を用いることができる。
また、ランディングテープ91は、フック部材の係合突起に係合可能な表面構造を有するループ材からなり、腹側部1Aにおけるランディングテープ91からなる外面が、ファスニングテープ6、より具体的にはファスニングテープ6の止着部61を脱着自在に止着する被止着領域9となっている。このようなループ材としては、フック部材を押しつけることにより、フック部材を止着可能なものを特に制限なく用いることができる。ループ材としては、公知の機械的面ファスナーのメス部材を用いることができ、例えば上述した各種公知の機械的面ファスナーにおけるメス部材を用いることができる。また、腹側部Aの外表面を、フック部材の係合突起を直接係合可能な材料、例えば係合性に富む不織布から構成することにより、これをループ材として用いることもできる。
【0015】
本実施形態のおむつ1におけるフック部材63には、図3及び図4に示すように、吸収性本体長手方向Xに配向したスリット66が複数本形成されており、それぞれのスリット66の長手方向の両端66eは、フック部材63の同方向Xの両端63e,63eに達していない。つまり、フック部材63の、吸収性本体長手方向Xにおける前後両端部には、スリット66が延在していない非スリット部66fが形成されている。
【0016】
本実施形態のおむつ1によれば、図1及び図5(a)に示すように、ファスニングテープ6が、被止着領域9に止着されている状態において、図5(b)に示すように、該ファスニングテープ6の先端6a側に、ファスニングテープを引き剥がす力が加わったときに、フック部材63における、スリット66に挟まれた個々のスリット間領域67が、個別に被止着領域9からの剥離に対する抵抗力を発現し、1つのスリット間領域67が、被止着領域9から剥離しても、それより基端6b側のスリット間領域67が連続的に被止着領域9から剥離することが防止される。これに対して、特許文献1のように、フック部材の小片を、小片間に隙間を設けて、止着部を構成した場合には、先端6a側の最初の小片が被止着領域9から剥がれると、その後の小片も連続して剥がれてしまう。
このような作用により、本実施形態の使い捨ておむつによれば、意図しないファスニングテープ6の剥がれを効果的に防止することができる。また、フック部材63として用いた部材自体の係合力を高めて剥離抵抗性を高めたのではないため、強い係合力に頼ることなく、無理のない力で剥がすことができる。
【0017】
このような効果が、一層確実に奏されるようにする観点から、スリット66の幅は、1mm未満であることが好ましく、より好ましくはスリットの幅はゼロである。スリットの幅はゼロとは、スリットを挟む両側部分が突き合わせた状態に接していることを意味する。つまり、フィルムをカッターナイフで切ったときの切り口線のようにスリットを通して裏面側が透けて見えないような状態が好ましい。
【0018】
また、本実施形態のおむつ1においては、前述した通り、スリット66の長手方向の両端が、フック部材63の同方向の両端に達しておらず、フック部材63の、吸収性本体長手方向Xにおける前後両端部に非スリット部66fが形成されている。そのため、フック部材を剥がす時にフック部材をひとつの部材として扱うことができ、フック材自体の強度も維持できるとともに後述する様々なメルトパターンの応用が可能となる。剥がす際には、スリット両端部が剥がれ始めの基点となり、スムーズに剥がすことができる。
このような効果が、一層確実に奏されるようにする観点から、スリット66の両端66eそれぞれからその延長線上にあるフック部材の端部63eまでの距離d(非スリット部66f、図3参照)は、下限値は2mm以上、好ましくは3mm以上、上限値は15mm以下、好ましくは5mm以下である。
【0019】
また、本実施形態のおむつ1におけるフック部材63は、図4に示すように、テープ基材62と接着剤を介して接着された接着領域A、及び接着領域A,Aどうし間に位置し、テープ基材62と接着されていない非接着領域Nを有している。おむつ1におけるフック部材63におけるフック部材63のテープ基材62に対する接着態様は、図4および図7(e)に示す態様であり、幅方向両端部に2本, さらに中央部に位置するするスリット間領域67に1本の吸収性本体長手方向に長い形状を有する接着領域を有している。また図5に示すようにスリット間に位置する領域67の接着領域は非接着領域により挟まれて位置している。
【0020】
ファスニング材をループ材から剥がす際に、非接着領域があると、非接着領域がない場合と比べて、相対的に大きな剥離力を要するので、意図せずに剥がれてしまうことを防止することができる。これは、剥がす際に、非接着領域にてファスニング材が引っ張られる方に弛みながら剥がれる為、剥がそうとする力が弛みで分散されてファスニング材とループ材の係合が外れにくく感じるのではと思われる。また、装着中に係合部に力が加わっても、かかる力は弛みである程度吸収されるので、誤って外れてしまうこともない。
そのため、スリット66に挟まれた個々のスリット間領域67が、個別に被止着領域9からの剥離に対する抵抗力を発現し、ファスニング部が何かに引っ掛って弱い力でも剥がれてしまうと言った意図しないファスニングテープ6の剥がれが一層効果的に防止される。
【0021】
次に本発明の他の実施形態について、図6図8を参照して説明する。
図6(a)に示すように、スリット66は、フック部材63に一本のみ形成されていても良い。但し、図6(b)〜図6(g)に示すように、複数本形成されていることが、意図しない剥がれを防止する点から好ましい。
また、スリットは直線状であることが好ましいが、例えば、図6(e)に示すようにジグザク状であっても良い。
また、複数本のスリット66を形成する場合、それら複数のスリット66は、図6(d)及び図6(e)に示すように、それぞれの長さが、ファスニングテープの基端側から先端側に向かって徐々に短くなっていることが、剥がし始めは比較的大きな力で剥がし、基端側に向かうにつれて、スリット長さが長くなるので、基端部ほど比較的弱い力でも剥がせるようになることから、装着中何かの衝撃で誤って剥がれてしまうことが抑えられ、意図したときに力を加えて、剥がれ始めるとスムーズに剥がし易いことから好ましい。図6図8の各図においては、右側がファスニングテープの先端6a側、左側がファスニングテープの基端6b側である。スリットの長さは、吸収性本体長手方向に配向した複数のスリットそれぞれのスリットの長手方向の長さである。
【0022】
また、複数本、特に3本以上のスリット66を形成する場合、図6(f)及び図6(g)に示すように、それらのスリットは、スリット間の間隔を異ならせて形成しても良い。特に、図6(g)に示すように、ファスニングテープの基端側から先端側にむかって間隔が狭くなるように形成することが意図的に剥がすことの容易さの点から好ましい。
【0023】
また、フック部材63は、図7(a)〜図7(f)に示すように、テープ基材と接着された接着領域A、及び接着領域どうし間に位置し、該テープ基材と接着されていない非接着領域Nを有していることが、十分な係合力の発現の点から好ましい。図7においては、ドットを付けた棒状体が接着剤を意味し、該接着剤の上に位置する部分が接着領域Aであり、該接着剤の上に位置しない部分が非接着領域Nである。図7(e)は、上述したおむつ1における、フック部材63のテープ基材62に対する接合態様である。
【0024】
フック部材63に、テープ基材と接着された接着領域Aと、テープ基材に接着されていない非接着領域Nを形成する場合、図7(a)、図7(b)に示すように、接着領域Aを、フック部材63の吸収性本体長手方向Xの両端部に形成することが、吸収性本体長手方向Xにおける接着領域Aどうし間に位置する部分が、ファスニングテープを引き剥がす力が加わった際に、被止着領域9側に向かって凸状に変形して、個々のスリット間領域67が個別に優れた剥離抵抗性を示し、意図しないファスニングテープの剥がれが一層確実に防止される点から好ましい。接着領域Aが、フック部材63の吸収性本体長手方向X又は吸収性本体幅方向Yの両端部に形成されているという表現には、フック部材63の同方向の端部に、ドライエッジ等と呼ばれる幅が2mm以下の微小な非接着領域を有する場合も含まれる。
【0025】
また、例えば、図8(a)、図8(b)及び図8(d)に示すように、フック部材63は、テープ基材と接着された接着領域Aとして、テープ基材に強固に接着された強接着領域A1と、該強接着領域に比して弱く接着された弱接着領域A2を有することも、意図しないファスニングテープの剥がれを防止する点から好ましい。
また、その場合、図8(a)に示すように、強接着領域A1が、フック部材63の吸収性本体幅方向Yの両端部に形成された幅方向強接着領域を有していることが、意図しないファスニングテープの剥がれを防止する点から一層好ましい。他方、図8(b)に示すように、強接着領域A1が、フック部材63の吸収性本体長手方向Xの両端部に形成された長手方向強接着領域を有していることが、意図的に剥がすことの容易さの点から一層好ましい。さらに図8(d)に示すように、吸収性本体幅方向Yの両端部及び吸収性本体長手方向Xの両端部に形成された強接着領域A2を有していることが、意図的に剥がすことの容易さの点から一層好ましい。
【0026】
また、図8(c)に示すように、強接着領域A1が、フック部材の吸収性本体長手方向Xの両端部に形成される一方、弱接着領域A2が、強接着領域A1,A1間に形成されており、その弱接着領域A2の接着力が、ファスニングテープの先端側から基端側に向かって漸減していることも、意図的に剥がすことの容易さの点から一層好ましい。
【0027】
また、上述した何れの実施形態についても、スリット66は、フック部材63のみに形成されていても良いが、それぞれのスリット66を、フック部材63及びテープ基材62の全体を貫通する、あるいはテープ基材の厚み方向途中まで形成するように一体的に形成することもできる。スリット66が、フック部材63のみならずテープ基材62にも亘っている形態は、製造時においてフック部材とテープ部材を接着してからのスリットの導入を可能にする点から好ましい。
【0028】
おむつ1における各部の形成材料について説明すると、表面シート2、裏面シート3、吸収体4、立体ガード形成用シート7の形成材料としては、従来の使い捨ておむつにおいて、それぞれ材料として用いられている各種公知の材料等を、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、不織布や開孔フィルム等の各種液透過性のシート材を用いることができ、裏面シート3としては、透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等を用いることができ、吸収体4としては、解繊パルプ等の親水性繊維からなる繊維集合体又はこれに高吸収性ポリマーを保持させたもの等を用いることができる。
【0029】
テープ基材62の形成材料としては、ポリエチレンや、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等などの合成樹脂、及びこれら合成樹脂2種以上の複合材料からなるシートや不織布等を用いることができる。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【0031】
上述した実施形態に関し、さらに以下の使い捨ておむつを開示する。
<1>肌当接面側に表面シート、非肌当接面側に裏面シート、前記表面シートと裏面シートの間に吸収体を配置した縦長の吸収性本体を有し、該吸収性本体は、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部、背側に位置する背側部、及び該腹側部と該背側部との間に配置される股下部を有し、該吸収性本体の背側部の左右両側には一対のファスニングテープを有し、腹側部の非肌当接面側に、ファスニングテープを止着する被止着領域を有する使い捨ておむつであって、
前記ファスニングテープは、テープ基材と、該テープ基材の片面に固定されて止着部を形成するフック部材とを有しており、前記フック部材に、吸収性本体長手方向に配向したスリットが形成されており、該フック部材の、吸収性本体長手方向における前後両端部に、前記スリットが延在していない非スリット部を有する使い捨ておむつ。
<2>前記スリットが、吸収性本体幅方向に間隔を設けて複数本形成されている、前記<1>記載の使い捨ておむつ。
<3>複数の前記スリットは、それぞれの長さが、前記ファスニングテープの基端側から先端側に向かって徐々に短くなるように形成されている、前記<2>記載の使い捨ておむつ。
<4>複数の前記スリットは、前記ファスニングテープの基端側から先端側にむかって間隔が狭くなるように形成されている、前記<2>又は<3>記載の使い捨ておむつ。
<5>前記フック部材は、前記テープ基材と接着された接着領域、及び該接着領域どうし間に位置し、該テープ基材と接着されていない非接着領域を有している、前記<1>〜<4>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<6>前記接着領域が、前記フック部材の吸収性本体長手方向及び吸収性本体幅方向の少なくとも一方の両端部に形成されている、前記<5>記載の使い捨ておむつ。
<7>前記接着領域が、前記フック部材の吸収性本体幅方向の両端部に形成されており且つ少なくとも一箇所以上の前記スリット間に形成されている、前記<5>記載の使い捨ておむつ。
<8>前記フック部材は、前記テープ基材と接着された接着領域として、該テープ基材に強固に接着された強接着領域と、該強接着領域に比して弱く接着された弱接着領域を有している、前記<1>〜<7>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<9>前記強接着領域が、前記フック部材の吸収性本体幅方向の両端部に形成された幅方向強接着領域を有している、前記<8>記載の使い捨ておむつ。
<10>前記強接着領域が、前記フック部材の吸収性本体長手方向の両端部に形成された長手方向強接着領域を有し、前記弱接着領域が、該長手方向強接着領域間に形成されており、且つ前記弱接着領域の接着力が、ファスニングテープの先端側から基端側に向かって漸減している、前記<8>又は<9>記載の使い捨ておむつ。
<11>前記スリットが、前記フック部材及び前記テープ基材に一体的に形成されている、前記<1>〜<10>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<12>前記スリットは、前記フック部材及びテープ基材の全体を貫通するか又は該フック部材を貫通してテープ基材の厚み方向の途中まで達するように一体的に形成されている前記<1>〜<11>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<13>前記ファスニングテープに形成されたフック部材は、シート状のベースシートと、該ベースシートの表面から起立する多数の係合突起とからなり、このようなフック部材は、錨形又は鉤形の係合突起である前記<1>〜<12>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<14>前記スリットの幅は、1mm未満であり、好ましくはスリットの幅はゼロである前記<1>〜<13>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<15>前記スリットを挟む両側部分が突き合わせた状態に接している前記<1>〜<14>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<16>前記スリットの両端それぞれからその延長線上にあるフック部材の端部までの距離dは、2〜15mmであり、より好ましくは3〜5mmである前記<1>〜<15>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<17>前記フック部材に形成されたスリットは直線状又はジグザク状である前記<1>〜<16>の何れか1に記載の使い捨ておむつ
<18>前記接着領域が、フック部材の吸収性本体長手方向又は幅方向の両端部に形成されて、フック部材の前記何れかの方向の端部に、ドライエッジとして幅が2mm以下の微小な非接着領域を有する前記<1>〜<17>何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<19>前記表面シートは、不織布や開孔フィルム等の液透過性のシート材を用いる前記<1>〜<18>の何れか記載の使い捨ておむつ。
<20>前記裏面シートは、透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体を用いる前記<1>〜<19>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<21>前記吸収体は、解繊パルプ等の親水性繊維からなる繊維集合体又はこれに高吸収性ポリマーを保持させたものを用いる前記<1>〜<20>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【符号の説明】
【0032】
1 使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 本体
6 ファスニングテープ
61 止着部
62 テープ基材
63 フック部材
64 ベースシート
65 係合突起
66 スリット
66e スリットの長手方向の端部
66f 非スリット部
67 スリット間領域
71 弾性部材
9 被止着領域
91 ランディングテープ
A 接着領域
N 非接着領域
A1 強接着領域
A2 弱接着領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8