(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0037】
<検体分析装置の構成>
図1は、本実施の形態に係る検体分析装置の外観構成を示す斜視図であり、
図2は、検体分析装置の構成を示す平面図である。検体分析装置1は、検体(血漿)に試薬を添加することで調製された測定試料に光を照射して、凝固法、合成基質法、免疫比濁法及び凝集法を用いて、検体の光学的な測定及び分析を行う血液凝固分析装置である。
【0038】
この検体分析装置1は、
図1に示すように、検体(血漿)に含まれる成分を光学的に測定する測定機構部2と、測定機構部2に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御装置3とを備えている。制御装置3は、制御部3aと、表示部3bと、キーボード及びマウスからなる入力部3cとから主として構成されたコンピュータによって構成されている。制御装置3は、操作入力に基づいて検体の分析動作の開始、終了指示などを測定機構部2に送信し、測定機構部2からの駆動停止報告及びエラー報告などの各種報告並びに分析結果などを受信する機能を有する。また、制御装置3は、受信したエラー報告及び測定機構部2による検出値に基づいて得られる分析結果などを表示部3bに表示する機能を有する。
【0039】
図2に示すように、測定機構部2は、検体搬送部(サンプラ)4と、第1検体分注アーム5と、第2検体分注アーム6と、キュベット(反応容器)設置部7及び試薬設置部8と、試薬分注アーム9、10及び11と、反応部13と、検出部14と、キュベット供給部15と、キャッチャユニット16、17及び18とを備える。また、測定機構部2は、RO水を貯留するRO水タンク210に接続されている。
【0040】
検体搬送部4は、ラック貯留部41と、ラック搬送部42と、ラック回収部43とを備えている。ラック貯留部41は、検体を収容した複数の検体容器100が載置されたラック110(
図1参照)を貯留し、ラック搬送部42にラック110を送り出す機能を有する。ラック搬送部42は、ラック貯留部41とラック回収部43とに渡ってX方向に延びるように設けられる。ラック搬送部42は、図示しない搬送機構を駆動することによって、ラック110に載置された分析対象(分注対象)の検体容器100を、第1検体分注アーム5による検体吸引位置300及び第2検体分注アーム6による検体吸引位置400に搬送することが可能である。また、ラック回収部43は、分注が終了した検体容器100を保持するラック110をラック搬送部42から回収する機能を有する。
【0041】
また、ラック搬送部42には、ピアサー洗浄部48が設けられている。ピアサー洗浄部48は、ラック搬送部42の検体吸引位置300の上方の位置(
図4参照)に設けられている。ピアサー洗浄部48は、上下(Z方向)に貫通する吸引管通路48aを有し、第1検体分注アーム5の後述するピアサー5b(
図4乃至
図6参照)が検体容器100から検体の吸引を行う際に、この吸引管通路48aを通過するように構成されている。ピアサー洗浄部48は、RO水タンク210に接続されており、吸引管通路48aをピアサー5bが通過する際に内部で洗浄液(RO水)を吐出及び吸引してピアサー5bの洗浄を行う機能を有する。また、ピアサー洗浄部48は、上下に移動可能に設けられている。ピアサー洗浄部48は、制御部3aが図示しないモータを駆動することによって昇降する。ピアサー洗浄部48は、このように上下移動可能であることにより、検体容器100の蓋101を下向きに押さえつける機能も有している。
【0042】
また、測定機構部2のキュベット設置部7の前方には、ピアサー5bを洗浄するためのピアサー洗浄部49が設けられている。このピアサー洗浄部49には、上下(Z方向)に貫通する吸引管通路49aが設けられており、第1検体分注アーム5のピアサー5bが下降することにより吸引管通路49aに挿入可能となっている。ピアサー洗浄部49は、RO水タンク210に接続されており、吸引管通路49aにピアサー5bが挿入された状態で洗浄液(RO水)を吐出及び吸引してピアサー5bの洗浄を行う機能を有する。
【0043】
また、本実施形態では、第1検体分注アーム5は、アーム部5aと、吸引管であるピアサー5bと、本体部5cとを有し、検体搬送部4により検体吸引位置300に搬送された検体容器100内の検体を吸引し、キュベット設置部7に設置されたキュベット150に所定量の検体を吐出する機能を有している。なお、第1検体分注アーム5の詳細な構造は、後述する。
【0044】
また、第2検体分注アーム6は、アーム部6a、吸引管であるピペット6b及び本体部6cを有し、検体搬送部4により検体吸引位置400に搬送された検体容器100内の検体を吸引し、キュベット設置部7に設置されたキュベット150に所定量の検体を吐出する機能を有している。ピペット6bは、ピアサー5bとは異なり、下端縁が水平に形成された(尖鋭に形成されていない)管である。ピペット6bは、上述したRO水タンク210と接続されており、洗浄液として使用されるRO水がピペット6bに供給可能となっている。
【0045】
試薬設置部8は、測定に用いられる各種の試薬及び希釈液などを収容した試薬容器を設置するために設けられている。
【0046】
試薬分注アーム9、10及び11は、それぞれ、試薬設置部8に設置された試薬容器(図示せず)内の試薬を吸引して、キュベット設置部7に設置されたキュベット150に対して、所定の試薬を吐出(分注)する機能を有する。試薬分注アーム9、10及び11は、それぞれ、アーム部9a、10a及び11aと、吸引管であるピペット9b、10b及び11bと、本体部9c、10c及び11cとを有する。試薬分注アーム9(10、11)は、それぞれ、本体部9c(10c、11c)によりアーム部9a(10a、11a)を旋回させ、ピペット9b(10b、11b)を試薬容器の上方及びキュベット150の上方に位置づけ、本体部9c(10c、11c)によりアーム部9a(10a、11a)を昇降させてピペット9b(10b、11b)から試薬の吸引及び吐出動作を行うように構成されている。
【0047】
反応部13は、キャッチャユニット17の周囲を取り囲むように円環形状に形成され、複数のキュベット150を保持可能に構成されている。反応部13は、セットされたキュベット150を加温する機能を有している。すなわち、反応部13において、キュベット150に収容された検体と試薬との混合試料が加温され、キュベット150内の検体と各種試薬との反応が促進される。
【0048】
検出部14は、反応部13において検体と各種試薬との反応が行われた後の測定試料に対して光学的測定を行うことにより、測定試料に含まれる成分を反映した光学的情報を検出する機能を有する。
【0049】
キュベット供給部15は、複数のキュベット150を収納可能に構成されており、キュベット貯留部15aにキュベット150を順次供給することが可能なように構成されている。ここで、キュベット供給部15に収容されている複数のキュベット150は、それぞれ同一の形状をしている。また、キュベット150は、有底で略円筒形状をなしている。キュベット150の上端部には、後述するキャッチャユニット16、17、18により搬送される際に把持されるフランジを有している。
【0050】
キャッチャユニット16、17及び18は、それぞれ、キュベット150を把持して搬送する機能を有する。キャッチャユニット17は、キュベット貯留部15aからキュベット150を取り出してキュベット設置部7にセットし、キュベット設置部7から反応部13にキュベットを搬送する機能を有する。また、キャッチャユニット18は、反応部13から検出部14にキュベット150を搬送する機能を有する。キャッチャユニット17及びキャッチャユニット18は、それぞれ、廃棄口19a及び廃棄口19bに使用済みのキュベット150を廃棄する機能を有する。
【0051】
図3は、測定機構部の制御部の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、測定機構部2は、主制御部20と、各機構(第1検体分注アーム5などの各種分注アーム、反応部13、試薬設置部8、キャッチャユニット16〜18など)の動作制御を行うための副制御部(
図3では、第1検体分注アーム5の副制御部80のみ図示している)を備えている。各種分注アーム、反応部13、キュベット設置部7、試薬設置部8及びキャッチャユニット16〜18などの各機構は、主制御部20からの駆動指令に基づいて、それぞれの副制御部により制御されている。また、検体搬送部4も主制御部20によって制御されるように構成されている。
【0052】
主制御部20は、
図3に示すように、CPU21及びメモリ22を備えている。主制御部20は、制御装置3に接続されており、検体の光学的な情報(測定データ)を制御装置3に送信し、制御装置3の制御部3a(
図1参照)からの信号を受信するための機能を有している。また、主制御部20は、検体搬送部4及び測定機構部2の各部に対して、CPU21により駆動命令を送信し、各部の駆動停止報告及びエラー報告を受信する機能を有する。受信した各部の駆動停止報告及びエラー報告は、主制御部20から制御装置3に送信されるように構成されている。
【0053】
次に、本実施形態による第1検体分注アーム5の構造について詳細に説明する。また、第1検体分注アーム5の副制御部80についても併せて説明する。なお、本実施形態では、第1検体分注アーム5の副制御部80についてのみ説明し、他の副制御部についての説明は省略する。
【0054】
図4は、第1検体分注アームの構成を示す側面図であり、
図5は、その背面図であり、
図6は、その平面図である。第1検体分注アーム5は、
図2に示すように、本体部5cによりアーム部5aを旋回駆動させることにより検体吸引位置300の上方にピアサー5bを配置した後、
図4に示すように、本体部5cによりアーム部5aを下降させることにより、検体吸引位置300に配置された検体容器100にピアサー5bを挿入して検体の吸引を行うように構成されている。また、第1検体分注アーム5は、アーム部5aを上昇させて検体容器100からピアサー5bを抜き出し、アーム部5aを旋回させてキュベット設置部7に設置されたキュベット150の上方の分注位置にピアサー5bを位置づけ、所定量の検体を吐出するように構成されている。
【0055】
図4乃至
図6に示すように、アーム部5aは、軸部51と、支持部材52と、ガイド部53とを備えている。アーム部5aは、本体部5cのθ駆動モータ72a及びZ駆動モータ73aによって、軸部51と、支持部材52と、ガイド部53とを含む全体が旋回(回動)及び昇降するように構成されている。軸部51は、上端に支持部材52が固定されており、本体部5cに軸周りの回転及び昇降可能に支持されている。
【0056】
支持部材52は、水平方向に延びる金属板からなる略U字状(
図5参照)の断面を有するフレームであり、根本部(矢印A2方向側)で軸部51の上端に取り付けられている。支持部材52の先端(矢印A1方向側)には、ピアサー5bが下方に延びるようにして、支持部材52に対して上方に相対移動可能に取り付けられている。また、
図6に示すように、支持部材52には、第1検体分注アーム5の副制御部80(
図3参照)を備えた制御基板54が設置されている。この制御基板54には、発光部と受光部とを有する光学式の衝突センサ55が設けられている。衝突センサ55は、後述するように、ピアサー5bとともに移動する被検知部材65の検知片65aを検知することにより、支持部材52に対するピアサー5bの上昇を検知するように構成されている。また、制御基板54には、ピアサー5bを電極として用いた静電容量式の液面センサ56(
図3参照)が設けられており、ピアサー5bの先端が液面に接触したことを検知することが可能に構成されている。
【0057】
図4に示すように、ガイド部53は、支持部材52の下方に配置され、支持部材52と平行に設けられている。ガイド部53は、根本部が軸部51に固定的に取り付けられている。また、ガイド部53の先端には、上下方向(Z方向)の貫通孔を有するピペットガイド53aが設けられており、ピアサー5bが挿入された状態で取り付けられている。これにより、ピアサー5bが下方(矢印Z2方向)に向けてガイドされるように構成されている。
【0058】
ピアサー5bは、金属製の管部材であり、支持部材52から下方に向けて取り付けられている。また、ピアサー5bは、先端(下端)が検体容器100の蓋101を貫通することが可能なように尖鋭に形成されている。また、ピアサー5bは、支持部材52の先端に設けられた保持部材61によって垂下するように保持されている。かかるピアサー5bは、チューブを介してシリンジユニット74(
図4参照)に接続されている。これにより、ピアサー5bの先端から検体の吸引及び吐出を行うことが可能である。
【0059】
また、支持部材52には、被検知部材65が取り付けられている。被検知部材65は、衝突センサ55が設けられた制御基板54と対向する(
図6参照)ように配置されている。この被検知部材65には、対向する衝突センサ55側に延びるように形成された検知片65aが一体的に設けられている。そして、ピアサー5bが障害物と衝突した場合に、検知片65aが上方へ移動して衝突センサ55を遮光し、これによりピアサー5bの衝突が検知されるように構成されている。
【0060】
図4及び
図5に示すように、軸部51の側面には板状の被検知部材57aが突設されている。
図2に示すように、測定機構部2は、第1検体分注ユニット5の本体部51の近傍の位置に原点センサ57を有している。原点センサ57は、発光部と受光部とを有する光学式センサである。アーム部5aが旋回して所定の原点位置500(
図2参照)に到達すると被検知部材57aが原点センサ57を遮光する。これにより、ピアサー5bが原点位置500に到達したことが検知される。また、被検知部材57aは幅広の板状をなしている。このため、アーム部5aのある程度の旋回範囲において原点センサ57が被検知部材57aにより遮光され、この旋回範囲の中には、原点位置500及び検体吸引位置300が含まれる。したがって、ピアサー5bが検体吸引位置300にあるときにも、原点センサ57は遮光されている。即ち、原点センサ57が遮光されていないことによって、ピアサー5bが検体吸引位置300及び原点位置500にないことが検知される。
【0061】
図4及び
図5に示すように、本体部5cは、軸部51を回転及び昇降可能に支持するシャーシ部71と、軸部51(アーム部5a)を回動させるための回動機構部72と、軸部51(アーム部5a)を昇降させるための昇降機構部73と、ピアサー5bから検体の吸引及び吐出を行うためのシリンジユニット74とを備えている。シャーシ部71は、軸部51を回転可能、かつ、上下移動可能に支持している。
【0062】
回動機構部72は、ステッピングモータからなるθ駆動モータ72aと、θ駆動モータ72aの回転位置を検出するθエンコーダ72bとを有する。また、
図5及び
図6に示すように、軸部51及びθ駆動モータ72aの出力軸には、それぞれプーリ72c及び72dが取り付けられており、θ駆動モータ72aによってアーム部5aを軸部51周りに旋回させるように構成されている。
【0063】
図4に示すように、昇降機構部73は、ステッピングモータからなるZ駆動モータ73aと、Z駆動モータ73aの回転位置を検出するZエンコーダ73bとを有する。また、Z駆動モータ73aの出力軸には複数のプーリ及び駆動ベルトからなる動力伝達機構73cが取り付けられており、Z駆動モータ73aによって、アーム部5a(ピアサー5b)を上下に昇降させるように構成されている。
【0064】
シリンジユニット74は、シリンジ74a及びプランジャー74bと、プランジャー74bを進退させるためのシリンジモータ74cとを有している。シリンジ74aには図示しないチューブが接続され、軸部51内を通ってピアサー5bと連通している。また、シリンジユニット74には、シリンジモータ74cとプランジャー74bとが複数のプーリ及び駆動ベルトからなる動力伝達機構74dに接続されている。これにより、シリンジモータ74cの駆動により、シリンジ74aに対してプランジャー74bを進退させ、ピアサー5bから検体の吸引及び吐出を行うことが可能である。また、シリンジユニット74は、RO水タンク210に接続されており、洗浄液として使用されるRO水をピアサー5bに供給することが可能である。
【0065】
図3に示すように、第1検体分注アーム5の副制御部80は、通信回路81と、Zモータ制御回路82と、θモータ制御回路84と、シリンジユニット制御回路85と、エンコーダ入出力回路86とを備えている。
【0066】
通信回路81は、主制御部20と通信を行い、分析動作に伴う第1検体分注アーム5の駆動命令(Z方向の駆動命令、旋回(θ)方向の駆動命令、シリンジユニット74の駆動命令)を主制御部20のCPU21から受信し、第1検体分注アーム5の駆動停止報告及びエラー報告を主制御部20に送信する機能を有する。また、通信回路81は、受信した駆動命令を、Zモータ制御回路82と、θモータ制御回路84と、シリンジユニット制御回路85とにそれぞれ出力する。
【0067】
Zモータ制御回路82は、Z方向の駆動命令に応じたパルス信号をZ駆動モータ73aに出力して、Z駆動モータ73aによるアーム部5a(ピアサー5b)上下方向の昇降動作を制御する機能を有する。また、Zモータ制御回路82は、アーム部5aのZ方向の原点位置(上限位置)を検知するための原点センサ87、衝突センサ55及び液面センサ56のそれぞれからリミット信号(検知信号)を受け取るように構成されている。そして、Z駆動モータ73aの駆動中にこのリミット信号(検知信号)が入力されると、Zモータ制御回路82は、Z駆動モータ73aへのパルス信号の出力を停止する。この結果、Z駆動モータ73aの駆動が停止される。
【0068】
なお、副制御部80は、FPGA (Field Programmable
Gate Array)で構成されている。Zモータ制御回路82はFPGAにより構築されたハード回路であり、リミット信号がラッチされると瞬時にパルス信号の出力を停止する。そのため、Z駆動モータ73aの駆動停止は主制御部20の判断を待たずに行われ、Z駆動モータ73aの駆動が停止したことを報告する駆動停止報告のみが主制御部20に送られる。
【0069】
θモータ制御回路84は、旋回(θ)方向の駆動命令に応じたパルス信号をθ駆動モータ72aに出力して、θ駆動モータ72aによるアーム部5aの旋回(軸部51の軸周りの回動)動作を制御する機能を有する。また、θモータ制御回路84は、アーム部5aのθ方向の原点位置500を検知するための原点センサ57からリミット信号(検知信号)を受け取るように構成されている。そして、θ駆動モータ72aの駆動中にこのリミット信号(検知信号)が入力されると、θモータ制御回路84は、θ駆動モータ72aへのパルス信号の出力を停止する。この結果、θ駆動モータ72aの駆動が停止される。
【0070】
シリンジユニット制御回路85は、シリンジユニット74の駆動命令(吸引又は吐出)に応じてシリンジモータ74cの駆動動作を制御する機能を有する。
【0071】
エンコーダ入出力回路86は、Zエンコーダ73bからの出力信号(Z駆動モータ73aの回転位置情報)及びθエンコーダ72bからの出力信号(θ駆動モータ72aの回転位置情報)を受け取り、通信回路81を介して主制御部20に出力する機能を有する。これにより、アーム部5aが主制御部20からの駆動指令の通りに移動(上下方向及び旋回方向の移動)したことを確認し、ピアサー5bを正確に検体吸引位置300の上方に位置づけることが可能である。
【0072】
<検体分析装置の動作>
次に、本実施の形態に係る検体分析装置1の動作について説明する。本実施の形態に係る検体分析装置1の主制御部20は、ピアサー5bの交換の際に、以下に説明するようなピアサー交換準備処理及びピアサー交換後調整処理を実行する。
図7は、本実施の形態に係る検体分析装置1のピアサー交換準備処理の手順を示すフローチャートである。ピアサー交換準備処理は、測定機構部2をユーザによるピアサー交換作業が可能な状態に移行させるための処理である。
【0073】
ピアサー5bを交換する場合、ユーザは制御装置3の入力部3cを操作して、ピアサー交換の指示を検体分析装置1に与える。制御部3aのCPUは、ピアサー交換指示を受け付けると(S101)、表示部3bに確認ダイアログを表示させる(S102)。
【0074】
図8は、確認ダイアログを示す図である。確認ダイアログD1には、ピアサーを交換位置に移動すること、及びピアサーを交換位置に移動した後、検体分析装置1の電源をオフにする必要があることをユーザに通知するためのメッセージ情報が含まれている。また、かかる確認ダイアログD1には、入力部3cにより選択可能な実行ボタンB11及びキャンセルボタンB12が設けられている。
【0075】
制御部3aのCPUは、ユーザから実行指示が与えられたか否かを判別する(S103)。ユーザから実行指示を受け付けていない場合には(S103においてNO)、制御部3aのCPUは、ピアサー交換準備処理のキャンセル指示を受け付けたか否かを判別する(S104)。キャンセルの指示を受け付けていない場合には、制御部3aのCPUは、ステップS103へ処理を戻す。ユーザによりキャンセルボタンB12が選択され、キャンセルの指示が制御部3aに与えられると、CPUは、確認ダイアログD1を閉じて(S105)、処理を終了する。
【0076】
ユーザにより実行ボタンB11が選択され、実行指示が制御部3aに与えられると(S103)、制御部3aのCPUは、確認ダイアログD1を閉じ(S106)、ピアサーを交換位置に移動する指示データを測定機構部2の主制御部20に与える。これにより主制御部20のCPU21は、第1検体分注アーム5を制御して、ピアサー5bを交換位置へと移動させる(S107)。
【0077】
ピアサー5bの交換位置は、ピアサー5bの先端がピアサー洗浄部48の吸引管通路48aに挿入された位置である。ピアサー5bが交換位置に移動されると、これを通知するデータが主制御部20から制御部3aに与えられ、制御部3aのCPUが、移動完了ダイアログを表示部3bに表示させ(S108)、処理を終了する。
【0078】
図9は、移動完了ダイアログを示す図である。移動完了ダイアログD2には、検体分析装置1の電源をオフし、その後ピアサー5bの交換を行うことをユーザに指示するメッセージが含まれている。ユーザは、この移動完了ダイアログD2を確認した後、検体分析装置1の電源をオフする。
【0079】
検体分析装置1の電源がオフされた後、ユーザは第1検体分注アーム5から使用済のピアサー5bを取り外し、所定の交換治具を使用する等して新しいピアサー5bを取り付ける。このとき、ユーザは、新たなピアサー5bの先端をピアサー洗浄部48の吸引管通路48aに挿入するようにする。検体の分析を正常に行うためには、ピアサー5bを交換した後、交換前と同じ様にピアサー5bを検体吸引位置300、検体分注位置(キュベット設置部7上の所定位置)、ピアサー洗浄部49の洗浄位置等に正確に移動可能であることが必要である。このためには、原点位置500からの上記の各位置の距離(θ駆動モータのパルス数)を、交換後に新たな調整値として設定する必要がある。上記のように、ユーザが新たなピアサー5bを交換位置に位置づけるようにして第1検体分注アーム5に取り付けることで、交換後に簡易な処理によって上記の調整値を設定することが可能となる。
【0080】
新しいピアサー5bの取付が完了すると、ユーザは検体分析装置1の電源を投入する。検体分析装置1が起動すると、自動的にピアサー交換後調整処理が実行される。
図10は、ピアサー交換後調整処理の手順を示すフローチャートである。まず、制御部3aのCPUが、調整処理確認ダイアログを表示部3bに表示させる(S201)。
図11は、調整処理確認ダイアログを示す図である。調整処理確認ダイアログD3には、予めユーザに配布されているピアサー交換手順書のチェックリスト内容を全てチェックすること、及び、チェックリストを確認後、測定機構部2のカバー(図示せず)を閉じて実行ボタンを押すことを指示するメッセージが含まれている。また、「ピアサー交換手順書のチェックリスト内容をチェックしましたか?」のメッセージの横には、入力部3cの操作により選択可能なチェックボックスC3が設けられている。また、調整処理確認ダイアログD3には、入力部3cの操作により選択可能な実行ボタンB3が設けられている。この実行ボタンB3は、チェックボックスC3にチェックマークが表示されていない状態のときには、操作不可状態となり、チェックボックスC3が選択され、チェックマークが表示された状態のときに、操作可能状態となるようになっている。
【0081】
ユーザは、ピアサー交換手順書を確認後、入力部3cを操作してチェックボックスC3をチェックし、実行ボタンB3を選択する。制御部3aのCPUは、ユーザから実行指示を受け付けるまで待機し(S202においてNO)、上記のようにしてユーザから実行指示を受け付けると(S202においてYES)、調整処理確認ダイアログD3を閉じて(S203)、実行ダイアログを表示部3bに表示させる(S204)。
【0082】
図12は、実行ダイアログを示す図である。実行ダイアログD4には、「ピアサー交換後調整処理を実施しています。」というメッセージが含まれる。制御部3aのCPUは、実行ダイアログD4を表示すると共に、制御部20に対してピアサー5bの位置情報調整処理(θ方向調整処理及びZ方向調整処理等)の実行を指示する。なお、本実施例では
図11の調整処理確認ダイアログにおいてユーザが実行ボタンを押すことにより位置情報調整処理の実行指示が行われているが、位置情報調整処理における調整実行の入力はこれに限られない。例えば、新しいピアサー5bの取付け完了後、ユーザが電源を投入した際に自動的に実行指示を出してもよいし、新しいピアサー5bに交換されたことをセンサにより検出し、当当該検出結果を受けて自動的に実行指示を出してもよい。
【0083】
制御部20のCPU21は、上記のような指示データを制御部3aから受け付けると、まず、ピアサー5bが調整領域内に存在するか否かを判別する(S205)。この処理では、CPU21がθモータ制御回路84から原点センサ57の状態情報を取得し、これによって原点センサ57が遮光されているか否かを判断する。CPU21は、原点センサ57が遮光されている場合、ピアサー5bが検体吸引位置300(交換位置)を含む調整領域内にあると判断し、原点センサ57が遮光されていない場合、ピアサー5bが検体吸引位置300(交換位置)から大幅に外れた位置にある、即ち調整領域にないと判断する。ピアサー5bが調整領域にないと判断した場合(S205においてNO)、CPU21は、ピアサー交換位置探索処理を実行する(S206)。
【0084】
図13は、ピアサー交換位置探索処理の手順を示すフローチャートである。上述したように、ピアサー5bを検体吸引位置300等、検体分注位置(キュベット設置部7上の所定位置)、ピアサー洗浄部49の洗浄位置等に正確に移動させるためには、原点位置から各位置までのθ駆動モータ72aのパルス数が必要である。主制御部20のメモリ22には、これらのパルス数を示すθ調整値が記憶されている。ピアサー交換位置探索処理において、まずCPU21は、現在のθ調整値を使用して、ピアサー5bを検体吸引位置300の上方へと移動させる(S301)。つまり、原点位置から現在のθ調整値分だけθ駆動モータ72aを駆動することにより、ピアサー5bが検体吸引位置300の上方に配置されるまで、アーム部5aが旋回される。
【0085】
しかし、ステップS301において使用したθ調整値は交換前のピアサー5b用のデータであり、ピアサー5bの交換後においても、このθ調整値を使用してピアサー5bを正確に検体吸引位置300の上方へ移動させることができるとは限らない。そこで、ピアサー交換位置探索処理では、CPU21が、以下のようにしてピアサー5bが検体吸引位置300の上方に位置づけられているかを判別し、ピアサー5bが検体吸引位置300の上方に位置づけられていない場合には、その位置を修正してピアサー5bを検体吸引位置300の上方へと位置づける。
【0086】
まず、CPU21は、Z駆動モータ73aを駆動してピアサー5bの下降を開始する(S302)。この際、ピアサー5bの先端がピペット洗浄部48の吸引管通路48aに進入するために、上限位置から所定距離下方まで下降するようにCPU21から駆動命令が出力される。このとき、ピアサー5bが検体吸引位置300に対して正確に位置づけられていない場合には、ピアサー5bは洗浄部48の吸引管通路48aに進入できずに通路の周縁に衝突し、ピアサー5bの下降が停止する。
【0087】
Zモータ制御回路82は、ピアサー5bを上限位置から所定距離下方の第1洗浄高さまで下降させたか否かを判別する(S303)。ピアサー5bが第1洗浄高さまで下降された場合には(S303においてYES)、Zモータ制御回路82によってアーム部5aの下降が停止され(S304)、副制御部80から主制御部20に駆動停止報告が送信される。その後、CPU21は、処理をリターンする。
【0088】
図14は、第1洗浄高さを説明するためのピアサー洗浄部48の拡大側面断面図である。図に示すように、吸引管通路48aの途中の高さが第1洗浄高さである。駆動命令にしたがってピアサー5bが所定距離下降されると、ピアサー5bの下端が第1洗浄高さに到達する。
【0089】
また、第1洗浄高さに至るまでにピアサー5bの先端が物体と当接した場合には、衝突センサ55からリミット信号がZモータ制御回路82へ出力される。Zモータ制御回路82は、ピアサー5bが第1洗浄高さに到達していない場合には(S304においてNO)、衝突センサ55からのリミット信号によってピアサー5bの衝突が検出されたか否かを判別する(S305)。Zモータ制御回路82は、衝突センサ55からのリミット信号を受け付けると、ピアサー5bの衝突が検出されたと判断し(S305においてYES)、Z駆動モータ73aを停止させる(S306)。このとき、エラー報告が副制御部80から主制御部20に対して出力される。他方、ステップS305においてピアサー5bの衝突が検出されなかった場合には、Zモータ制御回路82は処理をステップS303へと戻し、ピアサー5bの下降を継続する。
【0090】
ピアサー5bの衝突が検出されてピアサー5bの下降が停止された場合、CPU21が駆動命令を副制御部80へ出力し、これによってZ駆動モータ73aが駆動され、ピアサー5bが所定位置まで上昇される(S307)。次に、CPU21は、ピアサー交換位置の探索を所定回数行ったか否か、つまり、所定回数ピアサー5bの下降を行ったか否かを判別する(S308)。探索回数が所定回数に満たない場合(S308においてNO)、CPU21は、駆動命令を出力してθ駆動モータ72aを所定方向へ所定パルス分駆動し、アーム部5aを所定方向へ所定距離旋回させる(S309)。これにより、ピアサー5bが所定距離水平移動される。
【0091】
ステップS309の後、CPU21は、ステップS302へと処理を戻す。これにより、水平移動後の位置からピアサー5bが下降される。このようにして、ピアサー交換位置の探索が行われる。ピアサー5bがピアサー洗浄部48の吸引管通路48aの周辺部に衝突すると、再びピアサー5bが上昇され、所定距離水平移動された後、下降される。このような探索回数が所定回数に達した場合(S308においてYES)、CPU21がエラー情報を出力し(S310)、このエラー情報が制御部3aに与えられて、制御部3aのCPUが、ピアサー交換後のθ調整値又はZ調整値の設定に失敗したことを示すエラー情報を表示部3bに表示させる。エラー情報の出力後、CPU21は、処理をリターンする。
【0092】
上記のようなピアサー交換位置探索処理が終了した場合、CPU21は、ピアサー交換位置探索処理においてエラー(探索回数が所定回数に達した)が発生したか否かを判別する(S207)。エラーが発生した場合には(S207においてYES)、CPU21は処理を終了する。
【0093】
また、ピアサー交換位置探索処理においてエラーが発生していない場合(S207においてNO)、又は、ステップS205においてピアサー5bが調整領域内にある場合(S205においてYES)、CPU21は、θ方向調整処理を実行する(S208)。
【0094】
図15は、θ方向調整処理の手順を示すフローチャートである。まず、CPU21は、駆動命令を出力し、θ駆動モータ72aを励磁せずに、Z駆動モータを駆動して、アーム部5aを上下に複数回往復移動させる(S401)。さらに、CPU21は、駆動命令を出力し、θ駆動モータ72aを励磁せずに、図示しないモータが駆動されることにより、ピアサー洗浄部48を所定距離だけ上下方向に移動させる(S402)。ステップS401及びS402の処理は、ピアサー5bをピアサー洗浄部48の吸引管通路48a内に挿入可能な位置(検体吸引位置300)に正確に位置決めするための処理である。
図16は、ピアサー5bの検体吸引位置300への位置決めについて説明するためのピアサー洗浄部48の拡大側面断面図である。例えば、
図16の上側に図示したように、ピアサー5bが吸引管通路48aの片側に偏った状態で位置している場合を考える。θ駆動モータ72aが励磁されていないため、アーム部5aに水平方向の力が作用すると、アーム部5aは容易に旋回する。この状態でピアサー5bとピアサー洗浄部48が相対的に上下に往復移動すると、ピアサー5bの傾き又は曲がり等によって、ピアサー5bの側面が吸引管通路48aの側壁と当接し、互いに離れるように(つまり、ピアサー5bが吸引管通路48aの中心に向かうように)ピアサー5bが水平方向へ移動する(
図16の下側の図)。このようにして、ピアサー5bが正確に検体吸引位置300に位置づけられる。
【0095】
次に、CPU21は、駆動命令を出力し、Z駆動モータ73aを駆動して、ピアサー5bを原点高さ(上限位置)まで上昇させる(S403)。さらにCPU21は、上限位置から第1洗浄高さまでピアサー5bを下降するように駆動命令を出力し、ピアサー5bの下降を開始させる(S404)。このとき、Z駆動モータ72aは励磁されている。これにより、ピアサー5bを正確に吸引管通路48aに挿入可能であるかが確認される。このとき、ピアサー5bが検体吸引位置300に対して正確に位置づけられていない場合には、ピアサー5bは洗浄部48の吸引管通路48aに進入できずに通路の周縁に衝突する。
【0096】
Zモータ制御回路82は、ピアサー5bを第1洗浄高さまで下降させたか否かを判別する(S405)。第1洗浄高さに至るまでにピアサー5bの先端が物体と当接した場合には、衝突センサ55からリミット信号がZモータ制御回路82へ出力される。Zモータ制御回路82は、ピアサー5bが第1洗浄高さに到達していない場合には(S405においてNO)、衝突センサ55からのリミット信号によってピアサー5bの衝突が検出されたか否かを判別する(S406)。Zモータ制御回路82は、衝突センサ55からのリミット信号を受け付けると、ピアサー5bの衝突が検出されたと判断し(S406においてYES)、Z駆動モータ73aを停止させる(S407)。このとき、エラー報告が副制御部80から主制御部20に対して出力され、このエラー報告を受けたCPU21がエラー情報を出力する(S408)。当該エラー情報は制御部3aに与えられ、制御部3aのCPUが、ピアサー交換後のθ調整値又はZ調整値の設定に失敗したことを示すエラー情報を表示部3bに表示させる。エラー情報の出力後、CPU21は、処理をリターンする。
【0097】
他方、ステップS406においてピアサー5bの衝突が検出されなかった場合には、Zモータ制御回路82は処理をステップS405へ戻し、ピアサー5bの下降を継続する。
【0098】
ステップS405において、ピアサー5bが第1洗浄高さまで下降された場合には(S405においてYES)、Zモータ制御回路82によってアーム部5aの下降が停止され(S409)、副制御部80から主制御部20に駆動停止報告が送信される。この場合、ピアサー5bが正確に検体吸引位置300に位置づけられたことになる。駆動停止報告を受け付けたCPU21は、駆動命令を出力し、Z駆動モータ73aを駆動して、ピアサー5bを原点高さ(上限位置)まで上昇させ(S410)、さらにθ駆動モータ72aを駆動して、アーム部5aの旋回を開始し(S411)、ピアサー5bを原点位置500へ向けて水平移動させる。原点センサ57が遮光されると、θモータ制御回路84にリミット信号が出力される。このリミット信号がθモータ制御回路84に入力されることにより、アーム部5aの旋回が停止され、駆動停止報告が副制御部80から主制御部20に対して出力される。CPU21は、駆動停止信号を受信するまで待機し(S412においてNO)、駆動停止信号を受信することにより、ピアサー5aが原点位置500に到達したと判断する(S412においてYES)。
【0099】
次に、CPU21は、アーム部5aが原点位置500に到達するまでのθエンコーダ72bの出力パルス数を副制御部80から取得し、このパルス数を検体吸引位置300の新たなθ調整値として設定する(S413)。また、CPU21は、新たなθ調整値と前回のθ調整値との差分を算出し、原点位置500から検体分注位置までのθ調整値、原点位置500からピアサー洗浄部49の洗浄位置までのθ調整値、及び原点位置500から試薬吸引位置までのθ調整値のそれぞれに対して、前記差分を加えて補正する(S414)。この後、CPU21は処理をリターンする。
【0100】
上記のようなθ方向調整処理が終了した場合、CPU21は、θ方向調整処理においてエラー(ピアサー5bの衝突検出)が発生したか否かを判別する(S209)。エラーが発生した場合には(S209においてYES)、CPU21は処理を終了する。また、θ方向調整処理においてエラーが発生していない場合(S209においてNO)、CPU21は、Z方向調整処理を実行する(S210)。
【0101】
図17は、Z方向調整処理の手順を示すフローチャートである。まず、CPU21は、駆動命令を出力し、キュベット設置部7、キュベット供給部15及びキャッチャユニット17を駆動して、キュベット設置部7の所定の位置に1つのキュベット150(
図2参照)を供給する(S501)。続いて、キュベット150が供給されたキュベット設置部7を回転させると共に、第2検体分注アーム6を駆動して前記キュベットに洗浄液(RO水)を150μL分注させる(S502)。
【0102】
次に、CPU21は、駆動命令を出力してθ駆動モータ72aを駆動し、アーム部5aを旋回させてピアサー5bを検体分注位置(キュベット150の上方位置)まで水平移動させる(S503)。CPU21は、駆動命令を出力し、Z駆動モータ73aを駆動して、ピアサー5bの下降を開始する(S504)。ピアサー5bの先端がキュベット150内の洗浄液の液面に接触すると、液面センサ56がこれを検知し、リミット信号を出力する。また、ピアサー5bの先端が物体(キュベット150の上端縁等)と当接した場合には、衝突センサ55からリミット信号が出力される。
【0103】
Zモータ制御回路82は、液面センサ56によって液面が検出されたか否かを判別する(S505)。液面が検出されていない場合には(S505においてNO)、Zモータ制御回路82は、衝突センサ55によってピアサー5bの衝突が検出されたか否かを判別する(S506)。Zモータ制御回路82は、衝突センサ55からのリミット信号を受け付けると、ピアサー5bの衝突が検出されたと判断し(S506においてYES)、Z駆動モータ73aを停止させる(S507)。このとき、エラー報告が副制御部80から主制御部20に対して出力され、このエラー報告を受けたCPU21がエラー情報を出力する(S508)。当該エラー情報は制御部3aに与えられ、制御部3aのCPUが、ピアサー交換後のθ調整値又はZ調整値の設定に失敗したことを示すエラー情報を表示部3bに表示させる。エラー情報の出力後、CPU21は、処理をリターンする。
【0104】
他方、ステップS506においてピアサー5bの衝突が検出されなかった場合には、Zモータ制御回路82は処理をステップS505へ戻し、ピアサー5bの下降を継続する。
【0105】
ステップS505において、液面が検出された場合(S505においてYES)、Zモータ制御回路82によってアーム部5aの下降が停止され(S509)、副制御部80から主制御部20に駆動停止報告が送信される。駆動停止報告を受け付けたCPU21は、ピアサー5bが液面に接触するまでのZエンコーダ73bの出力パルス数を副制御部80から取得し、このパルス数から、キュベット150に液体を50μL入れたときの液面の高さを示すZ調整値を算出する(S510)。
図18は、Z調整値の算出を説明するためのキュベット150の側面断面図である。キュベット150において、50μLはデッドボリュームであり、50μL以下の液体しかキュベット150に収容されていない場合、ピアサー5b又はピペット6bによっては液体の定量吸引が保証されない。つまり、ピアサー5b又はピペット6bは、吸引及び分注動作を行う場合、キュベット150における50μLの液面高さ以下には下降することはなく、50μLの液面高さが下降の下限高さとなる。主制御部20は、この下限高さをZ調整値として設定する。キュベット150の形状は既知であるため、キュベット150に150μLの液体が収容された場合の液面高さから、キュベット150に50μLの液体が収容された場合の液面高さを算出することができる。CPU21は、上述するように取得したZエンコーダ73bの出力パルス数を使用して、原点高さからピアサー5bが50μLの液体が収容されているキュベット150の液面に接触するまで下降したときのパルス数を、Z調整値として算出する。
【0106】
なお、キュベット150に150μLの液体が収容された場合の液面高さとキュベット150に50μLの液体が収容された場合の液面高さとの関係を示すルックアップテーブルを予めメモリ22等に記憶しておき、このルックアップテーブルを参照することによって、キュベット150に150μLの液体が収容された場合の液面高さから、キュベット150に50μLの液体が収容された場合の液面高さを導出する構成としてもよい。
【0107】
CPU21は、上記のようにして算出した新たなZ調整値を設定する(S511)。さらにCPU21は、駆動命令を出力し、キュベット設置部7及びキャッチャユニット17を駆動して、キュベット設置部7に設置されているキュベット150を廃棄口19aまで移送させ(S512)、キュベット150を廃棄した後、処理をリターンする。
【0108】
上記のようなZ方向調整処理が終了した場合、CPU21は、Z方向調整処理においてエラー(ピアサー5bの衝突検出)が発生したか否かを判別する(S211)。エラーが発生した場合には(S211においてYES)、CPU21は処理を終了する。また、Z方向調整処理においてエラーが発生していない場合(S211においてNO)、CPU21は、洗浄位置下降確認処理を実行する(S212)。
【0109】
図19は、洗浄位置下降確認処理の手順を示すフローチャートである。まず、CPU21は、駆動命令を出力してθ駆動モータ72aを駆動し、アーム部5aを旋回させてピアサー5bを洗浄位置(ピアサー洗浄部49の上方位置)まで水平移動させる(S601)。CPU21は、駆動命令を出力し、Z駆動モータ73aを駆動して、ピアサー5bの下降を開始し(S602)、ピアサー5bを第2洗浄高さ(ピアサー洗浄部49の吸引管通路49a内にピアサー5bの先端が挿入される高さ)まで下降させる。これにより、ピアサー5bを正確に吸引管通路49aに挿入可能であるかが確認される。このとき、ピアサー5bが洗浄位置に対して正確に位置づけられていない場合には、ピアサー5bは洗浄部49の吸引管通路49aに進入できずに通路の周縁に衝突する。
【0110】
Zモータ制御回路82は、ピアサー5bを第2洗浄高さまで下降させたか否かを判別する(S603)。ピアサー5bが第2洗浄高さまで下降された場合には(S603においてYES)、Zモータ制御回路82によってアーム部5aの下降が停止され(S604)、副制御部80から主制御部20に駆動停止報告が送信される。その後、CPU21は、処理をリターンする。
【0111】
また、第2洗浄高さに至るまでにピアサー5bの先端が物体と当接した場合には、衝突センサ55からリミット信号がZモータ制御回路82へ出力される。Zモータ制御回路82は、ピアサー5bが第2洗浄高さに到達していない場合には(S603においてNO)、衝突センサ55からのリミット信号によってピアサー5bの衝突が検出されたか否かを判別する(S605)。ピアサー5bの衝突が検出されなかった場合には(S605においてNO)、Zモータ制御回路82は処理をステップS603へと戻し、ピアサー5bの下降を継続する。他方、ステップS605においてピアサー5bの衝突が検出された場合には(S605においてYES)、Zモータ制御回路82はZ駆動モータ73aを停止させる(S606)。このとき、エラー報告が副制御部80から主制御部20に対して出力される。エラー報告を受け付けたCPU21はエラー情報を出力し(S607)、このエラー情報が制御部3aに与えられて、制御部3aのCPUが、ピアサー交換後のθ調整値又はZ調整値の設定に失敗したことを示すエラー情報を表示部3bに表示させる。エラー情報の出力後、CPU21は、処理をリターンする。
【0112】
上記のような洗浄位置下降確認処理が終了した場合、CPU21は、駆動命令を出力し、Z駆動モータ73aを駆動して、ピアサー5bを原点高さ(上限位置)まで上昇させ、さらに駆動命令を出力し、θ駆動モータ72aを駆動して、ピアサー5bを原点位置500まで水平移動させ(S213)、処理を終了する。
【0113】
上記のようなピアサー交換後調整処理において設定されたθ調整値及びZ調整値は、検体分注処理において使用される。
図20は、検体分注処理を手順を示すフローチャートである。まず、CPU21は、検体吸引位置300のθ調整値を指定する駆動命令を出力してθ駆動モータ72aを駆動し、アーム部5aを旋回させてピアサー5bを検体吸引位置300まで水平移動させる(S701)。次にCPU21は、検体吸引処理を実行する(S702)。
【0114】
図21は、検体吸引処理の手順を示すフローチャートである。まず、CPU21が駆動命令を出力して図示しないモータを駆動し、ピアサー洗浄部48を所定量だけ下降させる(S801)。これにより、検体容器100の蓋101が下向きに押さえつけられる。
【0115】
次に、CPU21は駆動命令を出力し、Z駆動モータ73aを駆動して、ピアサー5bの下降を開始する(S802)。ピアサー5bは、ピペット洗浄部48の吸引管通路48aを通過し、さらに下降して検体容器100の蓋101を貫通する。ピアサー5bの先端が検体容器100内の検体の液面に接触すると、液面センサ56がこれを検知し、リミット信号を出力する。Zモータ制御回路82は、液面センサ56によって液面が検出されたか否かを判別する(S803)。液面が検出されていない場合には(S803においてNO)、Zモータ制御回路82はステップS803へ再度処理を戻し、液面が検出されるまでピアサー5bの下降を継続する。液面が検出された場合には(S803においてYES)、Zモータ制御回路82がアーム部5aの下降を停止する(S804)。
【0116】
上記のように液面が検出されてピアサー5bの下降が停止された後、CPU21は、Z調整値によって定まる下限位置を越えない範囲で、検体の吸引量に応じて定められた下降量だけピアサー5bを下降させるように指示する駆動命令を出力し、ピアサー5bの下降を開始する(S805)。上記の検体の吸引量は、検体の測定オーダにおいて指定されている測定項目によって定まる。
【0117】
Zモータ制御回路82は、駆動命令によって指定されたパルス数分だけ、つまり、指定された下降量だけピアサー5bを下降したか否かを判別する(S806)。ピアサー5bが指定の下降量だけ下降された場合には(S806においてYES)、Zモータ制御回路82によってアーム部5aの下降が停止され(S807)、副制御部80から主制御部20に駆動停止報告が送信される。駆動停止報告を受け付けたCPU21は、駆動命令を出力し、シリンジモータ74cを駆動して、ピアサー5bに上記の吸引量の検体を検体容器100から吸引させる(S808)。検体の吸引が完了した後、CPU21は、処理をリターンする。
場合には、Z駆動モータ73aの駆動を停止し、駆動停止報告を出力する。また、Zモータ制御回路82は、指定されたパルス数がZ調整値を越えるために前記パルス数分Z駆動モータ73aを駆動することができなかった場合、つまり、指定された下降量分ピアサー5bが下降されなかった場合には、Z駆動モータ73aの駆動パルス数がZ調整値と一致したときにZ駆動モータの駆動73aを停止し、エラー報告を出力する。
【0118】
他方、ステップS806においてピアサー5bの下降量が指定の下降量に満たない場合には(S806においてNO)、Zモータ制御回路83は、ピアサー5bが下限位置に到達したか否かを判別する(S809)。つまり、Zモータ制御回路83は、その時点におけるZ駆動モータ73aの駆動パルス数とZ調整値とを比較して、駆動パルス数がZ調整値以上である場合には、ピアサー5bが下限位置に到達したと判断する。ピアサー5bが下限位置に到達していない場合には(S809においてNO)、Zモータ制御回路82は処理をステップS806へと戻し、ピアサー5bの下降を継続する。他方、ステップS809においてピアサー5bが下限位置に到達したと判断される場合には(S809においてYES)、Zモータ制御回路82はZ駆動モータ73aを停止させる(S810)。このとき、エラー報告が副制御部80から主制御部20に対して出力される。エラー報告を受け付けたCPU21はエラー情報を出力し(S811)、このエラー情報が制御部3aに与えられて、制御部3aのCPUが、検体吸引に失敗したことを示すエラー情報を表示部3bに表示させる。エラー情報の出力後、CPU21は、処理をリターンする。
【0119】
上記のような検体吸引処理が終了した場合、CPU21は、検体吸引処理においてエラー(検体吸引の失敗)が発生したか否かを判別する(S703)。エラーが発生した場合には(S703においてYES)、CPU21は処理を終了する。また、検体吸引処理においてエラーが発生していない場合(S703においてNO)、CPU21は、検体分注位置のθ調整値を指定する駆動命令を出力してθ駆動モータ72aを駆動し、アーム部5aを旋回させてピアサー5bを検体吸引位置300まで水平移動させた後、駆動命令を出力してZ駆動モータ73aを駆動し、アーム部5aを下降させてピアサー5bをキュベット設置部7に設置されたキュベット150の内部に進入するまで下降させる(S704)。その後、CPU21は、駆動命令を出力し、シリンジモータ74cを駆動して、ピアサー5bから検体をキュベット150に分注させる(S705)。検体の分注が完了した後、CPU21は、処理を終了する。
【0120】
なお、検体分析装置1は、操作権限の異なる操作者が、サービスマン権限(検体分析装置の製造販売元から派遣された専門のサービスマンが、装置の修理若しくはメンテナンスを行う際に用いる権限)又はユーザ権限(検体分析装置が設置されている医療機関において、当該装置を実際に使用する臨床検査技師等の一般的なユーザが、装置の使用時に用いる権限)、といった各種の権限に応じてログインして使用するよう構成されている。上述したピアサー交換準備処理及びピアサー交換後調整処理は、ユーザ権限でログインしている際に実行可能に構成されている。このようにすることで、臨床検査技師などの一般的な装置ユーザが、頻繁には行うことのない不慣れなピアサー交換作業を行う際に、簡便且つ確実にピアサーの位置調整作業を行うことができる。もちろん、サービスマン権限でログインした際に実行可能に構成されていてもよい。
【0121】
以上の如く構成することにより、ピアサー交換後調整処理が実行されることで、交換されたピアサー5bのθ調整値及びZ調整値が自動で設定されるため、ピアサーの交換作業におけるユーザの作業負担が軽減される。また、液面センサ56によりピアサー5bの液面への接触を検知することで、Z調整値が設定されるため、交換されたピアサー5bの破損が抑制される。また、ピアサー5bとは別に設けられたピペット6bによってキュベット150に洗浄液が供給されるため、Z調整値の設定がされていないピアサー5bを用いてキュベット150に洗浄液を供給する必要がなく、確実に洗浄液の供給を行うことができると共に、ピアサー5bがキュベット150に衝突する等して破損する虞がない。
【0122】
また、Z方向調整処理の前にθ方向調整処理が実行されることで、Z方向調整処理においてピアサー5bを検体分注位置に位置づけるときに、θ方向調整処理において設定されたθ調整値を使用することができ、正確にピアサー5bを検体分注位置に位置決めすることができる。
【0123】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、交換対象をピアサーとした場合について述べたが、これに限定されるものではなく、下端が平坦に形成されたピペットを交換対象とすることもできる。また、血液凝固分析装置である検体分析装置1の構成について述べたが、これに限定されるものではなく、生化学分析装置、免疫分析装置、血球計数装置、尿分析装置等のピペット(ピアサー)交換に関して同様の構成とすることも可能である。
【0124】
また、上述した実施の形態においては、キュベット150に150μLの洗浄液を供給し、その液面高さから、キュベット150に50μLの洗浄液が収容された場合の液面高さを求め、これをZ調整値としたが、これに限定されるものではなく、例えば、キュベット150に50μLの洗浄液を供給し、その液面高さを直接Z調整値とすることもできる。また、キュベットではなく、測定機構部2に備え付けられた液体収容部に洗浄液等の液体を供給し、その液面高さから、Z調整値を求める構成とすることもできる。
【0125】
また、上述した実施の形態においては、液面センサ56が検知した液面高さを、Z調整値と設定し、その後の検体分注処理においてZモータ制御回路82によるピアサー5bの下降動作を変更したが、これに限定されるものではなく、例えば、ピアサー5bの取付け高さを、液面センサ56が検知した液面高さに基づいて装置が自動で調整とすることもできる。また、液面センサ56が検知した液面高さを基に、ピアサー5bが設けられた第1検体分注アーム5の動作の起点となる位置自体を変更する構成とすることもできる。