特許第6029972号(P6029972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6029972タッチパネル装置およびタッチパネルのタッチ検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029972
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】タッチパネル装置およびタッチパネルのタッチ検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20161114BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   G06F3/041 522
   G06F3/044 126
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-280809(P2012-280809)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-126899(P2014-126899A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(72)【発明者】
【氏名】三代川 智慎
【審査官】 若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−169697(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0175823(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量方式のタッチパネルを備えたタッチパネル装置であって、
前記タッチパネルの1水平ラインにおけるRawdataを取得するRawdata取得部と、
前記Rawdata取得部で取得された前記1水平ラインのRawdataの中央値を、メディアンベースラインとして算出するメディアンベースライン算出部と、
前記タッチパネルの1水平ラインの各センサについて、取得されたRawdataと前記メディアンベースラインとを比較し、前記Rawdataが前記メディアンベースラインのプラス方向に一定のオフセットを加えたスレッシュホールド以上である場合にタッチ有りと判定し、前記Rawdataが前記スレッシュホールド以下である場合にタッチなしと判定するタッチ検出処理部と、
を備えたタッチパネル装置。
【請求項2】
前記メディアンベースライン算出部は、隣り合うRawdataの差分が前記スレッシュホールド以上である場合には、当該Rawdataを中央値の算出から除外する
請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
前記メディアンベースライン算出部は、前記1水平ラインのRawdataの数が偶数である場合には、中央に近い2つのRawdataの平均値を、前記メディアンベースラインとする
請求項1または請求項2に記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
静電容量方式のタッチパネルのタッチ検出方法であって、
前記タッチパネルの1水平ラインにおけるRawdataを取得するRawdata取得ステップと、
前記Rawdata取得ステップで取得された前記1水平ラインのRawdataの中央値を、メディアンベースラインとして算出するメディアンベースライン算出ステップと、
前記タッチパネルの1水平ラインの各センサについて、取得されたRawdataと前記メディアンベースラインとを比較し、前記Rawdataが前記メディアンベースラインのプラス方向に一定のオフセットを加えたスレッシュホールド以上である場合にタッチ有りと判定し、前記Rawdataが前記スレッシュホールド以下である場合にタッチなしと判定するタッチ検出処理ステップと、
を備えたことを特徴とするタッチパネルのタッチ検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、静電容量(Projected cap)方式のタッチパネル装置およびタッチパネルのタッチ検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量方式のタッチパネルは、指の接触等による静電容量の変化を測定することによってタッチ位置を検出するものであり、例えば携帯電話やタブレットPC等に適用されている。
【0003】
図7は、従来の一般的なタッチパネル装置を示すブロック構成図である。図7において、このタッチパネル装置は、タッチパネル10、タッチ制御IC(Integrated Circuit)20、MCU(Micro Control Unit)30、MCU30内にベースラインデータ(後述する)専用に割り当てられたメモリ領域であるメモリ40およびホストコントローラ50を備えている。なお、MCU30は、CPUとメモリ(1次メモリ)とを有するマイクロプロセッサ(図示せず)で構成されている。
【0004】
タッチパネル10は、後述する液晶ディスプレイ(以下、「LCD(Liquid Crystal Display)」と称する)の表面に設けられ、タッチ制御IC20からの制御命令に応じて、各センサのRawdataをアナログ信号で出力する。
【0005】
タッチ制御IC20は、MCU30からの制御命令に応じて、タッチパネル10に対するセンシングの仕方等を制御するとともに、タッチパネル10からのアナログ信号のRawdataを、デジタル信号に変換して出力する。
【0006】
MCU30は、ホストコントローラ50からの制御命令に応じて、タッチ制御IC20の動作を制御するとともに、タッチ制御IC20からのデジタル信号のRawdataが入力される。また、MCU30は、メモリ40に格納されたベースラインデータを読み出すとともに、入力されたRawdataに基づいて、ベースラインデータを更新する。
【0007】
さらに、MCU30は、次回のタッチ検出処理時に使用するために、更新後のベースラインデータをメモリ40に書き込む。また、MCU30は、タッチ制御IC20からのRawdataとメモリ40から読み出したベースラインデータとの差分データに基づいて、タッチ検出処理によってタッチの有無を検出し、タッチ検出信号をホストコントローラ50に出力する。
【0008】
ホストコントローラ50は、MCU30の動作を制御するとともに、MCU30からのタッチ検出信号が入力される。また、ホストコントローラ50は、LCDのタイミングコントローラ(図示せず)に対して、LCDの液晶書き込みを行うための制御命令を出力する。
【0009】
以下、図8のフローチャートを参照しながら、図7に示したタッチパネル装置のMCU30の動作について説明する。
【0010】
まず、MCU30は、タッチパネル10およびタッチ制御IC20から、タッチパネル10の全センサ(1フレームの全センサ交点)について、Rawdataを一括して取得する(ステップS51)。
続いて、MCU30は、メモリ40に格納されたベースラインデータを読み出す(ステップS52)。
【0011】
次に、MCU30は、タッチ制御IC20からのRawdataとメモリ40から読み出したベースラインデータとを比較して、タッチパネル10の全センサについてベースラインデータを更新し、次回のタッチ検出処理時に使用するために、更新後のベースラインデータをメモリ40に書き込む(ステップS53)。
【0012】
具体的には、MCU30は、タッチパネル10の各センサについて、Rawdataがベースラインデータよりも大きい場合には、ベースラインデータをインクリメントし、Rawdataがベースラインデータよりも小さい場合には、ベースラインデータをデクリメントし、Rawdataとベースラインデータとが等しい場合には、ベースラインデータを更新しない。なお、タッチ検出時には、ベースラインデータを更新しない。
【0013】
続いて、MCU30は、タッチ制御IC20からのRawdataから、メモリ40から読み出したベースラインデータを減算し、タッチパネル10の全センサについて差分データを算出する(ステップS54)。
【0014】
次に、MCU30は、タッチ制御IC20からのRawdataとステップS54で算出した差分データとに基づいて、タッチパネル10の各センサについてタッチ検出処理を行い、タッチの有無をタッチ検出信号としてホストコントローラ50に出力して(ステップS55)、図8の処理を終了する。
【0015】
具体的には、MCU30は、タッチ検出処理において、ステップS54で算出した差分データがスレッシュホールド以上の場合にタッチ有りと判定し、差分データがスレッシュホールド以下の場合にタッチなしと判定する。
【0016】
すなわち、第N(Nは整数)フレーム時間におけるRawdataを例示した図9に表されるように、Rawdataが、ベースラインデータのプラス方向に一定のオフセットを加えた値として決定されるスレッシュホールド以上である場合に、タッチ有りと判定される。
【0017】
ここで、図10の断面図を参照しながら、従来の一般的なタッチパネル10を備えた液晶表示装置について説明する。図10において、この液晶表示装置は、LCD60と、LCD60の表面に設けられたタッチパネル10とから構成されている。
【0018】
LCD60は、第1偏光板61、TFT(Thin Film Transistor)側ガラス基板62、TFT側ガラス基板62の表面に形成された液晶駆動電極63、カラーフィルタ側ガラス基板64、および第2偏光板65が、層状に重ねられて構成されている。なお、液晶は、TFT側ガラス基板62と液晶駆動電極63との間に注入等されるが、図示を省略している。また、カラーフィルタおよび配向膜も、図示を省略している。
【0019】
タッチパネル10は、第2偏光板65とエアギャップを介して設けられたシールドITO(Indium Tin Oxide)11、センサ基板12、センサ基板12の表面に形成されたセンサITO13、接着剤14、および接着剤14によって接着されるカバーガラス15が、層状に重ねられて構成されている。
【0020】
一般的に、液晶表示装置においては、LCD60の液晶書き込みに伴ってノイズが発生する。以下、このノイズを「LCDノイズ」と称する。なお、最も大きなLCDノイズは、液晶駆動電極63に供給される共通電圧Vcomの変動によるノイズである。
【0021】
ここで、図10に示した液晶表示装置では、カラーフィルタ側ガラス基板64は約0.4mm、第2偏光板65は約0.2mm、エアギャップは約0.5mm、センサ基板12は約0.5mmの厚さをそれぞれ有している。
【0022】
すなわち、LCDノイズの発生源である液晶駆動電極63から、タッチパネル10のセンサITO13までは、約1.6mmの距離が確保される。また、シールドITO11が存在するとともに、シールドITO11は、グランド(GND)に接続されている。そのため、図10に示した液晶表示装置は、LCDノイズに対して強い構成となっている。
【0023】
一方、近年では、静電容量方式のタッチパネルの薄型化が進んでおり、LCD内部にセンサが取り込まれたオンセル方式のタッチパネルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0024】
図11は、従来の薄型のタッチパネルを備えた液晶表示装置を示す断面図である。図11において、この液晶表示装置は、LCD60Aと、LCD60Aの内部にセンサITO13が形成された薄型のタッチパネル10Aとから構成されている。
【0025】
LCD60Aは、第1偏光板61、TFT側ガラス基板62、TFT側ガラス基板62の表面に形成された液晶駆動電極63、カラーフィルタ側ガラス基板64、および第2偏光板65が、層状に重ねられて構成されている。なお、液晶は、TFT側ガラス基板62と液晶駆動電極63との間に注入等されるが、図示を省略している。また、カラーフィルタおよび配向膜も、図示を省略している。
【0026】
タッチパネル10Aは、カラーフィルタ側ガラス基板64の表面に形成されたセンサITO13、第2偏光板65の表面に設けられた接着剤14、および接着剤14によって接着されるカバーガラス15が、層状に重ねられて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2010−232162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
図11に示した従来の薄型のタッチパネルを備えた液晶表示装置では、カラーフィルタ側ガラス基板64が約0.4mmの厚さなので、LCDノイズの発生源である液晶駆動電極63から、タッチパネル10AのセンサITO13までの距離が、約0.4mmとなる。
【0029】
すなわち、図11に示した液晶表示装置では、図10に示した液晶表示装置と比較して、液晶駆動電極63とセンサITO13との距離が近くなる。また、図10に示したシールドITO11が省略されていることから、LCDノイズの影響を受けやすい構成となっている。そのため、薄型のタッチパネル10Aを備えたタッチパネル装置においては、LCDノイズの影響によって、Rawdataが急激に上下する場合がある。
【0030】
このとき、薄型のタッチパネル10Aを備えたタッチパネル装置について、第Nフレーム時間におけるRawdataを例示した図12に表されるように、LCDノイズの影響によってRawdataがスレッシュホールドの上下で変動することにより、タッチされていないにも関わらず、タッチ有りと判定される場合がある。
【0031】
これは、ベースラインデータがLCDノイズの影響によるRawdataの急激な変動に追従できていないことが原因である。図13は、従来の薄型のタッチパネル装置のタッチされていないポイントにおけるRawdataの変動を例示する説明図である。ここで、このポイントは、タッチされていない状態が継続しているものとする。
【0032】
図13において、Rawdataが急激にベースラインデータ以下となった後、次のフレーム時間で、ベースラインデータまたはスレッシュホールド以上となっている点がある。このとき、ベースラインデータは、デクリメントされた後にインクリメントされるか、またはタッチ検出時であるとして更新されないので、ほぼ一定の値を示すこととなる。
【0033】
すなわち、Rawdataが短時間に大きな変動量でベースラインデータの上下を推移する場合には、ベースラインデータがRawdataの急激な変動に追従することができず、ほぼ一定の値を示し続けることとなる。そのため、Rawdataが短時間に大きく下方に変動した場合には、タッチされていないにも関わらず、タッチ有りと判定される場合がある。
【0034】
したがって、LCDノイズの影響によって誤動作が生じるとともに操作感が低下し、タッチパネル装置のパフォーマンスが低下するという問題があった。
また、更新後のベースラインデータは、次回のタッチ検出処理時に使用するために、ベースラインデータ専用に割り当てられたメモリに書き込まれるので、このメモリの容量を、1フレームの全センサ交点分確保する必要があるという問題もあった。
【0035】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、LCDノイズの影響を低減することにより、誤動作を防止し、操作感を向上させるとともに、使用メモリを削減することができるタッチパネル装置およびタッチパネルのタッチ検出方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
この発明に係るタッチパネル装置は、静電容量方式のタッチパネルを備えたタッチパネル装置であって、タッチパネルの1水平ラインにおけるRawdataを取得するRawdata取得部と、Rawdata取得部で取得された1水平ラインのRawdataの中央値を、メディアンベースラインとして算出するメディアンベースライン算出部と、タッチパネルの1水平ラインの各センサについて、取得されたRawdataとメディアンベースラインとを比較し、Rawdataがメディアンベースラインのプラス方向に一定のオフセットを加えたスレッシュホールド以上である場合にタッチ有りと判定し、Rawdataがスレッシュホールド以下である場合にタッチなしと判定するタッチ検出処理部と、を備えたものである。
【0037】
また、この発明に係るタッチパネルのタッチ検出方法は、静電容量方式のタッチパネルのタッチ検出方法であって、タッチパネルの1水平ラインにおけるRawdataを取得するRawdata取得ステップと、Rawdata取得ステップで取得された1水平ラインのRawdataの中央値を、メディアンベースラインとして算出するメディアンベースライン算出ステップと、タッチパネルの1水平ラインの各センサについて、取得されたRawdataとメディアンベースラインとを比較し、Rawdataがメディアンベースラインのプラス方向に一定のオフセットを加えたスレッシュホールド以上である場合にタッチ有りと判定し、Rawdataがスレッシュホールド以下である場合にタッチなしと判定するタッチ検出処理ステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0038】
この発明に係るタッチパネル装置およびタッチパネルのタッチ検出方法によれば、Rawdata取得部は、タッチパネルの1水平ラインにおけるRawdataを取得し、メディアンベースライン算出部は、Rawdata取得部で取得された1水平ラインのRawdataの中央値を、メディアンベースラインとして算出し、タッチ検出処理部は、タッチパネルの1水平ラインの各センサについて、取得されたRawdataとメディアンベースラインとを比較し、Rawdataがメディアンベースラインのプラス方向に一定のオフセットを加えたスレッシュホールド以上である場合にタッチ有りと判定し、Rawdataがスレッシュホールド以下である場合にタッチなしと判定する。
そのため、LCDノイズの影響を低減することにより、タッチパネルの誤動作を防止し、操作感を向上させることができる。また、従来必要であった1フレームの全センサ交点分のメモリを不要とすることにより、使用メモリを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】この発明の実施の形態1に係るタッチパネル装置を示すブロック構成図である。
図2】この発明の実施の形態1に係るタッチパネル装置のタッチパネルにおける1水平ライン上のRawdataの取得位置を示す説明図である。
図3】(a)〜(c)は、図2に示した水平ラインにおけるフレーム時間毎の差分データを示す説明図である。
図4】この発明の実施の形態1に係るタッチパネル装置のMCUの動作を示すフローチャートである。
図5】この発明の実施の形態1に係るタッチパネル装置の第Nフレーム時間におけるRawdataを例示する説明図である。
図6】(a)〜(c)は、メディアンベースラインに基づいてタッチの有無を検出する場合と、平均ベースラインに基づいてタッチの有無を検出する場合とを比較して示す説明図である。
図7】従来の一般的なタッチパネル装置を示すブロック構成図である。
図8】従来の一般的なタッチパネル装置のMCUの動作を示すフローチャートである。
図9】従来の一般的なタッチパネル装置の第Nフレーム時間におけるRawdataを例示する説明図である。
図10】従来の一般的なタッチパネルを備えた液晶表示装置を示す断面図である。
図11】従来の薄型のタッチパネルを備えた液晶表示装置を示す断面図である。
図12】従来の薄型のタッチパネル装置の第Nフレーム時間におけるRawdataを例示する説明図である。
図13】従来の薄型のタッチパネル装置のタッチされていないポイントにおけるRawdataの変動を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、この発明に係るタッチパネル装置およびタッチパネルのタッチ検出方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0041】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るタッチパネル装置を示すブロック構成図である。図1において、このタッチパネル装置は、タッチパネル10A、タッチ制御IC20、MCU30Aおよびホストコントローラ50を備えている。
【0042】
タッチパネル10Aは、図11に示した薄型のタッチパネルである。また、タッチパネル10Aの動作、並びにタッチ制御IC20およびホストコントローラ50の構成および動作は、上述した図7のものと同様なので、説明を省略する。
【0043】
MCU30Aは、Rawdata取得部31、メディアンベースライン算出部32およびタッチ検出処理部33を有している。なお、MCU30Aは、CPUとプログラムを格納したメモリ(1次メモリ)とを有するマイクロプロセッサ(図示せず)で構成されており、MCU30Aを構成する各ブロックは、メモリにソフトウェアとして記憶されている。
【0044】
ここで、図2、3を参照しながら、タッチパネル10Aに重畳するLCDノイズについて説明する。図2は、この発明の実施の形態1に係るタッチパネル装置のタッチパネル10Aにおける1水平ライン上のRawdataの取得位置P〜P+10(Pは整数)を示す説明図である。また、図3(a)〜(c)は、図2に示した水平ライン(取得位置P〜P+10)におけるフレーム時間毎の差分データを示す説明図である。
【0045】
具体的には、図3(a)は、図2に示した水平ラインにおける第Nフレーム時間の差分データ(Rawdata−ベースラインデータ)を示し、図3(b)は、図2に示した水平ラインにおける第N+1フレーム時間の差分データを示し、図3(c)は、図2に示した水平ラインにおける第N+2フレーム時間の差分データを示している。この図2、3では、取得位置P〜P+10の何れもタッチされていない場合について説明する。
【0046】
図3(a)〜(c)において、差分データは、各フレーム時間のそれぞれにおいて、ともに同じレベルで上下していることが分かる。すなわち、タッチパネル10Aの1水平ラインについて、タッチパネル10Aに同一のLCDノイズが重畳していることが分かる。したがって、タッチパネル10Aの1水平ライン単位で、LCDノイズの影響を低減することを考える。
【0047】
ここで、上述した図9、12を参照すると、1水平ライン上の各センサのRawdataは、ほぼ同じ値をとっていることが分かる。そこで、タッチパネル10Aの1水平ラインにおけるRawdataの中央値をベースライン(以下、「メディアンベースライン」と称する)とし、Rawdataとメディアンベースラインとの差分データに基づいて、タッチの有無を検出することが考えられる。
【0048】
以下、図4のフローチャートを参照しながら、図1に示したタッチパネル装置のMCU30Aの各部の動作について説明する。
まず、Rawdata取得部31は、タッチパネル10Aの1水平ラインにおけるRawdataを取得する(ステップS1)。
【0049】
続いて、メディアンベースライン算出部32は、ステップS1で取得された1水平ラインのRawdataの中央値を算出する(ステップS2)。このとき、メディアンベースライン算出部32は、算出したRawdataの中央値を、1水平ラインのメディアンベースラインとしてMCU30A内のメモリ(1次メモリ)に記憶する。なお、この1次メモリは、汎用メモリ領域であって、別途専用に割り当てる必要のない、他でも使用可能なメモリである。
【0050】
このように、従来は、次回のタッチ検出処理時に使用するために、更新後のベースラインデータを、ベースラインデータ専用に割り当てられたメモリ(図7のメモリ40)に、1フレームの全センサ交点分書き込む必要があったが、算出したメディアンベースラインをMCU30A内の1次メモリに記憶することにより、ベースラインデータを次回のタッチ検出処理まで保持する必要がなくなるので、使用メモリを削減することができる。
【0051】
ここで、メディアンベースライン算出部32は、隣り合うRawdataの差分がスレッシュホールド以上である場合、すなわちタッチ検出時には、当該Rawdataを中央値の算出から除外する。これにより、タッチ未検出時の基準となるメディアンベースラインを高精度に算出することができる。
【0052】
また、メディアンベースライン算出部32は、タッチパネル10Aの1水平ラインにおけるRawdataの数が偶数である場合には、中央に近い2つのRawdataの平均値を、メディアンベースラインとする。これにより、タッチ未検出時の基準となるメディアンベースラインを高精度に算出することができる。
【0053】
次に、タッチ検出処理部33は、タッチ制御IC20からのRawdataとステップS2で算出したメディアンベースラインとに基づいて、タッチパネル10Aの1水平ラインの各センサについてタッチ検出処理を行い、タッチの有無をタッチ検出信号としてホストコントローラ50に出力して(ステップS3)、図4の処理を終了する。
【0054】
具体的には、タッチ検出処理部33は、第N(Nは整数)フレーム時間におけるRawdataを例示した図5に表されるように、Rawdataがメディアンベースラインのプラス方向に一定のオフセットを加えたスレッシュホールド以上である場合にタッチ有りと判定し、Rawdataがスレッシュホールド以下である場合にタッチなしと判定する。
【0055】
なお、Rawdata取得部31、メディアンベースライン算出部32およびタッチ検出処理部33は、続くサイクルにおいて、次の水平ラインについて、順次図4に示した処理を繰り返し実行する。
【0056】
ここで、図6を参照しながら、タッチパネル10Aの1水平ラインにおけるRawdataの中央値をベースライン(メディアンベースライン)とし、Rawdataとメディアンベースラインとの差分データに基づいて、タッチの有無を検出する場合と、タッチパネル10Aの1水平ラインにおけるRawdataの平均値をベースライン(平均ベースライン)とし、Rawdataと平均ベースラインとの差分データに基づいて、タッチの有無を検出する場合とを比較して説明する。
【0057】
図6(a)は、1水平ラインにおいて、すべてのRawdataが高く、かつ突発的に高いRawdataがある場合の差分データ(Rawdata−ベースラインデータ)を示している。また、図6(b)は、1水平ラインにおけるRawdataの中央値を使用して全差分データをシフトさせた場合(実線)と、1水平ラインにおけるRawdataの平均値を使用して全差分データをシフトさせた場合(破線)とを示している。また、図6(c)は、スレッシュホールドの近傍における差分データを拡大して示している。
【0058】
図6(b)において、1水平ラインにおけるRawdataの平均値を使用して全差分データを下方にシフトさせた場合には、突発的に高いRawdataの影響により、ベースラインデータからのずれが生じる。そのため、図6(c)に示されるように、タッチ検出が行われない場合が発生する。
【0059】
これに対して、図6(b)において、1水平ラインにおけるRawdataの中央値を使用して全差分データを下方にシフトさせた場合には、突発的に高いRawdataが除外されるので、全差分データがベースラインに近いデータとなる。そのため、図6(c)に示されるように、タッチ検出が可能となる。
【0060】
このように、1水平ラインにおけるRawdataの数が少ない場合において、平均値を使用すると、スレッシュホールド内にある高いRawdataの影響を受けることになるので、タッチ検出が行われない場合が発生する。そのため、Rawdataとメディアンベースラインとの差分データに基づいて、タッチの有無を検出する場合のほうが、タッチの有無を、高精度に検出することができる。
【0061】
なお、1水平ラインにおけるRawdataの数が多い場合において、平均値を使用すると、使用データ数が多くなるので、突発的に高いRawdata値の影響は少なくなり、メディアン値を使用した場合とほぼ同じシフト量となる。
【0062】
以上のように、実施の形態1によれば、Rawdata取得部は、タッチパネルの1水平ラインにおけるRawdataを取得し、メディアンベースライン算出部は、Rawdata取得部で取得された1水平ラインのRawdataの中央値を、メディアンベースラインとして算出し、タッチ検出処理部は、タッチパネルの1水平ラインの各センサについて、取得されたRawdataとメディアンベースラインとを比較し、Rawdataがメディアンベースラインのプラス方向に一定のオフセットを加えたスレッシュホールド以上である場合にタッチ有りと判定し、Rawdataがスレッシュホールド以下である場合にタッチなしと判定する。
そのため、LCDノイズの影響を低減することにより、タッチパネルの誤動作を防止し、操作感を向上させることができる。また、従来必要であった1フレームの全センサ交点分のメモリを不要とすることにより、使用メモリを削減することができる。
【符号の説明】
【0063】
10、10A タッチパネル、11 シールドITO、12 センサ基板、13 センサITO、14 接着剤、15 カバーガラス、20 タッチ制御IC、30、30A MCU、31 Rawdata取得部、32 メディアンベースライン算出部、33 タッチ検出処理部、40 メモリ、50 ホストコントローラ、61 第1偏光板、62 TFT側ガラス基板、63 液晶駆動電極、64 カラーフィルタ側ガラス基板、65 第2偏光板。
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