【実施例】
【0046】
次に本発明の除草剤組成物に関する実施例を挙げて説明する。化合物、添加剤の種類及び配合比率は、これのみに限定されることなく広い範囲で変更可能である。以下の説明において「部」は重量部を意味する。又、以下の実施例及び試験例中の「化合物[I]」は、上記式[I]で表されるオキソピラジン誘導体を、「化合物[IIa]」及び「化合物[IIb]」は、上記式[IIa]及び式[IIb]で表される3−フェノキシ−4−ピリダジノール誘導体を示す。
【0047】
〈実施例1〉 水和剤
化合物[I]1部、化合物[IIb]7部、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.5部、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5部、珪藻土20部及びクレー71部を混合粉砕し、水和剤を得た。
【0048】
〈実施例2〉 水和剤
化合物[I]1部、化合物[IIb]10部、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.5部、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5部、珪藻土20部及びクレー68部を混合粉砕し、水和剤を得た。
【0049】
〈実施例3〉 水和剤
化合物[I]1部、化合物[IIb]10部、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.5部、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5部、珪藻土20部及び炭酸カルシウム68部を混合粉砕し、水和剤を得た。
【0050】
〈実施例4〉 顆粒水和剤
化合物[I]10部と化合物[IIb]10部に、リグニンスルホン酸ナトリウム5部、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル1部、ポリカルボン酸ナトリウム3部、ホワイトカーボン5部、α化デンプン1部、炭酸カルシウム65部及び水10部を加え混合練り押し造粒した。得られた粒状物を流動層乾燥機で乾燥し、顆粒水和剤を得た。
【0051】
〈実施例5〉 フロアブル剤
水62.9部に、化合物[I]5部、化合物[IIb]15部、リグニンスルホン酸ナトリウム2部、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸アンモニウム4部、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル0.5部、キタンサンガム0.1部、ベントナイト0.5部及びエチレングリコール10部を加え高速撹拌機で混合し、湿式粉砕機で粉砕しフロアブル剤を得た。
【0052】
〈実施例6〉 粒剤
化合物[I]1部、化合物[IIb]7部、タルクとベントナイトを1:3の割合の混合した増量剤77部、ホワイトカーボン10部、界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンアルキルアリールポリマー及びアルキルアリールスルホネートの混合物)5部に水10部を加え、よく練ってペースト状としたものを直径1mmのふるい穴から押し出して乾燥した後、0.5〜1mmの長さに切断し、粒剤を得た。
【0053】
次に試験例をあげて本発明の除草剤組成物の奏する効果を説明する。
【0054】
〈試験例1〉 水田における雑草発生前処理時の除草効果試験
1/5000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、イヌホタルイを播種し、ミズガヤツリの塊茎を移植し、水深1cmに湛水した。実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈して水面に施用した。その後は湛水深4cmを維持して育成し、処理27日目に除草効果を目視で評価した。結果を表1、表2に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示し、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で示した。
【0055】
この試験例1では、[成分A]及び[成分B]を個々に施用した場合の除草作用の形式的な総和を超える本発明の組み合わせの作用がしばしば認められた。試験で認められた値は、好適な低用量で、以下の式にしたがって計算されるコルビーによる期待値を上回る組み合わせの作用を示した{S.R. Colby in Weeds, 15 (1967) pp. 20-22を参照}:
期待値(E)=X+Y-XY/100,
但し、a剤のx濃度における抑制率をX、b剤のy濃度における抑制率をYとする。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
〈試験例2〉 水田における雑草発生前処理時の除草効果試験2
1/10000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、イヌホタルイを播種し、オモダカの塊茎を移植し、水深1cmに湛水した。実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈して水面に施用した。その後は湛水深4cmを維持して育成し、処理35日目に除草効果を目視で評価した。結果を表3、表4に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示し、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で示した。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
〈試験例3〉 水田における雑草生育期処理時の除草効果試験
1/5000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、イヌホタルイを播種し、ミズガヤツリの塊茎を移植し、水深1cmに湛水した。その後、イヌホタルイが1.5葉、ミズガヤツリが2葉に達した段階で湛水深4cmとし、実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈して水面に施用した。その後は湛水深4cmを維持して育成し、処理21日目に除草効果を目視で評価した。結果を表5、表6に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示し、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で示した。
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
〈試験例4〉 水田における雑草生育期処理時の除草効果試験2
1/10000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、イヌホタルイを播種し、オモダカの塊茎を移植し、水深1cmに湛水した。その後、イヌホタルイが2葉、オモダカが2葉に達した段階で湛水深4cmとし、実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈して水面に施用した。その後は湛水深4cmを維持して育成し、処理35日目に除草効果を目視で評価した。結果を表7、表8に示す。尚、薬量は10アールあたりの有効成分量で示し、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で示した。
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
〈試験例5〉 水田における雑草発生前処理時の除草効果試験
1/5000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、タイヌビエ、イヌホタルイを播種し、ウリカワ、ミズガヤツリの各塊茎、イボクサの切断片を移植し、水深1cmに湛水した。実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈して水面に施用した。その後は湛水深4cmを維持して育成し、処理27日目に除草効果を目視で評価した。尚、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で評価した。
【0068】
〈試験例6〉 水田における雑草生育期処理時の除草効果試験
1/5000アールのプラスチックポットに水田土壌を充填し、施肥、代かき後、タイヌビエ、イヌホタルイを播種し、ミズガヤツリの塊茎、イボクサの切断片を移植し、水深1cmに湛水した。その後、タイヌビエが2葉、イヌホタルイが1.5葉、ミズガヤツリが2葉、イボクサの切断片が草丈4cmに達した段階で湛水深4cmとし、実施例1に準じて調製した水和剤の所定量を水で希釈して水面に施用した。その後は湛水深4cmを維持して育成し、処理21日目に除草効果を目視で評価した。尚、除草効果は0〜100の指数(0:無作用〜100:完全枯殺)で評価した。
【0069】
この試験例5及び試験例6では、[成分A]、[成分B]及び[成分C]を個々に施用した場合の除草作用の形式的な総和を超える本発明の組み合わせの作用がしばしば認められた。試験で認められた値は、好適な低用量で、以下の式にしたがって計算されるコルビーによる期待値を上回る組み合わせの作用を示した{S.R. Colby in Weeds, 15 (1967) pp. 20-22を参照}:
期待値(E)=X+Y+Z-(XY+XZ+YZ)/100+XYZ/10000
但し、a剤のx濃度における抑制率をX、b剤のy濃度における抑制率をY、c剤のz濃度における抑制率をZとする。
【0070】
試験例5において、供試したいずれかの草種に対して、試験で認められた値が、好適な低用量で、上記の式にしたがって計算されるコルビーによる期待値を10以上、上回る[成分A]、[成分B]及び[成分C]の組み合わせを以下に示す。
【0071】
化合物[I]+化合物[IIb]+チオベンカルブ、化合物[I]+化合物[IIb]+ピリミスルファン、化合物[I]+化合物[IIb]+ピリミノバックメチル、化合物[I]+化合物[IIb]+フェノキサスルホン
【0072】
試験例6において、供試したいずれかの草種に対して、試験で認められた値が、好適な低用量で、上記の式にしたがって計算されるコルビーによる期待値を10以上、上回る[成分A]、[成分B]及び[成分C]の組み合わせを以下に示す。
【0073】
化合物[I]+化合物[IIb]+チオベンカルブ、化合物[I]+化合物[IIb]+ピリミスルファン、化合物[I]+化合物[IIb]+ピリミノバックメチル、化合物[I]+化合物[IIb]+フェノキサスルホン
【0074】
本発明の除草剤組成物は、その有効成分である式[X]で表されるオキソピラジン誘導体及びその塩からなる群から選択される[成分A]と、式[Y]で表される3−フェノキシ−4−ピリダジノール誘導体及びその塩からなる群から選択される[成分B]との組み合わせにより、それぞれの除草効果が単に相加的に得られるのみならず、相乗的殺草効果が発現すると共に、多くの草種に有効であるところから、幅広い殺草スペクトラムを有することが示された。又、既存の除草剤に比べて薬剤処理適期幅が広く、雑草の発生を長期間に亘って抑制し、有用植物に薬害を生じさせず、栽培の省力化と作物の増産に寄与することができる。