特許第6030010号(P6030010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030010
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】内視鏡手術器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   A61B18/14
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-56309(P2013-56309)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2013-192949(P2013-192949A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年11月18日
(31)【優先権主張番号】10 2012 102 271.2
(32)【優先日】2012年3月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510285610
【氏名又は名称】オヴェスコ エンドスコピー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】グンナル アンヘック
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン メンゲ
(72)【発明者】
【氏名】チ−ンギア ホー
(72)【発明者】
【氏名】マルク オー.シュル
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−325811(JP,A)
【文献】 米国特許第5403311(US,A)
【文献】 米国特許第6063081(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0060867(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0254083(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00
A61B 18/12
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に内側ジャケット(4)が変位可能に支持される外側ジャケット(2)を備えて、前記内側ジャケットの末端セクションには、その軸線方向両側端部が開放される洗浄通路(12)を備えるスリーブ形状の器具ヘッド(6)が形成又は装着され、前記器具ヘッド(6)には、その電気供給ライン(16)が前記内側ジャケット(4)の内部に伝達されるRF電極(8)が電気絶縁方式で含まれ、これによって、前記器具ヘッド(6)は、前記RF電極(8)及び前記電気供給ライン(16)と共に前記RF電極(8)と器具洗浄媒体開口(14)との間の相対位置の変動なく前記外側ジャケット(2)の末端部を越えて軸線方向に変位可能であり、前記器具洗浄媒体開口(14)は、前記器具ヘッド(6)の最末端開口であって、少なくとも一つの洗浄通路(12)によって直接的に形成される内視鏡手術器具において、
前記RF電極(8)は、前記外側ジャケット(2)に対する全ての相対作動位置で前記器具ヘッド(6)の末端部を越えて軸線方向に基本的に自由に突出する方式で前記器具ヘッド(6)に動かないように固定され、
前記器具ヘッド(6)は、前記外側ジャケット(2)に対する全ての相対作動位置に、望ましくは流体密封方式で、少なくとも部分的に案内され留まることを特徴とする内視鏡手術器具。
【請求項2】
前記基端洗浄通路(12)は、前記内側ジャケット(4)によって輸送される洗浄媒体の供給を受けるために前記内側ジャケット(4)の内部区画内で直接終端されることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡手術器具。
【請求項3】
前記スリーブ形状の器具ヘッド(6)は、スライディング方式で前記外側ジャケット(2)に直接配置される大外径の軸線方向末端セクション(6a)を備えて、前記内側ジャケット(4)のための流体密封挿入又はねじ固定式ベースソケットとして小外径の軸線方向基端セクション(6b)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の内視鏡手術器具。
【請求項4】
前記器具ヘッド(6)の内部で前記RF電極(8)の望ましくは流体密封式固定は、前記RF電極(8)の周囲に配置され、前記スリーブ形状の器具ヘッド(6)にプラグのように嵌められる少なくとも一つのクランプブッシング(10)、望ましくは、軸線方向にオフセットされた二つのクランプブッシングによって行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の内視鏡手術器具。
【請求項5】
前記スリーブ形状の器具ヘッド(6)はセラミック材で構成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の内視鏡手術器具。
【請求項6】
前記外側及び内側ジャケット(2、4)は、人体の臓器、望ましくは腸(intestine)の通路の屈曲に沿うように順応する曲げ柔軟性材料で構成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の内視鏡手術器具。
【請求項7】
前記外側ジャケット(2)の末端部の近位で完全に停止されるように、前記外側ジャケット(2)の末端部からRF電極(8)を進行させ及び/又は前記外側ジャケット(2)内に回収するために、前記スリーブ形状の器具ヘッド(6)は、前記内側ジャケット(4)及び/又は前記電気供給線(16)を経由して押したり、引いたりする力として進退力を受けたり、あるいは受けることができ、前記外側及び内側スリーブ(2、4)の相対移動は、前記器具ヘッド(6)によってスライディングして案内されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の内視鏡手術器具。
【請求項8】
前記スリーブ形状の器具ヘッド(6)は、外部に露出する末端セクションが丸くされることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の内視鏡手術器具。
【請求項9】
少なくとも前記内側ジャケット(4)は、供給される洗浄媒体による内圧に耐えるために、望ましくは内側が柔軟性補強材でホース形状に形成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の内視鏡手術器具。
【請求項10】
前記器具ヘッド(6)の傾斜を防止するために、前記器具ヘッドは前記器具ヘッドがスライドする外側ジャケット(2)の直径よりも軸線方向に長いことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の内視鏡手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TFT設計類型の内視鏡手術器具に関し、特に、流体洗浄式(fluid―flushed)RF電極を備えた内視鏡手術器具に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の最小侵襲手術において、臓器組織を切断し及び/又は、溶接・閉鎖するために、RF電流が単極又は両極配列のRF電極に印加されるTFT構造設計による手術器具の使用が日々増加している。手術器具のためのアクセス通路を可能な限り小さく維持しながら手術位置に対する十分に良好な視野を確保するためには、手術位置を可能な限り清潔に、そして、組織片及び/又は血液のない状態に維持することが重要である。このような点で、特に最小侵襲手術技術を用いる場合、手術位置の洗浄はその重要性がますます大きくなっている。
【0003】
既存の類型の内視鏡手術器具は、特許文献1によって公知となっている。この器具は、(身体から遠い方に位置した)基端部には取っ手・器具グリップが配列され、(身体に向かう)末端部には、供給シャフトに挿入されるプラグ形状の挿入部が設けられる一つの供給シャフトを備えている。挿入部は、中央貫通ボアに加えて少なくとも一つの分散型洗浄転移通路を備えている。
【0004】
供給シャフト内では、器具グリップによって供給シャフト内部の電流ラインに連結されるピン又はピン形状のRF電極が軸線方向にスライドする。この場合、RF電極は、供給シャフト上でスライディング方式によって移動可能且つ、多数の分散型軸線方向貫通ボアが形成された案内スリーブに挿入される。しかし、案内スリーブは、RF電極のための末端スライド支持台としての役割のみならず、RF電極の軸線方向進行移動を制限する軸線方向停止部としての役割もする。換言すると、RF電極が進行する場合、案内スリーブは挿入部の中央貫通ボアを経由してシステム内を軸線方向に移動し、この場合の移動は停止する。
【0005】
この構成によって手術位置に洗浄媒体が供給されることは可能であるが、洗浄媒体は、案内スリーブの遷移通路はもちろん、大型流動障害物に該当する挿入部の遷移通路も通過しなければならない。従って、手術位置での流体圧力はあまり高くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1834598(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような問題に直面し、本発明の目的は、機能性が増大したことを示す内視鏡手術器具を提供することにある。特殊な目的は、特にTFT構成設計の場合に内視鏡手術器具の洗浄特性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、請求項1の特徴を有する内視鏡手術器具によって解決される。本発明の有利な構造化は従属項の要旨である。
【0009】
本発明の基本思想は、望ましくはホース形状の外側スリーブ又はジャケットを含み、望ましくは、同様にホース形状の内側スリーブ又はジャケットが相対変位可能に外側ジャケット内に支持され、内側ジャケットの末端部には最大前進位置にあるときに外側ジャケットから軸線方向末端に突出するスリーブ又はシャフト形状の器具ヘッドが形成又は装着される内視鏡手術器具の一様態の提供にある。器具ヘッドには、電気絶縁されたRF電極が固定され、電極の電気供給ラインは内側ジャケットによって案内され、当該電極は軸線方向で器具ヘッドの末端部を越えて自由に突出する。この場合、器具ヘッドは、RF電極全体が軸線方向で外側ジャケットの末端部後方(基端方向)に位置し、外側ジャケットによって完全に取り囲まれる程度にまで外側ジャケット内に軸線方向で引き戻される。また、少なくとも一つの個別(又は多数個の)開放型洗浄通路は、器具ヘッドに軸線方向に形成されることはもちろん、器具ヘッドの両端部にも形成されるが、当該洗浄通路が同時に洗浄媒体の手術器具からの排出開口に該当し、その結果、洗浄通路は、RF電極と共に軸線方向に移動し、RF電極に対する相対位置を維持する。
【0010】
このようにして、洗浄噴出はRF電極に対して常に最適に案内することができ、その結果、洗浄成果が全体的に向上する。また、軸線方向から見ると、一つの洗浄通路のみを通過すればよいので、流動抵抗が減少し、洗浄圧力が増加する。
【0011】
基本的に、このような器具においては、RF電極が器具ヘッドに固定され、その結果、ヘッドに対して軸線方向に移動できない。その代わりに、器具ヘッドが外側ジャケットの内部で軸線方向にスライドする。この構成の基礎となる技術的背景は次の考慮事項を根拠とする。
【0012】
基本的に、RF電極は有効な方法で正確に配置されるべきであるが、このためには支持台で案内されなければならない。従って、例えば、内視鏡シャフトがその内部に挿入される手術器具の構成部品と見なされ、器具シャフトが本発明に係る内側ジャケットと同一に設定される場合、内視鏡シャフト(及びその末端セクション)がこのような案内機能を担当しなければならない。しかし、内視鏡と内視鏡の内部に挿入される手術器具においては、内側シャフト(手術器具)が末端方向に内視鏡の作業通路から案内されずに前進することが事実である。このように器具が内視鏡から"ぞんざいに延長(sloppy extension)"されると、内視鏡シャフトや挿入補助物によるRF電極の位置指定や案内が不可能になる程、案内の品質が低下する。換言すると、内視鏡シャフトは手術器具を中空臓器に挿入する役割のみをし、続いて、手術器具が軸線方向に内視鏡シャフトから前進し、最終的にRFピン(電極)が自由に前進するようになるが、このような手術器具内部での変位は一般的に挿入物によって案内される。これは、RFピン(電極)が放射状に支持・制限されるべきであることを意味する。
【0013】
このような支持は、RFピン(電極)がスライド作用によって挿入される中央遷移ホールを備えた器具スリーブ(内側スリーブ)に固定される挿入物によって行われると言われている。しかし、本発明の場合はまさに反対になる。これは、本発明に係るRFピン(電極)が(本発明の要旨ではないが、概して内視鏡に挿入される)手術器具の外側ジャケットの外側半径部にスライド作用によって案内されるスライディングブロック、すなわち、内視鏡ヘッドの中央遷移ホールに載せられ、図2を参照して後述するように、全ての作業位置でこのようなスライド―案内接触を維持することを意味する。また、手術器具の作動位置でホース形状の外側スリーブから(ただ)部分的にのみ変位され、また、依然としてスライド接触を有し、その結果、継続して案内されるように、器具ヘッドは望ましくは設計されている。
【0014】
最後に、望ましくは、器具ヘッドの傾き(canting)を防止するために、器具ヘッドは、スライド作用によって案内される外側スリーブの直径よりも必ず大きくなるように設計される。
【0015】
この場合、滑走ガイドは、本発明によって流体密封式で実現することができる。
【0016】
内側ジャケットによって輸送される洗浄媒体の供給を受けるためには、基端洗浄通路開口は、内側スリーブの内部区画内で直接終端されることが更に望ましい。流動断面は、器具シャフト(外側及び内側ジャケット)内部の流動断面によって拡大することができる。
【0017】
本発明の追加的な有利な改善点によると、器具ヘッドは、望ましくは流体密封され、外側ジャケットでスライディング方式によって案内される。これによって、追加的な支持手段を省略することができ、手術器具の全体構成が単純になる。
【0018】
本発明の追加的又は代案的様態によると、スリーブ形状の器具ヘッドは、外側ジャケットでのスライディングガイドとして大外径の軸線方向末端セクションを備えており、内側ジャケットのための流体密封挿入又はねじ固定式ベースソケットとして小外径の軸線方向基端セクションを備えている。その結果、器具ヘッドは、外側ジャケットの内部で傾斜せずにスライド可能な所定の軸線方向長さを有する。したがって、本構成は、これを通過して洗浄媒体が伝送されるべきスライド支持台をさらに設ける必要のない状況のための前提条件を形成する。
【0019】
RF電極を望ましくは流体密封型で固定することは、RF電極の周囲に配置され、スリーブ形状の器具ヘッドにプラグのように挿入される少なくとも一つのクランプブッシング、望ましくは、軸線方向に離隔した二つのクランピングブッシングによって器具ヘッドを実装することが好ましい。この結果、一方ではRF電極が器具ヘッドに対して十分に固定され、他方では内側ジャケットが洗浄媒体用ラインとして使用されるように流体密封式で閉鎖される。
【0020】
前記したように、RF電極全体とスリーブ形状の器具ヘッドの少なくとも一部とを外側ジャケットの末端部から突出させたり、(自由電極先端を含む)後退位置にあるRF電極を外側ジャケットの末端部後方に基端方向に位置する程度に外側ジャケット内に完全に後退させたりするためには、スリーブ形状の器具ヘッドが内側ジャケット及び/又は電気供給ラインを通して駆動力として印加される進退力(advance force)を受けられることが望ましい。したがって、RF電極は、後退位置で(電気絶縁材で構成される)外側ジャケットによって完全に取り囲まれるようになり、臓器組織は損傷を受けなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の望ましい実施例に係るTFT構造設計の内視鏡手術器具の末端セクションの斜視図である。
図2】RF電極の作動(前進)位置において、図1の末端セクションの側面図とこれに対応する縦断面図である。
図3】RF電極の作動停止(前進)位置において、図1の末端セクションの側面図とこれに対応する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明について、添付されている図面を参照しながら、好適な構成例を以下でもっと詳細に説明する。
【0023】
図1によると、本発明の望ましい実施例に係るTFT構造設計の内視鏡手術器具は、その基端部に器具グリップ(取っ手)又は稼動装置(追加記述されていない)が配列されたものであって、望ましくは曲げ―柔軟性(bend―flexible)シャフト1を備えている。器具シャフトの機能的特性は、器具が、望ましくは、例えば、腸、食道、血管などの人体の中空臓器(hollow organ)を必要以上に変形せずとも中空臓器の屈曲(turns)に沿うという点で"曲げ―柔軟性"と理解することができる。これは、基本的に浸透移動中に変形/曲げられるものが中空臓器でなく、むしろ器具シャフトになるように、器具シャフトの剛性が少なくとも曲げ方向に治療対象臓器組織より低くなるべきであることを意味する。
【0024】
図示したように、器具シャフト1は、(例えば、シリコンやPVC材料又はその他の生体適合性柔軟性材料で製造される)ホース形状の(第1の)外側ジャケット(スリーブ)2で構成され、類似するか又は類似する材料で製造できるものであって、同様にホース形状の( 第2の、別個の)内側ジャケット(スリーブ)4が外側ジャケット内で軸線方向に案内される。高度の曲げ柔軟性を有しながら軸線方向に剛性を増大させるために、そして/又は内圧上昇時の拡張能力を低減するために、外側及び内側ジャケット2、4は、例えば、組織(tissue)、螺旋(spiral)又は類似する形態の補強挿入物を備えることができる。
【0025】
図1に示したように、手術器具の末端セクションにおいて、内側ジャケット4は器具ヘッド6を備えているが、器具ヘッドは、(詳細に後述する)少なくとも一つの洗浄通路を除いて内側ジャケット4の内部区画を軸線方向で閉鎖し、RF電極切断刃を形成するために器具ヘッド6から軸線方向に突出する(固定型)RF電極8を望ましくは中央で支持する。
【0026】
図2は、本発明に係る手術器具の側面図と縦断面図である。したがって、器具ヘッド8は、異なる外径を有する軸線方向にオフセットされた二つの(隣接した)機能性セクション6a、6bを備えるものであって、望ましくは、セラミック材で製造されるスリーブ形状のボルト又はシャフトピースで構成される。大外径末端機能性セクション6aは、ホース形状の外側ジャケット2の内面をスライドできるように設計される。したがって、器具ヘッド6の末端機能性セクション6aの外径は、微細な遊び(間隙)が形成されるように外側ジャケット2の内径より少しだけ小さいので、最も望ましい場合は器具ヘッド6と外側ジャケット2との間の密封効果も達成される。(末端機能性セクション6aに比べて)小さい外径を有する基端機能性セクション6bは、ホース形状の内側ジャケット4に末端側で挿入され、軸線方向に流体密封(圧入、接合、ねじ固定)可能に設計される。器具ヘッド(スリーブ形状のボルト)6の全体長さは、望ましくは、外側ジャケット2に沿って軸線方向に変位されるときに外側ジャケット内で傾斜しないか、傾斜が困難になるように選択される。これは、器具ヘッド(スリーブ形状のボルト)6の全体長さが外側ジャケット2の直径より(相当)大きいことを意味する。
【0027】
スリーブ形状のボルト6は、RF電極8が所定長さだけボルト6の末端前面側を越えて突出し、この場合はRF電極切断刃を形成させる方式でその内部に挿入されるものであって、望ましくは中央に形成される連続軸線方向ボアを備えている。具体的な例において、RF電極8は、ワイヤ8を取り囲むクランプブッシングを使用して望ましくは軸線方向両側ボルト端部でボルト6の軸線方向ボアに固定されるワイヤ又はピンによって電気導電材で形成されるが、クランプブッシングは、ワイヤを固定するために軸線方向ボアに圧入される。前記したように、ボルト6は、その機能性セクション6bで末端を密封しながらホース形状の内側ジャケット4に軸線方向でさらに挿入され、内側ジャケット4は、(より大きい外径を有する)末端機能性セクション6aと接触する程度まで末端方向に基端機能性セクション6b上に牽引される(延長される)。
【0028】
また、スリーブ形状のボルト6は、中央のRF電極8を取り囲む円形軌道上に配列されて洗浄通路を形成する少なくとも一つ、望ましくは多数の等角離隔(uniformly angular―separated)された軸線方向貫通ホール(通路)12を備えている。洗浄通路12は、ボルト6の基端前面側でホース形状の内側ジャケット4の内部区画内に開放され、ボルト6の基端前面側に手術器具の洗浄媒体排出開口(ノズル)14を形成する。これは、これら洗浄媒体排出開口14がこれを介して洗浄媒体(洗浄液)が手術位置(RF電極)に直接噴射される末端最前面(最終)器具洗浄開口に該当することを意味する。このために、洗浄媒体は、器具シャフトの全体長さにわたって所定圧力でホース形状の内側ジャケット4を通して加圧される。
【0029】
図2から分かるように、RF電極8に電流を最適に印加するために、電気供給ライン16もホース形状の内側ジャケット4の内部で延長される。この場合、ホース形状の内側ジャケット4及び/又は供給ライン16は、器具ヘッドを押したり引いたりする力を伝達するために追加的に使用される。それには、スリーブ形状のボルト6及び当該ボルトに固定されるRF電極8、すなわち、ホース形状の外側ジャケット2に沿って器具ヘッドを移動するためのボルト6とRF電極8とを究極的には含んでいる。
【0030】
以下、本発明に係る手術器具の作用を図2図3を参照して説明する。
【0031】
図2には、本発明に係る手術器具が作動位置にあるのが示されている。したがって、器具ヘッド6、特にRF電極8の自由突出部(切断刃セクション)全体とスリーブ形状のボルト6の少なくとも一部がホース形状の外側ジャケット2から軸線方向に突出している。組織損傷を防止するために、ボルト6は、少なくとも外部に露出する領域が丸みを帯びるように加工される。洗浄通路12の排出開口又は噴射開口14は、器具ヘッド6に固定されるRF電極8と共に末端に移動し、その結果、洗浄通路12は、RF電極8、特にその自由電極先端に対する相対位置を維持する。このようにして、外側ジャケット2に対するRF電極8の全ての軸線方向位置で最適な洗浄効果を常に達成することができる。
【0032】
図3には、本発明に係る手術器具が作動停止位置にあるのが示されている。この場合、器具ヘッド6は、電極先端が(基端方向に)外側ジャケット2の末端前縁部後方に位置し、外側ジャケットによって完全に取り囲まれ(覆われ)る程度まで基端方向にホース形状の外側ジャケット2内に完全に後退している。
【0033】
この位置では、意図しない電流印加がなされた場合も、RF電極は臓器組織にそれ以上損傷を与えることはない。この位置では、手術器具の洗浄排出開口14が器具ヘッド6と共に外側ジャケット2内に基端方向に後退し、それ以上体液や組織によって塞がれたり汚染されたりしなくなる。
【0034】
要約すると、器具シャフト2を提供するホース形状の外側ジャケットを備えて、同様にホース形状の内側ジャケット4が相対的に変位可能に外側ジャケット内に支持され、内側ジャケットの末端セクションには、スリーブ又はシャフト形状の器具ヘッド6が形成又は装着される(内視鏡に挿入されるように適合化された)内視鏡手術器具が開示される。器具ヘッド6には、その電気供給ライン16が内側ジャケット4に沿って伝達されるものであって、望ましくはピン又はピン形状のRF電極8が電気絶縁されて固定され、当該電極8は、軸線方向に器具ヘッド6の末端部を越えて自由に突出する。また、器具ヘッド6には、少なくとも一つの(望ましくは多数の等角離隔)洗浄通路14が軸線方向に延長されて形成され、両側器具ヘッドの端部で開放され、洗浄剤(洗浄媒体)のための手術器具の実際の(最末端)洗浄剤排出開口を器具ヘッド6の末端部に形成する。そのため、(必要に応じて)RF電極8が部分的に器具ヘッド6と共に末端方向に前面側に向かって外側ジャケット2から外部まで軸線方向に変位される場合、洗浄媒体排出開口14もRF電極8と共に変位され、その結果、少なくとも一つの排出開口14とRF(HF)電極8との間の離隔距離が変動なく維持される。したがって、外部ジャケット2に対するRF電極8の全ての前進位置で最大の洗浄成果を達成することができる。
図1
図2
図3