特許第6030016号(P6030016)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030016
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/10 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   F15B15/10 G
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-74942(P2013-74942)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-199106(P2014-199106A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】篠平 大輔
(72)【発明者】
【氏名】伊東 匠
(72)【発明者】
【氏名】榊 和敏
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4833973(US,A)
【文献】 実開昭63−22404(JP,U)
【文献】 実開昭60−91804(JP,U)
【文献】 特開2004−183903(JP,A)
【文献】 実開平2−36603(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/10
F16F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧又は油圧によって駆動されるアクチュエータであって、
蛇腹形状の外形、且つ、円形の断面形状を有し、前記蛇腹形状の外形を前記円形の断面形状の中心軸方向に変形することによって、内部に供給された流体の圧力に応じて伸縮する伸縮部材と、
前記伸縮部材の内部に円筒形状の外形を有する流体供給部であって、該流体供給部の内部に前記中心軸方向及び前記円形の断面の半径方向に開口した通路を有し、該通路を用いて前記流体を前記伸縮部材の内部に供給する流体供給部と、
前記伸縮部材の一端に取り付けられた第1のベースと、
前記伸縮部材の他端に取り付けられた第2のベースと、
一端を前記第1のベースに固定され、他端で前記第2のベースを支持する支持部材と
を有し、
前記支持部材は、前記伸縮部材の伸縮によって移動する前記第2のベースの移動方向を案内することを特徴とする
アクチュエータ。
【請求項2】
前記支持部材は、円弧形状の弾性体であり、前記伸縮部材の伸縮時に該支持部材の一端と他端との間で前記円弧形状の外側に膨らむように弾性変形することを特徴とする、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記円弧形状の弾性体は、該円弧形状の長手方向の外形が波形であり、該円弧形状の長手方向に厚さが太い部分と細い部分とを交互に形成されていることを特徴とする、
請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記支持部材は、螺旋形状の弾性体であり、該弾性体が弾性変形することで該螺旋形状の螺旋軸方向に伸縮することを特徴とする、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記支持部材は、前記伸縮部材の伸縮に応じて前記弾性体を弾性変形することによって、前記第2のベースを保持し、且つ、前記第1のベースと前記第2のベースとの離間距離を変更することを特徴とする、
請求項2乃至4のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記流体供給部は、前記伸縮部材の縮小時に、該流体供給部の上面と前記第2のベースとを接触させ、該伸縮部材の縮小を制限することを特徴とする、
請求項1乃至5の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記伸縮部材の内部に前記第2のベースの位置を検出する検出部を更に有し、
前記検出部は、前記第2のベースの移動に伴って移動される移動端子の位置を検出することによって、該第2のベースの位置を検出することを特徴とする、
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記第1のベースに一端を固定された移動制限部材を更に有し、
前記移動制限部材は、前記第2のベースが前記第1のベースから離間する方向に移動するときに、該移動制限部材の他端で該第2のベースの最大離間距離を制限することを特徴とする、
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記第1のベースと前記第2のベースと前記支持部材とが一体で形成されることを特徴とする、
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ステージなどを移動させるアクチュエータには、ベルトやガイドなどを用いて、モータの回転運動を直進運動に変換するものがある。
【0003】
特許文献1には、水平方向に移動可能なテーブルを備えるステージ装置(アクチュエータ)において、モータの回転駆動によって移動しているテーブルの位置又は移動速度を検出し、検出した位置又は移動速度に基づいてモータの回転駆動を制御することによって、移動しているテーブルを制振する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−71178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、テーブル及びモータ等を支持する支持部材とテーブルの移動方向を案内するガイド部材とが必要なため、アクチュエータのサイズが大型化する場合がある。また、特許文献1に開示されている技術では、テーブルの位置を検出する検出部及び検出部を制御する制御部を有するため、アクチュエータのサイズを小型化することができない場合がある。更に、特許文献1に開示されている技術では、2軸以上の方向に移動させるために2つ以上のアクチュエータを組み合わせる(ユニット化する)場合に、アクチュエータのサイズを小型化することができない場合がある。
【0006】
本発明は、このような事情の下に為され、空気圧又は油圧を用いて移動ベースを移動させるアクチュエータであって、移動ベースを支持する支持部材と移動ベースの移動方向を案内するガイド部材とを一体化することで小型化されるアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様によれば、空気圧又は油圧によって駆動されるアクチュエータであって、蛇腹形状の外形、且つ、円形の断面形状を有し、前記蛇腹形状の外形を前記円形の断面形状の中心軸方向に変形することによって、内部に供給された流体の圧力に応じて伸縮する伸縮部材と、前記伸縮部材の内部に円筒形状の外形を有する流体供給部であって、該流体供給部の内部に前記中心軸方向及び前記円形の断面の半径方向に開口した通路を有し、該通路を用いて前記流体を前記伸縮部材の内部に供給する流体供給部と、前記伸縮部材の一端に取り付けられた第1のベースと、前記伸縮部材の他端に取り付けられた第2のベースと、一端を前記第1のベースに固定され、他端で前記第2のベースを支持する支持部材とを有し、前記支持部材は、前記伸縮部材の伸縮によって移動する前記第2のベースの移動方向を案内することを特徴とするアクチュエータが提供される。また、前記支持部材は、円弧形状の弾性体であり、前記伸縮部材の伸縮時に該支持部材の一端と他端との間で前記円弧形状の外側に膨らむように弾性変形してもよい。また、前記円弧形状の弾性体は、該円弧形状の長手方向の外形が波形であり、該円弧形状の長手方向に厚さが太い部分と細い部分とを交互に形成されていてもよい。また、前記支持部材は、螺旋形状の弾性体であり、該弾性体が弾性変形することで該螺旋形状の螺旋軸方向に伸縮てもよい。また、前記支持部材は、前記伸縮部材の伸縮に応じて前記弾性体を弾性変形することによって、前記第2のベースを保持し、且つ、前記第1のベースと前記第2のベースとの離間距離を変更てもよい。また、前記流体供給部は、前記伸縮部材の縮小時に、該流体供給部の上面と前記第2のベースとを接触させ、該伸縮部材の縮小を制限てもよい。また、前記伸縮部材の内部に前記第2のベースの位置を検出する検出部を更に有し、前記検出部は、前記第2のベースの移動に伴って移動される移動端子の位置を検出することによって、該第2のベースの位置を検出てもよい。また、前記第1のベースに一端を固定された移動制限部材を更に有し、前記移動制限部材は、前記第2のベースが前記第1のベースから離間する方向に移動するときに、該移動制限部材の他端で該第2のベースの最大離間距離を制限てもよい。また、前記第1のベースと前記第2のベースと前記支持部材とが一体で形成されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る微動アクチュエータによれば、空気圧又は油圧を用いて移動ベースを移動させる微動アクチュエータにおいて、移動ベースを支持する支持部材と移動ベースの移動方向を案内するガイド部材とを一体化することでアクチュエータを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータの一例を説明する概略外観図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータの一例を説明する分解図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータの内部を説明する概略断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る微動アクチュエータの一例を説明する概略外観図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る微動アクチュエータの内部を説明する概略断面図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る微動アクチュエータの一例を説明する概略外観図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る微動アクチュエータの内部を説明する概略断面斜視図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係る微動アクチュエータの内部を説明する概略断面図である。
図9】本発明の第4の実施形態に係る微動アクチュエータの内部を説明する概略外観図である。
図10】本発明の実施例に係る移動テーブルの例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。なお、添付の全図面の中の記載で、同一又は対応する部材又は部品には、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的としない。したがって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定することができる。
【0011】
実施形態に係る微動アクチュエータを用いて、本発明を説明する。なお、本発明は、以下に説明する微動アクチュエータ以外でも、空気圧若しくは油圧で駆動するアクチュエータであって、移動させる部材(ベースなど)を支持する支持部材と移動方向を案内する案内部材(ガイドなど)とを有するものであれば、いずれのものにも用いることができる。
【0012】
本発明の実施形態に係る微動アクチュエータを用いて、下記に示す順序で本発明を説明する。
【0013】
1.第1の実施形態(弾性部材を用いた微動アクチュエータ)
2.第2の実施形態(バネ部材を用いた微動アクチュエータ)
3.第3の実施形態(エンコーダを含む微動アクチュエータ)
4.第4の実施形態(ストッパを含む微動アクチュエータ)
5.実施例(移動テーブル)
[1.第1の実施形態]
第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110を用いて、本発明を説明する。
【0014】
図1乃至図3を用いて、本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110の概略構成を説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る微動アクチュエータ110の一例を説明する概略外観図である。図2は、微動アクチュエータ110の一例を説明する分解図である。図3は、微動アクチュエータ110の内部を説明する概略断面図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る微動アクチュエータ110は、基準位置に配置される基準ベース(第1のベース)11と、基準ベース11に対して相対的に移動される移動ベース(第2のベース)12と、を備える。また、微動アクチュエータ110は、内部に供給された流体の圧力に応じて伸縮する伸縮部材13と、移動ベース12を支持する支持部材14と、を備える。微動アクチュエータ110は、伸縮部材13をZ方向(伸縮方向)に伸縮することによって、移動ベース12をZ方向に移動する。なお、本発明に係る微動アクチュエータに用いることができる流体とは、空気若しくは油、又は、工場エア若しくは作動油などがある。
【0016】
図2に示すように、本実施形態に係る微動アクチュエータ110は、組み立て時に、先ず、支持部材14である第1の支持部材14a及び第2の支持部材14bの一端(以下、「第1の基準端部14ab、第2の基準端部14bb」という。)を基準ベース11に固定される。次に、微動アクチュエータ110は、第1の支持部材14a及び第2の支持部材14bの他端(以下、「第1の移動端部14am、第2の移動端部14bm」という。)に保持部材12aを取り付けられる。次いで、微動アクチュエータ110は、伸縮部材13を取り付けられた移動ベース12を保持部材12aに載置され、移動ベース12及び伸縮部材13等を組み立てられる。
【0017】
なお、微動アクチュエータ110は、例えば削り加工によって、基準ベース11と、保持部材12aと、支持部材14(第1の支持部材14a及び第2の支持部材14b)とを一体で形成(製造)されるものであってもよい。これにより、微動アクチュエータ110は、基準ベース11、保持部材12a及び支持部材14を一体で形成することによって、上記の組み立て手順を省略することができるとともに、微動アクチュエータ110の駆動精度を向上することができる。各部材同士を組み合わせて設計する場合は部品の取り付け精度の影響が大きいが、一体で形成することによってその影響を受けないようにできる。
【0018】
基準ベース(第1のベース)11は、基準位置に配置され、アクチュエータの駆動位置の基準となるものである。基準ベース11は、図1に示すように伸縮部材13の一端(以下、「基準部」という。)13bを取り付けられる。基準ベース11には、本実施形態では、略矩形の平板を用いる。また、基準ベース11には、ステンレス若しくはチタンなどの部材を用いることができる。なお、基準ベース11の形状及び材質は上記に示すものに限定されるものではない。
【0019】
移動ベース(第2のベース)12は、基準ベース11に対面して配置され、微動アクチュエータ110の駆動距離の基準となるものである。すなわち、移動ベース12は、基準ベース11に対して相対的に移動(離間又は接近)することによって、アクチュエータの駆動を実現する。移動ベース12は、図2(a)に示すように伸縮部材13の他端(以下、「移動部」という。)13mに取り付けられる。移動ベース12には、本実施形態では、略円形の平板を用いる。また、移動ベース12には、ステンレス若しくはチタンなどの部材を用いることができる。なお、移動ベース12の形状及び材質は上記に示すものに限定されるものではない。
【0020】
伸縮部材13は、内部に供給された流体の圧力に応じて伸縮し、微動アクチュエータ110を駆動させる部材である。伸縮部材13は、基準部13b(図2(a))を基準ベース11に取り付けられ、移動部13m(図2(a))を移動ベース12に取り付けられる。また、伸縮部材13は、その伸縮によって基準ベース11に対して相対的に移動ベース12を移動し、供給された流体の圧力を機械的な往復運動に変換する。
【0021】
具体的には、図3に示すように、伸縮部材13は、本実施形態では、蛇腹形状の外形、且つ、円形の断面形状を有する蛇腹部13Jを備える。伸縮部材13は、供給口から流体を供給されたときに(図中のFin)、供給された流体の圧力を基準ベース11と移動ベース12とが離間する方向に作用させ、その結果、蛇腹部13Jを円形の断面形状の中心軸方向に変形する。このとき、伸縮部材13は、流体の圧力と後述する支持部材14の弾性変形によって発生する応力とがつり合う状態で伸縮量が決定される。これにより、微動アクチュエータ110は、内部に供給された流体の圧力に応じて駆動(伸縮)することができる。
【0022】
本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110(伸縮部材13)は、例えば0mmから10mmの範囲を駆動範囲(伸縮範囲)とすることができる。また、本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110(伸縮部材13)は、供給する流体(の圧力)を制御することによって、例えば0.1μmの精度(分解能)で駆動(伸縮)することができる。
【0023】
更に、伸縮部材13は、本実施形態では、図3に示すように、その内部に円筒形状の外形を有する流体供給部13Sを更に有する。流体供給部13Sは、その内部に中心軸方向に開口した軸方向通路13Sh及び円形断面の半径方向に開口した半径方向通路13Srを有する。
【0024】
流体供給部13Sは、軸方向通路13Sh及び半径方向通路13Srを用いて、微動アクチュエータ110の外部から微動アクチュエータ110の伸縮部材13の内部に流体を供給する。ここで、流体供給部13Sは、複数の通路(軸方向通路13Sh及び半径方向通路13Sr)を用いて伸縮部材13の内部に一様に流体を供給することによって、流体の流入時の流体摩擦抵抗を低減することができる。また、流体供給部13Sは、伸縮部材13の縮小時に、流体供給部13Sの上面と移動部13m(図3)とを接触させ、伸縮部材13の縮小を制限する。すなわち、流体供給部13Sは、伸縮部材13の最小縮小時に、移動ベース12の移動を制限するストッパとして機能する。
【0025】
支持部材14(第1の支持部材14a及び第2の支持部材14b)は、移動ベース12を支持する部材である。支持部材14は、一端(図2(b)の第1の基準端部14ab、第2の基準端部14bb)を基準ベース11に固定され、他端(図2(b)の第1の移動端部14am、第2の移動端部14bm)で移動ベース12を保持する保持部材12aを支持する。支持部材14は、本実施形態では、図1乃至図3に示すように、第1の支持部材14a、第2の支持部材14bを備える。
【0026】
第1の支持部材14a及び第2の支持部材14bは、基準ベース11(及び移動ベース12)の対向する外縁に固定されている。すなわち、第1の支持部材14aと第2の支持部材14bとは、基準ベース11に左右対称に取り付けられている。これにより、支持部材14は、伸縮部材13の伸縮時に、第1の支持部材14aと第2の支持部材14bとを同等に変形させることができ、基準ベース11に対する移動ベース12の移動の直進性を向上することができる。なお、本発明に用いることができる支持部材は、基準ベース11の外縁に沿って等間隔に離間して固定される4つ以上の部材で構成されてもよい。
【0027】
また、第1の支持部材14a及び第2の支持部材14bは、図1乃至図3に示すように、円弧形状の部材で、弾性変形可能な弾性体を用いる。第1の支持部材14a及び第2の支持部材14bは、本実施形態では、円弧形状の長手方向の外形を波形にする。すなわち、支持部材14は、図1に示すように、第1の支持部材14aにおいて複数の太い部分14atと複数の細い部分14asとで構成される。また、第2の支持部材14bも、第1の支持部材14aと同様に、複数の太い部分と複数の細い部分とで構成される。これにより、第1の支持部材14a及び第2の支持部材14bは、伸縮部材13の伸張時に、複数の細い部分(第1の支持部材14aでは複数の細い部分14as)を弾性変形させることによって、自身に加わる応力を分散させることが可能となり、支持部材14の長手方向に略一様に弾性変形することが可能となる。また、第1の支持部材14a及び第2の支持部材14bは、伸縮部材13の伸縮時に支持部材14(第1の支持部材14a及び第2の支持部材14b)の一端(図2(b)の第1の基準端部14ab、第2の基準端部14bb)と他端(図2(b)の第1の移動端部14am、第2の移動端部14bm)との間で円弧形状の外側に膨らむように弾性変形する。このため、支持部材14は、一定の方向に変位可能な案内機能を実現する。
【0028】
更に、支持部材14は、微動アクチュエータ110の駆動時(伸縮部材13の伸縮時)に、伸縮部材13の伸縮によって移動する移動ベース12の移動方向を案内する。具体的には、第1の支持部材14a及び第2の支持部材14b(支持部材14)は、伸縮方向(図1に示すZ方向)に伸縮部材13が伸縮した場合に、移動ベース12が移動する方向をZ方向に制限(案内)する。これにより、本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110によれば、支持部材14を用いて、保持部材12aを介して移動ベース12を支持するとともに、移動ベース12の移動方向を案内(微動アクチュエータ110の駆動方向を制限)することができるので、ガイド部材を新たに設ける必要がない。また、微動アクチュエータ110によれば、ガイド部材を新たに設ける必要がないので、アクチュエータを小型化することができる。
【0029】
以上のとおり、本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110によれば、伸縮部材13の伸張時に、支持部材14の複数の細い部分(例えば図1の細い部分14as)を弾性変形させることによって、支持部材14の長手方向に略一様に弾性変形することができる。また、微動アクチュエータ110によれば、支持部材14を弾性変形することができるので、伸縮部材13の伸張時に、保持部材12aを介して移動ベース12を支持するとともに、移動ベース12の移動方向を案内するように支持部材14を変形することができる。すなわち、微動アクチュエータ110によれば、移動ベース12を支持する部材と移動ベース12の移動方向を案内する部材とを一体化した支持部材14を用いることができる。
【0030】
また、本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110によれば、基準ベース11に左右対称に取り付けられた第1の支持部材14a及び第2の支持部材14bを用いて移動ベース12の移動方向を案内(駆動方向を制限)することができ、伸縮部材13の伸縮時に第1の支持部材14aと第2の支持部材14bとを同等に変形させることができ、且つ、基準ベース11に対する移動ベース12の直進移動の精度を向上することができる。これにより、微動アクチュエータ110によれば、移動ベース12の直進性を確保するためのガイド部材を新たに設ける必要がなく、アクチュエータを小型化することができる。また、微動アクチュエータ110によれば、支持部材14として例えば複数のスプリングガイドのセットや複数の弾性ヒンジのセットを用いることによって、ヒステリシスのない伸縮性と、移動ベース12の一方向への移動のみを許容するという機能を兼用で発揮することができる。
【0031】
更に、本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110によれば、ベルトやガイドなどを用いてモータの回転運動を直進運動に変換するアクチュエータと比較して、ベルト、ガイド及び駆動回路が必要でなく、アクチュエータを容易に小型化することができる。本実施形態に係る微動アクチュエータ110によれば、モータを用いたアクチュエータと比較して、流体の圧力を用いるため発熱量が極端に少なく、高精度に駆動を制御することができる。本実施形態に係る微動アクチュエータ110によれば、モータを用いたアクチュエータと比較して、支持部材14の弾性変形を用いるため長時間の使用が可能であり、且つ、経年劣化の虞もない(寿命がない)。
【0032】
また、本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110によれば、圧電素子を用いるアクチュエータと比較して、駆動回路が必要でなく、アクチュエータを容易に小型化することができる。本実施形態に係る微動アクチュエータ110によれば、圧電素子を用いるアクチュエータと比較して、ヒステリシスが発生せず、アクチュエータを容易に制御することができる。
【0033】
すなわち、本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110によれば、アクチュエータのサイズを小型化することができるという有利な効果を有する。本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110によれば、特に、2軸以上の方向に移動させるために2つ以上のアクチュエータを組み合わせる(ユニット化する)場合に、アクチュエータのサイズを容易に小型化することができる。また、本発明の第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110によれば、小型化及び制御が容易のため、汎用性が高く、様々な用途に容易に適用することができる。
【0034】
[2.第2の実施形態]
第2の実施形態に係る微動アクチュエータ120を用いて、本発明を説明する。
【0035】
図4及び図5を用いて、本発明の第2の実施形態に係る微動アクチュエータ120の概略構成を説明する。ここで、図4は、本実施形態に係る微動アクチュエータ120の一例を説明する概略外観図である。図5は、微動アクチュエータ120の内部を説明する概略断面図(図4のA−A'断面図)である。
【0036】
なお、本実施形態に係る微動アクチュエータ120の構成は、第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110の構成と同様の部分があるため、異なる部分(支持部材24)を主に説明する。
【0037】
図4及び図5に示すように、本実施形態に係る微動アクチュエータ120は、略矩形の平板である基準ベース(第1のベース)21と、略矩形の平板である移動ベース(第2のベース)22と、内部に供給された流体の圧力に応じて伸縮する伸縮部材23と、を有する。また、微動アクチュエータ120は、本実施形態では、移動ベース22を支持する支持部材24として、螺旋形状の部材で、弾性変形可能な弾性体(例えばバネ、一定の面積の円形を形成するように螺旋形状に巻かれた部材など)を用いる。
【0038】
具体的には、支持部材24は、第1の支持部材24a(図4及び図5)、第2の支持部材24b(図4)、第3の支持部材24c(図4)及び第4の支持部材24d(図5)とで構成される。ここで、第1の支持部材24a等は、基準ベース21(移動ベース22)の矩形の平板の四隅(外縁部)に固定されている。また、第1の支持部材24a等は、その剛性を伸縮部材23の剛性より大きくすることで、伸縮部材23の伸縮時にアクチュエータの駆動範囲(伸縮範囲)においてガイド機能(案内機能)を実現する。なお、本発明に用いることができる支持部材は、例えば基準ベース21の外縁に等間隔で配置される2個、3個又は5個以上の部材で構成されてもよい。
【0039】
本実施形態に係る支持部材24(第1の支持部材24a等)は、伸縮部材23の伸縮時に螺旋形状の弾性体が弾性変形することで、各支持部材で一定の断面積を維持したまま、螺旋形状の螺旋軸方向のみに伸縮する。これにより、本発明の第2の実施形態に係る微動アクチュエータ120によれば、駆動時においてもコンパクトな構成とすることができる。
【0040】
また、本発明の第2の実施形態に係る微動アクチュエータ120によれば、第1の実施形態の場合と同様に、伸縮部材23の伸縮時に支持部材24を長手方向(図4のZ方向)に変形することによって、支持部材24で移動ベース22を支持するとともに、支持部材24で移動ベース22が移動する方向(図4のZ方向)に案内することができる。また、微動アクチュエータ120によれば、基準ベース21の外縁部(矩形の平板の四隅)に支持部材24を配置することができるので、略円筒形の伸縮部材23が取り付けられた略矩形平板の基準ベース21において、伸縮部材23が配置されていない基準ベース21の四隅を活用して微動アクチュエータ120を小型化することができる。微動アクチュエータ120によれば、特に円弧形状の支持部材(第1の実施形態)の場合と比較して、基準ベース21と移動ベース22との間に支持部材24を収めることができる(例えば、基準ベース21等の外縁からはみ出ない)ので、アクチュエータを更に小型化することができる。
【0041】
図5に示すように、本実施形態に係る微動アクチュエータ120は、伸縮部材23の内部に円筒形状の外形を有する流体供給部23Sを更に有する。流体供給部23Sは、その内部に中心軸方向に開口した軸方向通路23Sh及び円形断面の半径方向に開口した半径方向通路23Srを有する。また、基準ベース21は、流体供給部23Sの軸方向通路23Sh及び半径方向通路23Srと微動アクチュエータ120(基準ベース21)の側面とを連通している。流体供給部23Sは、軸方向通路23Sh及び半径方向通路23Srを用いて伸縮部材23の内部に一様に流体を供給することによって、流体の流入時の流体摩擦抵抗を低減することができる。
【0042】
これにより、本発明の第2の実施形態に係る微動アクチュエータ120によれば、流体供給部23Sを用いて、微動アクチュエータ120(基準ベース21)の側面から微動アクチュエータ120(伸縮部材23)の内部に流体を供給することができる。また、微動アクチュエータ120によれば、微動アクチュエータ120(基準ベース21)の側面から流体を供給することができるので、アクチュエータを小型化することができる。
【0043】
以上のとおり、本発明の第2の実施形態に係る微動アクチュエータ120によれば、第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110と同様の効果を得ることができる。
【0044】
[3.第3の実施形態]
第3の実施形態に係る微動アクチュエータ130を用いて、本発明を説明する。
【0045】
図6乃至図8を用いて、本発明の第3の実施形態に係る微動アクチュエータ130の概略構成を説明する。ここで、図6は、本実施形態に係る微動アクチュエータ130の一例を説明する概略外観図である。図7は、微動アクチュエータ130の内部を説明する概略断面斜視図である。図8は、微動アクチュエータ130の内部を説明する概略縦断面図である。
【0046】
なお、本実施形態に係る微動アクチュエータ130の構成は、第2の実施形態に係る微動アクチュエータ120の構成と同様の部分があるため、異なる部分(後述する検出部35)を主に説明する。
【0047】
図6乃至図8に示すように、本実施形態に係る微動アクチュエータ130は、略矩形の平板である基準ベース(第1のベース)31と、略矩形の平板である移動ベース(第2のベース)32と、内部に供給された流体の圧力に応じて伸縮する伸縮部材33と、を有する。また、本実施形態に係る微動アクチュエータ130は、支持部材34として、螺旋形状の部材で、弾性変形可能な弾性体(例えばバネ)を用いる。なお、本実施形態に係る支持部材34(第1の支持部材34a、第2の支持部材34b、第3の支持部材34c及び第4の支持部材34d)は、第2の実施形態に係る微動アクチュエータ120の支持部材24(第1の支持部材24a、第2の支持部材24b、第3の支持部材24c及び第4の支持部材24d)と同様のため、説明を省略する。
【0048】
本実施形態に係る微動アクチュエータ130は、伸縮部材33の内部に、移動ベース32の位置(駆動距離)を検出する検出部35を更に有する。検出部35は、図8に示すように、移動ベース32の移動に伴って移動される移動端子35Gを備える。検出部35は、移動端子35Gの端面35Gt(図8)の位置を検出することによって、移動ベース32の位置(移動距離)を検出することができる。検出部35は、本実施形態では、エンコーダ35E(図8)を用いて、移動端子35Gの端面35Gtの位置を検出する。なお、検出部35(エンコーダ35E、移動端子35G)の検出方法は、公知の技術を用いることができる。
【0049】
これにより、本発明の第3の実施形態に係る微動アクチュエータ130によれば、検出部35(エンコーダ35E、移動端子35G)を用いて移動端子35Gの端面35Gtの位置を検出することができるので、移動ベース32の位置(駆動距離)を検出することができる。また、本実施形態に係る微動アクチュエータ130によれば、移動ベース32の位置を検出することができるので、微動アクチュエータ130(伸縮部材33)に供給する流体の流量(及び圧力)をフィードバック制御(PID制御、PI制御、P制御など)することによって、更に高精度にアクチュエータの駆動動作(駆動距離)を制御することができる。
【0050】
以上のとおり、本発明の第3の実施形態に係る微動アクチュエータ130によれば、第2の実施形態に係る微動アクチュエータ120と同様の効果を得ることができる。
【0051】
[4.第4の実施形態]
第4の実施形態に係る微動アクチュエータ140を用いて、本発明を説明する。
【0052】
図9を用いて、本発明の第4の実施形態に係る微動アクチュエータ140の概略構成を説明する。ここで、図9は、本実施形態に係る微動アクチュエータ140の一例を説明する概略外観図である。
【0053】
なお、本実施形態に係る微動アクチュエータ140の構成は、第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110の構成と同様の部分があるため、異なる部分(後述する移動制限部材44ST)を主に説明する。
【0054】
図9に示すように、本実施形態に係る微動アクチュエータ140は、略円形の平板である基準ベース(第1のベース)41と、略円形の平板である移動ベース(第2のベース)42と、内部に供給された流体の圧力に応じて伸縮する伸縮部材43と、移動ベース42を支持する支持部材44と、を有する。なお、本実施形態に係る支持部材44(第1の支持部材44a、第2の支持部材44b)は、第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110の支持部材14(第1の支持部材14a、第2の支持部材14b)と同様のため、説明を省略する。
【0055】
また、本実施形態に係る微動アクチュエータ140は、移動ベース42の最大離間距離(最大駆動距離)を制限する移動制限部材(ストッパ)44STを更に備える。移動制限部材44STは、基準ベース41に固定部44STf(一端)を固定されている。また、移動制限部材44STは、移動ベース42が基準ベース41から離間する方向に移動するときに、そのスライド部44STs(他端)で移動ベース42の最大離間距離を制限する。移動制限部材44STは、本実施形態では、図9に示すように、第1の移動制限部材44STaと第2の移動制限部材44STbとで構成されるが、本発明に用いることができる移動制限部材44STは、1つ、又は、3つ以上の部材で構成されてもよい。
【0056】
これにより、本発明の第4の実施形態に係る微動アクチュエータ140によれば、移動制限部材44ST(、第1の移動制限部材44STa及び第2の移動制限部材44STb)を用いて移動ベース42の最大離間距離を設定(制限)することができる。なお、移動ベース42の最小離間距離は、流体供給部(例えば図3の13S)で設定(制限)される。
【0057】
以上のとおり、本発明の第4の実施形態に係る微動アクチュエータ140によれば、第1の実施形態に係る微動アクチュエータ110と同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0058】
実施例に係る移動テーブル200を用いて、本発明を説明する。なお、以下に説明する移動テーブル200は実施形態に係る微動アクチュエータ(110、120、130又は140)を用いることができる適用例の一例であり、本発明に係る微動アクチュエータは以下に示す適用例に限定されるものではない。
【0059】
図10を用いて、本発明の実施例に係る移動テーブル200の概略構成を説明する。ここで、図10は、本実施例に係る移動テーブル200の概略外観斜視図である。
【0060】
図10に示すように、本実施例に係る移動テーブル200は、基台Bs上に3つの微動アクチュエータ(110、120、130又は140)を配置されている。また、移動テーブル200は、配置した微動アクチュエータ上にテーブルTbを搭載している。なお、本実施例に係る微動アクチュエータは、実施形態に係る微動アクチュエータ(110、120、130又は140)と同様のため、説明を省略する。
【0061】
本実施例に係る移動テーブル200は、微動アクチュエータ(110、120、130又は140)を3個用いて、テーブルTbを移動することができる。すなわち、本実施例に係る移動テーブル200は、3個の微動アクチュエータの駆動の精度に応じて、テーブルTbの移動を高精度に制御することができる。なお、移動テーブル200は、4個以上の微動アクチュエータを用いる構成であってもよい。
【0062】
本実施例に係る移動テーブル200は、3個の微動アクチュエータを用いて、例えばテーブルTbを鉛直方向に移動することができる。また、本実施例に係る移動テーブル200は、3個の微動アクチュエータを夫々異なる制御で駆動することで、例えばテーブルTbの傾き、回転、チルトなどの姿勢を制御することができる。
【0063】
以上のとおり、本発明の実施例に係る移動テーブル200によれば、実施形態に係る微動アクチュエータ(110、120、130又は140)と同様の効果を得ることができる。
【0064】
以上により、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明は、上述した実施形態又は実施例に制限されるものではない。また、本発明は、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
110,120,130,140:微動アクチュエータ
200:移動テーブル
11,21,31:基準ベース(第1のベース)
12,22,32:移動ベース(第2のベース)
13,23,33:伸縮部材
13b:基準部(伸縮部材の一端)
13m:移動部(伸縮部材の他端)
13J,23J,33J:蛇腹部(ベローズなど)
13S,23S,33S:流体供給部
13Sh,23Sh:軸方向通路
13Sr,23Sr:半径方向通路
14,14a,14b,24,24a,24b,24c,24d,34,34a,34b,34c,34d,44,44a,44b:支持部材(弾性ヒンジ、バネなど)
14ab:第1の基準端部(支持部材の一端)
14bb:第2の基準端部(支持部材の一端)
14am:第1の移動端部(支持部材の他端)
14bm:第2の移動端部(支持部材の他端)
35:検出部
35E:エンコーダ
35G:移動端子
35Gt:端
36:流体入力手段(流体供給系)
44ST,44STa,44STb:移動制限部材(ストッパなど)
44STf:固定部(移動制限部材の一端)
44STs:スライド部(移動制限部材の他端)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10