【文献】
J. Med. Chem.,2007年,Vol. 50, No. 15,3497-3514
【文献】
Tetrahedron Letters,2007年,Vol. 48,2087-2089
【文献】
2-[Bis(6-chloro-2-methylpyrimidin-4-yl)amino]thiazole-5-carboxylic acid (2-chloro-6-methylphenyl)amide,ip.com,2008年,IP.com Number: IPCOM000176077D
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Lは、単結合、1〜10個のC原子、特に、1〜5個のC原子を有する二価の直鎖アルキレンもしくはアルキリデン基、3〜10個のC原子、特に、3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキレンもしくはアルキリデン基(各場合に、1以上の基Rにより置換されてよく、Nに直接結合せず、隣接しない1以上のCH2基は、Si(R)2、C=O、P(=O)R、S=O、SO2、-O-、-S-もしくは-CONR-で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する二価の芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、またはSi(R)2、C(=O)、S(=O)、SO2、P(=O)R、OまたはSであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
電子素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機発光ダイオード、OLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機染料感受性太陽電池(ODSSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機プラスモン発光素子より成る群から選ばれる、請求項14記載の電子素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子での使用のための材料およびこれらの材料を含む電子素子に関する。
【0002】
有機半導体が機能性材料として使用される有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)の構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。ここで使用される発光材料は、蛍光発光ではなく燐光発光を示す有機金属錯体とますますなっている(M.A.Baldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6)。量子力学的理由により、4倍までのエネルギーとパワー効率が、燐光発光エミッターとして有機金属化合物を使用して可能である。一般的に、OLEDの場合、特に、三重項発光(燐光)を示すOLEDの場合に、たとえば、効率、駆動電圧および、特に、寿命に関して、改善に対する必要性が未だ存在する。これは、比較的短い波長範囲で、たとえば、緑色で発光するOLEDに、特に、あてはまる。
【0003】
燐光OLEDの特性は、使用される三重項エミッターによってのみ決定されるのではない。ここで、特に、マトリックス材料、正孔障壁材料、電子輸送材料、正孔輸送材料および電子-あるいは励起子障壁材料等に使用されるその他の材料も、特に重要である。そこで、これら材料における改善は、OLED特性に顕著な改善をもたらすこともできる。蛍光OLEDのためのこれら材料の場合における改善に対する必要性もまた、未だに存在する。
【0004】
先行技術にしたがうと、ケトン(たとえば、WO 2004/093207もしくはWO 2010/006680にしたがう)またはホスフィンオキシド(たとえば、WO 2005/003253にしたがう)は、特に、燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用される。さらに、トリアジン誘導体は、燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用される(たとえば、WO 2007/063754、2008/056746もしくはWO 2010/015306にしたがう)。しかしながら、他のマトリックス材料の場合のように、これらマトリックス材料の使用について、特に、素子の効率と寿命に関して、改善の必要性が未だ存在する。
【0005】
本発明の目的は、蛍光もしくは燐光OLED、特に、燐光OLEDにおける、たとえば、マトリックス材料として、また電子輸送あるいは正孔障壁材料としての使用に適している化合物を提供することである。特に、本発明の目的は、緑色および青色燐光OLEDのためにも適するマトリックス材料を提供することである。さらに、本発明の目的は、改善された電子輸送材料を提供することである。
【0006】
驚くべきことに、以下でより詳細に説明されるある化合物が、この目的を達成し、特に、寿命、効率と駆動電圧に関して、有機エレクトロルミネッセンス素子における顕著な改善をもたらすことが見出された。これは、特に、赤色および緑色および青色燐光および蛍光エレクトロルミネッセンス素子、特に、マトリックス材料としてのまたは電子輸送材料としての本発明による化合物の使用についてあてはまる。したがって、本発明は、これらの材料とこの型の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0007】
したがって、本発明は、以下の式(1)の化合物に関する。
【化1】
【0008】
式中、以下が、使用される記号と添え字に適用される;
Ar
1、Ar
2は、出現毎に同一か異なり、以下の式(2)の基であり、
【化2】
【0009】
ここで、破線の結合は、窒素への結合を示し、
Ar
3、Ar
4は、出現毎に同一か異なり、1以上の基Rで置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ただし、Ar
3およびAr
4は、アミノ基およびNを介して結合するカルバゾール基を含まず、
Xは、出現毎に同一か異なり、CR
1またはNであり、ただし、式(2)の各基中の少なくとも二個の基Xと最大三個の基Xは、Nであり;
Lは、単結合または1〜40個のC原子を有する二価の直鎖アルキレン、アルキリデン、アルキレンオキシもしくはチオアルキレンオキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキレン、アルキリデン、アルキレンオキシもしくはチオアルキレンオキシ基(各場合に、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の、好ましくは、隣接しないCH
2基は、Si(R)
2、Ge(R)
2、Sn(R)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)R、S=O、SO
2、-O-、-S-もしくは-CONR-で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、1以上の基Rにより置換されてよく、アミノ基およびNを介して結合するカルバゾール基を含まない5〜30個の芳香族環原子を有する二価の芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、またはSi(R)
2、Ge(R)
2、O、S、C(=O)、S(=O)、SO
2、PR、P(=O)R、P(=S)(R)またはこれらの構造の2、3、4もしくは5個の組み合わせであり;
R、R
1は、出現毎に同一か異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、C(=O)Ar、C(=O)R
2、P(=O)(Ar)
2、B(R
2)
2、B(OR
2)
2、Si(R
2)
3、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、Ge(R
2)
2、Sn(R
2)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
2、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、NR
2、O、SもしくはCONR
2で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよく、アミノ基およびNを介して結合するカルバゾール基を含まない5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、各場合に1以上の基R
2で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基より成る群から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、一以上の基R
2により置換されてよいモノ環状あるいはポリ環状脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を随意に形成してもよく;ただし、R
1は、縮合アリール基を含まず、
R
2は、出現毎に同一か異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、C(=O)Ar、C(=O)R
3、P(=O)(Ar)
2、B(R
3)
2、B(OR
3)
2、Si(R
3)
3、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基R
3により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
3C=CR
3、C≡C、Si(R
3)
2、Ge(R
3)
2、Sn(R
3)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
3、P(=O)(R
3)、SO、SO
2、NR
3、O、SもしくはCONR
3で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
3により置換されてよく、アミノ基およびNを介して結合するカルバゾール基を含まない5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
3で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、1以上の基R
3で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアラルキルもしくはヘテロアラルキル基より成る群から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基R
2は、一以上の基R
3により置換されてよいモノ環状あるいはポリ環状脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を随意に形成してもよく;
Arは、出現毎に同一か異なり、1以上の非芳香族基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって;ここで、同じP原子に結合する2個の基Arは、単結合またはN(R
3)、C(R
3)
2、OもしくはSから選ばれるブリッジにより互いに架橋されてもよく;
R
3は、H、D、F、CN、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよく、ここで、2個以上の隣接する置換基R
3は、モノ-あるいはポリ環状脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成してもよく、
nは、0または1であり、
少なくとも一つの基R
1は、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であることおよび/またはAr
3は、少なくとも二個のアリールもしくはヘテロアリール基を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であることおよび/またはn=1であり、したがって、一個の基Ar
4が存在することを特徴とするが;
以下の化合物は、本発明から除外される。
【化3】
【0010】
本発明の意味でのアリール基は、6〜60個のC原子を含む;本発明の意味でのヘテロアリール基は、1〜59個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含むが、ただし、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、単純な芳香族環、すなわちベンゼン、または、単純な複素環式芳香族環、例えば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または、縮合アリールもしくはヘテロリール基、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等の何れかを意味するものと解される。たとえば、ビフェニルもしくはビピリジン等の単結合により互いに結合した芳香族環は、アリールもしくはヘテロアリール基を指すのではなく、逆に、芳香族環もしくは複素環式芳香族構造を指す。
【0011】
本発明の意味での芳香族環構造は、6〜60個のC原子を環構造中に含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、1〜59個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を環構造中に含むが、但し、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、加えて、複数のアリール基および/またはヘテロアリール基は、互いに直接に、またはC原子を介して連結されていてもよい構造を意味するものと解される。したがって、たとえば、ビフェニル、テルフェニル、フルオレン、インデノフルオレン、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン等のような構造も、本発明の意味での芳香族環構造を意味するものと解される。ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、定義にしたがって、アミノ基を含まない。したがって、トリアリールアミノ基または対応する複素環式芳香族基は、定義により、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造には含まれない。
【0012】
本発明の意味での、縮合アリール基を含まない芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、たとえば、フェニルもしくはピリジン等の非縮合アリールもしくはヘテロアリール基のみを含むか、縮合アリール基を含むならば、その時は、縮合アリール基または部分的に飽和した環を含むだけである芳香族環構造を意味するものと解される。これに対して、二個以上のベンゼン環が、共通の端を介して互いに直接縮合する基は、除外される。したがって、たとえば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン等は、これらの基中のベンゼン環が互いに直接縮合することから、R
1の定義から除外され、逆に、たとえば、キノリン、フルオレン、スピロビフルオレン、インデノフルオレン、カルバゾール、インデノカルバゾールもしくはインドロカルバゾールは、これらの基中のベンゼン環が互いに直接縮合せずに、その代わり、飽和(脂肪族)五員環もしくはヘテロアリール基のみである、すなわち、それらは、縮合ヘテロアリール基であって縮合アリール基ではないことから、R
1の定義に含まれる。
【0013】
本発明の目的のために、脂肪族炭化水素基またはアルキル基またはアルケニル基またはアルキニル基は、典型的には、1〜40個のまたは1〜20個のC原子を含んでよく、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルを意味するものと解される。1〜40個のC原子を有するアルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシまたは2,2,2-トリフルオロエトキシを意味するものと解される。1〜40個のC原子を有するチオアルキル基は、特に、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオ、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオを意味するものと解される。一般的に、本発明にしたがうアルキル、アルコキシあるいはチオアルキル基は、直鎖、分岐あるいは環式であってよく、一以上の隣接しないCH
2基は、上記言及した基により置き代えられてよく、さらに、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2、好ましくは、F、ClもしくはCNで、さらに、好ましくは、FもしくはCNで、特に、好ましくは、CNで置き代えられてよい。
【0014】
5〜80個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記基で置換されてよく、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造上で任意の所望の位置を介して連結してもよく、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、トリフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、シス-もしくはトランス-インデノカルバゾール、シス-もしくはトランス-インドロカルバゾール、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ヘキサアザトリフェニレン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基またはこれら構造の組み合わせから誘導される基を意味するものと解される。
【0015】
式(2)の基の好ましい態様は、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、ピラジン、ピリミジンおよびピリダジンより成る基から選ばれ、これらの基は、夫々、1以上の基R
1で置換されてよい。ここで、基R
1は、上記定義されるとおりであり、定義にしたがって、縮合アリール基を含まない。
【0016】
したがって、式(2)の基の好ましい態様は、出現毎に同一か異なり、式(3)〜(12)から選ばれる。
【化4】
【0017】
ここで、使用される記号は、上記の意味を有し、破線の結合は、基から窒素への結合位置を示す。
【0018】
ここで、窒素に結合する上記式(3)〜(12)の二個の基は、所望に応じて、互いに結合してよい。式(3)、(7)、(8)および(9)の基とこれらの基の組み合わせが、特に、好ましい。
【0019】
式(1)の化合物中の好ましい基-NAr
1Ar
2は、以下の式(13)〜(17)の基である。
【化5】
【0020】
ここで、使用される記号は、上記の意味を有し、破線の結合は、この基からAr
3への結合を示す。
【0021】
本発明のさらに好ましい態様では、Lは、単結合、1〜10個のC原子、特に、1〜5個のC原子を有する二価の直鎖アルキレンもしくはアルキリデン基、3〜10個のC原子、特に、3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキレンもしくはアルキリデン基(各場合に、1以上の基Rにより置換されてよく、好ましくは、Nに直接結合せず、好ましくは、隣接しない1以上のCH
2基は、Si(R)
2、C=O、P(=O)R、S=O、SO
2、-O-、-S-もしくは-CONR-で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)または、1以上の基Rにより置換されてもよい5〜24個の芳香族環原子を有する二価の芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、またはSi(R)
2、C(=O)、S(=O)、SO
2、P(=O)R、OまたはSである。ここで、Lは、好ましくは、Lが燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用されるならば、互いに直接縮合する二個以上の芳香族六員環を有するアリール基を含まない。ついで、Lは、特に、好ましくは、互いに直接縮合する二個以上の芳香族六員環を有するアリール基をも含まない。
【0022】
本発明の特に、好ましい態様では、Lは、単結合、1以上の基Rにより置換されてよい6〜24個の芳香族環原子を有する二価の芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、またはSi(R)
2またはC(=O)である。ここで、Lは、好ましくは、式(1)の化合物が、燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用されるならば、非縮合アリール基のみを含む。式(1)の化合物が、電子輸送材料として使用されるならば、縮合アリール基、たとえば、アントラセンの使用も、好ましいかもしれない。
【0023】
Lが、縮合アリール基を含まない芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であるならば、そこで、Lは、好ましくは、以下の式(18)〜(112)の構造から選ばれる。
【化6-1】
【化6-2】
【化6-3】
【化6-4】
【化6-5】
【化6-6】
【0024】
ここで、使用される記号は、上記意味を有し、破線の結合は、基が、隣接する基Ar
3およびAr
4もしくはRへと結合する位置を示す。正確な結合位置が示されないならば、これは、結合がこの環上の任意の位置に存在することができることを意味する。
【0025】
Lが、縮合アリール基を含む芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であるならば、そこで、Lは、好ましくは、以下の式(113)〜(116)の構造から選ばれる。
【化7】
【0026】
ここで、使用される記号は、上記意味を有し、破線の結合は、基が、隣接する基へと結合する位置を示す。
【0027】
本発明のさらに好ましい態様では、Ar
3およびAr
4は、出現毎に同一か異なり、上記式(18)〜(116)の構造から選ばれる。化合物が、三重項マトリックス材料として使用されるならば、Ar
3およびAr
4は、同一か異なり、上記式(18)〜(112)から、特に、式(18)〜(104)から選ばれる。
【0028】
本発明のさらに好ましい態様では、添え字n=1で、すなわち、架橋単位が、構造-Ar
3-L-Ar
4-を有する。ここで、架橋単位Lは、好ましくは、以下の式(117)の構造を有する。
【化8】
【0029】
ここで、
Yは、出現毎に同一か異なり、CR
2、SiR
2、GeR
2、C(=O)、SまたはOであり、
pは、0、1、2、3、4、5または6、好ましくは、0、1または2であり;
qは、0、1、2、3または4、好ましくは、0、1または2であり;
p+q>0であり;
ただし、複数のヘテロ原子は、たがいに直接結合しない。
【0030】
適切な基Ar
3-L-Ar
4の例は、以下の基である:
【化9-1】
【化9-2】
【化9-3】
【0031】
本発明の好ましい態様では、Rは、出現毎に同一か異なり、H、D、F、Cl、Br、CN、C(=O)Ar、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2で置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基より成る基から選ばれる。
【0032】
本発明の特に、好ましい態様では、Rは、出現毎に同一か異なり、H、D、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環式アルキル基(夫々は、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれる。
【0033】
本発明のさらに好ましい態様では、Ar
1もしくはAr
2に結合する基R
1は、出現毎に同一か異なり、H、Dまたは縮合アリール基を含まない6〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり、ここで、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、特に、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニルおよびクアテルフェニルより成る基から選ばれる。
【0034】
真空蒸発により加工される化合物に対して、アルキル基は、好ましくは4個以下のC原子、特に、好ましくは、1個以下のC原子を有する。溶液から加工される化合物に対しては、適切な化合物は、10個までのC原子を有する直鎖、分岐あるいは環式アルキル基により置換されるか、オリゴアリーレン基、たとえば、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニルまたはクアテルフェニル基により置換された化合物でもある。
【0035】
本発明の好ましい態様では、R
2は、出現毎に同一か異なり、H、D、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれる。
【0036】
本発明の特に、好ましい態様では、R
2は、出現毎に同一か異なり、H、D、F、CN、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜5個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構より成る基から選ばれる。
【0037】
特に、好ましいものは、上記好ましい態様が同時に出現する式(1)の化合物である。したがって、特に、好ましいものは、以下の式(1)の化合物である:
Ar
1、Ar
2は、出現毎に同一か異なり、上記の式(3)〜(12)の基から選択され;
Lは、単結合、1〜10個のC原子、特に、1〜5個のC原子を有する二価の直鎖アルキレンもしくはアルキリデン基、3〜10個のC原子、特に、3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環状直鎖アルキレンもしくはアルキリデン基(各場合に、1以上の基Rにより置換されてよく、好ましくは、Nに直接結合せず、好ましくは、隣接しない1以上のCH
2基は、Si(R)
2、C=O、P(=O)R、S=O、SO
2、-O-、-S-もしくは-CONR-で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよい。)または、1以上の基Rにより置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する二価の芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、またはSi(R)
2、C(=O)、S(=O)、SO
2、P(=O)R、OまたはSであり;
Rは、出現毎に同一か異なり、H、D、F、Cl、Br、CN、C(=O)Ar、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DまたはFで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2で置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基より成る群から選ばれ;
R
1は、出現毎に同一か異なり、H、D、縮合アリール基を含まない6〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る群から選ばれ;
R
2は、出現毎に同一か異なり、H、D、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基であって、1以上のH原子は、DまたはFで置き代えられてよく、または、各場合に、1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る群から選ばれ;
その他の記号と添え字は、上記の意味を有する。
【0038】
非常に、特に、好ましいものは、以下の式(1)の化合物である:
基-NAr
1Ar
2は、上記式(13)〜(17)の基から選択され;
Lは、単結合、1以上の基Rにより置換されてよい6〜24個の芳香族環原子を有する二価の芳香族もしくは複素環式芳香族環構造またはSi(R)
2またはC(=O)であり、ここで、Lは、Lが芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であるならば、好ましくは、上記式(18)〜(116)の基から選択され;
Ar
3、Ar
4は、出現毎に同一か異なり、上記式(18)〜(116)の基から選択され;
Rは、出現毎に同一か異なり、H、D、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々は、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上のH原子は、DまたはFで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る群から選ばれ;
R
1は、出現毎に同一か異なり、H、D、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニルおよびクアテルフェニルより成る群から選ばれ;
R
2は、出現毎に同一か異なり、H、D、F、CN、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜5個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または、5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る群から選ばれ;
その他の記号と添え字は、上記の意味を有する。
【0039】
上記言及された態様にしたがう好ましい化合物の例は、以下の構造の化合物である。
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【化10-4】
【化10-5】
【化10-6】
【0040】
本発明による化合物は、例示化合物に対するスキーム1に示されるとおり、臭素化、ウルマンアリール化、ハートウイッグ-ブフバルトカップリング等の当業者に知られた合成工程により調製することができる。本発明の化合物のさらなる誘導体は、全く同様に調製することができる。カップリング反応のための適切な反応性基は、たとえば、ボロン酸またはボロン酸エステルである。適切なカップリング反応は、たとえば、スズキカップリングまたはスチルカップリングである。
【0041】
スキーム1
【化11】
【0042】
したがって、本発明は、さらに、以下の反応工程を含む、式(1)の化合物の製造方法に関する:
a)随意に、塩基の付加および/または触媒による、化合物G-L-Ar
3-NH
2とG-Ar
1およびG-Ar
2との反応による化合物G-L-Ar
3-NAr
1Ar
2の合成(ここで、Gは、反応性脱離基、特に、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。);および
b)Ar
3もしくはLへの、たとえば、スズキカップリングによる基R-Ar
4-GもしくはR-Gのカップリングによる基Ar
4もしくはRの導入。
【0043】
工程b)での反応性脱離基は、好ましくは、Cl、Br、I、ボロン酸またはボロン酸誘導体、特に、ボロン酸エステル、トリフレートもしくはトシレートから選ばれる。
【0044】
上記記載の本発明による化合物、特に、臭素、沃素、塩素、ボロン酸あるいはボロン酸エステル等の反応性脱離基により、または、オレフィンもしくはオキセタン等の反応性重合可能基により置換された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの調製のためのモノマーとして使用することもできる。ここで、オリゴマー化またはポリマー化は、好ましくは、ハロゲン官能基もしくはボロン酸官能基を介してまたは重合可能基を介して実行することができる。この型の基を介してポリマーを架橋結合することもさらに可能である。本発明による化合物とポリマーは、架橋結合層または非架橋結合層として使用することができる。
【0045】
したがって、本発明は、さらに、一以上の上記言及した本発明による化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、一以上の結合は、本発明による化合物からポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへと存在する。したがって、本発明による化合物の結合に応じて、これは、オリゴマーもしくはポリマーの側鎖を形成するか、または主鎖中で結合する。ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは、共役、部分共役もしくは非共役であってよい。オリゴマーまたはポリマーは、直鎖、分岐鎖もしくは樹状であってよい。上記記載したとおりの同じ選好が、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマー中の本発明による化合物の繰り返し単位にあてはまる。
【0046】
オリゴマーまたはポリマーの調製のために、本発明によるモノマーは、さらなるモノマーとホモ重合するか共重合する。好ましいホモポリマーまたはコポリマーは、式(1)の単位が、0.01〜99.9モル%、好ましくは、5〜90モル%、特に、好ましくは、20〜80モル%の範囲で存在する。ポリマー骨格を形成する適切で好ましいコモノマーは、フルオレン(たとえば、EP842208もしくはWO2000/22026にしたがう)、スピロビフルオレン(たとえば、EP707020、EP894107もしくはWO2006/061181にしたがう)、パラ-フェニレン(たとえば、WO92/18552にしたがう)、カルバゾール(たとえば、WO2004/070772もしくはWO2004/113468にしたがう)、チオフェン(たとえば、EP1028136にしたがう)、ジヒドロフェナントレン(たとえば、WO 2005/014689にしたがう)、シス-およびトランス-インデノフルオレン(たとえば、WO2004/041901もしくはWO2004/113412にしたがう)、ケトン(たとえば、WO2005/040302にしたがう)、フェナントレン(たとえば、WO2005/104264もしくはWO0207/017066にしたがう)または複数のこれらの単位から選ばれる。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、さらなる単位、たとえば、正孔輸送単位、特に、トリアリールアミン系のもの、および/または電子輸送単位をも含んでもよい。さらに、ポリマーは、共重合された、またはブレンドとして混合されたかのいずれかの形態で三重項エミッターを含むことができる。正確に、式(1)の単位と三重項エミッターの組み合わせは、特に、良好な結果を生じる。
【0047】
本発明の化合物は、電子素子での使用に適している。ここで、電子素子は、少なくとも一つの有機化合物を含む少なくとも一つの層を含む素子を意味するものと解される。しかしながら、ここで、素子は、無機材料または無機材料から完全に構築された層をも含んでもよい。
【0048】
したがって、本発明は、さらに、本発明の化合物の電子素子での、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子での使用に関する。
【0049】
したがって、本発明は、さらになお、少なくとも一つの本発明の化合物を含む電子素子に関する。上述した選好は、同様に、電子素子にあてはまる。
【0050】
電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネセンス素子(有機発光ダイオード、OLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機染料感受性太陽電池(ODSSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および「有機プラズモン発光素子」(D. M. Koller et al., Nature Photonics 2008, 1-4)より成る群から選ばれるが、好ましくは、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)、特に、好ましくは、燐光OLEDである。
【0051】
有機エレクトロルミネセンス素子と発光電子化学電池は、種々の用途に、たとえば、単色または多色ディスプレー、照明用途、医療用途、たとえば、光治療に使用することができる。
【0052】
有機エレクトロルミネセンス素子は、カソード、アノードおよび少なくとも一つの発光層を含む。これらの層とは別に、さらなる層、たとえば、各場合に、一以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子注入層、励起子障壁層、電子障壁層および/または電荷生成層をも含んでもよい。たとえば、励起子障壁機能を有する中間層も、同様に二個の発光層の間に導入することもできる。しかしながら、これらの層の夫々は、必ずしも存在する必要がないことに留意する必要がある。
【0053】
有機エレクトロルミネセンス素子は、一つの発光層または複数の発光層を含んでもよい。複数の発光層が存在するならば、これらは、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光若しくは燐光を発することができる種々の発光化合物が、発光層に使用される。特に、好ましいのは、3個の発光層を有する構造であり、ここで、その3層は、青色、緑色及びオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、例えば、WO 2005/011013参照。)。ここで、すべての発光層が蛍光であるか、すべての発光層が燐光であるか、一以上の発光層が蛍光であるか、一以上の発光層が燐光であるの何れかであることも可能である。
【0054】
上記示される態様にしたがう本発明による化合物は、その正確な構造に応じて、種々の層に使用することができる。好ましいものは、式(1)の化合物を、その正確な置換に応じて、蛍光もしくは燐光エミッター、特に、燐光エミッターのためのマトリックス材料として、および/または正孔障壁層中および/または電子輸送層中におよび/または電子障壁層もしくは励起子障壁層中におよび/または正孔輸送層中に含む有機エレクトロルミネッセンス素子である。上記に示される好ましい態様は、有機電子素子中での材料の使用にもあてはまる。
【0055】
本発明の、特に、好ましい態様では、式(1)の化合物は、発光層中で、蛍光もしくは燐光化合物、特に、燐光化合物のためのマトリックス材料として使用される。ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子は、一つの発光層もしくは複数の発光層を含み、ここで、少なくとも一つの発光層は、少なくとも一つの本発明による化合物をマトリックス材料として含む。
【0056】
式(1)の化合物が、発光層中で、発光化合物のためのマトリックス材料として使用されるならば、好ましくは、一以上の燐光材料(三重項エミッター)と組み合わせて使用される。本発明の意味での燐光発光は、比較的高いスピン多重度、すなわち、スピン状態>1の励起状態から、特に、励起三重項状態からのルミネッセンスを意味するものと解される。本発明の目的のために、遷移金属もしくはランタノイド、特に、すべてのルミネッセンスイリジウム、白金および銅錯体を含むすべてのルミネッセンス錯体が、燐光化合物とみなされるべきである。
【0057】
式(1)の化合物と発光化合物の混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、式(1)の化合物を、99.9〜1重量%、好ましくは、99〜10重量%、特に、好ましくは、97〜60重量%、特に、95〜80重量%含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、エミッターを0.1〜99重量%、好ましくは、1〜90重量%、特に、好ましくは、3〜40重量%、特に、5〜20重量%含む。上記示された範囲は、特に、層が溶液から適用されるならば、あてはまる。層が真空蒸発から適用されるならば、同じ数値が当てはまり、この場合に、パーセントは、各場合に、vol%である。
【0058】
本発明のさらに好ましい態様は、式(1)の化合物の、さらなるマトリックス材料と組み合わせての燐光エミッターのためのマトリックス材料としての使用である。式(1)の化合物と組み合わせて使用することのできる、特に、適切なマトリックス材料は、たとえば、WO 2004/013080、WO 2004/093207、WO 2006/005627もしくは未公開出願DE 102008033943.1にしたがう芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドまたは芳香族スルホキシドもしくはスルホン、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527もしくはWO 2008/086851に記載されたトリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)またはカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、WO2010/136109もしくはWO2011/000455にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 2006/117052にしたがうアザカルバゾールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 2010/015306、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP 652273もしくはWO 2009/062578にしたがう亜鉛錯体、たとえば、WO 2009/124627にしたがうフルオレン誘導体、WO 2010/054729にしたがうジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO 2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体、たとえば、US 2009/0136779、WO 2010/05077にしたがうか、未公開出願DE 102009048791.3およびDE 102009053836.4にしたがう架橋カルバゾール誘導体である。さらに、たとえば、WO 2010/108579に記載されるとおりの、正孔輸送特性も電子輸送特性も持たない電子的に中性なコホストを使用することも可能である。
【0059】
同様に、混合物中で二個以上の燐光エミッターを使用することも可能である。ここで、比較的短波長で発光するエミッターが、コホストとして混合物中で使用される。
【0060】
適切な燐光発光化合物(三重項エミッター)、特に、好ましくは、可視域で適切な励起により発光する化合物は、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に、好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子、特に、この原子番号を有する金属を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0061】
上記のエミッターの例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373、US2005/0258742、WO 2009/146770、WO 2010/015307、WO 2010/031485、WO 2010/054731、WO 2010/054728、WO 2010/086089、WO 2010/099852およびWO 2010/102709により明らかにされている。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切であり、当業者は進歩性を必要とすることなく、更なる燐光発光化合物を使用することができよう。
【0062】
本発明のさらなる態様では、有機エレクトロルミネッセンス素子は、別々の正孔注入層および/または正孔輸送層および/または正孔障壁層および/または電子輸送層を含まず、すなわち、WO 2005/053501に記載されるとおり、発光層は、正孔注入層もしくはアノードに直接隣接し、および/または発光層は、電子輸送層もしくは電子注入層もしくはカソードに直接隣接する。さらに、たとえば、WO 2009/030981に記載されるとおり、発光層中の金属錯体と同一または類似する金属錯体を、発光層に直接隣接して、正孔輸送もしくは正孔注入材料として使用することも可能である。
【0063】
本発明のさらなる好ましい態様では、式(1)の化合物は、電子輸送もしくは電子注入層中で電子輸送材料として使用される。ここで、発光層は、蛍光もしくは燐光であってよい。化合物が電子輸送材料として使用されるならば、たとえば、Liq(リチウムヒドロキシキノリナート)等のアルカリ金属錯体でドープされることが好ましいかもしれない。また適切なものは、電子輸送層と電子注入層とでの本発明の化合物の組み合わせである。電子注入層のために適する材料は、たとえば、LiF等のアルカリまたはアルカリ土類金属フッ化物である。
【0064】
本発明のなおさらに好ましい態様では、式(1)の化合物は、正孔障壁層中で使用される。正孔障壁層は、カソード側で発光層に直接隣接する層を意味するものと解される。
【0065】
式(1)の化合物は、さらに、正孔障壁層中もしくは電子輸送層中の双方で、および発光層中のマトリックスとしても使用することもできる。
【0066】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子のさらなる層では、先行技術にしたがって通常使用されるすべての材料を使用することができる。したがって、当業者は、発明性を要することなく、本発明による式(1)の化合物と組み合わせて、有機エレクトロルミネッセンス素子のために知られたすべての材料を使用することができる。
【0067】
更に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積されることを特徴とする。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0068】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そのように構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0069】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえば、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、インクジェット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷もしくはオフセット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。たとえば、適切な置換により得られた可溶性の化合物が、この目的のために必要である。これらのプロセスは、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマーのために、特に、適してもいる。これらのプロセスは、有機溶媒中で非常に、良好な溶解性を有することから、本発明の化合物のために、特に、適してもいる。
【0070】
また、たとえば、一以上の層が溶液から適用され、一以上のさらなる層が気相堆積により適用されるハイブリッドプロセスが可能である。したがって、たとえば、発光層を溶液から適用することができ、電子輸送層を気相堆積により適用することができる。
【0071】
これらのプロセスは、当業者に一般的に知られており、本発明の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子に、発明性を要することなく適用することができる。
【0072】
本発明による化合物の調合物は、たとえば、スピンコーティングによるまたは印刷プロセスによる本発明の化合物の液相からの加工のために必要である。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはミニエマルジョンであり得る。この目的のためには、二以上の溶媒の混合物を使用することが好ましいかもしれない。適切で、好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、ジメチルアニソール、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサンまたはこれら溶媒の混合物である。
【0073】
したがって、本発明は、さらに、少なくとも一つの式(1)の化合物もしくは本発明の対応するオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーと少なくとも一つの溶媒、特に、有機溶媒を含む調合物、特に、溶液、分散液もしくはミニエマルジョンに関する。このような溶液を調製する方法は、当業者に知られており、たとえば、WO 2002/072714、WO 2003/019694とそこに引用された文献に記載されている。
【0074】
本発明は、さらに、少なくとも一つの式(1)の化合物もしくは本発明の対応するオリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーと少なくとも一つのさらなる化合物を含む混合物に関する。さらなる化合物は、本発明の化合物がマトリックス材料として使用されるならば、たとえば、蛍光または燐光ドーパントであり得る。適切な蛍光または燐光ドーパントは、有機エレクトロルミネッセンス素子と関連して上記言及されており、本発明の混合物のためにも好ましい。
【0075】
本発明による化合物と本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、先行技術を凌駕する以下の驚くべき優位性により特徴付けられる。
【0076】
1.本発明による化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子中の電子輸送層での使用のために非常に極めて適している。
【0077】
2.本発明の化合物は、蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用され、非常に高い効率と長い寿命をもたらす。特に、化合物が燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用されるならば、これがあてはまる。
【0078】
3.本発明による化合物は、赤色および緑色燐光化合物のためのマトリックス材料としてのみならず、青色燐光化合物のためにも適している。
【0079】
4.本発明による化合物は、S
1準位、すなわち、最初の励起一重項準位とT
1準位、すなわち、最初の励起三重項準位間の小さな分離度を有し、したがって、燐光OLEDでの使用のために特に十分に使用されるべきである。
【0080】
5.本発明による化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子に使用され、高い効率と低い使用および駆動電圧での急峻な電流/電圧曲線をもたらす。
【0081】
これらの上記優位性は、その他の電子特性を損なうことはない。
【0082】
本発明は、次の例により、より詳細に説明されるが、それにより限定することを望むものではない。当業者は、発明性を要することなく、開示された範囲全体を実行し、本発明による化合物をさらに調製し、それらを電子素子で使用し、本発明によるプロセスを使用するために説明を使用することができるだろう。
【0083】
例
以下の合成は、他に断らない限り、保護ガス雰囲気下で無水溶媒中で行われる。他に断らない限り、出発物質は、アルドリッチ(ALDRICH)またはABCRから購入することができる。示された純度は、HPLC(320nmでのUV検出)により測定され、ガラス転移温度および融点はDSCにより測定される。
【0084】
例1:ビフェニル-4-イルビス(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミン
a)(4-ブロモフェニル)-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミン(1a)
【化12】
【0085】
400mlのトルエン中の23.4g(87.2ミリモル)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンが、280mlのピリジンと400mlのトルエン中の15.0g(87.2ミリモル)の4-ブロモアニリンの激しく撹拌された溶液に添加され、混合物は、引き続き、室温で16時間撹拌される。溶媒は、引き続き、真空除去され、残留物はクロマトグラフ(ヘプタン/酢酸エチル20:1)により精製される。収率:21.1g(52.3ミリモル)、60%。
【0086】
b)(4-ブロモフェニル)ビス(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミン(1b)
【化13】
【0087】
0.32g(8ミリモル)のNaH(油中60%)が、まず、100mlのTHF中に導入される。50mlのTHF中の2.00g(5ミリモル)の1aが、室温でそこに滴下される。1時間後、1.35g(5ミリモル)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンが添加され、混合物は還流下8時間加熱され、次いで、室温で12時間撹拌される。溶媒は、引き続き、真空除去され、残留物はクロマトグラフ(ヘプタン/酢酸エチル20:1)により精製される。収率:0.71g(1.2ミリモル)、22%。
【0088】
c)ビフェニル-4-イルビス(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミン
【化14】
【0089】
2.85g(4.5ミリモル)の1b、0.63g(5.1ミリモル)のフェニルボロン酸(Optima Chemical Group LLC)と2.40g(10.5ミリモル)のリン酸三カリウムが、100mlのトルエン、100mlのジオキサンと100mlの水中に懸濁される。45.6mg(0.15ミリモル)のトリ-o-トリルホスフィンと次いで、17mg(0.075ミリモル)の酢酸パラジウム(II)が、この懸濁液に添加され、反応混合物は還流下16時間加熱される。冷却後、有機相は分離され、シリカゲルで濾過され、20mlの水で三度洗浄され、引き続き、蒸発乾固される。残留物は、トルエンから三度再結晶化され、真空昇華される(10
−5mbar、340℃)。収率は、1.1g(1.76ミリモル)であり、理論値の39%に対応する。Tg(DSC)117℃、Tm(DSC)301℃、純度>99.95%。
【0090】
例2:ビス-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-[4-(10-フェニル-アントラセン-9-イル)フェニル]アミン(2)
【化15】
【0091】
2.85g(4.5ミリモル)の1b、1.94g(5.1ミリモル)の(10-フェニル-9-アントラセニル)-ボロン酸ピナコールエステル(Atomax Chemical Co.,Ltd)と2.40g(10.5ミリモル)のリン酸三カリウムが、100mlのトルエン、100mlのジオキサンと100mlの水中に懸濁される。45.6mg(0.15ミリモル)のトリ-o-トリルホスフィンと次いで、17mg(0.075ミリモル)の酢酸パラジウム(II)が、この懸濁液に添加され、反応混合物は還流下10時間加熱される。さらなる0.64g(1.7ミリモル)の(10-フェニル-9-アントラセニル)-ボロン酸ピナコールエステルが、次いで、添加され、混合物はさらに16時間加熱される。冷却後、有機相は分離され、シリカゲルで濾過され、20mlの水で三度洗浄され、引き続き、蒸発乾固される。残留物は、ジオキサンから三度再結晶化され、真空昇華される(10
−5mbar、370℃)。収率は、1.64g(2.03ミリモル)であり、理論値の45%に対応する。Tg(DSC)139℃、Tm(DSC)323℃、純度>99.95%。
【0092】
例3:ビス-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-(9H-スピロビフルオレン-2-イル)アミン(3)
【化16】
【0093】
200mlのトルエン中の26.8g(100ミリモル)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンが、250mlのピリジンと400mlのトルエン中の33.14g(100ミリモル)の2-アミノスピロビフルオレン(J. Am. Chem. Soc. 1950, 72, 4253にしたがって調製。)の激しく撹拌された溶液に添加され、混合物は、引き続き、室温で16時間撹拌される。溶媒は、引き続き、真空蒸発される。残留物はクロマトグラフ(ヘプタン/酢酸エチル20:1)により精製される。残留物はTHFで30mlにされ、4.00g(100ミリモル)のNaH(油中60%)が、添加される。1時間後、50℃で、26.8g(100ミリモル)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンが、添加され、混合物は還流下48時間加熱される。溶媒は、引き続き、真空蒸発され、残留物はクロマトグラフ(ヘプタン/酢酸エチル30:1)により精製される。生成物は、ジオキサン/トルエン1:1から三度再結晶化され、真空昇華される(10
−5mbar、360℃)。収率は、28.5g(36ミリモル)であり、理論値の36%に対応する。Tg(DSC)156℃、Tm(DSC)355℃、純度>99.9%。
【0094】
例4:ビフェニル-3-イルビス-(4,6-ジフェニル-ピリミジン-2-イル)アミン(4)
【化17】
【0095】
200mlのトルエン中の26.7g(100ミリモル)の2-クロロ-4,6-ジフェニルピリミジン(BOC-Sciences)が、250mlのピリジンと400mlのトルエン中の16.9g(100ミリモル)の2-アミノビフェニル(VWR-Chemicals)の激しく撹拌された溶液に添加され、混合物は、引き続き、室温で16時間撹拌される。溶媒は、引き続き、真空蒸発される。残留物はTHFで300mlにされ、4.00g(100ミリモル)のNaH(油中60%)が、添加される。1時間後、50℃で、26.8g(100ミリモル)の2-クロロ-4,6-ジフェニルピリミジンが、添加され、混合物は還流下48時間加熱される。溶媒は、引き続き、真空蒸発され、残留物はクロマトグラフ(ヘプタン/酢酸エチル30:1)により精製される。材料は、酢酸エチルから五度再結晶化され、真空昇華される(10
−5mbar、365℃)。収率は、24.5g(39ミリモル)であり、理論値の39%に対応する。Tg(DSC)125℃、Tm(DSC)302℃、純度>99.95%。
【0096】
例5:OLEDの製造
本発明によるOLEDと先行技術によるOLEDが、WO 2004/058911にしたがう一般的プロセスにより製造されるが、ここに記載される特別な状況(層の厚さの変化、使用材料)に適合される。
【0097】
種々のOLEDに対する結果が、以下の例1〜22で示される(表1と2参照)。厚さ150nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラス板が、改善された加工のために、20nmのPEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシ-2,5-チオフェン)で水からのスピンコート、H.C.Stack,Goslar独から購入。)で被覆される。これらの被覆されたガラス板は、OLEDが適用される基板を形成する。OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/正孔輸送層(HTL)/随意に、中間層(IL)/電子障壁層(EBL)/発光層(EML)/随意に、正孔障壁層(HBL)/電子輸送層(ETL)/随意に、電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造は、表1に示される。OLEDの製造のために使用された材料は、表3に示される。
【0098】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一つのマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により一定の体積割合でマトリックス材料と前混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここで、H1:SEB1(95%:5%)等の表現は、材料H1が95体積%の割合で層中に存在し、SEB1が5体積%の割合で層中に存在することを意味する。同様に、電子輸送層も、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0099】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)ならびに寿命が測定される。寿命は、輝度がある初期輝度I
0からある割合まで低下した時間として定義される。指標LD50は、前記寿命が、輝度が0.5I
0(50%に)、すなわち、たとえば、6000cd/m
2〜3000cd/m
2に低下した時間であることを意味する。
【0100】
本発明による化合物は、特に、蛍光ドーパントのためのマトリックス材料(ホスト材料)として使用することができる。ここで、本発明の化合物H3が使用される。化合物H1は、先行技術にしたがう比較例として使用される。青色発光ドーパントSEB1を含むOLEDが示される。OLEDに対する結果は、表2に要約される。例1〜4は、先行技術に従う材料を含むOLEDを示し、比較例として役立つ。例7〜10からの本発明の蛍光OLEDは、式(1)の化合物の使用に関する優位性、特に、より高い効率とより長い寿命を示す。
【0101】
式(1)の化合物は、電子輸送層中で電子輸送材料として使用することができる(例11〜16)。これらの化合物の使用は、顕著に低下した駆動電圧と同時により高い効率とより長い寿命が可能となる。
【0102】
式(1)の化合物は、燐光OLED中に使用することもできる。ここで使用されるマトリックス材料は、H4〜H6である。これらの材料の使用は、効率、駆動電圧と駆動寿命に関して顕著な優位性を示す(例17〜22と比較として例5と6)。
【0103】
本発明の化合物の使用は、先行技術と比べて、加工性と材料の安定性の改善を達成することができる。電気特性は、参照と少なくとも同等であるかより良好である。
【0104】
表1:OLEDの構造
【表1-1】
【表1-2】
【0105】
表2:OLEDの結果
【表2】
【0106】
*これらの素子に対して、4000cd/m
2からの寿命LT80が、測定される。
【0107】
表3:使用される材料の構造式
【表3-1】
【表3-2】