特許第6030056号(P6030056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6030056バイオテクノロジーによるコンドロイチンの生産
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030056
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】バイオテクノロジーによるコンドロイチンの生産
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/21 20060101AFI20161114BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20161114BHJP
   C12P 19/26 20060101ALI20161114BHJP
   C12R 1/19 20060101ALN20161114BHJP
【FI】
   C12N1/21ZNA
   C12N15/00 A
   C12P19/26
   C12N1/21ZNA
   C12R1:19
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-517135(P2013-517135)
(86)(22)【出願日】2011年6月1日
(65)【公表番号】特表2013-531995(P2013-531995A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】EP2011059069
(87)【国際公開番号】WO2012004063
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年5月19日
(31)【優先権主張番号】MI2010A001300
(32)【優先日】2010年7月15日
(33)【優先権主張国】IT
(31)【優先権主張番号】MI2010A001264
(32)【優先日】2010年7月9日
(33)【優先権主張国】IT
【微生物の受託番号】DSMZ  DSM 23578
【微生物の受託番号】DSMZ  DSM 23644
(73)【特許権者】
【識別番号】513006450
【氏名又は名称】グノーシス・エツセ・ピ・ア
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トリツリ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ブシエツロ,イマコラータ
(72)【発明者】
【氏名】ダリ,シモナ
(72)【発明者】
【氏名】バガテイン,フランチエスカ
【審査官】 西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/133350(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00−7/08
C12N 15/00−15/90
C12P 1/00−41/00
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
β1−3(GlcUA→GalNAc)結合とβ1−4(GalNAc→GlcUA)結合により結合したD−グルクロン酸(GlcUA)とN−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc)の残基が交互に配列することにより構成される直鎖状グリコサミノグリカンとして定義されるコンドロイチンを産生する組換え微生物であって、
前記微生物が、大腸菌O5:K4:H4U1−41株に由来し、
前記微生物において、元々存在する、直鎖状コンドロイチン主鎖へのフルクトース残基の付加に関与する酵素をコードするkfoE遺伝子が、前記遺伝子の全部もしくは一部の欠失もしくは置換又は付加的ヌクレオチド配列の挿入による破壊により不活性化されており、並びに
前記kfoE遺伝子が、
(A)配列番号2のアミノ酸配列を含む蛋白質コードすることを特徴とする、組換え微生物。
【請求項2】
不活性化されているkfoE遺伝子が、
(a)配列番号1のヌクレオチド配列を含むDNAある、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項3】
kfoE遺伝子がその全部又は一部をカナマイシン耐性カセットで置換後に前記カセットを除去することにより不活性化されており、その結果、kfoE遺伝子の全部又は一部が欠失している、請求項1及び2のいずれか一項に記載の組換え微生物。
【請求項4】
大腸菌DSM23578又は大腸菌DSM23644である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組換え微生物。
【請求項5】
大腸菌DSM23644である、請求項4に記載の組換え微生物。
【請求項6】
大腸菌DSM23578及び大腸菌DSM23644から選択される組換え微生物を利用するバイオテクノロジーによるコンドロイチンの生産方法。
【請求項7】
組換え微生物が大腸菌DSM23644である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
バイオテクノロジーによるコンドロイチンの生産方法であって、
a.請求項1から5のいずれか一項に記載の組換え微生物を適切な培地で培養する工程、
b.微生物培養物中に存在するコンドロイチンを回収し、精製する工程
を含む、方法。
【請求項9】
組換え微生物が大腸菌DSM23578又は大腸菌DSM23644である、請求項8に記載のバイオテクノロジーによるコンドロイチンの生産方法。
【請求項10】
組換え微生物が大腸菌DSM23644である、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンドロイチンを産生する新規組換え微生物と、バイオテクノロジーによるコンドロイチンの生産方法に関する。
【0002】
本発明においてコンドロイチンなる用語はβ1−3(GlcUA→GalNAc)結合とβ1−4(GalNAc→GlcUA)結合により結合したD−グルクロン酸(GlcUA)とN−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc)の残基が交互に配列することにより構成される直鎖状グリコサミノグリカンとして定義される直鎖状多糖を意味する。
【背景技術】
【0003】
コンドロイチン硫酸はグルクロン酸(GlcUA)とN−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc)が夫々β1−3結合とβ1−4結合により直鎖状に交互に結合し、そのGalNAc残基が種々の程度まで硫酸化された直鎖状多糖鎖を形成するグリコサミノグリカンである。
【0004】
コンドロイチン硫酸は動物では軟骨と結合組織に存在し、細胞接着、組織再生、神経伸長等に重要な役割を果たす。
【0005】
非動物起源からのコンドロイチンの生産は非動物由来コンドロイチン硫酸の生産に重要な望ましい手段である。
【0006】
入手可能な特許文献には非動物由来コンドロイチンの数種の生産方法が記載されている。
【0007】
更に、動物と微生物の両方に由来する数種のコンドロイチンシンターゼ遺伝子がクローニングされ、配列決定されている。
【0008】
パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)に由来するコンドロイチンシンターゼ遺伝子を導入した組換えグラム陽性バチルス(Bacillus)属細菌を使用することによるコンドロイチンの生産方法が提案されている(US2007/0281342A1)。
【0009】
別の発明は大腸菌O5:K4:H4に由来するkfoC遺伝子とkfoA遺伝子の両方をUDP−グルクロン酸産生細菌に導入することによるコンドロイチンの生産方法を記載している(WO2008/133350)。
【0010】
別の発明は大腸菌O5:K4:H4コンドロイチンシンターゼと反応前駆体の両方を含む酵素系におけるインビトロコンドロイチン合成について記載している(US2009/0263867A1)。
【0011】
コンドロイチンではGlcUA残基にフルクトース残基が結合するが、大腸菌O5:K4:H4がコンドロイチンと同一の主鎖構造をもつ莢膜多糖(K4多糖)を産生できることは知られている(例えばN.Volpi,Glycoconj.J.,25:451−457(2008)参照)。従って、K4多糖はβ1−3(GlcUA→GalNAc)により結合したD−グルクロン酸(GlcUA)部分及びN−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc)部分と、GlcUA残基のC3−ヒドロキシル基と結合したフルクトース残基からなる繰り返し三糖単位から構成される。従って、フルクトース残基は得られる直鎖状多糖の分枝を構成する。
【0012】
フルクトース残基の除去は酸性条件下の加水分解処理により行われている(N.Volpi,Electrophoresis 25,692−696(2004))。
【0013】
大腸菌O5:K4:H4莢膜抗原遺伝子クラスターと、K4直鎖状多糖を構成する糖鎖に至る代謝経路はいずれも詳細に研究されているが、フルクトース部分を直鎖状多糖に付加してK4多糖を生じる反応に関与するグリコシルトランスフェラーゼ活性はこれまでに同定されていない。
【0014】
本発明の新規特徴はコンドロイチン主鎖へのフルクトース残基の付加に関与する酵素をコードする遺伝子を不活性化することにより得られる組換え微生物による高分子量コンドロイチンの直接生産であり、その結果、コンドロイチンを得るためにGlcUA部分と結合したフルクトース残基をK4多糖から加水分解により除去する必要がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0281342号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/133350号
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0263867号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】N.Volpi,Glycoconj.J.(2008)25:451−457
【非特許文献2】N.Volpi,Electrophoresis 25,692−696(2004)
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は夫々β1−3結合とβ1−4結合により結合したD−グルクロン酸(GlcUA)とN−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc)の残基が交互に配列することにより構成される直鎖状グリコサミノグリカンとして定義されるコンドロイチンを産生する組換え微生物を提供することであり、前記微生物ではコンドロイチン主鎖へのフルクトース残基の付加に関与する酵素をコードする遺伝子が不活性化されていることを特徴とする。
【0018】
従って、本発明の1側面によると、コンドロイチンを産生する組換え微生物が提供され、前記微生物はこの微生物に元々存在する遺伝子である直鎖状コンドロイチン主鎖へのフルクトース残基の付加に関与する蛋白質をコードする遺伝子を不活性化することにより得られることを特徴とし、前記不活性化は前記遺伝子の全部もしくは一部の欠失もしくは置換又は付加的ヌクレオチド配列の挿入による破壊を含む。
【0019】
本発明の好ましい側面によると、フルクトシルトランスフェラーゼ活性をもつ蛋白質をコードする遺伝子の不活性化により得られる本発明の組換え微生物は大腸菌種に属する細菌、好ましくはK1、K5、K7、K12等の周知血清型を含むK抗原のグループ2に属する細菌に由来する。
【0020】
本発明の代表的な態様によると、コンドロイチンを産生することが可能な組換え微生物は大腸菌O5:K4:H4に由来するが、大腸菌O5:K4:H4と遺伝子相同性をもつか否かに拘わらず、K抗原群に属する微生物のいずれをも利用することができる。前記微生物の例としては、インフルエンザ菌(H.influenzae)等のヘモフィルス(Haemophilus)属(Branefors−Helander P.,Carbohydr.Res.,Vol.88,Jan 15,1981)、カンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)等のカンピロバクター(Campylobacter)属(McNally DJ,Jarrell HC,Li J,Khieu NH,Vinogradov E,Szymanski CM,Brisson JR.,FEBS J.,Vol.272,No.17,4407−4422,Sept.2005)、グロエオカプサ・ゲラチノーサ(G.gelatinosa)等のグロエオカプサ(Gloeocapsa)属(Raungsomboon S,Chidthaisong A,Bunnag B,Inthorn D,Harvey NW,Water Res.,Vol.40,No.20,3759−3766,Dec.2006)及びコレラ菌(V.cholerae)等のビブリオ(Vibrio)属(Knirel YA,Widmalm G,Senchenkova SN,Jansson PE,Weintraub A,Eur.J.Biochem.,Vol.247,402−410,July 1997)に属する細菌が挙げられる。
【0021】
より好ましくは、コンドロイチンを産生する本発明の組換え微生物が由来する細菌はフルクトシルトランスフェラーゼ活性をもつ蛋白質をコードするkfoE遺伝子を含む大腸菌血清型O5:K4:H4である。
【0022】
kfoE遺伝子は他の微生物に由来する細菌莢膜形成に関与すると思われる遺伝子に対して有意相同性をもつことが本発明者らにより発見された遺伝子を含む大腸菌K4抗原遺伝子クラスター(GenBank AB079602)内に位置することが分かっている(T.Ninomiya,N.Sugiura,A.Tawada,K.Sugimoto,H.Watanabe and K.Kimata,J.Biol.Chem.,Vol.277,No.24,21567−75,June 14,2002)。
【0023】
本発明の組換え微生物を得るために使用するのに最も好ましい細菌はATCC(American Type Culture Collection,Manassas,Virginia,US)からアクセション番号ATCC23502として入手可能な大腸菌O5:K4:H4株U1−41である。
【0024】
本発明の代表的な態様によると、組換え微生物はコンドロイチンを産生する微生物であり、不活性化される遺伝子は以下の(A)、(B)及び(C):
(A)配列番号2のアミノ酸配列を含む蛋白質、
(B)1アミノ酸以上の欠失、置換又は挿入により改変された配列番号2のアミノ酸配列を含み、フルクトシルトランスフェラーゼ活性をもつ蛋白質、
(C)配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも50%の相同性をもつアミノ酸配列を含み、フルクトシルトランスフェラーゼ活性をもつ蛋白質
から構成される群から選択される蛋白質をコードする遺伝子である。
【0025】
本発明の微生物は不活性化される遺伝子がkfoE遺伝子又は以下の(a)、(b)及び(c):
(a)配列番号1のヌクレオチド配列を含むDNA、
(b)配列番号1に対して相補的なヌクレオチド配列を含むDNAとハイブリダイズし、フルクトシルトランスフェラーゼ活性をもつ蛋白質をコードするDNA、及び
(c)配列番号1のヌクレオチド配列に対して少なくとも50%の相同性をもつヌクレオチド配列を含み、フルクトシルトランスフェラーゼ活性をもつ蛋白質をコードするDNA
から構成される群から選択されるDNAである微生物である。
【0026】
本発明の目的はコンドロイチンを産生する微生物であって、kfoE不活性化がそのヌクレオチド配列の改変(例えば上記ヌクレオチド配列(a)、(b)又は(c)の全部又は一部の欠失又は置換)により得られるものである。
【0027】
本発明の別の目的はkfoE不活性化が上記ヌクレオチド配列(a)、(b)又は(c)に1ヌクレオチド以上を挿入することにより得られる微生物である。
【0028】
本発明の最も好ましい側面によると、大腸菌O5:K4:H4株U1−41(以下、大腸菌K4と言う)の組換え誘導体は推定フルクトシルトランスフェラーゼをコードするkfoE遺伝子のヌクレオチド欠失による不活性化により得られる。
【0029】
本発明はkfoE遺伝子の破壊がフルクトース残基を欠失するK4多糖、即ちコンドロイチンの直接産生にどのように繋がるかを開示する。
【0030】
本発明の別の好ましい側面によると、本発明の組換え大腸菌K4はPCRプライマーにより標的遺伝子に対する相同性を提供して染色体遺伝子を破壊する方法を使用することにより得られる(Datsenko and Wanner,PNAS,Vol.97,No.12,6640−6645,June 6,2000)。
【0031】
本発明の組換え大腸菌K4株は、先ずそのヌクレオチド配列の大半を外来カナマイシン耐性遺伝子で置換(「第1の遺伝子改変」)した後に挿入した遺伝子をFLPリコンビナーゼ発現ベクターにより欠失させる(「第2の遺伝子改変」)ことにより、染色体kfoE遺伝子を不活性化されている。
【0032】
第1の遺伝子改変後に得られた組換え大腸菌K4株(大腸菌K4(ΔkfoE/kan)と言う)はブダペスト条約に従い、2010年4月30日付けでDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Inhoffenstrasse 7B,38124 Braunschweig,ドイツにアクセション番号DSM23578として登録された。
【0033】
第2の遺伝子改変後に得られた組換え大腸菌K4株(大腸菌K4(ΔkfoE)と言う)はブダペスト条約に従い、2010年5月26日付けでDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Inhoffenstrasse 7B,38124 Braunschweig,ドイツにアクセション番号DSM23644として登録された。
【0034】
kfoE遺伝子の不活性化は第1にRedリコンビナーゼ発現プラスミド(pKD46)、第2にkfoE遺伝子に対する相同性を提供するように適切に改変された鋳型プラスミド(pDK4)に由来するDNA断片、第3に酵素FLPリコンビナーゼを発現するヘルパープラスミド(pCP20)による3段階の連続的な細菌形質転換により実施した。
【0035】
大腸菌K4の第1の遺伝子改変を得るために、pKD46プラスミド(GenBank:AY048746)と直鎖状DNA断片の両方を使用した。第1段階の大腸菌K4形質転換で使用したpKD46プラスミドはファージλに由来する2154ヌクレオチドとアンピシリン耐性をコードする遺伝子から構成される。このプラスミドは直鎖状DNA断片を使用する場合に組換え率の増加を促進する。
【0036】
次の大腸菌K4の形質転換に使用した直鎖状DNA断片はkfoE遺伝子とカナマイシン耐性カセットを含む鋳型プラスミドpKD4(GenBank:AY048743)の両方に対する相同性伸長部を含む数個のプライマー対を使用してPCRにより得た。
【0037】
この方法によると、カナマイシン耐性カセットが挿入され、kfoE 5’及び3’相同末端をその末端にもつ直鎖状DNA断片を作製することができた。
【0038】
本発明の1態様では、アンピシリンとカナマイシンの両方を添加したプレートから回収可能な二重形質転換体を容易に作製できるという理由からエレクトロポレーションを選択し、細菌形質転換を実施した。
【0039】
しかし、エレクトロポレーションは好ましい技術であるが、塩化カルシウム形質転換法やデキストラン−DEAE形質転換法等の任意の公知形質転換法によりこの結果を得ることができる。
【0040】
大腸菌K4の形質転換体(ΔkfoE/kan)において元のDNA配列がカナマイシン耐性カセットにより置換されている位置が正しいことを確認する目的で、2個の隣接する遺伝子座特異的なプライマー対を使用して数回のPCR増幅を実施し、第1のプライマー対はkfoEの残存する5’末端と挿入されたkan遺伝子の間の新しい連結部の形成を実証することができ、第2のプライマー対は挿入されたkan遺伝子とkfoEの残存する3’末端の間の新しい連結部の形成を実証することができた。
【0041】
カナマイシン耐性カセットを除去(「第2の遺伝子改変」)するために使用したヘルパープラスミドは酵母FLPリコンビナーゼ遺伝子とアンピシリン耐性遺伝子を含むプラスミドpCP20とした。pKD46プラスミドとpCP20プラスミドはいずれも温度感受性ベクターであり、43℃で増殖後に大腸菌K4の形質転換体株から除去された。
【0042】
大腸菌K4(ΔkfoE/kan)でシーケンシング解析を行い、kfoE遺伝子の全部又は一部がカナマイシン耐性カセットで置換されていることを確認した。同様に、大腸菌K4(ΔkfoE)でシーケンシング解析を行い、その後のカナマイシン耐性カセットの欠失の結果、最終的にkfoE破壊細菌株が作製されたことを確認した。
【0043】
天然グリコサミノグリカンの非グリコシル化変異体を産生することが可能な組換え大腸菌K4の構築に使用するのに成功したこの方法は汎用性があり、このようなグリコシル化を防止することが望ましい他のグリコシル化物にも有利に適用することができる。結論として、天然グリコサミノグリカンの非グリコシル化変異体を産生することが可能な微生物を得るための一般方法が開発された。
【0044】
本発明の別の目的はバイオテクノロジーによるコンドロイチンの生産方法であって、
(1)適切な培地で組換え微生物を培養する工程と、
(2)そのブロス培養物から産生されたコンドロイチンを回収する工程
を含む方法を提供することである。
【0045】
コンドロイチンへのフルクトース残基付加に関与する酵素をコードする遺伝子を不活性化するための上記方法により得られたコンドロイチンを産生することが可能な任意組換え微生物を培養工程で使用することができる。
【0046】
本発明の好ましい態様によると、コンドロイチンを直接産生することが可能な組換え微生物として大腸菌DSM23644等の大腸菌K4から得られる組換え細菌を利用する。
【0047】
細菌大腸菌DSM23644の培養に採用される方法はエシェリキア(Escherichia)属のメンバーの培養に適用可能な一般方法である。前記方法は限定されないが、1リットル当たりKHPO・3HO 9.7g、KHPO8g、クエン酸ナトリウム・5HO 0.5g、MgCl・7HO 0.2g、カザミノ酸20g、(NHSO 20g、グルコース2g、酵母エキス10gを含有する培養培地を使用することが好ましい。基礎培地の組成を適切に調節すること及び/又は基質供給により培地に他の栄養素を提供することにより、更に高いコンドロイチン産生レベルに達することができる。
【0048】
細菌増殖とコンドロイチン産生を最大にするように培養条件を決定する。通常では、25℃〜40℃の温度で8時間〜72時間培養を行う。
【0049】
好ましくは遠心により上清を回収し、産生されたコンドロイチンのその後の精製と性状解析に使用する。
【0050】
Rodriguez and Jann(Eur.J.Biochem.,Vol.177,117−124,October 1988)により記載されている方法の変法によりコンドロイチン精製を行った。
【0051】
要約すると、コンドロイチンを精製するために採用した方法は主に培養上清から出発する数工程の精製と最終減圧乾燥からなる。回収した産生物の種類は多数の方法により確認することができ、多糖鎖の構造とフルクトース残基の不在を立証する方法を併用すると好ましい。
【0052】
精製した産生物にフルクトースが存在しないことは天然K4多糖からフルクトースを遊離することが知られている条件下で産生物の酸加水分解後に、その結果として遊離したフルクトースの特定のアッセイにより有利に確認することができる。この試験は細菌大腸菌DSM23644の培養物から回収された多糖がフルクトースを含有しないことを常に示したが、これに対して大腸菌O5:K4:H4株U1−41から得られる天然K4多糖はK4多糖の構造式から予想される量のフルクトースを含有する多糖を常に産生した。
【0053】
天然K4多糖は分解しないが、フルクトースを含有しないコンドロイチン多糖を完全に分解して二糖とすることが知られている酵素コンドロイチナーゼABCを使用し、細菌大腸菌DSM23644の培養物から回収された産生物を消化することにより産生物の種類を更に確認した。
【0054】
換言するならば、コンドロイチナーゼABCは天然K4多糖を消化することができない。細菌大腸菌DSM23644の培養物から回収された産生物のコンドロイチナーゼABC消化実験の結果、完全消化から予想される量の二糖産物が得られ、多糖主鎖の種類と特にフルクトース残基の不在が確認された。
【0055】
本発明の1態様によると、K4フルクトシルトランスフェラーゼ活性をコードする遺伝子としてのkfoEの機能を確認するために、野生型kfoEヌクレオチド配列を含む組換えプラスミドを構築し、大腸菌K4株(ΔkfoE)に導入し、失われた機能の補完を行った。
【0056】
要約すると、kfoE遺伝子を増幅し、pTrcHisプラスミド(Invitrogen Corporation,5791 Van Allen Way PO Box 6482 Carlsbad,California)のNcoI及びBamHI制限部位にクローニングした。構築物pTrcHis−kfoEを使用し、エレクトロポレーションにより組換え大腸菌(ΔkfoE)を形質転換し、100μg/mLアンピシリンを添加したプレートで37℃にて形質転換体を選択した。
【0057】
構築物pTrcHis−kfoEを含む大腸菌(ΔkfoE)形質転換体を培養し、Rodriguez and Jann(Eur.J.Biochem.,Vol.177,117−124,October 1988)に従ってK4多糖を精製し、回収した生成物中に存在するフルクトースを定量するために、0.2Mトリフルオロ酢酸で1時間99℃にて加水分解前後に遊離フルクトースを測定した。加水分解前後に定量した遊離フルクトースを原料K4分子と結合したフルクトースとみなした。
【0058】
pTrcHis−kfoEにより形質転換された大腸菌DSM23644の培養物から回収された産生物は結合したフルクトースの存在を示し、この株ではフルクトシルトランスフェラーゼ活性の喪失がプラスミドにより補完されたことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】大腸菌K4(ΔkfoE/kan)と大腸菌K4(ΔkfoE)の構築において大腸菌O5:K4:H4株U1−41に実施した遺伝子改変を模式的に示す。a)カナマイシン耐性カセット(カナマイシン)とその両側に2個のFRT(Flippase Recognition Targets)組換え配列を含むDNA断片。カナマイシン耐性遺伝子はP1及びP2プライミング部位を使用することによりpKD4プラスミド鋳型から得られる。b)大腸菌O5:K4:H4株U1−41のK抗原遺伝子クラスターの詳細な構造であり、kfoDとkfoFはkfoEのフランキング遺伝子である。c)元のDNAの断片をカナマイシン耐性遺伝子(カナマイシン)で置換することによるkfoE遺伝子の破壊を示す大腸菌K4(ΔkfoE/kan)染色体DNA。d)kfoE遺伝子の大半の最終欠失を示す大腸菌K4(ΔkfoE)染色体DNA。
図2】残存する3’及び5’kfoEフランキング領域の配列を確認するために3個の大腸菌K4(ΔkfoE/kan)形質転換体で実施したPCR増幅の結果を示す。レーン1及び10は分子量マーカー(1Kbラダー)を示す;レーン2〜4:3個の形質転換体の残存するkfoE 3’末端のPCR産物;レーン6〜8:3個の形質転換体の残存するKfoE 5’末端のPCR産物;レーン5及び9:夫々3’及び5’プライマー対を使用することにより得られた大腸菌O5:K4:H4株U1−41のPCR産物。
図3】大腸菌DSM23644により産生された多糖をコンドロイチナーゼABCによる消化後にキャビラリー電気泳動法により解析したクロマトグラムを示し、コンドロイチナーゼABCによるコンドロイチン消化の特徴である不飽和Δ−二糖(Δdi−0S)が認められる(ピーク8)。
図4】実施例3により得られた大腸菌DSM23644により産生されたコンドロイチンの13C−NMRスペクトルを示す。
【実施例】
【0060】
[実施例1]
大腸菌K4(ΔkfoE/kan)株の構築
鋳型としてのpKD4ベクターと以下のPCRプライマー:
OL151:atgcttctaataatgtctggttcctatgttcaacaagaatgtgtaggctggagctgcttc(配列番号3)
OL152:tcatactgcagcctccttaaaaatttcatataatctaaatgcacatatgaatatcctcct ta(配列番号4)
を使用してPCRによりkan遺伝子とkfoE相同末端の両方を含む直鎖状DNA断片(図1a)の構築を行った。
【0061】
各オリゴヌクレオチド配列において、最初から40個のヌクレオチドはkfoE遺伝子相同性を提供し、残りの20個のヌクレオチドはpKD4鋳型プラスミド相同性を提供する(P1及びP2プライミング部位)。
【0062】
以下の条件:94℃×3分、(94℃×1分、40℃×1分、68℃×2分)×5サイクル、(94℃×1分、59℃×1分、68℃×2分)×30サイクル、68℃×10分、4℃×10分に従い、鋳型DNA120ngでPCRを実施した。
【0063】
PCR産物をゲル精製し、細菌を形質転換した。
【0064】
大腸菌O5:K4:H4株U1−41(図1b)を作製し、Datsenko and Wanner(PNAS,Vol.97,No.12,6640−6645,June 6,2000)に従ってエレクトロポレーションによりpKD46プラスミドで形質転換した後、アンピシリン含有培地にプレーティングした。
【0065】
アンピシリン耐性形質転換体を同定し、単離した。
【0066】
プラスミド抽出と以下のプライマー及び条件:
OL149:ccactcataaatcctcatagag(配列番号5)
OL150:ccaacttacttctgacaacgat(配列番号6)
94℃×3分、(94℃×1分、43℃×1分、68℃×2.5分)×30サイクル、68℃×10分、4℃×10分
を使用したPCRにより2個の形質転換体を確認した。
【0067】
PCR産物を0.8%アガロースゲル電気泳動により解析し、予想産物寸法と完全に一致する1799塩基対の寸法の産物を同定した。
【0068】
カナマイシン耐性カセットとkfoE相同末端の両方を含むDNA断片を使用して2個のpKD46形質転換体のうちの一方を次にエレクトロポレーションに供した。
【0069】
アンピシリンとカナマイシンの両方を含有する培地でのプレート選択を使用し、kfoEヌクレオチド配列の大半がカナマイシン耐性遺伝子で置換された組換体を単離した。
【0070】
以下の適切なプライマー:
OL153:aatccgacggggactgtagatt(配列番号7)
OL142:aactgttcgccaggctcaag(配列番号8)
OL143:gcgttttcccttgtccagat(配列番号9)
OL154:gctaatgtatatgattgccaggt(配列番号10)
を使用し、95℃×5分、(94℃×1分、47℃×1分、68℃×2分)×30サイクル、68℃×10分、4℃×10分でkfoE 3’及び5’フランキング領域の両方のPCR増幅により3個の二重形質転換体を確認した。
【0071】
PCR産物を0.8%アガロースゲル電気泳動により解析し、予想産物寸法に完全に一致する夫々kfoE遺伝子の3’末端増幅の1773塩基対と5’末端増幅の769塩基対の寸法の2個の産物を単離した(図2)。
【0072】
カナマイシン耐性遺伝子の向きを確認すると共に遺伝子転写方向が正しいことを確かめるために、以下のオリゴヌクレオチド:
OL153:aatccgacggggactgtagatt(配列番号7)
OL154:gctaatgtatatgattgccaggt(配列番号10)
を使用して大腸菌K4(ΔkfoE/kan)(図1c)のシーケンシング解析により形質転換体を更に解析した。
【0073】
得られたヌクレオチド配列を配列番号14と言う。
【0074】
[実施例2]
大腸菌K4(ΔkfoE)株の構築
カナマイシン耐性カセットを含まず、kfoE遺伝子の大半を欠失し、結果として機能喪失を伴う大腸菌K4株(ΔkfoE)を得るために、大腸菌K4株(ΔkfoE/kan)をpCP20プラスミドで更に形質転換した。
【0075】
エレクトロポレーション工程後、アンピシリンを含有する培地で30℃にて形質転換体を選択後、コロニー精製した。
【0076】
推定形質転換体を非選択プレートで43℃にて増殖後、全抗生物質耐性の喪失について試験した。
【0077】
以下のオリゴヌクレオチド:
OL169:tgaggtgattgttggtaaaccttggtg(配列番号11)
OL166:tactgtttctgcttgcccccgagtt(配列番号12)
を使用して残存するkfoEフランキング3’及び5’末端(図1d)の両方をシーケンシングすることにより大腸菌K4株(ΔkfoE)形質転換体を確認した。
【0078】
得られたヌクレオチド配列を配列番号13と言う。
【0079】
[実施例3]
大腸菌DSM23644の培養とコンドロイチン解析
Rodriguez and Jann(Eur.J.Biochem.,Vol.177,117−124,October 1988)に従って大腸菌DSM23644の培養を行った。
【0080】
要約すると、解凍した培養ストック0.5mlから出発し、1リットル当たりKHPO・3HO 9.7g、KHPO 8g、クエン酸ナトリウム・5HO 0.5g、MgCl・7HO 0.2g、カザミノ酸20g、硫酸アンモニウム20g、グルコース2g、酵母エキス10gから構成されるブロス培地20mlを加えたフラスコに接種し、180rpm及び振幅2.5cmで振盪下に37℃で16時間インキュベートし、無性段階の培養を実施した。
【0081】
上記のようなブロス培地85mlを加えた500mlバッフル付きフラスコに上記のように調製した無性培養物0.05%を接種し、180rpm及び振幅25cmで振盪下に37℃で48時間インキュベートし、回分培養で次の培養段階を実施した。
【0082】
インキュベーション後、培養物を遠心により回収し、産生されたコンドロイチンを単離及び性状解析するために上清を精製した。
【0083】
Rodriguez and Jann(Eur.J.Biochem.,Vol.177,117−124,October 1988)により記載されている方法の変法に従ってコンドロイチン精製を行った。
【0084】
要約すると、セタブロン(アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド,CAS N°7192−88−3)により培養上清から多糖を沈殿させ、3℃にて0.5M NaOHで抽出し、中和後、3サイクルの80%エタノール沈殿により精製した。
【0085】
90%冷フェノール(pH6.8)を用いて最終精製工程を実施し、汚染性蛋白質を沈殿させ、水相を遠心により回収した。精製したコンドロイチンを80%エタノール沈殿と減圧乾燥により水相から回収した。
【0086】
産生されたコンドロイチンの種類を確認するために数種の解析アプローチを使用した。
【0087】
第1のアプローチは0.2Mトリフルオロ酢酸で1時間99℃にて実施した酸加水分解後に培養物から回収された産生物中のフルクトースの有無を調べた。
【0088】
回収した産生物中に存在するフルクトースを定量するために、遊離フルクトースを加水分解前後に測定した。BIOCONTROL(BioControl Systems Inc.12822 SE 32nd Street Bellevue,WA 98005,米国)の製品であるEnzyPlus Sucrose/D−Glucose/D−Fructoseキットを使用してフルクトースを酵素定量した。
【0089】
加水分解後と加水分解前に存在する遊離フルクトースの差を原料K4分子と結合したフルクトースとみなした。
【0090】
大腸菌DSM23644の培養物から回収された産生物は結合したフルクトースの存在を示さず、この株がフルクトースを含有しない多糖を産生することを確認した。
【0091】
上記のように大腸菌DSM23644の培養物から回収された多糖には結合したフルクトースが存在しないことをコンドロイチナーゼABCによる酵素消化により確認した。精製コンドロイチンをコンドロイチナーゼABCで消化すると、コンドロイチン消化の特徴である不飽和Δ−二糖(Δdi−0S)を生じることも判明し、Micellar Electrokinetic Chromatography(MECK)技術を使用したキャビラリー電気泳動(CE)により確認された(図3)。適切なΔ−二糖参照標準(等電点電気泳動溶出)を利用してΔdi−0S構造を確認した。得られたΔdi−0Sの定量を外部検量曲線により行った。
【0092】
最後に、大腸菌DSM23644により産生された精製コンドロイチン多糖をC13 NMRにより性状解析した(図4)。
【0093】
この技術によると、試験した産生物は酸加水分解により天然K4多糖からフルクトースの除去後に得られた産生物とスペクトルが一致することが判明した。
【0094】
[実施例4]
プラスミドによるkfoE機能の補完
K4フルクトシルトランスフェラーゼ活性をコードする遺伝子としてのkfoEの機能を確認するために、野生型kfoEヌクレオチド配列を含む組換えプラスミドを構築し、大腸菌K4株(ΔkfoE)に導入し、喪失した機能の補完を行った。
【0095】
以下のオリゴヌクレオチド:
OL172:acaacatgttactaataatgtctggttcctatgttc(配列番号15)
OL173:actggatccttatcatactgcagcctcctta(配列番号16)
を使用することによりkfoE遺伝子を増幅した。
【0096】
pTrcHisプラスミド(4400bp−Invitrogen Corporation,5791 Van Allen Way PO Box 6482 Carlsbad,California)を使用し、増幅・ゲル精製後のkfoE遺伝子(1569bp)を適切なクローニング部位に導入した。
【0097】
NcoI及びBamHI制限酵素で消化したpTrcHisベクター70ngと、対合するPciI/BamHI消化末端をもつkfoE遺伝子75ngを25℃で15分間ライゲーション反応させた。
【0098】
次に大腸菌DH5αコンピテントセル(Invitrogen Corporation,5791 Van Allen Way PO Box 6482 Carlsbad,California)50μLにライゲーション混合液5μLをエレクトロポレーションし、100μg/mLアンピシリンを含有するプレートで37℃にて5個の形質転換体を選択した。
【0099】
コロニー精製後、構築したプラスミドpTrcHis−kfoEを抽出し、挿入されたkfoE配列の内側のDNA構築物を切断することが可能なMfeI制限酵素により消化した。
【0100】
ゲル電気泳動解析によると、MfeI消化後の5個の形質転換体のうちの3個は予想通りの5887bpの長さを示し、配列解析により、kfoE遺伝子の正しい挿入が確認された。
【0101】
確認されたpTrcHis−kfoE構築物を使用し、エレクトロポレーションにより組換え大腸菌DSM23644を形質転換し、100μg/mLアンピシリンを添加したプレートで形質転換体を選択した。
【0102】
選択した形質転換体を実施例3に記載した条件に従って培養し、Rodriguez and Jann(Eur.J.Biochem.,Vol.177,117−124,October 1988)に従ってK4多糖を精製した。
【0103】
回収した産生物中に存在するフルクトースを定量するために、0.2Mトリフルオロ酢酸で1時間99℃にて酸加水分解前後に遊離フルクトースを測定した。EnzyPlus Sucrose/D−Glucose/D−Fructoseキットを使用してフルクトースを酵素定量した。
【0104】
加水分解後と加水分解前に存在する遊離フルクトースの差を原料K4分子と結合したフルクトースとみなした。
【0105】
pTrcHis−kfoEにより形質転換された大腸菌DSM23644の培養物から回収された産生物は結合したフルクトースの存在を示し、この株ではフルクトシルトランスフェラーゼ活性の喪失がプラスミドにより補完されたことが確認された。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]