特許第6030102号(P6030102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6030102-電線スリーブ 図000002
  • 特許6030102-電線スリーブ 図000003
  • 特許6030102-電線スリーブ 図000004
  • 特許6030102-電線スリーブ 図000005
  • 特許6030102-電線スリーブ 図000006
  • 特許6030102-電線スリーブ 図000007
  • 特許6030102-電線スリーブ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030102
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】電線スリーブ
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/20 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   H01R4/20
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-185090(P2014-185090)
(22)【出願日】2014年9月11日
(65)【公開番号】特開2016-58301(P2016-58301A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2015年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】日下 稔浩
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−128800(JP,A)
【文献】 特開平08−339842(JP,A)
【文献】 特開2011−243519(JP,A)
【文献】 特開2000−012108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部のそれぞれが開口した筒状のスリーブ本体を備え、前記開口からスリーブ本体に電線の導体が挿入された状態でスリーブ本体が圧縮されることで電線と接続される電線スリーブにおいて、
前記スリーブ本体の端部から部分的に中心方向外方に延出する受部を備え
前記受部は、前記スリーブ本体の前記端部のうちの半周以下の部分に沿って形成されていることを特徴とする電線スリーブ。
【請求項2】
前記受部は、前記スリーブ本体の前記端部から半円状に形成されている請求項1に記載の電線スリーブ。
【請求項3】
前記受部は、前記スリーブ本体の内周面に連続した案内面を有する請求項1又は請求項2に記載の電線スリーブ。
【請求項4】
前記スリーブ本体は、該スリーブ本体における前記受部の延出する前記端部のうちの前記受部が延出する部分以外の非延出端の少なくとも一部に内径が前記開口に向かって拡大する拡大部を有する請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の電線スリーブ。
【請求項5】
前記受部は、前記スリーブ本体の前記両端部のそれぞれに設けられる請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の電線スリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二本の電線を接続するための電線スリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二本の電線を電気的且つ機械的に接続するための電線スリーブが提供されている。電線スリーブは、両端部のそれぞれが開口した筒状のスリーブ本体を備える。
【0003】
この種の電線スリーブにおいては、二本の電線のうちの一方の電線の導体がスリーブ本体の両端部のうちの一方の端部の開口に挿入される。そして、スリーブ本体の一方の端部における内部に導体の存在する領域が圧縮されて、電線スリーブが一方の電線の導体に圧縮される。更に、他方の電線の導体がスリーブ本体の他方の端部の開口に挿入される。そして、スリーブ本体の他方の端部における内部に導体の存在する領域が圧縮されて、電線スリーブが他方の電線の導体に圧縮される。このようにして、二本の電線は、電線スリーブにより接続される(例えば、特許文献1など参照)。
【0004】
一般的に、電線スリーブの開口は、電線の導体に対して略同一又は一回り大きく形成されている。このため、電線の導体が電線スリーブの開口に挿入される際、電線の導体の中心位置が電線スリーブの開口の中心位置と一致又は略一致するように導体を開口に正確に接近させなければ、導体の先端は、電線スリーブの開口から外れて開口に挿入できない場合がある。
【0005】
特に、間接活線作業により二本の電線の接続を行う場合、作業者は、遠隔から二本の電線の導体の位置を操作しなければならない。このため、導体の位置は、電線スリーブの開口の位置からずれやすく、導体の先端は、開口から外れやすい。
【0006】
このように、作業者は、電線の導体の中心位置が電線スリーブの開口の中心位置からずれないように、導体を電線スリーブの開口に接近させなければならず、このため、電線の導体は、電線スリーブの開口に挿入しにくいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−012108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑み、電線の導体を容易に開口に挿入することができる電線スリーブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電線スリーブは、両端部のそれぞれが開口した筒状のスリーブ本体を備え、前記開口からスリーブ本体に電線の導体が挿入された状態でスリーブ本体が圧縮されることで電線と接続される電線スリーブにおいて、前記スリーブ本体の端部から部分的に中心方向外方に延出する受部を備え、前記受部は、前記スリーブ本体の前記端部のうちの半周以下の部分に沿って形成されていることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、受部がスリーブ本体の端部から延出しているため、電線の導体を受部に載せることができる。これにより、導体の先端部を受部に預け、該導体の先端部を受部に沿わせた状態で電線を移動させれば、導体の先端部は、受部によって開口を介してスリーブ本体内に案内される。
【0012】
また、前記受部は、該受部における径方向の端部間が広がっている。そのため、受部は、電線の導体を載せやすくなっている。
【0013】
また、本発明に係る電線スリーブの他の態様として、前記受部は、前記スリーブ本体の前記端部から半円状に形成されていることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、受部は、電線の導体の周方向に沿うように形成されている。そのため、電線の導体は、径方向にずれにくく、開口までぶれることなくまっすぐに移動させることができる。よって、作業者は、電線の導体を受部から開口まで脱落することなく容易に移動させることができる。
【0015】
また、本発明に係る電線スリーブの別の態様として、前記受部は、前記スリーブ本体の内周面に連続した案内面を有することが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、受部の案内面は、スリーブ本体の内周面から連続しており、受部とスリーブ本体との間に段差が形成されない。これに伴い、電線の導体の先端部を受部の案内面からスリーブ本体の開口に挿入する際に、導体の先端部がスリーブ本体の端部で引っ掛かることなく、スリーブ本体の内周面に滑り込む。よって、作業者は、導体を受部の案内面からスリーブ本体の開口に抵抗を受けることなく挿入することができる。
【0017】
また、本発明に係る電線スリーブの別の態様として、前記スリーブ本体は、該スリーブ本体における前記受部の延出する前記端部のうちの前記受部が延出する部分以外の非延出端の少なくとも一部に内径が前記開口に向かって拡大する拡大部を有することが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、スリーブ本体における開口がスリーブ本体の内径よりも拡大している。よって、電線の導体の先端部は、スリーブ本体の開口に挿入しやくなっている。
【0019】
また、本発明に係る電線スリーブの別の態様として、前記受部は、前記スリーブ本体の前記両端部のそれぞれに設けられることが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、スリーブ本体における中心方向の両端部のそれぞれに受部が設けられているため、二本の電線の導体のいずれもスリーブ本体の開口に容易に挿入できる。
【発明の効果】
【0021】
以上の如く、本発明に係る電線スリーブによれば、電線の導体を容易に開口に挿入することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1(a)は、本発明の一実施形態に係る電線スリーブの斜視図であり、図1(b)は、同実施形態に係る電線スリーブを中心方向に切断した断面図である。
図2図2は、同実施形態に係る電線スリーブの製造過程を説明する説明図であり、同図(a)は、電線スリーブの素材の外観図であり、同図(b)は、第一工程後の素材の外観図であり、同図(c)は、第二工程後の素材の断面図である。
図3図3は、同実施形態に係る電線スリーブへの電線の導体の挿入過程を説明する説明図であり、同図(a)は、導体を電線スリーブに接近させる過程を示す断面図であり、同図(b)は、導体を電線スリーブの受部で受け止める過程を示す断面図であり、同図(c)は、導体を電線スリーブの穴部の開口に案内する過程を示す断面図であり、同図(d)は、導体が電線スリーブの穴部に挿入された状態を示す外観図である。
図4図4(a)は、本発明の他の実施形態に係る電線スリーブの斜視図であり、図4(b)は、本発明の別の実施形態に係る電線スリーブの斜視図である。
図5図5(a)は、本発明の別の実施形態に係る電線スリーブの要部拡大斜視図であり、図5(b)は、本発明の別の実施形態に係る電線スリーブの斜視図である。
図6図6(a)及び図6(c)は、本発明の別の実施形態に係る電線スリーブの斜視図であり、図6(b)は、本発明の別の実施形態に係る電線スリーブの要部拡大斜視図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る電線スリーブの他の製造過程を説明する説明図であり、同図(a)は、電線スリーブの第一素材の断面図であり、同図(b)は、第一工程後の第一素材及び第二素材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る電線スリーブについて、図面を参照しつつ説明する。まず、同実施形態に係る電線スリーブの構造について説明する。電線スリーブは、図1に示す如く、両端部のそれぞれが開口した筒状のスリーブ本体2を備え、開口からスリーブ本体2に電線の導体が挿入された状態でスリーブ本体2が圧縮されることで電線と接続される。更に、電線スリーブ1は、スリーブ本体2の端部から部分的に中心C方向外方に延出する受部3を備える。
【0024】
スリーブ本体2は、円筒形状に形成されている。スリーブ本体2は、両端部のそれぞれに穴部21が形成されている。スリーブ本体2の両端部には、開口22が形成されている。開口22は、電線の導体を挿入可能な大きさに形成されている。具体的には、開口22の内径は、電線の導体の外径と略同一又は導体の外径より一回り大きく形成されている。
【0025】
スリーブ本体2は、該スリーブ本体2における受部3の延出する端部のうちの受部3が延出する部分以外の非延出端の少なくとも一部に内径が開口22に向かって拡大する拡大部23を有する。本実施形態に係る拡大部23は、非延出端の全領域に形成されている。拡大部23は、穴部21における開口22寄りの部分に形成されている。拡大部23は、スリーブ本体2の中心C方向外方に向かうにつれて穴部21の内径が拡大するように傾斜した傾斜面である。
【0026】
スリーブ本体2には、該スリーブ本体2の内周面から突出した電線止ストッパ24と、該スリーブ本体2の外周面上に表示された圧縮表示線25とを備える。
【0027】
電線止ストッパ24は、スリーブ本体2の外周面を内周面側に向かって加圧することにより該内周面を突出させて形成されている。電線止ストッパ24は、スリーブ本体2における中心C方向の略中間に設けられている。電線止ストッパ24は、穴部21に挿入される電線の導体の進路を遮って、穴部21における電線止ストッパ24を超える位置への導体の挿入を阻止するためのものである。
【0028】
圧縮表示線25は、電線スリーブ1における圧縮位置を示すものである。圧縮表示線25は、スリーブ本体2における中心C方向に所定の間隔あけて複数表示されている。
【0029】
受部3は、スリーブ本体2の両端部のそれぞれに設けられる。つまり、受部3は、一つのスリーブ本体2に一対形成される。一対の受部3のうちの一方の受部3は、スリーブ本体2の中心C方向の一端側に設けられ、他方の受部3は、スリーブ本体2の中心C方向の他端側に設けられる。
【0030】
一対の受部3のそれぞれは、スリーブ本体2の端部から部分的に中心C方向外方に延出する延出部31を有する。一対の受部3のうちの一方の受部3に設けられた一方の延出部31と、他方の受部3に設けられた他方の延出部31とは、スリーブ本体2における中心C方向の中間位置で直交する面を基準にして面対称となるように形成されている。つまり、一方の延出部31の内周面と他方の延出部31との内周面とは、共に同じ方向に向くように形成される。
【0031】
延出部31は、スリーブ本体2の端部のうちの半周以下の部分に沿って形成されている。このため、延出部31は、径方向に一対の端部32,32を備える。該一対の端部32,32のそれぞれは、互いにスリーブ本体2の穴部21の内径以上に離間している。本実施形態に係る延出部31は、該延出部31の両端部32,32間が該スリーブ本体2の穴部21の内径と同一若しくは略同一となるように形成されている。つまり、延出部31は、電線の導体の外径と略同一若しくは一回り大きくなるように形成されている。
【0032】
延出部31は、スリーブ本体2における穴部21の開口22の周縁部に沿って円弧状に形成されている。特に、延出部31は、スリーブ本体2の端部から半円状に形成されているのが好ましい。延出部31は、スリーブ本体2の穴部21の開口22の内径と同一若しくは略同一の曲率となるように形成されている。つまり、延出部31は、電線の導体の外径と略同一若しくは一回り大きくなるように形成されている。
【0033】
また、受部3は、スリーブ本体2の内周面に連続した案内面33を有する。案内面33は、延出部31における電線の導体を穴部21の開口22まで案内する。案内面33は、穴部21の内周面と面一となるように形成されている。つまり、電線スリーブ1には、延出部31の案内面33(内周面)から穴部21の内周面まで連続して平坦な面が形成されている。延出部31とスリーブ本体2とは、延出部31の案内面33と穴部21の内周面との間に段差が形成されないように接続されている。
【0034】
なお、図3に示す如く、同実施形態に係る電線スリーブ1が接続する電線4は、絶縁電線である。また、電線4は、高圧配電線や、高圧引込線、低圧架空電線、低圧引込線などである。例えば、高圧配電線は、屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線(OC)又は屋外用ポリエチレン絶縁電線(OE)などである。高圧引込線は、高圧引下用架橋ポリエチレン絶縁電線(PDC)又は高圧引下用エチレンプロピレンゴム絶縁電線(PDP)などである。低圧架空電線は、屋外用ビニル絶縁電線(OW)などである。低圧引込線は、引込用ビニル絶縁電線(DV)などである。電線4は、導体41と、該導体41を覆う絶縁体42とを備える。電線4のうちの導体41が電線スリーブ1の穴部21に挿入される。電線4には、導体41に単線を使用した電線と、より線を使用した電線とがある。
【0035】
次に、同実施形態に係る電線スリーブ1の製造方法について図2を参照しつつ説明する。同図(a)に示す如く、同実施形態に係る電線スリーブは、円筒形状の素材5から形成される。同実施形態では、素材5は、従来の円筒形状の電線スリーブを流用する。
【0036】
まず、素材5は、同図(b)に示す如く、該素材5の両端部における周方向の半円周部分を中心C方向に所定長さ切り欠かれて、スリーブ本体2と受部3とが形成される。スリーブ本体2は、素材5における該素材5を切り欠いた部分より中心C方向の中心側の円筒形状の部分である。受部3は、素材5における該素材5を切り欠いた部分より中心C方向の端部側の半筒形状の部分である。
【0037】
そして、同図(b)に示す、スリーブ本体2における穴部21の開口22の周縁部と穴部21の内周面とが形成する角部26がヤスリなどで削り取られて、同図(c)に示す如く、スリーブ本体2に拡大部23が形成される。
【0038】
次に、同実施形態に係る電線スリーブ1への電線4の導体41の挿入過程について図3を参照しつつ説明する。
【0039】
まず、図3(a)に示す如く、一方の受部3の延出部31の案内面33に向かって電線4の導体41の先端を接近させる。同図(b)に示す如く、導体41の先端が延出部31の案内面33に載せられた後、導体41の先端を延出部31の案内面33に沿ってスリーブ本体2の中心C方向外側から内側に向かって滑らせて、開口22に接近させる。そして、同図(c)に示す如く、導体41の先端が穴部21の開口22に到達した後、そのまま、導体41の先端を穴部21に押し込むことにより、同図(d)に示す如く、容易に電線4の導体41がスリーブ本体2の穴部21の内部に挿入される。この要領で、他方の電線4の導体41もスリーブ本体2の他方の穴部21に挿入することができる。
【0040】
このように、受部3がスリーブ本体2の端部から延出しているため、電線4の導体41を受部3の延出部31に載せることができる。これにより、導体41の先端部を受部3に預け、該導体41の先端部を受部3に沿わせた状態で、電線4を移動させれば、導体41の先端部は、受部3によって穴部21の開口22を介してスリーブ本体2内に案内される。
【0041】
また、受部3の延出部31は、該延出部31における径方向の端部間が広がっている。そのため、延出部31は、電線の導体を載せやすくなっている。
【0042】
また、受部3の延出部31は、電線4の導体41の周方向に沿うように形成されている。そのため、電線4の導体41は、径方向にずれにくく、穴部21の開口22までぶれることなくまっすぐに移動させることができる。よって、作業者は、電線4の導体41を受部3から開口22まで脱落することなく容易に移動させることができる。
【0043】
また、電線4の導体41がスリーブ本体2の穴部21に挿入されたときに、受部3の延出部31は、導体41の半円周部分に亘って覆うように配置されて、導体41の径方向に突出しにくい。よって、電線4の導体41がスリーブ本体2の穴部21の開口22に挿入された後に電線4と電線スリーブ1との外周部分に絶縁テープなどで被覆する際に、受部3の延出部31が邪魔になりにくく、絶縁テープなどが電線4と電線スリーブ1とに貼着しやすい。
【0044】
また、受部3の延出部31の案内面33は、スリーブ本体2の穴部21の内周面から連続しており、受部3とスリーブ本体2との間に段差が形成されない。これに伴い、電線4の導体41の先端部が受部3の案内面33からスリーブ本体2の開口に挿入する際に、導体41の先端部がスリーブ本体2の端部で引っ掛かることなく、スリーブ本体2の内周面に滑り込む。よって、作業者は、導体41を受部3の延出部31の案内面33から穴部21の開口に抵抗を受けることなく挿入することができる。
【0045】
また、スリーブ本体2における穴部21の開口22がスリーブ本体2の内径よりも拡大している。よって、電線4の導体41の先端部がスリーブ本体2の穴部21の開口22に挿入しやすくなっている。
【0046】
また、スリーブ本体2における中心C方向の両端部のそれぞれに受部3が設けられているため、二本の電線4の導体41のいずれもスリーブ本体2の穴部21に容易に挿入できる。
【0047】
よって、本実施形態の電線スリーブ1によれば、電線の導体41を容易に穴部21に挿入することができるという優れた効果を奏する。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0049】
上記実施形態では、受部3は、スリーブ本体2の両端部のそれぞれの端部に設けられる例を示したが、これに限定されない。例えば、図4(a)に示す如く、電線スリーブ100の受部103は、スリーブ本体102の両端部における一方の端部にのみ設けられていてもよい。つまり、受部103は、スリーブ本体102の一方の端部における穴部121の開口122の周縁部にのみ設けられていてもよい。
【0050】
上記実施形態では、一方の延出部31の案内面33(内周面)と他方の延出部31の案内面33(内周面)とは、共に同じ方向に向くように形成される例を示したが、これに限定されない。例えば、図4(b)に示す如く、電線スリーブ200において、一方の延出部231の案内面233(内周面)と他方の延出部231の案内面(図示せず)(内周面)とは、互いに異なる方向に向くように形成されていてもよい。つまり、一対の延出部231,231のそれぞれの案内面233は、電線の導体がスリーブ本体202の穴部221の開口222に向かって接近する特定の方向に向くように形成されておればよい。
【0051】
上記実施形態では、受部3の延出部31は、スリーブ本体2の端部から半円状に形成されている例を示したが、これに限定されない。例えば、図5(a)に示す如く、電線スリーブ300において、スリーブ本体302の端部のうちの半周以下の部分に沿って形成されていてもよい。具体的には、延出部331は、スリーブ本体302における穴部321の開口322の周縁部の半周以下の部分に沿った部分から該スリーブ本体302の中心方向に延出していてもよい。
【0052】
上記実施形態では、延出部31は、スリーブ本体2における穴部21の開口22の略半円周に沿う周縁部から延出する例を説明したが、これに限定されない。例えば、図5(b)に示す如く、電線スリーブ400において、受部403は、スリーブ本体402における穴部421の開口422の略半周に沿う周縁部から延出する第一延出部431と、該第一延出部431における周方向の両端部432,432間の距離が該スリーブ本体402の穴部421の内径以上開きながら該両端部432,432から延出する第二延出部434とを備えるようにしてもよい。
【0053】
この電線スリーブ400は、円筒形状の素材における該素材の一方の端から中心方向に所定距離離れた位置を中心方向と交差する方向から径方向に向かって中心まで切り込み、素材における切り込み部分の周方向の略中間位置と素材の一方の端部との間を中心方向に切断し、切断されることによって形成される一対の片(第二延出部434に相当)を互いに離間させて、製造されたものであってもよい。
【0054】
上記実施形態では、延出部31は、該延出部31の案内面33(内周面)が穴部21の内周面と面一となるように形成されている例を説明したが、これに限定されない。例えば、電線スリーブにおいて、延出部は、該延出部の案内面(内周面)が穴部の内周面と段差ができるように形成されていてもよい。
【0055】
上記実施形態では、スリーブ本体2は、該スリーブ本体2における受部3が形成された部分以外の非延出端に内径が開口22に向かって拡大する拡大部23を有する例を説明したが、これに限定されない。例えば、スリーブ本体は、拡大部を備えていなくてもよい。
【0056】
上記実施形態では、延出部31におけるスリーブ本体2の周方向の両端部32,32のそれぞれの縁部と延出部31の案内面33の縁部とが角を形成するように接続されている例を説明したが、これに限定されない。例えば、図1に示す電線スリーブ1において、延出部31における周方向両側にある両端部32,32のそれぞれの縁部と延出部31の案内面33の縁部とが形成する角が削り落されて、図6(a)に示す如く、電線スリーブ500において、該延出部531における周方向両側にある両端面532,532は、径方向内側に向くように傾斜していてもよい。
【0057】
上記実施形態では、受部3は、穴部21の開口22が中心方向に開いているスリーブ本体2に形成される例を説明したが、これに限定されない。例えば、図6(b)に示す如く、電線スリーブ600において、受部603は、穴部621の開口622が中心方向に対して斜め方向に開いているスリーブ本体602に対して形成されていてもよい。
【0058】
上記実施形態では、延出部31は、半円筒形状である例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図6(c)に示す如く、電線スリーブ700において、延出部731は、中心方向内側から外側に向かうにつれて径方向内側から外側に広がるように形成されていてもよい。つまり、電線スリーブ700は、図1に示す電線スリーブ1において、延出部31における周方向両側にある両端部32,32の中心方向外側の端を径方向外側に押し広げて製造されたものであってもよい。
【0059】
上記実施形態では、電線スリーブ1は、円筒形状の素材を切断して、スリーブ本体2と受部3とを形成する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、電線スリーブ700は、図7に示す如く、スリーブ本体となる円筒形状の第一の素材851と、受部3となる半円筒形状の第二の素材852,853とから製造されてもよい。つまり、図7(a)に示す第一の素材851の両端部のそれぞれにおける穴部821の開口822の周縁部に第二の素材852,853を接続することにより、図7(b)に示すような電線スリーブ700が製造されてもよい。
【0060】
上記実施形態では、従来の円筒形状の電線スリーブを流用して、本実施形態における電線スリーブ1を製造する例を説明したが、これに限定されるものではない。つまり、本発明に係る電線スリーブは、金属材料を金型等で加工して、スリーブ本体と受部とが一体成形されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…電線スリーブ、2…スリーブ本体、21…穴部、22…開口、23…拡大部、24…電線止ストッパ、25…圧縮表示線、26…角部、3…受部、31…延出部、32…端部、33…案内面、4…電線、41…導体、42…絶縁体、5…素材、C…中心、100…電線スリーブ、102…スリーブ本体、103…受部、121…穴部、122…開口、200…電線スリーブ、202…スリーブ本体、221…穴部、222…開口、231…延出部、233…案内面、300…電線スリーブ、302…スリーブ本体、321…穴部、322…開口、331…延出部、332…端部、400…電線スリーブ、402…スリーブ本体、421…穴部、422…開口、403…受部、431…第一延出部、432…端部、434…第二延出部、500…電線スリーブ、531…延出部、532…端部、600…電線スリーブ、602…スリーブ本体、621…穴部、622…開口、603…受部、700…電線スリーブ、731…延出部、800…電線スリーブ、821…穴部、822…開口、851…第一の素材、852,853…第二の素材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7