特許第6030105号(P6030105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030105
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】ギアを研磨または検査するための装置
(51)【国際特許分類】
   B23F 19/02 20060101AFI20161114BHJP
   B23F 23/12 20060101ALI20161114BHJP
   B23F 23/04 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   B23F19/02
   B23F23/12
   B23F23/04
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-231430(P2014-231430)
(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公開番号】特開2015-100916(P2015-100916A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2015年7月7日
(31)【優先権主張番号】13193726.0
(32)【優先日】2013年11月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596043494
【氏名又は名称】クリンゲルンベルク・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Klingelnberg AG
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】ハルトムート・ミューラー
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−502464(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0056837(US,A1)
【文献】 特開昭47−012848(JP,A)
【文献】 特開2008−114341(JP,A)
【文献】 特表2001−514088(JP,A)
【文献】 米国特許第06182506(US,B1)
【文献】 米国特許第03611800(US,A)
【文献】 特開2011−011332(JP,A)
【文献】 特開2003−334723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 19/02
B23F 23/04
B23F 23/12
B23Q 7/04
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも5つの軸を有する、ギア(T,R)を研磨またはテストするための装置(100)であって、
第1のギア(T)を把持するための第1のスピンドルグループ(111)であって、第1のギア(T)が第1の回転軸(TA)の周りで回転できるように第1のギアを取り付けることができる第1のスピンドルグループ(111)と、
第2のギア(R)を把持するための第2のスピンドルグループ(112)であって、第2のギア(R)が第2の回転軸(RA)の周りで回転できるように第2のギアを取り付けることができる第2のスピンドルグループ(112)と、
第2のギア(R)を含む第2のスピンドルグループ(112)に対する、第1のギア(T)を含む第1のスピンドルグループ(111)の第1の並進移動を実現する第1の並進軸(LA1)と
第2のギア(R)を含む第2のスピンドルグループ(112)に対する、第1のギア(T)を含む第1のスピンドルグループ(111)の第2の並進移動を実現する第2の並進軸(LA2)と、
第1および第2のスピンドルグループ(111,112)のうちの一方をピボット回転させるためのスイベル軸(SA)とを備え、
前記スイベル軸(SA)は、
・第2の回転軸(RA)に平行であり、第1のギア(T)を含む第1のスピンドルグループ(111)をピボット回転させるように機能するか、または
・第1の回転軸(TA)に平行であり、第2のギア(R)を含む第2のスピンドルグループ(112)をピボット回転させるように機能し、
前記装置(100)は、第1および第2のスピンドルグループ(111,112)のうちの一方をピボット回転させるための前記スイベル軸(SA)に加えて、第1および第2のスピンドルグループ(112,111)のうちの他方をピボット回転させるための別のスイベル軸(SA)を備えたことを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
第1のギア(T)を含む第1のスピンドルグループ(111)をピボット回転させるための第1のスイベル軸(SA)と、第2のギア(R)を含む第2のスピンドルグループ(112)をピボット回転させるための第2のスイベル軸(SA)とを有し、
第1のスイベル軸(SA)および/または第2のスイベル軸(SA)の周りにピボット回転させることにより、第1のギア(T)と第2のギア(R)との間の90度以外のシャフト角を実現できることを特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
装置(100)のマシン加工位置において、第1のギア(T)および第2のギア(R)が装置(100)のアクティブ領域(aB)内で係合するように、第1の回転軸(TA)が第2の回転軸(RA)に対して垂直に配置可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の装置(100)。
【請求項4】
装置(100)の操作位置において、第1の回転軸(TA)が第2の回転軸(RA)に対してピボット回転されて、第1のギア(T)または第2のギア(R)の一方のみがアクティブ領域(aB)内に配置されることを特徴とする請求項に記載の装置(100)。
【請求項5】
第1のギア(T)が第2のギア(R)に係合でき、駆動できるアクティブ領域(aB)を有することを特徴とする請求項に記載の装置(100)。
【請求項6】
第1のギア(T)を含む第1のスピンドルグループ(111)をピボット回転させるための第1のスイベル軸(SA)を有し、
第1のスイベル軸(SA)は、第1のギア(T)を含む第1のスピンドルグループ(111)をピボット回転させることにより、第1のギア(T)をアクティブ領域(aB)から取り外せるように設計されたことを特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
【請求項7】
第2のギア(R)を含む第2のスピンドルグループ(112)をピボット回転させるための第2のスイベル軸(SA)を有し、
第2のスイベル軸(SA)は、第2のギア(R)を含む第2のスピンドルグループ(112)をピボット回転させることにより、第2のギア(R)をアクティブ領域(aB)から取り外せるように設計されたことを特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1に記載の少なくとも1つの装置(100)を備えた設備システム(200)であって、
装置(100)に対して並進移動でき、1つのギア(T,R)を装置(100)内に供給するか、または装置(100)から取り出すように設計された制御可能な把持部(310)を有することを特徴とする設備システム(200)。
【請求項9】
把持部(310)は、1つのギア(T,R)が対応するスピンドルグループ(111,112)に取り付けられているときに、そのギアを掴み、スピンドルグループ(111,112)により把持されなくなった後、そのギアを離すように設計されることを特徴とする請求項に記載の設備システム(200)。
【請求項10】
把持部(310)は、1つのギア(T,R)を装置(100)内に供給し、そのギアを対応するスピンドルグループ(111,112)に引き渡し、そのギアが対応するスピンドルグループ(111,112)に把持された後、スピンドルグループ(111,112)の動作領域から離脱するように設計されたことを特徴とする請求項またはに記載の設備システム(200)。
【請求項11】
把持部(310)は、第1のギア(T)を操作するための装置(301)と、第2のギア(R)を操作するための装置(302)とを有することを特徴とする請求項10に記載の設備システム(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は装置である。とりわけ本発明は、ワークピースに対して測定/精査を行うための装置、およびワークピースに対して研磨(ラッピング)を行うための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯車列の製造に関連して用いられる数多くの測定方法および検査方法がある。
【0003】
いくつかの測定方法および検査方法では、たとえば2つのギアが互いにうまく対合(対として適合)させ得るか否かを判断するために、2つのギアを回転させて(噛合せ回転という)、互いに噛み合わせる。こうして最適な実装条件を決定することができる。
【0004】
こうした測定方法および検査方法をスパイラルギア(曲り歯傘歯車)に対して実施するためには、典型的には、噛合せ回転に加えて、1つまたはそれ以上の相対的な並進移動(追加的移動という)を与える。
【0005】
スパイラルギアに対して上記の測定方法および検査方法を実施するためには、相当する軸を有する特別のマシン構成が必要である。このようなマシンを本願ではテストマシンまたは単にテスタという。図1には、例示的なテスタを概略的な態様が図示されている。適当なテスタ10は、クラウンギア(冠歯車)Tを保持する第1のスピンドル11を備え、クラウンギアTが固定された状態に取り付けられ、ギア軸TAの周りに回転させることができる。さらに、ピニオンRを保持するように設計された第2のスピンドル12が設けられている。第2のスピンドル12は、ピニオンRをピニオン軸RAの周りに回転させることを支援するものである。
【0006】
対応するテスタ10は、噛合せ回転およびピニオンRとクラウンギアTとの間の上記追加的移動を実施するために、全部で5つの自由度を有する。本願では5つの軸が提供され、すなわち噛合せ回転のための2つの回転軸TA,RA(テスタ10の場合、対応する角度エンコーダ等のセンサが設けられる。)、および3つの直線軸LA1,LA2,LA3が提供される。
【0007】
テスタ10は、クラウンギア軸TAの方向の相対的移動LA1と、ピニオン軸RAの方向の相対的移動LA2を可能にするものである。典型的には、クラウンギア軸TAとピニオン軸RAとの間の(直線軸LA3に平行な)距離は、追加的に調整することができ、これを第3の自由度という。それぞれの直線的な並進移動を用いて、実装距離を調整する。
【0008】
上記テストマシンに加え、5つの自由度を有する同等の軸構成を備えたラッピングマシン20が同様に提供される。ラッピング(研磨)は、ベベルギア対(ベベルギアトレイン)の歯面に対する最終処理(焼入れ後の仕上げ処理)のために用いられる方法である。クラウンギアTが第1のスピンドル21に取り付けられ、このクラウンギアと対となるピニオンRが第2のスピンドル21に取り付けられた後、典型的には、ピニオンRを回転させ、このときピニオンRに噛み合わせたクラウンギアTが一体に回転し、その速度が低減する。2つのギアR,Tが連続的に噛合せ回転を行うとき、ラッピング流体(たとえば炭化ケイ素を含むオイル)を研磨手段として採用する。ラッピング中、2つのギアR,Tの歯面表面の全体にラッピング処理が施されるように、追加的移動を実施する。
【0009】
図1および図2に示す2つの例示的なマシン10,20の相対的移動は同じである。ただし、これらの具体例における個々の直線軸LA1,LA2,LA3の軸構成および配置(役割)は異なるように選択されている。
【0010】
複数のマシンが、追加的移動の異なる設計に起因して、互いにまったく異なるラッピングマシンの製造業者により提供されている。大半のラッピングマシンは、3つの直線的な移動を実施することができ、仮にクラウンギアTが同時に対応して移動しなければ、ピニオンRのシフト移動が遊びを早期に使い果たし、クランピング(固定)が生じるため、2つの水平方向の移動LA1,LA2は必須のものである。垂直軸LA3は、軸方向のずれを修正するため、ハイポイドギヤのラッピング処理に必要なものであり、当然に、ラッピング中の歯当たりパターンを移動させるために用いることができるものである。
【0011】
少なくとも1つの直線軸(たとえば図2の直線軸LA2)が自動的に提供されたマシンは、最初にピニオンRを取り外した後にクラウンギアTを取り外すことができるように、広範囲の移動範囲を有する必要がある。ギアR,Tを取り外すためには、ギアR,Tの間の距離を十分大きくする必要がある。
【0012】
こうしたテスタ10およびラッピングマシン20の直線軸は、高い正確性および頑健性を保証するためには、構成上複雑で精度よく具現化する必要がある。このためマシンは、技術的に複雑で高価なものとなってしまう。
【発明の概要】
【0013】
本発明の1つの目的は、ギアホイール対の測定/精査(検査)およびギアホイール対のラッピングのために、十分に頑健なマシン構成を提供することにある。
【0014】
本発明は、たとえばピニオンおよびクラウンギアを含むギアホイール対等のギアを、高い精度および信頼性で測定/精査(検査)することを可能にするものである。
【0015】
とりわけ検査および/または研磨されるものとしては、スパイラルベベルギアである。
【0016】
本発明に係る装置は、クレーム1の構成要素により特徴付けられる。本発明に係る設備は、少なくとも1つの上記装置と、クレーム9の追加的な特徴を備えたものである。
【0017】
さらに好適な実施形態は、各従属クレームに記載されている。
【0018】
本発明に係る装置または設備は、2つの直線軸及び少なくとも1つのスイベル軸を有し、高い内部頑健性ひいては高い精度が保証されるので、きわめて有用である。さらに、本発明に係る装置または設備は、2つのギアのうちの一方をピボット回転移動させることにより、簡便にギアを取り付け、取り外すことができる点において有利であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
添付図面を参照して、実施例を用いて本発明の詳細および利点を以下説明する。
図1】ピニオンおよびクラウンギアを噛み合せて、これらをともに回転させるように設計された従来式のテスタの概略的な平面図である。
図2】ピニオンおよびクラウンギアを噛み合せて、これらをともに回転させるように設計された従来式のマシンの概略的な平面図である。
図3A】ピニオンおよびクラウンギアを噛み合せて、これらをともに回転させるように設計された本発明に係る第1の装置の概略的な平面図である。
図3B図3Aに示す第1の装置の概略的な平面図であって、ピニオンがスイベル軸の周りにピボット回転して、アクティブ領域から外れて移動した状態を示す。
図4】本発明に係る別の装置の概略的な平面図である。
図5】本発明に係る別の装置の概略的な平面図であって、この装置は、ピニオンおよびクラウンギアを取り付け、取り外すことを支援する2つの可動把持グループが設けられたポータルを有する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願明細書に関し、関連する刊行物および特許で使用される用語が使用される。ただし、これらの用語は、単により十分に理解されるために用いられるものであることに留意されたい。特許クレームの発明アイデアおよび範囲は、特定の用語を選択したことにより限定的に解釈すべきではない。本発明は、さらに労力に加えることなく、他の用語および/または技術分野のシステムに転用することができる。他の技術分野において、用語は等価的に用いることができる。
【0021】
ここでラッピングは、2つのギア部品(クラウンギアTおよびピニオンR)の相互的な噛合い回転を意味し、2つのギア部品T,Rの歯面の間で接触が生じ、ギア部品T,R上を研磨するために、ラッピングエージェント(研磨剤)が導入される。ラッピングエージェントを導入する手段は、当業者に広く知られているので、図面に示していない。
【0022】
本発明に係る装置100は、ギアのラッピングまたは検査のために特に設計されたものである。この装置は、第1のギアTを保持するための第1のスピンドルグループ111を有する(第1のスピンドルグループは、好適には、スピンドルヘッドと、およびこれに回転可能に取り付けられたスピンドルの態様を有する。)。第1のギアTは、第1のスピンドルグループ111の第1の回転軸TAの周りに回転可能に取り付けられる。第1の回転軸TAは、図面に対して平行に移動するものであり、水平軸である。
【0023】
装置100は、第2のギアRを保持するための第2のスピンドルグループ112を有し(第2のスピンドルグループは、好適には、スピンドルヘッド103と、およびこれに回転可能に取り付けられたスピンドル104の態様を有する。)、第2のギアRは、第2のスピンドルグループ112の第2の回転軸RAの周りに回転可能に取り付けられる。図示した状態において、第2の回転軸RAは、同様に図面に対して平行に移動するものである。
【0024】
第1および第2のスピンドルグループ111,112には、ギアT,Rを保持するための実装手段(たとえばチャックの態様を有するもの)を設けてもよい。スピンドルグループ112の例示的なチャック115の概要が図示されている。
【0025】
好適には、本発明に係るすべての実施形態のスピンドルグループ111,112は、独立した回転速度が制御される電気モータM1,M2により駆動される。電気モータM1,M2は、電気式シャフトとも呼ばれる電気式ギアボックス30を用いて、同期相互依存性をもって同調するように接続/連結される。2つの電気モータM1,M2と、それぞれのギアトレイン30の接続/連結は、単なる概略図として図3および図4に図示されている。電子制御システムを用いて、2つの電気モータM1,M2を電気式ギアボックスに同調するように接続することは十分に知られている(たとえばスイス特許第582 038号または欧州特許第0 263 947号の特許明細書を参照されたい。)。
【0026】
さらに、第2のギアRを含む第2のスピンドルグループ112に対する、第1のギアTを含む第1のスピンドルグループ111の第1の並進移動を実現するために、第1の並進軸LA1が設けられている。図3Aに示す実施形態において、第1のギアTを含む第1のスピンドルグループ111のスピンドル102は水平方向に並進移動する。第1の並進軸LA1により、第1の回転軸TAに対する平行移動が可能である。第1の並進軸LA1は、たとえば図3Aに示すように、レールまたはノッチ114に沿って案内されるスライドの形態で実現することができる。レールまたはノッチ114は、回転軸TAに平行なマシンベッド(装置の土台部)またはフレームに沿って配置されている。
【0027】
さらに、第2のギアRを含む第2のスピンドルグループ112に対する、第1のギアTを含む第1のスピンドルグループ111の第2の並進移動を実現するために、第2の並進軸LA2が設けられている。図3Aおよび図3Bに示す実施形態において、第2のギアRを含む第2のスピンドルグループ112を、第2の回転軸RAに平行に第2の並進軸LA2により移動させることができる。この具体的な実施形態では、第2の並進軸LA2は、スイベル軸(旋回軸)SAにより実現される補助軸として設計されている。スイベル軸SAの詳細については後述する。
【0028】
実施態様にも依存するが、(たとえば図3Aに示す第1のスピンドルグループ111のように)スピンドルヘッドが全体的に移動するか、または(図3Aに示す第2のスピンドルグループ112のように)スピンドルみが移動するように並進移動させることができる。後者の場合、対応する並進軸(たとえば、ここでは並進軸LA2)は、スイベル軸SA上に配置される。
【0029】
シャフト角を調整する必要なく、ラッピングマシンまたはテスタを動作させるためには、少なくとも5つの軸が必要である。当該技術分野によれば、図1および図2を参照して上記説明したように、3つの並進軸(たとえばLA1,LA2,LA3)、およびピニオンRおよびクラウンギアTの回転のための2つの回転軸(たとえばRA,TA)がある。シャフト角が調整可能である場合、たとえばピニオンスピンドルヘッドを回転させるために、回転軸の形態を有する3番目の軸を設ける必要がある。
【0030】
3番目の回転軸(たとえばLA3)を設ける代わりに、図1および図2の具体例の場合のように、本発明はスイベル軸SAを提供するものであり、スイベル軸は第1のギアTを含む第1のスピンドルグループ111または第2のギアRを含む第2のスピンドルグループ112をスイベル軸SAの周りでピボット回転させるように設計されている。図3Aおよび図3Bに示す実施形態では、第2のギアRを含む第2のスピンドルグループ112に付随する第2の並進軸LA2がスイベル軸SAの周りでピボット回転することができる。ここでは、スイベル軸SAは、図面に対して平行で、かつ回転軸TAに対して平行に延びている。
【0031】
すなわち本発明のすべての実施形態は、少なくとも5つの軸を有し、そのうちの2つの軸は並進軸として構成され、ピニオンRおよびギアホイールTがマシン加工位置またはテスト位置に水平方向に移動することができる。すべての実施形態において、ピニオンRが回転軸RAの周りに回転し、ギアホイールTが回転軸TAの周りに回転し、さらにギアRまたはギアTの一方がピボット回転できるように、3つの軸が構成されている。対応する回転軸は、スイベル軸SAとも呼ばれている。
【0032】
本発明の実施形態において、さらにシャフト角が調整できる場合、ギアホイールTの追加的なスイベル軸を設けることができる。シャフト角がゼロであるとき、両方の軸は鉛直方向の上向きである。
【0033】
スピンドル104に付随するスイベル軸SAおよび一体化された並進移動軸LA2の構成は、任意的には、ピニオンRのために構成されるときギアホイールTに関するすべての実施形態で採用(実施)することができる。
【0034】
すべての実施形態においてスイベル軸SAは、(主軸と呼ばれる軸との対比のために)少なくとも1つの補助軸を構成する軸として実現することができる(図3Aおよび図3Bでは、第2の並進軸LA2および回転軸RAは、主軸としてのスイベル軸SAにより実現される補助軸として設計される。)。
【0035】
図3および図4の実施形態において、回転軸TAおよびスイベル軸SAは、共通平面Eに突出するものであってもよい。
【0036】
図3Aに示す装置100は、マシン加工位置にあり、両方のギアT,Rは、アクティブ(マシン)領域aB(マシン加工領域ともいう。)に配置されている。このアクティブ領域aBで、測定、検査(テスト)または研磨が行われる。
【0037】
本発明によれば、ギアTおよび/またはギアRをアクティブ領域aBに組み入れる(配備する)ため、ギアTおよび/またはギアRをアクティブ領域aBから取り外す(離脱させる)ため、スイベル軸SAの周りのピボット回転を実施することができる。一方のギア(図3Aおよび図3Bの場合、ピニオンR)は、スイベル軸SAの周りにピボット回転させることにより、アクティブ領域aBから取り外される。ここでは対応する位置は、処理位置とも呼ばれる。
【0038】
図3Bは、ピニオンRがスイベル軸SAの周りにピボット回転することによりアクティブ領域から外れて移動した後の第1の装置100の概略的な平面図である。ピニオンRは、水平配向状態からの離脱状態にある。ピニオン軸RAは、図中、垂直方向に直立している。ピボットと回転により、第2の並進軸LA2も同様に空間上の別の向きに配置される。このとき第2の並進軸LA2は、図面に対して垂直方向に直立している。
【0039】
ギアT,Rをラッピングまたはテストするために設計された別の実施形態が図4に図示されている。装置100は、第1のギアTを保持するための第1のスピンドルグループ111を有し、これにより第1のギアTは、第1のスピンドルグループ111上の第1の回転軸TAの周りに回転可能に取り付けられる。さらに、第2のギアRを保持するための第2のスピンドルグループ112が設けられ、これにより第2のギアRは、第2のスピンドルグループ112上の第2の回転軸RAの周りに回転可能に取り付けられる。
【0040】
図4に示す実施形態において、第1の並進軸LA1は、第1のギアTを含む第1のスピンドルグループ111を並進移動させる目的を実現するものである。第1のスピンドルグループ111は、第2のスピンドルグループ112に対して並進移動させることができる。第1の並進軸LA1は、(図3Aおよび図3Bに対応する)図4に示すように、スライド113および2つのガイドレールまたはガイドノッチ114を有していてもよい。
【0041】
図4に示す実施形態において、第2の並進軸LA2は、第2のギアRを含む第2のスピンドルグループ112を並進移動させる目的を実現するものである。第1のスピンドルグループ111は、第2のスピンドルグループ112に対して並進移動させることができる。第2の並進軸LA2は、図4に示すように(図3Aおよび図3Bと比べて異なるところではあるが)、スライド116および2つのガイドレールまたはガイドノッチ117を有していてもよい。
【0042】
この装置100は、第2のギアRを含む第2のスピンドルグループ112がピボット回転する際のスイベル軸SAを有する。第2の並進軸LA2は、図3Aおよび図3B実施形態とは異なり、ピボット回転しない。第2の並進軸LA2は実質的には主軸として機能し、スイベル軸SAはこの主軸に対する補助軸として設計されている。
【0043】
図4に示す実施形態において、ピニオンRの側方に配置するように、ホイールTの側方の軸または構成要素モジュールの配置構成を実現するならば、追加的なスイベル軸および2つの同一の構成要素モジュール(図示せず)を有する本発明に係る装置100を得ることができる。
【0044】
本発明に係る更なる実施形態(図示せず)において、第2のスピンドルグループ112を並進移動できないようにしつつ、並進軸LA1,LA2の両方を、たとえば第1のスピンドルグループ111の領域に配置することができ、および/または逆も同様である。
【0045】
2つのスピンドルグループ111,112の一方をピボット回転させるためのスイベル軸SAは、すべての実施形態において、スイベルドラム118の形態で実現されることが好ましい。スイベル軸SAの周りでピボット回転させるための1つまたはそれ以上の駆動エンジン(たとえば図4で例示的に示すような電気モータM3等)は、装置100の側方に配置され、アクティブ領域aBから離れる方向へ配向され、図示しない伝達機構を介してスピンドルグループ111,112の一方に接続される。機械的構造は、スイベル軸SAの周りのピボット回転が本質的にクリアランスなしで実施されるように選択される。
【0046】
好適には、すべての実施形態に係るスイベル軸SAは、(図3Aに示す0度位置から図3Bに示す90度までの)少なくとも90度のピボット回転を支援するように設計される。
【0047】
すべての実施形態に係る並進軸LA1および/または並進軸LA2は、レールでガイドされたスライドではなく、スピンドルドライブを有していてもよく、このスピンドルドライブは(図5に例示的に図示したような)ねじ山付きスピンドル119がスピンドル軸の周りでモータ駆動回転することにより並進移動させるものである。
【0048】
図5に示す本発明に係る別の実施形態は、ねじ山付きスピンドル119を含むスピン取るドライブを有する。ねじ山付きスピンドル119がモータにより回転駆動されると、スライド113が双方向矢印で示すように水平方向に並進移動する。
【0049】
本発明に係る装置100は、半自動または全自動の設備システム200に統合される点において特に有用である。こうした設備システム200は、少なくとも1つの装置100および制御可能な保持装置(グリッパ)310を有する。制御可能な保持装置310は、図5の概略的な上面図で示すように、装置100に対して並進移動可能である。水平方向のポータル(端部または入口)300は、図示された実施例では、装置100の少なくとも一部を橋渡しするものとして設けられている。
【0050】
例示的な実施形態をより十分に説明するために、X−Y−Z座標系が図5に図示されている。水平方向のポータル300は、X−Y平面に平行に配置され、Y軸に沿って延びている。ギアTおよび/またはギアRの一方を装置100に供給し、装置から取り出すことができるように、保持装置310は、第1のギアTを処理するための第1の装置301、および/または第2のギアRを処理するための第2の装置302を備える。
【0051】
好適には、本発明に係るすべての実施形態の装置301および/または装置302は、ポータル300に沿って並進移動させることができ、かつZ軸に平行に上下移動させることができる。
【0052】
図5は特別の設備システム200を図示し、その保持装置310は、第1のギアTを処理するための第1の装置301とともに、第2のギアRを処理するための第2の装置302を備える。
【0053】
ギアRの取り付けおよび取り外し(着脱)を速やかに行うために、すべての実施形態の第1の装置301は、2つのピニオンR1,R2を同時に処理できるように2つの装置からなるもの(ダブル装置)として設計されることが好ましい。
【0054】
図5は、ピニオンR1をスピンドルグループ112から取り外した後の状態を示す。この状態において、第1の装置301は、ピニオンR2だけでなくピニオンR2を支持している。スイベル軸SA1の周りで90度ピボット回転させることにより、ピニオンR2を下向き状態にすることができる。ここで第1の装置301をスピンドルグループ112の真上に配置して、負のZ軸方向(下方)に平行に降下移動させると、ピニオンR2のシャフトW2がスピンドルグループ112の把持部(チャック)115内に挿入され、その内部で把持される。
【0055】
ギアTの取り付けおよび取り外し(着脱)を速やかに行うために、すべての実施形態の第2の装置302は、2つのクラウンギアT1,T2を同時に処理できるように2つの装置からなるもの(ダブル装置)として設計されることが好ましい。図5は、第1のクラウンギアT1をスピンドルグループ111から取り外した後の状態を示す。第2の装置302の把持アーム311は、第1のクラウンギアT1をすでに受容している。次にスピンドルグループ111で保持される予定の第2のクラウンギアT2が水平に(横たえるように)配置されているとき、第1のクラウンギアT1は依然として垂直に(立てかけるように)配置されている。第2のクラウンギアT2を掴もうとしている3つの把持アームのうちの2つが図5に図示されている。第2のクラウンギアT2は、スイベル軸SA2の周りに90度ピボット回転させることにより、第1のクラウンギアT1の現在ある位置に搬送することができる。このとき、第1のクラウンギアT1は、ポータル300の上方で水平に配置される。
【0056】
図5に関連して言及すべき点は、設備システム200の装置100がマシン加工位置ではなく、操作位置にある点である。装置100は、スイベル軸SAの周りにピボット回転させることにより、マシン加工位置から操作位置に移行したものである。スピンドルグループ112は、把持部115をピボット回転させた後、操作位置に配向させることにより、ピニオンR2のシャフトW2が把持部115内に挿入される。
【0057】
すべての実施形態において、本発明に係る装置100は、その独立した構成要素を支持し、全体的な配置構成に対して十分な剛性を担保するマシンベッドまたはマシンフレーム120を有していてもよい。有する場合、すべての実施形態に係る設備システムの把持部310は、マシンベッドまたはマシンフレーム120に連結されるか、これから独立して支持されるものであってもよい。
【0058】
すべての実施形態に係る装置100において、好適には、設備システム200は、数値制御(NC)駆動システムSを有する。図3Aから図5の各図面において、NC駆動システムSは楕円のみで表されている。NC駆動システムSは、装置および設備システム200のすべての必須の構成部品に動作可能に接続されている。この場合における各実施形態において、少なくとも2つの並進軸LA1,LA2とともにスイベル軸は数値制御される軸である。
【0059】
必要に応じて、把持部310を制御するための独立したコントローラを設けてもよい。ただし、把持部310の動作を制御するためにNC駆動システムSを採用することもできる。
【0060】
図5以外の各実施形態において、スイベル軸SA1および/またはスイベル軸SA2を設けてもよい。
【0061】
各実施形態において、設備システム200は、図5に示すようなポータル装置の代わりに、ギアTおよび/またはギアRの操作を実行するための1つまたはそれ以上のロボットアームを備えていてもよい。
【0062】
好適には、各実施形態に係る装置100は、2つの回転軸RA,TAと、2つの並進軸LA1,LA2と、1つのスイベル軸SAとを有する。
【0063】
好適には、各実施形態に係る装置100は、テストおよび/またはラッピングをモニタし、制御するための(たとえば角度エンコーダまたはパスエンコーダの)センサを有する。
【0064】
好適には、各実施形態に係る装置100は、2つのスイベル軸SAを備え、一方のスイベル軸は第1のスピンドルグループ111に割り当てられ、他方のスイベル軸は第2のスピンドルグループ112に割り当てられる。こうした2つのスイベル軸を備えた装置100において、ギアTとギアRをペアリングするとき、90度以外の角度でシャフトを調整することができる。平歯車(スプールギア)のペアは、回転軸TA,RAが互いに対して平行となり、平面Eに対して垂直となるように、両方のスピンドルグループ111,112を90度ピボット回転させた後に、装置100でテストすることができる。
【符号の説明】
【0065】
【表1】
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5