(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030116
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】飲料調合装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
A47J31/36
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-502497(P2014-502497)
(86)(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公表番号】特表2014-509912(P2014-509912A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】NL2012050195
(87)【国際公開番号】WO2012134280
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年2月12日
(31)【優先権主張番号】2006503
(32)【優先日】2011年3月31日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】508122091
【氏名又は名称】ブレイビロア・ホールディング・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】Bravilor Holding B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】ベルホエベン、ラモン・エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】フイベルト、ヨハンネス・テオドルス・エメレンティア
【審査官】
仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−152637(JP,A)
【文献】
特表2009−516563(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102007060813(DE,A1)
【文献】
特開平11−009463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉もしくは粒状の物質を受けるための充填開口部(26)、並びに物質を吐出するための吐出開口部(36)が設けられているジャケット(23)と、
長手方向の軸(37)に対して直交して配置されている第1及び第2の押圧部材(22、23b、32)と、
充填位置と、押圧位置と、吐出位置との間で、前記ジャケット(23)に対して前記第1の押圧部材(22)を相対的移動させるための移動部材(2、4、5、13)であって、
前記充填位置で前記第1及び第2の押圧部材(22、23b、32)は、これらの間に充填空間を定めており、
前記押圧位置で前記第1及び第2の押圧部材(22、23b、32)は、前記充填空間から一定の距離を空けて長手方向の軸に沿って位置されている調合空間を定めており、
前記第1の押圧部材(22)は、流体密封で、前記ジャケット(23)の内周壁面(31)に係合している、移動部材と、
前記押圧位置で前記調合空間と流体接続されている、流体供給チャンネル(14)及び飲料吐出チャンネル(3)と、を有する筒形状の生成チャンバ(9)を具備し、
前記第2の押圧部材(23b、32)は、前記ジャケット(23)に固定して接続されていることと、前記第2の押圧部材(23b、32)に対して前記長手方向の軸(37)に沿って移動可能である吐出部材(10)が、前記生成チャンバ(9)内に設けられており、この吐出部材(10)は、前記第2の押圧部材(23b、32)中を前記第2の押圧部材(23b、32)に配設されているシャフトシール(17)を介して通って入るシャフト(8)に、固定して接続されており、
前記第1の押圧部材(22)に向けられている前記吐出部材(10)の一側面と、前記吐出部材(10)の前記第2の押圧部材(23b、32)に面している他側面との間に、流体接続がなされており、
前記押圧位置で、前記吐出部材(10)は、前記第2の押圧部材(23b、32)の近くにもしくは接して位置され、
前記吐出位置で、前記吐出部材(10)は、前記吐出開口部(36)の近くに、もしくはこれの外側にあり、前記第2の押圧部材(23b、32)から一定の距離を空けて位置されており、
前記流体供給チャンネル(14)は、前記第2の押圧部在(23b、32)の中に配設され、前記生成チャンバ(9)の中に、第2の押圧部在(23b、32)の押圧面(23a)を介して液体を排出する、飲料調合装置(1)において、
前記吐出部材(10)の外周端面は、この吐出部材(10)の外周側面と前記生成チャンバ(9)の前記内周壁面(31)との間での自由な流体移動が可能であるように設定された一定の距離だけ、前記生成チャンバ(9)の前記内周壁面(31)から離間して位置されており、前記押圧面(23a)と吐出部材(10)との間の前記液体と、粉もしくは粒状の物質とは、吐出部材(10)の外周端面の所を通ってチャンバ(9)に入り、そしてチャンバから流れ出ることを可能にしていることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記吐出部材(10)は、ふるい部材を有している、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記流体供給チャンネル(14)は、前記第2の押圧部材(23b、32)内の供給開口部に接続されており、前記飲料吐出チャンネル(3)は、前記第1の押圧部材(22)中を通るところまで、軸方向に延びている、請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記生成チャンバ(9)は、前記移動部材(2、4、5、13)によって、固定して配設されている前記第1の押圧部材(22)へ、及びこの押圧部材から、移動可能である、請求項1乃至3のいずれか1に記載の装置。
【請求項5】
前記生成チャンバ(9)には、前記押圧位置から前記吐出位置へと前記生成チャンバ(9)を移動させている時の、前記吐出部材(10)と係合し、これの軸方向への移動のためのカムが設けられている、請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記生成チャンバは、軸方向の案内レール(2)に沿って移動可能である、請求項4又は5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記シャフト(8)は、この装置のハウジング(25)の一部分(7a)に、一方の端部で着脱可能に接続されており、前記シャフト(8)は、前記生成チャンバ(9)を前記吐出位置へと移動させた時に、前記吐出部材(10)が、前記吐出開口部(36)の近くに位置されるように設定された長さを有しており、また、前記生成チャンバ(9)が前記充填位置から前記押圧位置へと移動している時に、前記吐出部材(10)は、前記第2の押圧部材(23b、32)と一緒に移動されて、前記着脱可能な接続(7、7a)は、外れる、請求項1乃至6のいずれか1に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記装置のハウジング(25)の一部と前記シャフトとの前記着脱可能な接続(7、7a)は、磁石接続によってなされる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
加熱部材が、前記生成チャンバ(9)の周りに設けられている、請求項1乃至8のいずれか1に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記第2の押圧部材は、分配プレート(23b)を有し、前記流体供給チャンネル(14)は、使用中に湯供給部材によって、分配空間(28)から前記生成チャンバ(9)に前記液体としての湯を供給するように分布されている複数の吐出開口部(24)が設けられている分配プレート(23b)の後ろの前記分配空間(28)中に吐出する、請求項3に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉もしくは粒状の物質を受けるための充填開口部、並びに物質を吐出するための吐出開口部が設けられているジャケットと、長手方向の軸に対して直交して配置されている第1及び第2の押圧部材と、充填位置と押圧位置と吐出位置との間での前記ジャケットと関連する前記第1の押圧部材の相対的移動をさせるための移動部材であって、前記充填位置での前記押圧部材は、充填空間を定めており、前記押圧位置での前記押圧部材は、前記充填空間から一定の距離を空けて長手方向の軸に沿って配置されている調合空間を定めており、前記第1の押圧部材は、流体密封の方法で、前記ジャケットの内周壁面に係合している、移動部材と、前記押圧位置で前記調合空間と流体接続されている、流体供給チャンネル及び流体吐出チャンネルと、を有する筒形状のチャンバを具備する飲料調合装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、例えば特許文献1によって知られている。この文献は、温かい飲料、特にコーヒーを調合するための装置を記載しており、この装置は、充填位置と、調合位置と、吐出位置との間での細長い筒形状のハウジング中に移動可能に設けられている2つのピストン部材を有する。前記充填位置では、粉もしくは粒状の物質、例えば挽かれたコーヒー豆が、前記ハウジングの充填開口部を通って前記2つのピストン部材間の前記ハウジング中に入れられ得る。前記ピストン部材を互いに向けて移動させている時に、前記粉は前記両ピストンの表面と、前記ハウジングの内壁との間で押圧される。円周に沿って、前記ピストン部材は、前記ハウジングの内壁に隣接している。前記調合位置では、前記粉が押圧される前記ハウジングの部分の位置で、前記ハウジングには、周囲に取り付けられている湯供給チャンネルが、設けられている。これら湯供給チャンネルは、前記粉と混ざった湯を供給する。このようにして作られた飲料は、さらに、周囲に取り付けられている飲料吐出チャンネルによって、コップ又はジョッキのような容器に吐出される。飲料の調合の後に、前記ピストンは、吐出位置へと前記ハウジング中を直線移動し、使用された粉は、前記ピストン部材の一方によって、開口端部から、前記ハウジングの外に押し出される。
【0003】
既知の装置の欠点は、前記ピストン部材と前記ハウジングの内壁との間のシールが、高い負荷を受けることである。前記ピストン部材と前記筒形状のハウジングの内壁とは互いに関連して移動するので、前記ピストンの周面と前記内周壁面との間の前記シールは、流体密封を失い得る。高い大気温度と、湯との接触と、前記粉もしくは粒状の物質との引きずるような接触と、摩耗とが、前記シールの耐用年数と信頼性とに、不利に影響する。結果として、前記既知の装置は、この装置は、通例分解が必要となるメンテナンスを、比較的頻繁に必要とする。
【0004】
前記ピストンを使用する場合の他の欠点は、粉もしくは粒状の物質の残留物が、前記ピストンの後ろに堆積し得、前記ハウジングとピストンとが分解される時にのみ除去され得ることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US 2007/0012196
【発明の概要】
【0006】
従って、本発明の目的は、メンテナンスをあまり必要としない前述の種類の飲料調合装置を提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、前記シールの信頼性と耐用年数とが改良された装置を提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、好ましくは分解の必要がない単純な清掃を可能とする装置を提供することである。
【0009】
本発明に係る装置は、前記第2の押圧部材が前記ジャケットに固定して接続されていることと、前記第2の押圧部材に対して前記長手方向の軸に沿って移動可能である吐出部材が前記チャンバ中に設けられており、この吐出部材は、前記第2の押圧部材中を通って入るシャフトに、前記第2の押圧部材に配設されているシャフトシールによって固定して接続されており、前記第1の押圧部材に向けられている前記吐出部材の一側面と、前記吐出部材の前記第2の押圧部材に面している一側面との間に、流体接続がなされており、前記吐出部材の外周面は、この吐出部材の外周面と前記生成チャンバの内周壁面との間で自由な流体移動が可能であるように設定された一定の距離を、前記生成チャンバの内周壁面から空けて位置されており、前記押圧位置では、前記吐出部材は、前記第2の押圧部材の近くにもしくはこれに接して位置され、前記吐出位置では、前記吐出部材は、前記吐出開口部の近くに、もしくはこれの外側にある前記第2の押圧部材から一定の距離を空けて位置されている。
【0010】
前記第2の押圧部材は、前記筒形状の(生成)チャンバの前記ジャケットに固定して接続されているので、可動のシールが必要ではない。前記調合位置での生成物の押圧は、前記生成チャンバの壁にしっかりと配置されている前記第1の押圧部材と、前記チャンバのジャケットに固定して接続されている前記第2の圧力部材との間で、行われる。前記2つの押圧部材間に配置されている前記吐出部材のシャフトは、固定して配設されている前記第2の押圧部材から軸方向に入り、前記シャフトの外周面がこの部材にシールされている。前記シャフトに摺動可能に配置されているこのような比較的小さなシールは、前記生成チャンバの内周壁面に沿ったシールに対して信頼性且つ耐久性のあるシールを成している。更に、前記吐出部材の周面と、前記生成チャンバの内周壁面との間で自由な流体移動が可能であることによって、前記生成チャンバは、残留物が前記吐出部材を通って洗い流され得ることによって、容易に清掃され得る。
【0011】
更に、本発明に係るシャフトシールは、加熱された生成チャンバの調合の間とスタンバイの間とでは、前記調合の所要時間の間にのみ高温に晒され、前記スタンバイの間では、このシールは、前記シャフトシールの耐用年数が延びるように、比較的低温である。
【0012】
更に、前記生成チャンバと前記シャフトシールとの間での、本発明に係る前記吐出部材の配置は、前記粉もしくは粒状の生成物が前記シャフトシールに接触するのを防ぐ。このようにして、このシャフトシールの摩耗が、減じられる。
【0013】
最後に、前記吐出部材と前記生成チャンバのジャケットに固定して接続されている前記第2の押圧部材との間の前記空間は、本発明に係る前記吐出部材が前記生成チャンバ中に流体密封でない方法で配設されているので、水によって洗い流され得、前記装置の分解が必要ない。
【0014】
一実施形態では、前記吐出部材は、ふるい部材を有している。このふるい部材によって、前記第2の押圧部材から前記調合空間への均一な水の分配が、果たされ得る。前記ふるい部材は、前記調合位置で前記第2の押圧部材に押圧しており、前記第2の押圧部材は、前記生成チャンバの後壁を形成しているので、比較的薄く従って容易に変形可能なふるいを使用している場合でも、コンパクトなタブレットを形成するために、依然として十分に大きな圧力を、前記生成チャンバ中の物質に与えられ得る。
【0015】
更なる実施形態では、前記流体供給チャンネルは、前記第2の押圧部材の供給開口部に接続されており、前記流体吐出チャンネルが、前記第1の押圧部材を通って軸方向に延びている。端面を介する前記生成チャンバへの流体の供給及び前記生成チャンバからの飲料の吐出によって、流体ダクトがほぼ軸方向に延びており、径方向の延びが小さいダクト部品が小型であり且つ信頼性のある飲料調合装置が、得られる。
【0016】
他の実施形態では、前記チャンバは、移動部材によって、固定して配設されている前記第1の押圧部材へ、及びこの第1の押圧部材から、移動可能である。前記第1の押圧部材の、固定して配設されている前記吐出部材によって、前記生成チャンバ中で調合されている飲料が、固定の吐出点からユーザに容易に供給され得る。前記筒形状の生成チャンバは、前記吐出部材の軸方向の移動と同時に、前記流体供給チャンネルと共に、軸方向に移動される。前記吐出部材の移動は、前記移動可能な生成チャンバによって引きずられることによって、果たされ得る。
【0017】
更なる実施形態では、前記生成チャンバには、前記吐出部材との係合と、前記押圧位置から前記吐出位置への前記吐出部材の移動における軸方向の移動とのために、カムが設けられている。前記押圧位置から前記吐出位置への前記吐出部材の移動は、前記生成チャンバの直線移動によって果たされ、前記吐出部材を、カムによって一緒に移動させることによって、前記吐出部材のための別の駆動部材を必要としないで、前記吐出位置へともたらす。
【0018】
好ましくは、前記筒形状の生成チャンバは、前記生成チャンバの外周に沿って延びている1つもしくは複数の軸方向の案内レールに沿って、移動される。
【0019】
更なる他の実施形態では、前記シャフトが、前記装置のハウジングの一部分に、1つの端部で着脱可能に接続されており、前記シャフトは、前記チャンバを前記吐出位置へと移動させた時に前記吐出部材が前記吐出開口部の近くに位置されるように設定された長さを有しており、前記チャンバを前記充填位置から前記調合位置へと移動させている時に、前記吐出部材が、前記第2の押圧部材によって一緒に移動されて、前記着脱可能な接続が外れる。かくして、前記生成チャンバのみが移動し、前記吐出部材は、原則として受動的に移動可能であることが、有効に達成される。従って、前記生成チャンバに対して前記吐出部材を移動させるための積極的な移動手段が、必ずしも必要ではない。前記シャフトの全長は、前記吐出部材が前記吐出位置で前記ハウジングから使用済みの生成物を押し出し、更に前記吐出部材が前記充填位置から前記押圧位置に前記チャンバのジャケットによって一緒に移動されるように、選択され得る。
【0020】
更なる実施形態では、前記シャフトの、装置の一部への着脱可能な接続が、磁石接続によってなされる。このような磁石接続は、摩擦を受ける部分がないので、摩耗に対して比較的耐久性がある。これに関して、一方では、前記シャフトの端部に、磁石が設けられ得、前記シャフトが接続されている装置のハウジングの部分には、強磁性材が設けられ得る。他方では、前記シャフトは、一方の端部に、強磁性材を有し得、装置のハウジングの対応する部分は、磁石を有し得る。
【0021】
更なる他の実施形態では、加熱部材が、前記チャンバの周りに設けられている。例えば加熱バンドの形態の前記加熱部材によって、前記生成チャンバは、スタンバイ時間の間に、所望の温度に保たれ得る。
【0022】
更なる実施形態では、前記流体供給チャンネルは、使用中に湯供給部材によって分配空間から前記チャンバに湯を供給するために分布されている複数の吐出開口部が設けられている分配プレートの後ろで、分配空間中に吐出する。表面に均等に分配されている吐出開口部を有する分配プレートを使用することによって、前記分配プレートの後ろで、前記流体供給チャンネルに接続されている分配空間が、設けられており、前記生成チャンバの断面全体にわたる有効な湯の分配が、果たされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1a】
図1aは、充填位置での、既知の飲料調合装置の一実施形態を示す図である。
【
図1b】
図1bは、調合位置での、既知の飲料調合装置の一実施形態を示す図である。
【
図1c】
図1cは、吐出位置での、既知の飲料調合装置の一実施形態を示す図である。
【
図2】
図2は、充填位置での、本発明に係る装置の一実施形態を示す図である。
【
図3】
図3は、調合位置での、
図2に係る装置を示す図である。
【
図4】
図4は、吐出位置での、
図2に係る装置を示す図である。
【
図5】
図5は、第2の押圧部材と湯供給部材との拡大された詳細図を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る装置の上面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
従来技術の装置及び本発明に係る装置の例示的な実施形態が、添付の図面を参照して、例によって更に明らかにされる。
【0025】
図1aは、充填位置にある従来技術に係る水平な飲料調合装置を示している。既知の飲料調合装置50は、充填開口部52と吐出開口部53とを備えた筒形状のハウジング51と、長手方向の軸54に沿って移動可能なピストン55、56の形態の1対の押圧部材とを有している。この充填位置では、前記ピストン55、56は、互いに離れる方向に移動されており、粉もしくは粒状の物質58、例えば挽かれたコーヒーが、充填開口部を通って、前記ピストン55、56間の充填空間59に供給される。
【0026】
そして、図示されていない駆動手段によって、前記ピストン55、56は、互いに向かって移動され、前記物質58は、
図1bに示されているように、調合位置で、1つのタブレット62に押圧される。この調合位置では、湯が、矢印で示されている供給部60と吐出部61とによって調合空間とこの中に収容されている押圧された前記タブレットとを通って供給される。
【0027】
最後に、前記ピストン55、56の両方は、
図1cに示されているように、前記吐出位置へと、一緒に移動する。そして、前記ピストンは、互いから離れるように移動し、タブレット63は、重力の影響を受けて前記吐出開口部を通って取り出される。特に、シール64、65の近くでは、飲料の調合と、前記粉状の物質との摺動接触(dragging contact)と、前記チャンバと壁との接触による摩耗とに関係する高温とが、問題である。更に、前記粉状の物質の残留物が、前記ピストン56の後ろに堆積し得、これら残留物は前記ピストン55、56と前記ハウジング51との分解によってのみ、取り除かれ得る。
【0028】
図2は、充填位置での本発明に係る飲料調合装置1の一実施形態の、軸方向の断面を示している。前記装置1は、細長く且つ水平に配設されているハウジング25の長手方向の軸37に沿って軸方向に移動可能である筒形状の生成チャンバ9を、有している。この生成チャンバ9は、駆動モータ4と、直線移動を果たすための長手方向のガイド2とに接続されている。固定して配設されている押圧部材22は、シールリング16による流体密封で、前記生成チャンバ9の内周壁面31に接続されている。飲料吐出チャンネル3が、前記押圧部材22中を軸方向に延びており、前記充填位置(同様に前記調合位置)では、前記充填空間33と流体接続している。この充填空間33は、前記充填位置で、前端が、固定の前記押圧部材22によって定められている。
【0029】
前記生成チャンバ9には、固定の前記押圧部材22に面した前端面に、吐出開口部36が、設けられている。前記生成チャンバ9の前端面とは反対側の端面は、前記生成チャンバ9のジャケット23に固定して接続されている端壁32によって、封止されている。湯供給チャンネル14が、前記生成チャンバ9中へ前記端壁32を通って吐出する。
【0030】
一方の端部にふるい部材10を有する、軸方向に移動可能なふるい接続シャフト8が、前記端壁32の中央の開口部を通り、且つ、前記端壁のシャフト支持部27によって案内されている。前記ふるい部材10は、ふるいを固定する部品12、例えばねじによって前記ふるい接続シャフト8に接続されており、前記固定する部品12は、ふるい収容空間11中に固定されている。前記ふるい接続シャフト8は、前記ハウジング25と関連して移動可能である。前記ふるい収容空間11は、例えば前記ねじを受けるように、配設されている。前記ふるい部材10の外周面は、前記生成チャンバ9の前記内周壁面31から、前記ふるい部材10の外周面と前記生成チャンバ9の前記内周壁面31との間で自由な流体移動が可能であるように設定された一定の距離を空けて、配置されている。シャフトシールリング17が、前記シャフト支持部27と関連して前記ふるい接続シャフト8を封止しており、流体が前記シャフト8を伝って前記生成チャンバから出ていくのを防いでいる。
【0031】
前記生成チャンバ9の、前記長手方向のガイド2に沿った水平方向の移動が、この装置の右側で、歯付きベルト5によって駆動シャフト6を駆動し得る駆動モータ4によって、なされる。前記駆動シャフト6は、ねじが設けられている更なる駆動シャフト13に接続されている。この駆動シャフト13は、前記生成チャンバ9に接続されている。前記生成チャンバ9を、前記駆動シャフト13を介して
図3に示されているような前記調合位置へと移動させている時、前記端壁32は、前記ふるい部材10に当接しており、前記ふるい部材10と前記シャフト8とは、前記端壁を介して左に移動される。前記接続シャフト8の右端には、磁石7が、設けられており、これによって、前記ふるい部材10は、前記生成チャンバ9の移動経路の第1の部分の間、前記ふるい部分10が前記端壁32の摺動点Mに接触して磁石接続が外されるまで、固定の位置に維持される。前記磁石7は、前記シャフト8の右側に配置されている磁石接続部分7aに接触し得る。前記磁石7と前記磁石接続部分7aとの位置は、所望であれば交換され得る。前記磁石7は、
図2に示されているように、前記磁石接続部分の位置に配置され得、この結果として、同様の機能が、果たされる。前記磁石接続部分7aは、前記磁石7によって引きつけられ得る強磁性材、例えば鉄によって形成される必要がある。
【0032】
前記生成チャンバ9の左側に移動された前記ふるい接続シャフト8を前記吐出位置、即ちスタンバイ位置に戻している時に、前記シャフトシールリング17と前記ふるい接続シャフト8との間に生じる摩擦が、利用され得る。また、前述のように、前記生成チャンバ9に取り付けられているカムが、使用され得る。
【0033】
前記生成チャンバ9は、右側の上方で、前記湯供給チャンネル14に接続されており、この湯供給チャンネル14は、前記移動可能な生成チャンバ9と一緒に移動し得る。前記生成チャンバ9の周りの空間には、加熱バンド19が設けられている。この加熱バンドは、シリンダ9を、使用温度に維持し、例えば前記生成チャンバ中でコーヒーを調合している場合、70乃至80度の範囲に維持し得る。
【0034】
固定の押圧面22aを右端に有する前記固定の押圧部材22には、前記長手方向の軸37に沿って、前記飲料吐出チャンネル3が、設けられている。前記飲料吐出チャンネル3は、この飲料吐出チャンネル3の右端に配置されている供給開口部3bと、これの左端に配置されている吐出開口部3aとを、有している。温かい飲料が、前記吐出開口部3aを通って飲料容器に吐出される。前記供給開口部3bは、前記固定の押圧部材22の右側で、前記空間と流体接続されている。
図4では、この流体接続が、固定のふるい20の、ふるいを固定する部品39の後ろに配置されている更なるチャンネル38によって、なされている。この更なるチャンネルは、前記空間中で、前記固定の押圧部分22の右側に吐出し、この空間中で、温かい飲料は、使用中に調合される。また、前記更なるチャンネルは、前記固定のふるい20の、前記ふるいを固定する部品39中に配置され得る。この更なるチャンネル38の吐出部は、前記ふるいを固定する部品39中に配置されている。前記ふるい20は、粉、もしくは粒状の物質、例えば挽かれたコーヒーが前記飲料吐出チャンネル3の供給開口部3bから前記吐出開口部3aへと引きずられるのを防ぐように、前記チャンネルを横切って配置されている。
【0035】
図2乃至
図4では、前記固定の押圧部材22は、前記ハウジング25に対して固定された位置に配置されている。前記生成チャンバ9と前記ふるい部材10とは、前記ハウジング25と関連して移動可能である。前記生成チャンバが固定して配設される実施形態と、前記押圧部材22及び前記ふるい部材10が前記ハウジングと関連して移動可能である実施形態とは、本発明の範囲内である。
【0036】
本発明に係る前記飲料調合装置の動作は、前記生成チャンバ9の前記充填位置と、前記調合位置と、前記吐出位置と、前記ハウジング25と関連する前記ふるい部材10の位置とを各々示す
図2乃至
図5を参照して、更に説明される。
【0037】
図2に示されているように、前記生成チャンバは、このチャンバ9の前記吐出開口部36が前記押圧部材22によって封止されている充填位置に位置されている。この充填位置では、前記生成チャンバ9は、前記駆動モータ4によって、前記案内レール2に沿って、前記ふるい部材10が前記チャンバ9の前記端壁32の押圧面23aに接触している状態で所定位置へと、移動されている。このような位置では、前記ふるい部材10は、前記摺動点Mのところで、摺動位置に、位置されている。前記生成チャンバ9の、左側への更なる移動によって、前記ふるい部材10は、前記端壁32によって一緒に摺動されている。そして、前記点で、前記ふるい接続シャフト8と前記磁石接続部分7aとの間の接続が、外されている。この位置で、前記生成チャンバ9の前記ジャケット23は、前記正面の端部の吐出開口部36を封止するように前記固定の押圧部材22を覆っている。前記生成チャンバ9には、粒状の物質、例えば挽かれたコーヒーが、前記充填開口部26を通って、前記チャンバ9から落ちないように、充填され得る。
【0038】
前記生成チャンバ9の、前記調合位置への左方向の更なる移動により、
図3に示されているように、前記充填開口部26は、この充填開口部26が閉じられるように、前記固定の押圧部材22を通って移動される。調合チャンバ34が、前記チャンバ9の内周壁面31と、前記固定の押圧部材22及び前記端壁32のそれぞれの前記押圧面22a及び23aとによって、定められている。前記移動可能な生成チャンバの、左方向への更なる移動により、前記生成チャンバ9中の物質は、一方では前記固定の押圧面22と、他方では前記ふるい部材10並びに前記移動可能な押圧面23aとの間で、押圧される。この時、前記移動可能な生成チャンバは、押圧された生成物タブレットが前記押圧面22a、23a間で形成される調合位置にある。湯が、前記湯供給チャンネル14から、前記移動可能な押圧面23aを通って前記押圧された物質に供給され得、湯は、この押圧された物質と混合され得る。前記湯が供給される圧力が、飲料マシンの制御パネルで、ユーザによって間接的に変えられ得る。この制御パネルは、飲料装置1の一部品である。このようにして、例えば前記生成チャンバ中の物質が、挽かれたコーヒーから成る場合、エスプレッソが、比較的高い圧力で生成され得、いわゆる「フラット」コーヒーが、比較的低い圧力で生成され得る。そして、このように生成された温かい飲料が、前記供給開口部3bから、前記飲料吐出チャンネル3と、前記吐出開口部3aとを通って、消費者の容器へと吐出されるように、装置から吐出し得る。
【0039】
前記調合位置では、前記固定の押圧部材22の外周面と、前記チャンバ9の前記内周壁面31との間の前記シールリング16は、前記内周壁面31と前記固定の押圧部材22との間にシールを設けることによって、前記調合空間34中での圧力の発生に貢献する。
【0040】
前記調合位置から始まって、
図4に示されているような前記吐出位置に達するまで、前記移動可能な生成チャンバ9は、右側に再度移動され得る。前記シールリング17によって、生成物の残留物が、前記ふるい接続シャフト8からこすり落とされる。そして、前記シリンダ9は、洗い流され得るか、次の吐出セッションが開始され得る。
【0041】
図4に示されている吐出位置では、前記移動可能な生成チャンバ9が、前記案内レール2の完全に右側に位置されており、前記ふるい部材10は、前記チャンバ9の開口した左前側の端面によって形成されている前記吐出開口部36の近くにある。この結果、前記固定の押圧部分22と前記移動可能な押圧部分23との間の前記調合位置で生成された、押圧された生成物タブレット、例えば押圧されたコーヒーの粉、もしくは挽かれた茶葉が、重力の影響によって、前記チャンバ9から排出され、前記ハウジング25から、開口部を通って吐出される。前記ふるい接続部材8の長さは、前記生成チャンバ9によって前記吐出位置に達した時に、前記ふるいが前記チャンバ9の前記開口端面36の近くに、即ちこれの左側に、配置されるように、選択されている。この位置では、前記チャンバ9は、前記湯供給チャンネル14からの湯によって洗い流され得、前記ふるい10と前記チャンバ9の閉じられた端部との間に配置されている生成物のいかなる残留物も、洗い流され得る。
【0042】
図5は、本発明に係る前記生成チャンバ9に沿って移動可能である前記端壁32の押圧部分23の、拡大された断面斜視図である。前記端壁32には、前記ふるい接続部材が移動可能に支持されているシャフト支持部分27が、設けられている。前記シャフト支持部分27と前記チャンバ9との間には、前記押圧面23aが設けられている分配プレート23bが取り付けられている。前記分配プレート23bには、この分配プレート23bの表面全体に均一に分布されている複数の吐出開口部24が、設けられている。前記湯供給チャンネル14と前記吐出開口部24との間には、分配空間28が形成されている。前記吐出開口部24は、前記押圧面23aと前記ふるい部材10との間に、従って前記押圧位置の押圧された生成物全体にわたって水の改良された分配を果たすように、前記押圧面23aの外面でわずかに凹んでいる。前記分配プレート23bは、前記チャンバ9のジャケット23と前記シャフト支持部分27との間でクランプされている。前記ふるい接続シャフト8と前記シャフト支持部分27との間には、前記シャフトシールリング17が、取り付けられている。更に、ジャケットシールリング18が、前記シャフト支持部分27と前記チャンバ9の前記ジャケット23との間に、取り付けられている。前記シャフト支持部分27には、更に、前記湯供給チャンネル14のための受け部15が、設けられている。前記ふるい部材10には、湯が前記吐出開口部24から前記生成チャンバ9へと通り抜け得るように大きく且つ生成物の粒子が反対方向に通り抜けるのを防ぐように小さい複数の孔が、設けられている。前記ふるい部材10は、閉じられていない接続(no-closed off connection)が前記ふるい部材10と前記チャンバ9の前記内周壁面31との間に設けられるように、前記ジャケット23の内径より小さい直径を有している。このことによって、湯が、前記ふるい部材10と前記分配プレート23bとの間の空間を例えば洗い流すように、前記ふるい部材10の外周面を超えて流れ得る。前記湯供給チャンネル14から供給された湯は、前記ふるい部材10を超えて前記空間から出ることが可能である。更に、
図5は、前記ふるい部材を孔11中に固定する、ねじの形態のふるい固定部品12を、示している。
【0043】
図6は、前記調合位置にある、本発明に係る装置1の平面図である。
図6で、前記駆動シャフト13が、前記ジャケット23に対してどのように配置されているかが判る。
図6で、前記駆動シャフト13は、例えばスピンドルを有しており、このスピンドルは、前記ジャケット23のスピンドルに適合するねじ溝(図示されていない)に係合している。
図6では、前記駆動シャフト13は、前記長手方向の軸37と、前記生成チャンバ9(図示されていない)とから一定の距離を空けて配置されており、前記駆動シャフト13が前記ジャケット23によって形成されている前記生成チャンバ9(図示されていない)に入るのを防ぐ。前記駆動シャフト13に接続されている前記駆動シャフト6を動作させている時、前記ジャケット23は、前記案内レール2に沿って移動される。前記駆動シャフト13の長さは、前記ジャケットが2つの極端部間で、即ち前記調合位置と前記スタンバイ位置との間で移動され得るように、選択されている。