特許第6030120号(P6030120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6030120CNS障害の治療におけるジベンゾチアゼピン誘導体およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030120
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】CNS障害の治療におけるジベンゾチアゼピン誘導体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 281/12 20060101AFI20161114BHJP
   A61K 31/554 20060101ALI20161114BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20161114BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20161114BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20161114BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20161114BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   C07D281/12CSP
   A61K31/554
   A61P1/00
   A61P11/00
   A61P17/00
   A61P25/00
   A61P43/00 111
【請求項の数】14
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2014-505712(P2014-505712)
(86)(22)【出願日】2012年4月16日
(65)【公表番号】特表2014-511897(P2014-511897A)
(43)【公表日】2014年5月19日
(86)【国際出願番号】GB2012050831
(87)【国際公開番号】WO2012143703
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年4月8日
(31)【優先権主張番号】1106520.8
(32)【優先日】2011年4月18日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1113163.8
(32)【優先日】2011年8月1日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513260144
【氏名又は名称】ニューメディクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】カヴァラ,デヴィッド
【審査官】 清水 紀子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0275541(US,A1)
【文献】 特開2008−137997(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0209474(US,A1)
【文献】 米国特許第03872102(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 281/12
A61K 31/554
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】
(式中、
およびRが、それぞれ独立に、HまたはC−Cアルキルを表し、
がハロを表し、
およびRが、それぞれ独立に、Hを表し、
が、−C(O)ORを表し、
Xが、OまたはSを表し、
が、HまたはC−Cアルキルを表し、且つ
mが、1〜6の整数である)
の化合物または薬学的もしくは獣医学的に許容可能な塩、または薬学的もしくは獣医学的に許容可能な溶媒和化合物。
【請求項2】
が、C−Cアルキルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、メチルを表す、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、クロロを表す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
が、HまたはC−Cアルキルを表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
が、HまたはC−Cアルキルを表す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
Xが、Oを表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
mが、1〜4の整数である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
が、メチルを表し、
が、クロロを表し、
が、Hを表し、
およびRが、いずれもHを表し、
が、−C(O)ORを表し、
が、Hを表し、
Xが、Oを表し;かつmが、4であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式(I)
【化2】
におけるアスタリスク(*)を付してマークした脂肪族炭素に関し、
前記式(I)の化合物が、(R)のエナンチオマーを少なくとも90重量%で含有すること、または(S)のエナンチオマーを少なくとも90重量%で含有することを特徴とする、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
式(II)または式(VII)の化合物であって:
【化3】
【化4】
式中、
、R、R、R、R、R、mおよびXが、請求項1〜10のいずれか1項に記載の式(I)の化合物で定義されたものと同義であり、式(II)の化合物中のZが−C≡CH基を表す、化合物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、またはその薬学的に許容可能な溶媒和化合物を、
薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤、またはキャリアーと共に含む、
薬学的組成物。
【請求項13】
ヒトの中枢神経系の医学的症状もしくは障害の治療における使用のための、または、ヒトの胃腸系、気道および/または皮膚の医学的症状もしくは障害の治療における使用のための、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、または薬学的に許容可能な溶媒和化合物。
【請求項14】
式(I)
【化5】
(式中、
およびRが、それぞれ独立に、HまたはC−Cアルキルを表し、
が、ハロを表し、
およびRが、それぞれ独立に、Hを表し、
が、−C(O)ORを表し、
Xが、OまたはSを表し、
が、HまたはC−Cアルキルを表し、且つ
mが、1〜6の整数である)、
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、または薬学的に許容可能な溶媒和化合物の
調製プロセスであって、
前記プロセスが、
式(II)
【化6】
(式中、R,R,R,R,R,Xおよびmは、前記式(I)の化合物において定義されたものと同義であり、かつZは−C≡CH基を表す)
の化合物における−C≡CH基を酸化すること;
または、
式(VII)
【化7】
(式中、R,R,R,R,R,Xおよびmは、前記式(I)の化合物において定義されたものと同義である)
の化合物を還元すること;
を含むことを特徴とする、
前記プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬学的に許容可能な化合物、薬学的組成物、ならびにこのような化合物および組成物の薬剤としての使用に関連する。特に、本発明の化合物および組成物は、排他するものではないが、中枢神経系(CNS)の障害または状態の治療に使用することができる。さらに、本発明の化合物が、概して代謝安定度を高め、副作用が少なく、長期の期間にわたって治療効果を発揮し得ることが示される。
【背景技術】
【0002】
以下の式
【化1】
に示されるチアネプチンは、フランス国特許第2,104,728号に報告されており、神経変性病状、神経障害性疼痛、線維筋痛症、慢性疲労症候群および過敏性腸症候群の治療に使用することができることが報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
薬物としてのチアネプチンを使用する際の主な問題は、体内で急速に代謝されることにあり、ヒトの終末相半減期は、約2.5時間である(European Journal of Drug Metabolism and Pharmacokinetics 1990, 15(1):69−74)。臨床診療においては、1日に3回チアネプチンを投与する。チアネプチンの急速な代謝率は、1日の複数回の投与計画と組み合わせることで、特定の投与頻度および治療をカバーする特定のレベルで、体内の活性薬剤のトラフ濃度に対する高いピーク比が発生し、それにより、口渇症、不眠症および鮮明な夢遊状態(vivid dreams)、便秘症、めまい/失神、傾眠状態、ならびに体位性低血圧などの望ましくない副作用が発生すると考えられている。最近では、α−アミノ−3−(5−メチル3−オキソ−1,2−オキサゾール−4−yl)プロパン酸(AMPA)受容体媒介反応を高めることによりチアネプチンが作用することが報告されている(Neurochem Int. 2011;59(8): 1109−22)。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、本発明の化合物が、一般にCNS中のAMPAの流れの強力なエンハーサーであり、一般的にチアネプチンと比較して代謝的な安定性が有意に増加するという発見に基づく。AMPAの流れを高める化合物により、呼吸抑制が低減し、学習力および記憶力を促進させ、注意持続時間を改善させることが求められてきた(Future Med Chem. 2010; 2(5):877−91; Respir Physiol Neurobiol. 2009;168(l−2): 153−7)。適宜、本発明の化合物は長期間にわたって治療効果を発揮し、それにより、より長期間にわたる症状から患者が解放されることが可能となり得る。任意に、この患者は、1日に1回の治療計画のみを要求してもよく、このことにより、通例である誤った治療を防ぐために、よりよい服薬率が予測される。さらに、より長い持続作用期間を、特定の投与頻度および治療をカバーする特定のレベルで、体内の活性薬剤のトラフ濃度に対してより低いピーク比を可能とすることができ、このことにより、活性に関連する副作用が低減してもよい。適宜、吐き気、便秘症、および腹痛などの胃腸障害、頭痛、眩暈、傾眠状態、ならびに不眠症および夢遊状態の変化などのチアネプチンに関連するような副作用が、チアネプチンと比較して本発明の化合物では低減し得る。
【0005】
本発明の第1の態様において、式I
【化2】
の化合物であって、
式中、
およびRは、本明細書で使用される際にはそれぞれ独立に、HまたはC−Cアルキルを表し、
はハロを表し、
およびRは、本明細書で使用される際にはそれぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニルを表すか、またはRおよびRは、3、4、5員の脂環を共に形成し、アルキル基およびアルケニル基は、それぞれ独立して任意に、−O−、−S−または−N(R)−のうちの1つ以上が挿入される、ならびに/あるいは、ハロ、−CN、−NO、−C(O)N(R)R、−C(O)R、−C(O)OR、−N(R)R、−ORから選択される1つ以上の置換基により置換および/または終結され、
は、−C(O)OR、−S(O)OR、または−C(O)N(R)Rを表し、
Xは、O、N(R)、S、S(=O)、S(O)、またはC(R10)(R11)を表し、
およびRは、本明細書で使用される際にはそれぞれ独立に、HまたはC−Cアルキルでそれぞれ存在し、
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニルを表し、各アルキル基およびアルケニル基が、それぞれ独立に、−O−、−S−または−N(R)−のうちの1つ以上に任意に妨害され、ならびに/またはハロ、−CN、−NO、−C(O)N(R)R、−C(O)R、−C(O)OR、−N(R)R、ORから選択される1つ以上の置換基により置換および/または終結され、
10およびR11は、本明細書で使用される際にはそれぞれ独立に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニルで存在し、またはR10およびR11は、3員、4員または5員の脂環を共に形成し、各アルキル基およびアルケニル基は、それぞれ独立独立して、−O−、−S−または−N(R)−のうちの1つ以上が任意に挿入される、ならびに/あるいは、ハロ、−CN、−NO、−C(O)N(R)R、−C(O)R、−C(O)OR、−N(R)R、−ORから選択される1つ以上の置換基により置換および/または終結され、
mは1および10を含む1〜10の整数であり、
ただし、XがC(R10)(R11)を表す際は、R、R、R10、R11のうちの少なくとも1つはHではない、
化合物あるいは、その薬学的または獣医学的に許容可能な塩、あるいは、これらのいずれかの薬学的または獣医学的に許容可能な溶媒和化合物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例2の化合物の代表的な電気生理学的記録を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に定義されるように、「C−Cアルキル」という用語は、特段の記載のない限り、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が、それぞれ独立して、十分な数の炭素原子が存在する際に、直鎖もしくは分枝鎖、環状または非環状(acylic)、あるいは環/非環の一部を表し得る。好ましくは、このアルキル基は、非環式アルキル基であり、より好ましくは直鎖アルキル基である。アルキル基の代表的な例は、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチルおよびヘキシルを含む。
【0008】
本明細書に定義されるように、「C−Cアルケニル」という用語は、R、R、R、R10およびR11が、それぞれ独立して存在してもよく、少なくとも1つの炭素間二重結合を含むC−Cの脂肪族ヒドロカルビル基を意味し、十分な数の炭素原子がある際には直鎖もしくは分枝鎖、環状、非環状、または環/非環の一部を表し得る。好ましくは、このアルケニル基は、非環式アルケニル基であり、より好ましくは、直鎖アルケニル基である。アルケニル基の代表的な例は、限定するものではないが、エテニル、プロペニル、ブテニルおよびペンテニルを含む。
【0009】
本明細書に定義されるように、「脂環」という用語は、RおよびRならびにR10およびR11が共に、それぞれ独立して、飽和もしくは不飽和、好ましくは飽和であってもよい炭素環構造を有する脂肪族ヒドロカルビル基を意味する。この脂環という用語は、ベンゼノイド、複素環、および他の芳香環を除く。3員、4員または5員の脂環の代表的な例は、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンチルを含む。
【0010】
「ハロ」という用語は、本明細書で使用される際に、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを含む。
【0011】
誤解を避けるために、本明細書に記載される各R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11基は、それぞれ、他のR、R、R、R、R、R、R、R10およびR11基と独立である。たとえば、RおよびRの両方が、−ORと置換したメチルを表す場合、この2つのそれぞれの−OR置換基は、お互いに独立しており、同一である必要はない(この可能性を排除するものではない)。
【0012】
本発明の化合物の薬学的または獣医学的に許容可能な塩は、たとえば、塩酸、臭化水素酸、よう化水素酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、カルボン酸、または有機スルホン酸と形成した非毒性の酸付加塩である。例として、HCl、HBr、HI、硫酸塩または重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩またはリン酸水素塩、酢酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、糖酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、グルコン酸塩、カンシラート、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩を含む。同様に、本発明の化合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、などの塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、アルカリおよびアルカリ土類金属炭酸塩などの無機塩基、またはトリエチルアミン、ベンジルアミン、ジエタノールアミン、tert−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミンおよびアルギニンなどの有機塩基と形成した非毒性の塩基付加塩である。適切な薬学的塩に関する概説に関しては、Berge et. al.,J. Pharm.,Sci.,66,1−19,1977を参照されたい。非常に好ましい塩は、ナトリウム塩である。
【0013】
本発明の薬学的または獣医学的に許容可能な溶媒和化合物は、それらの水和物を含む。
【0014】
本発明の化合物は、特に式(I)の化合物中で、1つ以上の不斉炭素原子を含み、したがって2つ以上のステレオアイソマーの形体で存在する。本明細書で使用されるように、ラセミ体のエナンチオマーは、単一のステレオアイソマー、すなわち、実質的に他のステレオアイソマーがなく、好ましくは、このような単一のステレオアイソマーが少なくとも90、好ましくは、少なくとも95、より好ましくは少なくとも98重量%である、単一のステレオアイソマーを実質的に含む、組成物を意味する。
【0015】
式(I)の化合物において、アスタリスク(*)で表示された脂肪族炭素は、不斉炭素原子および炭素がカーン・インゴルド・プレローグシステムにより指定される(R)または(S)であってもよいことに関する絶対配置を表す。本発明は、アスタリスク(*)で表示された脂肪族炭素に関して、式(I)の化合物のそれぞれの(R)および(S)ステレオアイソマーならびにそれらの混合物(たとえばラセミ体)を含む。好ましい実施形態によると、本発明は、アスタリスク(*)で表示された脂肪族炭素に関して、式(I)の化合物のそれぞれの(R)および(S)エナンチオマーを含む。
【0016】
アスタリスク(*)で表示された脂肪族炭素に関する本発明の化合物、特に、式(I)の化合物のそれぞれのエナンチオマーは、対応する光学的に純粋な中間体から調製されてもよく、または適切なキラル担体を使用したラセミ体のHPLCまたは分析のどちらかにより調製されてもよく、光学的に適切な活性酸または塩基とラセミ体の反応により形成されるジアステレオマー塩の分別結晶により適宜調製されてもよい。
【0017】
式(I)の化合物においてアスタリスク(*)で表示された脂肪族炭素に加えて、本発明の化合物が1つ以上のさらなる不斉炭素原子を含んでいてもよく、各置換基R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11の同定に依存することが理解される。誤解を避けるために、本発明の化合物のすべてのステレオアイソマーおよびジアステレオマーは、本発明の範囲内に含まれる。
【0018】
式(I)の化合物が、アルケニル基を含み、同様に、シス(E)およびトランス(Z)異性が起こってもよい。本発明は、式(I)の化合物のそれぞれの構造異性体を含み、それらの個々の互変異性の形体、それらを加えた混合物も適切な物である。
【0019】
同様に、本発明は、生物学的研究にとって適切である式(I)の放射標識し同位体標識した誘導体をも含む。このような誘導体の例は、限定するものではないが、H、H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、18F、35S、および36Clを含む。
【0020】
本発明のある化合物は、複合的な結晶または非結晶形体で存在してもよい。すべての物理的な形体および多形体は、本発明の範囲内に含まれる。
【0021】
好ましくは、式(I)における化合物中のRは、C−Cアルキルを表し、より好ましくは、RはC−Cアルキル、さらに好ましくは、直鎖C−Cアルキルを表す。最も好ましくは、Rはメチル基を表す。
【0022】
好ましくは、式(I)の化合物におけるRは、フルオロ、またはクロロ、特にはクロロである。
【0023】
好ましくは、式(I)の化合物のRは、HまたはC−Cアルキルを表す。より好ましくは、Rは、Hまたは直鎖C−Cアルキルを表す。最も好ましくは、RはHを表す。
【0024】
好ましくは、式(I)の化合物におけるRおよびRは、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニルであり、またはRおよびRは、3員、4員または5員の脂環を共に形成し、このアルキル基は、それぞれ独立して、−O−、−S−または−N(R)−のうちの1つ以上が任意に挿入される、ならびに/あるいは、ハロ、−C(O)N(R)R、−C(O)R、−C(O)OR、−N(R)R、−ORから選択される1つ以上の置換基により置換および/または終結される。より好ましくは、式(I)の化合物のRおよびRは、それぞれ、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニルを表すか、またはRおよびRは、3員、4員または5員の脂環を共に形成する。さらにより好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立してH、C−Cアルキル、またはC−Cアルケニルを表し、さらにより好ましくは、HまたはC−Cアルキルを表し、さらにより好ましくは、HまたはC−Cアルキルを表し、さらにより好ましくは、Hまたは直鎖C−Cアルキルを表し、さらにより好ましくは、H、メチル、またはエチルを表す。好ましくは、本明細書に定義される式(I)の化合物におけるRおよびRは、2つが同一であり、最も好ましくは、式(I)の化合物におけるRおよびRは両方ともHである。
【0025】
好ましくは、式(I)の化合物におけるRは、−C(O)ORまたは−C(O)N(R)Rを表し、最も好ましくは、−C(O)ORを表す。
【0026】
好ましくは、式(I)の化合物におけるXは、O、N(R)、S、S(O)またはC(R10)(R11)を表し、より好ましくはO、S、S(O)、またはC(R10)(R11)、さらにより好ましくは、O、S、またはS(O)、さらにより好ましくは、OまたはSを表し、最も好ましくはOを表す。
【0027】
好ましい実施形態によると、式(I)の化合物におけるXは、C(R10)(R11)を表す。
【0028】
代替的な好ましい実施形態によると、式(I)の化合物におけるXは、O、N(R)、S、S(=O)、S(O)を表し、好ましくは、O、N(R)、S、またはS(O)を表し、より好ましくは、O、SまたはS(O)を表し、さらにより好ましくはOまたはSを表し、最も好ましくはOを表す。
【0029】
適宜、式(I)の化合物におけるXがC(R10)(R11)を表す際に、R、R、R10およびR11のうちの少なくとも1つは、水素を示さず、好ましくは、R、R、R10およびR11のうちの少なくとも1つは、それぞれ独立してC−Cアルキル、C−Cアルケニルを表すか、またはRおよびRならびにR10およびR11は、共に3員、4員または5員の脂環を形成し、より好ましくは、R、R、R10およびR11のうちの少なくとも1つは、それぞれ独立してC−Cアルキル、C−Cアルケニルを表し、さらにより好ましくは、R、R、R10およびR11のうちの少なくとも1つは、それぞれ独立にC−Cアルキルを表し、さらにより好ましくは、R、R、R10およびR11のうちの少なくとも1つは、C−Cアルキルを表し、最も好ましくは、R、R、R10およびR11のうちの少なくとも1つは、それぞれ独立してメチルまたはエチルを表す。
【0030】
式(I)の化合物におけるXがC(R10)(R11)を表し、RおよびRの両方がHを表す際に、本明細書に定義されるR10およびR11のうちの少なくとも1つは水素を示さず、好ましくは、R10およびR11のうちの少なくとも1つはそれぞれ独立して、好ましくは、R10およびR11の両方が、C−Cアルキル、C−Cアルケニルを表すか、またはR10およびR11は共に3員、4員または5員の脂環を形成し、より好ましくは、R10およびR11のうちの少なくとも1つはそれぞれ独立して、好ましくはR10およびR11の両方が、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルを表し、さらにより好ましくは、R10およびR11のうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、好ましくは、R10およびR11の両方が、C−Cアルキルを表し、さらにより好ましくは、R10およびR11のうちの少なくとも1つはそれぞれ独立して、好ましくは、R10およびR11の両方が、C−Cアルキルを表し、さらにより好ましくは、R10およびR11のうちの少なくとも1つはそれぞれ独立して、好ましくはR10およびR11の両方が、メチルまたはエチルを表す。
【0031】
好ましくは、式(I)の化合物中に存在する際に、Rは、HまたはC−Cアルキル、より好ましくはHまたは直鎖C−Cアルキル、最も好ましくはHを表す。
【0032】
好ましくは、式(I)の化合物中に存在する際に、Rは、HまたはC−Cアルキル、より好ましくはHまたは直鎖C−Cアルキル、最も好ましくはHを表す。
【0033】
好ましくは、式(I)の化合物中に存在する際に、Rは、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルを表し、このアルキル基は、それぞれ独立して−O−、−S−または−N(R)−のうちの1つ以上が任意に挿入される、ならびに/あるいは、ハロ、−C(O)N(R)R、−C(O)R、−C(O)OR、−N(R)R、−ORから選択される1つ以上の置換基により置換および/または終結される。より好ましくは、RはH、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルを表し、さらに好ましくは、HまたはC−Cアルキル、さらにより好ましくはHまたはC−Cアルキルを表す。最も好ましくは、Rは水素を表す。
【0034】
好ましくは、式(I)の化合物中に存在する際に、R10およびR11は、それぞれ独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニルを表すか、またはR10およびR11は、共に3員、4員または5員の脂環を表し、このアルキル基は、それぞれ独立して−O−、−S−または−N(R)−のうちの1つ以上が任意に挿入される、ならびに/あるいは、ハロ、−C(O)N(R)R、−C(O)R、−C(O)OR、−N(R)R、−ORから選択される1つ以上の置換基により置換および/または終結される。より好ましくは、式(I)の化合物中に存在する際に、R10およびR11は、それぞれ独立して、H、C−Cアルキル、またはC−Cアルケニルを表すか、またはR10およびR11は、共に3員、4員または5員の脂環を表す。さらに好ましくは、R10およびR11は、それぞれ独立して、HまたはC−Cアルキル、またはC−Cアルケニルを表し、さらにより好ましくは、HまたはC−Cアルキルを表し、さらにより好ましくはHまたはC−Cアルキルを表し、さらにより好ましくはHまたは直鎖C−Cアルキルを表し、さらにより好ましくは、R10およびR11はそれぞれ独立して、H、メチルまたはエチルを表す。好ましくは、R10およびR11のうちの少なくとも1つが、本明細書で定義されるように、より好ましくは水素を両方とも示さない。さらにより好ましくは、式(I)の化合物中のR10およびR11は、本明細書に定義されるように同一である。
【0035】
好ましくは、式(I)の化合物中のmは、1および8を含む1〜8の整数であり、より好ましくは1および6を含む1〜6、さらにより好ましくは、1および4を含む1〜4、さらにより好ましくは2および4を含む2〜4の整数である。最も好ましくは、mは4である。
【0036】
式(I)の化合物の好ましい基は、
は、HまたはC−Cアルキルを表し、
は、ハロを表し、
は、HまたはC−Cアルキルを表し、
およびRは、それぞれ独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニルを表すか、またはRおよびRは、3、4または5員の脂環を共に形成し、
は、−C(O)OR、−S(O)ORまたは−C(O)N(R)Rを表し、
、R、Rは、それぞれ独立して存在する際に、HまたはC−Cアルキルを表し、
Xは、O、N(R)、S、S(=O)、S(O)またはC(R10)(R11)、好ましくは、O、S、S(O)またはC(R10)(R11)を表し、
10およびR11は、それぞれ独立して存在する際に、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニルを表すか、またはR10およびR11は、3、4または5員の脂環を共に形成し、
mは1および8を含む1〜8の整数であり、
ただし、XがC(R10)(R11)を表す場合、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つがそれぞれ独立にC−CアルキルもしくはC−Cアルケニルを表すか、またはRおよびRは、3、4または5員の脂環を共に形成する、
基である。
【0037】
式(I)の化合物のさらにより好ましい基は、
は、HまたはC−Cアルキルを表し、
は、ハロを表し、
は、HまたはC−Cアルキルを表し、
およびRは、それぞれ独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、好ましくはHまたはC−Cアルキルを表し、
は、−C(O)OR、−S(O)ORまたは−C(O)N(R)Rを表し、
、R、Rは、それぞれ独立して存在する際に、HまたはC−Cアルキルを表し、
Xは、O、N(R)、S、S(=O)、S(O)またはC(R10)(R11)、好ましくは、O、S、S(O)またはC(R10)(R11)、より好ましくは、O、S、またはS(O)を表し、さらにより好ましくはOを表し、
10およびR11は、それぞれ独立して存在する際に、H、C−Cアルキル、またはC−Cアルケニル、好ましくはH、またはC−Cアルキルを表し、
mは、1から8、好ましくは、1および4を含む1〜4の整数であり、
ただし、XがC(R10)(R11)を表す場合、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つがそれぞれ独立にC−CアルキルもしくはC−Cアルケニル、好ましくはC−Cアルキル、より好ましくはメチルもしくはエチルを表す、
基である。
【0038】
式(I)の化合物のさらにより好ましい基は、
は、HまたはC−Cアルキルを表し、
は、ハロを表し、
は、HまたはC−Cアルキルを表し、
およびRは、それぞれ独立して、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、好ましくはHまたはC−Cアルキルを表し、
は、−C(O)OR、−S(O)ORまたは−C(O)N(R)Rを表し、
、R、Rは、それぞれ独立して存在する際に、HまたはC−Cアルキルを表し、
Xは、O、N(R)、S、S(=O)、S(O)またはC(R10)(R11)、好ましくは、O、S、S(O)またはC(R10)(R11)、より好ましくは、O、S、またはS(O)を表し、さらにより好ましくはOを表し、
10は、独立して存在する際に、H、C−Cアルキル、またはC−Cアルケニル、好ましくはまたはC−Cアルキルを表し、
11は、独立して存在する際に、H、C−Cアルキル、またはC−Cアルケニル、好ましくはまたはC−Cアルキルを表し、
mは、1から8、好ましくは、1および4を含む1〜4の整数である、
基である。
【0039】
式(I)の化合物のさらにより好ましい基は、
は、HまたはC−Cアルキルを表し、
は、ハロを表し、
は、HまたはC−Cアルキルを表し、
およびRは、それぞれ独立して、HまたはC−Cアルキルを表し、好ましくはRおよびRの両方がHを表し、
は、−C(O)OR、−S(O)ORまたは−C(O)N(R)Rを表し、
、R、Rは、それぞれ独立して存在する際に、HまたはC−Cアルキルを表し、
Xは、O、N(R)、S、S(=O)、S(O)またはC(R10)(R11)、好ましくは、O、S、S(O)またはC(R10)(R11)、より好ましくは、O、S、またはS(O)を表し、
10およびR11は、それぞれ独立して存在する際に、C−Cアルキルを表し、
mは、1から8、好ましくは、1および4を含む1〜4の整数である、
基である。
【0040】
式(I)の化合物のさらにより好ましい基は、
は、HまたはC−Cアルキルを表し、
は、ハロを表し、
は、HまたはC−Cアルキルを表し、
およびRは、それぞれ独立して、HまたはC−Cアルキルを表し、好ましくはRおよびRの両方がHを表し、
は、−C(O)OR、−S(O)ORまたは−C(O)N(R)Rを表し、
およびRは、それぞれ独立して存在する際に、HまたはC−Cアルキルを表し、
は、存在する際にHを表し、
Xは、O、N(R)、S、S(=O)、S(O)またはC(R10)(R11)、好ましくは、O、Sまたは、S(O)、さらにより好ましくは、Oを表し、
10およびR11は、それぞれ独立して存在する際に、C−Cアルキルを表し、
mは、1から8、好ましくは、1および4を含む1〜4の整数である、
基である。
【0041】
式(I)の化合物のさらにより好ましい基は、
は、C−Cアルキル、好ましくはメチルを表し、
は、クロロを表し、
は、HまたはC−Cアルキル、好ましくはHを表し、
およびRは、それぞれ独立して、HまたはC−Cアルキルを表し、好ましくはRおよびRの両方がHを表し、
は、−C(O)ORまたは−C(O)N(R)Rを表し、
およびRは、それぞれ独立して存在する際に、HまたはC−Cアルキルを表し、
は、存在する際にHを表し、
Xは、O、N(R)、S、S(=O)、S(O)またはC(R10)(R11)、好ましくは、O、S、S(O)、またはC(R10)(R11)、より好ましくは、O、S、またはS(O)さらに好ましくは、Oを表し、
10およびR11は、それぞれ独立して存在する際に、C−Cアルキルを表し、
mは、1から8、好ましくは、1および4を含む1〜4の整数である、
基である。
【0042】
式(I)の化合物のさらにより好ましい基は、
は、C−Cアルキル、好ましくはメチルを表し、
は、クロロを表し、
は、HまたはC−Cアルキル、好ましくはHを表し、
およびRは、それぞれ独立して、HまたはC−Cアルキルを表し、好ましくはRおよびRの両方がHを表し、
は、−C(O)ORを表し、
は、HまたはC−Cアルキル、好ましくはHを表し、
Xは、O、N(R)、S、S(=O)、S(O)またはC(R10)(R11)、好ましくは、O、S、S(O)、またはC(R10)(R11)、より好ましくは、O、S、またはS(O)さらに好ましくは、Oを表し、
10およびR11は、それぞれ独立して存在する際に、C−Cアルキルを表し、
mは、1から8、好ましくは、1および4を含む1〜4の整数である、
基である。
【0043】
式(I)の化合物のさらにより好ましい基は、
は、C−Cアルキル、好ましくはメチルを表し、
は、クロロを表し、
は、HまたはC−Cアルキル、好ましくはHを表し、
およびRは、それぞれ独立して、HまたはC−Cアルキルを表し、好ましくはRおよびRの両方がHを表し、
は、−C(O)ORを表し、
は、Hを表し、
Xは、O、S、S(=O)、S(O)またはC(R10)(R11)、好ましくは、O、Sまたは、S(O)、より好ましくは、Oを表し、
10およびR11は、それぞれ独立して存在する際に、C−Cアルキルを表し、
mは、1から8、好ましくは、1および4を含む1〜4の整数である、
基である。
【0044】
式(I)の化合物のさらにより好ましい基は、
は、C−Cアルキル、好ましくはメチルを表し、
は、クロロを表し、
は、HまたはC−Cアルキル、好ましくはHを表し、
およびRは、それぞれ独立して、HまたはC−Cアルキルを表し、好ましくはRおよびRの両方がHを表し、
は、−C(O)ORを表し、
は、Hを表し、
Xは、O、S、または、S(O)、好ましくはOを表し、
mは、1から8、好ましくは、1および4を含む1〜4の整数である、
基である。
【0045】
式(I)の化合物の最も好ましい基は、
は、C−Cアルキル、好ましくはメチルを表し、
は、クロロを表し、
は、HまたはC−Cアルキル、好ましくはHを表し、
およびRは、それぞれ独立して、HまたはC−Cアルキル、好ましくはRおよびRの両方がHを表し、
は、−C(O)ORを表し、
は、Hを表し、
Xは、Oを表し、
mは、1から3、好ましくは2および4を含む2〜4の整数であり、より好ましくは、mは4である、
基である。
【0046】
式(I)の化合物の代替的な好ましい基は、
は、C−Cアルキル、好ましくはメチルを表し、
は、クロロを表し、
は、HまたはC−Cアルキル、好ましくはHを表し、
およびRは、それぞれ独立して、H、メチル、またはエチルを表し、
は、−C(O)ORまたは−S(O)ORを表し、
は、Hを表し、
Xは、O、N(R10)、S、S(=O)、S(O)またはC(R10)(R11)を表し、
10およびR11は、それぞれ独立して存在する際に、HまたはC−Cアルキルを表し、好ましくは、H、メチル、またはエチルを表し、
mは、1および4を含む1〜4の整数であり、
ただし、XがC(R10)(R11)を表す場合、R、R、R10、およびR11のうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、メチルまたはエチルを表す、
基である。
【0047】
本発明の好ましい化合物は、以下に記載される例の化合物を含む。
【0048】
したがって、本発明のさらなる実施態様によると、前述の定義および/または条件に係らず、式(I)の化合物は、
2−(2−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−ll−yl)アミノ)エトキシ)酢酸、
t−ブチル 2−(4−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−l1−yl)アミノ)ブトキシ)酢酸塩、
2−(4−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−ll−yl)アミノ)ブトキシ)酢酸、
2−((2−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−ll−yl)アミノ)エチル)チオ)酢酸、
2−((2−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−l1−yl)アミノ)エチル)スルホニル)酢酸、
5−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,1l−ジヒドロベンゾ[c,f][1,2]チアゼピン−11−yl)アミノ)ペンタンアミド、および
エチル 5−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−ll−yl)アミノ)−3,3−ジメチルペンタノエート
が、提供される。
【0049】
本発明の最も好ましい化合物は、2−(4−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−ll−yl)アミノ)ブトキシ)酢酸であり、特には、式(I)のアスタリスクで表示された脂肪族炭素原子に関する(R)および(S)エナンチオマーである。
【0050】
さらなる実施態様において、以下に例示されるように、本発明は、式(I)の化合物、その薬学的および獣医学的に許容可能な塩、ならびにこれらのいずれかの薬学的または獣医学的に許容可能な溶媒和化合物を提供する。
【0051】
以下のプロセスは、本発明の化合物を得るために採用されてもよい、一般的な合成手順を例表するものである。
【0052】
式(I)の化合物は、式(II)
【化3】
の化合物であって、
式中、
、R、R、R、R、Xおよびmは、式(I)の化合物で前述に定義され、Zは、式(II)の化合物中の−C≡CH基またはチオール基の酸化による−C≡CHまたは−SHを表す、
化合物から提供されてもよい。
【0053】
この−C≡CH基の酸化は、式(II)の化合物中に存在する際に、一般的に室温で行われ、好ましくは、アセトニトリル水溶液などの適切な溶媒の存在下で、メタ過ヨウ素酸ナトリウムおよび三塩化ルテニウムなどの酸化剤を使用して行われる。
【0054】
式(II)の化合物中の−C≡CH基の酸化により、Rは、−C(O)ORを表し、Rは水素を表す式(I)の化合物を作製する。このような式(I)の化合物が、標準的な置換基および/または官能基の相互転換および変換により、他の式(I)の化合物へと容易に転換してもよい。たとえば、当業者に知られている(たとえば、’Practical Synthetic Organic Chemistry: Reactions, Principles, and Techniques’ by Stephane Caron (Wiley−Blackwell 2011)などのよく知られている合成有機化学のテキスト中の)技術による反応条件を使用してROHを使用したエステル化により、Rが−C(O)OHを表す式(I)の化合物は、本明細書に定義されるようなRが−C(O)ORであり、RがC−CアルキルもしくはC−Cアルケニルを表す、式(I)の化合物へと転換してもよい。同様に、たとえば、式HN(R)Rのアミンと反応した後、塩化チオニルと反応することにより、活性化したカルボニル化合物を形成することにより、Rが−C(O)OHを表す式(I)の化合物は、本明細書に定義されるようなRが−C(O)N(R)Rを表す式(I)の化合物へと転換してもよい。適宜、Xが(O)またはS(=O)を表す式(I)の化合物は、XがSを表す式(II)の化合物中の−C≡CH基の酸化中に形成されてもよい。
【0055】
この式(II)の化合物中のチオール基の酸化は、発生時は、一般的に外界気温で、またはそれよりわずかに高い気温で起こり、好ましくは、メタノールなどの適切な溶媒の存在下で、基本条件での次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、オゾン、または酸素などの酸化剤を使用することにより発生する。
【0056】
式(II)の化合物中のチオール基の酸化により、Rが−S(O)ORを表し、Rが水素を表す式(I)の化合物を作製する。このような式(I)の化合物は、標準的な置換基および/または官能基の相互転換および変換により、他の式(I)の化合物へと容易に変換してもよい。たとえば、当業者に知られている(たとえば、’Practical Synthetic Organic Chemistry: Reactions, Principles, and Techniques’ by Stephane Caron (Wiley−Blackwell 2011)などのよく知られている合成有機化学のテキスト中の)技術による反応条件を使用してROHを使用したエステル化により、Rが−S(O)OHを表す式(I)の化合物は、本明細書に定義されるように、Rが−S(O)ORを表し、RがC−CアルキルもしくはC−Cアルケニルを表す、式(I)の化合物へと変換してもよい。
【0057】
式(II)の化合物は、式(III)
【化4】
の化合物であって、
式中、
、R、Rおよびmは、式(II)で前述に定義されているものと同様であり、Xは、O、N(R)、またはSであり、Rは、式(IV)
【化5】
の化合物であって、
式中、
、R、およびZは、式(II)で前述に定義され、R12は、たとえば、ハロ(好ましくは、クロロ、ブロモ、またはヨード)などの脱離基である、
化合物との反応により、式(I)に定義されるものと同様である、
化合物から調製されてもよい。この反応は、特にXがOを表す際に、概して室温で行われ、好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)などの適切な溶媒の存在下で、過剰の(IV)および水素化ナトリウムなどの適切な塩基を使用して行われる。Zが式(IV)の化合物中で−SHを表す場合、適切な保護基とチオール基を保護することが望ましいことが明らかであってもよい。
【0058】
式(III)の化合物は、式(V)
【化6】
であって、
式中、
およびRは、式(III)で前述に定義され、R13は、
式(VI)
【化7】
であって、
式中、
、X、およびmは、式(III)で前述して定義されたものと同様である、
化合物と反応することにより、
たとえば、ハロ(好ましくは、クロロ、ブロモ、またはヨード)などの適切な脱離基を表す、
化合物から調製されてもよい。この反応は、特にXがOを表す際に、一般的に、エタノールなどの適切な溶媒の存在下で還流して行われる。式(VI)の化合物中のXは、もし、望ましいまたは必要な場合には、適切な保護基とで保護されてもよいことは明らかである。
【0059】
式(I)の代替的、一般的、適用可能な合成経路が、還元アミノ化(reductive animation)を含む。
【0060】
したがって、同様に、式(I)の化合物は、式(VII)
【化8】
であって、
式中、
、R、R、R、R、およびmは、式(I)の化合物で前述して定義されたものと同様である、化合物を還元することにより調製されてもよい。
【0061】
この反応は、一般的に、ジクロロメタンなどの適切な溶媒およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリドなどの水素化還元剤の存在下で、室温で行われる。
【0062】
式(VII)の化合物、あるいは以下に説明される式(IX)および(X)の化合物におけるRは、それらの誘導体に適宜保護されてもよい。Rが、式(VII)の化合物において−C(O)OR、−S(O)ORまたは−C(O)N(R)Rを表し、RがHを表し、RおよびRのうちの少なくとも1つが、一般的にはRおよびRの両方がHを表す際に、カルボン酸、スルホン酸、またはアミド基の適切な保護基の戦略を使用してもよい。この保護基は、一般的に、以下の式(VII)の化合物におけるイミン結合の還元の後に除去される。
【0063】
式(VII)の化合物は、式(VIII)
【化9】
であって、
式中、
およびRが、式(VII)で定義され、R
式(IX)
【化10】
であって、
式中、
、R、R、X、およびmが、式(VII)の化合物で定義されるものと同様である、
化合物との反応により、Hを表す、
化合物から調製されてもよい。この反応は、一般的に、たとえば、式(IX)の化合物およびトリエチルアミンなどの適切な塩基を過剰に使用し、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、室温で行われる。
【0064】
式(IX)は、式(X)
【化11】
であって、
式中、
、R、R、X、およびmが、式(IX)で定義されるものと同様である、
化合物の酸化により調製されてもよい。この反応は、一般的に、0℃でジクロロメタンなどの適切な溶媒において、デス・マーチン・ペルヨージナンなどの適切な酸化剤を使用して行われる。
【0065】
式(II)、(III)、および(VII)の中間体化合物は、本発明の範囲内である。
【0066】
商業的に利用可能でなく、それ以降でも説明されない場合、式(V)、式(VI)、式(VIII)、および(X)の化合物を、調製の部分で説明されているプロセスの例示、または有機化学に関する標準的なテキストまたは先行技術となる文献に関連した従来の合成手法のどちらかにより、容易に入手可能な開始材料から適切な試薬および反応条件を使用して得ることができる。
【0067】
記述したこのプロセスにおいて使用した合成ステップの順序は変動してもよく、特定の基質、鍵となる中間体の有効性、および(もしあるならば)採用される保護基の戦略に存在する他の官能基の性質などの要素にとりわけ依存するものである。同様に、このような要素がこの合成ステップにおいて使用した試薬の選択に影響を与えることは明白である。さらに、当業者は、得られた式(I)に定義される化合物と認められる以下の実施例および調製区分に記載されるプロセスに対する変動および代替物を認識するものである。
【0068】
式(I)のある化合物内の相互転換および変換した標準的な置換基または官能基が、式(I)の他の化合物を提供することは明白である。対応するカルボン酸(実施例2(c)から実施例2(d)および実施例6(d)から実施例6(e)の転換を参照)を形成するための、Rが−C(O)ORを表し、R9がC−Cアルキルを表すアルキル基の除去、XがS(O)を表す式(I)の化合物(実施例4参照)を形成するためのXがSを表すXの酸化を含む。
【0069】
本発明の化合物を、従来の技術を使用した反応混合物から分離してもよい。
【0070】
上述のプロセスを実行する際に、中間体化合物の官能基が保護基により保護される必要があってもよいことは当業者にとって明らかである。
【0071】
保護されることが望ましい官能基は、ヒドロキシ、アミノ、チオール、カルボン酸、スルホン酸、およびアミンを含む。ヒドロキシルの適切な保護基は、トリアルキルシリルおよびジアリールアルキルシリル基(たとえば、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニルおよびアルキルカルボニル基(たとえば、メチル‐およびエチルカルボニル)を含む。アミノ基の適切な保護基は、tert−ブチルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルを含む。カルボン酸およびスルホン酸の適切な保護基は、C−Cアルキルまたはベンジルエステルを含む。チオール基の適切な保護基は、t−ブチルまたはトリチル基、またはチオエステル、チオ炭酸塩およびチオカルバミン酸塩の形体を含む。官能基の保護および脱保護は、本明細書に上述したいずれかの反応ステップの前後に起こってもよい。保護基は、当業者によく知られている技術に関連して除去されてもよい。保護基を使用については、JWF McOmie, Plenum Press (1973)による’’Protective Groups In Organic Chemistry’’および’’Protective Groups in Organic Synthesis’’, 2nd edition, TW Greene & PGM Wutz, Wiley− Interscience (1991)に完全に記述される。
【0072】
例示的な保護基の戦略は、式(II)、(IV)、(VI)、(VII)、(IX)、および(X)の化合物の合成経路を表す。
【0073】
同様に、式(I)の化合物の薬学的に許容可能な酸付加塩を、従来の方法により調製してもよい。たとえば、遊離塩基溶液は、きちんとしたまたは適切な溶媒で適切な酸と処置し、結果として得た塩を、真空下で反応溶媒の濾過または蒸発により分離される。薬学的に許容可能な塩基付加塩は、適切な塩基で式(I)の化合物の溶液を処置することにより、同様の方法で得ることができる。この両方の種類の塩を、イオン交換樹脂の技術を使用して形成または相互転換してもよい。
【0074】
式(I)の化合物のある保護された誘導体が、最終的な脱保護段階の前に作製されてもよく、このような薬理学的活性を有していなくてもよいが、ある例では、経口的または非経口的に投与されてもよく、その後、薬理学的に活性である本発明の化合物を形成するために、体内で代謝されてもよい。したがって、このような誘導体を、「プロドラッグ」と記述してもよい。さらに、式(I)のある化合物は、式(I)の他の化合物のプロドラッグとして作用してもよい。
【0075】
式(I)の化合物の保護した誘導体およびプロドラッグのすべては、本発明の範囲内に含まれる。
【0076】
医学的使用
本発明の化合物は、動物、特にヒトを含む哺乳類において薬理学的活性を有するため有益である。したがって、本発明の化合物は、動物の薬物としての使用だけでなく、医薬品として使用することが示唆される。
【0077】
本発明のさらなる実施態様により、ヒトの薬物としての使用を目的とする式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはそのこれらのいずれかの薬学的に許容可能な溶媒和化合物が提供される。
【0078】
本発明のさらなる実施態様により、動物の薬物としての使用を目的とする式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはそのこれらのいずれかの薬学的に許容可能な溶媒和化合物が提供される。
【0079】
特に、式(I)の化合物は、中枢神経系(CNS)におけるAMPAの流れの強力なエンハーサーとして見いだされてきた。式(I)の化合物は、脳に浸透し、それにより、うつ病、不安症、双極性障害、統合失調症、慢性疲労症候群、睡眠時無呼吸、認知障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症、脆弱X症候群、線維筋痛症、神経障害性疼痛、または炎症性疼痛の治療に有益である。
【0080】
したがって、本発明は、このような治療を必要とする哺乳類に本発明の化合物の治療有効量を投与することを含む、動物(たとえは、ヒトを含む哺乳類)のCNSの医学的状態または障害を治療または予防する方法を提供する。
【0081】
適宜、本発明は、動物(たとえば、ヒトを含む哺乳類)のCNSの医学的状態または障害を治療するための本発明の化合物の使用法を提供する。
【0082】
さらに、中枢神経系の外部で主に身体を介して分配される際に、主に(または部分的に)CNSの外側の経路により媒介される障害の治療にとって、式(I)の化合物は有益である。したがって、式(I)の化合物は、過敏性腸症候群などの胃腸管系の疾患(すなわち障害もしくは状態)、喘息を含む気道の疾患または状態、(たとえば、外科手術の後、またはオピエートもしくは麻酔薬などの薬剤により引き起こされる呼吸抑制を含む)低換気、咳、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、肺線維症、アレルギー性鼻炎、COPDを併発した肺癌もしくは肺高血圧症およびアトピー性皮膚炎などの皮膚の疾患または条件の治療に有益である。
【0083】
したがって、本発明は、このような治療の必要のある哺乳類に本発明の化合物の治療有効量を投与することを含む、動物(たとえば、ヒトを含む哺乳類)の胃腸管系、気道、および/または皮膚の医学的状態または障害を治療または予防する方法を提供する。
【0084】
適宜、本発明は、動物(たとえば、ヒトを含む哺乳類)の胃腸管系、気道、および/または皮膚の医学的状態もしくは障害の治療のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0085】
「治療」という用語は、治療(治癒)、対症療法、および予防治療のすべてを含む。
【0086】
「疾患」という用語は、たとえば、ヒトを含む哺乳類といった動物の細胞、組織、または器官の通常の機能を損傷し、または挿入するいずれかの状態または障害が含まれる。
【0087】
特に、式(I)の化合物を、治療もしくは予防するために使用されてもよい特に好ましい状態または障害は、本明細書に説明したCNSの状態である。
【0088】
薬学的調製
本発明の化合物を、活性成分を含む薬学的に許容可能な調製の形体、任意に非毒性の有機もしくは無機の酸もしくは塩付加塩の形体で、薬学的に許容可能な剤形において経口的またはいずれかの非経口的な経路で通常投与する。投与経路と同じく、処置される障害および患者によって、この組成物を、変動した用量で投与してもよい。
【0089】
同様に、本発明の化合物は、本発明の化合物を示すための状態または障害の治療に有益である他のいずれかの薬剤と組み合わせてもよい。呼吸器疾患のための本発明の化合物と同時投与するために有益な追加的薬剤の例は、ベクロメタソン、ブデソニド、ベタメタゾンおよびフルチカゾンなどのステロイド、粘液溶解薬、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害薬(MMPIs)、ロイコトリエンD4アンタゴニスト、抗生剤、抗悪性腫瘍薬、鎮咳剤、ニコチン、PDE4阻害剤、PDE3/4阻害剤、エラスターゼ阻害剤、シクロスポリンA、タクロリムス、メトトレキサートおよびピメクロリムスなどの免疫抑制剤、サルブタモール、サルメテロール、ホルモテロールおよびフェノテロールなどのβ−2アドレナリンアゴニスト、チオトロピウム、イプラトロピウム、アクリジニウム、クリジニウムおよびグリコピロレートなどの抗ムスカリン薬、ならびにカロモグリク酸ナトリウムを含む。CNS疾患のための、本発明の化合物と同時投与するために有益な追加的薬剤の例は、フルオキセチン、パロキセチンまたはミルタザピンなどの抗うつ剤、メマンチン、ドネペジルまたはミオチンなどの認知改善薬、クロザピン、オランザピンまたはリチウムなどの抗精神病薬、モルヒネ、メペリジン、フェンタニルまたはオキシコドンなどの鎮痛剤、またはモダフィニルなどの他のCNS薬剤を含む。
【0090】
本発明の化合物、その薬学的に許容可能な塩、およびこれらのいずれかの薬学的に許容可能な溶媒和化合物を単独投与することができるが、ヒトの治療においては、一般的に、意図する投与経路および標準的な薬学的治療(practice)に即して選択される適切な薬学的賦形剤、希釈剤、またはキャリアーとの混合物として投与する。
【0091】
たとえば、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和化合物を、即時性、遅行性、修飾性、持続性、または制御性、徐放性もしくは拍動性の送達の使用のために、香料もしくは着色剤を含んでも良い錠剤、(ソフトゲルカプセルを含む)カプセル、胚珠、エリキシル剤、溶液もしくは懸濁液の形体で、経口的に、頬側もしくは舌下に投与することができる。同様に、本発明の化合物を、陰茎海綿体内(intracavenosal)注射を介して投与してもよい。同様に、急速に分散し、または急速に溶解する剤形を介して本発明の化合物を投与してもよい。
【0092】
このような錠剤は、結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウムおよびグリシンなどの賦形剤、スターチ(好ましくは、コーン、ポテト、またはタピオカスターチ)、グリコール酸ナトリウムスターチ、クロスカルメロースナトリウムおよびケイ酸塩複合体などの崩壊剤、ならびにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアカシアなどの顆粒結合剤を含んでもよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクなどの平滑剤を含んでもよい。
【0093】
同様の種類の固体組成物が、ゼラチンのカプセル内の賦形剤として使用されてもよい。このことに関する好ましい賦形剤を、ラクトース、スターチ、セルロース、乳糖または高分子量のポリエチレングリコールを含む。水性の懸濁液および/またはエリキシル剤のために、本発明の化合物を、多様な甘味料、香料または着色物質もしくは色素と、乳化剤および/または懸濁剤と、水、エタノール、プロピレングルコールおよびグリセリンおよびそれらの組み合わせなどの希釈剤と組み合わせてもよい。
【0094】
放出調節およびパルス放出の剤形は、放出率の調整剤として作用する追加的な賦形剤と共にある即時性の徐放剤形と説明されるような賦形剤を含んでいてもよく、これらは、この薬剤(デバイス)をコーティングし、またはこの中に含まれていてもよい。放出率の調整剤は、排他的に限定するものではないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、カルボメルク、アンモニオメタクリル酸塩コポリマー、硬化ヒマシ油、カルナウバろう、パラフィン、酢酸セルロースフタル酸塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩、メタクリル酸コポリマーおよびそれらの混合物を含む。放出調節およびパルス放出の剤形は、放出率を調節する賦形剤の1つ以上の組み合わせを含んでもよい。放出率を調節する賦形剤は、この剤形内の両方に存在してもよく、すなわち、マトリックス内および/またはたとえば、表面またはコーティング上といった剤形上の両方に存在してもよい。12時間、好ましくは18時間、最も好ましくは24時間より長い持続期間を有する本発明の化合物を含む、持続性徐放経口用剤形を提供するための製剤技術を使用してもよい。
【0095】
迅速溶解性または迅速崩壊性の投与剤形(FDDFs)は、以下の、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジアスコルビン酸、アクリル酸エチル、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、メタクリル酸メチル、ポリエチレングリコール、フュームシリカ、二酸化シリコン、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、キシリトールを含んでもよい。
【0096】
同様に、本発明の化合物を、非経口的、たとえば、陰茎海綿体内、静脈内、動脈内、腹腔内、脳室内、尿管内、胸骨内(intrasternally)、胸骨下内、筋肉内または皮下的に投与してもよく、または注入技術により投与してもよい。このような非経口的投与のため、たとえば、血液と等張の溶液を作製するために十分な塩またはグルコースといった他の基質を含んでも良い無菌性の水性溶液の形体で最も良く使用される。この水性溶液は、必要ならば適宜(好ましくはpH3から9に)緩衝される。無菌条件下での適切な非経口的製剤の調製は、当業者によく知られている標準的な薬学的技術により容易に行われる。
【0097】
ヒトの患者の経口および非経口投与にとって、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和化合物の一日の投与レベルは、(単一または分割投与において)通常、1から250mg、好ましくは、5から100mg、最も好ましくは10から50mgである。
【0098】
したがって、たとえば、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和化合物の錠剤またはカプセルは、必要に応じた単一投与または2回以上の投与のために、2.5mgから250mgの活性化合物を含んでもよい。いずれの事象においても、内科医は、個々の患者に最も適切な実際の用量を決定することができ、この用量は、年齢、体重、および個々の患者により変動する。上述の用量は、平均的な場合の例示である。もちろん、用量の高低があることは評価に値するものであり、本発明の範囲内である。
【0099】
錠剤処方の例
一般的に、錠剤の処方では、錠剤が50mgから1000mgの範囲で充填し得るのに対し、概して、約2.5mgおよび250mgの間の本発明による化合物が含まれる。10mgの錠剤の処方の例は以下に例示される。
【表1】
【0100】
同様に、本発明の化合物を、鼻腔内にまたは吸入により投与することができ、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどのヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素または他の適切な気体といった適切な推進剤を使用した加圧コンテナポンプ、スプレーまたは噴霧器からのドライパウダー吸入器またはエアロゾルスプレーを提示する形体で、簡便に送達される。加圧したエアロゾルの場合、この単位用量を、定量を送達するバルブを提供することにより決定してもよい。加圧コンテナ、ポンプ、スプレー、または噴霧器は、たとえば、溶媒としてのエタノールおよび噴霧剤の混合物を使用して、活性化合物の溶液または懸濁液を含んでもよく、さらに、たとえば、ソルビタントリオレートといった潤滑剤を追加的に含んでいてもよい。吸入器または注入器の使用のための(たとえば、ゼラチンから作製した)カプセルおよびカートリッジを、本発明の化合物およびラクトースまたはスターチなどの適切な粉体ベースの粉体混合物を含むように処方してもよい。
【0101】
エアロゾルまたはドライパウダーの処方により、好ましくは、定量または「ひと吹き」が、患者に送達するために、式(I)の化合物の1から50mgを含むように配合してもよい。1日にわたり、単一用量または、通常は1回以上の分割した用量で投与してもよいエアロゾルの総1日用量は、1から50mgの範囲内である。
【0102】
同様に、本発明の化合物は、アトマイザー介する送達を目的として処方されてもよい。アトマイザー装置のための処方では、以下の水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、低分子量のプロピレングリコール、塩化ナトリウム、フルオロカーボン、ソルビタントリオレートおよびオレイン酸といった可溶化剤、乳化剤、または懸濁剤としての成分を含んでもよい。
【0103】
あるいは、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和化合物を、座薬または膣座薬の形体で投与することができ、または、ゲル、ハイドロゲルローション、溶液、クリーム、軟膏または粉剤の形体で局所的に適用してもよい。同様に、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和化合物を、経皮的(dermally)に投与してもよい。同様に、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和化合物を、たとえば、皮膚パッチを使用して経皮的(transdermally)に投与してもよい。同様に、これらを、眼または直腸の経路により投与してもよい。
【0104】
眼に使用するために、この化合物を、等張のpH調整した無菌性の生理食塩水の微粉状の懸濁液、好ましくは、等張のpH調整した無菌性生理食塩水の溶液として、任意に、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と組み合わせて処方することができる。あるいは、これらを、ワセリンなどの軟膏として処方してもよい。
【0105】
皮膚に局所的に適用するために、本発明の化合物またはその塩もしくは溶媒和化合物を、たとえば、以下の鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、乳化ワックス、および水のうちの1つ以上との混合物として、懸濁または溶解した活性化合物を含む適切な軟膏として処方することができる。あるいは、これらを、たとえば、以下の鉱油、ポリプロピレングリコール、液体パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水のうちの1つ以上の混合物で懸濁または溶解した適切なローションまたはクリームとして処方することができる。
【0106】
一般的に、ヒトでは、本発明の化合物の経口投与が最も簡便な好ましい経路である。
【0107】
獣医学的な使用では、本発明の化合物またはその獣医学的に許容可能な塩もしくはその獣医学的に許容可能な溶媒和化合物もしくはプロドラッグは、通常の獣医学的な手順に関連した許容可能な製剤として適宜投与され、獣医外科医は、特定の動物に最も適した投与計画および投与経路を決定する。
【0108】
したがって、本発明のさらなる態様によると、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、またはこれらのいずれかの薬学的に許容可能な溶媒和化合物を含む薬学的製剤を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤、またはキャリアーと混合して提供する。
【0109】
好ましくは、薬学的製剤は単一の1日の用量の計画としての投与のために処方され、言い換えると、この処方は12時間を超える持続作用時間を有し、たとえば、制御した徐放製剤の形体であってもよい。
【0110】
本発明のさらなる態様によると、本発明の化合物、またはその獣医学的に許容可能な塩、またはこれらのいずれかの薬学的に許容可能な溶媒和化合物を含む獣医学的製剤を、獣医学的に許容可能なアジュバント、希釈剤、またはキャリアーと混合して提供する。
【0111】
本発明の化合物の生物学的活性または代謝安定度を、以下の試験方法により決定した。
【0112】
中枢神経系(CNS)活性
中枢神経系の本発明の化合物の刺激活性を、本明細書の実験および調製の部分で以下により詳細に記述されるように、オスのSDラットのスライスからの海馬CA1ピラミッド状ニューロンを刺激した興奮性シナプス後電流(EPSC)の振幅を記録することにより、生体外で評価した。
【0113】
本発明の化合物は、概して、本発明の化合物を含まない対照となる試料と比較して、RPSCのピーク振幅が有意に増加したことを示す。適宜、本発明の化合物が、CNSにおけるAMPAの流れを高める。
【0114】
代謝安定度
本発明の化合物の代謝安定度を、以下の実験および調節の部分でより詳細に記述するように、冷凍保存したビーグル犬の肝細胞を使用して生体外で評価した。
【0115】
本発明の化合物は、概して、対照となるチアネプチンと比較して代謝安定度が有意に増加したことを示す。適宜、本発明の化合物は、長期間にわたってその治療効果を発揮してもよく、それにより、より長い間患者の症状を軽減する利点を有することを可能とする。さらに、この患者は、1日に1回の投与計画のみを要求してもよく、このことにより、誤った治療を避けることができ、服薬率がより良くなることが予測される。さらに、より長い持続作用期間を有する治療により、得られた投与頻度および得られた治療をカバーするレベルのために、体内の活性薬剤のトラフ濃度に対するピーク比率をより低くすることができ、このことにより、活性に関連する副作用が低減する。適宜、本発明の化合物は、対照となるチアネプチンと比較して、吐き気、便秘、および腹痛などの胃腸障害、頭痛、めまいおよび夢遊状態の変化に関連する副作用が低減することを示してもよい。
【0116】
実施例および調製
実施例1:2−(2−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,11−ジヒドロジベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−11−yl)アミノ)エトキシ)酢酸
a)3−クロロ−ll−((2−ヒドロキシエチル)アミノ)−6−メチル6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン5,5−ジオキシド
0℃で、3,ll−ジクロロ−6−メチル6,ll−ジヒドロジベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン 5,5−ジオキシド(5g、15.2mmol)を含むエタノール(50ml)溶液にエタノールアミン(0.93g、15.2mmol)を添加した。この反応混合物を、3時間還流で加熱し、その後、室温まで冷却し、沈殿物を形成した。その後、この沈殿物を濾過し、寒冷エタノール(3×10ml)で洗浄して所望の化合物を得た(4.4g、収率82%)。
m.p. 190°C (dec), [M/Z M+l = 353], 1H NMR (300 MHz, CDC13) δ 1.22 (t, 2H J= 7 Hz), 2.01 (s, 2H), 3.25 (s, 3H), 4.09 (t, 2H, J= 7Hz), 5.33 (s, 1H), 7.3−7.6 (m, 7H), 7.95 (s, 1H)。
【0117】
b)3,11−ジクロロ−6−メチル−ll−((2−(prop−2−yn−l−ylオキシ)エチル)アミノ)−6,l1−ジヒドロベンゾ[c,f][1,2]チアゼピン 5,5−ジオキシド
アルゴン雰囲気下、室温で、3−クロロ−ll−((2−ヒドロキシエチル)アミノ)−6−メチル−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン 5,5−ジオキシド(1g、2.83mmol)を含むテトラヒドロフラン(THF)(10ml)撹拌溶液に、水素化ナトリウム(0.125g、3.12mmol、分散度60%)を添加した。この反応混合物を、室温で1時間撹拌し、プロパルギルブロマイド(0.37g、3.12mmol)を、10分間にわたり、液滴した。その後、この反応混合物をさらに2時間撹拌した。その後、この反応を、水(10ml)および酢酸エチル(20ml)の添加により反応停止させ、この有機層を分離し、乾燥させた(無水硫酸ナトリウム)。この結果として得られる溶液を真空中で濃縮して、所望の灰白色のゴム状の化合物(1.05g、収率94%)を得た。この固体を、さらなる精製をすることなく使用した。
[M/Z M+l = 391], 1H NMR (300 MHz, CDC13) δ 1.22 (t, 2H J= 7 Hz), 2.09 (s, 2H), 3.28 (s, 3H), 3.4 (s, 1H), 3.62− 3.64 (m, 2H), 4.12 (t, 1H, J= 7 Hz), 5.02 (s, 1H), 7.3−7.6 (m, 7H), 7.95 (s, 1H)
【0118】
c)2−(2−((3−クロロ−6−メチル−5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−l1−yl)アミノ)エトキシ)酢酸
5mlの四塩化炭素、5mlのアセトニトリル、7.5mlの水、1g(2.56mmol)の3−クロロ−6−メチルll−((2−(prop−2−yn−l−イルオキシ)エチル)アミノ)−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン 5,5−ジオキシドおよび2.24gのメタ過ヨウ素酸ナトリウムを、マグネチックスターラーでフラスコに加えた。この二相溶液に、16mgの三塩化ルテニウム水和物を添加し、この反応混合物を、室温で2時間勢いをつけて撹拌した。この反応混合物に、40mlのジクロロメタン(DCM)を添加してこの相を分離した。この上部水性相を、さらに2×10mlのDCMで洗浄した。組み合わせた有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮し、この結果として得た残存物をエーテル中で煮沸して、灰白色の吸湿性、非結晶質の固体(0.81g、収率77%)を得た。
[M/Z M+l = 311], 1H NMR (300 MHz, D6 DMSO) δ 1.22 (t, 2H J= 7 Hz), 2.09 (s, 2H), 3.28 (s, 3H), 3.62 (s, 1H), 4.16 (s, 2H), 5.02 (s, 1H), 7.3−7.6 (m, 7H), 7.95 (s, 1H)
【0119】
実施例2:2−(4−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,11−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−11−yl)アミノ)ブトキシ)酢酸
a)t−ブチル−2−(4−ヒドロキシブトキシ)酢酸塩
アルゴン雰囲気下、0℃で、ブタン−1,4−ジオール(10g、110.96mmol)を含むTHF(200ml)溶液を、水素化ナトリウム(4.4g、110.96mmol、油中で60%分散度)で処置し、この反応物を、1時間にわたって室温で温めた。この未精製のアニオンを0℃まで冷却し、この溶液に、t−ブチル 2−ブロモ酢酸塩(21.64g、110.96mmol)を30分にわたり液滴した。この時の温度を、0℃未満のまま維持した。その後、この反応物を、水で反応停止させた。この有機相を分離し、鹹水で洗浄し、無水炭酸ナトリウム上で乾燥させた。この試料を、真空下で濃縮し、油状としての所望の化合物(16.5g、収率73%)を得た。この化合物を、さらなる精製を行わずに使用した。
1H NMR (300 MHz, CDC13) δ 1.45 (s, 9H), 1.62−1.72 (m, 2H), 3.51−3.53 (m, 1H), 3.54−3.65 (m, 1H), 3.93 (d, 2H, J = 6Hz), 4.03 (d, 2H, J = 4 Hz), 4.1−4.2 (m, 1H)。
【0120】
b)t−ブチル2−(4−オキソブトキシ)酢酸塩
t−ブチル2−(4−ヒドロキシブトキシ)酢酸塩(10g、48.96mmol)を、ジクロロメタン(350ml)に溶解させ、0℃の氷浴で撹拌した。この溶液に、デス・マーチン・ペルヨージナン(22.84g、53.85mmol)を数回に分けて添加し、この反応物を、0℃で1時間撹拌した。この反応物を、(68g、400mlの水中の)NAおよびNaHCO(飽和、水性、400ml)の溶液と10分間撹拌することにより、0℃で反応停止させ、反応しなかったデス・マーチン試薬を破壊した。この反応混合物を、分液ロート内へ注ぎ、酢酸エチル(3×300ml)で抽出した。この有機相を集め、鹹水(80ml)で反応停止させ、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ濃縮して、油として同定した9.7g(98%)のほぼ純粋な産物を分離した油状として得た。1H NMR (300 MHz, CDC13) δ 1.45 (s, 9H), 1.62−1.72 (m, 1H), 3.51−3.53 (m, 1H), 3.54−3.65 (m, 1H), 3.93 (d, 2H, J = 6Hz), 4.03 (d, 2H, J = 4 Hz), 4.1−4.2 (m, 1H) 1H), 9.78 (s, 1H)
【0121】
c)t−ブチル2−(4−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロジベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−11−yl)アミノ)ブトキシ)酢酸塩
ll−アミノ−3−クロロ−6−メチル−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン 5,5−ジオキシド(1.5g、4.86mmol)を含むジクロロエタン(100ml)撹拌溶液に、トリエチルアミン(2.7ml、20mmol)およびt−ブチル2−(4−オキソブトキシ)酢酸塩(1.08g、5.34mmol)を添加し、アルゴン下、室温で半時間撹拌した。その後、トリアセトキシボロヒドリドナトリウム(1.13g、5.34mmol)をこの反応混合物に添加して撹拌し続けた。この反応混合物を、24時間さらに撹拌し、ジクロロメタンで希釈して、水による洗浄の後に、4%水性水素化ナトリウムで洗浄した。この有機相を分離し、この水相をジクロロメタンで抽出した。この組み合わせた有機相を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて濃縮し、さらに精製することなくその後のステップにもたらされる粗製化合物(1.4g)を得た。
[M/Z M+l = 439 i−tBu )]. ′H NMR (300 MHz, CDC13) δ 1.45 (s, 9H), 1.62−1.72 (m, 2H), 3.28 (s, 3H), 3.51−3.53 (m, 1H), 3.54−3.65 (m, 1H), 3.93 (d, 2H, J = 6Hz), 4.03 (d, 2H, J = 4 Hz), 4.1−4.2 (m, 1H), 5.02 (s, 1H), 7.20−7.50 (m, 7H), 7.89 (s, 1H)
【0122】
d)2−(4−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−l1−yl)アミノ)ブトキシ)酢酸
t−ブチル2−(4−((3−クロロ−6−メチル−5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−ll−yl)アミノ)ブトキシ)酢酸塩(1.5g、3.03mmol)を含むジクロロメタン(50ml)溶液に、室温で5mlのトリフルオロ酢酸を添加した。この反応混合物を、18時間にわたって室温で撹拌して、複合混合物を得て、それにより通常の条件下での分取HPLCにより精製し、無色の泡としての所望の化合物(0.26g、収率19%)を得た。
[M/Z M+l = 439], 1H NMR (300 MHz, CDC13) δ 1.62−1.72 (m, 2H), 3.28 (s, 3H), 3.51−3.53 (m, 1H), 3.54−3.65 (m, 1H), 3.93 (d, 2H, J = 6Hz), 4.16 (d, 2H, J = 4 Hz), 4.1−4.2 (m, 1H) 1H), 5.06 (s, 1H), 7.20−7.50 (m, 7H), 7.89 (s, 1H) 10.5 (broad S, 1H)
【0123】
実施例3:2−((2−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,11−ジヒドロベンゾ[c.f][l,2]チアゼピン−11−yl)アミノ)エチル)チオ)酢酸
a)3−ジクロロ−ll−((2−メルカプトエチル)アミノ)−6−メチル−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン 5,5−ジオキシド
3,ll−ジクロロ−6−メチル6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン 5,5−ジオキシド(5g、15.2mmol)およびピリジン(2ml)を含むエタノール(50ml)溶液に、0℃でチオエタノールアミン塩酸塩(1.7g、15.2mmol)を添加した。この反応混合物を、3時間還流で加熱し、その後、室温まで冷却して沈殿物を形成した。この沈殿物を濾過して、寒冷エタノール(3×10ml)で洗浄して、非晶質の固体としての所望の化合物(4.1g、収率73%)を得た。
m.p. 230°C (dec), [M/Z M+l = 369], 1H NMR (300 MHz, CDC13) δ 1.29 (t, 2H J= 7 Hz), 2.01 (t, 2H, J = 7 Hz), 3.24 (s, 3H), 5.76 (s, 1H), 7.28−7.6 (m, 7H), 7.96 (s, 1H)
【0124】
b)2−((2−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−l1−yl)アミノ)エチル)チオ)酢酸
アセトニトリル(20ml)中の3−クロロ−ll−((2−メルカプトエチル)アミノ)−6−メチル−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン5,5−ジオキシド(2g、5.42mmol)の撹拌溶液に、室温で炭酸カリウム(1.5g、10.84mmol)およびヨード酢酸(1.01g、5.42mmol)を添加した。この反応物を、室温でさらに18時間撹拌し、その後、水(50ml)および酢酸エチル(40ml)で希釈した。この有機相を分離し、鹹水で洗浄し、(無水MgSO4)で乾燥させた。この有機相を真空下で濃縮し、クリーム色の泡として所望の化合物(1.3g、収率56%)を得た。
[M/Z M+l = 427], 1H NMR (300 MHz, CDC13) δ 1.29 (t, 2H J= 7 Hz), 2.01 (t, 2H, J = 7 Hz), 3.24 (s, 3H), 3.75 (s, 2H), 5.91 (s, 1H), 7.28−7.6 (m, 7H), 7.96 (s, 1H).
【0125】
実施例4:2−((2−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,1l−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−11−yl)アミノ)エチル)スルホニル)酢酸
2−((2−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−ll−yl)アミノ)エチル)チオ)酢酸(0.5g、1.17mmol)を含むメタノール(20ml)撹拌溶液に、オキソン(0.16g、1.17mmol)を添加した。この反応物を室温でさらに18時間撹拌し、水(50ml)および酢酸エチル(40ml)で希釈した。洗浄(1×20mの水、1×20mlの鹹水)し、乾燥させ(無水NASO)、真空下で濃縮して、黄褐色のゴム状として所望の化合物(0.54g、収率100%)を得た。
[M/Z M+l = 459], 1H NMR (300 MHz、CDC13) δ 1.29 (t, 2H J= 7 Hz), 2.37 (t, 2H, J = 7 Hz), 3.24 (s, 3H), 4.28 (s, 2H), 5.91 (s, 1H), 7.28−7.6 (m, 7H), 7.96 (s, 1H)。
【0126】
実施例5:5−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−11−yl)アミノ)ペンタンアミド
a)5−((t−ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン酸
5−アミノ吉草酸(5.85g、0.05mol)を含む100mlの2%水性水素化ナトリウムおよび100mlのジオキサン溶液に、40mlのジオキサン中のジ−t−ブチルジカルボン酸塩(10.9g、0.05mol)を含む溶液を液滴して添加した。この反応混合物を18時間撹拌し、その後、1Nの塩酸を使用してH3まで酸性化した。この酸性化混合物を、ジクロロメタンで3回抽出した。この有機相を組み合わせて、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて、10.1g(収率93.5%)の所望の化合物を、結晶性の固体(融点 47−49°C)として得た。
【0127】
b)t−ブチル(5−アミノ−5−オキシペンチル)カルバミン酸塩
イソブチルクロロ炭酸塩(1.55ml、12mmol)を含むテトラヒドロフラン(5ml)中を、5−((t−ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン酸(2.61g、12mmol)およびN−メチルモルフォリン(1.32ml、12mmol)を勢いよくテトラヒドロフラン(15ml)中に撹拌した溶液に、イソブチルクロロ炭酸塩(1.55ml、12mmol)を含むテトラヒドロフラン(5ml)を、−15度で約5分間にわたって液滴して添加し、この反応温度を、−25℃および−15度の間で維持した。この反応混合物を、12分撹拌し、その後、10mlのメタノール中のアンモニア(0°Cでの飽和)溶液を、約−15度で30分にわたり液滴して添加した。この反応混合物を、寒冷した中で追加的に30分間撹拌し、その後室温まで温め、一晩撹拌し続けた。この濃白色の懸濁液を水で希釈し、真空下で濃縮し、有機溶媒で除去し、その後、酢酸エチル(150mlで抽出した。この酢酸エチル溶液を水で洗浄し、10%の重硫酸カリウム、水、および鹹水で洗浄し、(無水硫酸ナトリウム)で乾燥させ、蒸発させて、1.54g(収率59%)の白色の固体産物(融点 136−139℃)を得た。
1H NMR (300 MHz, D6 DMSO) δ 1.50 (s, 2H), 2.04 (s, 2H), 2.46 (s, 2H), 2.69 (app d, 2H), 7.34 (s, 2H), 8.04 (s, 3H).
【0128】
c)5−アミノペンタンアミド塩酸塩
t−ブチル(5−アミノ−5−オキシペンチル)カルバミン酸塩(1.5g、6.94mmol)を含むエーテル(20ml)溶液に、1Mの塩酸を含むジオキサン(10ml)を添加し、この反応混合物を、1時間撹拌した。この沈殿物を濾過し、この寒冷エーテルで洗浄し、白色の泡として所望の化合物(lg、収率98%)を得た。
1H NMR (300 MHz, D6 DMSO) δ 1.50 (s, 2H), 2.04 (s, 2H), 2.46 (s, 2H), 2.69 (app d, 2H), 7.34 (s, 2H), 8.04 (s, 3H)
【0129】
d)5−((3−クロロ−6−メチル−5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−l1−yl)アミノ)ペンタンアミド
3,ll−ジクロロ−6−メチル−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン 5,5−ジオキシド(lg、3.05mmol)を含むアセトニトリル(50ml)溶液に、5−アミノペンタミド(pentamide)塩酸塩(0.465g、3.05mmol)の添加した後、トリエチルアミン(2ml)を0℃で添加し、この混合物を1時間撹拌した。この反応混合物を、フラッシュクロマトグラフィー(溶離液 メタノール:ジクロロメタン(1:10))により分離し、0.85gの黄褐色の泡としての所望の化合物(収率68%)を得た。
[M/Z M+l = 408], 1H NMR (300 MHz, CDC13) δ 1.23−1.26 (m, 4H), 2.05 (s, 2H), 2.1(s, 1H), 2.15 (s, 1H), 3.19 (s, 3H) 5.68 (s, 1H), 7.20−7.50 (m, 7H), 7.93 (s, 1H)
【0130】
実施例6:エチル 5−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−ll−yl)アミノ)−3,3−ジメチルペンタノエート
a)5−エトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソペンタン酸
3,3−ジメチルグルタル酸無水物(9.0g、63.4mmol)およびジメチルアミノピリジン(0.77g、6.3mmol)を含むトリエチルアミン(8.8ml、63.4mmol)およびエタノール(75ml)懸濁液を、一晩還流で加熱した。このエタノールを真空下で除去し、この残存物を、酢酸エチル(150ml)に溶解し、クエン酸(1、3×100ml)、水、で連続して洗浄し、MgSO上で乾燥させて真空下で濃縮し、さらなる精製をすることなく次のステップで使用される無色の油状としての所望の化合物(11.06g,100%)を得た。
[M/ZM+l=188]
【0131】
b)エチル5−ヒドロキシ−3,3−ジメチルペンタノエート
5−エトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソペンタン酸(10g、53.3mmol)を含むTFF(250ml)溶液に1MのボランTHF(53.3ml)を1時間にわたって添加した。この反応混合物を、室温で6時間撹拌し、その後、メタノール(100ml)をこの反応混合物に添加し、真空下で濃縮した。これをさらに2回繰り返し、さらなる精製をすることなく、次のステップで使用される無色の油状としての所望の化合物(9g、97%)を得た。
[M/ZM+l=174]
【0132】
c)エチル3,3−ジメチル−5−オキソペンタノエート
エチル 5−ヒドロキシ−3,3−ジメチルペンタノエート(8.5g、48.8mmol)をジクロロメタン(350ml)中に溶解し、0℃の氷浴中で撹拌した。この溶液に、デス・マーチン・ペルヨージナン(22.76g、53.7mmol)を数回に分けて添加し、この反応物を0℃、1時間で撹拌した。この反応物を、Na(68g、400mlの水に含まれている)およびNaHCO(飽和、水性、400ml)の溶液と、10分間撹拌することにより反応停止させ、いずれかの反応していないデス・マーチン試薬を破壊した。この反応混合物を分取ロート内へ注ぎ、酢酸エチル(3×300ml)で抽出した。この有機相を集め、鹹水(80ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空下で濃縮して、油として同定される8.05g(収率95%)のほぼ純粋な産物を得た。
[M/Z M+l = 186]. 1H NMR (300 MHz, CDC13) δ 1.15 (s, 6H),2.40 (s, 2H), 2.50 (m, 2H), 3.12(d,3H, J = 7Hz) , 4.10 (m, 2H) 9.85 (s 1H)。
【0133】
d)エチル5−((3−クロロ−6−メチル5,5−ジオキシド−6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン−11−yl)アミノ)−3,3−ジメチルペンタノエート
ll−アミノ−3−クロロ−6−メチル6,ll−ジヒドロベンゾ[c,f][l,2]チアゼピン5,5−ジオキシド(1.5g,4.86mmol)を含むジクロロエタン(100ml)撹拌懸濁液に、トリエチルアミン(2.7ml、20mmol)およびエチル 3,3−ジメチル−5−オキソペンタノエート(0.92g、5.34mmol)を添加し、アルゴン下、室温で、半時間撹拌した。その後、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.13g、5.34mmol)を反応混合物に添加して、連続的に撹拌し、この反応混合物をさらに24時間撹拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水に続き、4%の水性水素化ナトリウム溶液で洗浄した。この組み合わせた有機相を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させて濃縮し、次のステップにもたらされる粗製化合物(2.1g)を得た。
[M/Z M+l = 466] H NMR (300 MHz. CDC13) δ 1.22 (s, 6H),2.39 (s, 2H), 2.61( broad m, 2H), 3.12 (d,3H, J = 7Hz), 3.24 (s, 3H), 4.10 (m, 2H), 5.47 (s, 1H), 7.3−7.6 (m, 7H), 7.91 (s, 1H)
【0134】
代謝安定度
300μlのLeibovitz培地中で、この試験化合物(1μM)を冷凍保存したビーグル犬の300万の細胞/mlの肝細胞を合計90分間インキュベートした。この期間、25μlの一定分量が、1、10、30、50、70、および90分採取され、アセトニトリルで反応停止された。反応停止した試料を、沈殿したタンパク質がペレットとなるまで遠心し、LC−MS−MS(タンデム質量分析計に接続した高性能の液体クロマトグラフィー)分析のため、上清を除去して残存する元の試験化合物の量を定量化した。この第1の消失速度定数(k)は、時間に対する残存する元の試験化合物の自然対数のプロットから決定され、代謝安定度の半減期(T1/2)を計算するために使用し、ここで、T1/2=LLn2/kであって、k=消失速度定数である。この結果を以下の表に示す。
【表2】
Clintは、μl/分/100万の細胞の単位の試験化合物の消失の比率として計算した固有クリアランスを表す。
PPB,%結合、は、タンパク質と結合した化合物のパーセンテージを表す。
PPB,Fuは、タンパク質と結合していない化合物の画分を表す。
【0135】
実施例2の化合物の代謝安定度の半減期(2062分)は、チアネピンの代謝安定度の半減期(155分)の10倍以上であった。さらに、タンパク質結合のない(0.18のPPB,Fu)の実施例2の化合物の画分の量は、チアネピン(0.08のPPB,Fu)と比較して、2倍より多く、それにより、本発明の化合物が、潜在的にチアネピンよりもさらに薬学的に活性である薬剤と同時投与するためにより適していることが示される。
【0136】
電気生理学(CNS)活性
スライス標本
外科手術を行った生後15から20日のオスのSDマウスを本研究で使用した。この実験の日に、動物を、イソフルランを使用して麻酔し、脱臼させ、斬首した。この脳を除去し、400μmの傍矢状の厚さの脳のスライスを、Leica VT1000Sを使用して調製した。スライスは、電気生理学的な記録が開始される前に、スライスした後に1時間室温で、以下の95%O/5%COの混合物と泡立てた(mM単位、水性溶液で説明される)127 NaCl、1.9 KC1、1.2 KHPO、2.4 CaCl、1.3 MgCl、26 NaHCO、および10 D−グルコースの組成の人工脳脊髄液(ACSF)に保存された。
【0137】
ホールセルの記録
海馬CA1交連神経連合性(c/a)シナプスからのAMPAカイニン酸のEPSCのホールセルの記録を、当業者に知られている方法、たとえば、Kole(Eur. J. Neurosci 16, 807−816 (2002)を使用して得てもよい。特に、スライス調製してから1時間後に、95%O/5%COの混合物と泡立てた以下の(mM、水性溶液)127 NaCl、1.9 KC1、1.2 KH2P04、2.4 CaCl2、1.3 MgCl2、26NaHCO、および10D−グルコースの組成の4−10ml.min−1の比率でACSFと連続的に灌流するオーダーメードのチャンバーに個々のスライスを移動する。Multiclamp 700B増幅器を使用したパッチクランプの技術を使用して海馬CA1ピラミッド状ニューロンから、室温でホールセルの記録を行った。薄いホウケイ酸ガラスからパッチピペット電極を抜き出し、以下の(mMの)、140K−グルコン酸、10 KC1、1 EGTA−Na、10 HEPES、2 Na2ATPの組成の細胞内水性溶液で満たした際に、3および8MΩの間の抵抗を有した。モル浸透圧濃度およびpHを、スクロースおよびKOHで、310mOsmおよび7.4に調整した。ニューロンに記録され、記録したピペットに対して200から500μm下位のシナプス後電流を刺激するために、シャッファー側枝経路内に配置した双極性同心上刺激電極でシナプス反応を引き起こす。刺激は、1から10Vであり、0.2秒持続した。0.1Hzの頻度の刺激を使用した。シナプスの電流の値は、6つの実験の平均を示した。記録を室温で実行した。(すなわち、試験化合物のない)対照となるEPSC値を、試験化合物を適用する前に少なくとも10分間記録した。この10μMの試験化合物を浴槽に適用した。実施例2の化合物の代表的な電気生理学的記録を図1に示し、この図は、この化合物が海馬のCA1領域において興奮伝達を促進することを示す。EPSCパラメータにおける変化を、対照のパーセンテージとして計算し、平均値±S.E.M(n=6)として表した。
【0138】
10μMの実施例2の化合物の浴槽適用(bath application)により、−44.06±6.06pAから94.88±17.42pAの範囲で発生する平均値EPSCの振幅が、対照のEPSC平均値と224.67±34.27%の差で増加した。

図1