特許第6030125号(P6030125)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030125
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】絶縁配合物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/24 20060101AFI20161114BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20161114BHJP
   C08K 9/06 20060101ALI20161114BHJP
   H01B 3/40 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   C08G59/24
   C08L63/00 C
   C08K9/06
   H01B3/40 C
【請求項の数】12
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-511369(P2014-511369)
(86)(22)【出願日】2012年4月13日
(65)【公表番号】特表2014-520172(P2014-520172A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】US2012033417
(87)【国際公開番号】WO2012158291
(87)【国際公開日】20121122
【審査請求日】2015年4月10日
(31)【優先権主張番号】61/485,841
(32)【優先日】2011年5月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】エセギエ,モハメド
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ウィリアム ジェイ.
【審査官】 藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/113784(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/119513(WO,A1)
【文献】 特開平04−345640(JP,A)
【文献】 米国特許第02982752(US,A)
【文献】 特開2011−195753(JP,A)
【文献】 米国特許第05962547(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第00855025(GB,A)
【文献】 特表2013−513694(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/101144(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00−59/72
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
H01B 3/16−3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のジビニルアレーンジオキシド、
(b)構成成分(a)のジビニルアレーンジオキシドと異なる少なくとも1種のエポキシ樹脂、
(c)少なくとも1種の無水物ハードナー、
(d)少なくとも1種の0.5W/mKを超える熱伝導率および10kV/mmを超える電気絶縁値を有する、熱伝導性および電気絶縁性の充填剤、および、
(e)少なくとも1種の硬化触媒を含む、電気装置のための電気絶縁物としての硬化性エポキシ樹脂配合組成物であって、硬化時に、少なくとも80℃のTg、少なくとも65MPaの引張強度、少なくとも20kV/mmの誘電強度および少なくとも5E+15オーム−cmの体積抵抗率を含む特性のバランスを有する硬化生成物を提供する、エポキシ樹脂配合組成物。
【請求項2】
充填剤が充填剤処理で処理された充填剤を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂配合組成物。
【請求項3】
充填剤がシランで処理された充填剤を含む、請求項に記載のエポキシ樹脂配合組成物。
【請求項4】
反応性希釈剤、柔軟化剤、加工助剤または強化剤を含める、請求項1に記載のエポキシ樹脂配合組成物。
【請求項5】
00mPa−sから20,000mPa−s未満の注型温度での粘度を有する、請求項1に記載のエポキシ樹脂配合組成物。
【請求項6】
(a)少なくとも1種のジビニルアレーンジオキシド、(b)構成成分(a)のジビニルアレーンジオキシドと異なる少なくとも1種のエポキシ樹脂、(c)少なくとも1種の無水物ハードナー、(d)少なくとも1種の充填剤、および(e)少なくとも1種の硬化触媒を添加混合することを含む、電気装置のための電気絶縁物としての硬化性エポキシ樹脂配合組成物を調製するためのプロセスであって、エポキシ樹脂配合組成物が硬化時に、Tg、引張強度、誘電強度および体積抵抗率を含む特性のバランスを有する硬化生成物を提供する、プロセス。
【請求項7】
(i)請求項1に記載の組成物を提供するステップ、
(ii)前記請求項1に記載の組成物を基材に適用するステップ、および
(iii)前記基材および組成物を硬化することで絶縁材料を形成するステップ
を含む、電気装置のためのエポキシ絶縁性材料を調製するためのプロセスであって、生じる絶縁材料が、70℃以上の運転温度に必要とされる電気的、機械的および熱的特性を含めた必要特性のバランスを有する、プロセス。
【請求項8】
請求項1に記載の硬化性エポキシ樹脂配合組成物より製造される生成物
【請求項9】
0℃以上の運転温度に必要とされる電気的、機械的および熱的特性を含めた特性のバランスを有する、絶縁材料、ポッティング材料または注型材料を含む、請求項に記載の生成物。
【請求項10】
電気装置を含む、請求項に記載の生成物。
【請求項11】
電気装置が電力変圧器を含む、請求項10に記載の生成物。
【請求項12】
電気装置が乾式変圧器を含む、請求項11に記載の生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂配合物、より詳細には電気装置のための絶縁性材料として有用なエポキシ樹脂配合物に関連する。
【背景技術】
【0002】
電気絶縁材料の1つの特性が改善されている電気絶縁材料として使用するための硬化充填エポキシに関連するいくつかの公知従来技術プロセスがある。しかしながら、これまで、公知技術において、100℃以上の運転温度に必要とされる電気的、機械的および熱的特性などの特性の必要なバランスを有する電気絶縁材料のための充填エポキシ樹脂配合物の提供に成功したものはない。
【0003】
シリカ充填剤を用いる典型的な硬化エポキシ注型用絶縁材料配合物は、約70〜95℃のガラス転移温度、約70〜90MPaの引張強度、一般に約1.0W/mK未満の熱伝導率、約1015から1016オーム−cmの体積抵抗率を有し、多くの他の特性を含める。様々な最終使用のための固体絶縁材料には、前述の特性など、これら特性の必要なバランスが要求される。加えて、絶縁材料は、例えば電力変圧器などの電気装置の分野において、例えば、絶縁材料として首尾よく使用されるためにエポキシ配合物を硬化するより前の必要な粘度を含めて、加工特徴を有するべきである。
【0004】
ガラス転移温度(Tg)は、ガラス転移温度に接近(および引き続いて通過)するにつれて貯蔵弾性率、引張強度減少など、動的機械分析計を使用する温度掃引または一部の昇温もしくは温度傾斜での炉/環境チャンバ内における測定を介して測定される場合の機械的および熱機械的特性が減少し、体積抵抗率および誘電強度などの電気絶縁特性が減少し、熱線膨張の係数が増加する点において、絶縁物における特に重要な特性である。特性の上記組合せにおける変化は、絶縁材料の早期破損に至ることがあり、これが順じて、ショートすることに至る。例えば、Journal of Applied Polymer Science、1981、26、2211は、硬化エポキシ樹脂においてTgに接近するにつれて、誘電強度が減少することを記載している。Tgに接近するにつれて、硬化エポキシ樹脂生成物の、引張強度の減少および熱線膨張の係数の増加が生じることも知られている。エポキシ絶縁材料のTgの増加は、例えば電力変圧器の使用温度(短期の、より高い温度突入を含める)を増加させる方法である。しかしながら、Tgが硬化エポキシ樹脂において増加するにつれて、材料の強度が減少し、したがって、亀裂に対してより感受性である絶縁材料を作製する絶縁材料において脆性が増加し得る。結果として、亀裂は、電気ショートすることによって証明される通り電気絶縁材料の損傷の一因となる。
【0005】
充填エポキシ配合物は、電力変圧器などの物品を作製するために該配合物を注型することができるように、硬化するより前に適切な粘度(例えば、20,000mPa−s未満)を有するべきである。加工粘度、Tg、引張強度、体積抵抗率、誘電破壊強度および熱伝導率などのバランス特性を有する充填エポキシ配合物を開発し、その結果、電気的、機械的および熱的特性など必要とされる特性のバランスを有する絶縁物が100℃以上の運転温度で使用することができることは、電気絶縁用途に有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電力変圧器などの電気装置のための電気絶縁性材料として有用な物質のエポキシ硬化性配合物または組成物を対象とする。例えば、本発明の硬化性組成物は、2種以上のエポキシ樹脂の混合物またはブレンドを含むことができ、ここで、混合物におけるエポキシ樹脂の少なくとも1種は、ジビニルアレーンジオキシド、少なくとも1種の無水物ハードナー、少なくとも1種の充填剤、少なくとも1種の硬化触媒、および他の任意選択の材料を含む。一実施形態において、充填剤は熱伝導性および電気絶縁性であってよい。
【0007】
一実施形態において、本発明の充填エポキシ配合物は、約80℃以上のTg、約0.8W/mKを超える熱伝導率、約20kV/mm以上の誘電破壊強度、約1015オーム−cmを超える体積抵抗率、および約65MPaを超える引張強度のために設計することができ、電気装置を絶縁する用途領域における電気絶縁物として該配合物を利用するための機械的、熱的および電気的特性の全体的バランスを提供する。
【0008】
別の実施形態において、硬化するより前の配合物は、配合物が(例えば被覆、含浸および/または注型することによって)変圧器のコイルおよび巻線の周りに適用されるのを可能にする注型温度で約20,000mPa−s未満の粘度を有する。
【0009】
注型温度における加工粘度のバランスおよび配合物硬化時の特性のバランスとともに、本発明は、電気絶縁物のための必要な特性、ならびにその注型性を提供する。本発明は、こうした先に知られている系が、より高い温度で動作する電力変圧器に効率的に利用することができないような従来技術のエポキシ電気絶縁系を超える改善を提供する。
【0010】
本発明のなお別の実施形態において、配合物には、例えば加工性および/または物理特性プロファイルを改善する手段として変圧器誘電絶縁における使用のために、ジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)などのジビニルアレーンジオキシドが含まれ得る。DVBDOを有する本発明配合物は、より低い粘度配合物、および電気装置において必要とされる強度などの重要な特性の実質的低下を必ずしももたらすわけではないTgの増加をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0011】
その最も広い範囲において、本発明は、(a)少なくとも1種のジビニルアレーンジオキシド、(b)(a)のジビニルアレーンジオキシドと異なる少なくとも1種のエポキシ樹脂、(c)少なくとも1種の無水物ハードナー、(d)少なくとも1種の充填剤、および(e)少なくとも1種の硬化触媒または促進剤を含むエポキシ樹脂配合組成物を対象とする。
【0012】
本発明の配合組成物のための便宜性の問題として、(d)充填剤(単数または複数)の量は、総配合物に基づいて、一般に、一実施形態において約40重量パーセント(wt%)から約90wt%、別の実施形態において約50wt%から約80wt%、また別の実施形態において約60wt%から約70wt%、なお別の実施形態において約62wt%から約68wt%を範囲とし、一方で、(a)少なくとも1種のジビニルアレーンジオキシド、(b)ジビニルアレーンジオキシド以外の少なくとも1種のエポキシ樹脂、(c)少なくとも1種の無水物ハードナー、および(e)少なくとも1種の硬化触媒(単数または複数)または促進剤(単数または複数)の組合せは、一実施形態において約10wt%から60wt%、別の実施形態において約20wt%から約50wt%、また別の実施形態において約30wt%から約40wt%、なお別の実施形態において約32wt%から約38wt%を範囲とする。任意選択の構成成分(f)が利用される場合、それらの重量百分率は、(b)、(c)、(d)および(e)部分のために記載されている総wt%に含まれる。
【0013】
一実施形態において、本発明において有用なジビニルアレーンジオキシド、構成成分(a)は、例えば、任意の環位置において1個または複数の酸化ビニル基を保有する任意の置換または非置換のアレーン核を含むことができる。例えば、ジビニルアレーンジオキシドのアレーン部分は、ベンゼン、置換ベンゼン、(置換されている)渡環型ベンゼンまたは同族結合された(置換)ベンゼン、またはそれらの混合物からなることができる。ジビニルアレーンジオキシドのジビニルベンゼン部分は、オルト、メタもしくはパラ異性体またはそれらの任意の混合物であってよい。追加の置換基は、飽和されたアルキル、アリール、ハロゲン、ニトロ、イソシアネート、またはRO−(ここで、Rは飽和のアルキルまたはアリールであってよい)を含めて、H耐性基からなることができる。渡環型ベンゼンは、ナフタレンおよびテトラヒドロナフタレンなどからなることができる。同族結合された(置換)ベンゼンは、ビフェニルおよびジフェニルエーテルなどからなることができる。
【0014】
本発明の配合物を調製するために使用されるジビニルアレーンジオキシドは、以下の通りの一般的化学構造I〜IVによって一般に例示され得る。
【0015】
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】
【0016】
本発明のジビニルアレーンジオキシドコモノマーの上記構造I、II、IIIおよびIVにおいて、各々のR1、R2、R3およびR4は、個々に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基;あるいは例えばハロゲン基、ニトロ基、イソシアネート基、またはRがアルキル、アリールもしくはアラルキルであってよいRO基を含めて、H耐性基であってよく、xは0から4の整数であってよく、yはであってよく、x+yは6以下の整数であってよく、zは0から6の整数であってよく、z+yは8以下の整数であってよく、Arは、例えば1,3−フェニレン基を含めて、アレーン断片である。加えて、R4は、エポキシド、イソシアネートまたは任意の反応性基を含めて、反応性基(単数または複数)であってよく、Zは、置換パターンに依存して0から6の整数であってよい。
【0017】
一実施形態において、本発明において使用されるジビニルアレーンジオキシドは、例えば、参照により本明細書に組み込むWO2010077483に記載されているプロセスによって生成することができる。本発明において有用であるジビニルアレーンジオキシド組成物は、例えば、参照により本明細書に組み込む米国特許第2,924,580号にも開示されている。
【0018】
別の実施形態において、本発明において有用なジビニルアレーンジオキシドは、例えば、ジビニルベンゼンジオキシド、ジビニルナフタレンジオキシド、ジビニルビフェニルジオキシド、ジビニルジフェニルエーテルジオキシド、およびそれらの混合物を含むことができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、エポキシ樹脂配合物において使用されるジビニルアレーンジオキシドは、例えばジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)であってよい。別の実施形態において、本発明において有用であるジビニルアレーンジオキシド構成成分としては、例えば、以下の構造Vの化学式によって例示されている通りのジビニルベンゼンジオキシドが挙げられる。
【0020】
【化5】
【0021】
上記DVBDO化合物の化学式は以下の通り:C1010であってよく、DVBDOの分子量は約162.2であり、DVBDOの元素分析は約:C、74.06;H、6.21;およびO、19.73であり、約81g/molのエポキシド当量重量を有する。
【0022】
ジビニルアレーンジオキシド、特に、例えばジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)などジビニルベンゼンから誘導されるものは、相対的に低い液体粘度だが従来のエポキシ樹脂より高い強剛性および架橋密度を有するジエポキシドのクラスである。
【0023】
下記の構造VIは、本発明において有用なDVBDOの化学構造の実施形態を例示している。
【0024】
【化6】
【0025】
下記の構造VIIは、本発明において有用なDVBDOの化学構造の別の実施形態を例示している。
【0026】
【化7】
【0027】
DVBDOが当技術分野において知られているプロセスによって調製される場合、3種の可能な異性体オルト、メタ、およびパラの1種を得ることが可能である。したがって、本発明には、個々にまたはそれらの混合物として上記構造の任意の1つによって例示されているDVBDOが含まれる。上記の構造VIおよびVIIは、それぞれ、DVBDOのメタ(1,3−DVBDO)異性体およびパラ(1,4−DVBDO)異性体を示す。オルト異性体はまれであり、通常DVBDOは、たいてい、メタ(構造VI)対パラ(構造VII)異性体の約9:1から約1:9の比の範囲で一般に生成される。本発明には、一実施形態において構造VI対構造VIIの約6:1から約1:6の比の範囲、別の実施形態において約4:1から約1:4の範囲における構造VI対構造VIIの比、またはまた別の実施形態において約2:1から約1:2の範囲における構造VI対構造VIIの比が含まれる。
【0028】
本発明のなお別の実施形態において、ジビニルアレーンジオキシドは、置換アレーンの定量(例えば約20wt%未満など)を含有することができる。置換アレーンの量および構造は、ジビニルアレーン前駆体からジビニルアレーンジオキシドの調製において使用されるプロセスに依存する。例えば、ジエチルベンゼン(DEB)の脱水素化によって調製されるジビニルベンゼンは、エチルビニルベンゼン(EVB)およびDEBの定量を含有することができる。過酸化水素との反応時に、EVBはエチルビニルベンゼンモノオキシドを生成し、一方DEBは未変化のままである。追加として、ジビニルアレーンからのジビニルアレーンジオキシド調製において使用されるプロセスは、ジビニルアレーンジオキシドの生成における中間体であるビニルアレーンモノオキシドの部分的酸化生成物の限定量(例えば約20wt%未満)を含有することができる。これらの化合物の存在は、ジビニルアレーンジオキシドのエポキシド当量重量を純粋化合物のそれを超える値に増加させることができるが、エポキシ樹脂部分の0%から99%のレベルで利用することができる。
【0029】
一実施形態において、本発明において有用なジビニルアレーンジオキシド、例えばDVBDOは、低粘度液状エポキシ樹脂を含む。本発明において使用されるジビニルアレーンジオキシドの粘度は、一般に、25℃で、一実施形態において約0.001Pa−sから約0.1Pa−s、別の実施形態において約0.01Pa−sから約0.05Pa−s、また別の実施形態において約0.01Pa−sから約0.025Pa−sを範囲とする。
【0030】
生成配合物の総エポキシ部分の百分率として本発明において使用されるジビニルアレーンオキシドの濃度は、一般に、一実施形態において約1wt%から約90wt%、別の実施形態において約2wt%から約75wt%、また別の実施形態において約3wt%から約60wt%、なお別の実施形態において約5wt%から約50wt%を範囲とすることができる。
【0031】
本発明において使用されるジビニルアレーンジオキシドは、参照により本明細書に組み込むLee, H.およびNeville, K.、Handbook of Epoxy Resins、McGraw-Hill Book Company、New York、1967、2章、2-1から2-27ページに記載されているエポキシ樹脂など当技術分野において知られている他のエポキシ樹脂との組合せで使用される。当技術分野において知られている特に適当な他のエポキシ樹脂としては、例えば、多官能アルコール、フェノール、カルボン酸、脂環式カルボン酸、芳香族アミンまたはアミノフェノールとエピクロロヒドリンとの反応生成物に基づくエポキシ樹脂が挙げられる。いくつかの非限定的な実施形態としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、およびパラ−アミノフェノールのトリグリシジルエーテルが挙げられる。当技術分野において知られている他の適当なエポキシ樹脂としては、例えば、エピクロロヒドリンとフェノールノボラック、炭化水素ノボラックおよびクレゾールノボラックとの反応生成物が挙げられる。2種以上の他のエポキシ樹脂とジビニルアレーンジオキシドとの混合物を使用することも可能である。他のエポキシ樹脂は、例えば、Dow Chemical Companyから入手可能なD.E.R.331(登録商標)、D.E.R.332、D.E.R.354、D.E.R.580、D.E.N.425、D.E.N.431、D.E.N.438、D.E.R.736、またはD.E.R.732エポキシ樹脂などの市販製品から選択することもできる。
【0032】
本発明において有用なエポキシ樹脂のまた別の実施形態としては、例えば、参照により本明細書に組み込む米国特許出願公開番号US20090186975およびWO99/67315に記載されているエポキシ樹脂が挙げられる。例えば、本発明の文脈内において使用されるエポキシ樹脂は、芳香族および/または脂環式化合物である。エポキシ樹脂は、1分子当たり少なくとも2個の1,2−エポキシ基を含有する反応性グリシジル化合物である。一実施形態において、ジグリシジル化合物およびトリグリシジル化合物の混合物など、ポリグリシジル化合物の混合物が使用される。
【0033】
本開示に有用なエポキシ化合物は、非置換グリシジル基、および/またはメチル基で置換されているグリシジル基を含むことができる。これらのグリシジル化合物は、一実施形態において約150から約1200の間、または別の実施形態において約150から約1000の間の分子量を有することができ、エポキシは、固体または液体であってよい。
【0034】
本発明の一実施形態はエポキシ樹脂の混合物を含み、ここで、混合物はエポキシ分子の混合物の構成成分として例えばDVBDOなどの少なくとも1種のジビニルアレーンジオキシドを含む。該混合物における構成成分(b)として有用な他のエポキシ樹脂(単数または複数)は、液体または固体であってよい。例えば、ハイドロキノンジグリシジルエーテルまたはレゾルシノールジグリシジルエーテルなどのエポキシ樹脂は固体であり、本発明の配合物において使用することができ、なぜならば、溶解/溶融される場合に相対的に低い粘度を有するからである。
【0035】
一実施形態において、ジビニルアレーンジオキシド以外のエポキシ樹脂(単数または複数)としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、およびそれらの混合物を挙げることができる。別の実施形態において、ジビニルアレーンジオキシド以外のエポキシ樹脂(単数または複数)としては、例えばビスフェノールFジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0036】
本発明において使用される構成成分(b)である、ジビニルアレーンオキシド以外のエポキシ樹脂(単数または複数)の濃度は、生成配合物の総エポキシ部分の百分率として測定することができる。例えば、エポキシ樹脂、構成成分(b)は、一般に、一実施形態において約10wt%から約99wt%、別の実施形態において約25wt%から約98wt%、また別の実施形態において約40wt%から約97wt%、なお別の実施形態において約50wt%から約95wt%を範囲とすることができる。
【0037】
本発明の硬化性エポキシ樹脂配合物または組成物に有用な硬化剤、構成成分(c)は、エポキシ樹脂を硬化することで当技術分野において知られている任意の無水物硬化剤を含むことができる。無水物硬化剤は、硬化剤としても機能することができるカルボン酸(単数または複数)官能基の限定量を含有することができる。一般に、本発明において使用されるハードナーは、一実施形態においてカルボン酸を含有する混合物中で無水物が約60パーセント(%)を超え、別の実施形態において約80%を超え、また別の実施形態において約90%を超え、なお別の実施形態において約97%を超えるように無水物を優勢的に含むことが望ましい。該硬化性組成物において有用な硬化剤(ハードナーまたは架橋剤とも称される)は、例えば、当技術分野においてよく知られている1種または複数の無水物硬化剤から選択することができる。
【0038】
一実施形態において、本発明の樹脂配合物は、例えば、無水物および無水物の混合物を他の任意選択の硬化剤とともに使用して硬化することができる。本発明において有用な無水物硬化剤としては、例えば、アルキル基、アルケニル基またはハロゲン基で置換されていてもまたは置換されていなくてもよい芳香族、脂肪族、脂環式および複素環式のポリ炭酸環状無水物を挙げることができる。無水物硬化剤の例としては、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ナジックメチル酸無水物、無水コハク酸、ドデセニルコハク酸無水物、グルタル酸無水物、ピロメリット酸無水物、マレイン酸無水物、イサト酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、およびそれらの混合物が挙げられる。本発明において有用な他の硬化剤としては、参照により本明細書に組み込む米国特許第6,852,415号に記載されている無水物硬化剤が挙げられる。
【0039】
一実施形態において、本発明において使用される環状無水物硬化剤およびそれらの混合物には、液体または低溶融固体(即ち、約100℃未満の融点を有する固体)が含まれ得る。例えば、環状無水物硬化剤としては、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ナジックメチル酸無水物、無水コハク酸、ドデセニルコハク酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸無水物、およびそれらの混合物を挙げることができる。別の実施形態において、環状無水物硬化剤としては、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ナジックメチル酸無水物、およびそれらの混合物を挙げることができる。また別の実施形態において、環状無水物硬化剤としては、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ナジックメチル酸無水物、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0040】
一般に、本発明において使用することができる環状無水物硬化剤の量は、エポキシに対して無水物の当量(即ちモル)の範囲を超えていてよい。例えば、硬化剤は、エポキシ1当量当たり約0.2当量から約1.5当量の無水物基を範囲とすることができる。別の実施形態において、該範囲は、エポキシ1当量当たり約0.4当量から約1.2当量の無水物基であってよい。なお別の実施形態において、該範囲は、エポキシ1当量当たり約0.7当量から約1.1当量の無水物基であってよい。また別の実施形態において、該範囲は、エポキシ1当量当たり約0.8当量から約1.0当量の無水物基であってよい。
【0041】
本発明の組成物または配合物に有用な充填剤、構成成分(d)は、電力変圧器などの電気装置のための電気絶縁性材料として使用される。充填絶縁性材料の、例えばDynamic Mechanical Analyzerを使用する温度掃引を介して測定されるものなどの熱機械性能、引張強度、熱膨張係数および弾性率は、粒状充填剤を該硬化性組成物に組み込むことによって改善することができる。充填剤の使用は、配合物の硬化中における収縮の低減などの他の利点、ならびに吸水の低減、電気強度の改善、環境老化の改善などの他の属性、および当技術分野において知られている通りの硬化配合物における他の属性を提供することもできる。
【0042】
一実施形態において、本発明の組成物または配合物に有用な充填剤、構成成分(d)は、熱伝導性および電気絶縁性であってよい。本明細書における充填剤に関する「熱伝導性および電気絶縁性」によって、充填剤が約0.5W/mKを超える熱伝導率、および約10kV/mmを超える電気絶縁値、即ち誘電強度を有し得ることが意味される。
【0043】
前述されている通り、本発明配合物は、ジビニルアレーンジオキシドを他のエポキシ樹脂とともに用いる。該配合物中にジビニルアレーンジオキシド、例えば、低い液体粘度(例えば、25℃で約0.012Pa s)を有する例えばジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)などジビニルベンゼンから誘導されるジビニルアレーンジオキシドを使用することによって、このエポキシ樹脂とともに使用される充填剤の量を増加することができ、生じる配合物は、従来のエポキシ樹脂を含有する配合物と比較して、改善された熱機械特性および熱伝導率特性を有することができる。
【0044】
該配合物が乾式変圧器のための絶縁性材料に有用である本発明の一実施形態において、配合物が高充填材料を有することで、より良好な構成成分信頼性性能を付与する硬化系の熱機械特性および熱伝導率を改善することができる。例えば、該配合物には、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、天然および合成鉱物、主にシリケート、ならびにケイ酸アルミニウムなどのクラスの1種または複数の充填剤;ならびにそれらの混合物が含まれ得る。充填剤の例としては、石英、溶融シリカ、天然シリカ、合成シリカ、天然酸化アルミニウム、合成酸化アルミニウム、中空充填剤、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、マイカ、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、ムライト、ウォラストナイト、タルカム、グリマー、カオリン、ベントナイト、ゾノライト、アンダルサイト、ゼオライト、ドロマイト、ガラスの粉末/繊維/織物、他の有機または無機粒状充填剤、およびそれらの混合物が挙げられ、これらは、それらの最終状態における配合物中へ添加するかまたはその場で形成するかのいずれかである。
【0045】
一実施形態において、本発明において使用される充填剤としては、石英、溶融シリカ、天然シリカ、合成シリカ、天然酸化アルミニウム、合成酸化アルミニウム、スレート、中空充填剤、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、マイカ、酸化亜鉛、ムライト、ウォラストナイト、バーミキュライト、タルカム、グリマー、カオリン、ベントナイト、ゾノライト、アンダルサイト、ゼオライト、ドロマイト、ガラスの粉末/繊維/織物、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0046】
別の実施形態において、本発明において使用される充填剤としては、石英、溶融シリカ、天然シリカ、合成シリカ、天然酸化アルミニウム、合成酸化アルミニウム、三水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ウォラストナイト、カオリン、ベントナイト、ドロマイト、ガラスの粉末/繊維/織物、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0047】
なお別の実施形態において、本発明において使用される充填剤としては、石英、天然シリカ、合成シリカ、天然酸化アルミニウム、合成酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ウォラストナイト、ガラス粉末、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0048】
また別の実施形態において、本発明において使用される充填剤は石英であってよい。
【0049】
顆粒形態で使用される場合の充填剤材料の許容粒径は、一般に、硬化より前の許容加工粘度のバランスを促進、および硬化後の許容熱機械特性のバランスを促進するのに充分な、しばしばミクロン範囲におけるd50で示される平均粒径を有する。例えば、顆粒状充填剤の平均粒径は、一実施形態において約0.5ミクロン(μm)から約500μm、別の実施形態において約1μmから約300μm、また別の実施形態において約5μmから約100μmの範囲であってよい。
【0050】
本発明において有用な充填剤材料の許容される充填剤形態としては、結晶性、半結晶性もしくは非晶質またはそれらの任意の組合せであってよい小平板、繊維、球体、顆粒、針などの形状が挙げられる。異なるサイズ分布および異なる形状を有するこれらの充填剤を組み合わせることで、粘度、熱膨張係数(CTE)、弾性率、強度、電気および/または熱伝導性に対して相乗作用の効果を有することができる。
【0051】
本発明において利用される充填剤は、配合物中への組込み前に、または配合物の化合中にその場でのいずれかで表面処理することができる。一実施形態において、充填剤は、本発明のエポキシ系とともに配合するより前に処理することができる。
【0052】
本発明の一実施形態において、充填剤の表面を処理することで、充填剤およびポリマーの相互作用を改善することができる。例えば、充填剤は、しばしばシラン化と称される、シランでの表面処理をすることができ、生じる充填剤には、その表面がエポキシ樹脂およびハードナー系とより適合性があるまたはエポキシ硬化プロセス中にエポキシ樹脂およびハードナー系と反応することができるような官能性または修飾がある。
【0053】
充填剤の様々な表面処理の例としては、脂肪酸、シランカップリング剤、チタネート、ジルコネート、アルミネート、またはシラザンの化合物が挙げられる。一実施形態において、充填剤は、シランカップリング剤またはシランサイズ剤によって処理することができる。一般に、シランカップリング剤が少なくとも1個のアルコキシ基を含有することで、表面処理を容易にし、任意選択により無機充填剤への結合を容易にする。別の実施形態において、シランカップリング剤は、例えばエポキシ、アミン、ヒドロキシル、カルボキシル、ビニル、アリル、ヒドロシリル(即ちSiH)、またはエポキシ配合物と反応することができるまたはエポキシ配合物と適合性もしくは相溶性であり得る他の官能基を含めて別の基を含有することができる。
【0054】
また別の実施形態において、シランカップリング剤は、1つのこうした例として商標Dow Corning Z−6040 SilaneでDow Corning Corporationから市販されている3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いる化合物のエポキシシランクラスのメンバーであってよい。シラン処理充填剤のなお別の実施形態は、126EST、W6EST、W12EST、100EST、600ESTおよび800ESTとして記載されている異なるグレードを有する商標SILBONDでQuarzwerkeから市販されているエポキシシラン処理石英であってよい。
【0055】
本発明において有用な充填剤負荷量は変動してよい。本発明の配合物に存在する充填剤の濃度は、組成物の重量に基づいて、一般に、一実施形態において約40wt%から約90wt%、別の実施形態において約50wt%から約80wt%、また別の実施形態において約60wt%から約70wt%、なお別の実施形態において約62wt%から約68wt%であってよい。
【0056】
本発明の組成物は、有利には、多様なハードナーを使用することができる。加えて、存在する系も高い充填剤負荷量を可能にするので、該系は、硬化配合物のガラス転移点より下の、より低いCTE、例えば、一実施形態において約70ppm/℃未満、別の実施形態において約60ppm/℃より下、また別の実施形態において約50ppm/℃より下を達成することができ、および/または存在する系は、より良好な熱伝導率、例えば一実施形態において約0.8W/mKを超え、別の実施形態において約0.9W/mKを超え、また別の実施形態において1.0W/mKを超える熱伝導率を呈することができる。
【0057】
本発明の硬化性樹脂配合物を調製する際、少なくとも1種の硬化触媒を使用することで、エポキシ樹脂(即ち、ジビニルアレーンジオキシド化合物、およびジビニルアレーンジオキシド以外のエポキシ樹脂)と該硬化剤との反応を容易にすることができる。本発明において有用な硬化触媒としては、例えば、硬化を触媒する能力を有する求核触媒、第3級アミン、アミン錯体、尿素誘導体、イミダゾール、置換イミダゾールおよびルイス塩基、ならびにそれらの混合物が挙げられる。触媒および反応条件に依存して、触媒は、任意選択により共反応して配合物に入ることができる。
【0058】
本発明において有用な触媒、構成成分(e)としては、例えば、アミン、ホスフィン、複素環式窒素、アンモニウム、ホスホニウム、アルソニウム、スルホニウム部分およびそれらの任意の組合せを含有する触媒化合物など、当技術分野においてよく知られている触媒を挙げることができる。本発明の触媒の一部の非限定的な例として、例えば、エチルトリフェニルホスホニウム;ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド;参照により本明細書に組み込む米国特許第4,925,901号に記載されている複素環式窒素含有触媒;イミダゾール;トリエチルアミン;およびそれらの任意の組合せを挙げることができる。
【0059】
本発明において有用な触媒の選択は制限されず、エポキシ系の通例使用される触媒を使用することができる。その上、触媒の添加は、調製される系に依存し得る。触媒の例としては、第3級アミン、イミダゾール、置換イミダゾール、1−アルキル置換または1−アリール置換のイミダゾール、オルガノ−ホスフィン、および酸性塩を挙げることができる。
【0060】
別の実施形態において、触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、1−メチルイミダゾール、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミン、およびそれらの混合物などを挙げることができる。
【0061】
配合物の有機部分における、本発明において使用される触媒の濃度は、一般に、一実施形態において約0.005wt%から約2wt%、別の実施形態において約0.01wt%から約1.5wt%、また別の実施形態において約0.1wt%から約1wt%、なお別の実施形態において約0.2wt%から約0.8wt%を範囲とすることができる。触媒のエポキシ処方濃度約0.005wt%より下では、配合物の硬化は遅すぎることになり、触媒のエポキシ処方濃度が約2wt%より上ならば、硬化は早すぎることになり、即ち、注型するためのポットライフ/時間を短くすることになる。触媒のための上記外の濃度が架橋の網目および性質を変化させ、追加として、ヒドロキシルのような他の部分が硬化およびネットワーク形成に関与し始めることができる程度にさらに影響を及ぼすこともあり、網目における可能な変化が、生じる硬化生成物の特性の一部に影響を及ぼし得る。
【0062】
本発明において有用であり得る他の任意選択の構成成分は、当業者に知られている樹脂配合物において通常に使用される構成成分である。例えば、任意選択の構成成分は、組成物に添加されることで適用特性(例えば、表面張力修飾剤または流れ助剤)、信頼性特性(例えば、付着促進剤、相溶化剤および表面処理剤)、離型剤(例えば、鋳型離型)、反応速度、反応の選択性および/または触媒寿命を増強することができる化合物を含んでよい。例えば、加速剤は、例えばヒドロキシル基を有する水素供与化合物であり、水素または水素結合を供与するとともに硬化速度の増加に寄与することができるフェノール性化合物、ベンジルアルコール、グリコールおよびポリグリコールのような材料が挙げられる。
【0063】
例えば、ジビニルアレーンジオキシド、構成成分(a)と異なるとともに構成成分(b)と異なるエポキシ樹脂などの他の樹脂、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、強化剤、柔軟剤、チキソトロピー剤、安定剤、可塑剤および触媒不活性剤など;ならびにそれらの混合物を含めて、各種の添加剤が本発明の組成物に添加され得る。
【0064】
本発明の配合物において有用な他の添加剤としては、例えば、ハロゲン含有またはハロゲンフリーの難燃剤;水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛またはメタロセンなど、消炎能力の性能を改善するための相乗剤;例えばアセトン、メチルエチルケトン、Dowanol PMAを含めて、加工性のための溶媒;修飾オルガノシラン(エポキシ化、メタクリル、アミノ)、アセチルアセトネート、または硫黄含有分子などの付着促進剤;修飾オルガノシラン、Byk900シリーズおよびByk W−9010、修飾フッ化炭素など、湿潤助剤および分散助剤;Byk−A530、Byk−A525、Byk−A555、Byk−A560などの脱泡添加剤;スリップ添加剤および光沢添加剤(これらの多くはByk−Chemieから入手可能である)、ならびにそれらの混合物などの表面修飾剤が挙げられる。
【0065】
本発明において使用される添加剤の濃度は、一般に、組成物の総重量に基づいて、一実施形態において0wt%から約10wt%、別の実施形態において約0.01wt%から約5wt%、また別の実施形態において約0.1wt%から約2.5wt%、なお別の実施形態において約0.5wt%から約1wt%を範囲とすることができる。
【0066】
乾式変圧器のための絶縁性材料として有用な物質エポキシ配合物の組成物を調製するためのプロセスには、(a)少なくとも1種のジビニルアレーンジオキシド、(b)ジビニルアレーンジオキシド以外の少なくとも1種のエポキシ樹脂、(c)少なくとも1種の無水物ハードナー、(d)少なくとも1種の充填剤、(e)少なくとも1種の硬化触媒、および(f)任意選択により、所望される通りの他の構成要素をブレンドすることが含まれる。例えば、本発明の硬化性エポキシ樹脂配合物の調製は、上記の樹脂構成成分(a)〜(f)で充填剤を湿潤させ、該構成要素を均等に分配するRoss PD Mixer(Charles Ross)、FlackTek Speedmixerまたは当技術分野において知られている他の混合器内において真空の有無にかかわらずブレンドすることによって達成される。上に記述されている構成要素は、一般に、ほぼ任意の順序、様々な組合せおよび様々な添加回数で、好都合および所望される通りに添加することができる。例えば、ポットライフを長くするため、硬化触媒(e)は、最後にまたは混合および任意選択の脱ガス中の後半であるが配合物を注型するより前に、添加することができる。上に記述されている任意選択の類別された配合物添加剤のいずれも、例えば追加のエポキシ樹脂も、混合中または混合するより前の組成物に添加することで、組成物を形成することができる。
【0067】
一実施形態において、配合物の上記の構成成分(a)〜(f)の1つまたは複数は、予備混合することができる。例えば、触媒をハードナーまたは柔軟剤中で予備混合することができ、次いで、予備混合された構成成分を配合物中に添加することができる。
【0068】
本発明の配合物に関して、配合物の脱ガスは、本発明の絶縁材料の機械的および/または電気的性能において重要な要素である。典型的に、脱ガスは、個々の構成成分を含める配合物のための、ある混合装置内において真空を適用することによって実施することができる。注型および硬化するより前に配合物を有効に脱ガスするための真空の範囲、真空の傾斜およびステップ、ならびに真空適用のタイミングは、例えば温度、配合物の粘度、配合物の質量、ならびに脱ガス槽の幾可学的形状およびその混合品質などに関連する当技術分野において知られている通りの様々な因子に依存する。一般に、真空は上記の樹脂構成成分(a)〜(f)の混合中のある時点で適用されることが望ましく、真空は何か大気圧未満のものと定義されている。脱ガスは、構成成分(a)〜(f)のいずれかを初期に混合するのに使用することができるのと同じまたは分離した装置および/または槽内で発生することができる。混合または撹拌は、通常、脱ガスするときに行われる。大部分の任意の真空が適用され得るが、脱ガスの速度は、より低い真空が利用されると増進する。脱ガスは、一般に、一実施形態において約200ミリバール未満、別の実施形態において約100ミリバール未満、また別の実施形態において約50ミリバール未満、なお別の実施形態において約20ミリバール未満で行われる。一般に、適用される真空のおよその下限は、経済的な考慮ならびに構成成分および構成成分の温度に依存する構成成分の揮発を最小化するという所望の両方のために使用することができる。一実施形態において、脱ガスにおいて利用される真空は約0.5ミリバール超であってよく、別の実施形態において、約1ミリバール超であってよい。
【0069】
エポキシ樹脂配合物の全ての構成成分は、典型的に混合および分散され;任意選択により脱ガスされ;ならびに例えば変圧器の適用において組成物を使用するのに必要とされる特性の所望のバランスを有する有効なエポキシ樹脂組成物の調製を可能にする温度で移動される。全ての構成成分の混合および任意選択の脱ガス中の温度、ならびに装置または鋳型(即ち注型温度)に移動される場合の混合物の温度は、一般に、一実施形態において約10℃から約110℃、別の実施形態において約20℃から約90℃、また別の実施形態において約40℃から約75℃であってよい。より低い混合温度は、樹脂およびハードナー構成成分の反応を最小化することで配合物のポットライフを最大化するのに役立つが、短期間におけるより高い混合温度は、配合物粘度を低下させ、混合、脱ガスおよび硬化される前の配合物の移動を容易にすることができる。
【0070】
一般に、移動または注型の温度での完成エポキシ樹脂配合物の粘度は、当技術分野において知られている通り、配合物が流動する任意の粘度値であり得る。一実施形態において、例えば、完成エポキシ樹脂配合物の粘度は、約20,000mPa−s未満、別の実施形態において約15,000mPa−s未満、また別の実施形態において約10,000mPa−s未満であってよい。一般に、完成エポキシ樹脂配合物の粘度は、一実施形態において約200mPa−sから約20,000mPa−sである。
【0071】
本発明の完成配合物は、最大約60℃までの周囲温度(約25℃)で保持される場合、混合、脱ガスおよび移動されて、絶縁材料が一般に使用される形状または装置内で、一実施形態において約2日未満、別の実施形態において約1日未満、また別の実施形態において約12時間未満硬化されることが一般に望ましい。当技術分野において知られている通り、完成配合物のポットライフ(またはシェルフライフ)は、配合物が保持される温度だけでなく、配合物のポットライフを典型的に延長する触媒のより低い濃度を有する配合物に含まれる触媒の量および型にも依存性である。ポットライフまたはシェルフライフの延長のため、ブレンド化合物配合物は、典型的に、シェルフライフを最大化するために周囲温度以下で、および任意選択により触媒を含有することなく貯蔵される。貯蔵のための許容温度範囲としては、例えば、一実施形態において約−100℃から約25℃、別の実施形態において約−70℃から約10℃、また別の実施形態において約−50℃から約0℃が挙げられる。一実施形態の例示として、貯蔵の温度は約−40℃であってよい。しかしながら、完成および脱ガス配合物の移動を、貯蔵するよりむしろ直ちに開始して、絶縁材料が一般に使用される形状または装置内で硬化されることが有益であり得る。
【0072】
ブレンド配合物は、次いで、電力変圧器用途など電気装置用の絶縁性材料のための多くの方法を介して基材に適用することができる。例えば、典型的な適用方法としては、当業者に知られている通りの真空鋳造、自動圧力ゲル化(APG)、フィラメントワインディング、真空圧力含浸、樹脂封止および固体注型などが挙げられる。「基材」としては、本明細書において、例えば乾式型変圧器のコイル、電力線のための屋外用絶縁体のためのロッド複合体、屋外用電力スイッチにおける構成要素、過電圧保護装置、電気機械、トランジスタのコーティング構成要素、他の半導体装置、および/または含浸電気構成成分などが挙げられる。
【0073】
熱硬化可能な組成物の硬化は、所定の温度で、および所定の時間期間、および組成物を硬化するのに充分な一連の温度傾斜および温度ステップにおいて実施することができる。配合物の硬化は、配合物中に使用されるハードナーに依存性であり得る。ステップの一部が配合物を部分的にだけ硬化またはゲル化する配合物の硬化において2つ以上の温度ステップを使用することは、完全に硬化された配合物の特性の発生を容易にすると仮定される。こうした温度ステップ化プロセスは、本発明の配合物の硬化中に生じる均一性、収縮および応力をより良好に管理すると仮定され、電力変圧器を含めて電気装置のためのより一貫性があるまたはより良好な電気的および/または機械的性能の絶縁材料をもたらすことができる。硬化プロファイルが何であれ、最終の硬化温度が一般に、完全に硬化されたエポキシ/ハードナー系のガラス転移温度Tgを超えるべきであることは、当業者によって一般に認識されている。組成物を硬化または後硬化した後、該プロセスには、単一または複数の温度傾斜および温度ステップが含まれ得ることで電気絶縁性の熱伝導性硬化材料における応力および可能な欠陥の発生を最小化する制御冷却が含まれ得る。
【0074】
例えば、配合物のための硬化または一連の1つもしくは複数の硬化ステップの温度は、一般に、一実施形態において約10℃から約300℃、別の実施形態において約50℃から約250℃、また別の実施形態において約80℃から約225℃であってよく、硬化時間は、一実施形態において約1分から約96時間の間、別の実施形態において約1時間から約72時間の間、また別の実施形態において約4時間から約48時間の間で選択することができる。約1分の時間期間より下では、該時間が短すぎて従来の加工条件下での充分な反応を確保できないことがあり、約96時間より上では、該時間が長すぎて実践的または経済的でないことがある。硬化エポキシ配合物のサイズおよび形状ならびにエポキシ配合物の構成成分は、当業者に知られている通りに利用される硬化プロファイルにおいて役割を果たす。
【0075】
一実施形態において、約50℃から約150℃の第1温度ステップまたは傾斜で組成物を部分的に硬化またはゲル化すること、および次いで約120℃から約300℃の少なくとも1つのさらなる加熱ステップまたは傾斜を実施することが有利である。一実施形態において、組成物の硬化段階は、例えば、約70℃から約100℃の温度での第1硬化ステップおよび約130℃から約150℃の温度での第2硬化ステップを含めた少なくとも2つのステップにおいて実施することができる。別の実施形態において、第3硬化ステップが上記の第1および第2ステップ後に使用されることがあり、ここで、第3ステップの温度は約175℃から約250℃である。上に記載されているステップ/傾斜のいずれにおいても、所望の温度での加熱時間は、約5分から約96時間であり得る。
【0076】
配合物または組成物があまりにも速くまたは特別な温度ステップもしくは傾斜にあまりにも高い温度で硬化されるならば、絶縁材料ならびに絶縁材料が利用される装置の性能の減少をもたらす可能性がより高いことがあり得る。性能の減少は、これらに限定されないが、生じる硬化組成物における欠陥から起こることがあり、これは、配合物または配合物が利用される装置における性能の減少または機能不全をもたらし得る。こうした欠陥の例としては、割れ目、気泡、および充填剤(1種または複数)の実質的不均等分布などが挙げられる。
【0077】
本発明の任意の1種または複数のジビニルアレーンジオキシドエポキシ樹脂は、最終配合物における構成成分の1種として使用することができる。一実施形態においてエポキシ樹脂構成成分として使用されるジビニルアレーンジオキシドは、ジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)であってよい。例えば、DVBDOエポキシ樹脂は、配合物粘度を低下させる添加希釈剤として使用できることが非常に望ましい。DVBDOの使用は、グリシジルエーテル、グリシジルエステルまたはグリシジルアミンのエポキシ樹脂などの従来のエポキシを超えて、硬化性組成物および最終硬化生成物に改善された特性を付与する。未硬化状態における低粘度、および剛性DVBDO分子構造による硬化後の高Tg、および架橋密度における増加のDVBDOの独特の組合せは、配合者が新たな配合物戦略を適用できるようにする。加えて、拡大したハードナー範囲でDVBDO含有エポキシ樹脂配合物を硬化する能力は、脂環式型樹脂のエポキシ樹脂(例えば、以前はThe Dow Chemical CompanyからのERL−4221)などエポキシ樹脂の他の型を超えて、大幅に改善された配合寛容度を配合者に提供する。
【0078】
本発明の絶縁性材料を形成する熱硬化生成物(即ち、本発明の硬化性組成物から作製される架橋生成物)は、従来のエポキシ硬化樹脂を超えるいくつかの改善特性を示す。本発明の硬化生成物の1つの利点は、こうした硬化生成物が、例えば電気装置を絶縁する用途領域における電気絶縁物として配合物を利用するための機械的、熱的および電気的特性の全体的バランスを有することである。
【0079】
例えば、本発明の硬化生成物は、約80℃から約250℃のガラス転移温度(Tg)を有することができる。一般に、樹脂のTgは、一実施形態において約100℃より高く、別の実施形態において約120℃より高く、また別の実施形態において約140℃より高く、なお別の実施形態において約150℃より高い。
【0080】
加えて、本発明の熱硬化生成物は、一実施形態において一般に約1ppm/℃から約75ppm/℃である、ASTM D 5335によって決定される場合のTgより下の熱膨張(CTE)係数を呈する。別の実施形態において、CTEは、約75ppm/℃未満、別の実施形態において約60ppm/℃未満、なお別の実施形態において約45ppm/℃未満であってよい。
【0081】
加えて、本発明の熱硬化生成物は、一実施形態において一般に約0.5W/mKから約50W/mKの熱伝導率を有することもできる。別の実施形態において、熱伝導率は、約0.8W/mKを超え、別の実施形態において約0.9W/mKを超え、なお別の実施形態において約1.0W/mKを超えていてよい。
【0082】
本発明の熱硬化生成物は、一実施形態において一般に約10kV/mmから約45kV/mmの誘電破壊強度を有することもできる。別の実施形態において、誘電破壊強度は約20kV/mm以上、別の実施形態において約23kV/mmを超え、なお別の実施形態において約27kV/mmを超えていてよい。
【0083】
本発明の熱硬化生成物が有することができる別の特性は、一実施形態において一般に約1×1012オーム−cmから約1×1019オーム−cmの体積抵抗率である。別の実施形態において、体積抵抗率は約1×1015オーム−cmを超え、別の実施形態において約4×1015オーム−cmを超え、なお別の実施形態において約1×1016オーム−cmを超えていてよい。
【0084】
本発明の熱硬化生成物が有することができるまた別の特性は、一実施形態において一般に約40MPaから約250MPaの引張強度である。別の実施形態において、引張強度は約65MPaを超え、別の実施形態において約75MPaを超え、なお別の実施形態において約85MPaを超えていてよい。
【0085】
上記の特性は、本発明の熱硬化生成物に、電気装置を絶縁する用途領域における電気絶縁物として配合物を利用するための機械的、熱的および電気的特性の全体的バランスを提供する。本発明の熱硬化生成物は、有利には、一実施形態において約70℃から約250℃の運転温度で特性の上記バランスを呈する。別の実施形態において、運転温度は約70℃以上、また別の実施形態において100℃以上、なお別の実施形態において約130℃以上、なお別の実施形態において約150℃以上である。
【0086】
本発明のエポキシ樹脂配合物は、変圧器、ポッティング用途、スイッチ、トランスデューサー、ブッシング、センサ、コンバーター、トランジスタ、電気機械および電気装置などのための電気絶縁性材料を製造するための硬化性組成物として使用される。
【実施例】
【0087】
以下の実施例および比較例は、本発明を詳細にさらに例示するが、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0088】
以下の実施例において使用される様々な用語および名称を本明細書において下記に説明する。
【0089】
D.E.R.332は、Dow Chemical Companyから市販されている、171のEEWを有するビスフェノールAのジグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂である。
【0090】
D.E.R.383は、Dow Chemical Companyから市販されている、180.3のEEWを有するビスフェノールAのジグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂である。
【0091】
D.E.N.425は、Dow Chemical Companyから市販されている、172のEEWを有するエポキシ樹脂である。
【0092】
SILBOND(登録商標)W12ESTは、Quarzwerkeから市販されている、16ミクロンのd50%粒径を有するエポキシシラン処理石英である。
【0093】
MILLISIL(登録商標)W12は、Quarzwerkeから市販されている、16ミクロンのd50%粒径を有する石英である。
【0094】
「DVBDO」は、ジビニルベンゼンジオキシドを表す。
【0095】
「NMA」は、ナジックメチル酸無水物を表し、Polysciencesから市販されている。
【0096】
「ECA100」は、エポキシ硬化剤100を表し、Dixie Chemicalから市販されている。ECA100は、一般に、80%を超えるメチルテトラヒドロフタル酸無水物および10%を超えるテトラヒドロフタル酸無水物を含む。
【0097】
「1MI」は、1−メチルイミダゾールを表し、Aldrich Chemicalから市販されている。
【0098】
以下の標準分析用機器および方法が実施例において使用される。
【0099】
鋳型アセンブリ
角度のある切り込みを有する2個の約355mm角金属プレート上で、1つの端を各DUOFOIL(商標)(約330mm×355mm×0.38mm)上に取り付ける。約3.175mmID×約4.75mmOD(ガスケットとして使用される)のチューブを付けている約3.05mmの厚さおよびシリコーンゴムのU−スペーサー棒をプレート間に置き、鋳型をC−クランプで閉めて保持する。鋳型は、その使用より前に約65℃の炉内で予熱する。
【0100】
充填エポキシ樹脂の注型
充填剤の必要量を終夜真空炉内にて約70℃の温度で乾燥させる。エポキシ樹脂および無水物ハードナーを約60℃に別々に予熱する。広口プラスチック容器中に、温かいエポキシ樹脂、温かい無水物ハードナー、および1−メチルイミダゾールの指定量を負荷し、これらを温かい充填剤中に添加する前に手でかき混ぜる。容器の内容物を次いで、FlackTek SpeedMixer(商標)上にて、約1〜2分の持続期間約800rpmから約2350rpmの複数のサイクルで混合する。
【0101】
混合配合物を、脱ガス用の真空ポンプおよび真空制御器と一緒にTeflon(登録商標)ブレードを有するガラス撹拌軸および軸受を使用して、オーバーヘッドスターラー付きの温度制御されている約500mLの樹脂ケトル中に負荷する。典型的な脱ガスプロファイルを約55℃から約75℃の間にて以下の段階で行う。5分、80rpm、100Torr;5分、80rpm、50Torr;5分、80rpm、20Torr、約760TorrまでN中断;5分、80rpm、20Torr、約760TorrまでN中断;3分、80rpm、20Torr;5分、120rpm、10Torr;5分、180rpm、10Torr;5分、80rpm、20Torr;および5分、80rpm、30Torr。
【0102】
温かい脱ガス混合物を大気圧にし、上に記載されている温かい鋳型アセンブリに注ぐ。充填鋳型を80℃の炉内に約16時間の間置き、温度を引き続いて上昇させ、140℃で合計10時間の間保持し、次いで引き続き上昇させ、225℃で合計4時間の間保持し、次いで周囲温度(約25℃)にゆっくり冷却する。
【0103】
ガラス転移温度(T)測定
硬化エポキシ配合物の一分量を示差走査熱量計(DSC)中に置き、10℃/分にて0℃から250℃の第1加熱走査から0℃から250℃の第2加熱走査で加熱および冷却する。Tgを0℃から250℃の第2の加熱走査上のハーフハイト値として報告する。
【0104】
引張特性測定
引張特性測定を、硬化エポキシ配合物についてASTM D638に従って1型引張試験片を使用して行う。
【0105】
熱伝導率測定
熱伝導率測定を、硬化エポキシ配合物についてISO22007−2(遷移平面熱源(ホットディスク)法)に従って行う。
【0106】
体積抵抗率
体積抵抗率を室温でHewlett−Packard High Resistivity Meter上にて、115ミルから130ミルのプラーク厚を範囲として測定した。
【0107】
誘電強度
誘電強度も、115〜130ミルプラーク上にてAC破壊Testerを使用してASTM D149によって、試料破壊まで500V/secの傾斜アップ電圧速度で測定した。
【0108】
実施例1〜6ならびに比較例AおよびB
充填エポキシ樹脂注型物を、上記されている通りの一般的方法および下記の表Iに記載されている配合物を使用して調製する。生じた注型物の特性を上に記載されている方法によって測定し、特性結果を下記の表IIに記載する。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
上に記載されている方法において、本発明の範囲から逸脱することなく特定の変化がなされ得ることは、当業者に明らかであろう。そのため、本明細書において開示されている全てのことは、例示的なものとしてのみ解釈され、求められる保護の範囲を限定すると解釈されないことが意図される。さらに、本発明のプロセスは、具体例が参照する表を含めて、上記で説明されている具体例によって限定されるべきではない。むしろ、これらの実施例およびそれらが参照する表は、本発明のプロセスの例示である。