(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
車両の内部空間の効率的な使用を可能にできるよう、幅広く様々な貨物を、複数の収容列を有する車両に収容して輸送することが望ましい。多くの流通産業において、単列の配送車両は、貨物の領域の全容量を使い切ることができないという結果につながり、運転者が怪我をする可能性があり、積み込みおよび配送のプロセスが全体として非効率になるという結果につながるいくつかの欠点を抱えている。例えば、そのような欠点の1つは、貨物または製品が過度に高く積み重ねられることで、荷物の不安定および/またはそれぞれの貨物または製品の破損の可能性が生じることである。貨物、製品、およびケースという用語は、本明細書において互いに入れ換え可能に使用でき、そのような使用は、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。他の欠点は、過度または非効率的な積み重ねの結果として、手作業での積み下ろしのためのアクセスが面倒になりかねない点にある。
【0003】
したがって、特定の収容列についてその下方の高さから積み込みまたは積み下ろしを行なうことができるよう、貨物または製品を昇降させるためのシステムを設けることが望ましい。貨物または製品の複数の収容列への収容は、技術的に公知である。例えば、Murphyの米国特許第4,139,109号明細書およびGibsonの米国特許第3,929,371号明細書に記載のように、複数の貨物収容列を有する車両に上方および下方の固定の収容プラットフォームを設けることが知られている。Harrisの米国特許第2,779,487号明細書、Blackの米国特許第2,832,636号明細書、Thorndykeの米国特許第4,701,086号明細書、Greenlawの米国特許第5,931,262号明細書、およびPrinceの米国特許第5,092,721号明細書に開示のように、複数の収容列による収容に関して、固定された収容列のいくつかの欠点を克服するために、種々の構成が開発されている。しかしながら、これらの文献は、上述の積み込みおよび配送のプロセスに存在するいくつかの非効率に対処できておらず、製品の配送および積み下ろしを担当する場合がある個人の負傷の問題に対処できていない。
【0004】
例えば、従来の配送または店舗直送(DSD:direct−store−delivery)の個人は、一般に、積み込み済みのルート配送車両を倉庫から顧客まで運転し、種々の製品を車両から下ろし、製品を顧客の事業所へと届け、顧客の場所において棚および陳列場所を満たし、POS(point−of−sale)資料、配送容器、および傷んだ製品を含む企業の品物を回収することを担当することができる。これらの個人は、典型的には、1日につき8〜10時間働いて、これらに限られるわけではないが食料品店、コンビニエンスストア、病院、学校、などの様々な場所へと配送を行い、典型的な一日において、製品の200〜600個のケースを1つずつ手作業で持ち上げ、台車または他の装置に載せる可能性がある。台車を顧客の場所に移動させた後で、個人は、台車から棚および/または保管領域に製品を手作業で下ろす可能性がある。このプロセスの全体が、流通システムに多数の非効率をもたらしている。
【0005】
さらに、従来の配送車両は、通常は背が高く、奥行きおよび高さの大きい貨物ベイを含む。これらの従来のベイは、多くの場合、高さが7フィートであり、幅が40インチであり、奥行きが40インチである。したがって、ベイの寸法が、それだけで、製品の取り出し、ドアの開閉、および背の高い車両に関係する他の人間工学的な問題などの人間工学的な問題をもたらす。また、さらなる問題が、成果、生産性、容量、および/または積載の問題に関係し得る。
【0006】
例えば、製品の取り出しの人間工学的な問題に関して、個人は、車両のベイにアクセスして製品を持ち上げるために、何度も長時間にわたって高いところに手を伸ばさなければならない。ドアの開閉の人間工学的な問題に関して、個人は、大きくて重いベイのドアを開閉するために、何度も長時間にわたって高いところに手を伸ばさなければならない。背の高い車両の人間工学的な問題に関しては、配送に使用される車両ゆえに、個人が背伸びをして飲料を下ろさなければならず、高い場所から荷物を持ち上げて地面に下ろさなければならず、空の容器を車両に持ち上げなければならない可能性がある。これらの動作の各々が、個人の肩、肘、および背中にかなりのストレスを及ぼす。この繰り返しの動作が、個人に、この業界において報告されている負傷のうちの60%についての主たる負傷状態である過度の緊張および挫創を引き起こす。これらの報告されている負傷のうちで、50%が個人の背中および胴体の他の部分に関係し、20%が下肢に関係し、20%が上肢に関係する。最近行われた事例研究において、独立系のビール流通業者における労働者の補償の請求のうちの61%が、これらの配送の個人に関係するものであり、12ヵ月の労働者の補償の請求の合計が478,000ドルになり、配送1ケースにつき0.048ドルに相当することが明らかになっている。
【0007】
成果および生産性の問題に関して、この業界における供給区域が、配送の立ち寄り先において必要とされる時間に起因して限定されることが明らかになっている。従来の配送車両を用いた配送に関して、種々の作業に要する時間を明らかにする個々の時間研究を実行した。下記の表1が、1つのそのような典型的な時間研究を示す。
(表1)
仕事 時間 尺度
注文品をトラックから取り出す 0:05 ケース
倉庫に置く 0:05 ユニット
倉庫に置く 0:05 ユニット
展示品を補充する 0:05 ケース
クーラーに置く 0:06 ユニット
ドアを開閉する 0:07 出来事
事務処理する 0:07 出来事
空の入れ物を分解する 0:30 停止
製品を内側/ステージに転がす 0:34 スタック
集金する 1:10 出来事
注文品を経営者と確認する 1:42 出来事
請求書を印刷する 2:00 出来事
歩行する 3:34 停止
価格注文する 4:37 停止
【0008】
上記の表1を参照すると、ドアの開閉および車両からのケースの引き出しについてケース当たりの時間を短縮することで、立ち寄り先ごとの全体としての時間を短縮でき、したがって企業にとって1台のトラックでより多くの場所に製品を配送できるようになることが明らかである。
【0009】
容量および積載の問題に関しては、従来の配送車両の設計では、車両に載せられるケースの数が限られる。特定の事例においては、労働協約によって、ケースの積載量が車両の容量の半分未満に制限されることもある。さらに、従来の配送車両の設計では、車両に載せられる異なる最小在庫管理単位(SKU)の数が限られる。多くの配送および流通会社によって提供されるSKUの数が近年において3倍に増えた一方で、従来の配送車両の設計は不変のままであるため、流通システムが大いに非効率になっている。さらに、ケースのサイズが多くの産業において急増しているため、従来の配送車両の容量の使用が、さらに制約されるようになってきている。
【0010】
横ベイおよび後部配送車両の使用に関係する歴史的な問題ならびに企業にとっての関連のコストに鑑み、上述の問題を解消するための多数の試みが存在するが、それらの試みは、現行の配送車両の設計の些細な人間工学的変更(例えば、運転者の座席、ベイの裏地、などの変更)、ベイに基づく(build−by−bay)配送プロセスから立ち寄り先に基づく(build−by−stop)配送プロセスへの移行、ならびに代替の配送方法を用いた顧客配送(customer delivery)の後方配送(rear delivery)への移行に限られている。立ち寄り先に基づくプロセスへの移行に関し、企業は、歴史的に、1つの梱包のための量を集め、その量の100%をただ1つのベイに配置することで、各々の個別の立ち寄り先において該当の量を取り出すための運転者によるトラックの「ショッピング(shopping)」をもたらしている。立ち寄り先に基づくプロセスへの移行により、各々のベイが顧客におけるただ1つの立ち寄り先のために利用され、したがってドアの開閉の事象の回数が少なくなる。しかしながら、立ち寄り先に基づくプロセスは、他の人間工学的な問題に対処できていないだけでなく、配送車両の容量が小さくなる。後端配送への以降に関しては、外部のエレベータ、異なるカート、台車、などといった異なる配送技術が、後方からの荷物の配送と併せて使用されるように導入されている。これらの技術は、特定の配送車両に関連する人間工学的な問題の多くを軽減できるが、この後方配送への移行は、必ずしも顧客のすべての現場が後端積み込みの車両を受け入れるわけではないという点で、追加の制約を持ち込むことになり、顧客ごとの特有の注文を生成することによって倉庫作業にかなりのコストが加わる可能性があり、新規な配送設備の購入、保管、および維持のための追加のコスト、ならびにより小さな注文量へと向かう現在の傾向が、一般的に、これらの技術を時代遅れにしている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照し、人間工学的に改良された配送車両および方法の種々の実施形態を、本明細書において説明するが、図面においては、本発明の主題の理解を容易にするために、同様の構成要素には同様の参照番号が与えられている。
【0021】
以下の説明においては、トラックまたは横ベイ型の配送車両に言及する場合があるが、以下の説明を、決して添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものとして解釈してはならない。当業者にとって公知である通り、他の配送車両として、後ろ積みもしくは横ベイならびに/あるいは後ろベイまたは後ろ積みの組み合わせの車両(例えば、ハイブリッド)、トラック、バン、および他のそのような車輪付きの車両を挙げることができる。さらに、以下の説明においては、飲料の容器およびケースなどに言及する場合があるが、これも、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。なぜならば、本発明の主題の実施形態は、乳業、自動販売機産業、製パン業、スナック食品産業、ならびに消耗品であっても、消耗品でなくても、横ベイおよび/または後ろ積みの配送車両を利用することができる任意の産業において、配送車両のための容器、ケース、製品、および/または貨物に等しく適用可能であるからである。
【0022】
図1は、本発明の主題の一実施形態による横ベイ型の配送車両の図である。
図1を参照すると、典型的な横ベイ型の配送車両100は、10個のベイ110を備えることができ、すなわち車両100の片側の5つのベイと、車両100の反対側の5つのベイ(不図示)とを備えることができる。これらのベイのうちの任意の1つまたは複数は、標準型、絶縁式、および/または隔離式であってよく、ならびに/あるいはベイへのアクセスを、側面の巻き上げドアまたはスイングドアを介して実現することができる。不図示であるが、その構成に応じて、これらのベイ110のうちの任意の数のベイが、後部の巻き上げドアまたはスイングドアを介してアクセス可能であってよい。下記の表2が、このような車両100について、典型的な容量、積載量、および重量のデータを示す。
(表2)
車体形式 車体重量 ケース容 積載量 典型的な重量分布
ポンド 量 ポンド (各軸の総荷重)
[kg] [kg]
12オンス 12オンス 前車軸 後車軸 車両総重
缶 缶 ポンド ポンド 量
[kg] [kg] ポンド
[kg]
10ベイ(52 3810 1170 25320 12824 26549 39373
インチ) [1728] [11483] [5816] [12040] [17856]
【0023】
表2の上記のデータは、あくまでも例にすぎず、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。
図1を参照すると、各々のベイ110が、約52インチの幅であってよく、8つのベイ111が、約82インチの高さを有することができ、後車軸104の上方に位置する2つのベイ112が、約59インチの高さを有することができる。車両100の典型的な車体重量は、3,180ポンドであってよく、12オンスの缶の1,170個のケースという容量をもたらすことができ、したがって約25,230ポンドという積載量をもたらすことができる。満載状態の車両100の前車軸102と後車軸104との間の重量分布は、約前車軸102に32.6%および後車軸104に67.4%であってよい。
【0024】
図2は、本発明の主題の別の実施形態による横ベイ型の配送車両の図である。
図2を参照すると、典型的な横ベイ型の配送車両200は、16個のベイ210を備えることができ、すなわち車両200の片側の8つのベイと、車両200の反対側の8つのベイ(不図示)とを備えることができる。これらのベイのうちの任意の1つまたは複数は、標準型、絶縁式、および/または隔離式であってよく、ならびに/あるいはベイへのアクセスを、側面の巻き上げドアまたはスイングドアを介して実現することができる。不図示であるが、その構成に応じて、これらのベイ210のうちの任意の数のベイが、後部の巻き上げドアまたはスイングドアを介してアクセス可能であってよい。下記の表3が、このような車両200について、典型的な容量、積載量、および重量のデータを示す。
(表3)
車体形式 車体重量 ケース 積載量 典型的な重量分布
ポンド 容量 ポンド (各軸の総荷重)
[kg] [kg]
12オン 12オン 前車軸 駆動軸 トレーラ 編成
ス缶 ス缶 ポンド ポンド 軸 総重量
[kg] [kg] ポンド ポンド
[kg] [kg]
16ベイ(40 9872 1512 32552 8233 22480 22701 53414
インチ)の [4477] [14763] [3734] [10295] [17856] [24224]
Dockmaster
【0025】
表3の上記のデータは、あくまでも例にすぎず、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。
図2を参照すると、各々のベイ210が、約40インチの幅であってよく、2つのベイ211が、約100インチの高さを有することができ、残りの14個のベイ214が、約68インチの高さを有することができる。車両200の典型的な車体重量は、9,872ポンドであってよく、12オンスの缶の1,512個のケースという容量をもたらすことができ、したがって約32,552ポンドという積載量をもたらすことができる。満載状態の車両200の前車軸202、駆動軸203、および後車軸204の間の重量分布は、約前車軸202に15.4%、駆動軸203に42.1%、および後車軸204に42.5%であってよい。
【0026】
図3は、本発明の主題のさらなる実施形態による横ベイ型の配送車両の図である。
図3を参照すると、典型的な横ベイ型の配送車両300は、16個のベイ310を備えることができ、すなわち車両300の片側の8つのベイと、車両300の反対側の8つのベイ(不図示)とを備えることができる。これらのベイのうちの任意の1つまたは複数は、標準型、絶縁式、および/または隔離式であってよく、ならびに/あるいはベイへのアクセスを、側面の巻き上げドアまたはスイングドアを介して実現することができる。不図示であるが、その構成に応じて、これらのベイ310のうちの任意の数のベイが、後部の巻き上げドアまたはスイングドアを介してアクセス可能であってよい。下記の表4が、このような車両300について、典型的な容量、積載量、および重量のデータを示す。
(表4)
車体形式 車体重量 ケース 積載量 典型的な重量分布
ポンド 容量 ポンド (各軸の総荷重)
[kg] [kg]
12オン 12オン 前車軸 駆動軸 トレーラ 編成
ス缶 ス缶 ポンド ポンド 軸 総重量
[kg] [kg] ポンド ポンド
[kg] [kg]
16ベイ(43 9033 1472 31712 7300 21131 22748 51179
インチ) [4097] [14382] [3310] [9583] [10317] [23210]
【0027】
表4の上記のデータは、あくまでも例にすぎず、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。
図3を参照すると、各々のベイ310が、約40インチの幅であってよく、4つのベイ312が、約13インチの高さを有することができ、残りの12個のベイ314が、約82インチの高さを有することができる。車両300の典型的な車体重量は、9,033ポンドであってよく、12オンスの缶の1,472個のケースという容量をもたらすことができ、したがって約31,712ポンドという積載量をもたらすことができる。満載状態の車両300の前車軸302、駆動軸303、および後車軸304の間の重量分布は、約前車軸302に14.3%、駆動軸303に41.3%、および後車軸304に44.4%であってよい。
【0028】
しかしながら、本発明の主題を、ベイの数が異なっており、ベイの寸法が幅広く様々である無数の配送車両において使用できることを、当業者であれば理解できると考えられるため、
図1〜3に示した配送車両100、200、300があくまでも例にすぎず、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではないことに、注意すべきである。簡潔さの目的で、下記の表5に、本発明の主題の実施形態を採用することができるさらなる配送車両を列挙する(ただし、これですべてではない)。
(表5)
種類 説明
12.5ベイ 単車軸またはタンデム車軸であってよい。単車軸は、4つの全
高さのベイと、2つの低いベイと、1つの低い半幅のベイとを各
側に有することができる。タンデム車軸は、3つの全高さのベ
イと、3つの低いベイと、キング・ピン・プレートの上方の1
つの半幅ベイとを各側に有することができる。
14ベイ このトレーラは、4つの全高さのベイと、3つの低いベイとを
各側に有することができる。
14.5ベイ このトレーラは、5つの全高さのベイと、2つの低いベイと、1
つの半ベイとを各側に有することができる。
16ベイ 単車軸またはタンデム車軸であってよい。単車軸が、今日使用
されている一般的なトレーラである。タンデム車軸は、4つの
全高さのベイと、4つの低いベイとを各側に有することができ
る。
18ベイ 単車軸またはタンデム車軸であってよい。単車軸は、6つの全
高さのベイと、3つの低いベイとを各側に有することができる。
タンデム車軸は、5つの全高さのベイと、4つの低いベイとを各
側に有することができる。
20ベイ タンデム車軸。このトレーラは、6つの全高さのベイと、4つ
の低いベイとを各側に有することができる。
22ベイ タンデム車軸。このトレーラは、7つの全高さのベイと、4つ
の低いベイとを各側に有することができる。
24ベイ タンデム車軸。このトレーラは、7つの全高さのベイと、5つ
の低いベイとを各側に有することができる。
ストレッチ これらのトレーラは、様々なサイズであってよい(16ベイが最
も一般的である)。通常は、標準的なトレーラにおけるキング・
ピン・プレートの上方の2つの低いベイのうちの1つを全高さ
のベイに変換するための充分な隙間を可能にするように、キン
グピンを前方に約12インチ延ばすことによって変更可能であ
る。
組み合わせ これらのトレーラは、通常は以下のうちの1つ、すなわち多数
のベイ幅、巻き上げおよびスイングの両方のドア、ならびに標
準型および絶縁型/隔離型のベイのうちの1つを有する。
【0029】
当然ながら、表5の上記のデータは、あくまでも例にすぎず、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。例えば、典型的なベイの幅は、例えば全幅において40インチ未満から52インチ超までなど、様々であってよいと考えられ、特定の典型的な車両は、複数のベイ幅を用意してもよく、ならびに/あるいは他のベイの全幅の分数または倍数のベイを用意してもよいと考えられる。さらに、典型的なベイの高さは、例えば全高において82インチ未満から90インチ超までなど、様々であってよいと考えられ、特定の典型的な車両は、複数のベイ高さを用意してもよく、ならびに/あるいは他のベイの高さの分数または倍数のベイを用意してもよいと考えられる。さらに、典型的なベイの奥行きは、例えば最大の奥行きにおいて40インチ未満から45インチ超までなど、様々であってよいと考えられ、特定の典型的な車両は、複数のベイの奥行きを用意してもよく、ならびに/あるいは他のベイの奥行きの分数または倍数のベイを用意してもよいと考えられる。また、本発明の主題の実施形態を、ただ1つのドア(後ろから入り、あるいは横から入る)を有し、したがってベイが1つだけである配送車両にも適用できると考えられる。当然ながら、任意の数のベイおよび/またはドアを有する配送車両が、添付の特許請求の範囲の技術的範囲に包含されると考えられる。
【0030】
図4は、本発明の主題の一実施形態の斜視図である。
図5は、本発明の主題の別の実施形態の斜視図である。
図6は、
図5の実施形態の上面図である。
図7は、
図5の実施形態の正面図である。
図8は、
図5の実施形態のさらなる斜視図である。参照および図示を容易にするために、
図4〜8においては、車両の壁が省略されている。さらに、
図5〜8が、複数のフレームおよび/またはベイ400a〜400dを有する実施形態を示し、
図4が、ただ1つのベイ400aを有する実施形態を示すことに、注意すべきである。
図4を参照すると、
図1〜3に図示および/または上述した典型的な配送車両のいずれも、そのそれぞれのベイのうちの任意の1つまたは複数に、第1の矩形フレーム402および第2の矩形フレーム404を備えることができる。
図4〜8を参照すると、これらの矩形フレーム402、404は、実質的に平行かつ互いに対面することができ、各々が2つの垂直部材402a、402b、404a、404bおよび2つの水平部材402c、402d、404c、404dを備えることができる。
図5〜8のように、複数のベイ400a〜400dを有する実施形態においては、隣り合うベイが、矩形フレームを共有しても、しなくてもよい。典型的なベイは、所望の設計に応じて、標準型のベイ、絶縁式のベイ、または隔離式のベイであってよい。さらには、これらの矩形フレームを、他の矩形フレームに折り畳むことが可能であってよく、ならびに/あるいは他の矩形フレームと入れ子にできてもよいと考えられる。そのような実施形態においては、矩形フレームをトラック機構に可動に取り付けることができ、さらに後述されるように、一旦第1組のフレームまたはベイの製品が空になったならば、隣のベイまたはフレームを第1のフレームに畳み、隣のフレームの製品を送り出すことができる。
【0031】
垂直部材402a、402b、404a、404bのいずれか、または各々に、直線ギア406が取り付けられてよい。直線ギア406は、それぞれの垂直部材の任意の部分または全長にわたって延びていてよい。2つの矩形フレーム402、404の内側に、保持構造410を収めることができる。好ましくは、両方の矩形フレーム402、404が保持構造410に係合し、保持構造410は、角において矩形フレーム402、404の垂直部材402a、402b、404a、404bの各々に隣接する水平フレーム412またはトレイを備えることができる。当然ながら、複数の水平フレーム412またはトレイが、本発明の主題の実施形態に含まれてよく、
図4における8つのトレイの図示は、決して添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。さらに、水平フレーム412のうちの任意の数の水平フレームを、いくつかの水平ビン(horizontal bin)413に仕切ることができる。例えば、一実施形態においては、水平フレーム412が、3つのビンを含むことができる。水平フレーム412のさらなる実施形態は、1つ、2つ、または4つ以上のビンを含むことができる。
【0032】
保持構造410は、それぞれのシャフト416、417に係合する1つ以上のモータ414、415も備えることができる。モータ414、415を、一番上の水平フレーム412またはトレイに取り付けられたモータ保持アセンブリ440、441に着脱可能に取り付けることができる。典型的なモータは、電動モータ、油圧モータなどであってよいが、これらに限られるわけではない。シャフト416、417の各々の端部が、該当および/または隣接の垂直部材402a、402b、404a、404bの直線ギア406に回転可能に係合するギア419を受けることができる。シャフト416、417は、アセンブリ440、441の一部分の穿孔または穴を通って延びることができる。当然ながら、モータ、ギア、シャフトまたはリンク、ならびにモータ保持アセンブリの図示、構成、および空間的関係は、あくまでも例示にすぎず、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。複数の水平フレームまたはトレイ412を有する本発明の主題の実施形態においては、
図4〜8のベイ400aに示されているように、1つ以上のモータ414、415の動作により、垂直運動の方向に応じて、隣接する水平フレーム412を残りの水平フレームに対して伸縮させることができる。例えば、複数の水平フレーム412を有する実施形態において、水平フレーム412の適切な伸縮を補助するために、各々のフレームに、先端部が球状またはストッパを有する案内ピンまたはロッド460を取り付けることができる。案内ピン460を、同じベイ400aに含まれる各々のフレーム412の穴464を通って延ばすことができる。このようにして、例えばモータ414、415が保持構造410の高さを増加させるように作動されるとき、一番上のフレームが上昇し、一番上のフレームの直下に位置する第2のフレームに取り付けられたロッド460の先端部のストッパと係合する。この第2のフレームがやはり上昇するとき、この第2のフレームが、最終的に、この第2のフレームの直下に位置する第3のフレームに取り付けられた別のロッド460の先端部462のストッパに係合し、以下同様である。同じことが、逆ではあるが、フレームを互いに畳む場合にも当てはまる。当然ながら、案内ピン460の長さを、最終的な高さまたは隣接するフレーム間の間隔を変更するために調節することができ、ピン460の先端部462のストッパまたは球のサイズを、所定のフレームだけの係合を保証し、あるいは該当のフレームの昇降を可能にするように変えることができる。
【0033】
さらに、2つの矩形フレーム402、404の内側に、1つ以上のベルト420を収めることができる。ベルト420を、2つの矩形フレーム402、404の下方の水平部材402d、404dの間に配置することができる。当然ながら、水平フレーム412におけるビン413の数に応じて、対応する数のベルト420が、それぞれのフレーム404、404の間に配置されると考えられる。例えば、
図4が、3つのビン413を、該当の水平フレーム412および対応する数(各々のビンに1つずつ)のベルト420とともに示す。しかしながら、この例は、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。なぜならば、任意の数の該当の水平フレーム412およびそれらのそれぞれのビン413について、任意の数のベルトを利用できると考えられるからである。このようにして、モータ414、415の動作が、2つの矩形フレーム402、404からなる境界の内側での保持構造410の垂直移動をもたらすことができ、ベルト420の動作が、2つの矩形フレーム402、404からなる境界の内側での横移動または水平移動、したがってそれぞれの水平フレーム412またはビン413から個人への製品または貨物の移動をもたらすことができる。当然ながら、各々のベルト420の運動は、他のベルトの運動と無関係であってよく、そのような運動を、モータ、電気、油圧、または他の方法で達成することができる。モータ414、415の動作、したがって垂直移動は、自動化されても、手動であってもよいと考えられる。さらに、ベルト420の動作も、自動化されても、手動であってもよいと考えられる。例えば、下方の高さの製品が空になったときに、保持構造を(自動または手動で)畳んで、次の高さの製品を下方の高さにもたらすことができる。本発明の主題の実施形態を、上述の保持構造を利用するものとして説明したが、プーリ機構、チェーンまたはチェーン機構、油圧機構およびリフト、など、他の機械的なアセンブリも考えられるため、添付の特許請求の範囲は、上述の保持構造の利用に限られない。さらに、
図4〜8のベイ400a〜400dへのアクセスは、側面からのアクセスと解釈することができるが、1つ以上のベイを有する実施形態が、貨物へのアクセスが後方からのアクセスに限られる車両に含まれる可能性があるため、添付の特許請求の範囲は、側面からのアクセスに限られない。当然ながら、ベイ400a〜400dへのアクセスは、巻き上げドアまたはスイングドアを介することができる。
【0034】
図9Aおよび9Bは、本発明の主題の実施形態による水平フレームの図である。
図9Aおよび9Bを参照すると、典型的な水平フレーム412またはトレイは、水平フレーム412上に位置する貨物または製品920を保持するためのリッジ(ridge)または隆起部910を備えることができる。水平フレーム412が複数のビン413を備える本発明の主題の実施形態においては、隣接するビンの製品を互いに干渉することがないように保持するために、ビン413の間に分離用のリッジ912を設けることができる。下方のベルト420(不図示)に対応するために、水平フレーム412および個々のビン413は、ベルト420を水平フレーム412またはビン413に位置する製品920に接触させて、そのような製品920の横移動をもたらすことができる開口930を備えることができる。当然ながら、開口930の幅は、種々の寸法の製品(例えば、ケースなど)に対応するように調節可能であってよい。開口930の幅は、固定されていて調節不可能であってもよい。
図10は、本発明の主題の実施形態が対応可能な製品920または貨物の典型的な寸法の斜視図である。
図9A、9B、および10を参照すると、開口930の幅の調節を通じて、本発明の主題の実施形態が、幅広く様々な寸法を有する製品920または貨物を受け入れ、収容し、個人にもたらすことができることが明らかである。当然ながら、
図9A、9B、および10に示した製品は、あくまでも例示にすぎず、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。例えば、下記の表6が、この業界において利用されるいくつかの飲料製品の一般的な寸法を示す。通常は、これらの製品は、5.5インチ〜約12.5インチの範囲の高さを有する。
(表6)
製品 1日当たり 1日当たり 1日当たり ケース幅 ケース
のケース のケース のケース (インチ)長さ
数 数 数 (インチ)
% 累積%
Lite 24pk can 574 8.5 8.5 10.8 16.1
Corona 12pk ln 2 245 3.6 12.1 11.0 16.0
Lite 6pk ln 4 231 3.4 15.5 10.5 15.5
High Life 24pk can 211 3.1 18.6 10.8 16.1
Steel reserve 24oz 175 2.6 21.2 9.0 12.0
can 12pk
Best lt. 24pk can 172 2.5 23.7 10.8 16.1
Lite 12pk ln2 166 2.4 26.2 10.5 15.5
High Life 12pk ln2 165 2.4 28.6 10.5 15.5
Lite 18pk can 162 2.4 31.0 7.9 15.6
Lite 20/12 lnnr 160 2.4 33.3 10.3 12.9
Lite Fridge 12pk can 138 2.0 35.4 10.8 16.1
Best Ice 24pk can 125 1.9 37.2 10.8 16.1
Red Bull Energy Drink 123 1.8 39.1 9.0 13.0
Corona 6pk ln/4 122 1.8 40.9 11.0 16.0
High Life 40 oz nr 12 106 1.6 42.4 11.8 15.4
Best Ice 12pk can 2 96 1.4 43.8 7.9 10.5
Icehouse 24oz can/12 88 1.3 45.1 9.0 12.0
Best 24pk cans 85 1.3 46.4 10.8 16.1
Icehouse 12pk ln 2 74 1.1 48.7 10.5 15.5
Icehouse 22oz nr 15 73 1.1 49.8 9.0 15.0
Best lt. 12pk can 2 70 1.0 50.8 7.9 10.5
Icehouse 18/12 lnnr 69 1.0 51.8 7.8 15.0
High Life Fridge pack
(2/12) 67 1.0 52.8 10.8 16.1
Canada Dry Ginger Ale
8/2L 66 1.0 53.8 10.0 19.0
High Life 6pk ln 4 65 1.0 54.7 10.5 15.5
Icehouse 6pk ln 63 0.9 55.7 10.5 15.5
【0035】
当然ながら、本発明の主題の実施形態は、様々な寸法を有する様々な産業(乳業、自動販売機産業、製パン業、スナック食品産業、など)からの貨物および製品に対応することができるため、表6の上記のデータはあくまでも例示にすぎず、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。
【0036】
図11は、本発明の主題の一実施形態のブロック図である。
図11を参照すると、車両に製品を積み込み、ならびに/あるいは製品を個人または顧客に届ける方法1100が、ステップ1110において、1つ以上の機構を動作させることを含むことができ、ステップ1120において、前記1つ以上の機構を使用して車両のベイ内で製品を垂直方向および横方向に移動させることを含むことができる。典型的な車両は、既に言及および説明した配送車両のいずれかを含むことができ、上述の通りの2つの典型的な矩形フレームを有し、各々のフレームが2つの水平部材および2つの垂直部材を有し、各々のフレームが互いに向かい合っている少なくとも1つのベイを備えることができる。さらにベイは、上述のように、製品を載せる1つ以上の水平トレイを備える典型的な保持構造を両方の矩形フレームに係合させて備えることができる。一実施形態においては、前記機構のうちの1つがモータであってよく、モータの動作が、1つ以上の水平トレイを垂直移動にて伸縮させると考えられる。別の実施形態においては、前記機構のうちの1つがベルトであってよく、ベルトの動作が、1つ以上の水平トレイから製品を横方向に移動させると考えられる。当然ながら、この横方向および/または垂直方向の移動は、自動または手動であってよい。
【0037】
図12は、本発明の主題の別の実施形態のブロック図である。
図12を参照すると、顧客への製品の配送を追跡する方法1200が、ステップ1210において、製品を特定するための符号を割り当てることを含むことができ、ステップ1220において、製品を配送車両に積み込むことを含むことができる。車両は、上述のように、保持構造を支える垂直フレームとベルトアセンブリとを有する1つ以上の配送ベイを備えることができる。典型的な符号は、これらに限られるわけではないが、最小在庫管理単位(Stock−Keeping Unit:SKU)、統一商品コード(Universal Product Code:UPC)、欧州物品番号(European Article Number:EAN)、国際取引品番号(Global Trade Item Number:GTIN)、価格参照(Price look−up:PLU)コード、およびオーストラリア製品番号(Australian Product Number:APN)であってよい。さらに、方法1200は、ステップ1230において、品物を配送車両から下ろすことを含むことができ、ステップ1240において、前記符号を使用して製品の配送を追跡することを含むことができる。当然ながら、ステップ1220または1230の一方または両方は、車両の1つ以上の配送ベイにおいて製品について保持構造を使用して垂直移動をもたらし、ベルトアセンブリを使用して横方向の移動をもたらすことを含むことができる。一実施形態においては、垂直または水平移動のいずれかまたは両方が、自動または手動であってよい。さらなる実施形態においては、そのような自動化された移動または自動的な移動が、割り当てられた符号の関数であってよい。例えば、個人または作業者が、車両のベイにおける荷下ろし(または、積み込み)の際に、特定のSKUまたは一連のSKUを携帯デバイスまたは車両に取り付けられたデバイスに入力することができると考えられる。デバイスが無線または有線接続を介してデータベースまたはメモリユニットと通信し、SKUまたは一連のSKUに対応する製品の位置が発見される。次いで、そのような位置に応じて、製品が、先の段落において説明した垂直方向および横方向の移動によって、個人または作業者に(あるいは、個人または作業者から)自動または手動でもたらされる。
【0038】
このように、本発明の主題の実施形態を利用することで、製品が個人に提示されるがゆえに、配送におけるドアの開放および/または製品の捜索に費やされる時間がわずかまたは皆無であり、したがって配送に必要なケースにたどり着くためにケースを取り扱う無駄時間がなくなる。さらに、現在の地理的領域における配送数の増加および/または1台の配送車両が担当する地理的領域の拡大を通じ、流通プロセスの効率の向上を見て取ることができる。加えて、製品が腰または地面の高さにおいて作業者に提示されるため、人間工学に関連した負傷のコストなど、人間工学に関連した問題がなくなる。さらに、本発明の主題の実施形態を利用する各々の配送車両の設計において最大積載量を増やすことができる。また、典型的な実施形態は、新たな梱包に関係したケースのサイズの急増に対応することもでき、したがって全体としての車両の容量に不利益をもたらすことなく大小の注文量に車両の設計を対応させることができる。
【0039】
したがって、本発明の主題の実施形態の態様は、現在の配送業界(例えば、飲料、乳製品、自動販売機、製パン、スナック食品、などの産業における製品の配送)における限界を克服し、成長する製品の品揃えおよび/または梱包の寸法ならびに増大する顧客の要求に追従および対応するダイナミックな技術的解決策を提供する。本発明の主題の実施形態の他の態様は、配送車両の設計に重要な変化をもたらすことによる性能の改善、配送車両の容量の増加、配送車両において利用できる三次元空間の最大化、および製品の配送コストの削減である。したがって、本発明の主題の実施形態は、最も前方の位置において地面または腰の高さで配送運転手に製品を提示することができ、したがってドアの開閉の回数を最小化することができ、配送運転手の過度の緊張およびストレスを取り除くことができる。
【0040】
上記の説明は、典型的なトラックまたは横ベイ型の配送車両に言及でき、あるいは典型的なトラックまたは横ベイ型の配送車両を提供できるが、これを添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものとして解釈してはならない。当業者にとって公知である通り、他の典型的な配送車両として、後ろ積みもしくは横ベイならびに/あるいは後ろベイまたは後ろ積みの組み合わせの車両(例えば、ハイブリッド)、トラック、バン、および他のそのような車輪付きの車両を挙げることができる。さらに、以下の説明においては、飲料の容器およびケースなどに言及する場合があるが、これも、添付の特許請求の範囲の技術的範囲を限定するものではない。なぜならば、本発明の主題の実施形態は、乳業、自動販売機産業、製パン業、スナック食品産業、ならびに消耗品であっても、消耗品でなくても、横ベイおよび/または後ろ積みの配送車両を利用することができる任意の産業において、配送車両のための容器、ケース、製品、および/または貨物に等しく適用可能であるからである。
【0041】
図1〜12に示した種々の構成および実施形態によって示される通り、人間工学的に改良された配送車両および方法を説明した。
【0042】
本発明の主題の好ましい実施形態を説明したが、説明された実施形態があくまでも例示にすぎず、本発明の技術的範囲が、添付の特許請求の範囲によってのみ、均等物の全範囲ならびに添付の特許請求の範囲を精読することによって当業者が自然に思い到る多数の変種および変形を含んで定められることを、理解すべきであろう。