(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押出ヘッドに前記プリント原料として前記コンクリート混合物を供給する第1原料供給部と、前記噴射ノズルに前記粉末金属を供給する第2原料供給部と、前記押出ヘッドに前記プリント原料として合成樹脂を供給する第3原料供給部をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の3Dプリンティング装置。
【背景技術】
【0002】
3Dプリンティング(3D printing)は最近脚光を浴びている製造技術として、プラスチック液体あるいはその他原料を射出したり、積層、凝固させて3次元形状の固体製品を製作する技術をいい、伝統的な材料加工技術に比べて速度、価格、使用上便利性など多様な側面から優位性を示している。
【0003】
3Dプリンティングは、原料によって液体、パウダー、固体に分けられ、レーザ、熱、光などのソースを基盤に凝固/積層する多様な方式があり、3Dプリンティング方式は現在まで多様に開発されてきており、それぞれの方式は製品製作において長所と短所を有する。
【0004】
3Dプリンティング方式は、それぞれの分野ごとに異なる方式が使用され得、大きくはFDM(Fused Deposition Modelling)、DLP(Digital Light Processing)、SLA(Stereolithography)、SLS(Selective Laser Sintering)、PolyJet(Photopolymer Jetting Technology)、DMT(Direct Metal Tooling)、PBP(Powder Bed & inkjet head 3d printing)、LOM(Laminated Object Manufacturing)などに区分される。
【0005】
一般的には、熱可塑性プラスチックからなるワイヤーまたはフィラメントを繰り出しリールと移送リールを介して供給し、供給されたフィラメントを作業台に対して相対的にXYZ三方向に位置が調節される3次元移送機構に取り付けられたヒーターノズルで溶融させて排出することによって2次元平面形態を作り、これを作業台の上に一層ずつ積層して3次元に成形する溶融樹脂の押し出しによる造形法(FDM)が広く使用されている。
【0006】
このように押出ヘッドから出る凝固性モデリング材料の層を融着させて3次元モデルを製造する方法及び装置に関する例は既存の多くの特許から見つけることができ、例えば米国特許第5、121、329号に記述されたように固体棒形状や繰り出しリール上に巻かれた柔軟性のあるフィラメント形態で押出ヘッドに供給され得る。この際、押出ヘッドは凝固時に適切な接着力にて前の層に接着する凝固性材料を使用し、熱可塑性材料がこのような溶融積層に特に適切なものとして知られているため主に用いられている。
【0007】
しかし、前述したような3Dプリンタを利用してコンクリート構造物を施工しようとする場合、その材料であるコンクリートの基本的な特性上、製作に多くの時間を要するという問題がある。
【0008】
コンクリートは水とセメント、砂などが混ざっている物質として、セメントが水と反応して固まる水和反応を利用するが、押出ヘッドで押し出される速度に比べてコンクリートの凝固速度が遅いため、3Dプリンタによる3次元形状の製作時間は凝固速度に大きい影響を受ける。
【0009】
すなわち、3Dプリンタの押出ヘッドは速い速度で動きながらコンクリートを押し出すが、押し出されたコンクリートが凝固するまで相当な時間を要するため、完全に凝固していない層上に再びコンクリートが押し出される場合、製品の形状が崩れる問題がある。
【0010】
一方、一層を積層して完全に凝固するまで待った後、繰り返しその上の層を積層する方式で作業すると、作業時間が顕著に増加して生産性が低下する問題がある。
【0011】
さらに、コンクリートの内部に鉄筋や鉄骨ビームが骨組みとして補強される鉄骨コンクリート構造物の場合、従来の3Dプリンタによってはこのような異種の材料が複合した構造物の製作が難しいという問題がある。
【0012】
特に、鉄筋や鉄骨ビームは溶融温度が非常に高いため、前述した溶融積層方式の適用は不適合であり、構造物の規模が大きい場合は別途の作業台で構造物を支えることができないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたものでり、3Dプリンティング装置及び方法、これを利用した鉄骨コンクリート構造物の施工方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した本発明の目的は、ベースフレームと、前記ベースフレームの上部に移動可能に設けられる移動部と、前記移動部の一側に設けられ、前記ベースフレームの表面側にプリント原料であるコンクリート混合物を吐出する押出ヘッドを含む3Dプリンティング装置を提供することによって達成され得る。
【0016】
本発明の好ましい特徴によれば、前記押出ヘッドの一側に備えられ、前記押出ヘッドを介して吐出された前記コンクリート混合物にマイクロ波を照射して硬化させるマイクロ波照射部をさらに含み得る。
【0017】
本発明の他の好ましい特徴によれば、前記押出ヘッドの一側に設けられ、高圧の洗浄水を噴射して前記押出ヘッド内の残留混合物を除去する洗浄装置をさらに含み得る。
【0018】
本発明のまた他の好ましい特徴によれば、前記移動部の他側に設けられ、粉末金属を噴射する噴射ノズルをさらに含み得る。
【0019】
本発明のまた他の好ましい特徴によれば、前記噴射ノズルの一側に備えられ、前記噴射ノズルを介して噴射された前記粉末金属にレーザを照射して焼結硬化させるレーザ照射部をさらに含み得る。
【0020】
本発明のまた他の好ましい特徴によれば、前記押出ヘッドに前記プリント原料として前記コンクリート混合物を供給する第1原料供給部と、前記噴射ノズルに前記粉末金属を供給する第2原料供給部と、前記押出ヘッドに前記プリント原料として合成樹脂を供給する第3原料供給部をさらに含み得る。
【0021】
本発明のまた他の好ましい特徴によれば、前記マイクロ波照射部は前記押出ヘッドの外周縁に前記押出ヘッドの移動方向に沿って複数備えられ得る。
【0022】
また、前述した本発明の目的は、チェンバと、前記チェンバの内部に設けられるベースフレームと、前記ベースフレームの上部に移動可能に設けられる移動部と、前記移動部の一側に設けられ、前記ベースフレームの表面側にプリント原料としてコンクリート混合物を吐出する押出ヘッドと、前記チェンバの内壁に少なくとも一つ以上設けられ、前記ベースフレームの表面側にマイクロ波を照射して前記プリント原料を硬化させるマイクロ波照射部を含む3Dプリンティング装置を提供することによっても達成され得る。
【0023】
また、前述した本発明の目的は、(a)ベースフレーム上にプリント原料としてコンクリート混合物を吐出してプリント層を形成する段階と、(b)前記プリント層を硬化させる段階と、(c)前記(a)段階と前記(b)段階を繰り返し行い印刷しようとする対象の3次元形状に前記プリント層を連続積層する段階を含む3Dプリンティング方法を提供することによっても達成され得る。
【0024】
本発明の好ましい特徴によれば、(d)前記押出ヘッドの内部に高圧の洗浄水を噴射し、残留プリント原料を洗浄して除去する段階をさらに含み得る。
【0025】
本発明の他の好ましい特徴によれば、前記(a)段階は(a−1)押出ヘッドにプリント原料を供給する段階と、(a−2)押出ヘッドを介して前記プリント原料をベースフレームの表面に吐出する段階を含み、前記(b)段階は(b−1)制御部によってマイクロ波の照射量を決定する段階と、(b−2)マイクロ波照射部を介して前記プリント層にマイクロ波を照射する段階を含み得る。
【0026】
本発明のまた他の好ましい特徴によれば、前記(b−2)段階は前記プリント原料を吐出する押出ヘッドの移動方向に沿って前記照射部が共に移動できる。
【0027】
また、前述した本発明の目的は、3Dプリンティング装置を利用した鉄骨コンクリート構造物の施工方法において、噴射ノズルを介して粉末金属を噴射した後、レーザを照射することによって焼結硬化させて鉄骨層を形成し、押出ヘッドを介してコンクリート混合物を吐出した後、マイクロ波を照射することによって硬化させてコンクリート層を形成し、前記鉄骨層の形成と前記コンクリート層の形成を繰り返し行い施工しようとする構造物の形状に連続積層することを特徴とする3Dプリンティング装置を利用した鉄骨コンクリート構造物の施工方法を提供することによっても達成され得る。
【0028】
本発明の好ましい特徴によれば、前記コンクリート層を形成した後、前記押出ヘッドの内部に高圧の洗浄水を噴射して残留コンクリート混合物を除去できる。
【0029】
一方、前述した本発明の目的は、3Dプリンティング装置を利用した鉄骨コンクリート構造物の施工方法において、(a)押出ヘッドを介して合成樹脂を吐出した後、レーザを照射することによって硬化させて鉄骨外郭境界層を形成する段階と、(b)押出ヘッドを介してコンクリート混合物を吐出した後、マイクロ波を照射することによって硬化させてコンクリート層を形成する段階と、(c)噴射ノズルを介して粉末金属を噴射した後、レーザを照射することによって焼結硬化させて鉄骨層を形成する段階を含み、前記(a)段階ないし前記(c)段階を繰り返し行い施工しようとする構造物の形状に前記鉄骨層と前記コンクリート層を連続積層することを特徴とする3Dプリンティング装置を利用した鉄骨コンクリート構造物の施工方法を提供することによっても達成され得る。
【0030】
本発明の好ましい特徴によれば、前記(a)段階は、押出ヘッドを介して合成樹脂を吐出した後、レーザを照射することによって硬化させてコンクリート外郭境界層を形成する段階をさらに含み得る。
【0031】
本発明の他の好ましい特徴によれば、前記(b)段階は、前記押出ヘッドの内部に高圧の洗浄水を噴射し、残留物を洗浄して除去する段階をさらに含み得る。
【0032】
本発明のまた他の好ましい特徴によれば、前記(c)段階は、レーザの照射による前記粉末金属の焼結硬化時に前記鉄骨外郭境界層が除去され得る。
【発明の効果】
【0033】
本発明による3Dプリンティング装置及び方法によれば、コンクリート混合物を平面上に押し出すと同時に所望する形状に積層させてコンクリート混合物からなる3次元形状を容易に製作できる。
【0034】
また、本発明による3Dプリンティング装置及び方法によれば、鉄骨層とコンクリート層を平面上に所望する形状に積層させて3次元形状の鉄骨コンクリート構造物を容易に製作できる。
【0035】
この際、平面上に押し出されたセメントまたはコンクリート混合物はマイクロ波を照射することによって凝固時間が短縮されるため、生産性を向上する効果がある。
【0036】
また、鉄骨層とコンクリート層の外郭線に沿って合成樹脂素材で境界層を形成することによって測定精度を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下では本発明の実施例について添付する図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下で説明する実施例は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が発明を容易に実施できる程度に詳細に説明するためのものであり、これによって本発明の保護範囲が限定されない。また本発明の多様な実施例を説明することにおいて、同じ技術的特徴を有する構成要素に対しては同じ図面符号を使用する。
【0039】
〔第1実施例〕
図1は、本発明の第1実施例による3Dプリンティング装置の構成図である。
【0040】
図1に示すように、本発明の第1実施例による3Dプリンティング装置100は、ベースフレーム200と、ベースフレーム200の上部に移動可能に設けられる移動部300と、移動部300の一側に設けられてベースフレーム200の表面側にプリント原料を吐出する押出ヘッド400と、押出ヘッド400の一側に備えられ、マイクロ波(microwave)を照射するマイクロ波照射部500を含む。
【0041】
ベースフレーム200は上部が開口されたチェンバ600の底面に昇降可能に設けられ、製作しようとする3次元形状の製品Pは押出ヘッド400から吐出されるプリント原料がベースフレーム200上に連続積層されることによって製作される。
【0042】
ベースフレーム200の上部には前後左右方向に移動可能な移動部300が設けられる。例えば、
図1に示すように左右方向にリードスクリューまたはLMガイド形態のガイド部310が長く設けられ得る。この際、移動部300はモータまたはシリンダの駆動力によってガイド部310に沿って左右方向に移動でき、ガイド部310自体が前後方向に移動する場合、移動部300はガイド部310と共に前後方向に移動する。
【0043】
すなわち、ベースフレーム200はチェンバ600内にZ軸方向(図面の上下方向)に移動可能に設けられ、移動部300はベースフレーム200の上部にX軸方向(図面の左右方向)とY軸方向(図面の前後方向)に移動可能に設けられる。
【0044】
これは、ベースフレーム200に対して後述する押出ヘッド400がXYZ3軸方向に相対移動可能に構成するためであり、このための多様な変形例を適用できる。例えば、ベースフレーム200がXY2軸方向に移動可能に設けられ、移動部300がZ軸方向に移動可能に設けられることもでき、ベースフレーム200は固定した状態で移動部300がベースフレーム200に対してXYZ3軸方向に相対移動可能に設けられるか、押出ヘッド400が固定された状態で押出ヘッド400に対してベースフレーム200がXYZ3軸方向に相対移動可能に設けられることも可能である。
【0045】
移動部300の一側、好ましくは移動部300の下側にプリント原料をベースフレーム200の表面方向に吐出する押出ヘッド400が備えられる。
【0046】
この際、プリント原料はチェンバ600の一側に設けられる原料供給部700から供給ライン710を介して押出ヘッド400に供給され、セメントと水を含むセメント混合物、またはセメントと水及び砂や砂利または砂利粉末などの骨材を含むコンクリート混合物がプリント原料として供給され得る。
【0047】
押出ヘッド400を介してベースフレーム200表面に吐出されたセメント混合物またはコンクリート混合物を硬化させるため、マイクロ波照射部500を介してマイクロ波が照射される。マイクロ波はセメント混合物またはコンクリート混合物に含まれている水分を蒸発させてベースフレーム200の表面に積層されたプリント原料を急速凝固させる役割を果たし、通常1mm〜1mの波長、300GHz〜300MHzの振動数を有する電磁波である。
【0048】
コンクリート混合物は熱伝導度が非常に低いため、コンクリート混合物層を薄く形成するとしても、一般的な熱伝導及び熱輻射などを利用した外部加熱方式によっては表面部のみが加熱されるだけであり、短時間内に中心部まで乾燥させにくい。
【0049】
これに対し、マイクロ波を照射する場合、コンクリート混合物に含まれている水分子が極性を帯びている点を利用して短時間内にコンクリート混合物層を乾燥させ得る。マイクロ波を照射してコンクリート混合物に電場をかけると、水分子で正電荷を帯びた部分は陰極に向かい、負電荷を帯びた部分は陽極に向かって整列するが、このとき、電場の方向が変わると前に整列していた水分子が電場の方向に沿って回転して再整列する。このように水分子が再整列する過程で分子間の衝突によって運動エネルギが周囲の水分子に伝達され、これによってコンクリート混合物に含まれていた水分が速い速度で加熱される。
【0050】
すなわち、マイクロ波の照射によってコンクリート混合物層の内部と外部が同時に速く加熱するため、一般的な外部加熱方式より速くかつ安定的にコンクリート混合物の水分を蒸発させることができる。
【0051】
マイクロ波照射部500は押出ヘッド400の一側に備えられ、移動部300の移動時に押出ヘッド400と共に移動する。好ましくは、押出ヘッド400の移動経路に沿って押出ヘッド400を介して吐出され、ベースフレーム上に積層されたセメント混合物またはコンクリート混合物層にマイクロ波を照射して急速に凝固させる。
【0052】
図2は、本発明の一実施例による押出ヘッドの構成図である。
【0053】
マイクロ波照射部500は押出ヘッド400の外周縁に押出ヘッド400の移動方向に沿って複数備えられることが好ましい。すなわち、移動部300によって押出ヘッド400がXY2軸方向に移動可能な場合、
図2に示すように押出ヘッド400を中心にXY2軸方向すなわち、押出ヘッド400の前後左右方向にそれぞれマイクロ波照射部500が備えられる。これは、押出ヘッド400を介してベースフレーム200上に吐出されるセメント混合物またはコンクリート混合物層の生成経路に沿ってマイクロ波を照射して直ちに凝固させるためである。
【0054】
一方、
図2に示す例では押出ヘッド400とマイクロ波照射部500の出口側の断面が四角形からなる例を示しているが、本発明はこれに限定されない。押出ヘッド400とマイクロ波照射部500の出口側の断面は必要に応じて円形または三角形や五角形など多角形の断面形状に形成され得る。
【0055】
また、
図2に示すように押出ヘッド400の外周面に密着してマイクロ波照射部500を備えることもでき、他の例として押出ヘッド400の外周面から所定の間隔で離隔してマイクロ波照射部500を備えることもできる。
【0056】
再び
図1を参照すると、チェンバ600の一側に制御部800が備えられる。一例として、制御部800はチェンバ600の一側にコントロールパネル形態で設けられ得る。
【0057】
このとき、制御部800は押出ヘッド400に供給される原料供給量、押出ヘッド400から吐出される原料吐出量、ベースフレーム200及び移動部300の作動、またマイクロ波の照射量など3Dプリンティング装置100の作動の全般を制御する役割を果たす。
【0058】
本発明の第1実施例による3Dプリンティング装置100の作動は次の通りに行われる。
【0059】
先ず、製作しようとする製品の3次元形状をコンピュータモデリングし、数多くの薄い層に分けられた2Dデータに基づいてセメント混合物またはコンクリート混合物などからなるプリント原料を一層ずつプリンティングして積み上げるが、このために先に移動部300が移動してベースフレーム200上の積層開始地点に押出ヘッド400を位置させる。
【0060】
その後、原料供給部700から押出ヘッド400にセメント混合物またはコンクリート混合物などのプリント原料が供給され、押出ヘッド400を介してベースフレーム200の表面方向にプリント原料が吐出される。
【0061】
移動部300は各層の2Dデータに基づいて移動し、移動部300と共に移動する押出ヘッド400の軌跡に沿ってベースフレーム200上にセメント混合物またはコンクリート混合物からなる2D形状のプリント層が形成される。この際、押出ヘッド400の外周縁に備えられるマイクロ波照射部500からマイクロ波が照射され、プリント層内の水分が蒸発してプリント層が硬化する。
【0062】
マイクロ波照射部500は押出ヘッド400の移動経路を追従しながらマイクロ波を照射することが好ましく、例えば押出ヘッド400が+X軸方向に移動する場合、押出ヘッド400に対して−X軸方向に設けられたマイクロ波照射部500によってマイクロ波が照射されることが好ましい。
【0063】
この際、制御部800はプリント層を急速に硬化するために押出ヘッド400の移動速度、マイクロ波照射部500とプリント層との間の間隔、プリント原料に含まれた水分量などの作業条件に応じてマイクロ波の波長や振動数、照射量を制御することが好ましい。
【0064】
押出ヘッド400から吐出されてベースフレーム200上に形成されたプリント層はマイクロ波照射部500から照射されるマイクロ波によって硬化し、硬化されたプリント層上に再びその上の層の2Dデータに基づいたプリント層の形成を繰り返し行い所望する3次元形状を製作する。
【0065】
この際、ベースフレーム200上に形成されるプリント層の積層高さの分だけベースフレーム200が下降するようにし、押出ヘッド400及びマイクロ波照射部500とプリント層との間の間隔を一定に維持することが好ましい。もちろん、移動部300がZ軸に移動可能に設けられた場合はベースフレーム200が固定された状態で移動部300が上昇しながらプリント層を積層することもでき、必要に応じてベースフレーム200と移動部300のZ軸方向移動なしでプリンティング作業を行うこともできる。
【0066】
一方、前述したような3Dプリンティング作業が完了すると、押出ヘッド400の内部にセメント混合物またはコンクリート混合物などのプリント原料が残留し、残留したプリント原料によって押出ヘッド400の出口が詰まらないように分解した後、洗浄することが好ましい。
【0067】
図3は、本発明の一実施例による洗浄装置の構成図である。
【0068】
本発明による一実施例によれば、
図3に示すように押出ヘッド400の一側に洗浄装置900が設けられる。この洗浄装置900はチェンバ600の一側に設けられる洗浄水貯蔵槽910と、押出ヘッド400の内周面に設けられる噴射ノズル920と、洗浄水を噴射ノズル920に供給する供給ポンプ930を含む。この際、洗浄装置900は洗浄水貯蔵槽910の一側に設けられる化学薬品貯蔵槽940をさらに含み構成され得る。化学薬品貯蔵槽940にはプリント原料を溶解させるための化学薬品が貯蔵され、化学薬品貯蔵槽940の化学薬品は洗浄水貯蔵槽910に投入され、洗浄水と混合された後噴射ノズル920に供給され得る。本発明による一実施例によれば、3Dプリンティング作業が完了した後、噴射ノズル920を介して押出ヘッド400の内部に高圧の洗浄水を噴射することによって残留プリント原料を除去でき、この際、必要に応じてプリント原料を溶解させるための化学薬品を洗浄水に混合する。
【0069】
〔第2実施例〕
図4は、本発明の第2実施例による3Dプリンティング装置の構成図である。
【0070】
本発明の第2実施例による3Dプリンティング装置100’は、
図1を参照して前述した第1実施例の3Dプリンティング装置100とその構成がほぼ同様であるが、照射部500’がチェンバ600の内壁に設けられる点が違う。
【0071】
したがって、前述した第1実施例の構成と同じ機能を有する同じ構成に対しては同じ図面符号を付与して重複する説明は省略する。また第1実施例との差異点を中心に本発明の第2実施例による3Dプリンティング装置100’について説明する。
【0072】
本発明の第2実施例によれば、ベースフレーム200の表面方向にマイクロ波を照射する照射部500’がチェンバ600の内壁に沿って少なくとも一つ以上設けられる。
【0073】
この際、照射部500’は移動部300の移動方向と対応するように設けられることが好ましい。例えば、六面体形状のチェンバ600は互いに対向する4個の内壁を有し、それぞれの内壁に対向して設けられた照射部500’はそれぞれ+X軸、または−X軸、または+Y軸、または−Y軸方向にマイクロ波を照射できる。
【0074】
好ましくはそれぞれの内壁に幅方向に沿って複数の照射部500’が互いに所定の間隔で離隔して設けられる。
【0075】
一例として、
図4に示すようにマイクロ波の照射範囲を広くする場合、押出ヘッド400の移動方向変更に関係なくマイクロ波がベースフレーム200の表面側に継続して照射されることによってプリント層の硬化が持続的に行われる長所がある。
【0076】
一方、マイクロ波の照射範囲を狭くする場合、プリント層の形成軌跡を追従してマイクロ波が照射されるように、チェンバ600の内壁に上下回転可能に照射部500’を設けることもできる。この場合、プリント層の形成軌跡の選択区間に沿って照射部500’が上下回転しながらマイクロ波を照射する。
【0077】
さらに、一つのプリント層が形成される間、照射部500’の上下回転によって選択区間に対して繰り返してマイクロ波を照射する場合、次のプリント層の積層作業が行われる前に該当プリント層が確実に硬化する長所がある。
【0078】
図5は、本発明の一実施例による3Dプリンティング方法の順序図である。
図6は、本発明による一実施例により製造された防波堤の単位ユニットの使用状態を示す図である。以下
図5と
図6を参照して前述した3Dプリンティング装置(100、100’)による3次元形状の製品、特に防波堤の単位ユニットの製作方法について段階別に説明する。
【0079】
(プリント層の形成段階(S10))
ベースフレーム200上にプリント原料を吐出してプリント層を形成する。
【0080】
この際、プリント原料はセメント混合物またはコンクリート混合物からなり、原料供給部700から押出ヘッド400に供給された後、押出ヘッド400を介してベースフレーム200の表面側に吐出される。
【0081】
押出ヘッド400はベースフレーム200の上部に設けられた移動部300と共にXY軸方向に移動し、制御部800により予め設定された2D経路に沿って移動しながらベースフレーム200上にプリント層を形成する。
【0082】
(プリント層の硬化段階(S20))
ベースフレーム200上に形成されたプリント層にマイクロ波を照射して硬化させる。
【0083】
この際、マイクロ波照射部500は押出ヘッド400の移動軌跡に沿ってマイクロ波を照射してプリント層を硬化させ得る。一例として、マイクロ波を照射するマイクロ波照射部500が押出ヘッド400の外周縁に設けられて押出ヘッド400と共に移動するように構成され得る。
【0084】
一方、押出ヘッド400の移動方向に関係なく、照射部500’によりプリント層の一定範囲に持続的にマイクロ波が照射されるか、またはプリント層の一定区間にマイクロ波が繰り返して照射されることも可能である。
【0085】
プリント層を硬化するとき、セメント混合物またはコンクリート混合物内に含まれた水分がマイクロ波によって瞬間的に蒸発して急速に硬化が行われ、このときのマイクロ波の照射量は制御部800により制御される。制御部800は押出ヘッド400の移動速度、照射部(500、500’)とプリント層の間の間隔、プリント原料に含まれた水分量などの条件によってマイクロ波の照射量を決定し、照射部(500、500’)の作動を制御してプリント層が急速に凝固するようにする。
【0086】
(プリント層の形成及び硬化の繰り返し段階(S30))
製作しようとする製品Pの3次元形状が形成されるときまで、前述したプリント層の形成段階(S10)とプリント層の硬化段階(S20)を繰り返す。
【0087】
この際、一層ずつ積層されるそれぞれのプリント層は、製品の3次元形状モデリングに基づいて得られたそれぞれの2D層のデータに基づいて形成される。
【0088】
図6は、本発明による一実施例により製造された防波堤の単位ユニット2の使用状態を示す図であり、複数の防波堤の単位ユニット2が水平及び垂直方向に配列されて防波堤構造物1を形成する例を図示している。
【0089】
図6に示す防波堤の単位ユニット2の場合、上板3と下板4及び支持部5を含み、上板3と下板4には複数のホール6が貫通して形成される。
【0090】
このような防波堤の単位ユニット2を3Dプリンティングで製造する方法は次の通りである。先ず、防波堤の単位ユニット2の3次元形状をモデリングした後、高さ方向に沿って複数の層(layer)にスライス(slicing)して2Dデータを得る。
【0091】
その後、3Dプリンティング装置(100、100’)を使用してそれぞれの2Dデータに基づき一層ずつプリントしながら防波堤の単位ユニット2の形状に積層させる。
【0092】
この際、上板3と下板4及び支持部5を3Dプリンティング装置(100、100’)によってそれぞれ別に製造した後、現場で組み立てることもでき、上板3と支持部5、または下板4と支持部5を一体で製造することもできる。
【0093】
プリント材料としてはコンクリート材料を使用することが好ましく、プリント層の急速乾燥及び硬化のためにプリント層にマイクロ波を照射する。
【0094】
一方、
図6に示す防波堤の単位ユニット2は本発明による一実施例であり、セメントまたはコンクリート素材を使用した3Dプリンティング方法によって多様な形態の防波堤の単位ユニットを製造できることはもちろんである。
【0095】
(後処理の段階(S40))
プリント層の形成及び硬化を繰り返して所望する3次元形状に製作された製品Pは、マイクロ波の照射または加熱や乾燥などの追加的な硬化過程を経たり、表面処理またはペインティング過程を経て最終製品に完成される。
【0096】
一方、作業が完了した3Dプリンティング装置(100、100’)に対しては残留プリント原料の凝固によって押出ヘッド400の出口が詰まらないように押出ヘッド400の内部を洗浄して残留プリント原料を除去することが好ましい。
【0097】
〔第3実施例〕
図7は、本発明の第3実施例による3Dプリンティング装置の構成図である。
【0098】
図7に示すように、本発明の第3実施例による3Dプリンティング装置1000は作業場の床面に設けられるベースフレーム2000とベースフレーム2000の上部に前後左右の方向に移動可能に設けられる移動部3000と移動部3000の一側に設けられてプリント原料を吐出する押出ヘッド4000と移動部3000の他側に設けられて粉末金属を噴射する噴射ノズル5000を含む。
【0099】
本発明の第3実施例によれば、ベースフレーム2000の上部で移動部3000が作業領域内の一定経路に沿って移動する間、押出ヘッド4000を介してコンクリート混合物が吐出され、噴射ノズル5000を介して粉末金属が噴射される。この際、吐出されたコンクリート混合物はマイクロ波によって急速に凝固され、噴射された粉末金属はレーザを照射することによって焼結硬化して一つの層を成す。このような層が連続して積層されることによってコンクリートと金属の複合鉄骨コンクリート構造物10が所望する3次元形状に製作される。
【0100】
図8は、本発明の第3実施例によるベースフレームと移動部の概略斜視図である。ベースフレーム2000は移動部3000を支持する役割を果たす一方、3Dプリンティングが行われる作業領域を設定する役割を果たす。
【0101】
一例として、ベースフレーム2000は
図8に示すように、四角形状の作業場の床面に互いに離隔して垂直するように立てられる4個の垂直フレーム2100を含み得る。この際、それぞれの垂直フレーム2100は四角形状の作業場のコーナーの部分にそれぞれ垂直に立てられる。
【0102】
垂直フレーム2100で区切られた空間の内部に昇降フレーム2200が設けられ、この昇降フレーム2200はモータ(図示せず)の駆動またはシリンダ(図示せず)の作動によって垂直フレーム2100の高さ方向に沿って昇降可能である。例えば、昇降フレーム2200は4個の単位フレームが四角形状に結合してなり、互いに隣接する一対の垂直フレーム2100の間にそれぞれの単位フレーム2210が昇降可能に設けられ、垂直フレーム2100に備えられるスライドレール(図示せず)に沿って昇降できる。
【0103】
左右方向に互いに離隔して対向する一対の単位フレーム2210を横切るように移動フレーム2300が設けられる。この際、移動フレーム2300の両端は左右側の単位フレーム2210にスライド移動可能に結合され、移動フレーム2300はモータの駆動またはシリンダの作動によって左右側の単位フレーム2210の長さ方向に沿って前後方向に移動可能である。
【0104】
移動フレーム2300の一側にはブロック形状の移動部3000がモータ(図示せず)の駆動またはシリンダ(図示せず)の作動によって移動フレーム2300の長さ方向に沿ってスライド移動が可能に設けられる。
【0105】
したがって、移動部3000はベースフレーム2000の内部の作業領域で3軸(x、y、z)方向に移動可能である。例えば、本実施例で移動部3000のz軸方向(図面の高さ方向)の移動は昇降フレーム2200が垂直フレーム2100の高さ方向に沿って移動することによってなされる。また、移動部3000のY軸方向(図面の前後方向)の移動は移動フレーム2300が左右側単位フレーム2210の長さ方向に沿って移動することによってなされる。さらに、移動部3000のx軸方向(図面上左右方向)の移動は移動部3000が移動フレーム2300の長さ方向に沿って移動することによってなされる。もちろん、昇降フレーム2200と移動フレーム2300及び移動部3000のうち少なくとも一対が同時に移動することによって移動部3000が対角線方向に移動することも可能である。
【0106】
図9は、本発明の他の実施例によるベースフレームと移動部の概略斜視図である。
本発明の他の実施例として、作業場の床面に一対のレール2400が互い離隔して左右方向に長く設けられ、それぞれのレール2400の上に垂直フレーム2100がレール2400に沿って移動可能に設けられ得る。この際、垂直フレーム2100を横切って移動フレーム2300が昇降可能に設けられ、移動部3000は移動フレーム2300の一側に前後方向に移動可能に設けられる。この場合、移動部3000のx軸方向の移動は垂直フレーム2100がレール2400に沿って移動することによってなされ、y軸方向の移動は移動部3000が移動フレーム2300の長さ方向に沿って移動することによってなされ、z軸方向の移動は移動フレーム2300が垂直フレーム2100の高さ方向に沿って移動することによってなされる。この際、それぞれの移動はモータ(図示せず)の駆動またはシリンダ(図示せず)の作動を制御することによってなされることはもちろんである。
【0107】
前述した本発明の他の実施例のように作業場の床面にレール2400を設ける場合、施工しようとする構造物の長さに応じてレール2400の長さを可変させることによって長さが長い構造物を連続施工できるという長所がある。また、ベースフレーム2000の分解及び再設置の作業を必要としないため、費用と時間を節減できる。
【0108】
再び
図7を参照すると、移動部3000の底面に押出ヘッド4000と噴射ノズル5000が下方向に向かって備えられる。
【0109】
押出ヘッド4000を介してコンクリート混合物または合成樹脂が吐出され、噴射ノズル5000を介しては粉末金属が噴射される。このため、ベースフレーム2000の一側にはコンクリート混合物と合成樹脂及び粉末金属を移動部3000に供給するための原料供給部6000が設けられる。この際、原料供給部は押出ヘッド4000にコンクリート混合物を供給する第1原料供給部と、噴射ノズルに粉末金属を供給する第2原料供給部と、押出ヘッド4000に合成樹脂を供給する第3原料供給部を含んでなる。
【0110】
原料供給部6000はそれぞれのプリント原料が貯蔵される貯蔵槽6100と、貯蔵槽6100と移動部3000が連通するように連結する供給管6200と、供給管6200を開閉するバルブ6300と、供給管6200の一側に設けられて貯蔵槽6100の原料を移動部3000に供給する供給ポンプ6400を含んで構成される。
【0111】
この際、貯蔵槽6100はコンクリート混合物を貯蔵する第1貯蔵槽6110と、粉末金属を貯蔵する第2貯蔵槽6120、および合成樹脂を貯蔵する第3貯蔵槽6130を含んで構成されることが好ましく、それぞれのプリント原料が互いに混ざらないように互いに異なる供給管6200を介して移動部3000に供給されることが好ましい。
【0112】
例えば、コンクリート混合物は第1供給ポンプ6410の作動によって第1供給管6210に介して移動部3000に供給され、押出ヘッド4000を介して作業領域に吐出される。粉末金属は第2供給ポンプ6420の作動によって第2供給管6220を介して移動部3000に供給され、噴射ノズル5000を介して作業領域に噴射される。合成樹脂は第3供給ポンプ6430の作動によって第3供給管6230を介して移動部3000に供給され、押出ヘッド4000を介して作業領域に吐出される。
【0113】
図10は、本発明の第3実施例による押出ヘッドと噴射ノズルの斜視図である。
【0114】
図10に示すように、本発明の第3実施例による押出ヘッド4000の底面にはコンクリート混合物が吐出される吐出口4100と、吐出口4100の一側に備えられ、マイクロ波を照射するマイクロ波照射部4200が備えられる。
【0115】
ここでコンクリート混合物はセメントと水及び砂や砂利または砂利粉末などの骨材が混合してなる。マイクロ波照射部4200は作業領域に吐出されたコンクリート混合物を硬化させるためにマイクロ波を照射する。前述した実施例で説明した通り、マイクロ波はコンクリート混合物に含まれている水分を蒸発させて吐出及び積層されるコンクリート混合物を急速に凝固させる役割を果たす。
【0116】
この際、押出ヘッド4000は移動部3000に対して軸回転可能に設けられることが好ましいが、これは移動部3000が移動するときにマイクロ波照射部4200が吐出口4100の移動軌跡に沿ってコンクリート混合物を急速に凝固させるためである。他の例として、吐出口4100が押出ヘッド4000の底面中央部に形成され、吐出口4100の移動方向(例えば、前後左右方向)にそれぞれマイクロ波照射部4200が備えられ得る。
【0117】
一方、吐出口4100に残留するコンクリート混合物は時間の経過につれ自然に凝固し、これによって吐出口4100が詰まる問題が発生し得る。したがって、コンクリート層形成を完了した後は吐出口4100に残留するコンクリート混合物を除去する必要がある。このような洗浄装置の詳細な構成については
図3を参照して前述した。
【0118】
一方、前述した実施例では押出ヘッド4000を介してプリント原料としてコンクリート混合物が吐出される例を説明したが、本発明の他の例として、押出ヘッド4000を介してコンクリート混合物と合成樹脂が交互に吐出され得る。この際、プリント原料の入れ替えがある度に洗浄装置によって吐出口4100を洗浄することが好ましい。
【0119】
再び
図10を参照すると、本発明の第3実施例による噴射ノズル5000は移動部3000の底面に下方向に向かうように備えられ、噴射ノズル5000を介して粉末金属が噴射される。
【0120】
この際、噴射された粉末金属はレーザの照射によって焼結硬化するが、粉末金属の噴射とレーザの照射による焼結がほぼ同時に行われるように、噴射ノズル5000の内部にレーザ照射部5200を備えることが好ましい。これについて
図11を参照して説明する。
【0121】
図11は、本発明の第3実施例による噴射ノズルの内部構成図である。
【0122】
図11に示すように、噴射ノズル5000は概ね円筒形の本体でなり、下段部は外周面が内側下向に傾斜して形成され、中央部には噴射口5100が形成される。
【0123】
噴射ノズル5000の内部には噴射口5100と垂直するようにレーザ照射部5200が形成され、レーザ照射部5200と噴射口5100はレーザの照射方向をガイドする円筒形のガイド管5300によって連結される。そして、ガイド管5300の外周面の周囲に沿って流動管5400が形成されるが、第2貯蔵槽6120から移動部3000に供給された粉末金属はこの流動管5400を介して噴射ノズル5000の噴射口5100にガイドされる。粉末金属の噴射は不活性ガスの流れによって行われることが好ましい。
【0124】
流動管5400の下段部は所定角度の内側下向に傾斜することが好ましく、これは粉末金属が正確な位置に噴射され、レーザ焼結されるようにするためである。仮に、流動管5400の下段部の傾斜角(α)が大きすぎると、粉末金属が鉄骨層の上に落下する途中にレーザ焼結され得、傾斜角が小さすぎると、レーザの照射領域を外れた地点に粉末金属が積層される問題がある。したがって、流動管5400の下段部の傾斜角は噴射ノズル5000の規格と、鉄骨層(20、
図13を参照)と噴射ノズル5000の間の間隔を考慮して適切に選択する必要がある。
【0125】
再び
図7を参照すると、原料供給部6000の一側、またはベースフレーム2000の一側にコントロールパネル形態の制御部7000が備えられる。制御部7000は押出ヘッド4000及び噴射ノズル5000に供給される原料供給量、押出ヘッド4000及び噴射ノズル5000から吐出される原料吐出量と吐出速度、移動部3000の移動、マイクロ波とレーザの照射量、洗浄装置の制御など3Dプリンティング装置1000の作動の全般を制御する役割を果たす。
【0126】
図12は、本発明の第3実施例による鉄骨コンクリート構造物の施工方法の順序図である。
図13は、本発明の第3実施例による鉄骨コンクリート構造物の施工順序を示す工程図である。
【0127】
以下、
図12と
図13を参照して本発明の第3実施例による鉄骨コンクリート構造物の施工方法について段階別に詳細に説明する。
【0128】
(鉄骨層の形成および硬化の段階(S100))
先に、粉末金属を噴射して鉄骨層20を形成する。この際、粉末金属は必要な硬度と素材費用などを考慮して適切に選択し得、例えばスチール種類またはアルミニウムやチタニウムなどの合金素材からなる。
【0129】
粉末金属は第2貯蔵槽6120から第2供給管6220を介して移動部3000の噴射ノズル5000に供給され、流動管5400と噴射口5100を経て噴射される。噴射された粉末金属はレーザ照射部5200から照射されるレーザによって焼結硬化する。
【0130】
この際、噴射ノズル5000は移動部3000の移動によって移動し、制御部7000により予め設定された経路に沿って移動しながら鉄骨層20を形成させる。
【0131】
制御部7000は噴射ノズル5000の移動速度、レーザ照射部5200と鉄骨層20との間の間隔、素材特性などの条件に応じてレーザの照射量を決定し、レーザ照射部5200の作動を制御して鉄骨層20を形成する。
【0132】
(コンクリート層の形成段階(S200))
コンクリート混合物を吐出してコンクリート層30を形成する。第1貯蔵槽6110から第1供給管6210を介して移動部3000に供給されたコンクリート混合物は押出ヘッド4000を介して吐出される。
【0133】
押出ヘッド4000は移動部3000の移動によって移動し、制御部7000によって予め設定された経路に沿って移動しながらコンクリート層30を形成させる。
【0134】
(コンクリート層の硬化段階(S300))
コンクリート層30にマイクロ波を照射して硬化させる。マイクロ波照射部4200はコンクリート混合物が吐出される押出ヘッド4000の吐出口4100の一側に備えられ、移動部3000の移動時の吐出口4100の移動軌跡に沿ってコンクリート層30を硬化させる。
【0135】
コンクリート層30はコンクリート混合物内に含まれた水分がマイクロ波によって瞬間的に蒸発され、急速に硬化が行われ、このときのマイクロ波の照射量は制御部7000により制御される。制御部7000は押出ヘッド4000の移動速度、マイクロ波照射部4200とコンクリート層30との間の間隔、コンクリート混合物に含まれた水分量などの条件に応じてマイクロ波の照射量を決定し、マイクロ波照射部4200の作動を制御してコンクリート層30を急速に凝固するようにする。
【0136】
一方、必要に応じて鉄骨層20とコンクリート層30が十分に接合する時間を与えるため、鉄骨層20と隣接する部分のコンクリート層30の硬化速度を適切に調整できる。例えば、鉄骨層20とコンクリート層30の境界部分はコンクリート層の硬化段階(S300)の最後の経路で硬化され得る。
【0137】
(繰り返しの段階(S400))
施工しようとする構造物の3次元形状が形成されるときまで、前述した段階(S100〜S300)を繰り返し行う。
【0138】
この際、一層ずつ積層される鉄骨層20とコンクリート層30は、構造物の3次元形状モデリングに基づいて得られたそれぞれの2D層のデータに基づいて形成される。例えば、先ず構造物の3次元形状をモデリングした後、高さ方向に沿って複数の層(layer)にスライスして2Dデータを得る。その後、3Dプリンティング装置1000を利用してそれぞれの2Dデータに基づき一層ずつプリントしながら構造物の最終形状に積層させる。
【0139】
作業が完了した3Dプリンティング装置1000に対しては、残留プリント原料の凝固によって押出ヘッド4000の出口が詰まらないように押出ヘッド4000内部を洗浄して残留プリントの原料を除去することが好ましい。
【0140】
図14は、本発明の第3実施例により製造される鉄骨コンクリート構造物の例を示す概略図である。本発明による3Dプリンティング装置によれば、
図14(a)の鉄骨コンクリートビーム11や
図14(b)の鉄筋コンクリート柱12のように、鉄骨層20とコンクリート層30の複合鉄骨コンクリート構造物10を形成できる。もちろん、
図14に示す構造物の形態は本発明の実施例により製造される一例であり、この他に多様な形態の鉄骨コンクリート構造物10を施工できる。
【0141】
図15は、本発明の他の実施例による鉄骨コンクリート構造物の施工順序を示す工程図である。
【0142】
図12と
図13を参照して前述した実施例では、先に鉄骨層20を形成した後、コンクリート層30を形成する例を説明した。この際、移動部3000は先に鉄骨層20の形成領域内に予め設定された経路に沿って移動しながら鉄骨層20を形成し、鉄骨層20形成を完了した後、コンクリート層30の形成領域に移動してコンクリート層30を形成する。
【0143】
図15はこれとは異なり、先にコンクリート層30を形成した後、鉄骨層20を形成する施工方法を示している。この際、移動部3000は先にコンクリート層30の形成領域内に予め設定した経路に沿って移動しながらコンクリート層30を形成し、その後、鉄骨層20の形成領域に移動して鉄骨層20を形成する。ここでコンクリート層30と鉄骨層20を接合するため、コンクリート層30が養生によって完全に固まる前に鉄骨層20を形成されなければならないのはもちろんである。
【0144】
図面に示していないが、前述したように鉄骨層20とコンクリート層30をそれぞれ順次に別途形成するのではなく、移動経路に沿って移動部3000が1回移動するとき鉄骨層20とコンクリート層30が共に形成されるようにすることも可能である。
【0145】
例えば、
図14(a)に示す構造物の場合、移動部が左側から右側方向に“A”経路に沿って1回移動する間、鉄骨層20の左側コンクリート層30の形成−鉄骨層20の形成−鉄骨層20の右側コンクリート層30の形成が順次に行われる。
【0146】
図16は、本発明のまた他の実施例による鉄骨コンクリート構造物の施工順序を示す工程図である。コンクリート層30はコンクリート混合物の噴射及びマイクロ波の照射による急速硬化によって形成される。この際、コンクリート混合物は水分によって若干の流動性を有するため、コンクリート層30が先に形成され、次いで隣接する鉄骨層20が形成される場合、硬化前の流動によってコンクリート混合物が鉄骨層20の形成領域に流動し、鉄骨層20の形成領域が縮小されたり鉄骨層20の内部硬度が低下され得る。
図16は前述したような問題を防止するため、コンクリート層30と鉄骨層20の境界領域に合成樹脂からなる鉄骨外郭境界層40を先に形成する例を示している。
【0147】
合成樹脂は光硬化性合成樹脂類のうちから選択され得、第3貯蔵槽6130から第3供給管6230を介して押出ヘッド4000に供給される。移動部3000は予め入力された鉄骨層20の外郭境界線に沿って移動し、押出ヘッド4000を介して吐出された合成樹脂は、後に続く噴射ノズル5000のレーザ照射部5200により硬化され鉄骨外郭境界層40を成す。この際、移動部3000が移動するときの押出ヘッド4000の移動軌跡を沿ってレーザ照射部5200が移動できるように押出ヘッド4000と噴射ノズル5000は移動部3000の底面に回転可能に結合された回転プレート(3100、
図10を参照)上に設けられることが好ましい。制御部7000は回転プレート3100の回転角度を制御することによって押出ヘッド4000の移動軌跡を沿って噴射ノズル5000が移動するようにする。
【0148】
鉄骨外郭境界層40の形成を完了すると、次いでコンクリート層30と鉄骨層20を形成する。この際、コンクリート層30と鉄骨層20が順次にまたは同時に形成され得ることについては前述した通りであり、コンクリート混合物の吐出前に押出ヘッド4000を洗浄して残留合成樹脂を除去することが好ましい。
【0149】
鉄骨層20を形成するときには鉄骨外郭境界層40を形成するときの光硬化性合成樹脂に照射されたレーザに比べて高出力のレーザが照射される。このとき、鉄骨層20とコンクリート層30の境界に形成された合成樹脂材の鉄骨外郭境界層40が溶融または燃焼などの方法で除去され、鉄骨層20とコンクリート層30が直接相互接合する。
【0150】
一方、コンクリート混合物の硬化前の流動によってコンクリート層30の外郭境界線の部分が粗く形成され得、これを防止するためにコンクリート層30の外郭境界線に沿って合成樹脂材からなるコンクリート外郭境界層50を形成し得る。この場合、完成された構造物の表面は合成樹脂によってコーティングされ、必要に応じて構造物の完成後の表面の合成樹脂を除去できる。合成樹脂が除去された構造物の表面の粗さは合成樹脂を使用しなかったときに比べてより滑らかに形成される長所がある。