(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030215
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】アプリケーションとネットワークを組み合わせて駆動されるマルチプロトコル経路選択システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/751 20130101AFI20161114BHJP
【FI】
H04L12/751
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-500749(P2015-500749)
(86)(22)【出願日】2013年1月7日
(65)【公表番号】特表2015-512573(P2015-512573A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】CN2013070175
(87)【国際公開番号】WO2014101316
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2014年9月18日
(31)【優先権主張番号】201210581549.5
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510268565
【氏名又は名称】中国科学院声学研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF ACOUSTICS, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(73)【特許権者】
【識別番号】514227690
【氏名又は名称】北京中科智網科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING INTELLIX TECHNOLOGY COMPANY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジンリン
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ジアリ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リンファン
【審査官】
大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−210105(JP,A)
【文献】
特開2006−287598(JP,A)
【文献】
特開2012−080398(JP,A)
【文献】
特開2006−180359(JP,A)
【文献】
特表2008−527941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/751
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク層に位置する経路選択決定モジュールおよび経路選択転送モジュールを備え、
前記経路選択決定モジュールはアプリケーションおよびネットワークの関連情報に基づいて、現在のルーティング段階で選択可能なルーティッドプロトコルタイプおよびネクストホップを決定し、
前記経路選択転送モジュールは異なるルーティッドプロトコルおよび相応のルーティング情報を含み、且つルーティング過程で最新の残りネットワーク資源およびリンク状態を周期的に計算し、現在の状態でのルーティング転送テーブルを更新するマルチプロトコル経路選択システムにおいて、
前記経路選択決定モジュールにおいて、アプリケーションの特徴性能目標情報が達成されるまで、前記ルーティッドプロトコルタイプおよび前記ネクストホップの選択が繰り返される
ことを特徴とするマルチプロトコル経路選択システム。
【請求項2】
前記アプリケーション関連情報は、アプリケーションの特徴および状態情報を含み、具体的には、内容情報、アプリケーション要求情報、アプリケーションのQoS関連情報、アプリケーション実行状態およびその他の関連する状態情報、若しくは前記情報の1つ又は複数の組合せを含み、前記ネットワーク関連情報は、ネットワークの特徴および状態情報を含み、具体的には、位置情報、リンク状態情報、若しくは前記情報の1つ又は複数の組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチプロトコル経路選択システム。
【請求項3】
前記経路選択決定モジュールは具体的には、
前記経路選択転送モジュールによって現在管理されるすべてのルーティッドプロトコルのルーティング関連情報を要求し、現在可能なすべての候補経路およびそれらの候補経路に対応するネットワーク状態と資源使用情報を得る機能と、
データメッセージ又は対話データに基づいてアプリケーションの特徴情報およびアプリケーションの前記特徴性能目標情報を抽出する機能と、
経路選択決定を行う機能と、
経路選択決定を達成した後、さらに決定結果に基づいて、現在のネットワーク環境における関連候補ルーティング経路のデータ転送後の新たな資源使用状況を推定する機能と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のマルチプロトコル経路選択システム。
【請求項4】
前記経路選択決定は、決定関数を計算することによって達成され、
前記決定関数は、アプリケーションの特徴性能目標を満たすように、最適なルーティッドプロトコルおよび経路を選択して複数の目標を最適化するものであり、前記決定関数の具体的な形態は、異なるアプリケーションおよびネットワークの特徴および要求によって定義されることを特徴とする請求項3に記載のマルチプロトコル経路選択システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のマルチプロトコル経路選択システムで達成されるマルチプロトコル経路選択方法であって、
ステップ1) 第1のルーターが、あるホストコンピュータ又はあるルーターから送信されるネットワーク層メッセージを受信した後、当該ホストコンピュータ又はルーターとの対話によってアプリケーション関連ルーティング情報を取得するステップと、
ステップ2) 第1のルーターにおける経路選択決定モジュールが、ステップ1)で取得された情報、経路選択転送モジュールから取得された候補経路、候補経路に対応するネットワーク状態および資源使用状況情報に基づいて、現在のアプリケーションの特徴性能目標を満たすことができる最適なルーティッドプロトコルと経路を選択し、経路選択決定モジュールはさらに決定結果に基づいて現在のネットワーク環境における選択された候補経路の新たな資源使用状況を推定するステップと、
ステップ3) 前記第1のルーターが、経路選択決定モジュールの決定情報に基づいて、対応するルーティッドプロトコルとネクストホップを選択して、メッセージを転送するとともに、ステップ2)で取得された決定情報と関連推定値を経路選択転送モジュールに伝送し、経路選択転送モジュールは転送過程の資源使用状況に基づいて、現在のルーティングテーブルとルールのうちの対応する資源状態を更新するステップと、
ステップ4) 第1のルーターから送信されるネットワーク層メッセージを受信した第2のルーターが、第2のルーターの経路選択決定モジュールによってメッセージを逆カプセル化し、対話データから特徴性能目標抽出を含む情報を抽出して処理を行い、前のホップの転送後の性能要求を更新して、特徴性能目標が達成されると、ルーティング過程が完了し、さもなければ、ステップ2)を改めて実行するステップと、
を含む、マルチプロトコル経路選択方法。
【請求項6】
前記ステップ2)は、
ステップ2−1) 前記経路選択決定モジュールが、経路選択転送モジュールによって現在管理されるすべてのルーティッドプロトコルのルーティング関連情報を要求し、前記経路選択転送モジュールはそれに対応して各ルーティング可能な経路によって管理される可能なネクストホップの資源状況、ネットワーク状態情報、およびルーティングテーブルを含む情報を前記経路選択決定モジュールに返すステップと、
ステップ2−2) 前記経路選択決定モジュールが、ステップ2−1)で取得されたデータとステップ1)で取得されたデータに基づいて最適な経路を決定し、アプリケーションの特徴性能目標を満たすように、最適なルーティッドプロトコルおよび経路を選択するステップと、
ステップ2−3) 前記経路選択決定モジュールが、決定結果に基づいて、現在のネットワーク環境における選択された候補経路の新たな資源使用状況を推定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項5に記載のマルチプロトコル経路選択方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータネットワーク技術に関し、特にアプリケーションとネットワークを組み合わせて駆動されるマルチプロトコル経路選択システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のInternetネットワークはIP技術を中核とし、大量のネットワークサービスはトランスポート層およびその上における各層により達成され、ネットワーク層およびデータリンク層はプロトコルが簡単で、計算が簡潔であり、ネットワークの拡張性を確保する。しかしながら、インターネットサービスの急速発展および3種ネットワーク(インターネット、従来の電気通信、放送)の融合の持続的な推進につれて、ビデオサービスをはじめとする新技術とサービスは絶えずに大量に出現している。それとともに、モノのインターネット技術の持続的な発展に伴い、一定の計算処理能力を持つ端末は大規模、広範囲の分布、高リアルタイム性などの特徴により「シー(海)」を形成し、従来のネットワークの負荷および処理に新たな課題をもたらす。それとともに、ビッグデータの集約および伝送要求が絶えずに高まるに従って、クラウドコンピューティングは主なサービスモードの1つとなっており、そのため、インターネットのハードウェアインフラおよび運転期間におけるネットワークプロトコルと制御システムに更なる要求を求める。
【0003】
従来、ネットワークシステムはサービスおよびアプリケーション要求に対して、主として下記の点で適応し難い;サービス資源の持続的な増加と限られたIP資源とが適応し難いこと、ネットワークアーキテクチャおよびプロトコルが大規模のデータ伝送を重点とするネットワーク伝送タスクを負荷し難いこと、データの多様性に起因するネットワークセキュリティ問題、および伝送過程における記憶および計算資源への要求が増加するにつれて、従来のネットワーク性能がサービス品質の要求を満たし難いことなど。従来、多くの最適化作業はアプリケーション層で行われるため、IPを中核とするネットワークシステム構造において、トラフィック規模も機能インターフェースも現在のネットワークサービスの要求を満たすことができず、ネットワーク性能の向上に限界があるとともに、識別子および位置をバインディングするルーティング方式は、シークラウドコンピューティングが絶えずに発展している現在、伝送および処理効率を厳しく制限しており、実質的な問題を解決することができない。それらの問題に対して、学界も産業界も検討を重ね、異なるアプリケーション特徴向けルーティッドプロトコルを提案するが、各ルーティッドプロトコルのほとんどはある特定アプリケーション向けのものであり、大量の異なる形態のルーティングプロトコル同士は協調し難く、一般性にひどく乏しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来のIPルーティング技術がリアルタイム要求を有するサービスの拡散の効率及び速度の要求を満たすことができない欠点を克服する、マルチプロトコル環境に適する経路選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明はマルチプロトコル経路選択システムを提供し、該マルチプロトコル経路選択システムはネットワーク層に位置する経路選択決定モジュールおよび経路選択転送モジュールを備え、前記経路選択決定モジュールはアプリケーションおよびネットワークの関連情報に基づいて、現在のルーティング段階で選択可能なルーティッドプロトコルタイプおよびネクストホップ経路を決定し、前記経路選択転送モジュールは異なるルーティッドプロトコルおよび相応のルーティング情報を含み、且つルーティング過程で最新の残りネットワーク資源およびリンク状態を周期的に計算し、現在の状態でのルーティング転送テーブルを更新する。
【0006】
前記技術案において、前記アプリケーション関連情報は、アプリケーションの特徴および状態情報を含み、具体的には、内容情報、アプリケーション要求情報、その他のアプリケーションのQoS関連情報、アプリケーション実行状態およびその他の関連する状態情報、若しくは前記情報の1つ又は複数の組合せを含み、前記ネットワーク関連情報は、ネットワークの特徴および状態情報を含み、具体的に、位置情報、リンク状態情報、関連ネットワークの情報、若しくは前記情報の1つ又は複数の組合せを含む。
【0007】
前記技術案において、前記経路選択決定モジュールは具体的には、前記経路選択転送モジュールによって現在管理されるすべてのルーティッドプロトコルのルーティング関連情報を要求し、現在可能なすべての候補経路およびそれらの候補経路に対応するネットワーク状態と資源使用情報を得る機能と、データメッセージ又は対話データに基づいてアプリケーションの特徴情報およびアプリケーションの特徴性能目標情報を抽出する機能と、経路選択決定を行う機能と、経路選択決定を達成した後、さらに決定結果に基づいて、現在のネットワーク環境における関連候補ルーティング経路のデータ転送後の新たな資源使用状況を推定する機能と、を備える。
【0008】
前記技術案において、前記経路選択決定は決定関数を計算することによって達成される。
【0009】
本発明は前記マルチプロトコル経路選択システムで達成されるマルチプロトコル経路選択方法をさらに提供し、
ステップ1) 第1のルーターが、あるホストコンピュータ又はあるルーターから送信されるネットワーク層メッセージを受信した後、当該ホストコンピュータ又はルーターとの対話によってアプリケーション関連ルーティング情報を取得するステップと、
ステップ2) 第1のルーターにおける経路選択決定モジュールが、ステップ1)で取得された情報、経路選択転送モジュールから取得される候補経路、候補経路に対応するネットワーク状態および資源使用状況情報に基づいて、現在のアプリケーションの特徴性能目標をできるだけ満たすことができる最適なルーティッドプロトコルと経路を選択し、経路選択決定モジュールはさらに決定結果に基づいて現在のネットワーク環境における選択された候補経路の新たな資源使用状況を推定するステップと、
ステップ3) 前記第1のルーターが、経路選択決定モジュールの決定情報に基づいて、対応するルーティッドプロトコルとネクストホップ経路を選択して、メッセージを転送するとともに、ステップ2)で取得された決定情報と関連推定値を経路選択転送モジュールに伝送し、経路選択転送モジュールは転送過程の資源使用状況に基づいて、現在のルーティングテーブルとルールのうちの対応する資源状態を更新するステップと、
ステップ4) 第1のルーターから送信されるネットワーク層メッセージを受信した第2のルーターが、第2のルーターの経路選択決定モジュールによってメッセージを逆カプセル化し、対話データから特徴性能目標抽出を含む情報を抽出して処理を行い、前のホップの転送後の性能要求を更新して、特徴性能目標が達成されると、ルーティング過程が完了し、さもなければ、ステップ2)を改めて実行するステップと、を含む。
【0010】
前記技術案において、前記ステップ2)は、
ステップ2−1) 前記経路選択決定モジュールが、経路選択転送モジュールによって現在管理されるM種のルーティッドプロトコルのルーティング関連情報を要求し、前記経路選択転送モジュールはそれに対応して各ルーティング可能な経路によって管理される可能なネクストホップ経路の資源状況、ネットワーク状態情報、およびルーティングテーブルを含む情報を前記経路選択決定モジュールに返すステップと、
ステップ2−2) 前記経路選択決定モジュールが、ステップ2−1)で取得されたデータとステップ1)で取得されたデータに基づいて最適な経路を決定し、アプリケーションの特徴性能目標を満たすように、最適なルーティッドプロトコルおよび経路を選択するステップと、
ステップ2−3) 前記経路選択決定モジュールが、決定結果に基づいて、現在のネットワーク環境における選択された候補経路の新たな資源使用状況を推定するステップと、を含む。
【0011】
本発明のメリットは、各種のアプリケーションの特徴および状態のみならず対応する異なるルーティッドプロトコルを有機的に組み合わせることができ、リアルタイムにプロトコルを選択し、動的にルーティングすることができ、さらに異なるプロトコルの拡張が容易であることによって、ネットワークサービスの持続的な発展および進化に適応できることにある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るマルチプロトコル経路選択システムの模式図
【
図2】本発明に係るマルチプロトコル経路選択方法のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1を参照すると、本発明に係るマルチプロトコル経路選択システムは経路選択決定モジュールおよび経路選択転送モジュールを備え、これらの両モジュールはいずれもOSI7階層ネットワークシステムにおけるネットワーク層に位置し、前記経路選択決定モジュールは、アプリケーションおよびネットワークの関連情報に基づいて、現在のルーティング段階で選択可能なルーティッドプロトコルタイプおよびネクストホップ経路を決定することに用いられ、前記経路選択転送モジュールは異なるルーティッドプロトコルおよび相応のルーティング情報を含み、且つルーティング過程で最新の残りネットワーク資源およびリンク状態を周期的に計算し、現在の状態でのルーティング転送テーブルを更新する。前記経路選択決定モジュールおよび経路選択転送モジュールはいずれもルーターの中に位置する。
【0015】
以下、システムにおけるモジュールをさらに詳細に説明する。
【0016】
経路選択決定モジュールは決定する際に、アプリケーションおよびネットワークの関連情報を根拠とする。アプリケーション関連情報は、アプリケーションの特徴および状態情報を含み、具体的には、内容情報、アプリケーション要求情報、その他のアプリケーションのQoS関連情報、アプリケーション実行状態およびその他の関連する状態情報、若しくは上記情報の1つ又は複数の組合せを含む。ネットワーク関連情報は、ネットワークの特徴および状態情報を含み、具体的には、位置情報、リンク状態情報、関連ネットワークの情報、若しくは上記情報の1つ又は複数の組合せを含む。これらのアプリケーションおよびネットワークの関連情報は、1)データメッセージに含まれる情報と、2)履歴情報によって学習される情報と、3)異なるルーティッドプロトコルに対応するルーティングテーブル、又は、関連するルーティングルール計算方法、により提供される情報と、から得られる。上記情報の抽出はいずれも経路選択決定モジュールによって達成される。
【0017】
経路選択決定モジュールは下記の複数の機能を備える。(1)経路選択転送モジュールによって、現在管理されるすべてのルーティッドプロトコルのルーティング関連情報を要求し、現在可能なすべての候補経路およびそれらの候補経路に対応するネットワーク状態と資源使用情報を得る。例えば、現在管理されるルーティッドプロトコルがM個であり、m個目のルーティッドプロトコルが{N
m}本の候補経路に対応すると仮定すると、すべての候補経路の集合はHN
q={N
1∪N∪…∪N
M}であり、HNI
qはすべての候補経路に対応するネットワーク状態と資源使用情報の集合である。(2)経路選択決定モジュールはデータメッセージ又は対話データに基づいてアプリケーションの特徴情報およびアプリケーションの特徴性能目標情報を抽出する。(3)経路選択決定モジュールはこの前に得た情報に基づいて経路選択決定を行う。前記経路選択決定は決定関数を計算することによって達成されることができる。例えば、決定関数は、式y=F(A
q,O
q,HN
q,HNI
q)(A
qはアプリケーション特徴ベクトル、O
qは特徴性能目標集合、HN
qはすべての候補経路の集合、HNI
qは候補経路に対応するネットワーク状態と資源使用状況の集合、yは決定により得られたネクストホップのルーティッドプロトコルおよび経路である。)により表され、決定関数F(A,O,HN,HNI)は、Aを入力とし、アプリケーションの特徴性能目標Oを満たす場合に最適なルーティッドプロトコルおよび経路を選択することを目標とする、多目標最適化問題である。決定関数の具体的な形態は異なるアプリケーションとネットワーク特徴および要求に応じて定義されることができる。また、一旦決定を出すと、経路選択決定モジュールはさらに決定結果に基づいて現在のネットワーク環境における関連候補ルーティング経路のデータ転送後の新たな資源使用状況を推定する。
【0018】
以下、
図2を参照しながら、本発明に係るマルチプロトコル経路選択システムで達成される方法を説明する。
【0019】
ステップ1)において、第1のルーターは、あるホストコンピュータ又はあるルーターから送信されるネットワーク層メッセージを受信した後、当該ホストコンピュータ又はルーターとの対話によってアプリケーション関連ルーティング情報を取得する。取得するルーティング情報は、アプリケーションおよびネットワークの特徴ベクトル集合A
q={a
q1,a
q2,…,a
qn}と、特徴性能目標集合O
q={O
q1,O
q2,O
q3,…}とを含み、アプリケーションおよびネットワークの特徴ベクトル集合はアプリケーションおよびネットワークの特徴、状態に基づいて抽出される特徴値を含み、特徴性能目標集合はアプリケーションおよびネットワークの特徴および状態に関連する1つ又は複数の情報の組み合わせである。例えば、ある特徴性能目標は「合計遅延が1秒」であり、当該特徴性能目標に対応するアプリケーションおよびネットワークの特徴ベクトルは「あるホップの遅延が0.05ミリ秒」であるなど。
【0020】
ステップ2)において、経路選択決定モジュールは、ステップ1)で取得された情報、経路選択転送モジュールから取得された候補経路、候補経路に対応するネットワーク状態および資源使用状況情報に基づいて、現在のアプリケーションの特徴性能目標をできるだけ満たすことができる最適なルーティッドプロトコルと経路を選択し、経路選択決定モジュールはさらに決定結果に基づいて現在のネットワーク環境における選択された候補経路の新たな資源使用状況を推定する。
【0021】
ステップ3)において、前記第1ルーターは、経路選択決定モジュールの決定情報に基づいて、対応するルーティッドプロトコルとネクストホップ経路を選択して、メッセージを転送するとともに、ステップ2)で取得された決定情報と関連推定値を経路選択転送モジュールに伝送し、経路選択転送モジュールは転送過程の資源使用状況に基づいて、現在のルーティングテーブルとルールのうちの対応する資源状態を更新する。
【0022】
ステップ4)において、第1のルーターから送信されるネットワーク層メッセージを受信した第2のルーターは、第2のルーターの経路選択決定モジュールによってメッセージを逆カプセル化し、対話データから特徴性能目標抽出を含む情報を抽出して処理を行い、前のホップの転送後の性能要求を更新して、特徴性能目標が達成されると、ルーティング過程が完了し、さもなければ、ステップ2)を改めて実行する。
【0023】
上記ステップにおいて、ステップ2)は具体的には下記のステップを含む。ステップ2−1)において、経路選択決定モジュールは、経路選択転送モジュールよって現在管理されるM種のルーティッドプロトコルのルーティング関連情報を要求し、経路選択転送モジュールはそれに対応して各ルーティング可能な経路によって管理される可能なネクストホップ経路の資源状況、ネットワーク状態情報、およびルーティングテーブルなどを含む情報を経路選択決定モジュールに返す。
【0024】
ステップ2−2)において、経路選択決定モジュールは、ステップ2−1)で取得されたデータとステップ1)で取得されたデータに基づいて最適な経路を決定する。前記決定は決定関数によって達成されることができ、例えば、決定関数は、y=F(A
q,O
q,HN
q,HNI
q)(A
qはアプリケーション特徴ベクトル、O
qは特徴性能目標集合、HN
qはすべての候補経路の集合、HNI
qは候補経路に対応するネットワーク状態と資源使用状況の集合、yは決定により得られたネクストホップのルーティッドプロトコルおよび経路である。)により表され、決定関数F(A,O,HN,HNI)は、Aを入力とし、アプリケーションの特徴性能目標Oを満たすように、最適なルーティッドプロトコルおよび経路を選択することを目標とする。
【0025】
ステップ2−3)において、経路選択決定モジュールは、決定結果に基づいて、現在のネットワーク環境における選択された候補経路の新たな資源使用状況を推定する。
【0026】
最後、上記の実施例は本発明の技術案を説明するためのものであるが、制限するものではないと説明すべきである。実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者は、本発明の技術案の趣旨および範囲を逸脱せずに本発明の技術案に対して行う修正又は等価置換のすべては本発明の請求の範囲に属すべきであると理解すべきである。