特許第6030232号(P6030232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030232
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】色彩変化系を有する粘着性洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/40 20060101AFI20161114BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   C11D3/40
   C11D17/08
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-516204(P2015-516204)
(86)(22)【出願日】2013年6月6日
(65)【公表番号】特表2015-518918(P2015-518918A)
(43)【公表日】2015年7月6日
(86)【国際出願番号】US2013044490
(87)【国際公開番号】WO2013184901
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2015年3月10日
(31)【優先権主張番号】13/491,980
(32)【優先日】2012年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500106743
【氏名又は名称】エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】リーズ・ウェイン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ストラッシュ・トーマス・エイ
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0293205(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0103082(US,A1)
【文献】 国際公開第99/019446(WO,A1)
【文献】 特表2010−521572(JP,A)
【文献】 特表2010−521573(JP,A)
【文献】 特表2010−538101(JP,A)
【文献】 特開2000−226600(JP,A)
【文献】 特開2000−273497(JP,A)
【文献】 特開昭63−043999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 3/40
C11D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質表面洗浄組成物であって、
(1)複数回の別個の水性リンスの作用下で前記硬質表面洗浄組成物とは別個の接着剤を必要とせずに前記硬質表面洗浄組成物を硬質表面に対して自己粘着性であるゲルにする成分を含む洗浄系であって、前記水性リンスのpHが6〜8である、洗浄系と、
(2)色彩変化系と、
を含み、
前記組成物が、当該組成物の前記複数回の別個の水性リンス中に次第に溶解して溶解洗浄部分を提供するように構成されており、前記色彩変化系が、pH2〜5又はpH9〜11であり、かつ(a)少なくとも1種のpH調整剤と、(b)前記組成物に第1の色を付与し、そして前記複数回の別個の水性リンスの各回ごとに前記溶解洗浄部分の色を変化させて、前記溶解洗浄部分の前記第1の色を第2の色へ変えることで、前記水性リンスに前記第2の色を付与するように構成されている、少なくとも1種の色彩変化染料と、を含み、前記第1の色が前記第2の色とは異なるものである、硬質表面洗浄組成物。
【請求項2】
硬質表面洗浄組成物であって、
(1)複数回の別個の水性リンスの作用下で前記硬質表面洗浄組成物とは別個の接着剤を必要とせずに前記硬質表面洗浄組成物を硬質表面に対して自己粘着性であるゲルにする成分を含む洗浄系であって、前記水性リンスのpHが6〜8である、洗浄系と、
(2)色彩変化系と、
を含み、
前記組成物が、当該組成物の前記複数回の別個の水性リンス中に次第に溶解して溶解洗浄部分を提供するように構成されており、前記色彩変化系が、pH2〜5又はpH9〜11であり、かつ(a)少なくとも1種のpH調整剤と、(b)前記組成物に第1の色を与える少なくとも1種の色彩変化染料とを含み、前記複数回の別個の水性リンス後に前記組成物の色変化て当該組成物に前記第1の色とは異なる第2の色を付与する、硬質表面洗浄組成物。
【請求項3】
硬質表面洗浄組成物であって、
(1)複数回の別個の水性リンスの作用下で前記硬質表面洗浄組成物とは別個の接着剤を必要とせずに前記硬質表面洗浄組成物を硬質表面に対して自己粘着性であるゲルにする成分を含む洗浄系であって、前記水性リンスのpHが6〜8である、洗浄系と、
(2)色彩変化系と、
を含み、
前記組成物が、当該組成物の前記複数回の別個の水性リンス中に次第に溶解して溶解洗浄部分を提供するように構成されており、前記色彩変化系が、pH2〜5又はpH9〜11でありかつ(a)少なくとも1種のpH調整剤と、(b)前記組成物に第1の色を与え、そして前記組成物の前記複数回の別個の水性リンスの間、当該組成物の前記第1の色を維持するように構成されており、また、前記組成物の実質上全てが前記複数回の水性リンスのうち一回と物理的に混合されたときに当該組成物の色を第2の色へと変化させるように構成されている、少なくとも1種の色彩変化染料と、を含み、前記第1の色が前記第2の色とは異なるものである、硬質表面洗浄組成物。
【請求項4】
前記pHが2〜5であり、前記少なくとも1種のpH調整剤が5重量%未満でかつ0重量%超の量で含まれており、そして前記少なくとも1種の色彩変化染料が0.01〜2重量%の量で含まれている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のpH調整剤が1重量%未満でかつ0重量%超の量で含まれており、そして前記少なくとも1種の色彩変化染料が0.0001〜0.1重量%の量で含まれている、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のpH調整剤が0.01〜1重量%の量で含まれており、そして前記少なくとも1種の色彩変化染料が0.001〜0.5重量%の量で含まれている、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記pHが2〜5であり、そして前記少なくとも1種のpH調整剤が、1−2〜1−6の酸解離定数を有する酸性化合物である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記pHが2〜5であり、そして前記少なくとも1種の色彩変化染料が、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド及びブロモクレゾールパープルのうちの一種である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記pHが2〜5であり、そして前記少なくとも1種のpH調整剤が、鉱酸、重硫酸アルカリ金属塩、カルボン酸、有機スルホン酸、有機リン酸及びスルファミン酸のうちの一種である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記pHが2〜5であり、そして前記少なくとも1種のpH調整剤が、酸と前記酸の共役塩基塩との緩衝混合物である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記pHが2〜5であり、そして前記少なくとも1種のpH調整剤が、ギ酸、酢酸、プロパン酸、安息香酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、シュウ酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、グルコヘプタン酸、リンゴ酸、クエン酸、アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸コポリマー、リンゴ酸ホモポリマー、リンゴ酸コポリマー、アミノカルボン酸キレート剤及びアミノホスホン酸キレート剤から選択される少なくとも1種のカルボン酸である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記pHが9〜11であり、そして前記少なくとも1種の色彩変化染料が、アリザリンイエローR、チモールフタレイン、フェノールフタレイン及びチモールブルーのうちの一種である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記pHが9〜11であり、そして前記少なくとも1種のpH調製剤が、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物、炭酸アルカリ金属塩、重炭酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ金属塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、アンモニア、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノカルボン酸キレート剤の中和塩及びアミノホスホン酸キレート剤の中和塩のうちの一種である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記洗浄系が、水と結合しかつ前記複数回の水性リンスの作用下で前記組成物に寸法安定性を付与する少なくとも1種の粘着促進剤と、前記少なくとも1種の粘着促進剤とは異なる少なくとも1種の界面活性剤と、を含有しており、前記少なくとも1種の粘着促進剤のうち少なくとも1つが、非イオン界面活性剤からなる群から選択され、そして前記粘着促進剤とは異なる前記少なくとも1種の界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記洗浄系が、水と結合しかつ前記複数回の水性リンスの作用下で前記組成物に寸法安定性を付与する少なくとも1種の粘着促進剤と、前記粘着促進剤とは異なる少なくとも1種の界面活性剤と、を含有しており、前記少なくとも1種の粘着促進剤のうち少なくとも1つが、非イオン界面活性剤からなる群から選択され、そして前記粘着促進剤とは異なる前記少なくとも1種の界面活性剤が、分枝鎖C10〜C14アルキル残基と5〜12個のエトキシ基とを有する非イオン界面活性剤からなる群から選択される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の粘着促進剤が、2〜80重量%の量で含まれており、そして前記粘着促進剤とは異なる前記少なくとも1種の界面活性剤が、1重量%超〜10重量%の量で含まれている、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物の粘度が20〜25℃において100〜1000a・sである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
pH感応性色彩変化系を有する、硬質表面洗浄用途用の粘着性洗剤組成物について述べる。洗剤組成物は、複数回の別個の水性リンスにおいて洗剤組成物の洗浄部分を繰り返し放出することを提供するものである。色彩変化系の第1の実施形態は、組成物に第1の色を付与しそして水性リンスが組成物上を流れるときに水性リンスに溶解された組成物の洗浄部分に第2の色を付与する酸性又はアルカリ性色彩変化系を、洗剤組成物に供給する工程を伴う。色彩変化系の第2の色は、洗剤組成物が「作用中」、すなわち洗浄中であることをユーザに知らせるものである。色彩変化系の第2の実施形態は、洗浄組成物に第1の色を付与する酸性又はアルカリ性の色彩変化系を、洗剤組成物に供給する。洗浄組成物を何回も水性リンスすることによって所定量の洗浄部分が放出されると、組成物は、寿命末期の合図の役割を果たす第2の色に変わることで、ユーザに、新たな粘着性洗剤組成物を入れる時期であるか又はもうすぐ入れる時期であることを知らせることができる。色彩変化系の第3の実施形態は、ユーザに洗剤組成物の二つの目的、すなわち水性リンス時の自動/継続洗浄又は単回の手動洗浄を知らせる酸性又はアルカリ性の色彩変化系を、洗剤組成物に供給するものである。洗浄組成物は、表面に適用すると第1の色を呈する。組成物のこの第1の色は、何回もの水性リンスにわたって保持されて、リンスする毎に自動/継続洗浄が提供される。組成物の使用寿命期間中、ユーザは、組成物が適用された表面を手動洗浄する場合、組成物の残りの部分を使用したいと要求することがある。この残りの部分は、(例えば、ブラシ、スポンジ又はクロス洗浄器具を用いて擦る又は拭くことによって)手動洗浄するためにすすぎ水と物理的に混合されると、第1の色とは異なる第2の色へと変化する。この色彩変化は、ユーザに、同一組成物の二つの機能、すなわち自動/継続洗浄組成物が手動クリーナーとなったことを知らせる。
【背景技術】
【0002】
色彩変化特徴を組み込んだ民生用洗浄製品は、エンドユーザにとって魅力的である。色彩変化は、製品が有効に作用中であることを表示することができる。色彩変化はまた、製品が有効な使用寿命期間の終点に至ったことを表示することもできる。色彩変化は、例えば製品の芳香強度の減少とともに相乗的な審美的視覚信号をもたらすといった、ユーザへの他の重要な信号を含むこともできる。
【0003】
粘着性ゲル組成物は、例えばトイレのすすぎ水用といった硬質表面の継続洗浄系として用いることが知られており、この場合、トイレの水を流すたびに水がゲル組成物の上を通過し、その結果、水が流れるたびに少量の組成物を浸食又は溶解して、組成物に応じて洗浄成分をトイレの水へ並びに水位よりも上及び/又は下にある便器表面へ分散させる。粘着性ゲル組成物については、米国特許第6,667,286B1号及び米国特許出願公開第2008/0255017A1及び同第2009/0215661A1に記載されており、この特許及びこれら出願公開それぞれの開示は参照として本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,667,286号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0255017号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0215661号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
米国特許第6,667,286B1号及び米国特許出願公開第2008/0255017A1には、ゲル組成物に染料又は着色剤を混入させることが開示されている。しかし、具体的な染料又は着色剤の選択に関する情報は一切記載されていない。さらに、どのタイプの色彩変色系も開示されていない。開示されている粘着性ゲル組成物は、使用中に水がゲル組成物の上を周期的に通過する硬質表面の継続洗浄系として用いられている。組成物は、水洗トイレ及び水洗男性用小便器で用いられる継続自浄式粘着性衛生組成物として特に適している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
第1実施形態において、粘着性洗剤組成物は、好ましくはゲル状の付着した組成物へ特定の色を付与するとともに組成物の放出された洗浄部分、ひいては水性リンスへ第2の別の色を付与するほど十分に色彩変化する着色剤であって、製品が便器に水を流したときのように「作用中」、すなわち洗浄中であることを表示する目に見える色彩変化合図を含むほど十分に色彩変化する着色剤を含有する。この実施形態において、粘着性ゲル組成物は、pH調整系といくぶん高濃度の色彩変化染料とを含有していることから、便器などの硬質表面に適用されたときにゲルはある色を呈しており、そしてゲルの上に水を流したときに洗浄水の色が、適用されたゲルの元の色又は第1の色とは異なる第2の色に変わるほど、十分な染料がゲルから放出された又は溶解された洗浄部分に分散される。
【0007】
第2の実施形態において、好ましくはゲル状の、粘着性洗剤組成物は、硬質表面に新たに適用されたときに第1の色を呈するが、組成物として付着したゲル組成物にその有効寿命の終点付近において第1の色とは異なる第2の色を付与することで、色が変わる使い切ったことを示す指示薬の働きをする。この第2の実施形態において、ゲル組成物は、便器などの硬質表面に最初に適用したときに組成物はある独特の色であるが、その後、トイレの水を何回も流してゲル組成物上を流れる洗浄水との接触を伴うことで、ゲル組成物の色は徐々に、第1の色とは異なる第2の色へと変化するように、pH調製系と低濃度の色彩変化染料とを含有している。
【0008】
第3の実施形態において、好ましくはゲル状の、粘着性洗浄組成物は、処理すべき硬質表面に新たに適用されると第1の色を呈する。適用されたゲル組成物は、硬質表面に付着している間、何回水道水でリンス/洗浄してもこの第1の色を保持している。ユーザが選んだ時期に、付着した組成物の残りの部分は全て一度に、例えばブラシ、スポンジ、クロス又は他の洗浄器具で擦る又は拭くことによって、手動クリーナーとして用いられる相当量(例えば約1リットル)の水道水と物理的に混合することができる。組成物の残りの部分をこのような水と混合すると、第1の色とは異なる第2の色が組成物に付与される。これらの色はそれぞれ、組成物の二つの目的/機能、すなわち複数回の別個の水リンスの各回ごとに自動/継続洗浄を表す第1の色と、移行そして手動クリーナーとしての利用を表す第2の色と、を示す。
【0009】
粘着性ゲル組成物は、付着したゲルが水道水で定期的に洗い流される硬質表面では継続洗浄系として用いることが知られている。粘着性組成物で洗浄するのに好適な硬質表面の例としては、水洗トイレ及び水洗男性用小便器が挙げられ、この場合、ゲルは便器の内表面又は男性用小便器の内壁の、水位よりも上に適用される。トイレ/男性用小便器の水を流すたびに水道水がゲル組成物の上を流れることにより、流すたびに少量の組成物が浸食又は溶解されて、洗浄成分が便器/男性用小便器の水並びに水位よりも上及び下にある便器/男性用小便器の表面に分散される。粘着性ゲル組成物については、米国特許第6,667,286B1号及び米国特許出願公開第2008/0255017A1及び同第2009/0215661A1に記載されており、これらは参照として本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の本発明のゲル洗剤組成物の実施形態は、約2〜約5のpH範囲の酸性pH調整系又は約9〜約12のpH範囲のアルカリ性pH調整系のいずれかを配合している。本発明の酸性ゲルは、約3〜約6のpH範囲で色が変わる1種以上の色彩変化染料を含有する。本発明のアルカリ性ゲルは、約9〜約11のpH範囲で色が変わる1種以上の色彩変化染料を含有する。
【発明の詳細な説明】
【0010】
本明細書で使用するとき、「組成物」とは、1成分以上を有する任意の固体、ゲル及び/又はペースト物質を指す。
【0011】
本明細書で使用するとき、「「粘着性の(self−adhesive)(すなわち、自己粘着性の)」又は「粘着性(self−adhering)(すなわち、自己粘着性)」とは、別個の接着剤又は他のサポート装置を必要とせずに硬質表面に貼りつく組成物の能力を指す。一実施形態において、粘着性組成物は、当該組成物を使い切ったときに残渣又は他の物質(すなわち、追加の接着剤)を全く残さない。
【0012】
本明細書で使用するとき、「ゲル」は、降伏応力が0ではない相互作用粒子又はポリマーのネットワークを有する液体から構成された無秩序固体(disordered solid)を指す。
【0013】
本明細書で使用するとき、「芳香剤」とは、任意の香料、消臭剤、臭気マスキング剤など、及びこれらの組み合わせを指す。いくつかの実施形態において、芳香剤は、消費者又はユーザの嗅覚に効果を発揮し得る任意の物質である。
【0014】
本明細書で使用するとき、「重量%」とは、成分又は組成物の全配合中の有効活性成分の重量割合を指す。例えば、配合Xの市販組成物は活性成分Xを70%のみ含有している場合がある。したがって、市販組成物10gは単にXを7g含有している。市販組成物10gを他の成分90gに添加すると、最終配合物中のXの重量%はわずか7%となる。
【0015】
本明細書で使用するとき、「硬質表面」とは、任意の多孔性表面及び/又は無孔表面を指す。一実施形態において、硬質表面は、セラミック、ガラス、金属、ポリマー、石材、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。セラミック表面の限定されない例としては、便器、シンク、シャワー室、タイルなど、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ガラス表面の限定されない例としては、窓などが挙げられる。金属表面の限定されない例としては、シンク、自動車など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマー表面の限定されない例としては、ガラス繊維、アクリル樹脂、コーリアン(登録商標)など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。石材硬質表面の限定されない例としては、花崗岩、大理石などが挙げられる。
【0016】
硬質表面は、任意の形状、サイズであってよく、又はその所望の目的に適した任意の配列を有していよい。一つの限定されない例では、硬質表面は、鉛直構成で配向し得る窓であってよい。別の限定されない例では、硬質表面は、セラミック製便器などの曲面の表面であってよい。硬質表面の形状、サイズ及び/又は配向は、米国特許出願公開第2009/0215661 A1に記載されているように組成物の輸送特性が予想外に強いため、本発明の組成物に影響を及ぼさないと考えられる。
【0017】
本明細書で使用するとき、「界面活性剤」とは、液体、例えば水の表面張力を低下させる任意の試薬を指す。本発明での使用に好適であり得る例示的な界面活性剤は以下に記載する。一実施形態において、界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、両性イオン及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。他の限定されない実施形態において、界面活性剤は超湿潤剤であってよい。当業者は、幾つかの実施形態において、粘着促進剤として使用できる物質もまた界面活性であり得ると考えることができる。
【0018】
使用する際、本発明の組成物は、便器、シャワー又は浴槽のエンクロージャ、窓などのように処理すべき、例えば洗浄すべき硬質表面上に直接適用され、その硬質表面に対し、粘着性組成物及び前記表面上を通過する複数の水(リンス)の流れ、例えばトイレのすすぎ水、シャワーなどを包含するものによって粘着し得る。組成物上に水が流れるたびに、微量の組成物が、組成物上を流れる水の中に放出される。そのため、前記量の粘着性組成物は当該組成物の全使用寿命にわたって次第に減少する。つまり、水でゆすぐたびに微量の粘着性組成物が溶解/浸食することで、粘着性組成物の量が減少する。水で覆われた表面に放出された前記の微量な組成物は、表面に連続湿潤膜を形成し、その結果、組成物中に含まれる活性剤に応じて即時及び長期の洗浄及び/又は殺菌及び/又は芳香又は他の表面処理を提供する。組成物、ひいては組成物の活性剤は、表面と直接接している初期の組成物の配置から展開又は輸送されることで、表面上の拡張された領域を連続的に被覆することができると考えられる。湿潤膜は、米国特許出願公開第2009/0215661 A1に記載されているように、コーティングとして働いて、粘着性組成物から、すすぎ水の流れに逆らう方向も含むあらゆる方向へ、すなわち組成物から360°の方向に広がる。
【0019】
本発明の限定されない例示的な組成物は、迅速でかつ広範な拡散を提供するといえる。理論により制限されるわけではないが、拡散効果は特定の界面活性剤を組成物に添加することによって変更できるものと考えられる。拡散速度及び拡散距離に影響を及ぼすと考えられる因子の限定されない例としては、含まれる界面活性剤の量、含まれる界面活性剤の種類、含まれる界面活性剤の組み合わせ、水の流れに拡散する界面活性剤の量、液体/空気界面での界面活性剤の吸着能、及び処理表面の表面エネルギーが挙げられる。組成物の界面活性剤は、他の分子、例えば化合物を、これら化合物を表面の他の部分へ輸送するように押し動かすのに役立つと考えられる。処理表面上で広範に輸送するのに望ましい化合物は、活性剤、例えば不活性又は静的とは真逆の活性能力を有する薬剤である。使用され得る活性剤又は活性成分の限定されない例としては、洗浄化合物、殺菌剤、抗菌剤、漂白剤、芳香剤、表面改質剤、防汚剤(例えばキレート剤)など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。前記組成物は、便器の水位よりも上だけでなく水位よりも下の表面上にも所望の活性剤を輸送して保持できるので、便器の表面を処理する際に特に有用である。
【0020】
洗剤組成物は、ポンプ若しくはシリンジ型装置であって、手動のもの、又は加圧若しくは機械化されたもの、エアロゾル、又は噴霧機のように任意の好適なアプリケータ装置を用いて表面に直接適用することができる。消費者は、表面に触れることなく組成物を直接表面に適用するためにアプリケータを作動させてもよい。便器表面の場合、これは衛生的でかつ利用し易い適用方法を提供する。組成物の量及び位置、例えば1つ以上の塊状又は滴状の組成物、或いは1本以上の組成物の線は、ユーザが選択することができる。組成物は、組成物を適用した硬質表面、例えば便器のセラミック側壁又はシャワー室の壁に粘着する。
【0021】
組成物は、好ましくはゲル又はゲル様の稠度を有する。前記実施形態において、組成物は、堅いが、固体のように剛性ではない。
【0022】
本発明の組成物によって得られる粘着性は、複数のすすぎ水の流れによって剥離されず、さらに微量の組成物が時間が経つにつれて徐々に洗い流されることなしに垂直表面への適用を可能にすることで、所望の洗浄及び/又は殺菌及び/又は芳香又は他の処理作用を提供する。組成物は、完全に洗い流すと、除去すべきものは何も残っておらず、多くの組成物は単に塗布されているだけである。
【0023】
当然であるが、水道水のpHは約6〜約8の範囲に弱く緩衝化されている。例えば、米国環境保護局のガイドラインによれば、飲料水(都市水道水及び井戸「蛇口」からの水)のpHは6.5〜8.5でなければならない(米国環境保護局 連邦二次飲水基準(National Secondary Drinking Water Regulations):公害化学物質のためのガイドライン(Guidance for Nuisance Chemicals))。
【0024】
本明細書に記載の本発明の洗剤組成物は、約2〜約5のpH範囲の酸性pH調整系又は約9〜約12のpH範囲のアルカリ性pH調整系のいずれかを配合している。本発明の酸性洗剤組成物は、約3〜約6の範囲のpHで色が変わる1種以上の色彩変化染料を含有する。本発明のアルカリ性洗剤組成物は、約9〜約11の範囲のpHで色が変わる1種以上の色彩変化染料を含有する。
【0025】
理論に縛られるものでないが、本発明の第1の実施形態の酸性ゲル型では、ゲルを硬質表面に適用して水道水ですすぐ/流すと、色彩変化染料とpH調整剤とを含有する本発明の酸性ゲル組成物の微量部分が緩衝リンス又は洗浄用水道水に溶解する又は浸食されることによって放出され、その結果、染料のpH環境がpH6未満からpH約6〜約8へ変化することで、放出された染料に色彩のずれ(変化)が生じるものと考えられる。同様に、本発明の第1の実施形態のアルカリ性ゲル組成物では、ゲルを硬質表面に適用して水道水ですすぐ/流すと、色彩変化染料とpH調整剤とを含有する本発明のアルカリ性ゲル組成物の微量部分が緩衝リンス又は洗浄用水道水に放出され、その結果、染料のpH環境がpH9以上からpH約6〜約8へ変化することで、放出された染料に色彩のずれ(変化)が生じる。酸性/アルカリ性ゲル中に含まれるpH調製剤の量は、何回ものすすぎ/洗浄中に配合ゲルのpH安定性を維持するほど十分に多く、かつ前記の容量のすすぎ/洗浄用水道水の緩衝能力によって容易に流すことができるほど十分に少ない。このことは、非常に微量のゲルが洗浄するたびに(すなわち、水ですすぐたびに)溶解して/浸食されて、特定の実施形態に好適なゲル中でpH調整剤の最少有効濃度と組み合わされる、本発明の組成物中では5重量%未満、好ましくは約1重量%未満のpH調整剤と組み合わされるように、ゲルを調整することによって容易になる。第1の実施形態の酸性ゲル型及びアルカリ性ゲル型ではいずれも、色彩変化染料の濃度は0.01〜約2.0重量%の範囲をとる。
【0026】
理論に束縛されたくはないが、第2の実施形態の酸性ゲル型において、硬質表面にゲルを適用して水道水ですすぐ/洗浄すると、緩衝リンス/洗浄用水道水がゲル自体に含まれるpH調整剤の一部と反応して、残りの付着ゲルのpH環境を洗浄回数が増えるにつれて徐々に高めるので、ゲル中の染料に色彩のずれ(変化)が生じると考えられる。同様に、第2の実施形態のアルカリ性ゲル型において、硬質表面にゲルを適用して水道水ですすぐ/洗浄すると、緩衝リンス/洗浄用水道水及び大気中の二酸化炭素が、ゲル中のpH調整剤の一部と反応した結果、洗浄回数が増えるにつれて残りの付着ゲルのpH環境を徐々に低下させるので、ゲル中の染料に色彩のずれ(変化)が生じると考えられる。酸性/アルカリ性ゲル中に含まれるpH調整剤の量は、すすぎ/洗浄用水道水の緩衝能力によって、「使い切ったこと」を表すのに望ましいリンス/洗浄回数の間中に徐々に消費されるほど十分に少ない。このことは、微量のゲルが洗浄/すすぐたびに溶解して/浸食されて、特定の実施形態に好適なゲル中で最少有効量のpH調整剤と組み合わされる、本発明のゲル中では約1重量%未満、好ましくは約0.1重量%未満のpH調整剤と組み合わされるように、ゲルを調整することによって容易になる。第2の実施形態の酸性ゲル型及びアルカリ性ゲル型ではいずれも、色彩変化染料の濃度は0.0001〜約0.10重量%の範囲となる。
【0027】
理論に束縛されたくはないが、第3の実施形態の酸性ゲル型において、組成物のpH調整系は、適用された組成物中で何回も水道水ですすぐ/洗浄する間中にpHが大幅に増加しないように十分に高濃度でなければならないと考えられる。したがって、適用された付着製品は時間とともに溶解する/浸食されるが、ゲルの色彩はほとんど変化しない。とはいえ、この第3の実施形態において、ゲルのかなりの部分(約50〜約90%)が溶解した/浸食された場合、付着ゲルの残りの部分は、硬質表面のための手動洗浄プロセスの一環としてかなりの量の水道水と物理的に混合されるように意図される。そのため、ゲルのpH調整系は、洗浄ゲルと水との混合物の色が最初に適用されたゲルの色とは明瞭に異なる場合、洗浄ゲルと水との混合物のpHが約6以上となるように配合される。同様に、第3の実施形態のアルカリ性ゲル型において、組成物のpH調整系はまた、適用されたゲルのpHが何回も水道水ですすぐ/洗浄する間中に大幅に減少しないように十分に高濃度でなければならない。したがって、適用された付着製品は時間とともに溶解する/浸食されるが、ゲルの色彩はほとんど変化しない。とはいえ、この第3の実施形態において、ゲルのかなりの部分(約50〜約90%)が溶解した/浸食された場合、付着ゲルの残りの部分は、硬質表面のための手動洗浄プロセスの一環としてかなりの量の水道水と物理的に混合されるように意図される。そのため、ゲルのpH調整系は、洗浄ゲルと水との混合物の色が最初に適用されたゲルの色とは明瞭に異なる場合、洗浄ゲルと水との混合物のpHが約8以下となるように配合される。第3の実施形態の酸性及びアルカリ性ゲル型におけるpH調整剤の有効量は、約0.01〜約1重量%の範囲である。第3の実施形態の酸性及びアルカリ性ゲル型において、色彩変化染料の濃度は0.001〜約0.5重量%の範囲をとる。
【0028】
上述のように、ゲル中のpH調整剤及び色彩変化染料の量及び種類は、所望の色彩変化効果を達成するように調整する必要があり、処置すべき硬質表面上に最初に配置されたゲルの量、表面の各リンス/洗浄に用いられる水の量、及び使用中の製品の対象となる期間(寿命)などの因子によって変更できる。
【0029】
酸性ゲル型に好適な色彩変化染料は、約3〜約6のpH範囲内において色が目に見えて変化する。前記3つの実施形態の酸性ゲル型に適した好ましい色彩変化染料指示薬としては、限定されないが、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、及びブロモクレゾールパープルなどの化合物が挙げられる。
【0030】
酸性ゲル組成物のpHを調整するために様々な酸性pH調整剤を用いてよい。これらとしては、限定されないが、鉱酸(例えば、HCl、HSO、HPO、及びHNO)、重硫酸アルカリ金属塩、カルボン酸、有機スルホン酸(R−SOH、前記式中、R=アリール基又はアルキル基)、有機ホスホン酸(R−PO、前記式中、R=アリール基又はアルキル基)、及びスルファミン酸が挙げられる。酸性ゲル用のpH調整剤としては、解離定数が約10−2〜約10−6の弱酸性化合物が好ましい。酸単独又は酸とその共役塩基塩との緩衝化された組み合わせを用いてもよい。カルボン酸を単独で又はその共役塩基塩と組み合わせて使用することは、その低コスト、好ましいeco−toxプロファイル及びに低い腐食性により、非常に好ましい。酸性ゲルに好ましいpH調整剤としては、重硫酸アルカリ金属塩、ギ酸、酢酸、プロパノン酸、安息香酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、シュウ酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、グルコヘプタン酸、リンゴ酸、クエン酸、アクリル酸ホモ−及びコーポリマー、リンゴ酸のホモ−及びコーポリマー、アミノカルボン酸キレート剤、例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)、HEDTA(N−(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸)、IDA(イミノ二酢酸)など、並びに様々なアミノホスサン酸キレート剤、例えば商品名デクエスト(DEQUEST)(サーモフォス社、米国ニュージャージー州レッドバンク(Red Bank))として販売されているものが挙げられる。
【0031】
アルカリ性ゲル実施形態に好適な色彩変化染料は、約9〜約11のpH範囲内において色が目に見えて変化する。アルカリ性ゲル実施形態に適した好ましい色彩変化染料としては、限定されないが、アリザリンイエローR、チモールフタレイン、フェノールフタレイン及びチモールブルーといった化合物が挙げられる。アルカリ性ゲル組成物のpHを調整するために様々なアルカリ性pH調整剤が使用され得る。これらとしては、限定されないが、次のうちの一種以上が挙げられる。アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属酸化物、炭酸アルカリ金属塩、重炭酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ金属塩、種々のホウ酸塩、ケイ酸塩、そしてアルミネイド、アンモニア、エタノールアミン、及びイソプロパノールアミン、並びにアミノカルボン酸の完全中和塩及びアミノホスホン酸キレート剤。
【0032】
pH感応性色彩変化系を含有する本発明の実施形態において、粘着性組成物は、前記色彩変化系を含有するほか、水と結合してすすぎ水の作用下でも組成物に寸法安定性を付与する少なくとも一種の粘着促進剤と、少なくとも一種の非イオン界面活性剤(粘着促進剤として全面的に又はある程度まで役立つ可能性のあるもの)、好ましくはエトキシル化アルコールと、を含有する。この実施形態は好ましくは、粘着促進剤とは異なる界面活性剤であって、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群から選択される一種以上の界面活性剤を含有する。この実施形態は好ましくは、芳香剤と、鉱油と、水と、少なくとも一種の溶媒と、を含有する。いくつかの実施形態では、組成物はまた、湿潤膜の拡散を増強させる超湿潤化合物を含んでもよい。組成物は、外部の吊り具又はホルダーを必要とせずに長期耐久性を示すので、長時間経過後に前記表面に組成物を新たに適用することを要するのみであり、どの道具も取り外す必要がない。
【0033】
いくつかの限定されない例において、本発明の成分のうち、硬質表面を処理するのに好適な成分は多数存在する。一実施形態において、組成物は、約20重量%〜約80重量%の量で含まれる粘着促進剤を含んでいる。別の実施形態において、組成物は粘着促進剤を約20重量%〜約60重量%の量で含んでいる。別の実施形態において、組成物は粘着促進剤を約20重量%〜約40重量%の量で含んでいる。別の実施形態において、組成物は粘着促進剤を約25重量%〜約35重量%の量で含んでいる。
【0034】
別の実施形態において、組成物は、粘着促進剤とは異なる少なくとも1種の界面活性剤を、約1重量%超の量で含んでいる。別の実施形態において、組成物は、粘着促進剤とは異なる少なくとも1種の界面活性剤を、約2重量%〜約10重量%の量で含んでいる。好ましい実施形態において、粘着促進剤とは異なる界面活性剤は、非イオン界面活性剤であって、C10〜C15エトキシル化アルコールからなる群から選択される。驚くことに、室温よりもやや高い温度において加工し易いことから、非粘着促進剤である非イオン界面活性剤として、C10〜C15アルキル残基と約4〜12個のエトキシ基とを有するエトキシル化アルコール非イオン界面活性剤が好ましいことが分かった。分枝鎖C10〜C14アルキル残基と5〜12個のエトキシ基とを有する非イオン界面活性剤が非常に好ましい。好ましい非イオン界面活性剤物質を含有することで、更に低いバッチ温度でも迅速な加工を非常に容易にする。
【0035】
別の実施形態において、組成物は、粘着促進剤とは異なりかつアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を約1重量%超の量で、好ましくは約2重量%〜約10重量%の量で含有する。

一実施形態において、組成物は、鉱油などの非極性炭化水素を約5重量%未満の量で含む。別の実施形態において、組成物は、鉱油を0重量%超〜約5重量%の量で含む。別の実施形態において、組成物は、鉱油を約0.1重量%〜約2重量%の量で含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、組成物は、対象とする用途に好適な任意の材料を用いて100重量%にしてもよい。これとしては、限定されないが、残りの量の水、表面改質剤、殺菌剤、防腐剤、漂白剤、クリーナー、発泡剤、色彩変化しない着色剤、及びこれらの組み合わせが挙げられることが当業者には分かるであろう。
【0037】
任意で、本発明の組成物は、少なくとも1種の溶媒を0重量%〜約5重量%の量で更に含んでもよく、そして前記組成物は、少なくとも1種の芳香剤を0重量%〜約15重量%のの量で更に含んでもよい。さらに、前記組成物は、任意で、組成物の輸送効率を拡大するために親水性ポリマーを0重量%〜約5重量%の量で含有してもよい。一実施形態において、「溶媒」には水を含まない。
【0038】
更なる任意成分は超湿潤剤である。理論により制限されるわけではないが、超湿潤剤は、組成物の使用中に形成される湿潤膜を強化することができると考えられる。
【0039】
粘着促進剤として用いるのに好適な例示的な成分は、大部分が直鎖で、少なくとも一部が親水性であり、そのために水分子との相互作用を生成するように親水性残基又は親水性基を少なくとも1個含有する、長い分子又は長鎖分子を有してもよい。好ましくは、粘着促進剤は、所望のネットワーク様の構造を形成して粘着促進分子を形成するように、分岐していない分子を有する。粘着促進剤は、全体として親水性であってもよく、一部親水性であってもよく、又は一部疎水性であってもよい。
【0040】
本発明で用いるのに好適な、例示的で純粋な親水性粘着促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、セルロース、特にカルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又はキサンタンガム、寒天、ジュランガム、アカシアゴム、イナゴマメガム、グアーガムもしくはデンプンなどの多糖類が挙げられる。多糖類は、0重量%〜約10重量%、0重量%〜約5重量%、そして約1重量%〜約2重量%の濃度において必要な堅さと十分な粘性とを有するネットワークを形成することができる。
【0041】
粘着促進分子は、合成又は天然ポリマー、例えばポリアクリレート、多糖類、ポリビニルアルコール、又はポリビニルピロリドンであり得る。アルギン酸塩、ジウレタン、ゲラチン、ペクチン、オレイルアミン、アルキルジメチルアミンオキシド、又はアルキルエーテル硫酸塩を用いることも可能である。
【0042】
親水性末端と疎水性末端とを有する有機分子もまた粘着促進剤として使用してよい。親水性残基として、例えばポリアルコキシ基、好ましくはポリエトキシ基、ポリプロポキシ基又はポリブトキシ基、或いは例えばポリ(エトキシプロポキシ)基のような混成ポリアルコキシ基を使用することも可能である。親水性末端として用いるのに特に好ましいのは、例えば、エトキシ基を15〜55つ、好ましくはエトキシ基を20〜40個、更に好ましくはエトキシ基を20〜35つ含有するポリエトキシ残基である。
【0043】
いくつかの実施形態において、アニオン性基、例えばスルホン酸塩、カルボン酸塩又は硫酸塩を粘着促進剤の親水性末端として使用することも可能である。他の実施形態では、せっけん、具体的にはステアリン酸ナトリウム又はステアリン酸カリウムが粘着促進剤として好適である。
【0044】
粘着促進分子が更に疎水性末端をも有する実施形態において、疎水性残基には、直鎖アルキル残基が好ましく、生分解性が更に良好であることから偶数個のアルキル残基が特に好ましい。理論により制限されるわけではないが、粘着促進分子の所望のネットワーク形成を確立するために、分子は分岐していなくてよいと考えられる。アルキル残基を疎水性残基として選択する場合、炭素原子数が少なくとも12のアルキル残基が好ましい。炭素原子数16〜30のアルキル鎖長が更に好ましく、炭素原子数16〜22のアルキル鎖長が最も好ましい。例示的な粘着促進剤はポリアルコキシアルカンであり、好ましくは20〜50個のエチレンオキシド基(EO)を有する、好ましくは約20〜約35つのEOを有するC16〜C22アルキルエトキシレートの混合物である。
【0045】
一般に水溶液系中で増粘剤のように作用する分子、例えば親水性物質もまた粘着促進剤として使用可能である。
【0046】
理論により制限されるわけではないが、用いられる粘着促進剤の濃度は、その親水性とそのネットワーク形成力とに左右されると考えられる。多糖類を使用する場合、例えば約1重量%〜約2重量%の濃度の粘着促進剤で十分であり得るが、ポリアルコキシアルカンを含む実施形態では、濃度は約10重量%〜約40重量%であってよく、別の実施形態では、約15重量%〜約35重量%であってよく、そして更に別の実施形態では、約25重量%〜約30重量%であってよい。
【0047】
また、理論により制限されるわけではないが、水を吸収することによって粘着促進分子と所望の数の接着部位を形成するように、組成物は、少なくとも約25重量%の水と、任意で、追加溶媒と、を含有していてもよいと考えられる。一実施形態において、組成物は、約40重量%〜約65重量%の水を含む。用いられる水の量は特に、使用される粘着促進剤に左右され、更には配合中の補助剤の量にも左右されることが当業者には分かるであろう。
【0048】
使用に適した典型的なアニオン界面活性剤としては、C〜C18アルキルエーテル硫酸のアルカリ金属塩、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩、α−オレフィンスルホン酸塩又はメチルタウリドが挙げられる。別の好適なアニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸、アルケニル硫酸及びアルキルアリール硫酸のアルカリ金属塩、並びにアルキルスルホン酸、アルケニルスルホン酸及びアルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩が挙げられる。いくつかのかかるアニオン界面活性剤は、一般式RSOM又はRSOMで表され、ここで、Rは、炭素原子数約8〜約20のアルキル基若しくはアルケニル基、又はアルキルアリール基であってよく、それらのアルキル部分は炭素原子数約9〜約15の直鎖又は分枝鎖アルキル基であってよく、それらのアリール部分はフェニル又はその誘導体であってよく、そしてMは、アルカリ金属(例えば、アンモニウム、ナトリウム、カリウム又はリチウム)であってよい。
【0049】
用いるのに好適な、粘着促進剤とは異なる例示的な非イオン界面活性剤としては、それぞれクラリアント・コーポレーション(Clariant Corporation、米国ノースカロライナ州マントホリー(Mt。Holly))製の商品名ジェナポール(GENAPOL) UD及びジェナポールXとしてのイソ−C11及びイソC13分枝アルキルエトキシル化アルコール、ヘンケル社(Henkel、米国オハイオ州シンシナティ)から商品名グルコポン(GLUCOPON)として入手可能なものなどのアルキルポリグリコシド、BASF(ドイツのルートヴィヒシャーフェン(Ludwigshafen))から商品名ルテンソル(LUTENSOL)XP(イソ−C10アルキルエトキシレート)、TO(イソ−C13アルキルエトキシレート)、AO(C13/C15アルキルエトキシレートの直鎖及び分岐混合物)として入手可能なもの、並びにダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company、米国ミッドランド州ミッドランド(Midland))からタージトール(TERGITOL)S C11〜C15二級アルキルアルコールエトキシレートが挙げられる。用いるのに好適な他の非イオン界面活性剤は、直鎖C10〜C14アルコールエトキシレートである。アミンオキシドもまた好適である。
【0050】
少なくとも1種の溶媒を組成物中に含有することで、界面活性剤とその他の液体との混合に役立つことがある。溶媒は、約0重量%〜約15重量%、好ましくは約1重量%〜約12重量%の量で、更に好ましくは約5重量%〜約10重量%の量で含まれる。用いるのに好適な溶媒の例は、炭素原子数8以下の脂肪族アルコール、炭素原子数6以下のアルキレングリコール、アルキレン基1個につき炭素原子6つ以下を有するポリアルキレングリコール、グリコール基1個につき炭素原子6つ以下及び各アルキル基中に炭素原子6つ以下を有するアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールのモノ−又はジ−アルキルエーテル、並びにグリコール基1個につき炭素原子6つ以下及び各エステル基中に炭素原子6つ以下を有するアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールのモノ−及びジ−エステルである。溶媒の具体例としては、t−ブタノール、t−ペンチルアルコール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、ベンジルアルコール又は2−フェニルエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、グリセリン、エタノール、イソプロパノール、及びジプロピレングリコールモノアセテートが挙げられる。性能、コスト、及び環境上の特徴/毒性のプロフィールから、好ましい溶媒はグリセリンである。
【0051】
鉱油等の非極性炭化水素を含むことは、安定性及び硬質表面、特にセラミック表面への粘着性を向上させるのに役立つことがあると考えられる。鉱油は、組成物の全重量に対して0重量%超〜約5重量%の量で含まれる。一実施形態において、鉱油は、約0.1重量%〜約3.5重量%の量で含まれる。別の実施形態において、鉱油は、約0.3重量%〜約2重量%の量で含まれる。含有される鉱油の量は、残りの配合物の付着性能にも依存する。理論により制限されるわけではないが、鉱油の量が増加するにつれて、粘着性も向上すると考えられる。鉱油は、組成物中に用いると利益をもたらすが、界面活性剤及び/又は増粘剤及び/又は粘着促進剤の量を低下させずに鉱油を多量に含有することで、製造中に組成物の処理を行う程、組成物が増粘されるとも考えられる。というのも、組成物の堅さが処理を困難にするためである。製造中、処理は、高温で行うことも可能だが、そうすることで製造コストも増加し、高温のために別の問題も生じる。
【0052】
本明細書において有用な親水性ポリマーの限定されない例としては、例えば、米国特許第6,593,288号、同第6,767,410号、同第6,703,358号及び同第6,569,261号に記載されいるようなアクリル酸系のもの及びアクリレートが挙げられる。好適なポリマーは、ローディア(Rhodia)製の商品名ミラポール(MIRAPOL) SURF Sとして販売されている。好ましいポリマーは、ミラポールSURF S−500である。
【0053】
超湿潤剤は、任意で、形成される湿潤膜の維持向上のために組成物に含有される。その結果、超湿潤剤は拡張時間を短縮するのに役立つ可能性がある。組成物に含有するのに好適な超湿潤剤の例は、ダウ・コーニング(Dow Corning) Q2−5211(ダウ・コーニング、ミッドランド州ミッドランド)等のヒドロキシル化ジメチルシロキサンである。超湿潤剤は、(組成物中のその他の界面活性剤のほかに)0〜約5重量%、好ましくは約0.01〜約2重量%、最も好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の量で含まれてよい。
【0054】
芳香剤及び芳香物質は、周囲外気の質を向上させるために組成物に含有することができる。一実施形態において、ゲル組成物は、芳香剤を6重量%未満含む。別の実施形態において、ゲル組成物は、芳香剤を0重量%〜6重量%含む。別の実施形態において、ゲル組成物は、芳香剤を0重量%〜約5重量%含む。さらに別の実施形態において、ゲル組成物は、芳香剤を約2重量%〜約5重量%含む。
【0055】
本発明のゲル組成物にとって重要な追加特性は、比較的高温にさらされるにもかかわらずその形状を維持する能力であって、本明細書では「ゲル化温度」と称されるものであると考えられる。具体的には、この測定基準によって、熱せられた非粘着性組成物が冷却されたときに突然、約1Pa・s超の粘度へと変化する温度を求める。さらに、組成物が比較的高いゲル化温度を有すれば、製造者にとっては処理、製造、輸送および梱包に有利に働くこともある。一実施形態において、組成物のゲル化温度は50℃超である。別の実施形態において、組成物のゲル化温度は約50℃〜約80℃である。さらに別の実施形態において、組成物のゲル化温度は約55℃〜約70℃である。
【0056】
本発明の組成物は、硬質表面を処理するための粘着性ゲル状の組成物又はゲル様の形状の組成物であって、組成物の粘度は、20〜25℃の温度範囲では少なくとも約100Pa・sである。別の実施形態において、組成物の粘度は、20〜25℃の温度範囲では約150Pa・s〜約1000Pa・sである。さらに別の実施形態において、組成物の粘度は、20〜25℃の温度範囲では約200Pa・s〜約400Pa・sである。
【0057】
【実施例】
【0058】
[表1]
代表的な本発明の色彩変化
ゲル組成物(重量%)
ゲル組成物A及びBは、本発明の第1の実施形態の例である。ゲル組成物A及びBを調製して、試料それぞれ約14グラムを、別個の便器の水位よりも上の表面に適用した。トイレの水を繰り返し流した場合の、適用したゲルと流した水道水との色の変化を記録した。公営水道水(米国ウィスコンシン州ラシーン(Racine))を利用した。
【表1】

ジェナポールT−250、クラリアント・コーポレーション
**ジェナポールX−100、クラリアント・コーポレーション
***ロンザ社(Lonza Inc.)、米国ニュージャージー州アレンデール(Allendale)
【0059】
[表2]
代表的な本発明の色彩変化
ゲル組成物(重量%)
ゲル組成物C、D及びEは、本発明の第2の実施形態の例である。ゲル組成物C、D、Eそれぞれ7グラムを調製して、別個の便器の水位よりも上の表面に適用した。最初に適用したゲルのゲル色と、同一ゲル試料の、トイレの水道水を約90回繰り返し流した後の色と、を記録した。公営水道水(米国ウィスコンシン州ラシーン)を利用した。
【表2】

ジェナポールT−250、クラリアント・コーポレーション
**ジェナポールX−100、クラリアント・コーポレーション
***ロンザ社、米国ニュージャージー州アレンデール
【0060】
[表3]
代表的な本発明の色彩変化
ゲル組成物(重量%)
ゲル組成物Fは、本発明の第3の実施形態の例である。ゲル組成物F7グラムを調製して、便器の水位よりも上の表面に適用した。最初に適用したゲルの色を記録した。約60回水を流した後、試料の半分よりもわずかに多くが溶解し/侵食されて、残りの付着したゲルは、こすり洗い用ブラシを用いて便器内で新たに流した洗浄水と合わせた。便器の水とゲルクリーナとを合わせたものの色を記録した。公営水道水(米国ウィスコンシン州ラシーン)を利用した。
【表3】

ジェナポールT−250、クラリアント・コーポレーション
**ジェナポールX−100、クラリアント・コーポレーション
***ロンザ社、米国ニュージャージー州アレンデール
【0061】
【表4】

25℃におけるPa・s、ブルックフィールドR/Sプラス粘度計、円錐/平板構造、せん断速度10。
【0062】
本明細書に開示された例示的な実施形態は、本発明の範囲を網羅するものでもなく、又はそれを不必要に制限するものでもない。これら例示的な実施形態は、当業者が本発明を実施できる程度に本発明の原理を説明することを目的として選択し説明したものである。当業者には明白なように、前述の記載範囲内ではさまざまな変更を行うことが可能である。かかる変更は、当業者の能力の範囲内のものであって、本発明の一部を成し、しかも添付の特許請求の範囲に包含されるものである。
〔実施の態様〕
(i)(1)接着剤を含まない状況でかつ複数回の別個の水性リンスの作用によって硬質表面洗浄組成物を硬質表面に粘着させる成分を含む洗浄系であって、前記水性リンスのpHが約6〜約8であるものと、
(2)色彩変化系と、
を含む、硬質表面洗浄組成物であって、
前記組成物が、当該組成物の前記複数回の別個の水性リンス中に次第に溶解して溶解洗浄部分を提供するように構成されており、前記色彩変化系が、pH約2〜約5又はpH約9〜約11であり、かつ(a)少なくとも1種のpH調整剤と、(b)前記組成物に第1の色を付与し、そして前記複数回の別個の水性リンスの各回ごとに前記溶解洗浄部分の色を変化させて、前記溶解洗浄部分の前記第1の色を第2の色へ変えることで、前記水性リンスに前記第2の色を付与するように構成されている、少なくとも1種の色彩変化染料と、を含み、前記第1の色が前記第2の色とは異なるものである、硬質表面洗浄組成物。
(ii)(1)接着剤を含まない状況でかつ複数回の別個の水性リンスの作用によって硬質表面洗浄組成物を硬質表面に粘着させる成分を含む洗浄系であって、前記水性リンスのpHが約6〜約8であるものと、
(2)色彩変化系と、
を含む、硬質表面洗浄組成物であって、
前記組成物が、当該組成物の前記複数回の別個の水性リンス中に次第に溶解して溶解洗浄部分を提供するように構成されており、前記色彩変化系が、pH約2〜約5又はpH約9〜約11であり、かつ(a)少なくとも1種のpH調整剤と、(b)前記組成物に第1の色を与え、そして前記複数回の別個の水性リンス後に前記組成物の色を変化させて当該組成物に前記第1の色とは異なる第2の色を付与する少なくとも1種の色彩変化染料と、を含む、硬質表面洗浄組成物。
(iii)(1)接着剤を含まない状況でかつ複数回の別個の水性リンスの作用によって硬質表面洗浄組成物を硬質表面に粘着させる成分を含む洗浄系であって、前記水性リンスのpHが約6〜約8であるものと、
(2)色彩変化系と、
を含む、硬質表面洗浄組成物であって、
前記組成物が、当該組成物の前記複数回の別個の水性リンス中に次第に溶解して溶解洗浄部分を提供するように構成されており、前記色彩変化系が、pH約2〜約5又はpH約9〜約11でありかつ(a)少なくとも1種のpH調整剤と、(b)前記組成物に第1の色を与え、そして前記組成物の前記複数回の別個の水性リンスにより当該組成物の色を維持するように構成されており、また、前記組成物の実質上全てが前記複数回の水性リンスのうち一回と物理的に混合されたときに当該組成物の色を第2の色へと変化させるように構成されている、少なくとも1種の色彩変化染料と、を含み、前記第1の色が前記第2の色とは異なるものである、硬質表面洗浄組成物。
(iv) 前記pH が約2〜約5であり、前記少なくとも1種のpH調整剤が5重量%未満でかつ0重量% 超の量で含まれており、そして前記少なくとも1種の色彩変化染料が約0.01〜約2重量%の量で含まれている、実施態様(i)に記載の組成物。
(v) 前記少なくとも1種のpH調整剤が1重量%未満でかつ0重量%超の量で含まれており、そして前記少なくとも1種の色彩変化染料が約0.0001〜約0.1重量%の量で含まれている、実施態様(ii)に記載の組成物。
(vi) 前記少なくとも1種のpH調整剤が約0.01〜約1重量%の量で含まれており、そして前記少なくとも1種の色彩変化染料が約0.001〜約0.5重量%の量で含まれている、実施態様(iii)に記載の組成物。
(vii) 前記pHが約2〜約5であり、そして前記少なくとも1種のpH調整剤が、約10−2〜約10−6の酸解離定数を有する酸性化合物である、実施態様(i)から実施態様(iii)のいずれか一項に記載の組成物。
(viii) 前記pHが約2〜約5であり、そして前記少なくとも1種の色彩変化染料が、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド及びブロモクレゾールパープルのうちの一種である、実施態様(i)から実施態様(iii)のいずれか一項に記載の組成物。
(ix) 前記pHが約2〜約5であり、そして前記少なくとも1種のpH調整剤が、鉱酸、重硫酸アルカリ金属塩、カルボン酸、有機スルホン酸、有機リン酸及びスルファミン酸のうちの一種である、実施態様(i)から実施態様(iii)のいずれか一項に記載の組成物。
(x) 前記pHが約2〜約5であり、そして前記少なくとも1種のpH調整剤が、酸と前記酸の共役塩基塩との緩衝混合物である、実施態様(i)から実施態様(iii)のいずれか一項に記載の組成物。
(xi) 前記pHが約2〜約5であり、そして前記少なくとも1種のpH調整剤が、ギ酸、酢酸、プロパン酸、安息香酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、シュウ酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、グルコヘプタン酸、リンゴ酸、クエン酸、アクリル酸ホモポリマー、アクリル酸コポリマー、リンゴ酸ホモポリマー、リンゴ酸コポリマー、アミノカルボン酸キレート剤及びアミノホスホン酸キレート剤から選択される少なくとも1種のカルボン酸である、実施態様(i)から実施態様(iii)のいずれか一項に記載の組成物。
(xii) 前記pHが約9〜約11であり、そして前記少なくとも1種の色彩変化染料が、アリザリンイエローR、チモールフタレイン、フェノールフタレイン及びチモールブルーのうちの一種である、実施態様(i)から実施態様(iii)のいずれか一項に記載の組成物。
(xiii) 前記pHが約9〜約11であり、そして前記少なくとも1種のpH調製剤が、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物、炭酸アルカリ金属塩、重炭酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ金属塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、アンモニア、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノカルボン酸キレート剤の中和塩及びアミノホスホン酸キレート剤の中和塩のうちの一種である、実施態様(i)から実施態様(iii)のいずれか一項に記載の組成物。
(xiv) 前記洗浄系が、水と結合しかつ複数回の水性リンスの作用下で前記組成物に寸法安定性を付与する少なくとも1種の粘着促進剤と、前記少なくとも1種の粘着促進剤とは異なる少なくとも1種の界面活性剤と、を含有しており、前記少なくとも1種の粘着促進剤のうち少なくとも1つが、非イオン界面活性剤からなる群から選択され、そして前記粘着促進剤とは異なる前記少なくとも1種の界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される、実施態様(i)から実施態様(iii)のいずれか一項に記載の組成物。
(xv) 前記洗浄系が、水と結合しかつ複数回の水性リンスの作用下で前記組成物に寸法安定性を付与する少なくとも1種の粘着促進剤と、前記粘着促進剤とは異なる少なくとも1種の界面活性剤と、を含有しており、前記少なくとも1種の粘着促進剤のうち少なくとも1つが、非イオン界面活性剤からなる群から選択され、そして前記粘着促進剤とは異なる前記少なくとも1種の界面活性剤が、分枝鎖C10〜C14アルキル残基と5〜12個のエトキシ基とを有する非イオン界面活性剤からなる群から選択される、実施態様(i)から実施態様(iii)のいずれか一項に記載の組成物。
(xvi) 前記少なくとも1種の粘着促進剤が、約20〜約80重量%の量で含まれており、そして前記粘着促進剤とは異なる前記少なくとも1種の界面活性剤が、約1重量%超〜約10重量%の量で含まれている、実施態様(xv)に記載の組成物。
(xvii) 前記組成物の粘度が20〜25℃において約100〜約1000pa・sである、実施態様(i)から実施態様(iii)のいずれか一項に記載の組成物。