【実施例1】
【0031】
本実施例では、本発明の一適用例として、公園,遊園地,テーマパーク,展示会場,介護施設,イベント会場(コンサート,マラソン大会,自転車レースなど)等の所定区画の監視対象エリア内においてエリア入域者(この場合、エリア入場者)の管理を行うエリア管理システムについて説明する。
【0032】
(1)システム構成
図1は、本発明の実施例1に係るエリア管理システムの全体構成を表す図である。
図1において、本実施例のエリア管理システムは、管理サーバ1、一乃至複数の端末装置2、複数のタグセンサ3、及び複数のRFIDタグ4を備えている。
【0033】
RFID(radio frequency identifier)タグ4は、ID情報を埋め込んだRFタグから、電磁界や電波などを用いた近距離無線通信により情報をやりとりする装置である。RFIDタグ4は、各エリア入域者が所持しており、それぞれ固有のタグIDが付されている。このRFIDタグ4は、腕時計のように腕に巻き付けたり、エリア入域者の衣服や持ち物に貼着したりして装着・携帯が可能であり、且つ無線通信用のアンテナ4aを介して外部と通信することができる(
図16(a)参照)。
【0034】
タグセンサ3は、監視対象エリア内の各所に配置される。タグセンサ3は、各RFIDタグ4と無線通信を行い、RFIDタグ4のタグID及び位置情報を検出する機能を有する。ここで、タグセンサ3がRFIDタグ4と無線通信をした際にRFIDタグ4から送られるタグID及び位置情報を含む情報のことを「タグ時点情報」と呼ぶ。具体的には、タグセンサ3は、まず全方位に向けて検出信号を無線発信し、RFIDタグ4はこの検出信号を受信するとそれに対する応答信号を無線送信する。タグセンサ3は、受信した応答信号から、当該タグセンサ3から応答したRFIDタグ4までの距離及びその相対方位を検出することにより、RFIDタグ4の位置情報を取得する。また、タグセンサ3には、GPS受信器(
図2のGPS受信部3b)が実装されており、公園,テーマパークのような上空に開かれた空間に設置される場合には、自己の位置及び向きを自動的に検出する機能も有している。
【0035】
端末装置2は、運営スタッフの詰所などに設置されたクライアントコンピュータ2aや、運営スタッフが所持携帯する携帯端末2bなど、表示用のディスプレイ、キーボードやタッチパネルなどの入力装置及び通信回線5と接続可能な通信インタフェースを備えた端末装置である。管理サーバ1は、管理センターに設置され、通信回線5を介して各タグセンサ3及び各端末装置2と接続されたコンピュータである。
【0036】
図2は、
図1の管理サーバ1,タグセンサ3,及びRFIDタグ4の機能構成を示したブロック図である。
【0037】
RFIDタグ4は、無線通信用のアンテナ4a及び応答信号生成部4bを備えている。応答信号生成部4bは、タグセンサ3から発信される検出信号をアンテナ4aで受信した場合、当該RFIDタグ4に固有のタグIDを含む応答信号を生成し、アンテナ4aから発信する回路である。
【0038】
タグセンサ3は、アンテナ3a、GPS受信部3b、タグ情報検出部3c、及びタグ情報送信部3dを備えている。アンテナ3aは、RFIDタグ4との間の無線通信を行うためのアンテナである。GPS受信部3bは、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信することによって現在の経緯座標及び向きを測位・検出し出力する回路である。タグ情報検出部3cは、アンテナ3aを介してRFIDタグ4を検出するための検出信号を無線発信し、その検出信号に対して応答するRFIDタグ4からの無線信号を受信することにより、当該タグセンサ3の検知範囲(タグセンサ3及びRFIDタグ4が発信する信号が到達する範囲)内にある全てのRFIDタグ4のタグ時点情報(受信した応答信号に含まれるタグID、並びに受信した応答信号から割り出されるRFIDタグ4の位置情報)を検出する。タグ情報送信部3dは、一定の時間毎に、タグ情報検出部3cにより当該タグセンサ3の検知範囲内にある全てのRFIDタグ4のタグ時点情報を収集し、各タグ時点情報に検出日時を追加した上で、通信回線5を介して管理サーバ1へ送信する。
【0039】
管理サーバ1は、ユーザ管理データベース11,地図管理データベース12,入域者管理データベース13,センサ管理データベース14,及びタグ位置管理データベース15の各データベース(以下「DB」を略記する。)、ログイン処理部16、地図情報作成部17、地図情報配信部18、HP生成配信部19、タグ位置管理DB更新部20、現在位置取得部21、位置履歴抽出部22、行動履歴表示部23、グループ抽出部24、グループ表示部25、全タグ位置取得部26、タグ検出数集計部27、混閑状況表示部28、捜索対象タグ情報取得部29、近傍タグセンサ抽出部30、居残タグ抽出部31、居残表示部32、地図表示更新情報配信部33、及び通信I/F34を備えている。これら各部の構成はハードウェア的に構成してもよいし、汎用のコンピュータで動作するプログラムとして構成し、該コンピュータに該プログラムを読み込ませて実行することにより実現してもよい。また、プログラムによって管理サーバ1を実現する場合には、該プログラムは通信回線を通して管理サーバ1に提供するものであってのよいし、CD−ROM,DVD−ROM,フラッシュメモリ等の記録媒体に記録して提供されるものであってもよい。
【0040】
ユーザ管理DB11は、このエリア管理システムを利用するユーザ(公園,遊園地,テーマパーク,展示会場等の施設運営スタッフ)に関する情報を記憶・管理するデータベースである。地図管理DB12は、監視対象エリア内の地図情報を記憶・管理するデータベースである。入域者管理DB13は、監視対象エリアに入域した入域者のタグIDや当該入域者の所属するグループ等の入域者情報を記憶・管理するデータベースである。センサ管理DB14は、各タグセンサ3に関する情報を記憶・管理するデータベースである。タグ位置管理DB15は、各RFIDタグ4の位置に関する情報を記憶・管理するデータベースである。尚、本実施例では、説明の便宜上これらのデータベースを独立したデータベースとして表しているが、この中のいくつかのデータベース又は全部のデータベースをまとめて構成してもよい。
【0041】
ログイン処理部16は、ユーザのログイン処理を行うモジュールである。地図情報作成部17は、地図管理DB12に記憶された監視対象エリア内の地図情報を読み出して、画面表示用の地図情報(画像情報又はベクトルグラフィックス情報)を作成するモジュールである。地図情報配信部18は、地図情報作成部17が作成した地図情報を、XMLやHTML等のマークアップ言語により配信用の地図情報である地図フレーム情報に組み込み、HP生成配信部19,通信I/F34を介して各端末装置2へ配信するモジュールである。HP生成配信部19は、地図情報配信部18により作成された配信用の地図情報に、画面表示用のフレームや入力ボタン,入力ボックス,埋め込みタグ等を追加してホームページ情報を作成し、通信I/F34により各端末装置2へ配信するモジュールである。
【0042】
タグ位置管理DB更新部20は、各タグセンサ3から送信されるRFIDタグ4のタグ時点情報を受信した場合、当該タグ時点情報を、検出時刻及び検出センサIDと共にタグ位置管理DB15に保存するモジュールである。
【0043】
現在位置取得部21は、各端末装置2から送信される要求に従って、タグ位置管理DB15から指定されたRFIDタグ4の現在の位置情報を取得するモジュールである。位置履歴抽出部22は、各端末装置2から送信される要求に従って、タグ位置管理DB15から指定されたRFIDタグ4の所定時間内の過去の位置情報を取得するモジュールである。
【0044】
行動履歴表示部23は、端末装置2から送信される、特定のRFIDタグ4(捜索対象タグ)に対する行動履歴配信要求を受信した場合において、現在位置取得部21及び位置履歴抽出部22が取得した捜索対象タグの現在位置及び過去の位置履歴を地図情報に表示挿入するための地図表示更新情報を生成するモジュールである。ここで、「地図表示更新情報」は、地図表示更新のためのトランザクションに関する情報である。
【0045】
グループ抽出部24は、端末装置2から送信される、特定のグループ(検索対象グループ)に対するグループ位置情報配信要求を受信した場合、入域者管理DB13から当該検索対象グループに所属するRFIDタグ4(同グループタグ)のタグIDを全て取得するモジュールである。グループ表示部25は、位置情報配信要求に対し現在位置取得部21が取得した同グループタグの現在位置を、地図情報作成部17が作成した監視対象エリアの地図情報に表示挿入するための地図表示更新情報を生成するモジュールである。
【0046】
全タグ位置取得部26は、端末装置2から送信される混閑情報配信要求を受信した場合、タグ位置管理DB15から、全てのRFIDタグ4の現在のタグ時点情報及びそれに対応する検出センサIDを取得するモジュールである。タグ検出数集計部27は、全タグ位置取得部26により取得された現在のタグ時点情報及び検出センサIDに基づき、前記タグセンサ3ごとに、当該タグセンサ3におけるRFIDタグ4の検出数(タグ検出数)を集計するモジュールである。混閑状況表示部28は、地図情報作成部17が作成した監視対象エリアの地図情報において、各タグセンサ3の位置又は検知範囲を表す図形(センサポインタ)を、当該センサポインタの表示色を当該タグセンサ3のタグ検出数に応じた色に着色して表示挿入するための地図表示更新情報を生成するモジュールである。
【0047】
捜索対象タグ情報取得部29は、端末装置2から送信される特定のエリア入域者(捜索対象者)を捜索する特定者捜索要求を受信した場合、位置履歴抽出部22により、当該捜索対象者の所持するRFIDタグ4(捜索対象タグ)の過去の位置情報を取得するとともに、現在位置取得部21により捜索対象タグの現在の位置情報を取得するモジュールである。近傍タグセンサ抽出部30は、センサ管理DB14から、捜索対象タグ情報取得部29により取得された捜索対象タグの現在位置を中心とする所定の距離内にあるタグセンサ3を抽出するモジュールである。
【0048】
居残タグ抽出部31は、端末装置2から送信される居残者探索要求を受信した場合、全てのタグセンサ3に於いて現在検出されているRFIDタグ4(居残タグ)の現在及び過去の位置情報を取得するモジュールである。居残表示部32は、居残タグ抽出部31が抽出した居残タグの現在位置及び過去の位置履歴を、地図情報作成部17が作成した監視対象エリアの地図情報に表示挿入するための地図表示更新情報を生成するモジュールである。
【0049】
地図表示更新情報配信部33は、行動履歴表示部23,グループ表示部25,混閑状況表示部28,居残表示部32が生成する地図表示更新情報を、行動履歴配信要求等の各要求を送信した端末装置2へ配信するモジュールである。通信I/F34は、通信回線5との間の送受信処理を行うモジュールである。
【0050】
図3は、
図2の管理サーバ1における各データベースの構造を表すER図(Entity Relationship Diagram)である(IE(Information Engineering)記法による)。
図3において、
図2と対応するデータベースについては同符号を付している。ユーザ管理DB11は、ユーザテーブル11aを備え、ユーザテーブル11aは
図3に示した各フィールドを備えている。入域者管理DB13は、グループテーブル13aを備え、グループテーブル13aは
図3に示した各フィールドを備えている。センサ管理DB14、センサ管理DB14及び機器テーブル14aを備え、センサ管理DB14及び機器テーブル14aは
図3に示した各フィールドを備えている。タグ位置管理DB15、現在位置テーブル15a及び位置履歴テーブル15bを備え、現在位置テーブル15a及び位置履歴テーブル15bは
図3に示した各フィールドを備えている。これら各データベースの各テーブルは、
図3に示したリレーションによって各フィールドが関連づけられており、全体としてリレーショナル・データベースを構成している。
【0051】
(2)システム動作
以上のように構成された本実施例に係るエリア管理システムについて、以下その動作を説明する。
【0052】
(2.0)RFIDタグ4の配布・登録
監視対象エリアの入域ゲートに於いて、各エリア入域者に対してRFIDタグ4が配布される。RFIDタグ4は、例えば、腕時計のように腕に巻き付けて装着したり、首掛けカードのように首に掛けて装着したり、当該エリア入域者の衣服や持ち物に貼着して装着したりするものが使用される。また、入域時に、エリア入域者は、自分の属するグループを登録する。例えば、4人家族連れの場合には、その家族4人を同じグループとして登録する。グループ登録は、入域ゲートに設置される端末装置2から管理サーバ1にアクセスして行われ、入域者管理DB13のグループテーブル13a(
図3参照)にグループID,グループ名(検索時に用いるグループの固有のキー名称)が登録され、タグテーブル13bに配布された各RFIDタグ4のタグIDに対するグループIDが登録される。これにより、どのRFIDタグ4がどのグループに属しているかが特定される。入域後は、各エリア入域者はRFIDタグ4を所持し続けるものとする。尚、グループ名は、重複回避処理(例えば、重複する場合にはグループ名の後に数字を追加して重複を回避する処理)により、自動的に他のグループと重複しないように設定される。
【0053】
(2.1)タグ位置管理DB15の逐次更新
図4は、管理サーバ1と各タグセンサ3との間で行われるタグ位置情報の収集処理を表すフローチャートである。このタグ位置情報の収集処理は、常時継続して行われており、管理サーバ1においてはタグ位置管理DB更新部20によって実行される。
【0054】
まず、タグセンサ3のタグ情報送信部3dは、内部に設けられたタイマーをスタートさせ(S101)、一定時間が経過するまで待機する(S102)。一定時間が経過すると、タグ情報送信部3dはタグ情報検出部3cに検出指令を出力し、タグ情報検出部3cはアンテナ3aからRFIDタグ4を検出するための検出信号を無線発信する(S103)。
【0055】
この検出信号に対し近傍のRFIDタグ4から応答信号が返信されアンテナ3aで受信された場合、タグ情報検出部3cは、返信された全てのRFIDタグ4のタグ時点情報(タグID及び位置情報)を検出する(S104)。ここで、RFIDタグ4からはタグIDの情報を含む応答信号が返信されるが、タグ情報検出部3cは、この応答信号からタグIDの情報を抽出するとともに、受信した応答信号の遅延時間及び受信方位からRFIDタグ4までの相対距離と相対方位を検出し、この相対距離及び相対方位とGPS受信部3bが出力する位置座標及びタグセンサ3の向き(タグセンサ3が室内に設置されている場合には予め設定されたタグセンサ3の位置座標及び向き)とから応答信号を返信したRFIDタグ4の位置情報を計算する。
【0056】
次いで、タグ情報送信部3dは、検出した各タグ時点情報を、通信回線5を介して管理サーバ1へ送信した後(S105)、内部のタイマーをリセットし(S106)、ステップS101の処理へ戻る。尚、ステップS104において応答信号が全く検出されない場合には、ステップS104,S105の処理は省略される。
【0057】
一方、管理サーバ1においては、各タグセンサ3からのタグ時点情報を受信した場合(S201)、タグ位置管理DB更新部20は、タグ位置管理DB15の現在位置テーブル15aから、受信したタグ時点情報のタグIDに対応するレコードR1を索出し、レコードR1が索出された場合には、そのレコードR1の内容を、そのまま位置履歴テーブル15bに追加する(位置履歴テーブル15bに新規のレコードR2を追加してレコードR2にレコードR1の内容を入力する)ことにより、位置履歴テーブル15bを更新する(S202)。
【0058】
次いで、タグ位置管理DB更新部20は、現在位置テーブル15aのレコードR1のタグID,経度・緯度,機器ID,確認日時の各フィールドへ、それぞれ、受信したタグ時点情報の内容(タグID、位置情報(経度・緯度))、当該タグ時点情報を送信したタグセンサ3(検出センサ)のセンサID(検出センサID)、当該タグ時点情報の受信日時(確認日時)を書込入力することにより更新する(S203)。尚、ステップS202においてレコードR1が索出されなかった場合には、タグ位置管理DB更新部20は、現在位置テーブル15aにレコードR1を新規に追加した後に、ステップS203の処理を行う。ここでレコードR1を新規追加する際に、タグ位置管理DB更新部20は、受信したタグ時点情報のタグIDに対応するグループIDを入域者管理DB13から取得して、レコードR1の“グループID”フィールドに追加する。
【0059】
以上の動作によって、タグ位置管理DB15は、定期的に常時更新され、各RFIDタグ4の現在及び過去の位置情報が現在位置テーブル15a及び位置履歴テーブル15bに蓄積される。尚、現在位置テーブル15a及び位置履歴テーブル15bのデータ量の膨大化を防ぐため、タグ位置管理DB更新部20は、現在位置テーブル15a及び位置履歴テーブル15bにおいて、“確認日時”が現時点から一定時間以上前のレコードは逐次削除する。
【0060】
(2.2)端末装置2からのログインから混閑状況表示まで
各端末装置2(クライアントコンピュータ2a又は携帯端末2b)において、ユーザ(この場合は、施設運営スタッフ)がこのエリア管理システムを利用する際には、まず管理サーバ1に対してログイン処理を行う。このログイン処理は、管理サーバ1ではログイン処理部16によって、端末装置2と通信しながら対話処理によって行われる。ログイン処理は、通常広く実施されているものであるため詳細説明は省略する。ログインが行われた後、まず地図情報作成部17が監視対象エリアの地図情報を作成して、地図情報配信部18及びHP生成配信部19を介してログインした端末装置2に対して地図情報を含むホームページ情報(例えば、地図画像情報に、フレーム情報や
図6のようなボタン,ラベル,テキストボックスなどの情報を追加した情報)を送信する。端末装置2は、当該ホームページ情報を受信すると、そのホームページ情報に基づいて、端末装置2の表示装置に地図等を含むホームページの表示を行う。そして、その後、以下のようにして混閑状況表示処理が行われる。
【0061】
図5は、管理サーバ1と各端末装置2との間で行われる混閑状況表示処理を表すフローチャートである。尚、混閑状況表示処理は、ログイン処理の直後に実行される他、端末装置2から混閑状況配信要求が送信された際(例えば、端末装置2に於いて、
図6,
図8,
図10のような端末表示画面から左上の「混雑状況表示」ボタンをクリック(又はタップ)して混閑状況配信要求が管理サーバ1へ送信された際)にも実行される。
【0062】
まず、ステップS301,S401において、ログイン処理(又は端末装置2から管理サーバ1への混閑状況配信要求の送信)が行われる。
【0063】
管理サーバ1の全タグ位置取得部26は、ログイン処理が終わると(又は混閑状況配信要求を受信すると)、タグ位置管理DB15の現在位置テーブル15aから、全てのRFIDタグ4の現在のタグ時点情報及び検出センサIDを取得する(S402)。ここで、現在位置テーブル15aには、現時点より前の所定の時間内に、各RFIDタグ4の最後に検出されたタグ時点情報及び検出センサIDが登録されている。次に、タグ検出数集計部27は、全タグ位置取得部26により取得されたタグ時点情報及び検出センサIDに基づき、それぞれのタグセンサ3ごとに、当該タグセンサ3におけるRFIDタグ4の検出数(タグ検出数)を集計する(S403)。次に、混閑状況表示部28は、地図情報作成部17が作成した監視対象エリアの地図情報において、各タグセンサ3の位置及び検出範囲を表す図形(センサポインタ)を、当該センサポインタの表示色を当該タグセンサのタグ検出数に応じた色に着色して表示挿入するための地図表示更新情報を生成する(S404)。地図表示更新情報は、センサポインタを記入した地図画像そのものでもよいが、通常はデータ量を小さくするため、トランザクション情報又は追加表示分のみのマークアップ言語情報として作成される。そして、地図表示更新情報配信部33は、混閑状況表示部28により生成された地図表示更新情報を、ログインした(又は混閑情報配信要求を送信した)端末装置2へ配信する(S405)。
【0064】
端末装置2は、管理サーバ1からの地図表示更新情報を受信すると(S302)、当該地図表示更新情報に従って、表示画面に表示された地図画像を更新し、表示画面上に混閑状況(混雑度合い又は閑散度合いの状況)を表示する(S303)。
【0065】
図6は、端末装置2の表示画面に表示される、混閑状況が追加表示された地図画像表示画面の例である(実際はカラー表示である)。この例では、各タグセンサ3の位置は丸囲み数字で表示され、混閑状況を表すセンサポインタは、地図上の各タグセンサ3の位置(丸囲み数字)を中心とする透過色塗潰円で表されている。そして、各センサポインタの表示色は、当該タグセンサのタグ検出数に応じた色とされている。例えば、タグ検出数0は無色、タグ検出数1〜10は青、タグ検出数11〜20は黄、タグ検出数21以上は赤といったように、視覚的に混閑状況が把握しやすいように塗り分けがされる。
【0066】
このようにして、混閑状況が地図上に色分け表示されるため、ユーザである施設運営スタッフは、現在の監視対象エリア内の混閑状況を一目で容易に把握することができる。この機能により、ユーザ(施設運営スタッフ)は人員整理のために、何処にどの程度の作業スタッフを派遣すればよいかの判断を容易に行うことができるようになる。特に、花火などのイベントが催されている場合において、過度にエリア入域者が密集すると、将棋倒しなどの群衆事故が生じる場合があるため、常にこの混閑状況を把握することで、適切に群衆の整理のためのスタッフの派遣を行い、群衆事故を未然に防止することが可能となる。
【0067】
(2.3)グループ探索
次に、グループ探索処理について説明する。まず、ログインした後に端末装置2に表示される基本画面は、
図6に示したような混閑状況表示画面である。この表示画面に於いて、上側の左から2番目にある「グループIC検索」テキストボックスに、グループ名又はグループID(グループ特定情報)を入力し、その隣の実行ボタンをクリック(又はタップ)することにより、以下のグループ探索処理が行われる。
【0068】
図7は、グループ探索処理の流れを表すフローチャートである。まず、端末装置2において、ユーザが
図6に示した基本画面から「グループIC検索」テキストボックスに、グループ特定情報を入力し、その隣の実行ボタンをクリック(又はタップ)すると、端末装置2から管理サーバ1へ、グループ位置情報配信要求と入力したグループ特定情報(グループ名又はグループID)が送信される(S501)。管理サーバ1のグループ抽出部24は、当該端末装置2からのグループ位置情報配信要求及び付随するグループ特定情報を受信する(S601)。
【0069】
次に、グループ抽出部24は、グループ特定情報がグループ名の場合には入域者管理DB13のグループテーブル13aからそのグループ名に対応するグループIDを索出し、これをグループの検索キーとする。グループ特定情報がグループIDであれば、そのままそのグループIDをグループの検索キーとして使用する。そして、このグループIDにより、入域者管理DB13のタグテーブル13bを検索し、当該検索対象グループに所属するRFIDタグ(同グループタグ)のタグIDを全て取得する(S602)。
【0070】
次に、現在位置取得部21は、グループ抽出部24が抽出した全ての同グループタグの現在の位置情報をタグ位置管理DB15の現在位置テーブル15aから取得する(S603)。次いで、グループ表示部25は、現在位置取得部21が取得した各同グループタグの現在位置を、地図情報作成部17が作成した監視対象エリアの地図情報に表示挿入するための地図表示更新情報を生成する(S604)。そして、地図表示更新情報配信部33は、グループ表示部25が生成した地図表示更新情報を、グループ位置情報配信要求を送信した端末装置2へ配信する(S605)。
【0071】
端末装置2は、この地図表示更新情報を受信すると(S502)、当該地図表示更新情報に従って、表示画面に表示された地図画像を更新し、表示画面上に混閑状況を表示する(S503)。
【0072】
図8は、端末装置2の表示画面に表示される、グループ位置情報が追加表示された地図画像表示画面の例である。この例では、各タグセンサ3の位置は丸囲み数字で表示され、検索対象グループに所属するRFIDタグ4(同グループタグ)のタグIDが、その同グループタグが検出されたタグセンサ3(検出タグセンサ)の位置の丸囲み数字に付記される。また、検出タグセンサの位置を強調するため、検出タグセンサの丸囲み数字を中心とする透過色塗潰円(センサポインタ)が表示される。
【0073】
このように、地図上に同グループタグの位置がセンサポインタとともに表示されるため、ユーザである施設運営スタッフは、現在の監視対象エリア内の同グループタグに位置を一目で容易に把握することができる。例えば、エリア入域者のグループ内の成員の一部の者がはぐれた場合に、はくれた成員を施設運営スタッフが探索する際には、このグループ探索機能を使用すれば、グループの各エリア入域者が現在何処に居るのかを即座に把握することが可能となる。また、成員の一人一人の所在を一々検索するのでは時間がかかり非効率であるが、この機能では、グループの成員全員の位置が一画面に表示されるため、成員の誰と誰が一緒に行動しているのかまでも把握することができ、成員の探索や連絡を効率的に行うことができるようになる。
【0074】
(2.4)特定者捜索(行動履歴表示・迷子探索)
次に、特定者捜索処理(行動履歴表示・迷子探索処理)について説明する。まず、端末装置2においてスタートとなる基本画面は、
図6に示したような混閑状況表示画面である。この表示画面に於いて、上側の左から3番目にある「個別IC検索」テキストボックスに、探索するエリア入域者が所持するRFIDタグ4の特定情報(所持者氏名やタグID)を入力し、その隣の実行ボタンをクリック(又はタップ)することにより、以下の特定者捜索処理が行われる。
【0075】
図9は、特定者捜索処理の流れを表すフローチャートである。特定者捜索処理は、端末装置2から特定者捜索要求が、捜索対象であるエリア入域者(捜索対象者)の所持するRFIDタグ(捜索対象タグ)の特定情報(捜索対象特定キー)とともに、管理サーバ1に送信されることにより開始される(S701)。ここで、「捜索対象特定キー」は、捜索対象タグのタグID、又はその捜索対象タグに対してタグテーブル13bに登録された所持者氏名である。管理サーバ1の捜索対象タグ情報取得部29は、当該端末装置2からの特定者捜索要求及び付随する捜索対象特定キーを受信する(S801)。
【0076】
次に、捜索対象タグ情報取得部29は、捜索対象特定キーが所持者氏名の場合には、タグテーブル13bを検索してその所持者氏名に対応するタグIDを取得する。次いで、捜索対象タグ情報取得部29は、位置履歴抽出部22により、捜索対象タグのタグIDの過去の位置情報を、タグ位置管理DB15の位置履歴テーブル15bを検索して取得する。また、捜索対象タグ情報取得部29は、現在位置取得部21により、捜索対象タグの現在の位置情報及び検出センサID(捜索対象タグを検出したタグセンサ3のセンサID)を、タグ位置管理DB15の現在位置テーブル15aを検索して取得する(S802)。
【0077】
次に、近傍タグセンサ抽出部30は、センサ管理DB14の機器テーブル14aから、捜索対象タグ情報取得部29により取得された捜索対象タグの現在位置を中心とする所定の距離内にあるタグセンサ3(近傍センサ)を全部抽出する(S803)。次いで、全タグ位置取得部26は、タグ位置管理DB15の現在位置テーブル15aから、全てのRFIDタグ4に対する現在のタグ時点情報及びそれに対応する検出センサIDを取得し、タグ検出数集計部27は、全タグ位置取得部26により取得された検出センサIDごとにその検出センサIDにおけるタグ検出数を集計する(S804)。次いで、混閑状況表示部28は、地図情報作成部17が作成した監視対象エリアの地図情報において、近傍タグセンサ抽出部30により抽出されたタグセンサ3(近傍センサ)のセンサポインタを、センサポインタの表示色を当該タグセンサ3のタグ検出数に応じた色に着色して表示挿入するための地図表示更新情報I1を生成する(S805)。
【0078】
次に、行動履歴表示部23は、捜索対象タグ情報取得部29が取得した捜索対象タグの現在位置及び位置履歴を地図情報に表示挿入するための地図表示更新情報I2を生成する(S806)。
【0079】
そして、地図表示更新情報配信部33は、混閑状況表示部28及び行動履歴表示部23により生成された地図表示更新情報I1,I2を、特定者捜索要求を送信した端末装置2へ配信する(S807)。
【0080】
端末装置2は、この地図表示更新情報I1,I2を受信すると(S702)、当該地図表示更新情報I1,I2に従って、表示画面に表示された地図画像を更新し、表示画面上に混閑状況,現在位置及び行動履歴を表示する(S703)。
【0081】
図10は、端末装置2の表示画面に表示される、捜索対象者周辺の混閑状況及び捜索対象者の行動履歴が追加表示された地図画像表示画面の例である。この例では、各タグセンサ3の位置は丸囲み数字で表示され、近傍センサのタグ検出数は、近傍センサの丸囲み数字を中心とする透過色塗潰円(センサポインタ)により表示される。また、捜索対象者のRFIDタグ4の位置は足跡マークで地図上に表示され、また、現在の位置の足跡マークが最も大きく、過去になるに従って足跡マークが小さく且つ淡色となるように表示される。また、捜索対象タグのタグID、及び当該捜索対象タグを検出したタグセンサ3のセンサID及び検出時刻も、現在から過去への順に地図上に表示される(
図10の符号A)。
【0082】
このように、捜索対象者の現在位置と過去の移動履歴を地図上に表示させることによって、捜索対象者が現在何処におり、現在どちらに移動しているかが即座に把握することができ、捜索の範囲を絞り込んで迅速に捜索を行うことができる。また、捜索対象者の現在位置周辺の混閑状況を合わせて表示することで、当該表示を探索のために何人程度の施設運営スタッフを派遣すればよいかを判断する際の参考とすることができ、効率的な人員の運用を図ることができる。例えば、捜索対象者の周囲が閑散状況であれば少ない探索人員を派遣すればよいし、捜索対象者の周囲が混雑状況であれば多くの探索人員を派遣する必要がある。従って、捜索対象者の周囲の混閑状況が把握できることで、このような探索人員の派遣数の判断を的確に行い、人員の運用を図ることができる。
【0083】
尚、本実施例では、捜索対象者の現在位置及び位置履歴とともに混閑状況をあわせて表示する例を示したが、必要に応じて、捜索対象者の現在位置及び位置履歴のみを表示、又は捜索対象者の現在位置のみを表示するようにしてもよい。また、捜索対象者の現在位置及び位置履歴の表示の仕方としては、
図10に示したような足跡マークによる表示の他、
図11(a)に示したような時間毎に異なる色(過去に向かって淡色となるようにグラデーション変化する色)のマークで表示する手法、
図11(b)に示したような矢印、
図11(c)(d)に示したように過去に向かって線幅が細くなる線若しくは矢印、
図11(e)に示したように過去に向かって淡色となるようにグラデーション変化する線若しくは矢印、又はこれらの組合せを用いることもできる。
【0084】
また、本実施例では、混閑状況表示部28は、近傍センサのセンサポインタのみを表示するようにした例を示しているが、混閑状況表示部28は、全てのタグセンサのセンサポインタを表示するように構成することもできる。
【0085】
(2.5)居残り者探索
最後に、監視対象エリアを閉鎖(遊園地,テーマパークなどの閉園、展示会場などの閉館)を行う際に、ユーザ(施設運営スタッフ)は監視対象エリア内に居残り者が居ないかどうかを確認する際の居残り者探索処理について説明する。まず、端末装置2においてスタートとなる基本画面は、
図6に示したような混閑状況表示画面である。この表示画面に於いて、上側の左から3番目にある「個別IC検索」テキストボックスに、何も入力していない状態で、その隣の実行ボタンをクリック(又はタップ)することにより、以下の居残り者探索処理が行われる。
【0086】
図12は、居残り者探索処理の流れを表すフローチャートである。居残り者探索処理は、端末装置2から居残者探索要求が管理サーバ1に送信されることにより開始される(S901)。管理サーバ1の居残タグ抽出部31は、当該端末装置2からの居残者探索要求を受信する(S1001)。
【0087】
次に、居残タグ抽出部31は、位置履歴抽出部22により、全てのタグセンサ3に於いて現在検出されているRFIDタグ4(居残タグ)の現在及び過去の位置情報を、タグ位置管理DB15の現在位置テーブル15aを検索して取得する(S1002)。ここで、上述したように、現在位置テーブル15aに登録されているレコードは、一定の時間が経過すると、タグ位置管理DB更新部20によって逐次削除される。従って、監視対象エリアを閉鎖後、一定の時間が経過すれば、監視対象エリアから退出したエリア入域者のRFIDタグ4に関するレコードは現在位置テーブル15aから削除され、居残タグのレコードのみが現在位置テーブル15aに残る。従って、現在位置テーブル15aに登録された全てのレコードのRFIDタグ4の位置情報を読み出せば、それが居残タグの位置情報となる。
【0088】
次に、居残表示部32は、居残タグ抽出部31が取得した居残タグの現在位置及び位置履歴を地図情報に表示挿入するための地図表示更新情報を生成する(S1003)。そして、地図表示更新情報配信部33は、居残表示部32により生成された地図表示更新情報を、居残者探索要求を送信した端末装置2へ配信する(S1004)。
【0089】
端末装置2は、この地図表示更新情報を受信すると(S902)、当該地図表示更新情報に従って、表示画面に表示された地図画像を更新し、表示画面上に居残りタグの現在位置及び行動履歴を表示する(S903)。尚、現在位置及び行動履歴を表示方法については、(2.4)の特定者捜索処理の場合とする。
【0090】
このように、居残タグの現在位置と過去の位置履歴を地図上に表示させることによって、ユーザは居残者の有無と居残者の位置を即座に把握して出口へ誘導することができる。また、居残タグの過去の位置履歴をあわせて表示することで、居残者が退出ゲートに向かって移動しているか否か、居残者が(例えば、居眠り,負傷等により)同じ位置に停滞しているか否かを把握することができるので、居残者の誘導のために人員を派遣すべきかどうかの判断の助けとなる。
【実施例4】
【0105】
実施例4では、本発明に係るエリア管理システムを、高齢者介護施設等の介護施設、病院若しくは高齢者介護を行っている一般家庭に適用した実施例について説明する。従って、本実施例での「監視対象エリア」は、介護施設、病院、又は住宅の建物内及び敷地内となる。また、本実施例のエリア管理システムでは、監視対象エリアから外に出て徘徊するエリア入域者(この場合、入居者,入院者,被介護者等)を監視対象エリア外で追跡するエリア外追跡機能(後述)を備えている。
【0106】
(1)システム構成
図15は、本発明の実施例4に係るエリア管理システムの全体構成を表す図である。
図15において、管理サーバ1、端末装置2、タグセンサ(固定タグセンサ)3、RFIDタグ4、通信回線5は実施例1の
図1と同様である。本実施例4においては、新たに携帯タグセンサ6が追加されている。携帯タグセンサ6としては、ハンディータイプやウェアラブルタイプのRFIDタグ・リーダライタとして市販されているものを用いることができる。
【0107】
図16(a)に携帯タグセンサ6の一例を示す。固定タグセンサ3と同様、携帯タグセンサ6には、GPS受信器(
図17のGPS受信部6b)及びRFIDタグ4との交信用のRFアンテナ(
図17のアンテナ6a)が実装されており、また、携帯タグセンサ6の正面パネルには、情報表示のためのディスプレイ6e及び操作指示入力のための複数の操作キー6fが配設されている。これら操作キー6fの中には、RFIDタグ4の検知の実行を指示入力するための“検知スイッチ”が含まれている。
【0108】
図16(b)にRFIDタグ4の一例を示す。RFIDタグ4は、電波の送受信を行うアルミ箔等の薄導体で構成されたアンテナ4aと、ICチップで構成された応答信号生成部4bを備えている。また、任意のものに貼附可能とするため、アンテナ4a及び応答信号生成部4bは、透明樹脂シートからなるシール台紙4cに貼装されている。また、RFIDタグ4の表面には、当該RFIDタグ4のタグIDを表すIDバーコード4dが印刷されている。尚、本実施例では、IDバーコード4dをRFIDタグ4に直接附した例を示しているが、このIDバーコード4dはRFIDタグ4のタグIDをタグ位置管理DB15に登録する際にのみ用いられ登録後は不要となるため、IDバーコード4dはシール台紙4cの裏面やRFIDタグ4の包装等に附すこともできる。
【0109】
図17に、
図15のエリア管理システムの機能構成を表すブロック図を示す。
図17において、実施例1の
図2と同様の構成部分については同符号を附して説明は省略する。
【0110】
携帯タグセンサ6の構成については、基本的にはタグセンサ3の構成と同様であり、携帯タグセンサ6のアンテナ6a,GPS受信部6b,タグ情報検出部6cは、それぞれ、タグセンサ3のアンテナ3a,GPS受信部3b,タグ情報検出部3cに相当する。一方、タグセンサ3は、一定の時間毎にタグ時点情報を収集して通信回線5を介し管理サーバ1へ送信するタグ情報送信部3dを備えているが、携帯タグセンサ6においては、タグ情報送信部3dの代わりに、使用者が操作キー6fから入力する送信指示に従って、タグ情報検出部6cにより当該携帯タグセンサ6の検知範囲内にある全てのRFIDタグ4のタグ時点情報を収集し、通信回線5を介して管理サーバ1へ送信するタグ情報送信部6dを備えている。
【0111】
本実施例における管理サーバ1は、ユーザ管理DB11,地図管理DB12,入域者管理DB13,センサ管理DB14,タグ位置管理DB15,ログイン処理部16,地図情報作成部17,地図情報配信部18,HP生成配信部19,タグ位置管理DB更新部20,現在位置取得部21,位置履歴抽出部22,行動履歴表示部23,捜索対象タグ情報取得部29,近傍タグセンサ抽出部30,地図表示更新情報配信部33,及び通信I/F34を備えており、これらは実施例1の
図2の同符号を附した構成部分と同様であるため説明は省略する。
【0112】
また、本実施例における管理サーバ1は、携帯タグセンサ情報検出部51、入域者・担当者検索部52、報知メール送信部53、及び位置履歴配信部54を備えている。携帯タグセンサ情報検出部51は、管理サーバ1において各タグセンサ(固定タグセンサ3又は携帯タグセンサ6)からのセンサID及びタグ時点情報(タグID、位置情報及び検出日時)を受信しタグ位置管理DB更新部20がタグ位置管理DB15の更新を行った際に、当該タグ時点情報を送信したタグセンサが携帯タグセンサ6か否かを、センサ管理DB14を参照することによって判定し、携帯タグセンサ6から受信されるタグ時点情報を検出する。入域者・担当者検索部52は、携帯タグセンサ情報検出部51によって携帯タグセンサ6からのタグ時点情報が検出された場合、当該タグ時点情報に含まれるタグIDを検索キーとして、入域者管理DB13から、当該タグIDに対応する入域者情報及び当該タグIDに対応する入域者に対応する担当者情報を索出する。報知メール送信部53は、入域者・担当者検索部52により入域者情報及び担当者情報が索出された場合に、当該入域者の発見及び現在位置を報知するメールを自動生成し、当該担当者情報に含まれる担当者のメールアドレスに対して送信する。位置履歴配信部54は、現在位置取得部21及び位置履歴抽出部22により索出される位置情報を端末装置2へ配信する。
【0113】
図18は、
図17の管理サーバ1における各データベースの構造を表すER図である。
図18において、ユーザ管理DB11及びタグ位置管理DB15の各テーブルについては、実施例1の
図3の対応する各テーブルと同様である。また、センサ管理DB14の機器テーブル14aについても、
図3の機器テーブル14aと同様であるが、「種別(固定・携帯)」フィールドが追加されている。この「種別(固定・携帯)」フィールドは、各レコードに登録されたタグセンサが「固定タグセンサ3」か「携帯タグセンサ6」かのセンサ種別を登録するフィールドである。
【0114】
図18の入域者管理DB13のテーブル構造は実施例1とは大きく変更されている。本実施例では、入域者管理DB13は、タグテーブル13b,入域者情報テーブル13c,及び担当者情報テーブル13dを備えている。タグテーブル13bには、各RFIDタグ4に関する情報(当該タグRFIDタグ4のタグID,当該タグRFIDタグ4を所有する入域者の入域者ID等)が格納される。入域者情報テーブル13cには、各入域者(入居者,入院者,被介護者等)に関する情報(当該入域者の入域者ID,氏名,当該入域者の担当者の担当者ID)が格納される。担当者情報テーブル13dには、各担当者(入域者の介護,看護等の世話を担当する担当者)に関する情報(当該担当者の担当者ID,氏名,E−mailアドレス等)が格納される。これら各データベースの各テーブルは、
図18に示したリレーションによって各フィールドが関連づけられており、全体としてリレーショナル・データベースを構成している。
【0115】
尚、本実施例に於いては、一人の入域者(入居者,入院者,被介護者等)に対し1個以上のRFIDタグ4が割り当てられているものとする。例えば、一人の入域者の服,靴,杖等にそれぞれ
図16(b)のRFIDタグ4を貼附して、当該入域者に対して複数のRFIDタグ4を割り当てることができる。この場合、タグテーブル13bにおいて、同じ入域者に割り当てられたRFIDタグ4のレコードの「入域者ID」フィールドには、当該入域者の入域者IDが格納される。
【0116】
また、一人の入域者に対して1人以上の担当者が割り当てられているものとする。この場合、入域者情報テーブル13cにおいて、当該入域者の各「担当者ID」フィールドには、当該入域者を担当する担当者の担当者IDが格納される。
【0117】
(2)システム動作
以上のように構成された本実施例に係るエリア管理システムについて、以下その動作を説明する。
【0118】
(2.0)エリア入域者の登録及びRFIDタグ4の配布・登録
まず、各エリア入域者(入居者,入院者,被介護者等)に対して、運営スタッフ(当該エリア入域者の担当者等の職員)によりRFIDタグ4が配布され、当該エリア入域者の所持品にRFIDタグ4が附される。例えば、介護施設の場合、エリア入域者(入居者)の運営スタッフにより、エリア入域者の所持品(服、靴、杖等)にRFIDタグ4が附される。RFIDタグ4は、
図17(b)に示したように、シート状のシールで構成されているため、エリア入域者の所持品の任意の場所に貼着することが可能である。
【0119】
また、運営スタッフは、RFIDタグ4の配布時に、当該RFIDタグ4を所持するエリア入域者に関する情報を登録する。この登録処理は、以下のようにして運営スタッフが所持する端末装置2(タブレット端末,スマートフォン,パソコン等)から行われる。
【0120】
まず、運営スタッフは、端末装置2から通信回線5を介して管理サーバ1にアクセスし、ログイン処理を行う。このログイン処理は、一般に広く実施されているネットワーク上のログイン処理(ユーザID及びパスワードの認証処理)であり、この処理は管理サーバ1のログイン処理部16により実行される。
【0121】
ログインがされると、管理サーバ1のHP作成配信部19は、
図19(a)に示したような利用者一覧画面100を表示する。利用者一覧画面100の上部は、各種操作ボタンが表示される操作入力領域101となっており、操作入力領域101の下部は、各エリア入域者に関する情報のリストが表示されるリスト表示領域102となっている。リスト表示領域102には、各エリア入域者の“入域者ID”,“入域者氏名”,“担当者氏名”,“備考”,“最終受信場所”(最後にRFIDタグ4の位置が検出された場所)が一覧表として表示され、更に各欄の右側には、“開始/停止入力”トグルボタン,“編集”ボタン,“タグ登録”ボタン,“履歴出力”ボタンの各種入力ボタンが表示される。ここで、“開始/停止入力”トグルボタンは、当該エリア入域者の位置検出を行うか否かの指示を入力するトグルボタン(“開始”は位置検出を行う、“停止”は位置検出を行わない)である。“編集”ボタンは、当該エリア入域者の詳細情報を登録する際に指示入力を行うボタンである。“タグ登録”ボタンは、当該エリア入域者に割り当てられたRFIDタグ4のタグIDを登録する際に指示入力を行うボタンである。“履歴出力”ボタンは、当該エリア入域者の行動履歴のリストを出力する際に指示入力を行うボタンである。
【0122】
運営スタッフが新たなエリア入域者を登録する場合には、運営スタッフは、利用者一覧画面100において、操作入力領域101の“新規登録”ボタンをクリック又はタップ(以下まとめて「クリック」という)する。“新規登録”ボタンがクリックされると、端末装置2から管理サーバ1へ入域者新規登録指示が送信され、管理サーバ1は、入域者管理DB13の入域者情報テーブル13cに、新たなエリア入域者のレコードを追加し、自動付番される入域者IDを当該端末装置2へ送信する。端末装置2は、入域者IDを受信すると、
図19(b)に示したような利用者詳細入力画面110をディスプレイに表示する。
【0123】
また、運営スタッフが、リスト表示領域102の一覧表に表示された既登録のエリア入域者の入域者情報を編集する場合には、運営スタッフは編集したいエリア入域者の欄の“編集”ボタンをクリックする。“編集”ボタンがクリックされると、端末装置2は管理サーバ1と交信して当該欄のエリア入域者の入域者情報を入域者管理DB13から読み出して、
図19(b)に示したような利用者詳細入力画面110をディスプレイに表示するとともに、読み出された入域者情報を当該利用者詳細入力画面110に表示する。
【0124】
図19(b)の利用者詳細入力画面110の上部は、各種操作ボタンが表示される操作入力領域111となっており、操作入力領域111の下部は、エリア入域者情報を表示及び入力する情報表示・入力領域102となっている。操作入力領域111の“一覧表へ戻る”ボタンは利用者一覧画面100へ戻るボタン、“確定”ボタンは入力内容を確定するボタン、“ログアウト”ボタンはログアウトするボタンである。運営スタッフは、情報表示・入力領域102に、上から、エリア入域者の氏名(“氏名”欄)、エリア入域者の連絡先(“連絡先” 欄)、エリア入域者の担当者の氏名(“担当” 欄)、担当者へのメールの送信先(“送信先1,2,3” 欄)、エリア入域者に関するメモ(“備考”欄)の入力を行い、最後に“確定”ボタンをクリックする。“確定”ボタンがクリックされると、表示されていたエリア入域者情報が管理サーバ1へ送信され、管理サーバ1は当該エリア入域者情報を入域者管理DB13へ登録する。尚、操作入力領域111の最下部に表示される“登録済タグ”欄は、エリア入域者に対して登録されたRFIDタグ4のタグIDが表示される。
【0125】
運営スタッフが、利用者一覧画面100のリスト表示領域102の一覧表に表示された既登録のエリア入域者に対してRFIDタグ4のタグIDを登録する場合、運営スタッフはタグIDの登録を行いたいエリア入域者の欄の“登録”ボタンをクリックする。“登録”ボタンがクリックされると、端末装置2は
図20(a)に示したようなタグ登録画面120をディスプレイに表示する。運営スタッフは、タグ登録画面120の“タグID”欄に、登録するRFIDタグ4に印刷されたタグID(
図16(b)のIDバーコード4dに併記された数字)を入力し、又はバーコードリーダで登録するRFIDタグ4に印刷されたバーコードを読み取ることによりタグIDを入力し、“確定”ボタンをクリックする。“確定”ボタンがクリックされると、端末装置2は入力されたタグIDを管理サーバ1へ送信し、再び利用者一覧画面100をディスプレイに表示する。管理サーバ1は受信した当該タグIDを入域者管理DB13へ登録する。尚、タグIDは、一人のエリア入域者に対して重複して複数登録することができる。
【0126】
尚、本実施例に於いて、利用者一覧画面100の操作入力領域101の左端にある“全表示”ボタンをクリックすると、実施例1と同様に、地図表示がされ、各タグセンサの位置が地図上に表示される。尚、本実施例の場合、地図は施設建物の各階の間取り図と、施設建物周辺の敷地内地図となる。地図表示以降の地図上での特定者捜索や行動履歴表示については、実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0127】
(2.1)タグ位置管理DB15の更新と域外追跡機能
図21は、管理サーバ1と各タグセンサ3,6との間で行われるタグ位置情報の収集処理を表すフローチャートである。
図19において、固定タグセンサ3の動作は、実施例1の
図4で説明した動作と同様である。また、管理サーバ1の動作について、
図19のステップS201〜S203は、実施例1の
図4のステップS201〜S203と同様である。そこで、ここでは新しく追加された携帯タグセンサ6の動作を中心に説明する。
【0128】
携帯タグセンサ6は、エリア入域者(入居者,入院者,被介護者等)が管理エリアから外に出た際に、運営スタッフが当該エリア入域者の捜索を行う際に使用される。まず、携帯タグセンサ6は、操作キー6f(
図16(a)参照)の中の“検知スイッチ”がオン状となるまで待機し(S1101)、“検知スイッチ”がオン状となると、携帯タグセンサ6のタグ情報検出部6cはアンテナ6aからRFIDタグ4を検出するための検出信号を無線発信する(S1102)。
【0129】
この検出信号に対し、携帯タグセンサ6近傍の所定の範囲内にRFIDタグ4があれば、RFIDタグ4から応答信号が返信されアンテナ6aで受信される(S1103)。RFIDタグ4がなければ応答信号は受信されない。タグ情報検出部6cは、この応答信号の受信状況を、携帯タグセンサ6の正面パネルのディスプレイ6eに表示する。
図22(a)〜(d)に、携帯タグセンサ6におけるディスプレイ6e表示画面の例を示す。ディスプレイ6eの中央に表示された円は、RFIDタグ4の検出方向を表示する位置表示領域6gである。位置表示領域6gは、4つの扇形領域に等分に区画されている。また、位置表示領域6gの左上には、携帯タグセンサ6が向いている方位を示す方位表示6hが表示される。応答信号が受信されない場合には、
図22(a)のように、位置表示領域6gには何も表示されない。一方、応答信号が受信された場合には、当該応答信号の受信方向に応じて、受信方向に対応する位置表示領域6gの4つの扇形領域の内の一つが発色し、RFIDタグ4の検出方向を示す。
【0130】
タグ情報検出部6cは、応答信号を受信した場合(S1105)、受信した応答信号の遅延時間及び受信方位からRFIDタグ4までの相対距離と相対方位を検出し、この相対距離及び相対方位とGPS受信部3bが出力する位置座標及びタグセンサ3の向き(タグセンサ3が室内に設置されている場合には予め設定されたタグセンサ3の位置座標及び向き)とから応答信号を返信したRFIDタグ4の位置情報を計算し、通信回線5を介して、当該携帯タグセンサ6のセンサID、当該RFIDタグ4のタグID,位置情報及び検出日時(タグ時点情報)を、管理サーバ1へ送信し(S1106)、ステップS1101へ戻る。
【0131】
一方、管理サーバ1においては、携帯タグセンサ6からのセンサID及びタグ時点情報を受信した場合(S201)、タグ位置管理DB更新部20は、タグ位置管理DB15の現在位置テーブル15aから、受信したタグ時点情報のタグIDに対応するレコードR1を索出し、レコードR1が索出された場合には、そのレコードR1の内容を、そのまま位置履歴テーブル15bに追加する(位置履歴テーブル15bに新規のレコードR2を追加してレコードR2にレコードR1の内容を入力する)ことにより、位置履歴テーブル15bを更新する(S202)。次いで、タグ位置管理DB更新部20は、現在位置テーブル15aのレコードR1のタグID,経度・緯度,機器ID,確認日時の各フィールドへ、それぞれ、受信したタグ時点情報の内容(タグID、位置情報(経度・緯度))、当該タグ時点情報を送信した携帯タグセンサ6(検出センサ)のセンサID(検出センサID)、当該タグ時点情報の受信日時(確認日時)を書込入力することにより更新する(S203)。
【0132】
次に、携帯タグセンサ情報検出部51は、ステップS201で受信されたセンサIDに対応するタグセンサのレコードを、センサ管理DB14の機器テーブル14aから検索し、索出されたレコードの「種別(固定・携帯)」フィールドを参照することにより、当該タグセンサが固定タグセンサ3か携帯タグセンサ6かを判別する(S204)。固定タグセンサ3の場合にはステップS201に戻る。
【0133】
携帯タグセンサ6の場合、入域者・担当者検索部52は、ステップS201で受信されたタグ時点情報のタグIDに対応する入域者情報及び担当者情報を、入域者管理DB13から索出する。そして、報知メール送信部53は、発見されたエリア入域者の氏名、位置情報(経度・緯度)、発見時刻を通知する報知メールを予め定められたフォーマットに従って自動作成し、入域者・担当者検索部52により索出された各担当者情報に含まれるメールアドレスに対して、報知メールを送信し(S206)、ステップS201に戻る。ここで、報知メールにおいては、位置情報(経度・緯度)の代わりに、一般にインターネット上で利用可能な地図検索サービスを利用して、当該経度・緯度を指定する地図上の位置を表示させるためのマップ・アドレス(URLの後に検索クエリを附したもの)を表示するようにしてもよい。この場合、報知メールを受け取った各担当者は、インターネット上のマップ・アドレスにアクセスすることによって、エリア入域者の位置を地図上で確認することができる。
【0134】
以上のようにして、エリア入域者が管理エリアから外に出た場合、管理エリアの域外においても、当該エリア入域者の探索を行うことが可能となる。これは、例えば、介護施設,病院,又は認知症老人を自宅介護する住宅においては、被介護者(エリア入域者)が域外へ出て徘徊した場合において、当該被介護者を探索する場合に有効となる。
【0135】
(2.2)行動履歴一覧表示機能
運営スタッフが、エリア入域者の所在を探索する場合において、エリア入域者の過去の行動履歴の一覧が見ることができる機能があれば便利である。そこで、本実施例のエリア管理システムでは、端末装置2においてエリア入域者の行動履歴の一覧表を表示することができる。運営スタッフが、エリア入域者の行動履歴の一覧表を表示する場合、
図19(a)の利用者一覧画面100において、行動履歴を表示させたいエリア入域者の行の履歴出力の“実行”ボタンをクリックする。“実行”ボタンがクリックされると、端末装置2は、通信回線5を介して管理サーバ1に対し、特定者捜索要求と履歴一覧配信要求と入域者ID(捜索対象特定キー)を送信する。管理サーバ1の位置履歴抽出部22は、受信した入域者IDに対応するRFIDタグ4(捜索対象タグ)のタグIDをタグテーブル13bから索出し、索出されたこれらのタグIDの位置履歴情報を、タグ位置管理DB15の位置履歴テーブル15bから索出する。また、現在位置取得部21は、前記各タグIDの現在の位置情報を、現在位置テーブル15aから索出する。位置履歴配信部54は、特定者捜索要求に履歴一覧配信要求が付随している場合、索出した各タグIDの位置履歴情報を、そのまま前記特定者捜索要求を送信した端末装置2に対して送信する。端末装置2は、受信した位置履歴情報を一覧表としてディスプレイに表示する。
図20(b)にその一覧表の例を示す。
【0136】
尚、特定者捜索要求に履歴一覧配信要求が付随していない場合(端末装置2が地図表示状態のときの動作)には、地図上での配信要求とみなされ、実施例1と同様に、行動履歴表示部23により、捜索対象タグの現在位置及び位置履歴を地図情報に表示挿入するための地図表示更新情報I2が生成され、地図表示更新情報配信部33により当該地図表示更新情報I2が端末装置2へ配信されることになる。