特許第6030259号(P6030259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6030259
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/24 20160101AFI20161114BHJP
   H01M 8/2484 20160101ALI20161114BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20161114BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20161114BHJP
【FI】
   H01M8/24 R
   H01M8/24 M
   H01M8/24 E
   H01M8/02 R
   !H01M8/12
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-124350(P2016-124350)
(22)【出願日】2016年6月23日
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-134102(P2015-134102)
(32)【優先日】2015年7月3日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大森 誠
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−053186(JP,A)
【文献】 特開平06−310165(JP,A)
【文献】 特開2007−335213(JP,A)
【文献】 特開2011−060747(JP,A)
【文献】 特開2008−066296(JP,A)
【文献】 特開2014−132518(JP,A)
【文献】 特開2009−224299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/24
H01M 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1燃料極、第1電解質、及び第1空気極を有する第1発電素子部と、
前記第1発電素子部を支持する第1基板本体部、前記第1基板本体部を覆う第1緻密層、及び近位端部から遠位端部まで延びる第1ガス流路、を有する第1支持基板と、
第2燃料極、第2電解質、及び第2空気極を有する第2発電素子部と、
前記第2発電素子部を支持する第2基板本体部、前記第2基板本体部を覆う第2緻密層、及び前記近位端部から遠位端部まで延びる第2ガス流路、を有する第2支持基板と、
前記第1支持基板及び前記第2支持基板の各近位端部を支持するマニホールドと、
前記第1支持基板の遠位端部と前記第2支持基板の遠位端部とに亘って延びる連通部材と、
を備え、
前記連通部材は、前記第1ガス流路と前記第2ガス流路とを連通させる流路を有する、燃料電池スタック。
【請求項2】
第1燃料極、第1電解質、及び第1空気極を有する第1発電素子部と、
前記第1発電素子部を支持する第1基板本体部、前記第1基板本体部を覆う第1緻密層、及び近位端部から遠位端部に向かう方向にガスを流す第1ガス流路、を有する第1支持基板と、
第2燃料極、第2電解質、及び第2空気極を有する第2発電素子部と、
前記第2発電素子部を支持する第2基板本体部、前記第2基板本体部を覆う第2緻密層、及び前記方向と対向する方向である遠位端部から近位端部に向かう方向にガスを流す第2ガス流路、を有する第2支持基板と、
前記第1支持基板の遠位端部と前記第2支持基板の遠位端部とに亘って延びる連通部材と、
を備え、
前記連通部材は、前記第1ガス流路と前記第2ガス流路とを連通させる流路を有する、燃料電池スタック。
【請求項3】
前記連通部材は、多孔質である、
請求項1又は2に記載の燃料電池スタック。
【請求項4】
前記連通部材は、外側面を構成する第3緻密層を有する、
請求項に記載の燃料電池スタック。
【請求項5】
前記流路は、前記連通部材内の気孔によって構成される、
請求項またはに記載に燃料電池スタック。
【請求項6】
前記連通部材は、前記流路として前記第1ガス流路から前記第2ガス流路へと延びる空間を内部に有している、
請求項1からのいずれかに記載の燃料電池スタック。
【請求項7】
前記連通部材は、金属によって構成される、
請求項1からのいずれかに記載の燃料電池スタック。
【請求項8】
当該燃料電池スタックは、複数の前記第1発電素子部と、複数の前記第2発電素子部と、を備え、
前記各第1発電素子部は、前記第1支持基板の長手方向に沿って間隔をあけて配置されており、
前記各第2発電素子部は、前記第2支持基板の長手方向に沿って間隔をあけて配置される、
請求項1からのいずれかに記載の燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のセルと、各セルにガスを分配するマニホールドと、を備えた燃料電池スタックが知られている。各セルは、多孔質の支持基板と、各支持基板に支持される発電素子部とを備えている。各支持基板の近位端部がマニホールドに挿入されることによって、各支持基板のガス流路にマニホールドから燃料ガスが供給される。各支持基板のガス流路の近位端部から供給された燃料ガスのうち未反応のガスは、ガス流路の遠位端部から外部へと排出される。
【0003】
特許文献1に記載の燃料電池スタックは、燃料ガスの使用効率を向上させるため、遠位端部から外部へと排出される未反応ガスを回収するように構成されている。具体的には、支持基板は、往路用のガス流路と復路用のガス流路とを有している。往路用のガス流路に供給された燃料ガスのうち未反応のガスは、復路用のガス流路で再度発電に利用される。また、復路用のガス流路を流れた燃料ガスは、遠位端部から外部へ排出されるのではなく、近位端部からマニホールドへと回収される。
【0004】
支持基板は多孔質であるため、燃料ガスは、往路用のガス流路を最後まで流れることなく復路用のガス流路へ流れてしまうことがある。すなわち、燃料ガスが、往路用のガス流路の途中で支持基板内を通って復路用のガス流路へと流れてしまうことがある。このようなショートカットを防止するために、往路用のガス流路と復路用のガス流路との間に緻密質部材が挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−53186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような燃料電池スタックは、多孔質の支持基板の内部に緻密質部材を挿入する必要があるため、製造することが困難であるという問題がある。そこで本発明の課題は、ガスを回収可能であり、且つ容易に製造することのできる燃料電池スタックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある側面に係る燃料電池スタックは、第1発電素子部、第1支持基板、第2発電素子部、第2支持基板、及び連通部材を備えている。第1発電素子部は、第1燃料極、第1電解質、及び第1空気極を有する。第1支持基板は、第1基板本体部、第1緻密層、及び第1ガス流路を有する。第1基板本体部は、第1発電素子部を支持する。第1緻密層は、第1基板本体部を覆う。第1ガス流路は、近位端部から遠位端部まで延びる。第2発電素子部は、第2燃料極、第2電解質、及び第2空気極を有する。第2支持基板は、第2基板本体部、第2緻密層、及び第2ガス流路を有する。第2基板本体部は、第2発電素子部を支持する。第2緻密層は、第2基板本体部を覆う。第2ガス流路は、近位端部から遠位端部まで延びる。連通部材は、前記第1支持基板の遠位端部と前記第2支持基板の遠位端部との間を延びる。また、連通部材は、第1ガス流路と第2ガス流路とを連通させる流路を有している。
【0008】
この構成によれば、第1支持基板の第1ガス流路を流れた燃料ガスのうち未反応ガスは、第1ガス流路の遠位端部から外部へと排出されるのではなく、連通部材の流路を介して第2ガス流路へと流れる。このため、燃料ガスの使用効率を向上させることができる。また、第1支持基板は、第1基板本体部を覆う第1緻密層を有しており、第2支持基板は、第2基板本体部を覆う第2緻密層を有している。第1及び第2緻密層は、第1及び第2基板本体部よりも緻密であるため、第1ガス流路内を流れる燃料ガスが、第1及び第2基板本体部内を通って第2ガス流路へ流れることを抑制することができる。また、この第1緻密層は、第1基板本体部を覆うように形成すればよく、容易に形成することができる。
【0009】
連通部材は、多孔質であってもよい。この場合、連通部材は、外側面を構成する第3緻密層を有していることが好ましい。また、上述した流路は、連通部材内の気孔によって構成することができる。
【0010】
連通部材は、上記流路として、第1ガス流路から第2ガス流路まで延びる空間を有していてもよい。
【0011】
連通部材は、金属によって構成されていてもよい。
【0012】
好ましくは、第1支持基板及び第2支持基板は、第1支持基板の側面と第2支持基板の側面とが対向するように配置される。
【0013】
好ましくは、第1支持基板と第2支持基板とは、互いに間隔をあけて配置される。例えば燃料電池スタックが多数のセルを有して大型化した場合などに、この間隔に空気を流すことによってスタック内の温度分布を均一化することができる。
【0014】
好ましくは、燃料電池スタックは、第1及び第2支持基板を支持するマニホールドをさらに備える。このマニホールドによって、各ガス流路へ燃料ガスを分配することができる。
【0015】
好ましくは、マニホールドは、第1室と第2室とを有している。第1ガス流路は、第1室と連通している。第2ガス流路は、第2室に連通している。この構成によれば、第1室に燃料ガスを供給することによって、燃料ガスは、第1ガス流路、連通部材、第2ガス流路の順でスムーズに流れることができる。
【0016】
好ましくは、マニホールドは、マニホールド本体部と、仕切板とを有する。マニホールド本体部は、空間部を有する。仕切板は、空間部を第1室と第2室とに仕切る。この構成によれば、第1及び第2室を有するマニホールドを容易に製造することができる。
【0017】
好ましくは、第1緻密層は第1電解質を含み、第2緻密層は第2電解質を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る燃料電池スタックは、ガスを回収可能であり、且つこの燃料電池スタックを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】燃料電池スタックの斜視図。
図2】第1セルの斜視図。
図3】第1セルの断面図。
図4】第2セルの斜視図。
図5】第2セルの断面図。
図6】燃料電池スタックの断面図。
図7】変形例に係る燃料電池スタックの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る燃料電池スタックの実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、燃料電池スタックを示す斜視図である。なお、図1において、いくつかの第1及び第2セルの記載を省略している。
【0021】
[燃料電池スタック]
図1に示すように、燃料電池スタック100は、複数の第1セル10aと、複数の第2セル10bと、連通部材3と、マニホールド4と、を備えている。なお、以下では、第1セル10aの構成部材の符号の末尾に「a」を付し、第2セル10bの構成部材の符号の末尾に「b」を付す。第1セル10aと第2セル10bとは、実質的に同じ構成であるため、以下では第1セル10aの構成部材のみを説明し、第2セル10bの構成部材については第1セル10aの構成部材と対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0022】
[マニホールド]
マニホールド4は、第1及び第2セル10a、10bを支持するように構成されている。マニホールド4は、第1室41と第2室42とを有している。第1室41にはガス供給部101が接続されており、第2室42にはガス排出部102が接続されている。第1室41には、ガス供給部101を介して燃料ガスが供給される。また、第2室42内の燃料ガスは、ガス排出部102を介してマニホールド4から排出される。
【0023】
マニホールド4は、マニホールド本体部43と、仕切板44とを有している。マニホールド本体部43は、内部に空間を有している。マニホールド本体部43は、直方体状である。マニホールド本体部43の上板部431には、複数の第1及び第2挿入孔(図示省略)が形成されている。第1セル10aは第1挿入孔に挿入され、第2セル10bは第2挿入孔に挿入される。なお、第1挿入孔は第1室41と連通しており、第2挿入孔は第2室42と連通している。
【0024】
各第1挿入孔は、マニホールド本体部43の長手方向(z軸方向)に間隔をあけて並んでいる。また、各第2挿入孔も、マニホールド本体部43の長手方向(z軸方向)に間隔をあけて並んでいる。第1挿入孔と第2挿入孔とは、マニホールド本体部43の幅方向(y軸方向)に間隔をあけて並んでいる。
【0025】
仕切板44は、マニホールド本体部43の空間を第1室41と第2室42とに仕切っている。詳細には、仕切板44は、マニホールド本体部43の略中央部において、マニホールド本体部43の長手方向に延びている。仕切板44は、マニホールド本体部43の空間を完全に仕切っている必要は無く、仕切板44とマニホールド本体部43との間に隙間が形成されていてもよい。
【0026】
[第1セル]
第1セル10aは、マニホールド4の第1室41の上方に配置されている。第1セル10aは、マニホールド4の第1挿入孔に挿入されている。第2セル10bは、マニホールド4の第2室42の上方に配置されている。第2セル10bは、マニホールド4の第2挿入孔に挿入されている。
【0027】
各第1セル10aは、主面同士が対向するように並べられている。また、各第1セル10aは、マニホールド4の長手方向に沿って間隔をあけて並べられている。各第2セル10bは、主面が対向するように並べられている。また、各第2セル10bは、マニホールド4の長手方向に沿って間隔をあけて並べられている。第1セル10aの列と、第2セル10bの列とは、実質的に平行に配置されている。第1セル10aと第2セル10bとは、側面が対向するように配置されている。
【0028】
図2に示すように、第1セル10aは、第1支持基板5aと、複数の第1発電素子部2aとを有している。各第1発電素子部2aは、第1支持基板5aの一方の主面503aのみに支持されていてもよいし、第1支持基板5aの両方の主面503aに支持されていてもよい。なお、本実施形態では、各第1発電素子部2aは、第1支持基板5aの両方の主面503aに支持されている。各第1発電素子部2aは、第1電気的接続部9a(図3参照)によって互いに電気的に接続されている。
【0029】
[第1支持基板]
第1支持基板5aは、第1基板本体部51aと、第1緻密層52aと、複数の第1ガス流路53aとを有している。また、第1支持基板5aは、近位端部501aと遠位端部502aとを有している。近位端部501a及び遠位端部502aは、第1支持基板5aの長手方向(x軸方向)における両端部である。第1支持基板5aの近位端部501aは、マニホールド4の第1挿入孔に挿入される。
【0030】
第1支持基板5aは、2つの主面503aと、2つの側面504aを有している。各主面503aは、各第1発電素子部2aを支持している。各主面503aは、第1支持基板5aの厚さ方向(z軸方向)を向いている。各側面504aは、第1支持基板5aの幅方向(y軸方向)を向いている。各側面504aは、湾曲していてもよい。図1に示すように、各第1支持基板5aは、主面503a同士が対向するように配置されている。
【0031】
図2に示すように、第1基板本体部51aは、第1発電素子部2aを支持している。第1基板本体部51aは、電子伝導性を有さない多孔質の材料によって構成される。第1基板本体部51aは、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成される。または、第1基板本体部51aは、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。第1基板本体部51aの気孔率は、例えば、20〜60%程度である。この気孔率は、例えば、アルキメデス法、又は微構造観察により測定される。
【0032】
第1緻密層52aは、第1基板本体部51aを覆っている。第1緻密層52aは、第1ガス流路53aを流れる燃料ガスが第1基板本体部51aを通って第2ガス流路53bへと流れることを抑制することができればよく、第1基板本体部51aの全面を覆っている必要は無い。本実施形態では、第1緻密層52aは、第1基板本体部51aの各主面、及び各側面を覆っている。すなわち、第1緻密層52aは、第1支持基板5aの各主面503aを構成するとともに、第1支持基板5aの各側面504aを構成している。なお、本実施形態では、第1緻密層52aは、後述する第1電解質7aと、第1インターコネクタ91aとによって構成されている。第1緻密層52aは、第1基板本体部51aよりも緻密である。例えば、第1緻密層52aの気孔率は、0〜7%程度である。
【0033】
第1ガス流路53aは、第1支持基板5aの近位端部501aから遠位端部502aまで延びている。第1ガス流路53aは、第1支持基板5aの長手方向(x軸方向)に沿って延びている。また、第1ガス流路53aは、第1基板本体部51a内を貫通して延びている。第1ガス流路53aの近位端部531aは、第1室41と連通している。また、第1ガス流路53aの遠位端部532aは、後述する連通部材3の流路30と連通している。
【0034】
[第1発電素子部]
図3に示すように、第1発電素子部2aは、第1燃料極6a、第1電解質7a、及び第1空気極8aを有している。また、第1発電素子部2aは、第1反応防止膜11aをさらに有している。第1燃料極6aは、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。第1燃料極6aは、第1燃料極集電部61aと燃料極活性部62aとを有する。
【0035】
第1燃料極集電部61aは、凹部513a内に配置されている。凹部513aは、第1基板本体部51aの両面に形成されている。詳細には、第1燃料極集電部61aは、凹部513a内に充填されており、凹部513aと同様の外形を有する。各第1燃料極集電部61aは、凹部611a及び凹部612aを有している。燃料極活性部62aは、凹部611a内に配置されている。詳細には、燃料極活性部62aは、凹部611a内に充填されている。
【0036】
第1燃料極集電部61aは、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、第1燃料極集電部61aは、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。第1燃料極集電部61aの厚さ、並びに凹部513aの深さは、50〜500μm程度である。
【0037】
燃料極活性部62aは、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極活性部62aは、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部62aの厚さは、5〜30μmである。
【0038】
第1電解質7aは、第1燃料極6a上を覆うように配置されている。詳細には、第1電解質7aは、一の第1インターコネクタ91aから他の第1インターコネクタ91aまで長手方向に延びている。すなわち、長手方向において、第1電解質7aと第1インターコネクタ91aとが交互に配置されている。また、第1電解質7aは、第1基板本体部51aの各主面及び各側面を覆っている。
【0039】
第1電解質7aは、第1基板本体部51aよりも緻密である。例えば、第1電解質7aの気孔率は、0〜7%程度である。第1電解質7aは、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料からなる焼成体である。第1電解質7aは、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。第1電解質7aの厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0040】
第1反応防止膜11aは、緻密な材料からなる焼成体であり、平面視において、燃料極活性部62aと略同一の形状である。第1反応防止膜11aは、第1電解質7aを介して、燃料極活性部62aと対応する位置に配置されている。第1反応防止膜11aは、第1電解質7a内のYSZと第1空気極8a内のSrとが反応して第1電解質7aと第1空気極8aとの界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。第1反応防止膜11aは、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。第1反応防止膜11aの厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
【0041】
第1空気極8aは、第1反応防止膜11a上に配置されている。第1空気極8aは、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。第1空気極8aは、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。また、第1空気極8aは、LSCFからなる第1層(内側層)とLSCからなる第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。第1空気極8aの厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0042】
第1電気的接続部9aは、隣り合う第1発電素子部2aを電気的に接続するように構成されている。第1電気的接続部9aは、第1インターコネクタ91a及び第1空気極集電膜92aを有する。第1インターコネクタ91aは、凹部612a内に配置されている。詳細には、第1インターコネクタ91aは、凹部612a内に埋設(充填)されている。第1インターコネクタ91aは、電子伝導性を有する緻密な材料からなる焼成体である。第1インターコネクタ91aは、第1基板本体部51aよりも緻密である。例えば、第1インターコネクタ91aの気孔率は、0〜7%程度である。第1インターコネクタ91aは、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。第1インターコネクタ91aの厚さは、例えば、10〜100μmである。
【0043】
第1空気極集電膜92aは、隣り合う第1発電素子部2aの第1インターコネクタ91aと第1空気極8aとの間を延びるように配置される。例えば、図3の左側に配置された第1発電素子部2aの第1空気極8aと、図3の右側に配置された第1発電素子部2aの第1インターコネクタ91aとを電気的に接続するように、第1空気極集電膜92aが配置されている。第1空気極集電膜92aは、電子伝導性を有する多孔質の材料からなる焼成体である。
【0044】
第1空気極集電膜92aは、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。第1空気極集電膜92aの厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
【0045】
[第2セル]
図4及び図5に示すように、第2セル10bは、第2支持基板5bと第2発電素子部2bとを有している。第2支持基板5bは、第2基板本体部51b、第2緻密層52b、及び第2ガス流路53bを有している。また、第2支持基板5bは、近位端部501bと遠位端部502bとを有している。第2支持基板5bの近位端部501bは、マニホールド4の第2挿入孔に挿入されている。第2基板本体部51bは、複数の第2発電素子部2bを支持している。第2緻密層52bは、第2基板本体部51bを覆っている。第2ガス流路53bは、第2支持基板5bの近位端部501bから遠位端部502bまで延びている。
【0046】
第2発電素子部2bは、第2燃料極6b、第2電解質7b、及び第2空気極8bを有している。上述したように、各第2セル10bは、第1セル10aと実質的に同じ構成であるため、詳細な説明を省略する。なお、第2発電素子部2bは、第1発電素子部2aよりも、燃料ガスに接触する面積が大きくしてもよい。すなわち、第2燃料極6bの面積は、第1燃料極6aの面積よりも大きくしてもよい。また、第2空気極8bの面積は、第1空気極8aの面積よりも大きくしてもよい。もちろん、第2燃料極6bの面積は、第1燃料極6aの面積と同じであってもよいし、第1燃料極6aの面積より小さくてもよい。また、第2空気極8bの面積は、第1空気極8aの面積と同じであってもよいし、第1空気極8aの面積より小さくてもよい。
【0047】
図1に示すように、第1支持基板5aの側面504aと第2支持基板5bの側面504bとが対向するように、第1及び第2支持基板5a、5bが配置されている。第1支持基板5aと第2支持基板5bとの間は隙間が形成されていてもよい。または、第1支持基板5aの側面504aと第2支持基板5bの側面504bとが接触していてもよい。
【0048】
[連通部材]
図6に示すように、連通部材3は、第1支持基板5aの遠位端部502aと第2支持基板5bの遠位端部502bとに亘って延びている。そして、連通部材3は、第1ガス流路53aと第2ガス流路53bとを連通させる流路30を有している。詳細には、流路30は、各第1ガス流路53aの遠位端部532aと各第2ガス流路53bの遠位端部532bとを連通する。流路30は、各第1ガス流路から各第2ガス流路まで延びる空間によって構成されている。連通部材3は、第1支持基板5aと第2支持基板5bとに接合されていることが好ましい。
【0049】
連通部材3は、多孔質である。また、連通部材3は、その外側面を構成する第3緻密層31を有している。第3緻密層31は、連通部材3の本体よりも緻密に形成されている。例えば、第3緻密層31の気孔率は、0〜7%程度である。この第3緻密層31は、連通部材3と同じ材料や、上述した第1及び第2電解質7a、7bに使用される材料、結晶化ガラス等によって形成することができる。
【0050】
[発電方法]
上述したように構成された燃料電池スタック100では、マニホールド4の第1室41に水素ガスなどの燃料ガスを供給するとともに、第1及び第2セル10a、10bを空気などの酸素を含むガスに曝す。すると、第1空気極8a及び第2空気極8bにおいて下記(1)式に示す化学反応が起こり、第1燃料極6a及び第2燃料極6bにおいて下記(2)式に示す化学反応が起こり、電流が流れる。
(1/2)・O+2e→O …(1)
+O→HO+2e …(2)
【0051】
詳細には、第1室41に供給された燃料ガスは、各第1セル10aの第1ガス流路53a内を流れ、各第1発電素子部2aの第1燃料極6aにおいて、上記(2)式に示す化学反応が起こる。各第1燃料極6aにおいて未反応であった燃料ガスは、第1ガス流路53aを出て連通部材3の流路30を介して第2ガス流路53bへ供給される。そして、第2ガス流路53bへ供給された燃料ガスは、第2セル10bの第2燃料極6bにおいて上記(2)式に示す化学反応が起こる。第2燃料極6bにおいて未反応であった燃料ガスは、マニホールド4の第2室42へ回収される。
【0052】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態では、第1室41に燃料ガスを供給し、第2室42から燃料ガスを排出しているが、燃料ガスの流れは特にこれに限定されない。例えば、第2室42に燃料ガスを供給し、第1室41から燃料ガスを排出してもよい。すなわち、第2ガス流路、連通部材3、第1ガス流路の順で燃料ガスを流してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、第1支持基板5aは複数の第1ガス流路53aを有しているが、第1ガス流路53aの数は1つでもよい。なお、この場合、第1ガス流路53aは扁平状であることが好ましい。
【0055】
また、上記実施形態では、第1セル10a及び第2セル10bは、マニホールド4の長手方向(z軸方向)に並んでいるが、マニホールド4の幅方向(y軸方向)に並んでいてもよい。
【0056】
上記実施形態では、連通部材3は多孔質であるが、連通部材3は金属によって構成されていてもよい。具体的には、連通部材3は、Fe−Cr合金、Ni基合金、又はMgO系セラミックス材料(第1及び第2支持基板5a、5bと同じ材料でも良い)などによって構成することができる。
【0057】
また、上記実施形態では、連通部材3の流路30は空間によって構成されていたが、連通部材3の流路30の構成はこれに限定されない。例えば、図7に示すように、連通部材3の流路30は、連通部材3内に形成された複数の気孔によって構成することができる。
【符号の説明】
【0058】
2a :第1発電素子部
6a :第1燃料極
7a :第1電解質
8a :第1空気極
2b :第2発電素子部
6b :第2燃料極
7b :第2電解質
8b :第2空気極
3 :連通部材
30 :流路
31 :第3緻密層
5a :第1支持基板
51a :第1基板本体部
52a :第1緻密層
53a :第1ガス流路
531a :近位端部
532a :遠位端部
501a :近位端部
502a :遠位端部
504a :側面
5b :第2支持基板
51b :第2基板本体部
52b :第2緻密層
53b :第2ガス流路
532b :遠位端部
501b :近位端部
502b :遠位端部
504b :側面
100 :燃料電池スタック
【要約】
【課題】ガスを回収可能であり、且つ容易に製造することのできる燃料電池スタックを提供する。
【解決手段】燃料電池スタック100は、第1発電素子部、第1支持基板5a、第2発電素子部、第2支持基板5b、及び連通部材3を備えている。第1支持基板5aは、第1基板本体部、第1緻密層、及び第1ガス流路を有する。第1緻密層は、第1基板本体部を覆う。第1ガス流路は、近位端部501aから遠位端部502aまで延びる。第2支持基板5bは、第2基板本体部、第2緻密層、及び第2ガス流路を有する。第2緻密層は、第2基板本体部を覆う。第2ガス流路は、近位端部501bから遠位端部502bまで延びる。連通部材3は、第1支持基板5aの遠位端部502aと第2支持基板5bの遠位端部502bとの間を延び、第1ガス流路と第2ガス流路とを連通させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7