特許第6030427号(P6030427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6030427アシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030427
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】アシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設
(51)【国際特許分類】
   E04H 3/24 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   E04H3/24
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-269104(P2012-269104)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-114584(P2014-114584A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】岡村 耕治
(72)【発明者】
【氏名】大越 英俊
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−169224(JP,A)
【文献】 実開昭63−116661(JP,U)
【文献】 特開平09−013718(JP,A)
【文献】 特開平09−228671(JP,A)
【文献】 特開平04−268134(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0037490(US,A1)
【文献】 特開平10−252151(JP,A)
【文献】 特開平02−204574(JP,A)
【文献】 米国特許第4164047(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 3/10−3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショープールもしくはプールサイドステージに近接して前面側に階段状の屋内固定観覧席を設けたアシカ等のショー施設において、床をプール蓋としてこれを柱をガイドとして機械的に昇降自在に支持し、この床の上には増席用の観覧席を設け、プールサイドステージの背面側にコンサートステージを設けたことを特徴とするアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設。
【請求項2】
屋外席としての屋外広場を連設する請求項1記載のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設。
【請求項3】
広場は壁で囲む請求項1または請求項2記載のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設。
【請求項4】
屋外広場は施設を挟むように配置し、コンサートステージ背面に引分け扉を設け、また、屋内観覧席と屋外広場とを開放サッシュで仕切る請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設。
【請求項5】
コンサートステージとプールサイドステージを分ける位置に可動間仕切りを配置する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設。
【請求項6】
プール内側に排気ルートを取り付ける請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設。
【請求項7】
増席用の観覧席を設けた床裏面には、軽量物を吊り下げる請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、体育館や劇場等のアリーナやホールにおいて、大空間を要するバスケットボールやバレーボール等と、小空間で良い卓球等を行う際や、異なる規模の演劇、音楽を同一施設で行う際に、イベント内容に対応した座席レイアウトを用意できることが必要となる。
【0003】
目的に応じた座席数や座席レイアウトを得ようとする場合、床面を移動する可動席を設けることが多く、例えば、一段高い固定式観客席の前方壁に収納室を設け、そこに水平移動する可動席を収納し且つ、そこから可動席を展張していた。
【0004】
なお、アシカ等のショーはプールサイドのステージにより行うが、このようなプールもしくはプールサイドによるステージとコンサートのような舞台によるステージの組み合わせについての多目的施設に関する提案は行われていないので先行技術文献も存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように固定式観客席の前方に可動席用の可動床が展開する場合、可動床が展開する床面は可動床が支障なく移動もしくは通過するために平坦でなければならず、凹凸や欠込みがあった場合は、可動床が設置できない。
【0006】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、ショープールがある場合など床の形状に凹凸や欠込みがあっても増設席の可動床が設置できるものであり、性格の異なる2つのステージ、多様な観客スペース、複数の空間可変機構の組み合わせによって変化する、多彩な顔をもつイベント空間を得ることができるアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、ショープールもしくはプールサイドステージに近接して前面側に階段状の屋内固定観覧席を設けたアシカ等のショー施設において、床をプール蓋としてこれを柱をガイドとして機械的に昇降自在に支持し、この床の上には増席用の観覧席を設け、プールサイドステージの背面側にコンサートステージを設けたことを要旨とするものである。
【0008】
請求項1記載の本発明によれば、アシカ等のショーの鑑賞が行える他に、コンサートステージによる音楽、演劇等の鑑賞も可能となるもので、アシカ等のショーの専用のホールとしての使用の他、観覧席を大幅に増席した大規模ホールとしての利用も可能なる。その際、プールは増席用の観覧席を設けた床により蓋をされ、その上が観覧エリアとなる。
【0009】
請求項2記載の本発明は、屋外席としての広場を連設することを要旨とするものである。
【0010】
請求項2記載の本発明によれば、広場と連続した使用法が可能となり、広がりのあるイベント空間が得られる。
【0011】
請求項3記載の本発明は、広場は壁で囲むことを要旨とするものである。
【0012】
請求項3記載の本発明によれば、広場と連続した使用法で屋内外を連続させるのに加えて、壁が包むことにより広場としての空間が創出できる。
【0013】
請求項4記載の本発明は、広場は施設を挟むように2つ配置し、コンサートステージ背面に引分け扉を設け、屋内観覧席と広場とを開放サッシュで仕切ることを要旨とするものである。
【0014】
請求項4記載の本発明によれば、広場は施設を挟むように2つ配置し、コンサートステージ背面に引分け扉を設け、屋内観覧席と広場とを開放サッシュで仕切ることで、これら引分け扉や開放サッシュを開放すれば、一つの広場+屋内部分を組み合わせるので開放感あふれるものとなる。
【0015】
コンサートステージ背面の引分け扉は、アシカショーを開催しながら同時にステージ設営を可能にするものであり、舞台のドラマチックな演出装置である。解放すると、ステージ背景に、外部の景観が象徴的に現れ、様々なイベントや演出の可能性を広げる。
【0016】
請求項5記載の本発明は、コンサートステージとプールサイドステージを分ける位置に大型可動間仕切りを配置することを要旨とするものである。
【0017】
請求項5記載の本発明によれば、可動間仕切りは、継ぎ目の目立たない白色ボードで、映写スクリーンとしても利用可能なものとすることができる。遮音性能もあり、アシカショー施設として利用されている際、このアシカステージは屋内施設のため、前記引分け扉を開いて、背中合わせの屋外ステージとしての利用が可能である。
【0018】
請求項6記載の本発明は、プール内側に排気ルートを取り付けることを要旨とするものである。
【0019】
請求項6記載の本発明によれば、プールからの臭気を増席用の観覧席に及ぼさないように配慮できる。
【0020】
請求項7記載の本発明は、増席用の観覧席を設けた床裏面には、軽量物を吊り下げることを要旨とするものである。
【0021】
請求項7記載の本発明によれば、床裏面には照明装置や音響装置、装飾物を吊り下げることができ、プール及びプールサイド上部の演出装置としても利用可能である。
【発明の効果】
【0022】
以上述べたように本発明のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設は、ショープールがある場合など床の形状に凹凸や欠込みがあっても増設席の可動床が設置できるものであり、性格の異なる2つのステージを鑑賞することができ、多様な観客スペースを作りだし、複数の単純な空間可変機構の組み合わせによって変化する、多彩な顔をもつイベント空間を得ることができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面について本発明の実施嫉視の形態を詳細に説明する。図1は本発明のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設の1実施形態を示す縦断側面図、図2図4は同上平面図、図5は同上縦断正面図である。
【0024】
図中1はアシカ等のショーを行うショープール、2はショープール1の脇に形成したプールサイドステージで、プールサイドステージ2の反対側でショープール1に近接して前面側に階段状の屋内固定観覧席3が設けられる。
【0025】
このようなアシカ等のショー施設で、プールサイドステージ2の背面側にコンサートステージ4を設ける。
【0026】
また、一枚の床5をプール蓋としてこれを柱6をガイドとして機械的に昇降自在に支持し、この床5の上には増席用の観覧席7を設けた。ちなみに、屋内固定観覧席3を500席程度とすると、増席用の観覧席も500席程度で、併せて1,000席程度になるものである。
【0027】
このようにして、プール蓋としての床5はプール床に設置した時のみ観客席として利用する安全な機構である。重量部物の楊重に利用される電動ウインチの既成技術を活用し、上部に収納している(空飛ぶ)ときは柱6で機械的に床を支持し、ウインチケーブルとあわせて地震などの災害にも万全なものとする。
【0028】
ショープール1の内側に排気ルートを取り付ける。
【0029】
前記増席用の観覧席7を設けた床5の裏面には、照明や音響装置、装飾物等の軽量物を吊り下げることができる。
【0030】
屋外席としての広場8,9を連設する。この広場8,9はともに壁10で囲むもので、壁10は施設の建物の壁11と連続させた。
【0031】
広場8は、約2,000人程度の屋外席が確保できるもので、屋内がこの広場8と一体になるように、屋内固定観覧席3がある部分と広場8とを開放サッシュ12で仕切る。
【0032】
広場9は、もう一つの広場として約500人程度の屋外席が確保できるもので、コンサートステージ4の背面に大型の引分け扉13を設け、この引分け扉13を開くことでコンサートステージ4の背面を開放できるようにした。
【0033】
また、コンサートステージ4とプールサイドステージ3を分ける位置に大型の可動間仕切り14を配置する。
【0034】
図5に示すように、ショープール1の脇にプールサイド席15とその上部階のバルコニー席16を設け、全体を覆う屋根17を架設した。
【0035】
図2に1階平面を示すと、コンサートステージ4をプールサイドステージ2に併設することで、アシカ等のショーの最中でもイベントの準備が可能となるように、コンサートステージ4の前には大型車18が横付けできる。コンサートステージ4の外側横に楽屋、倉庫、管理室、トイレ等の施設部屋を有する楽屋設備建物20を付設する。この楽屋設備建物20はコンサートステージ4とつながる。
【0036】
ショープール1やプールサイドステージ2を中心としたアシカ等のショー施設の外側脇に事務室21やアシカ等飼育エリア22を付設する。
【0037】
事務室21は更衣室、シャワーやトイレを備え、アシカ等飼育エリア22は飼育室、飼育水槽、調教スペース等を備え、プールサイドステージ2とこのアシカ等飼育エリア22は連通させている。
【0038】
図3に2階平面を示すと、図中23はグッズ売場、トイレ等を設けたユーティリティエリアである。また、屋内固定観覧席3と芝生広場8境の地下には数多くのトイレ24を設けた。
【0039】
次に使い方について説明する。本発明はコンサートステージ4とアシカ等のショーを行うプールサイドステージ2という性格の異なる2つのステージを観覧できるようにしたものであり、そのための観覧席も屋内固定観覧席3の500席と増席用の観覧席7は500席の併せて1,000席を確保できようにし、さらに、広場8と広場9との境に開口部を設け、広がりが得られるようにした。
【0040】
下記のような使い方が可能である。
・アシカ等のショー
屋内固定観覧席3の500席によるアシカ等のショーの専用ホールとして使用する。コンサートステージ4の背面の引分け扉13は、アシカ等のショーを開催しながら同時にステージ設営を可能にする大型搬入口である。
・アシカ等のショー+屋外ステージ
可動間仕切り14を閉めることによりコンサートステージ4とプールサイドステージ2を分け、広場9を観客席とする屋外ステージとアシカ等のショーの同時開催が可能である。このコンサートステージ4とアシカ等のショーのステージを分ける位置に配置された可動間仕切り14は、継ぎ目の目立たない白色ボードで、映写スクリーンとしても利用可能である。
・コンサート等
床5によりショープール1を蓋して、増席用の観覧席7は500席を確保し、併せて1,000席での鑑賞が可能である。コンサートの時は、可動間仕切り14の分割された壁がハンガーレールに沿って両サイドに収納されて視界から消えてコンサートステージ4が現れ、アシカ等のショー(500席)の空間を短時間で簡単にコンサートホール(1000席)に転換することができる。
・屋外コンサート等
屋内固定観覧席3と広場8(例えば屋外芝生席)を一体化する開放サッシュ12は、横連窓の掃出し窓で、閉鎖時も屋内外が連続し一体的に感じられる。操作しやすい大きさに分割された窓を、レールに沿ってスライドさせて収容できるようになっている。この開放サッシュ12の解放時は連窓が消え、屋内と屋外の観客席が一体となり、3,000人の観客席が確保できる。
・大イベント
開放サッシュ12、引分け扉13、可動間仕切り14を全て開いて、屋内固定観覧席3の500席、増席用の観覧席7の500席、広場8の2,000席、広場9の500席の合わせて3,500席を確保できる大イベント用施設としての利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設の1実施形態を示す縦断側面図である。
図2】本発明のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設の1実施形態を示す1階平面図である。
図3】本発明のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設の1実施形態を示すアシカ等のショー実施時の2階平面図である。
図4】本発明のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設の1実施形態を示すコンサート実施時の2階平面図である。
図5】本発明のアシカ等のショー施設とコンサートステージを兼ね備える多目的施設の1実施形態を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
【0042】
1…ショープール 2…プールサイドステージ
3…屋内固定観覧席 4…コンサートステージ
5…床 6…柱
7…増席用の観覧席 8,9…広場
10…壁 11…建物の壁
12…開放サッシュ 13…引分け扉
14…可動間仕切り 15…プールサイド席
16…バルコニー席 17…屋根
18…大型車 19…大型車搬入口
20…楽屋設備建物 21…事務室
22…アシカ等飼育エリア 23…ユーティリティエリア
24…トイレ
図1
図2
図3
図4
図5