(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部が、前記気化器の温度が第1の閾値よりも低い場合に前記加熱部が作動し、前記気化器の温度が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値よりも高い場合には前記加熱部が停止するように前記加熱部を制御する、請求項6又は7に記載の燃料電池モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池モジュールを示す概略ブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の燃料電池モジュール1は、改質器2、セルスタック3、燃焼部4、気化器5、断熱部材6,及び筐体7を備えている。筐体7は、例えば直方体状を呈する金属製の箱体が採用され、その内部に改質器2、セルスタック3、燃焼部4、気化器5、及び断熱部材6を収容する。
【0013】
燃料電池モジュール1は、水素含有燃料及び酸化剤を用いて、セルスタック3にて発電を行う。セルスタック3は、SOFC(Solid Oxide Fuel Cells)と称される複数のセルの積層体を有している。各セルは、固体酸化物である電解質が燃料極と酸化剤極との間に配置されることで構成されている。電解質は、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)等からなり、高温下で酸化物イオンを伝導する。燃料極は、例えばニッケルとYSZとの混合物からなり、酸化物イオンと改質ガス中の水素とを反応させて、電子及び水を発生させる。酸化剤極は、例えばランタンストロンチウムマンガナイトからなり、酸化剤中の酸素と電子とを反応させて、酸化物イオンを発生させる。
【0014】
水素含有燃料として、例えば、炭化水素系燃料が用いられる。炭化水素系燃料として、分子中に炭素と水素とを含む化合物(酸素等、他の元素を含んでいてもよい)若しくはそれらの混合物が用いられる。炭化水素系燃料として、例えば、炭化水素類、アルコール類、エーテル類又はバイオ燃料が挙げられ、これらの炭化水素系燃料は従来の石油・石炭等の化石燃料由来のもの、合成ガス等の合成系燃料由来のもの、又はバイオマス由来のものを適宜用いることができる。具体的には、炭化水素類として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、天然ガス、LPG(液化石油ガス)、都市ガス、タウンガス、ガソリン、ナフサ、灯油又は軽油が挙げられる。
【0015】
なお、アルコール類として、メタノール又はエタノールが挙げられる。エーテル類として、ジメチルエーテルが挙げられる。バイオ燃料として、バイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼル又はバイオジェットが挙げられる。酸化剤として、例えば、空気、純酸素ガス(通常の除去手法で除去が困難な不純物を含んでもよい)又は酸素富化空気が用いられる。
【0016】
改質器2は、図示しない燃料ブロワに接続されており、燃料ブロワにより水素含有燃料が供給されるとともに、気化器5に接続されており、気化された水が供給される。改質器2は、供給される水素含有燃料及び水を用いて改質ガスを発生させる。改質器2は、改質触媒を用いた改質反応により、水素含有燃料を改質して改質ガスを発生させる。改質器2での改質方式は、特に限定されず、例えば、水蒸気改質、部分酸化改質、自己熱改質、その他の改質方式を採用できる。改質器2は、後述する燃焼熱によって加熱され得るようにセルスタック3の上側に配置されている。改質器2は、改質ガスをセルスタック3の燃料極へ供給する。
【0017】
セルスタック3は、改質器2からの改質ガス、及び図示しない空気ブロワ等により供給された酸化剤を用いて発電を行う。このセルスタック3は、発電に用いられなかった改質ガス及び酸化剤をオフガスとして、燃焼部4へ供給する。
【0018】
燃焼部4は、セルスタック3から供給されるオフガスを燃焼させ、改質器2を加熱する。この燃焼部4は、セルスタック3の上部に位置している。燃焼部4の燃焼で発生した排ガスは、排ガス配管4aを介して筐体7外へ排気される。排ガス配管4aには、燃焼触媒4bが設けられており、排気される排ガスが当該燃焼触媒4bにより燃焼処理される。また、排ガス配管4aには熱交換部10が接続されており、排ガスの熱が図示しない貯湯水等と熱交換することにより回収される構成とされている。
【0019】
気化器5は、供給される水を加熱し気化させ、改質器2に供給される水蒸気を生成する。気化器5は、図示しない水ポンプに接続されており、水ポンプにより水が供給される。気化器5は、生成した水蒸気を改質器2へ供給する。気化器5には、気化器5を加熱するヒータ(加熱部)8が設けられている。加熱部8は、制御部9に接続されており、制御部9からの信号に基づいて動作する。制御部9は、CPU、ROM、RAM等を備えており、通常のコンピュータデバイスとして構成されている。この気化器5における水の加熱は、加熱部8による熱又は排ガスの熱により行われる。
【0020】
断熱部材6は、セルスタック3と気化器5との間に配置され、セルスタック3と気化器5との間の熱のやり取りを遮断する。
【0021】
ここで、気化器5の配置を詳細に説明する。
図2は、
図1に示す燃料電池モジュール1の内部流路及び構成要素の配置を説明する断面図である。
図2に示すように、筐体7は、改質器2及びセルスタック3を収納するための内部空間を有する。筐体7は、セルスタック3及び改質器2を収納する収納室11と、収納室11よりも外側に形成され、セルスタック3からのオフガスの燃焼による排ガスEGを通過させる排ガス流路12、及び酸化剤OXを通過させる酸化剤流路13と、収納室11、排ガス流路12及び酸化剤流路13を画成する各壁部と、を備える。なお、以下の説明においては、セルスタック3の各セルの積層方向に沿った方向(図面垂直方向)を筐体7の「長さ方向D1」とし、水平方向において各セルの積層方向と直交する方向を筐体7の「幅方向D2」とし、鉛直方向を筐体7の「上下方向D3」として以下の説明を行う。本実施形態では、収納室11、排ガス流路12、酸化剤流路13、及びこれらを形成する各壁部は、長さ方向D1から見て左右対称な構造となっている。
【0022】
収納室11は、幅方向D2に互いに対向する第1側壁部16,17、及び第1側壁部16,17の各下端部に連結される第1底壁部18によって画成される。以下では、収容室11を画成する第1側壁部16,17及び第1底壁部18をインナ壁部と称する。第1底壁部18の上方には、断熱部材6が配置され、断熱部材6の上方にはセルスタック3を支持する台座41が配置される。燃焼部4で発生した排ガスEGを通過させるため、収納室11の上端部は開口している。すなわち、収納室11の少なくとも燃焼部4より上方側の空間は、排ガスEGが流通するため、実質的には「排ガス流路」である。
【0023】
改質器2は、収納室11の一部である「排ガス流路」においてセルスタック3よりも下流側であって、セルスタックの上方側に配置されている。
【0024】
排ガス流路12は、収納室11を画成するインナ壁部と、幅方向D2において第1側壁部16,17の外側にそれぞれ配置される第2側壁部21,22と、第1側壁部16,17の上端部よりも上側に配置される第1上壁部23と、第1底壁部18よりも下側に配置される第2底壁部24と、によって画成される。以下では、第2側壁部21,22、第1上壁部23及び第2底壁部24をアウタ壁部と称する。
【0025】
第1上壁部23は第2側壁部21,22の上端部に連結され、第2底壁部24は第2側壁部21,22の下端部に連結される。第2側壁部21,22は、第1側壁部16,17から離間して対向するように配置される。
【0026】
排ガス流路12は、収納室11の上側の開口部と第1上壁部23との間に形成される排ガス流路12A,12Bと、第2側壁部21,22と第1側壁部16,17との間に形成される排ガス流路12C,12Dと、第2底壁部24と第1底壁部18との間に形成される排ガス流路12E,12Fと、を有する。排ガス流路12A,12Bは、燃焼部4からの排ガスEGを排ガス流路12C,12Dへ導く。排ガス流路12C,12Dは、排ガスEGを下方へ通過させ、当該排ガスEGの熱を外側の酸化剤流路13C,13Dを流れる酸化剤OXに供給する。排ガス流路12E,12Fは、排ガスEGを排ガス配管4aへ向かって水平方向に通過させる。このように、排ガス流路12は、インナ壁部と、インナ壁部の外側にインナ壁部から離間して対向配置されたアウタ壁部とを有し、インナ壁部とアウタ壁部との間に収容室11に連通するように形成されている。
【0027】
酸化剤流路13は、排ガス流路12を画成する壁部と、幅方向D2において第2側壁部21,22の外側にそれぞれ配置される第3側壁部26,27と、第1上壁部23よりも上側に配置される第2上壁部28と、第2底壁部24よりも下側に配置される第3底壁部29と、によって画成される。
【0028】
第2上壁部28は第3側壁部26,27の上端部に連結され、第3底壁部29は第3側壁部26,27の下端部に連結される。第3側壁部26,27は、第2側壁部21,22から離間して対向するように配置される。第2上壁部28は、第1上壁部23から離間して対向するように配置される。第3底壁部29は、第2底壁部24から離間して対向するように配置される。
【0029】
第1上壁部23には、その中央部に酸化剤供給部材36が設けられている。酸化剤供給部材36は、第1上壁部23から下方向に延在し、セルスタック3に酸化剤OXを供給する。酸化剤供給部材36は、一対のセルスタック3の間の隙間に入り込むように延びており、内部に酸化剤流路13Kを画成するとともに、先端部に貫通孔37,38を有している。
【0030】
酸化剤流路13は、第2上壁部28と第1上壁部23との間に形成される酸化剤流路13A,13Bと、第3側壁部26,27と第2側壁部21,22との間に形成される酸化剤流路13C,13Dと、第3底壁部29と第2底壁部24との間に形成される酸化剤流路13G,13Hと、を有する。酸化剤流路13G,13Hは、給気管4cからの酸化剤OXを水平方向に広がるように通過させ、酸化剤流路13C,13Dへ導く。酸化剤流路13C,13Dは、酸化剤OXを上方へ通過させ、当該酸化剤OXを内側の排ガス流路12C,12Dを流れる排ガスEGの熱によって加熱する。酸化剤流路13A,13Bは、酸化剤OXを幅方向D2における外側から内側へ向かって通過させ、酸化剤供給部材36の酸化剤流路13Kへ流して貫通孔37,38へ導く。
【0031】
第3底壁部29には、図示されない酸化剤供給部から酸化剤流路13に酸化剤を流入させるための給気管4cが設けられている。また、第2底壁部24には、排ガス流路12からの排ガスを排気する排ガス配管4aが設けられている。
【0032】
次に、改質ガス、酸化剤OX、及び排ガスEGの流れについて説明する。
【0033】
外部から供給される水素含有燃料、及び気化器5からの水蒸気を用いて改質器2で発生した改質ガスは、改質器2と台座41とを接続する図示しないパイプを通過して台座41に流れ込み、台座41からセルスタック3の各セルに供給される。改質ガスは、セルスタック3を下方から上方へ向かって流れ、一部はオフガスとして燃焼部4での燃焼に用いられる。酸化剤OXは、外部から給気管4cを介して供給され、酸化剤流路13G,13Hにて水平方向に広がり、内側を流れる排ガスEGで加熱されながら酸化剤流路13C,13Dを上方へ向かって通過する。酸化剤OXは、酸化剤流路13A,13Bを通過し、酸化剤供給部材36の酸化剤流路13Kを流れて、貫通孔37,38を通過してセルスタック3へ供給され、一部は燃焼部4での燃焼に用いられる。燃焼部4で発生した排ガスEGは、収納室11を上方に向けて流通し、改質器2を加熱する。その後、排ガス流路12A,12Bで排ガス流路12C,12Dに導かれ、外側を流れる酸化剤OXに熱を供給しながら排ガス流路12C,12Dを下方へ向かって通過する。排ガスEGは、底部まで達すると排ガス流路12E,12Fへ流れ込み、気化器5に熱を供給しながら排ガス流路12E,12Fを通過する。排ガス流路12E,12Fを通過した排ガスEGは、排ガス配管4aから排気される。
【0034】
筐体7の下部であって、収容室11の下方に位置する排ガス流路12E,12Fには、気化器5が設けられている。以下では、排ガス流路12E,12Fを画成する第2底壁部24及び第1底壁部18をそれぞれ底部及び蓋部とし、第2側壁部21,22の下端部を側部とする箱体を排気箱50と称し、気化部5の詳細を説明する。排気箱50の蓋部と側部との間には隙間が設けられており、排ガス流路12C、12Dを流通した排ガスが、排気箱50へ流入するための流入部を形成している。
図3(a)は、
図2に示す排気箱50の内部構成を説明する断面図であり、
図3(b)は、
図3(a)のII−II線に沿った断面図、
図3(c)は、
図3(a)のIII−III線に沿った断面図である。
図3(a)〜(C)に示すように、排気箱50は、排ガス配管(排出部)4a、気化器5、及び仕切り板(板部)51を有している。
【0035】
気化器5は、水を気化するための内部空間を有する管状体である。気化器5は、屈曲部を2箇所有しており、上下方向(D3方向)からみて略U字状に屈曲されて構成される。すなわち、気化器5は、一方の端部から屈曲部まで長さ方向D1に延びる第1気化器と、屈曲部間に幅方向D2へ延びる第2気化器と、第1気化器に対向配置され屈曲部から他方の端部まで長さ方向D1に延びる第3気化器を備えている。気化器5は、上下方向(D3方向)からみてセルスタック3と重なるように配置されている。また、気化器5は、第1気化器と第3気化器との間に排ガス配管4aが介在するように配置されている。気化器5は、第2底壁部24と所定の間隔dを有して配置される。すなわち、気化器5は、第2底壁部24と離間して配置される。所定の間隔dは、例えば5mm程度にすることができるが、排ガスEGが流通可能な間隔である限り特に限定されない。
【0036】
仕切板51の両側端部は、排気箱50の蓋部及び底部にそれぞれ連結されて排気箱50の内部に立設されている。仕切板51は、第1気化器の内側及び第2気化器の内側に沿って、排ガス配管4aを挟むように対向して2つ設けられている。2つの仕切板51は、水平方向に互いに対向している。仕切板51は、第2底壁部24に立設され、その上端側が第1底壁部18に接続され、気化器5の内側に沿って、長さ方向D1に延在する。仕切り板51は更に、第2側壁部21,22と連結される第2側壁部25に連結され、第2側壁部25と対向する第2側壁部26と連結されない非連結部52を有する。このように、仕切板51は、排気箱50の内部空間を仕切るように配置され、流入部と排出部との間の排ガス流路を形成する。排ガス配管4aは、鉛直方向からみて2つの仕切板51の間に設けられている。
【0037】
次に、排気箱50の内部における、排ガスEGの流れについて説明する。
図4は、排気箱内部における排ガスEGの流れを示している。排気箱50は、排ガス流路12C、12Dを通過して排気箱50内部に流入した排ガスEGを通過させる排ガス流路14を備える。
【0038】
排ガス流路14は、第1底壁部18、第2側壁部21,22、第2底壁部24、及び仕切り板51との間に形成される排ガス流路14A、14Bと、第1底壁部18、互いに対向する仕切り板51及び第2底壁部24により形成される排ガス流路14Cとを備えている。排ガス流路12C,12Dを下方へ向かって流入する排ガスEGは、排気箱50の鉛直方向下向きに流入し、排ガス流路14A,14Bを通過する。この際、排ガスEGは、気化器5を加熱しながら気化器5と第2底壁部24との隙間を通過する。排ガスEGが仕切り板51の設けられない非連結部52に到達すると、排ガス流路14A,14Bを通過した排ガスEGが合流し、排ガス流路14Cを通過する。排ガス流路14Cを通過した排ガスEGは、排ガス配管4aから排気される。
【0039】
次に、気化器5の構成について説明する。気化器5には、加熱部8、水配管54、及び温度計53が挿入されている。水配管54は気化器5の内部へ水WAを供給する。水配管54からは水ポンプにより水WAが注入される。注入された水WAは、気化器5内部を通過する際に気化器5の熱により加熱され、水蒸気として気化器5の出口側に設けられる水配管54から排出される。このため、水WAの流通方向は、気化器5の出口側において排ガス流路14Bを通過する排ガスEGと対向流となる。
【0040】
加熱部8は、気化器5を加熱する装置であり、例えば電圧を印加させることにより作動する。温度計53は、気化器5の温度を測定し、図示しない電気配線によって温度情報を制御部9に出力する。
【0041】
制御部9は、温度計53により取得した気化器5の温度に基づいて加熱部8の作動を制御する。燃料電池モジュール1の起動時における制御部9による加熱部8の制御処理を
図5に示すフローチャートを参照して説明する。まず、制御部9は、燃料電池モジュール1の起動開始指令を取得すると(S1)、作動信号を加熱部8に送信し、加熱部8を作動させる(S2)。次に、制御部9は温度計53より温度情報を取得し、気化器5の温度が所定の温度(例えば100℃)より高いか否かを判断する(S3)。制御部9は、気化器の温度が所定の温度より高いと判断した場合には、水ポンプを作動させ水WAを気化器5に注入する(S4)。一方、制御部9は、S3において気化器の温度が所定の温度以下と判断した場合には、S3の処理に移行して気化器5の温度が所定の温度より高くなるまで所定時間毎に繰り返し判断を行う。
【0042】
次に、燃料電池モジュール1の運転時における制御部9による加熱部8の制御処理を
図6に示すフローチャートを参照して説明する。制御部9は、
図6は以下に示す処理を所定の時間間隔で実行する。まず、制御部9は温度計53より気化器5の温度情報を取得し(S11)、気化器5の温度が第1の閾値Tminより高いか否かを判断する(S12)。気化器5の温度が第1の閾値Tminより低い場合には、制御部9は作動信号を加熱部8に送信し、加熱部8を作動させ(S13)、その後処理を終了する。一方、気化器5の温度が第1の閾値Tmin以上である場合には、制御部9は気化器5の温度が第2の閾値Tmaxより高いか否かを判断する(S14)。第2の閾値Tmaxは、第1の閾値Tminよりも高い閾値である。気化器5の温度が第2の閾値Tmaxより高い場合には、制御部9は停止信号を加熱部8に送信し、加熱部8を停止させ(S15)、その後処理を終了する。一方、気化器5の温度が第2の閾値Tmax以下である場合には、制御部9はそのまま処理を終了する。
【0043】
以上、第1実施形態に係る燃料電池モジュール1では、筐体7内部に気化器5、改質器2及びセルスタック3が収容され、気化器5は、排ガス流路内であって改質器2及びセルスタック3より下方の位置に改質器2と離間して配置され、且つ第2底壁部24と離間して配置される。このように気化器5が改質器2と離間して配置されることにより、気化器5の輻射冷却によって改質器2が冷却されることを緩和することができる。このため、安定した発電性能を発揮することができる。さらに、気化器5が排ガス流路を画成する第2底壁部24と離間して配置されることにより、排ガス流路外からの吸熱による気化器5の冷却を緩和することができる。このため、気化器5による水蒸気の生成が効率的に行われ、安定した発電性能を発揮することができる。
【0044】
ところで、セルスタック3の温度低下は発電時のセル電圧が低下させ発電効率を低下させるとともに、同一出力で発電する際に掃引電流値が大きく(高電流密度)なりセルスタック3の劣化を早める原因となる。また、改質器2の温度低下は燃料が未改質のままセルスタック3に流入する、いわゆるスリップの原因となる。第1実施形態に係る燃料電池モジュール1では、気化器5をセルスタック5と第2底壁部24を介して離間して配置し、セルスタック3の温度低下を抑制することで、発電効率を向上させることができる。また、気化器5を改質器2と離間して配置し、改質器2の温度低下を抑制することで、燃料スリップによるセルスタック3の損傷を防止することができる。
【0045】
また、第1実施形態に係る燃料電池モジュール1によれば、気化器5とセルスタック3との間には断熱部材6が配置されることで、断熱部材6がセルスタック3と気化器5との間の熱交換を抑制するため、気化器5の輻射冷却によってセルスタック3が冷却されることを一層緩和することができる。
【0046】
また、第1実施形態に係る燃料電池モジュール1によれば、気化器5を加熱する加熱部8を更に備えることで、セルスタック3の排ガスの熱量が変化した場合にも加熱部8の温度を適切に制御することができる。また、気化器5の温度を測定し、気化器5の温度と所定の閾値とに基づいて加熱部8の作動を制御してもよい。本実施形態によれば、排ガスと気化器5との接触距離を長く確保することにより排ガスが持つ熱の利用効率を高めることができる。このため、起動時および/または通常運転時において、加熱部8の動作頻度を抑制することができる。これにより、発電に必要な加熱部8の消費電力を低減し、燃料電池システムの発電効率を高めることができる。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る燃料電池モジュールは、第1実施形態に係る燃料電池モジュール1とほぼ同様に構成されるものであり、排気箱50の構成のみが相違する。本実施形態では、排気箱50に代えて排気箱50Aを備える。以下では説明理解の容易性を考慮して、第1実施形態に係る燃料電池モジュール1との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0048】
図7は、本実施形態に係る燃料電池モジュールが備える排気箱50Aの構成を示している。
図7(a)は、排気箱50Aの内部構成を説明する断面図であり、
図7(b)は、
図7(a)のII−II線に沿った断面図、
図7(c)は、
図7(a)のIII−III線に沿った断面図である。
図7(a)〜(C)に示すように、排気箱50Aは、排ガス配管4a、気化器5A、及び仕切り板51Aを有している。
【0049】
図7(b)、(c)に示すように、排気箱50には、直方体型の気化器5が配置される。気化器5は、第2底壁部24と所定の間隔dを有して配置される。すなわち、気化器5は、第2底壁部24と離間して配置される。所定の間隔dは、例えば5mm程度にすることができるが、排ガスEGが流通可能な間隔である限り特に限定されない。
【0050】
仕切板51Aは、気化器5の外側に沿って、気化器5及び排ガス配管4aを挟むように対向して2つ設けられている。仕切板51Aは、第2底壁部24に立設され、その上端側が第1底壁部18に接続され、気化器5の内側に沿って、長さ方向D1に延在する。仕切り板51Aは更に、第2側壁部21,22と連結される第2側壁部25に連結され、第2側壁部25と対向する第2側壁部26と連結されない非連結部52を有する。
【0051】
次に、排気箱50Aの内部における、排ガスEGの流れは第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。本実施形態における排気箱50Aにおいても、排ガス流路12C,12Dを下方へ向かって流入する排ガスEGは、排気箱50Aの鉛直方向下向きに流入する。そして、排ガスEGは、仕切り板51と第2側壁部21,22とにより形成される排ガス流路を通過する。その後、仕切り板51の設けられない非連結部52に到達した排ガスEGは、気化器5を加熱しながら気化器5と第2底壁部24との隙間を通過した後に排ガス配管4aから排気される。このため、水WAは、排ガスEGと対向流となる。
【0052】
以上、第2実施形態に係る燃料電池モジュール1においても、第1実施形態に係る燃料電池モジュール1と同様の効果を奏する。更に、本実施形態によれば、このように、水WAの流通方向と排ガスEGの流通方向が対向流となるので熱効率を向上させることでき、エネルギー効率良く気化器を加熱することが可能となる。
【0053】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る燃料電池モジュールは、第2実施形態に係る燃料電池モジュール1とほぼ同様に構成されるものであり、排気箱50Aの構成のみが相違する。本実施形態では、排気箱50Aに代えて排気箱50Bを備える。以下では説明理解の容易性を考慮して、第2実施形態に係る燃料電池モジュールとの相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0054】
図8は、本実施形態に係る燃料電池モジュールが備える排気箱50Bの構成を示している。
図8(a)は、排気箱50Bの内部構成を説明する断面図であり、
図8(b)は、
図8(a)のII−II線に沿った断面図、
図8(c)は、
図6(a)のIII−III線に沿った断面図である。
図8(a)〜(C)に示すように、排気箱50Bは、排ガス配管4a、気化器5A、及び仕切り板51Aを有している。
【0055】
仕切板51Aは、気化器5の外側に沿って、気化器5及び排ガス配管4aを挟むように対向して2つ設けられている。排ガス配管4aは、排気箱50Bの略中央位置に設けられている。仕切板51Aは、第2底壁部24に立設され、その上端側が第1底壁部18に接続され、気化器5の内側に沿って、長さ方向D1に延在する。仕切り板51Aは更に、第2側壁部21,22と連結される第2側壁部25に連結されない非連結部55、及び第2側壁部25と対向する第2側壁部26と連結されない非連結部52を有する。
【0056】
次に、排気箱50Bの内部における、排ガスEGの流れは第1及び第2実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。本実施形態における排気箱50Bにおいても、排ガス流路12C,12Dを下方へ向かって流入する排ガスEGは、排気箱50Bの鉛直方向下向きに流入する。そして、排ガスEGは、仕切り板51と第2側壁部21,22とにより形成される排ガス流路を通過する。その後、仕切り板51の設けられない非連結部52、55に到達した排ガスEGは、気化器5を加熱しながら気化器5と第2底壁部24との隙間を通過した後に排ガス配管4aから排気される。
【0057】
以上、第3実施形態に係る燃料電池モジュールにおいても、第1実施形態にかかる燃料電池モジュールと同様の効果を奏する。本実施形態のように、排ガス配管4aを排気箱50Bの略中央位置に配置し、仕切板51Aを気化器5及び排ガス配管4aを挟むように対向して2つ設けることで、排ガスと気化器5との接触距離が長く確保されるような流路を形成することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0059】
例えば、上記実施形態では、断熱部材6を備える場合を説明したが、必要に応じて断熱部材6を備えずに構成してもよい。
図5および
図6に示したフローチャートは、第1実施形態として説明したが、第2実施形態および第3実施形態に当該制御フローを適用してもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、気化器5に加熱部8、制御部9、及び温度計53を備える場合を説明したが、必要に応じて加熱部8、制御部9、及び温度計53を備えずに構成してもよい。また、気化器5は、その一部又は全体が上下方向(D3方向)からみてセルスタック3と重ならないように配置されていてもよい。
【0061】
また、筐体7の形状は各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変更することができる。例えば、第1側壁部16,17の上端部には内側へ向かって水平に延びる折込部が形成され、収納室11の上端部が折り込まれていてもよい。また、上記実施形態では、上側から酸化剤が導入されていた。しかし、筐体7を更にもう一重の筐体で覆い、当該筐体の下部に給気管を設けることで、下方から酸化剤を導入してもよい。