特許第6030557号(P6030557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030557
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】還元剤のための投与装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20161114BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20161114BHJP
   B01D 53/90 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   B01D53/86 222
   B01D53/90
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-524428(P2013-524428)
(86)(22)【出願日】2011年8月12日
(65)【公表番号】特表2013-536359(P2013-536359A)
(43)【公表日】2013年9月19日
(86)【国際出願番号】EP2011063926
(87)【国際公開番号】WO2012022690
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年5月22日
(31)【優先権主張番号】102010034709.4
(32)【優先日】2010年8月18日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500038927
【氏名又は名称】エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンステクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100102185
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 繁範
(74)【代理人】
【識別番号】100129399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】ブリュック ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】ホジソン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】バウアー ペーター
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/093035(WO,A1)
【文献】 特開2005−127318(JP,A)
【文献】 特表2004−511715(JP,A)
【文献】 特開2011−127442(JP,A)
【文献】 特開2013−57310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
B01D 53/86−53/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤(15)を排気ガス処理装置(4)に供給するための注入器(3)を備え、温度センサ(6)が前記注入器(3)に取り付けられており、
さらに圧力センサ(21)が前記注入器(3)に設けられ、
前記注入器(3)が、前記注入器(3)を電磁的に開口させて還元剤(15)を注入するための電気コイル(9)を有し、
前記電気コイル(9)は、少なくとも以下の機能:
前記注入器(3)を電磁的に開口させる機能、および
前記電気コイル(9)の電気抵抗を測定することにより温度を確定する機能を実施するように設定されており
前記注入器(3)の開口時間は、温度センサ(6)により測定された温度と、圧力センサ(21)により測定された圧力に基づいて決定され、
前記注入器(3)を開口させた後、所定の最小時間間隔が経過した後に、前記注入器(3)の温度を測定するように動作し、
前記電気コイル(9)の電気抵抗が上昇した場合には、前記注入器(3)の開口時間を短くすることを特徴とする、
還元剤(15)のための投与装置(1)。
【請求項2】
少なくとも20cm(センチメートル)の長さ(8)を有する還元剤ライン(7)が、送達装置(5)と前記注入器(3)との間に設けられる、請求項1に記載の投与装置(1)。
【請求項3】
排気ガス処理装置(4)に還元剤(15)を投与するための方法であって、前記投与は注入器(3)により行われ、前記方法は、少なくとも以下の工程:
a)前記注入器(3)内の還元剤(15)の温度および圧力を決定する工程と、
b)温度および圧力の関数として前記還元剤(15)の流動作用を決定する工程と、
c)圧力および前記流動作用の関数として前記注入器(3)の開口時間を決定する工程と、
d)特定の開口時間の間、前記注入器(3)を開口する工程と、
を含み、
前記工程a)では、前記注入器(3)内の前記還元剤(15)の温度は、前記注入器(3)を電磁的に開口させて、還元剤(15)を注入するための電気コイル(9)の電気抵抗を測定することにより決定され、
前記工程a)乃至d)は、工程d)の第1の実施と、直接後の前記方法の工程a)の実施との間で少なくとも所定の最小の時間間隔を経過させて、複数回反復され、
前記工程a)乃至c)の動作として、前記電気コイル(9)の電気抵抗が上昇した場合には、前記注入器(3)の開口時間を短くすることを特徴とする、
方法。
【請求項4】
少なくとも工程b)において前記流動作用を決定する工程または工程c)において前記開口時間を決定する工程は、以下の影響パラメータ(19):
前記還元剤(15)の少なくとも1つの化学特性、
前記還元剤(15)の少なくとも1つの物理特性、および
還元剤の必要量
の少なくとも1つを考慮に入れる、請求項に記載の方法。
【請求項5】
内燃エンジン(11)と、該内燃エンジン(11)の排気ガスを浄化するための排気ガス処理装置(4)と、請求項1〜のいずれか一項に記載の投与装置(1)と、前記排気ガス処理装置(4)への還元剤(15)の供給を制御するための制御装置(12)とを共に備え、前記制御装置(12)は請求項のいずれか一項に記載の方法を実施するように設定される、自動車(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元剤を、内燃エンジン、好ましくは自動車の内燃エンジンのための排気ガス処理装置に投与するための還元剤のための投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有害な排気ガス構成物質を排出するためのより厳しい制限値を考慮して、有害な排気ガス構成物質を減少させるために還元剤を排気ガスに添加する排気ガス処理装置が、内燃エンジンの排気ガスを浄化するために、ここ数年で次第に使用されてきている。このような排気ガス処理装置に頻繁に使用される方法は、排気ガス中の窒素酸化物をアンモニアを用いて還元する選択接触還元(SCR)法である。自動車において、アンモニアは多くの場合、直接保存されるのではなく、前駆体溶液の形態で保存される。その後、排気ガスの内部または外部のいずれかでこのような前駆体溶液からアンモニアが生成され得る。使用される前駆体溶液は特に多くの場合、例えば商標名AdBlue(登録商標)として入手可能である32.5%の尿素水溶液である。以下の説明において、「還元剤」という用語は、還元剤および還元剤前駆体、還元剤前駆体溶液などと同様に使用される。
【0003】
選択接触還元のための排気ガス処理装置において、特に正確な還元剤の投与が定期的に必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のことを考慮して、本発明の目的は、記載されている従来技術に関する技術的問題を少なくとも部分的に解決することである。特に、還元剤の特に正確な投与を可能にする、還元剤を投与するための費用効率が高い装置が特定される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は、請求項1の特徴に係る投与装置、および請求項5の特徴に係る還元剤を投与するための方法により達成される。本発明のさらに有益な実施形態は従属請求項において規定される。請求項に別々に記載した特徴は、任意の技術的に有用な方式で互いに組み合わされてもよく、詳細な説明からの例示的な事柄により補足されてもよく、本発明のさらなる改変が示される。
【0006】
本発明は、還元剤を排気ガス処理装置に供給するための注入器を含み、温度センサが注入器に取り付けられる、還元剤のための投与装置に関する。
【0007】
本発明は特に、還元剤タンクと、還元剤を排気ガス処理装置に供給するための注入器とを、還元剤タンクから注入器まで還元剤を送達するための送達装置と共に備え、温度センサが注入器に取り付けられる、還元剤のための投与装置に関する。この場合特に、液体尿素水溶液が保存され、注入器により投与される。
【0008】
温度センサは、注入器の(一体化)コンポーネントであってもよい。温度センサを注入器にすぐ近接して配置することも可能である。好ましくは、還元剤が注入器から出現する点と、温度センサとの間の距離は、100mm[ミリメートル]未満、好ましくは50mm[ミリメートル]未満、特に好ましくはさらに20mm[ミリメートル]未満である。
【0009】
温度センサは、少なくとも部分的に還元剤と直接接触してもよい。しかしながら、温度センサを還元剤から離間して配置し、熱伝導性要素を介して還元剤と接触させることも可能である。この熱伝導性要素は、例えば注入器のハウジングおよび/または還元剤ラインであってもよい。この場合、熱伝導性要素は好ましくは温度感受性(例えば高熱伝導性を有する薄壁など)であり、実際の温度を温度センサに急速かつ正確に伝える。好ましくは、還元剤から注入器までの距離は10mm[ミリメートル]未満、好ましくは2mm[ミリメートル]未満、特に好ましくは1mm[ミリメートル]未満である。
【0010】
特に、還元剤(特に尿素水溶液)の流動特性および/または粘性は、かなりの程度、還元剤の温度に依存する。注入器における還元剤の温度は実質的に注入器自体の温度に対応するので、一部の場合、還元剤タンク内または還元剤ラインの離れた領域内の還元剤の温度から顕著に外れる。注入器は通常、排気ガス処理装置に直接配置されるので、それ自体、異なる排気ガス温度のために、作動時にかなりの変動温度を有する。したがって、注入器における還元剤の温度を決定し、測定した温度を参照して、および/または測定した温度を考慮しながら、注入器の開口時間を適応させることは有益である。供給される還元剤の量は、かなりの程度、注入器の開口時間により決定される。好ましくは、測定した温度を使用して、還元剤の流動性、流動作用、粘度および/またはせん断抵抗がパラメータとして決定されるか、または算出される。次いでこのパラメータは、注入器の開口時間を決定する際に考慮に入れられる。
【0011】
本発明に係る投与装置は、少なくとも20cm[センチメートル]、好ましくは少なくとも50cm[センチメートル]、特に好ましくは少なくとも100cm[センチメートル]の長さを有する還元剤ラインが、送達装置と注入器との間に配置される場合、特に有益である。このような長い還元剤ラインにより、送達装置における還元剤の温度が、注入器における還元剤の温度からかなり外れることが定期的に起こり得る。したがって特に、このような長い送達ラインにより、注入器に(もまた)温度センサを設けることが有益である。必要に応じて、注入器における温度センサは投与装置に設けられる唯一の温度センサであってもよい。
【0012】
注入器が、少なくとも以下の機能:
注入器の電磁開口、および
コイルの電気抵抗を測定することにより温度を確定すること
を実施するように設定される電気コイルを有する場合、さらに有益である。
【0013】
注入器を開口するための電気コイルの電気抵抗は通常、特定の温度依存性である。電気コイルの導電性トラックに関して、少なくとも0.2%/ケルビン、好ましくは少なくとも1%/ケルビンおよび特に好ましくは少なくとも3%/ケルビンの温度依存性の電気抵抗を有する材料も必要に応じて使用されてもよい。これにより、温度変化の事象において、顕著なコイルの抵抗の測定可能な変化が生じることが確保される。
【0014】
さらに、本発明に係る投与装置は、圧力センサが注入器にさらに設けられる場合、有益である。この場合、温度センサおよび圧力センサの両方が注入器に設けられる。好ましくは、温度センサは同時に圧力センサである。例えば、圧力センサは、圧力の変化の下で変形する導電性トラックとして実現されてもよく、それにより、その電気抵抗が変化し、圧力変化が検出され得る。この導電性トラックは同時に温度センサとして利用されてもよい。次いで基準センサが、圧力センサにおける温度の交差影響(cross−influence)を決定するためにさらに必要とされる。この基準センサは、圧力変化の事象において変形しない第2の導電性トラックの形態で実装されてもよい。
【0015】
さらなる実施形態において、温度センサは、さらに機能しない導電性トラックまたはコイルを備える。この導電性トラックまたはコイルは、特に小さく設計されてもよい。例えば、コイルは、80オーム超、好ましくは400オーム超、特に好ましくは2500オーム超の抵抗を有する白金抵抗ワイヤであってもよい。このような抵抗ワイヤは非常に低い熱容量を有するので、温度変化に非常に迅速に反応する。
【0016】
さらなる実施形態において、温度センサは熱電対であってもよい。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、還元剤を排気ガス処理装置に投与するための方法であって、投与は注入器により行われ、前記方法は少なくとも以下の工程:
a)注入器付近の還元剤の温度を決定する工程と、
b)温度の関数として還元剤の流動作用を決定する工程と、
c)流動作用の関数として注入器の開口時間を決定する工程と、
d)特定の開口時間の間、注入器を開口する工程と
を含む、方法が提案されている。
【0018】
工程a)における(現在の)温度の決定または測定は、例えば注入器に直接配置される温度センサを使用して行われてもよい。この場合、還元剤の温度は、温度感受性熱導体を介して直接または間接的に決定されてもよい。
【0019】
工程b)における「流動作用」という用語はまた、特に還元剤のせん断抵抗および/または粘度を含む。工程b)における流動作用の決定は、例えば、制御装置に保存された式を使用する計算により行われてもよく、工程a)において決定された温度が式に考慮に入れられる。同様に、限界値、入力−出力マップなども制御装置に保存されてもよく、保存された情報を用いる、決定された温度の比較により、その後の工程についての特性値が得られる。
【0020】
工程c)において、制御装置に保存される式および/または入力−出力マップは同様に、注入器の開口時間を算出するために使用されてもよい。この式はまた、工程b)において算出された流動作用も考慮に入れられる。
【0021】
還元剤の排気ガス処理装置への供給は、工程d)において注入器を開口することにより行われる。
【0022】
本発明に係る方法は、以下の影響パラメータ:
注入器における還元剤の圧力、
還元剤の少なくとも1つの化学特性、
還元剤の少なくとも1つの物理特性、および
還元剤の必要量
のうちの少なくとも1つもまた、少なくとも工程b)における流動作用を決定する際に、または工程c)における開口時間を決定する際に考慮に入れられる場合、特に有益である。
【0023】
明確化のために、特に影響パラメータは、工程b)およびc)の両方において考慮に入れられてもよく、異なる影響パラメータがそれらの工程において考慮に入れられてもよいことが指摘されるべきである。
【0024】
還元剤のせん断抵抗または流動作用または粘度はまた、さらに還元剤の圧力に依存するので、工程b)において流動作用を決定する際にこの圧力を考慮に入れることも有益である。注入器の所定の開口時間の間、注入器を通る還元剤の量は、かなりの程度まで、注入器における(注入器の前および/または注入器内の)還元剤の圧力に依存する。したがって、工程c)において開口時間を算出するときに圧力を考慮に入れる場合、有益である。
【0025】
(工程b)において)流動作用を算出する際に、および/または(工程c)において)注入器の開口時間を算出する際に考慮に入れられ得る還元剤の化学特性として、例えば還元剤の化学組成が使用されてもよい。例えば、還元剤の尿素の濃度および/または還元剤中の特定の添加物の存在がここで考慮に入れられてもよい。
【0026】
物理特性として、例えば、還元剤の密度、熱電導率、電気伝導率、表面張力および/または凝集条件が考慮に入れられてもよい。一部の場合、還元剤の流動作用または粘度についての情報は、本発明に係る方法を実施する前に既に利用可能であってもよく、その情報は後で本発明に係る方法の過程においてのみ補正される。流動作用または粘度についてのこの既存の情報は、例えば、比較粘度と称され得る。還元剤のこのような比較粘度は、例えば制御装置に保存されてもよい。タンク内の還元剤の量および/または温度を定期的に測定してもよく、それらから比較粘度を決定してもよい。次いでこの比較粘度も本発明に係る方法の工程b)において考慮に入れられてもよい。例えば、工程b)において決定される流動作用または粘度は、規定値以下で比較粘度から外れることが確実にされ得る。工程b)において、比較粘度は、流動作用または粘度を算出する際に、10%超、好ましくは50%超の重み付けで含まれてもよい。
【0027】
さらに、流動作用を決定する際に、および/または開口時間を決定する際に還元剤の必要量を考慮に入れることも有益である。還元剤の必要量は、工程c)において決定される注入器の開口時間に重要な影響を与える。工程b)において還元剤の必要量は、流動作用の決定において交差影響を形成し得る。
【0028】
さらに、提案される方法は、この方法の工程d)の第1の実施と、後のこの方法の工程a)の実施との間で最小の時間間隔を経過させて複数回反復される場合、特に有益である。この方法の複数回反復はまた、反復方法の実施と称される場合もある。また、この方法の工程a)〜d)の各々の個々の実施は、方法の反復と称される場合もある。第1の方法の反復の後の方法の実施は好ましくは、第1の方法の実施の直接後、または方法の反復の直接後の方法の実施である。
【0029】
工程a)および工程b)は工程c)および工程d)より短い反復速度で実施されてもよい。その場合、還元剤の温度の決定および流動作用の決定は、例えば、各々5回未満、好ましくは各々10回未満、特に好ましくは各々15回未満の注入器の開口プロセスで実施される。工程d)の第1の方法の実施と、その後の工程a)の方法の実施との間の最小時間間隔は、例えば、少なくとも5s[秒]、好ましくは少なくとも10s[秒]、特に好ましくは少なくとも1分であってもよい。注入器が開口すると、電流が流れる結果としてさらなる熱が生成される。この熱は、温度センサにより測定される温度を改ざんする。したがって、記載した最小時間間隔を経過させることが有益である。特定の最小時間間隔を経過させる結果として、還元剤および注入器の温度の平衡が起こる。注入器は必要に応じて本明細書に表されている特定の熱容量を有する。
【0030】
また、本発明に係る方法は、排気ガス処理装置に接続された内燃エンジンが、内燃エンジンの全負荷の少なくとも90%で作動する場合、中断されることが有益であり得る。好ましくは、本発明に係る方法は、内燃エンジンが全負荷の80%超、特に好ましくは50%超で作動している場合、既に中断されている。このような負荷状況下で、非常に多量の還元剤が排気ガス処理装置内に投与されなければならない。この目的のために、注入器は非常に頻繁に開口されなければならず、この場合、計算はタイムクリティカル(最優先で実行される)でなければならず、さらに、これらの時間の間、温度ストレスは実質的に高いままである。
【0031】
本発明に係る方法に関して記載されている利点および実施形態の特徴は、本発明に係る投与装置に同様に移転可能である。同様のものが、本発明に係る投与装置について記載されている特別な利点および実施形態の特徴に適用される。したがって、本発明に係る方法は、特に本発明に係る投与装置の実施形態を使用して実施されてもよい。
【0032】
内燃エンジンと、該内燃エンジンの排気ガスを浄化するための排気ガス処理装置と、本発明に係る投与装置と、還元剤の排気ガス処理装置への供給を制御するための制御装置とを有する自動車が、本発明の出願の好ましい分野とみなされ、制御装置が本発明に係る方法を実施するように設定される。
【0033】
本発明および関連する技術分野は、図面を参照して以下により詳細に説明される。図面は特に好ましい例示的な実施形態を示すが、本発明はそれらに限定されない。特に図面、および特に示される寸法関係は単なる概略であることが指摘されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係る投与装置を有する自動車を示す。
図2】本発明に係る投与装置のための注入器を示す。
図3】本発明に係る方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、内燃エンジン11および該内燃エンジン11の排気ガスを浄化するための排気ガス処理装置4を有する自動車10を示す。排気ガス処理装置4は注入器3(バルブ)を有し、該注入器3により還元剤が排気ガス処理装置4に供給され得る。注入器3はまた、投与装置1のコンポーネントでもあり、投与装置1は、注入器3から離間した還元剤タンク2、送達装置5および還元剤ライン7も備える。還元剤(特に尿素水溶液)は送達装置5により還元剤ライン7から注入器3まで運搬される。還元剤ライン7は長さ8を有する。温度センサ6および(必要に応じて)圧力センサ21が注入器3に設けられる。加えて、自動車10は、注入器3および送達装置5を制御できる制御装置12を有する。この目的のために、制御装置12は自動車10の種々のコンポーネントに接続される。ここで、内燃エンジン11との接続、送達装置5との接続、注入器3との接続、および温度センサ6との接続が例として示される。制御装置は、これらの接続を介して利用可能になるデータに応じて注入器3を制御するように設定される。
【0036】
図2は還元剤(特に尿素水溶液)を排気ガス処理装置に供給するための注入器3を示す。注入器3は還元剤ライン7に接続される。注入器3を開放または閉鎖できるバルブ電機子13が注入器3に設けられる。注入器3が閉鎖すると、バルブ電機子13は停止部(ストップ、stop)18に対して位置する。注入器3の開口は、バルブ電機子13が電気コイル9により移動され得ると行われ得る。図2に示した注入器3の場合、電気コイル9は同時に温度センサ6として機能する。還元剤15の温度は矢印により示した熱伝導17により電気コイル9に移される。熱伝導17はまた、バルブブロック16を通して作用する。注入器3が閉鎖すると、チャネル14が閉鎖する。注入器3が開口すると、このチャネル14は、注入器3からまたは還元剤ライン7から排気ガス処理装置4までの通路を規定する。
【0037】
図3は、概略的にブロック図として工程a)、b)、c)およびd)を含む、本発明に係る方法を示す。この方法はループ形態で定期的に反復されることが示される。工程d)の実施後、工程a)の新たな実施が行われる前に時間間隔20が経過することが表される。種々の影響パラメータ19もまた、プロセス工程b)およびc)で考慮されることも示される。これらの影響パラメータ19は、例えば、(上述のように)注入器における還元剤の圧力、還元剤の少なくとも1つの化学特性、還元剤の少なくとも1つの物理特性、または還元剤の必要量であってもよい。
【0038】
したがって、本発明は、記載されている従来技術の技術問題を少なくとも部分的に解決する。特に、還元剤の特に正確な投与を可能とする、還元剤を投与するための特に費用効率が高い装置を特定する。
【符号の説明】
【0039】
1 投与装置
2 還元剤タンク
3 注入器
4 排気ガス処理装置
5 送達装置
6 温度センサ
7 還元剤ライン
8 長さ
9 電気コイル
10 自動車
11 内燃エンジン
12 制御装置
13 バルブ電機子
14 チャネル
15 還元剤
16 バルブブロック
17 熱伝導
18 停止部
19 影響パラメータ
20 時間間隔
21 圧力センサ
図1
図2
図3