【文献】
J. A. Driscoll et al.,A Demonstration of Burning Magnesium and Dry Ice,Journal of chemical education,1978年 7月,Vol.55, No.7,p.450-451
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記MgOの少なくとも幾つかを処理してマグネシウム(Mg)を回収するステップと、前記回収された少なくとも幾つかのMgを燃焼反応で使用するステップとを含む、請求項1に記載のプロセス。
反応生成物をより小さなサイズに縮小することによって凝集を減らし、より大きな表面積を有するより均一な試料を提供するステップを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0010】
概説
本発明において、CO
2などの酸化剤を、マグネシウムなどの還元剤と共に、高温反応器内で燃焼させることによって、様々なナノスケール生成物、例えば、グラフェン、グラフェン複合材、MgO、および他のナノ材料などを形成する。したがって、
図1に例示されているように、CO
2およびマグネシウムを反応器に導入し、この反応器内で燃焼反応が起こり、主に炭素とMgOナノ粒子とからなるナノスケール物質の不均一な混合物を生成する。この反応は、5610°F(3098℃)またはより高い温度の熱、赤外線、可視光、および紫外線電磁放射線を含めた極度の量のエネルギーを生成し、これらすべてを捕集および利用することができる。次いで炭素および酸化マグネシウムを互いに分離させ、さらに統合されたセットのプロセスステップ、例えば環状流分離、サイクロン分離、重力電池分離、浮上分離、遠心分離、酸洗浄、脱イオン水洗浄、超音波プロセシング、真空での高温処理、および/または他の適切な分離プロセスなどにおいて存在し得る任意の他の反応生成物から分離させる。この反応により生成した熱は、分離ステップおよび反応生成物の精製において使用するために回収され、この反応で生成したUV放射および他のエネルギーは、他の使用のために回収することができる。化学反応、反応温度、冷却速度、圧力、投入材およびガスおよび他のパラメータを制御することによって、反応生成物の質、特徴および形態を決定する。MgO生成物のすべてまたは一部をリサイクルすることによって、反応に使用するための高度に精製されたマグネシウムを得る。
【0011】
本発明で生成した生成物は、プロセスのすべての段階、すなわち反応前、反応中、および反応後において、変数を制御することによって決定される。例えば、この反応へのさらなる物質の導入は、添加した物質のナノ形態および複合材の生成を結果として生じることが判明し、反応温度および勾配を変化させることによって、反応生成物の形態に影響を与えることが判明し、分離および精製処理を変化させることによって、生成物の一貫性を有意に変化させることが実証されている。
【0012】
本発明は、新規の挿入または多層化グラフェン−酸化マグネシウム複合材、ならびにペリクレースまたは結晶性MgOを含めた様々な形態のナノスケールMgO粒子を生成することが判明した。この反応に存在する他の物質はまた、ナノ材料または複合材に変換させることができる。例えば、アルミニウムがマグネシウム内にアロイ物質として存在する場合、本発明は、ナノ−スピネル(結晶性MgAl
2O
4)を生成する。新規複合材または単一成分のナノ構造体を生成するための供給原料と共に投入物として、他の酸化剤をこの反応に導入することができる。さらに、非反応物質、例えばケイ素、銀、金、銅、および鉄などをこの反応に導入することによって、これら物質のナノ形態、これら物質で装飾されたグラフェン、ならびにグラフェン複合材およびこれらの他のナノ複合材を生成することができる。
【0013】
マグネシウム−CO
2反応は、発熱性が高く、5610°F(3098℃)の範囲の非常に高い温度を含めた電磁スペクトルに渡り、高エネルギー束を生成する。本発明は、反応の極度のエネルギーを保つためのプロセス制御およびシステムを含み、これには、プロセスの作動効率および経済効率を改善するためのこのエネルギーの管理、捕集、および再利用が含まれる。反応からの熱は、生成物の分離および精製のため、および本プロセスでのリサイクリングのためのMgOからマグネシウムへの変換において、または電気の生成における使用または他の使用のための販売用に使用することができる。この反応で生成した紫外線エネルギーもまた捕集および使用される。
反応において使用するために、大部分またはすべてのMgO生成物をリサイクルすることは、特に本発明が大規模に作動される場合、供給原料のコストを安く保つばかりでなく、マグネシウム市場への影響を最小限に抑える。これはまた、採掘した原料からマグネシウムを生成する能力が限られていることを考慮しても重大である。現在好ましい一実施形態では、例えば、MgO生成物は、電解によりマグネシウムに還元されるが、これはマグネシウムを生成するための従来技法と比較して、相対的に低コストで、エネルギー効率のよいプロセスである。
【0014】
本発明の生成物は、ナノスケール物質、例えば、カーボングラフェンおよびMgOナノ粒子などを含み、所望する場合、新規のグラフェン複合材および他のナノ材料を含む。本発明はまた、非炭素ナノ材料、例えばスピネルおよび新規の挿入または層状グラフェン−ペリクレースおよびグラフェン−スピネル複合材料を生成することもでき、多くの他の形態のナノ材料もまた生成可能であると考えられている。さらに、上述のように、反応しない物質、例えば銀またはケイ素などをこの反応に導入することによって、ナノ−銀、ナノ−ケイ素、銀またはケイ素で装飾されたグラフェン、銀−グラフェンまたはケイ素−グラフェン複合材、および他の銀ナノ複合材またはケイ素ナノ複合材などを生成することができる。本発明により生成した2つの形態のナノ結晶は、スピネル(結晶性MgAl
2O
4)およびペリクレース(結晶性MgO)である。さらに、複数層のグラフェンが表面に堆積した、または複数層のグラフェンに挿入されたナノ結晶の複合材が生成されている。このような複合材において、層は、1ナノメートル以下の範囲で離れており、ファンデルワールス力により結ばれている。グラフェン−ペリクレースおよびグラフェン−スピネルナノ複合材は、新規物質であると考えられている。
【0015】
CO
2およびマグネシウムの発熱反応は、好ましい実施形態において利用されるが、その一方でこの熱は、他の供給源、例えば他の発熱性化学反応、高温原子炉、太陽炉、電気アーク、プラズマの電磁流体力学的加熱、水素または他の燃料の燃焼などにより、または他の適切な手段により供給することができる。同様に、グラフェンを生成するための初期反応物は、任意の炭素含有分子、例えば二酸化炭素、一酸化炭素、ホスゲン(COCl
2)、メタン、エチレン、アセチレン、他の炭素含有物質、およびこれらの組合せであってよい。同様に、他の土類金属、例えばアルミニウム、チタン、亜鉛、ナトリウム、リチウム、カルシウム、およびこれらの組合せなども還元剤として使用することができる。
【0016】
好ましい実施形態
図2に例示された実施形態では、CO
2およびマグネシウムは、高温反応器21に導入され、ここで発熱性の高い酸化還元反応においてこれらが一緒に燃焼され、この反応は、高エネルギーおよびおよそ5610°F(3098℃)またはそれより高い温度の熱を生成するが、同時に以下の関係に従い酸化マグネシウム(MgO)と炭素からなる均質な反応生成物を生成する:
2Mg(s)+CO
2(g)→2MgO(s)+C(s)
均質な反応生成物は、過熱状態の反応生成物の有利な膨張により、またはクエンチのためのさらなる能動冷却により急速に冷却され、ナノ粒子構造を保持し、次いで脱イオン水槽22内で湿気を得る。これにより、ナノカーボングラフェンおよびナノMgO反応生成物が結果として湿り、MgOの一部が水と反応することによって、水酸化マグネシウム(Mg(OH
2))を形成する:
MgO(s)+H
2O(l)→Mg(OH)
2
次いでこの混合物は、例えば、20キロヘルツの周波数および500ワットの電力レベルで作動する超音波プローブ23で処理することによって、不均一な反応生成物がより小さな粒子に粉砕され、それに続く処理またはプロセシングに対してより大きな表面積が曝露される。
【0017】
塩酸(HCl)24を超音波処理した混合物に添加する。カーボングラフェンは、HClに不活性であるが、HClは、この混合物中の未反応のマグネシウムならびに溶解したMgOおよびMg(OH
2)と反応することによって、塩化マグネシウム(MgCl
2)および水(H
2O)を形成する:
Mg(OH)
2(s)+2HCl(l)→MgCl
2(s)+2H
2O(l)
この反応生成物をHClで処理した後、2.5ミクロン濾紙を有するBuchner真空漏斗26を用いて溶液を濾過し、グラフェンを濾紙に付着させ、MgCl
2を通過させる。次いで第1加熱ステージ27において、濾紙およびグラフェンを93℃の温度に加熱することによって、グラフェンを乾燥させ、濾紙からのこれらの除去を促進させる。
グラフェンに結合した、またはグラフェンと混合したあらゆる酸化物を完全に取り除くために、グラフェンを、乾燥させた石英ボートに置き、乾燥させた石英管オーブン28内で、真空下で、1150℃の温度で既定の時間の間加熱する。グラフェンが所望の純度レベルに到達するまでこのステップを繰り返し、連続して繰り返すことにより、グラフェン生成物のマグネシウム汚染における直線的な還元が得られる。
フィルター26からのMgCl
2を、セル29内で電解によりプロセシングすることによって、塩素からマグネシウムを分離する:
MgCl
2(s)+エネルギー→Mg(s)+Cl
2(g)
【0018】
マグネシウムは、Mg−CO
2反応での使用のために反応器21でリサイクルし、塩素は、リサイクルまたは販売することができる。
反応器から放出された酸化マグネシウムを捕集し、濾過30でプロセシングすることによって、MgOナノ粒子を回収する。
この反応は、厳重に断熱され、外部から冷却されている反応器内で行われることが好ましく、この一実施形態が
図3に示されている。この反応器は、円柱状の内側壁32、外側壁33、壁の間の断熱材34、および床36を有する縦型の開口型反応チャンバー31を有する。内壁は、二重の壁構造を有し、内層またはセクション32aは、およそ5610°F(3098℃)またはそれより高い反応温度に耐え、反応に不純物を導入しない物質で作られ、外層またはセクション32bは、この反応により生成される高温にも耐えることができる断熱材で作られている。内層またはセクションは、例えばジルコニアと希土類酸化物の混合物、グラファイト、または高温に適合した別の適切な物質で作ることができる。外壁33は金属で作られ、液体冷却することによって、局所的温度を低下させ、廃熱を収集する。例えば入口ポート37などのポートは、反応チャンバーの内部とつながっており、供給原料または試薬、不活性ガス、他の物質およびガス、ならびにセンサーの反応チャンバーへの制御された導入を可能にする。他のポート(示されていない)は、チャンバーからの反応生成物の制御された回収を提供する。
【0019】
反応器内のCO
2雰囲気は、グラフェン、他の反応生成物、およびグラファイト反応器の壁の燃焼を阻止する酸素を含まない環境を提供する。開口型反応器の出口端のCO
2ガスゾーンにより、炭素生成物の点火温度以下への冷却を可能とするさらなる時間が提供される。反応用のマグネシウム金属粒子は、反応器のアルゴンガス流内に注入することができ、このアルゴンはまた、他の潜在的に反応性のあるガス、例えば酸素または窒素などを燃焼反応から締め出すためのバリアを提供するために使用することもできる。
反応器は、バッチモードまたは連続モードのいずれかで作動させることができる。バッチプロセシングは、例えば反応時間などを含めた反応パラメータの有意な制御を可能にすることが判明し、特定の最終生成物の目的に対して好ましいこともある。しかし、連続プロセスは一般的により大きな生産収量をより短期間で提供し、したがって多くの用途においてより好ましいモードとなり得る。
バッチモードにおいて、気体MgOは、反応チャンバーから排出されるのが有利であり、他の反応生成物は、チャンバー外側で分離し、反応生成物は、
図2の実施形態の通り、不均一な混合物として分離プロセスに入る。
連続モードにおいて、反応生成物の初期分離は、例えば、
図4で見られる通り、反応チャンバー内で起こる。ここで、反応器は、連続環状流形燃焼器として作動しているように示されており、炭素および酸化マグネシウム反応生成物の初期分離は、環状流プロセスにおいて起こる。本実施形態では、CO
2ガスおよび固体マグネシウム粒子は、チャンバーの下位部に送り込まれ、電気アークまたは水素−酸素の火炎で点火することによって、流動化したCO
2、酸化マグネシウム、および反応粒子の上方向の環状流が生成され、高密度の環状流成分39は、チャンバーの外側部に、低密度の環状流成分41は内部領域にある。流れが上方へと進行するにつれて、内部領域および2つの領域間の境界が外向きに広がり、この反応ゾーンの最上部に行くにつれて、より高密度の粒子がチャンバーの側壁付近に集中する。反応器は垂直の方向で、上昇流を有するように示されているが、反応器を反対にして、流れを下向き方向にすることもでき、または所望する場合、これを水平方向にし、水平流を有することもできる。
【0020】
CO
2およびMgの点火は、反応チャンバーの底部で電気アークまたは火炎で開始され、円錐形の内部流ゾーンは、Mg−CO
2反応における粒子の作用に起因する。したがって、上述のように、チャンバー外側部に高密度の加熱されたナノカーボンおよび酸化マグネシウム粒子の上昇流があり、内側領域に低密度の加熱されたナノ−カーボンおよび酸化マグネシウム粒子の上昇流があり、流れが上方に進行するにつれて内部領域は外向きに広がる。反応生成物が環状流ゾーンを介して上方に移動するにつれて、これらはまた、自然に、または分離プロセスをさらに補助する固定羽根から、速度の回転成分を獲得することもできる。したがって、例示されているように、高密度、低回転速度、低温のナノ−カーボン粒子および酸化マグネシウム粒子の上昇流がチャンバー外側部で起こり、その一方で高回転速度、低密度、非常に高温のナノカーボン粒子および酸化マグネシウム粒子の上昇流が最内部領域に起こる。反応チャンバーは、C/Mg物質が反応器を離れる前にこれを冷却するのに十分な位の長さまたは高さを有する。
【0021】
この結果が、流体密度の作用として流体またはスラリーの分離を補助する反応器内に組み込まれた初期ステージの分離プロセスである。MgO気体は、チャンバー最上部へ有利にも上昇し、例えば、部分的真空、冷却システム、および容器などを用いて収集することができる。反応チャンバー最上部のベントポートを利用することによって、純粋なMgOの有利な回収をさらに促進することができる。反応チャンバーを出た後、この反応生成物は、さらに分離および処理することによって、販売およびリサイクル用にさらに調製される。反応の温度、位置および期間を管理および制御することによって、反応器燃焼プロセスにより生成される物質の最終組成が決定される。
【0022】
図5に例示されているように、反応チャンバーをその中心軸42に対して回転させることにより、反応生成物が反応ゾーンを介して上方へと流れるにつれて、この反応生成物の遠心分離が得られる。ゾーンの下部領域43では、カーボンナノ粒子、MgO、および他の反応生成物の上昇流および流動が、相対的に低い回転速度および温度で存在し、より高いおよびより低い密度の粒子が、この領域の内側部41と外側部39の両方に分散している。チャンバーの上部領域44に粒子が到達するまでの間に、粒子は大変高い回転速度を獲得し、これらは非常に高温であり、より高い密度の粒子が側壁32の付近の外側領域に集中し、より低い密度の粒子が内部領域に集中する。
図6に例示されているバッチプロセスでは、CO
2およびマグネシウムは、反応器炉46に導入され、ここで、上で論じたような発熱性の高い酸化還元反応においてこれらは一緒に燃焼され、炭素および酸化マグネシウム(MgO)生成物の混合物を生成し、この混合物は調製ステージ47に送達され、この調製ステージ47でより微細な粒子へと粉砕され、さらなるプロセシングのために調製される。これら粒子は、音波発生器48内で、脱イオン水中で超音波プロセシングされ、次いで塩酸(HCl)で洗浄される。カーボングラフェンは、HClには不活性であるが、このHClは、この混合物中の未反応のマグネシウムばかりでなく、溶解されたMgOおよびMg(OH
2)にも反応することによって、塩化マグネシウム(MgCl
2)および水(H
2O)を形成する。
【0023】
カーボングラフェンおよびMgCl
2の水溶液を、真空フィルター49で濾過することによって、MgCl
2からグラフェンを分離する。グラフェンは、乾燥器51で乾燥させ、これらをさらに精製するため、音波処理、フィルター、乾燥器、および加熱ステージを介してリサイクルする。グラフェンをリサイクルする回数は、所望の純度レベルにより決定し、一般的に各周期バッチにつきおよそ3または4回である。精製プロセスが完了すると、グラフェンは生成物ライン52を介して放出される。
Mg−CO
2反応により生成した酸化マグネシウム(MgO)を収集し、マグネシウムに変換し、反応に使用するためにリサイクルする。したがって、反応器からの気体MgOを収集し、収集機53で固化し、次いでHClで洗浄し、溶解機54内でMgCl
2に変換する。このMgCl
2は、フィルター49内でカーボングラフェンから分離したMgCl
2と共に乾燥器55内で乾燥させる。次いでこの乾燥させたMgCl
2を、セル56内の電解によりマグネシウムと塩素に分離する。マグネシウムは、冷却器57内で冷却し、次いで収集機および粉砕機58の中に収集し、より微細な粒子、例えば400メッシュに粉砕する。粉砕機からのマグネシウム粒子を反応器46に供給し戻し、燃焼プロセスで使用する。特定の実施形態では研磨を使用するが、マグネシウムは、他の手段、例えば、溶融物から小さな液体粒子を切断または冷却することによって、より微細な粒子へと還元させることもできる。
【0024】
反応生成物に加えて、CO
2およびマグネシウムの燃焼はまたかなりの量の熱およびエネルギーを生成するが、これらは捕集され、本プロセスの他のステップ、例えば音波処理および乾燥、または別の方法で利用する。
本プロセスに利用する塩素、水素、およびHClは、セル59によって提供されるが、このセル59には、水素(H
2)およびメタン(CH
4)が、電解セル56からの塩素と共に供給される。
図7は、バッチプロセスの別の実施形態を例示し、ここでは、CO
2およびマグネシウムの点火は、水素−酸素火炎により開始される。水素および酸素は、分岐62、63を介して反応器61に供給され、分岐62、63のそれぞれは、シャットオフ弁64、減圧弁66、逆止め弁67、および電気的に作動する制御バルブ68、分岐62の明示されたプライム記号および分岐63のダブルプライム記号を含む。分岐ラインの圧力は圧力トランスデューサ69’、69”でモニターされている。分岐からの水素および酸素は一緒に混合され、反応器から分岐への逆流を阻止する逆止め弁72を供給ラインに有する供給ライン71により、反応器に送達される。水素−酸素混合物用の高電圧スパーク点火装置73は、反応器の底部に位置する。
【0025】
点火が起こるまでは減圧レベルで、その後はより高い圧力でCO
2を反応器へ供給するための手段が提供される。この手段は、低圧分岐76と高圧分岐77とを含む。低圧分岐は、減圧弁78、流れ制御バルブ79、および逆止め弁81、分岐における流量および圧力をモニタリングするための流量計82および圧力トランスデューサ83を有する。高圧分岐は、制御バルブ84を有する。CO
2は、シャットオフ弁86および圧力トランスデューサ87を有する供給ライン85を介して2つの分岐に供給される。分岐からのCO
2は、そのラインのCO
2の圧力をモニタリングするための圧力トランスデューサ89を有する供給ライン88を介して反応器に供給される。
反応器61は、取り外し可能なキャップまたはふた61を有し、燃焼されるマグネシウム粒子は、ふたが外れ、反応器が作動していないときに直接反応器に注がれる。
【0026】
放出ライン91は、この反応の生成物を収集するために反応器に接続されており、制御バルブ92で生成物の放出を制御し、圧力逃しバルブ93は、反応器内の圧力が過度に高くなった場合、燃焼の気体生成物がこれを介して脱出することができる。
真空システム94はまた、CO
2およびマグネシウムの燃焼により生成したMgO粒子を収集するために反応器に接続されている。制御バルブ96は、反応器と収集機の間のライン97に含まれ、圧力トランスデューサ98は、ラインの圧力をモニターする。
圧力トランスデューサおよび流量計からのデータは、データ収集および制御システム99に送達され、ここでデータをプロセシングし、制御バルブおよび点火装置の作動を制御する。
このプロセスを開始するには、ふたを反応器から取り外し、Mg粒子をチャンバーに注ぎ入れる。ふたを元に戻し、制御バルブ79を開口することによって、レギュレーター弁78により設定された減圧でCO
2が反応器内へ流れ込むのを可能とする。制御バルブ68’、68”もまた開口することによって、水素および酸素が反応器へと流れ込むのを可能とし、点火装置73のスイッチを入れてこれらのガスに点火する。水素−酸素の火炎がMg粒子およびCO
2に点火し、これらが激しく燃焼し始めたら、制御バルブ68’、68”を閉めて、水素および酸素の流れを止める。同時に、制御バルブ84を開口して反応チャンバーに高圧CO
2を送達し、弁79を閉めて、低圧の流れを止める。反応が進行するにつれて、制御バルブ92を開口して、放出ライン91を介してこの反応生成物が放出および収集されるようにし、制御バルブ97を開口して、真空システム96により気体MgOが真空収集機へ引き込まれるようにし、この真空収集機でMgO粒子を収集する。
図7のプロセスでの使用に対して適切な高圧CO
2反応器または炉の一実施形態が
図8〜10に例示されている。この反応器は、円柱状の側壁101を有し、エンドキャップ102、103が側壁の上端部および下端部にネジで結合されることによって、閉鎖したチャンバー104を形成する。これらは、極めて高温の反応に耐えることができる物質で作られており、例示された実施形態では、これらはカーボンスチールの導管ニップルおよび一対のカーボンスチールの導管キャップからなり、ニップルの長さおよびキャップの外径は両方ともおよそ5インチである。
【0027】
反応器のベッド106は、下部エンドキャップ103の底部壁103aに提供されている。このベッドは、高温に耐えることができ、反応に不純物を導入しない物質108、例えば二酸化ジルコニウム(ZrO
2)またはジルコニアなどで充填された底部の壁の半分に形成された1/4インチの深いポケット107からなる。
【0028】
反応器の使用中、反応器チャンバーとつながるようにエンドキャップにポートが形成されている。ポートは、下部エンドキャップの側壁103bのH
2/O
2入口ポート109および点火ポート111、トップキャップの上部の壁102aのCO
2入口ポート112、炭素およびマグネシウム反応生成物のための上部の壁102aの中の生成物の出口ポート113、および気体MgOのための上部の壁の別の出口ポート114を含む。これらのポートは、流入ガス、点火導体、および反応生成物を運ぶラインへ接続されるようねじ切りされている。逃げ穴116、117は、下部キャップの側壁の入口ポート109および点火ポート111と位置合わせされた状態で側壁101に形成されている。この特定の実施形態では、マグネシウムのためのポートはない。これは、トップキャップを取り外すことによってマグネシウムを導入し、反応器ベッド上にマグネシウム粒子を注ぐからである。
図11は、CO
2およびマグネシウムの点火が電気アークにより開始される実施形態を例示している。本実施形態では、CO
2は、シャットオフ弁121、減圧弁122、制御バルブ123、および逆止め弁124を含む供給ライン119を介して大気圧で反応器118に供給され、圧力トランスデューサ125、126および流量計127がラインの圧力および流量をモニタリングするためにある。反応器の壁およびふたは、例えばカーボンスチールなどの物質で作られており、この物質は反応により生成される高温に耐えることが可能であり、グラファイトるつぼ128は、燃焼のためマグネシウム粒子を保持するための反応チャンバー内に配置される。ふたを取り外すことによってこれら粒子を導入し、これらをるつぼに注ぎ入れる。反応器内の温度および圧力はサーモカップル129および圧力トランスデューサ131でモニターされている。
CO
2およびマグネシウムの点火を開始するためのアークは、例えば、アーク溶接機に利用されているものと類似したものであってよく、40ボルトACでおよそ90アンペアの定格を有する電気アーク発生器132により提供される。
【0029】
図6の実施形態の場合のように、この反応生成物は放出ライン133を介して収集され、この放出ライン133は、制御バルブ134と圧力逃しバルブ136を含み、MgO粒子を真空収集機137内で収集し、真空収集機137は、出力ライン138で反応器に接続され、出力ライン138は、制御バルブ139と圧力トランスデューサ141とを含む。
圧力トランスデューサ、流量計、およびサーモカップルからのデータは、データ収集および制御システム142に送達され、このシステムがデータをプロセシングし、制御バルブおよびアーク発生器の作動を制御する。
排出された反応生成物、特にグラフェンが、反応後、炭素と酸素の相互作用および高熱により燃焼しないことを確実にするため注意が払われる。反応出口点にあるCO
2または同様に不活性なガスの存在は維持され、高熱は、統合された冷却システムにより出口点から引き離される。
ナノカーボングラフェンおよびナノMgO反応生成物は、
図11の実施形態ではバッチ間で極めて一貫していることが判明した。同様に、気体CO
2供給原料を用いた場合、このプロセスは、固体のCO
2供給原料を利用したバッチプロセスよりも、適度におよび有意に挿入度の低い物質、具体的にはグラフェン層内に封入されたMgOを生成した。気体一酸化炭素(CO)もこの実施形態における代替の供給原料として調査したが、CO−Mg反応は、おそらくこの反応に利用可能な酸素の量が少ないことにより、Mg−CO
2反応よりもずっと活発ではなかった。COは、Mg−CO
2反応を調整するのに有用となり得る。
【0030】
図12の実施形態では、低圧CO
2ガスが反応プロセスに利用されている。この実施形態は、反応チャンバー143を含み、円柱状の側壁144および底部の壁146は、反応の高温に耐える、例えばカーボンスチールなどの物質で作られている。チャンバーは最上部が開口し、マグネシウム粒子148を保持するためのチャンバー内にグラファイトるつぼ147が配置されている。CO
2ガスは、チャンバーの壁のポートを介して大気圧でチャンバー内に導入され、るつぼの底壁および側壁147a、147bの溝付き開口部149、151を通過する。
フード152は、反応チャンバー内でCO
2およびマグネシウムの燃焼により生成された酸化マグネシウム(MgO)を収集するために側壁144の上部分に固定されている。フードの排出端に接続されている、真空作動の収集機153で、このフードの中におよびこのフードを介してMgOが引き入れられ、排出端の弁154は、真空システムによる収集機へのMgOの引き込みが可能な際に制御を行う。フードをチャンバーから取り外すことによって、マグネシウム粒子がるつぼに注ぎ入れられるようになる。
【0031】
図14で示された実施形態は、
図12の実施形態と全般的に類似しており、これら2つの図の中で同様の参照番号は相当する要素を指定している。
図13の実施形態では、フード152はステンレススチールで作られ、冷却チャンバー156を含み、MgOを冷却するため、および反応器からのMgO粒子の回収を促進するためのスクリューコンベヤー157を有する。例示された実施形態では、流体冷却剤は、これを通過するMgOを冷却するための冷却器を介して循環される。所望する場合、コンベヤーの中の内部冷却されたフィードスクリューを用いて、さらなる冷却を得ることができる。
図15は、円錐体の側壁159を有する水平に伸びた反応器158を利用した連続流の実施形態を例示しており、反応チャンバー161の軸は、水平に対しておよそ10度の角度で下向きに傾いている。反応器は、円錐体の小端部に端壁162を有し、大端部で開口している。投入マニホールドまたはチャンバー163は、端壁とバッフルプレート164の間に形成されている。このプレートは、端壁から内向きに、および全般的に端壁に平行して配置され、円錐体の側壁の末端に結合している。反応器壁およびバッフルプレートはすべてグラファイトでできている。
【0032】
全般的にU形状の溝166は、下向きに傾いた物体の中、側壁159の下位部の内側で、バッフルプレートと、反応チャンバーの開口端または外端の間に伸びている。溝の上端または内端にあるバッフルプレートの開口167により、投入マニホールドと反応チャンバーがつながっている。
マグネシウム粒子およびCO
2ガスは投入マニホールドに導入され、ここでこれらは、バッフルプレートの開口を介して溝の上部分に流れる前に一緒に混合される。ガス火炎または電気アークなどの手段が、溝の上部分においてCO
2およびマグネシウムの点火を開始するために提供され、アルゴンなどの不活性ガスが取り込みマニホールドに導入されることによって、反応チャンバーからマニホールドへの逆流を阻止する。
フィードスクリューまたはオーガー169は、反応チャンバーの外端へと固体反応生成物を運ぶために溝内で縦方向に伸びている。フィードスクリューの下端部または外端部は、炭素および他の固体反応生成物が溝の下端で放出される前に、これらが冷却されるよう内部冷却されている。
【0033】
Mg−CO
2反応により生成された有意な部分の酸化マグネシウム(MgO)ガスおよびナノ材料は、反応チャンバー最上部まで有利にも上昇し、収集される前に、側壁159の上部分の外端部にある冷却チャンバー171を通過する。
このシステムは、炭素および他の反応生成物の反応後の燃焼を阻止するため不活性雰囲気内に維持されている。
別の実施形態は、本明細書中でモジュール式実施形態と称する小型から中型規模の、内蔵式の連続流システムである。この実施形態の主要な特徴として、排出からの直接的なCO
2の捕集、CO
2の炭素への還元、再利用可能なナノ材料の生成、反応熱による有害な化石燃料燃焼生成物、例えば煤煙などの破壊が挙げられる。結果として得たナノカーボン、MgO、および他の物質は、貯蔵タンクで捕集し、定期的にバッチモードで分離することができる。モジュール式実施形態は、例えば工業目的のためのグラフェンまたは他のナノ材料の生成において利用することができ、船上の静止型排ガス制御装置としても、または静止型ディーゼル発電機と関連させても有用となり得る。より小型なバージョンは、移動車両の用途に有用となり得る。
【0034】
サブプロセス
ナノ材料生成のための完全なシステムおよびプロセスを提供するために、好ましい実施形態にはいくつかのサブプロセスが含まれている。これらサブプロセスとして、反応投入材および点火システムの管理、反応プロセスの制御、反応生成物の分離および精製処理、統合された生成物の機能化、生成物質のリサイクル、およびエネルギー管理などが挙げられる。これらのプロセスは、本発明の重要な部分であり、これらによって本発明は工業用システムとして作動可能となる。
物質管理
CO
2とマグネシウムの好ましい反応のために、2つの主要投入物または供給原料が存在する。好ましい実施形態では、純粋な(99+%)または相対的に純粋な(商業グレード)気体CO
2が利用される。CO
2ガスが他のガスを含有するか、または他のガスと共に散布される場合、これらのガスは、これらのガス固有の相の属性にも左右されるが、MgOおよびグラフェンとのさらなる反応生成物となる。CO
2供給原料は、化石燃料排出物、工業用原料、例えば醸造所および精製装置など、天然の土堆積物および他の原料から大量に得ることができる。好ましい実施形態では、CO
2の圧力を制御することによって、反応の遂行および生成物の形態に影響を与えることができ、CO
2は、およそ200〜800psiの範囲の圧力が好ましい。気体CO
2は、反応の遂行および所望の生成物を最適化するように決定された圧力で反応器に注入される。
【0035】
マグネシウムは、様々なアロイの形態または非常に純粋な形態でサードパーティーから得ることができる。好ましい実施形態では、純粋な(99+%)マグネシウム供給原料が利用され、これは、小粒子の形態で導入される。粒子サイズは、反応および反応生成物に有意な影響を与えることが判明しており、これは、一般的に最適な反応燃焼および反応生成物を達成するよう選択される。マグネシウムは、例えば棒材の形態で得ることができ、所望の粒径へと機械加工される。所望する場合、細いゲージのマグネシウムワイヤセグメントも使用することができる。
上で論じたように、本発明において、低コスト電解プロセスにおいて反応の非常に純粋なMgO生成物をリサイクルすることによって、マグネシウム供給原料の有意な部分が得られる。マグネシウムを得るこの方法は、いくつかの利点がある。第1の利点は、リサイクルしたマグネシウムのコストは、サードパーティーにより製造されているマグネシウムのコストよりずっと低くなることである。第2の利点は、世界のマグネシウム生産は、相対的に非弾性的であり、したがって、本発明のオペレーターが、有意な量の新鮮なマグネシウム供給原料を必要とした場合、マグネシウムは、さらに高価となる。現在、世界のマグネシウムの供給の80%超が中国で生産されており、中国では、この工業を助成している。したがって、マグネシウムのコストは、人為的に低くでき、これによってリサイクルがさらに魅力的となる。リサイクルの第3の利点は、リサイクルしたマグネシウムの高い純度(99%超)であり、これはMg−CO
2反応に重要である。
所望する場合、他の酸化剤および/または還元剤をCO
2およびマグネシウムの代わりに、またはこれらに加えて利用することによって、他の反応生成物を生成することができる。グラフェンを生成するための初期反応物は、任意の炭素含有分子、例えば二酸化炭素、一酸化炭素、ホスゲン(COCl
2)、メタン、エチレン、アセチレンなど、他の炭素含有物質、およびこれらの組合せであってよい。還元剤は、別の土類金属、例えばアルミニウム、チタン、亜鉛、ナトリウム、リチウム、カルシウムなど、およびこれらの組合せであってよい。
【0036】
点火
Mg−CO
2反応の点火のために高い熱投入が必要である。反応生成物の純度を維持するために、発火源は、外来性の混入物をこの反応チャンバーに導入しないことが好ましい。Mg−CO
2混合物は、例えば電気アーク、電気スパーク、水素−酸素火炎またはキセノンランプで点火することができる。炭素電極を用いた電気アーク点火は、その作動の容易さ、持続的に機能する能力、高温環境で機能する能力のため、さらに電気アーク点火が外来性物質またはガスを反応に導入しないことから好ましい。反応生成物に不純物を与えることがない限り、他の発火源もまた使用することができる。
【0037】
プロセス制御
パラメータの操作、例えば温度勾配、CO
2の接触および飽和ならびにマグネシウム粒子の性質および流れの調節によっても、反応および反応生成物の有意な制御が提供される。好ましい実施形態では、コスト、安全性、エネルギーおよび物質の保護、ならびに所望の生成物の生成を最適化するため、いくつかのプロセス制御が実行される。これら制御として、これらに限定されないが、投入材および投入ガスの属性またはタイプを変化させること、反応熱を制御すること、反応速度を制御すること、反応後温度勾配を制御すること、反応チャンバー内の圧力を制御すること、反応生成物が出現する雰囲気を制御することによって、炭素の燃焼を阻止すること、反応により放出されたエネルギーを捕集すること、および反応後の生成物の分離および処理プロセスを制御することなどが挙げられる。
好ましい実施形態では、供給原料は、反応器へ導入される前に管理され、さらなる物質およびガスの導入に備えて、反応器デザインにおいて準備がなされている。CO
2供給原料の供給、純度および圧力は、マグネシウム供給原料の供給、純度および形態が管理されているのと同様に管理されており、マグネシウム粒子のサイズおよびしたがってマグネシウムの量と表面積の比は、反応生成物の生成および形態に直接影響を与える。反応に利用可能なCO
2の量が反応生成物に有意な影響を与えることも判明し、CO
2は、反応プロセスおよび生成物を制御するために正確に制御された圧力および速度で導入することができる。非酸素、CO
2、または不活性ガス環境を反応後および放熱前に維持することによって、カーボングラフェンの燃焼を阻止する。要求に応じて、CO
2の固体粒子もまた反応器に投入することができ、大量のガスを高圧で昇華させることになる。このように、CO
2は、反応器内で高圧であふれさせてもよいし、またはMgもしくはMgアロイまたは投入材のさらなる混合物を用いてオペレーターがこの反応を「抑制する」することができるよう制限量で導入してもよい。
【0038】
反応および反応生成物はまた、気体および固体投入物の圧力および存在を変化させることによって制御することもできる。本発明が行われる反応器は、反応の3つのすべてのステージ、すなわち反応前、反応中、および反応後のステージでの、供給原料以外の一連の気体および固体投入物の調節された導入に対応するように作られている。他の反応性ガスまたは不活性ガス、例えばアルゴンなどを導入することによって、反応プロセスおよび生成物をさらに制御および最適化することができる。アルミニウムなどの他の反応性物質、白金などの触媒、または銀もしくはケイ素などの反応しない物質を、供給原料と共に、または反応に直接、または反応後の時点で導入することができる。また、望ましい属性を有する非反応物質、例えば銀またはケイ素などを添加することによって、潜在的に有利な特性を有する複合材または装飾されたグラフェン物質の形成が結果として生じ得る。
【0039】
反応の直後に気化した反応生成物および任意の追加物質が曝露されることになる温度勾配を制御することは、生成物の形成、ならびに結果として得た、これら生成物の形態および特性に影響を与えることも判明した。この勾配は、いくつかの方法で制御することができる。反応器は、例えば、開放型構成を有することもできるし、またはこの反応を反応器内の限られた空間に制限することもできる。膨張器の使用および反応場と生成物出口との間の不活性ガスまたは反応しないガスの存在もまた、温度勾配に影響を与えることができ、膨張器は、反応からの高温の蒸気が拡大し、冷却され、および核形成するか、または反応生成物を形成するという自然の傾向を促進させる。液体または気体の冷却剤を利用することによって、反応プロセスにおける温度勾配をさらに制御することもできる。冷却剤は、例えば反応チャンバー、放出領域、または膨張器に直接注入することもできるし、または反応器の周囲部分の冷却ジャケットの中を循環させることもできる。
【0040】
物質の分離
連続流とバッチ反応の両方において、反応生成物の初期分離は、気体MgOが他の反応生成物から有利に放出されて離脱する際、および/または上方に方向づけられた環状流プロセスが酸化マグネシウムナノ粒子および炭素ナノ粒子の初期重力分離を提供する際に起こる。次いでこの反応生成物をさらに分離し、所望の生成物の生成のために最適化されている反応後の分離プロセスで精製する。
好ましい実施形態では、反応後物質の分離プロセスは、かなり自動化された一連の処理、分離および精製ステップからなり、これらのステップは、反応器から出現するまたは回収される、未分離の反応後生成物に適用される。グラフェンおよびナノMgOの生成において、例えば不均一な反応生成物には、脱イオン水、塩酸、および超音波を用いた処理、グラフェンを単離するための濾過、グラフェンの乾燥、ならびにグラフェン熱処理のサイクルが繰り返し適用される。このサイクルは、グラフェンの所望の純度を達成するために必要なだけ何度も繰り返される。
流体は、溶解しづらく、異なる比重を有する物質を分離するのに有用であり、超音波プロセシングにおいて必要とされる。重力分離および浮上において、セル内の溶液密度は、特定値に操作され、これによって、粒子は沈むか、または浮上することによって容器内の異なる層を占有する。流体は、分離される物質の溶解性および反応性に応じて、水もしくは酸などの他の物質、または他の密度を有する流体であってよい。
【0041】
マグネシウムのリサイクル
マグネシウムのリサイクルは、Mg−CO
2反応において、特に大規模な運用で使用するための、十分に高い純度のマグネシウムを得るためのコストおよび困難性から、本発明の重要な部分である。本発明で生成される結晶性ナノMgOは、極めて純粋であることが判明しており、この著しく高い純度により、MgOをMgにリサイクルすることが、非常に実用的で、費用効率が高いものとなる。市場においてマグネシウムおよびMgOのコストが高いことおよび純粋な、非アロイマグネシウムの入手が限られていることを考えると、高純度のマグネシウムを回収およびリサイクルする能力は、本発明の重要な要素および利点である。
本発明のマグネシウムをリサイクルするための好ましいプロセスは、MgCl
2からの電解還元である。このプロセスによるMgOからMgへの還元の化学的および電解によるステップが
図17に示されている。例示されているように、MgO反応生成物は、H
2Oでの処理によりMg(OH)
2に変換され、Mg(OH)
2は、HClでの処理によりMgCl
2およびH
2Oに変換され、MgOと炭素の間の熱膨張の差が炭素の亀裂を広げ、これによりHClが炭素に結合できるようになる。電解ステップにおいて、MgCl
2は、マグネシウムナノ粒子と塩素ガスに分離される。
【0042】
エネルギー管理および再利用
本発明は、反応の発熱エネルギーをできるだけ保存、捕集および利用するように作られている。約5610°F(3098℃)という反応温度は、著しく高く、一般的により大きな規模で、太陽炉を用いてまたは核反応を介してしか達成することができない範囲である。好ましい実施形態では、反応からの廃熱は捕集され、マグネシウムのリサイクルに使用するための電気の生成を含めた、反応後生成物の分離および処理に利用される。反応からの熱および光エネルギーもまた、捕集して他の用途に利用することもできる。
熱力学的分析
Mg−CO
2反応の熱力学的分析およびMgO反応生成物のリサイクルを以下の表1に要約する。
【0043】
【表1】
この表が示す通り、プロセスの1サイクルは、生成されたマグネシウム1キログラム当たり約8MJのエネルギーおよび炭素1キログラム当たり約32MJのエネルギーを必要とする。各サイクルでは、0.92kgのCO
2を還元することによって0.25kgの炭素を生成し、1.45kgの塩素(Cl
2)を生成する。これをモルベースで以下のように表現することができ、
Mg(s)+H
2O(I)→Mg(OH)
2(s)+0.5C(s)+Cl
2、
質量ベースで以下のように表現することができる:
1kgMg(s)+0.92kgCO
2+0.75H
2O(I)+7.91MJ→0.25kgC(s)+1.45kgCl
2
この反応は、反応の各ステップにおいて作用のために利用可能な理論的に最大のエネルギー(熱)を提供するギブスフリーエネルギー分析を用いて評価した。ステップAおよびBは発熱性であり、マグネシウム1キログラム当たり約20MJの熱を放出する一方、リサイクルステップCおよびDは吸熱性であり、進行させるために約28MJのエネルギー投入を必要とする。
【0044】
(例1)
固体CO
2(より一般的にはドライアイスとして知られている)を2ブロック用いて反応器を構築した。ドライアイスのブロックの1つにキャビティをドリルで開けることによって、反応容器として機能させ、他のブロックは、カバーとして使用した。マグネシウム棒材を機械加工してチップにし、これをキャビティ内に置いて、プロパンの点火棒で点火し、続いてカバーブロックを直ちに第1のブロックの最上部の上に置いた。白色と黒色の堅い皮のある粉末の混合物である反応生成物を収集し、分析試験に出した。第2の試料は、類似の方式で調製し、脱イオン水および塩酸(HCl)で処理してから、試験に出した。
【0045】
試験結果は、この反応生成物は、ナノ材料からなり、このナノ材料は、2つの主要な形態ならびにいくらかのあまり頻繁には観察されない形態からなることを示した。2つの主要な形態は、黒鉛状(炭素)組成物の典型的な形跡を示す透明な、不揃いな形の、平坦な粒子と、ナノ結晶性の(ペリクレース)形態のMgOであると推定される透明な正方形の結晶性粒子であった。未処置の反応生成物は、脱イオン水およびHClで処理した試料よりかなり多くのナノMgOを示した。各試料の炭素粒子の外観は実質的に同じであった。
この例は、Mg−CO
2反応、おそらく反応から生じるエネルギーが、核形成により供給原料をナノ材料として気化および再形成させることを示している。反応場または温度が約5610°F(3098℃)になる位置と、温度が周辺温度付近である反応器内の他の位置との間の極度な温度勾配が、蒸気性反応生成物からの固形物の極めて急速な再形成を引き起こすと考えられている。さらに、蒸気性反応生成物の形成から反応場からの蒸気排出までの時間の経過が極めて短期間であることおよび反応場周辺の極度な温度勾配の相互作用により、核形成に対する作動期間が制限され、極めて小型の、ナノスケール粒子の形成が結果として生じる。この反応生成物の蒸気は、均質な、結合した炭素およびMgOとして核形成し、自己集合する。
この例に記載されているプロセスは、炭素およびマグネシウムナノ材料を生成するためのプロセスであるばかりでなく、むしろより一般的なプロセスであり、蒸気−核形成プロセスにおけるナノ材料の有利な形成のための酸化還元反応を可能にすると考えられている。このプロセスは、これに限定されないが、反応生成物を含めたナノ材料の生成のための繰り返し可能なプロセスであることが判明した。さらに、脱イオン水およびHClで処理した反応生成物中にMgOが不在であることは、相対的にシンプルな水および酸処理を用いてMgOナノ生成物から炭素ナノ生成物を効果的に分離できることを示している。
補助的な、低圧の、気体CO
2をドライアイスのキャビティに注入することによって反応を増強させた場合、MgOのパーセンテージと比較して、生成した炭素のパーセンテージに有意な増加があった。化学分析は、上で論じたように状態が変化した場合でも、この反応生成物がバッチ間で極めて一貫しており、ナノカーボングラフェン、ナノMgO、ならびにグラフェンおよびMgOの挿入層からなる複合材からなることを示した。
【0046】
(例2)
反応器を、約12インチ正方形および1〜3/4インチ正方形の固体CO
2のブロックまたはドライアイスのブロックから構築した。約1〜5/8”の直径を有するキャビティを、ブロックの1つにドリルで開けることによって、反応器チャンバーとして機能させた。およそ1/4インチの直径を有する排気圧放出弁を、ブロックの外縁部からキャビティまで横方向にドリルで開けた。第2のブロックは、反応器のふたとして使用した。
99%の純度を有すると考えられているマグネシウム棒材を機械加工して、様々なサイズのフレークからなるいくつかのバッチに分けた。5番〜10番の間の篩目(2.00〜4.00mm)の約10グラムのマグネシウムチップをキャビティ内に置いた。酸素−水素点火棒でフレークに点火し、ドライアイスのふたを下部のブロックの上に直ちに置いた。反応は極めて活発であることが観察され、相当量の光が生成され、2つのブロックの縁から白色の煙のような(MgO)物質のいくらかの排出が結果として生じた。反応にかかった時間は30秒未満であった。凝集した粉状の黒色(C)および白色(MgO)反応生成物質の残渣が反応器のキャビティ内に残った。ドライアイスの厚板を反転し、この反応生成物を清潔な容器に落下させることによって、反応生成物質を取り出した。
【0047】
次いでこの反応生成物をプロセシングして炭素物質を単離し、分析用試料を得た。物質は、4M(1リットル当たり4モル)のHClを用いて分離し、これによってMgOがMgCl
2として溶液に入った。黒色物質(炭素)が残留し、これをエタノールおよび蒸留水を交互に適用させて、1ミクロンフィルターを介して物質を洗浄することによって単離し、取り出した。洗浄した試料は、スパッタリングしてプラスチックシートにし、一晩放置して乾燥させ、次いで清潔な容器内に置いた。第2の試料を類似の方式で調製した。
この実験中、特定のサイズのマグネシウムチップはその他ものよりもより容易に可燃しやすく、この反応生成物は、マグネシウムチップのサイズに応じて見かけが劇的に異なることが観察された。
【0048】
5番(4mm)〜10番(2mm)の間の篩目サイズを有すマグネシウムフレークが、もっとも完全な燃焼を結果として生じた。これらの粒子は、燃焼させるには十分大きく、しかも反応に適切な質量を割り当てられる程十分に小さい。
試料は、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、グロー放電質量分析法(GDMS)およびエックス線回折(XRD)を含めたいくつかの試験で解析した。
【0049】
TEMおよびSEM分析は、試料セットからの粒子は凝集した、約10〜60ナノメートルスケールのプレート様粒子にようにみえ、極めて大きな表面積を有することを示した。黒鉛状炭素は、試料内で格子縞の存在ならびに電子回折(黒鉛リボン)により識別した。この物質は極めて独特であるようにみえた。40〜60ナノメートルの範囲の粒径を有する結晶性MgO(ペリクレース)が、はっきりと観察可能であり、TEM画像は、40ナノメートルのピル様構造の形態でMgAl
2O
4スピネルの存在を示した。
試料の純度を検査するためにGDMS分析を実施した。GDMS分析は、試料物質が15重量%のマグネシウムを含有し、いくらか驚くべきことに、5.1重量%のアルミニウムも含有していることを示した。アルミニウムはナノスピネル中に明らかに存在し、非燃焼の形態で試料中に存在した。唯一可能性があるアルミニウムの原料は、純粋と思われていたマグネシウム棒材であった。
【0050】
XRD試験は、3つのタイプの結晶構造の強力な存在を示し、スピネル(MgAl
2O
4ナノ結晶)が主要な形態であった。
この例から、Mg−CO
2反応は、炭素および非炭素タイプのナノ材料を確実に生成し、反応容器にベントが提供されている場合、本質的に純粋なMgOが反応により排出されることが断定された。このプロセスは、他の反応性供給原料、例えばアルミニウムなどからナノ材料を形成し、この反応および蒸気−核形成サイクルは、事実上すべての物質ではないが、存在する大部分の物質をナノ材料の形態に変換する可能性が高いこともまた実証された。
この例はまた、反応は、この反応生成物の燃焼効率および組成に影響を与えるよう、例えばマグネシウム供給原料を変化させることによって制御することができることも実証した。これは、この反応生成物の形態および特性が制御可能であることを強力に示唆した。
この反応生成物の有意な分離が実行可能であることもまた確認された。炭素反応生成物は、簡単な脱イオン水、アルコールおよび酸洗浄を用いて分離され、これらのステップは、炭素反応生成物中の酸化マグネシウムの存在を、その理論的出力比である約85%MgOおよび15%Cから、約25%MgOおよび75%Cに減少させるのに高い効果があることが判明した。
【0051】
(例3)
マグネシウム棒材を機械加工で約2.0〜4.0mm(篩目サイズ#5〜#10)の間の範囲の大きさのチップにした。これらのチップを、例2の方式と類似の方式でCO
2と共に燃焼させ、2つの試料を分離プロセシング用に調製した。
反応後分離プロセシングにおける初期のステップとして、不均一な生成物試料を140メッシュサイズに粉砕することによって凝集を減少させて、流体処理のためにより大きな表面積を有するより均一な試料を得た。粉砕した試料を、脱イオン水を含有する容器に導入し、20kHzおよび500ワットで、既定の期間、超音波プロセシングすることによって、さらに粒径を減少させ、表面積を増加させた。その後、12M(1リットル当たりのモル)HClを添加することによって、このMgO反応生成物ならびにあらゆる残りの非燃焼Mgを溶解した。HClは、MgOおよびMgと反応することによって、発熱反応でMgCl
2を形成した。容器を冷却させておき、続いて試料を再びHClで処理し、次いでもう1回同じ期間、超音波処理した。第2の超音波処理に続いて試料をもう1回再び脱イオン水で処理した。これらのステップの後、炭素生成物を例2のように濾過(1ミクロン)で取り出した。2つの別個のバッチをこのように調製した。
試料のGDMS分析は、例2よりもかなり低いマグネシウム含有量を示し、第1の試料は12重量%、第2の試料は11重量%の含有量であった。第1の試料中の5.5重量%および第2の試料中の3.1重量%のアルミニウムの存在も明らかになった。次いで、供給原料として使用されたマグネシウム棒材を解析すると、2.5重量%のアルミニウムを含有することが判明した。
【0052】
TEMおよびSEM分析は、2つの生成物試料の物理的形態が同じであること、および両方の試料が、格子縞の存在、および黒鉛状物質と一致する電子回折により特定された黒鉛状炭素を含有することを示した。炭素粒子のサイズは、主におよそ10〜20ナノメートルで、例2で生成した粒子よりかなり小さかった。これらの粒子は、例2の粒子よりも有意に凝集度が低かった。ナノカーボンは、不規則な縁を有する平坦な形態であり、粒子は、1つからいくつかの層からなっているようにみえた。
XRD分析は、両方の試料において黒鉛状グラフェン物質の薄層の強力な証拠を示し、両方の試料は、2つの非黒鉛の主要な相:MgAl
2O
4(スピネル)およびMgO(ペリクレース)を有していた。この分析はまた、スピネルおよびペリクレース構造に加えて複合された物質の存在も示唆した。おそらく発火源からのものであるが、微量の熱分解炭素の存在もまた明らかにされた。試料中のこの炭素物質は、疎水性であると判定された。
【0053】
多孔度試験は、炭素生成物の試料物質がメソ多孔性(1〜50ナノメートルの範囲の細孔)であることを示し、細孔の大多数は、1〜20ナノメートルの範囲であった。表面積試験は、1グラム当たりに230〜460平方メートルの間の表面積を示した。一部の細孔は、試料中に見つかったMg−Al酸化物(スピネル)でブロックされている可能性があると考えられる。
これらの試験は、本発明が、高品質のグラフェンと一致した表面積、細孔サイズ、細孔量およびオーダー特性を有する、1から数層のナノカーボン物質を生成することを示している。生成物試料は、外観および試験結果が各バッチ間で一貫していた。
GDMS試験は、酸化マグネシウムが、試料中に有意な量で存在したままであることを示し、XRD試験は、酸化マグネシウムが結晶性ナノ−ペリクレースとして存在するという強固な指摘を提供した。TEM画像の分析および他の試験は、残っているMgOがカーボングラフェン層に挿入されていることを示唆している。これは、XRD試験で示された複合材料の証拠と一致している。MgOが挿入したグラフェンは、重要で、新規の物質となり得る。
グラフェンとMgOとからなる複合材の生成物試料中の存在は、グラフェンまたはMgOと他の非供給原料物質との複合材の生成も実行可能であることを示唆している。
【0054】
(例4)
実験室グレードの、純度99.9%、マグネシウム棒材を機械加工で、確立したチップサイズにし、気密な反応チャンバーを構築した。いくつかの試料を調製し、試験した。
純度99.9%マグネシウムとCO
2をアルゴン環境で反応させることによって、第1の試料を調製した。この反応生成物を分離し、アルゴン環境中に保存し、分離プロセスは、HCl、脱イオン化されたH
2O、および例3のような超音波処理を含んだ。
純度99.9%マグネシウムとCO
2をアルゴン環境で反応させることによって、類似の方式で第2の試料を調製したが、これに次いで還流/浸出プロセスを使用してこの反応生成物を分離した。試料を酸の中で沸騰させ、密閉環境内で蒸気を再凝縮させることによって、試料を硝酸と共に還流させた。次いで試料を溶液から抽出し、脱イオン水で洗浄、オーブン内で一晩乾燥させた。
純度95%マグネシウム(AZ31と類似)とCO
2をアルゴン環境で反応させることによって、第3の試料を調製した。この試料は、分離用にプロセシングまたは試験せず、代わりに参照目的のためにアルゴン環境内で保存した。
未反応の実験室グレード(純度99.9%)マグネシウム供給原料の試料を、マグネシウム投入物の純度を検証する目的で大気環境中に保持した。
さらに、排出されたMgO試料を反応器に結合した真空システム内に収集した。
TEMおよびSEM、GDMS、XRD、細孔サイズ、細孔量、表面積、BET、ガス吸着、および熱的安定性および酸化安定性を含めたいくつかの試験で試料を解析した。
【0055】
GDMS分析は、HCl、脱イオン化されたH
2O、および超音波プロセシングで分離された試料が20重量%マグネシウムを含有したのに対して、硝酸還流/浸出プロセスで分離した試料が40重量%マグネシウムを含有することを示した。GDMS分析また、高い純度(99.9%)のマグネシウム反応物を確認し、MgO試料は、著しく高い純度(99%超)を有し、いかなる混入物もMgO試料中に共通して発見されなかったことを断定した。
【0056】
XRD試験は、HCl、脱イオン化されたH
2O、および超音波プロセシングで分離された試料が、主要な結晶性MgO相とグラフェンと一致する結晶性炭素相の2相しか有していないことを示した。
TEM画像は、例3および4のものと非常に類似している。
図18のTEM画像に見ることができるように、生成物は、単一の層のグラフェンならびにいくつかの層を有するグラフェンを含有する。これらは、約20ナノメートルの長さを有する透明な、不規則な物体である。約40〜60ナノメートルの実質的に立方体のMgO結晶(ペリクレース)もまたこの画像の中に見ることができる。これらはより暗く、より高密度のまたは層状の物質を示している。
図19の画像は、単一のMgO結晶を示し、グラフェン層をはっきりとした解像度で示している。
SEM画像もまた、凝集した物質を示すことにおいて、例3の画像と類似している。試料物質の500マイクロメータスケールの画像が
図20に示されている。これらの画像において、グラフェンプレートレットは、短距離規則度を有し、10〜20ナノメートルの範囲であることが観察された。グラフェン−MgO複合材料は、短距離規則度および長距離規則度の両方を有し、6つまたはそれ以上の層を有し、一貫して40〜60ナノメートルの範囲であることが観察された。本発明で生成したMgOの立方晶系結晶を
図21のSEM画像に見ることができる。
【0057】
ガス吸着試験において、HCl、脱イオン化されたH
2O、および超音波プロセシングで分離された試料は、硝酸還流/浸出プロセスで分離された試料よりも、有意に大きな表面積と有意に多い細孔量の両方を有することが判明した。
熱的試験では、試験した温度範囲内に生成物の融点は発見されず、非常に高い熱転移が示された。細孔試験は、大多数の細孔が、例3の生成物試料のものと類似の5ナノメートルのサイズを有することを示した。細孔はメソ多孔性であり、2〜50ナノメートルの範囲の細孔であることも示された。
表面積、細孔量、細孔サイズ試験の結果を以下の表に要約する。
【0058】
【表2】
MgO試料を反応させ、脱イオン水で官能化させることによって、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)を形成するが、これは、当業者に周知のいわゆる植物性プラスチック難燃剤である。Mg(OH)
2は、これに吸熱性分解が生じる温度である332℃超の温度に曝露された場合、変換されてMgOおよびH
2Oに戻り、難燃剤として機能する。官能化したMgOの形成および分解は、一連の成功した試験において検証された。
【0059】
この試験は、本発明が一貫してグラフェンを生成することを確認し、生成物試料においてグラフェンが主要なナノ構造体であることを示している。加熱試験の結果は、グラフェンと一致した非常に高い熱転移を示し、入手可能なTEMグラフェン画像との比較分析は、炭素ナノ構造がグラフェンであることを示している。さらに、格子縞と電子回折の両方を示す例2〜4からのTEM画像は、本発明のプロセスが、グラフェンを生成し、長期に渡り極めて一貫していることを示している。
本発明で生成されたグラフェン−MgO複合材は、新規であると考えられ、複合材が酸処理に不活性となるようにグラフェンがMgOを封入している。
この反応生成物内の新規ナノ構造、複合材、スピネル、ペリクレースおよびグラフェンの存在は、本発明が供給原料に応じて、新規の物質および複合材を生成することができることを示している。
この試験はまた、本発明が生成物を決定、分離および精製できるよう制御可能であり、生成物の形態および属性を制御することができることも確認している。XRDとGDMSデータの組合せは、投入物が純粋なMgおよびCO
2の場合、反応は、MgOと炭素からなる純粋な物質を生成し、すべての他の成分は微量であることを示している。分離プロトコルを変化させると、生成物質の純度および特徴に有意な影響を与えることが判明した。HClおよび音波処理の使用が、試料バッチからのマグネシウム生成物の分離に対して、硝酸還流/浸出プロセスの使用よりも優れていることが立証された。純度99.9%マグネシウムから生成した生成物試料中にアルミニウムが不在であることは、異なる供給原料を用いて異なるナノスケール物質を生成することができることを確認している。
【0060】
図18のTEM画像は、本発明の広範囲に渡る可能性を示している。この画像は、グラフェンを右側に、グラフェン−MgO結晶複合材を中央に、アモルファス炭素を右側に示している。反応器内の局所的な状態が、炭素を完全に気化させ、グラフェンを生成させるだけの十分な反応熱を生成しないことから、アモルファス炭素が形成された。したがって、
図16は例示している。アモルファス炭素のこの画像は、3相の試験で今日までに得られた唯一のアモルファス物質画像であることに注意されたい。
HClおよび超音波分離で調製した試料と、硝酸還流/浸出で調製した試料は両方とも、例2および3の試料より大きな表面積およびより多くの細孔量を有していた。これはおそらく物質の細孔空間を詰まらせる可能性のあるスピネル構造が排除されたためである。この結果は、反応プロセスを操作することによって、有意に異なる特性を有するナノ材料を生成することができるというさらなる指摘である。
反応器内のアルゴン環境および生成物試料をアルゴン中で保存することは、この反応を単離するために不活性ガスを使用する反応プロセスまたは反応生成物のいずれかにおいて、認められるような影響を与えなかった。
【0061】
(例5)
カーボンスチール反応容器内で2つの試料を気体CO
2から調製した。第1の試料は、高圧で、純粋なCO
2環境で調製し、第2の試料は、純粋なCO
2環境で、標準気圧で調製した。カーボンスチール反応容器は、点火、供給原料射出、およびMgO排出のためのポートを有し、点火は電気アークでなされた。およそ2.0〜4.0mm(#5〜#10篩目)のサイズを有するマグネシウムチップから両試料を調製した。反応後の分離は、HClおよび超音波を用いて行い、試料を乾燥させてグラフェン粉末を作り出した。
【0062】
類似の方式ではあるが、高圧気体の一酸化炭素(CO)をカーボンスチール容器内で用いてさらなる試料を調製した。
高圧での気体CO
2反応から調製した試料をGDMS、TEM、SEM、およびXRD試験を用いて試験した。GDMS試験では、試料内のマグネシウムのパーセンテージは、わずかに10重量%であるのに対して、以前の例の固体CO
2を用いて調製した試料は、20%〜25重量%Mgを含有することが示された。TEMおよびSEM画像は両方とも、反応で生成した物質の形態が、固体(ドライアイス)CO
2から生成したものと類似していることを明らかにし、XRD画像は、唯一の主要な相−−炭素相を明らかにした。
大気圧で気体CO
2から生成した物質を、GDMSおよびガス機器分析(IGA)で試験した。GDMS試験は、試料中のマグネシウムの質量パーセンテージは、14重量%であることを示し、IGA試験から、以下の元素の濃度が、重量パーセントで、窒素0.64%、水素0.77%、および酸素8.6%であることが判明した。比較すると、以前の例で固体CO
2(ドライアイス)を用いて調製した試料は、加熱プロセシングなしで、1つのプロセシングサイクルのみで、プロセシング後の流体中に11.7%酸素を含有した。TEM分析は、グラフェン物質が、例4および以前の例で生じたTEMに示された特徴および外観と実質的に類似して存在していることを示した。
COを用いて試料を調製している場合、高圧COを用いた反応物の点火が極めて困難であり、成功した場合、マグネシウムの部分的な燃焼しか結果として生じないことが判明した。
【0063】
気体CO
2は、Mg−CO
2反応において供給原料として高い効果があることが判明した。試料中に残っているほぼすべてのMgOは、HClおよび超音波精製処理で処理しづらいグラフェン内に封入された挿入MgOであり、気体CO
2は、固体CO
2供給原料よりも、有意に処理しやすい挿入MgOを生成することが判明した。反応生成物中のMgは、主にMgOの形態である。高圧CO
2ガスで調製した試料のMgO重量は、以前の例でドライアイスを用いて調製した試料が約35%であるのに対して、約14%であった。
より高圧の気体CO
2はまた、大気圧での気体CO
2を用いて調製した生成物よりも、この反応生成物の中に有意に処理しやすい挿入MgO−C複合材を結果として生じる。高圧試料中のMgO重量は、大気圧で調製した試料の約20%と比較して、約14%であった。
高純度のMgOが非常に激しくこの反応チャンバーから排出されるのに対して、ほぼすべてのグラフェンは、チャンバー内に残留する。このような分離の程度は、MgOを回収するためのベントおよび真空の使用、ならびにCO
2投入の初期相および圧力を変化させることを含めたいくつかの方法により制御することができる。
一酸化炭素(CO)は、マグネシウムと反応させるのがかなり難しいことが判明し、反応においてCO
2に対する魅力的代替とはなり得ない。反応が困難であるのは、類似する圧力において、CO
2中よりもCO中の酸素の量が少ないためであると考えられている。しかしCOは、Mg−CO
2反応の活力をモジュレートするのに非常に効果的となる可能性が非常に高いと考えられている。
【0064】
本発明では、固体CO
2(ドライアイス)から気体CO
2に(両方とも大気圧および高圧で)CO
2供給原料を変更した場合、ナノ反応生成物が極めて一貫して生成されることが判明した。挿入MgO−グラフェン複合材の量は、CO
2供給原料の調整による制御の可能性が高いことが判明し、気体CO
2は高圧でもっとも少ない挿入物質を生成し、固体CO
2(ドライアイス)は、100重量%以上を生成する。
2つの操作パラメータが、挿入MgO−グラフェン複合材の量の減少の原因であると考えられている。第1に、反応場でのCO
2の飽和は、高圧の気体CO
2で最高となり、固体CO
2(ドライアイス)で最低となり、これは、CO
2飽和が挿入物質の形成の程度を制御することにおいて重要な要因であることを示唆している。第2に、カーボンスチール容器内のマグネシウム周辺の開放空間は、ドライアイスブロック内の開放空間の約10倍である。さらなる空間によって、蒸気性反応生成物は、核形成し、均質の炭素およびMgOナノ粒子を形成するための実質的により多くの機会が得られる。したがって、この反応生成物が反応場から排出され、核形成および均質の炭素および酸化マグネシウムナノ粒子を形成する最大の機会を有する連続流システムは、非常に少量の挿入MgO−グラフェン複合材を結果として生じると考えられている。
【0065】
(例6)
アルゴンの代わりにCO
2氾濫を使用することによって、反応後の炭素燃焼を阻止する、例4の気密な反応チャンバー内で試料を調製した。不完全真空および収集容器を放出されたMgOを収集するためにこの反応チャンバーに結合し、固体CO
2(ドライアイス)を供給原料として使用することによって、試験目的で最大量の挿入MgO−グラフェン複合材を得た。
第1の試料には、標準的な流体加工および超音波プロセシング、これに続いて1200℃で2時間の加熱処理を施した。このサイクルを2回繰り返した。加熱は、石英管内で、真空で実施し、物質はアルミナボートに入れた。GDMS試験は、試料中の元素の以下の重量濃度を示し、
Mg 6%
Al 4%
Si 7%
Ti 0.1%
IGA試験は、6.2%酸素の存在を示した。したがって、加熱処理は、生成物中のマグネシウムと酸素の両方の質量を有意に減少させた。試料中のアルミニウムは、加熱プロセス中に試料を入れておいたアルミナボートに由来すると考えられている。
【0066】
第2の試料は、物質を乾燥させた石英ボートに置いた以外は類似の方式で調製し、加熱は、真空で、乾燥させた石英管内で行い、加熱サイクルを3回繰り返した。GDMS試験は、この試料が3重量%マグネシウムおよび5重量%ケイ素を含有し、アルミニウムおよびチタンは無視できる量であることを示した。IGA試験は、3.6%酸素の存在を示した。したがって、アルミナボートの代わりに石英ボートを高温で使用することにより、アルミニウムの試料への拡散をなくすことができることが判明し、加熱プロセスの高温が、石英から試料へのケイ素の拡散を引き起こすことが結論づけられた。
次の試料もまた類似の方式で調製し、流体加工および超音波プロセシングに続いて、乾燥させた石英オーブン内の乾燥させた石英ボートの中で、真空で、1200℃で2時間加熱した。この完全なサイクルを3回繰り返し、次いで試料を1000℃で2時間加熱した。GDMS試験は、試料が2重量%マグネシウムおよび6重量%ケイ素を含有することを示し、IGA試験は、3.4%酸素および0.57%窒素の存在を示した。TEM画像は、いかなるナノMgOまたはMgO−グラフェン複合材も観察されなかったにもかかわらず、このプロセスで生成されたグラフェン物質の形態が、加熱処理なしで生成された物質のものと類似していることを示した。SEM画像は、このプロセスで生成された物質の形態が、加熱処理なしで生成された物質のものと類似していることを示し、XRD画像は、唯一の主要な相−−炭素相の存在を示した。これらの試験は、ケイ素物質が石英ボートから、さらにおそらく石英真空器具からも注入されたことを確認しているようであり、ケイ素を含まない物質が所望される場合、1200℃が加熱の上方境界であることが結論づけられた。
【0067】
次いで別の試料を類似の方式で調製し、乾燥させた石英管内の乾燥させた石英ボートの中で、真空で、1000℃で4時間加熱した。このサイクルを4回繰り返した。GDMS試験は、この試料が、8.5重量%マグネシウムと0.15重量%ケイ素を含有することを示し、IGA試験は、4.6%酸素の存在を示した。したがって、加熱温度を1200℃から1000℃に低下させることによって、試料に拡散したケイ素の質量が有意に減少し、本質的にはなくなったが、ただしこの場合、すべての熱サイクルに対して加熱時間を2倍にした。しかし、より低い加熱温度は、加熱時間を増加させても、試料から酸素を取り除くのにかなり効果が低かった。したがって、1000℃が、加熱プロセスに対する下方境界であることが結論づけられた。
【0068】
次の試料を類似の方式で調製し、乾燥させた石英管内の乾燥させた石英ボートの中で、真空で、1000℃で4時間加熱した。このサイクルを4回繰り返した。次いで試料を1150°Cで2時間加熱し、続いて1125°Cで2時間加熱した。GDMS試験は、この試料が5重量%のマグネシウムと0.1重量%のケイ素を含有することを示し、IGA試験は、4.6重量%の酸素の存在を示した。したがって、さらなる加熱サイクルにより、マグネシウムと酸素の両方の量が減少し、ケイ素の量は、実質的に同じままであった。
別の試料を類似の方式で調製し、1125℃で2時間の第1の加熱サイクル、これに続く1150℃で2時間の加熱を連続する4つのサイクルで行った。加熱は、乾燥させた石英管の中で、真空で、物質を乾燥させた石英ボートの中に入れて行った。GDMS試験は、この試料が、3.5重量%のマグネシウムと0.3重量%のケイ素を含有することを示し、IGA試験は、2.2%の酸素の存在を示した。
それぞれ1150℃で2時間の加熱サイクルを5つ用いて最終試料を調製した。加熱は、真空で、乾燥させた石英管の中で、物質を乾燥させた石英ボートの中に入れて行った。GDMS試験は、この試料が3.2重量%のマグネシウムと無視できる量のケイ素を含有することを示し、IGA試験は、2.1%の酸素の存在を示した。このことから、1150℃は、試料中の酸素およびMgの質量濃度の減少のため、および石英機器からグラフェン試料へのケイ素の拡散を阻止するための両方にとって最適な温度であることが結論づけられた。
【0069】
酸化物の形成における温度と標準的な自由エネルギーとの間の関係を示すEllington図は、真空下でおよびより長い時間加熱プロセシングを行うことにより、いくらか高い温度(1850℃)を示唆しているが、発明者らはより高い温度の必要性を回避した。しかし、所望する場合、圧力および/またはプロセシング時間の相当する調整を用いて、より高い温度を利用することができ、多くの反応に対して反応速度は、温度が10℃上昇するたびに2倍になるので、より高い温度は、反応に劇的な影響を与えることができる。
【0070】
グラフェンの生成
図2の実施形態におよそ匹敵するグラフェンを生成するためのバッチプロセスの現在好ましい一実施形態では、スチール容器内に置かれたグラファイトるつぼ内でMg−CO
2反応を行う。このスチール容器は、グラファイトるつぼの回りにCO
2の内部雰囲気を有することによって、グラファイトの燃焼および他のガス、例えば大気などによる汚染を阻止する。CO
2は、低圧で容器に導入され、るつぼの底部、最上部および側部の開口を介してグラファイトるつぼに入る。マグネシウム金属チップをるつぼの中に置き、電気アーク(40VAC、90A)で点火する。
このシステムは、スチール容器の最上部に結合された1ミクロンフィルターを備えた負圧MgO収集システムを有することができるか、またはMgOは、MgOガスがMgO収集機の内側で核形成する際に生成されるMgO粉末を常に取り除くオーガーシステムを有する、低圧の、冷却された、円柱状の軸性収集機で収集することができる。MgOは、収集機の出口で収集し、リサイクルしてMg金属に戻すため、または他の用途で使用するために保存する。
グラファイトるつぼ内で形成された燃焼生成物は、140メッシュサイズ(0.104×0.104mm)に粉砕することによって、それに続く流体精製プロセシングステップでの材料のプロセシングをより簡単にする。
【0071】
粉砕した物質は脱イオン水中で超音波プロセシングを行う。処理時間は、超音波エネルギー投入物のレベルに依存し、より低いエネルギーは、より長いプロセシング時間を必要とし、より高いエネルギーは、より短いプロセシング時間を必要とする。プロセシングは、例えば500ワットの超音波ユニットで2時間のサイクルで行うことができる。エネルギーは時間と力の積なので、必要な場合、時間または力のいずれかを調整することができる。工業的規模の生産のためには、大きな超音波プロセッサが利用されることになる。
20°Baumeの密度を有する塩酸(HCL)を超音波プロセッサからの物質に添加することによって、溶液中に存在する任意の遊離のMg金属およびMgOを溶解し、この新規溶液をまた、適切なエネルギーレベルで適切な時間、例えば500ワットで2時間超音波プロセシングする。
次いでこの溶液を、2.5ミクロン濾紙を有するBuchner真空漏斗26で濾過し、グラフェンを濾紙に付着させ、MgCl
2を通過させる。次いで濾紙およびグラフェンを低温オーブン(100℃未満)内で加熱することによって、グラフェンを乾燥させ、濾紙からのこれらの除去を促進させる。
【0072】
乾燥させた物質を高温乾燥させた石英オーブン内の乾燥させた石英ボートの中に置き、1150°Cで、所望する結果に応じて2時間未満〜6時間超の範囲にすることができる事前設定時間の間加熱する。事前設定時間の間、プロセシング温度で低温のつり上げ作動を提供し、次いで温度のつり下げ作動を提供するPIDコントローラーでオーブンを調節する。低温のつり上げによって、燃焼物質を安定化させ、この中に存在し得るあらゆる水を外に出すことによって、物質中の水の激しい蒸発および水蒸発エネルギーによるボートからの物質の噴出による物質のいかなる損失をも回避する。
物質をオーブンから取り出し、GDMS分析を行うことによって、所望のレベルの純度を達成するためにさらなるプロセシングが必要であるかどうか決定する。必要な場合、プロセスのうちの一部またはすべてのステップを、所望の純度を達成するまで繰り返すことができる。
このプロセスは、完全に再現可能であり、手順の中の意図されないまたは計画されていない事象が、最終のグラフェン生成物に何の影響も与えないという点でかなり強力であることが判明した。例えば、PIDコントローラーを使用する前は、加熱サイクルは正確ではなく、+/−30分間ほども変化し、温度コントローラー用のサーモカップルは、実験室基準で認定されていなかった。手順は非常に寛容である。
所望する場合、他の技法を利用することによって、酸および超音波での処理前に物質を精製することができる。密度分離を用いた鉱石処理はMgとMgOの密度の間に有意な差があるので、効果的である。分離は同様に、サイクロンタイプの分離器の遠心作用により行うことができる。
【0073】
点火システム
Mg−CO
2反応は、外部の熱源、好ましくはグラフェン反応生成物の汚染を回避するもので点火する必要がある。多くの点火システムが試験されてきた。例えばH
2/O
2点火棒は、固体CO
2(ドライアイス)のシート内のオープンキャビティーの中で効果的であることが判明し、電気スパーク(15,000ボルト)で点火するH
2/O
2点火棒は、バッチモードで作動する気体CO
2容器内で効果的であることが判明した。反応が大気圧でCO
2を用いて行われる場合、グラファイトるつぼにアース接続して、マグネシウムチップに非常に近接近させたマグネシウムロッドまたは炭素電極に結ばれているアークを用いて、ACまたはDC電気アークを使用するのが好ましいことが判明した。電極およびアースをSiameseの平行構成にし、これら2つを同時に非常に近接させるが、マグネシウムチップには接触させない状態で、システムは、エアロゾル環境内でMg/CO
2混合物に点火することができる。
所望する場合、Mg/CO
2混合物を点火するために、電気アークの代わりに、高輝度ランプ、グロープラグ、またはH
2/O
2点火棒を使用することができる。しかし、電気アークは、持続的に作動させたままでおくことによってMg/CO
2混合物の連続的な燃焼を保証することができ、複数の炭素アークユニットを使用することによって、Mg/混合物の完全なおよび全部の燃焼を保証することもできる。
【0074】
反応器のデザイン
本発明を行うための反応器の構築に使用するため、異なる物質が試験されてきた。カーボンスチール反応器は、最初はうまく機能したが、高温への曝露の繰り返しにより劣化した。
図8に示された反応器は、底部に高温酸化ジルコニウム(ZrO
2)のポケットを有し、熱的にうまく働いたが、ZrO
2で反応生成物が汚染された。グラファイトるつぼを有するグラファイト反応器は、長期に渡る試験に渡り非常にうまく機能し、現在グラファイトが反応格納容器に好ましい物質である。グラファイトは、優れた高温特性を有し、グラファイトからのあらゆる汚染炭素がまさにグラフェンに進入する。また、グラファイトは、所望の形状および寸法へと容易に機械加工される。
熱サイクル格納容器
炭素反応生成物を、分離および精製ステージで利用される温度に加熱することは、炭素の燃焼を阻止するため、試料を真空下で処理することが必要とされ、処理される生成物を汚染することなく、プロセシング温度へ繰り返し曝露されてもこれらの構造を維持することが可能な物質でオーブンを作製することも必要とされる。この目的のために石英管およびムライトまたはポーセラナイト管(3AI
2O
32SiO
2または2AI
2O
3SiO
2)の使用が成功している。他の物質、例えばチタンなどは、構造的に失敗であり、生成物を汚染させることが判明した。
【0075】
知見および結論
本発明は、長期に渡りおよび異なる実施形態で、際立って一貫した物質を生成する。TEMおよびXRD結果は、高度結晶性の性質のグラフェンの一貫した生成を実証している。細孔サイズおよび量の測定値もまた一貫したままであり、MgO−グラフェン複合材が取り出されるグラフェンは、複合材が取り出されないグラフェンより、有意に大きな表面積を有する。
反応生成物は、プロセスの様々なステージで制御および管理することができる。流体ステップおよび超音波ステップへ加熱処理を加えることで、MgO結合からの酸素の放出によりまたはグラフェン複合材中のMgOの昇華により、処理しづらい挿入MgO−グラフェン複合材のかなりの還元が結果として生じる。加熱処理の温度および期間は、経験的に決定することができ、またはEllingham図の使用を介して計算することもできる。MgO−グラフェン複合材の還元は、各熱サイクルが一定のパーセンテージで、残った複合材を還元することで直線的に起こり、反応生成物グラフェンは、99%またはより高いレベルの純度まで商業的に精製することができると考えられている。もっとも少ない量の挿入MgO−グラフェン複合材と共に開始するため、固体CO
2(ドライアイス)供給原料よりも、むしろ気体CO
2供給原料、さらにより好ましくは加圧した気体CO
2供給原料を使用するのが好ましい。
【0076】
有利な蒸気−核形成サイクルおよびCO
2およびMgの有利な発熱性酸化還元反応は、グラフェン以外のナノ材料および他の炭素ナノ生成物を生成することができる、より広域な、より一般的なプロセスの一部であることをこれらの例が示している。このプロセスは、有意な程度まで純粋な物質として「自己−再編成する」気化した均質な物質を作り出す。
高純度のMgO反応生成物が、例えば反応チャンバーのベントを介して反応場から有利にも排出され、例えば真空粒子収集機の中に収集することができる。MgO排出はまた、この反応生成物の分離の予備ステップとしても利用することができる。
グラフェンの生成におけるマグネシウム金属および固体CO
2(ドライアイス)のバッチプロセシングは、相対的に高い初濃度のMgOを有する生成物を結果として生じ、これは、マグネシウムと組み合わせるCO
2が不十分であることによる不完全燃焼の結果であると考えられている。気体CO
2を反応に添加すると、生成物中のMgOの量に有意な低減が生じ、したがってこれは、反応に利用可能なCO
2の量を制御することによって、この反応生成物の組成を制御することができることを実証している。
【0077】
Mg−CO
2反応は、グラフェンおよび他のナノ生成物の生成に必要とされる高温を生成する好ましい方法であるが、所望する場合、反応に他の物質を使用することが可能である。
したがって、異なる化学的および物理的組成を有するグラフェンおよび/またはグラフェン複合材を作るための主要な供給原料として、マグネシウムの代わりに、例えばアルミニウムを使用することができる。プロセスにおける反応物としての使用に同様に考慮され得る他の元素が存在し、同様に、反応のための炭素源を得るためにCO
2の代わりに使用することができる、CH
4などの他の炭素化合物および他の炭化水素も存在する。
反応供給原料の純度および組成もまた、この反応生成物の純度および最終生成物の組成に影響を与えることができる。したがって、例えばマグネシウム供給原料がその中にさらに小さいパーセンテージのアルミニウムを有する場合、この反応は、生成したグラフェンの中にアルミニウムおよびスピネルの汚染を生成することになる。同様に、CO
2純度は、この反応生成物の最終化学成分に影響を与える。従来まで太陽炉での規模でしか作動できなかった多くの化学的な用途が、高温反応および様々な反応物、添加物、または成分の使用により、連続的な工業的規模で作動させることができるようになる。
【0078】
CO
2混合物に他のガスを含めることによって、グラフェンへの他の元素の添加を容易に実現することができる。例えば、CO
2へのボラン(BH
3またはB
2H
6)の添加は、半導体物質にこの反応生成物をドープする場合、p−ドープされたグラフェン半導体を生じ、CO
2へのアンモニア(NH
3)の添加は、半導体物質にこの反応生成物をドープする場合、n−ドープされたグラフェン半導体が生じる。グラフェンの望ましい電子特性を考慮すると、p−ドープおよびn−ドープされたグラフェン半導体は、広範囲の使用およびかなりの価値を有することができる。
測定された反応温度である5610°F(3098℃)が、MgO(6512°F/3600℃)の蒸気点より下であったとしても、これにもかかわらずMgOナノ粒子が反応で形成されることを述べるべきである。発明者らは、これは、この反応ゾーンの深い部分の温度が、そのゾーンの外側で測定された温度よりもかなり高いことが原因となり得ると考える。
また、ナノ材料が形成される反応温度は、約1000°F(537℃)〜約7000°F(3871℃)の範囲であってよいようにみえる。
【0079】
本発明で生成したナノ材料は、別個の均質な粒子として形成する強力な傾向を示し、MgOは有利に放出する傾向にあり、カーボングラフェンは反応器容器に残留する傾向にある。
反応の高温は、グラフェン、ナノ−ペリクレースまたはその複合材の生成以上の、工業用の用途を有することもできる。例えば、反応のエネルギーおよび温度は、アルミニウム、スチール、または鉄などの金属の微細な粉末と、マグネシウムとを合金すること、および/またはグラフェンにこのような金属を注入することによって、軽量な、超強力なグラフェン−スチール、磁気または現場溶接可能なマグネシウム−鉄合金、または新規ファミリーの鉄、アルミニウム、またはスチール物質などの生成物を生成するのに有用となり得る。
本発明は、いくつかの重要な特徴および利点を有する。本発明は、マグネシウムと二酸化炭素の発熱性の高い酸化還元反応の高エネルギーおよび熱により可能となる有利な蒸気−核形成サイクルを、統合された供給原料管理、反応生成物の冷却、反応からの熱の捕集、反応で生成したエネルギーおよび物質のリサイクル、反応生成物の捕集、反応生成物の分離および精製、ならびに生成物の機能化と一緒に利用する、グラフェンおよび他のナノ材料を生成ためのプロセスを提供する。
【0080】
反応は、おそらく蒸気状態で、物質結合の並外れた分解を引き起こす極端な温度を生成し、続いて気化した物質が反応から締め出されるにつれて、この物質の急速な冷却が生じる。これは、極度に低下する温度勾配への蒸気の接触を結果として生じ、物質を有利に核形成させ、圧倒的に均質なナノ材料形態へと融合させる。
所望する場合、土類金属および酸素保持分子を含む他の酸化還元反応を含めた非常に高い温度の他の供給源を、マグネシウムと二酸化炭素の反応の代わりに利用することによって、プロセスによりナノ材料が生成される状態を作ることができる。
本発明は、反応に存在し、反応の高エネルギーおよび温度に曝露されるほぼあらゆる物質からナノ材料を生成し、ナノカーボンおよびナノ−MgOを有利に生成する。好ましいモードでは、これら有利に形成されたナノ材料は圧倒的に、均質な、ナノスケールの結晶形態の、グラフェンとして知られた炭素およびペリクレースとして知られたMgOの形態である。
【0081】
本発明は、プロセスの異なる実施形態を用いた場合、ならびに供給原料の形態および/または圧力が変化した場合、
図22a〜22cのTEM画像に見られるように、長期に渡り各バッチ間で類似の形態および特徴を有するナノ材料を一貫して生成する。
図22aおよび22bは、10および20ナノメートルスケールの固体CO
2(ドライアイス)により生成された試料を示し、
図22cは、20ナノメートルスケールの気体CO
2を用いて生成された試料を示している。18カ月の期間に渡りバッチプロセスで試料を生成し、塩酸(HCl)のみで処理した。これらの画像は、18カ月の期間に渡り、およびプロセスの異なる実施形態の中でも、グラフェン形態が際立って一貫していることを示している。
本発明は、単一の層グラフェンおよびごくわずかの層を有するグラフェン、つまり、有意な数の現在および将来の用途のために有望と考えられる特性を有する貴重なナノ材料を生成する。グラフェンの存在および形態は、物質の測定された属性と観察された属性の両方で確認され、これらには、グラフェンと一致した外観、表面積、エックス線反射率および多孔度が含まれる。
本発明はまた、ナノスケールの酸化マグネシウム結晶、またはペリクレースを生成する。反応により生成された有意な量のMgOを有利に放出および捕集することができる。本発明で生成された、捕集MgOの測定純度は99.2%であり、これは生成された中で最高レベルの純度である。このように非常に純粋なナノMgOは、医薬、電子機器およびコンピューティング、食物、および火災安全を含めたいくつかの分野において有意な用途を有する。このMgOは、本発明の反応において再利用するためのマグネシウムにリサイクルするために使用することに対して高度に適切である。MgOは、Mg(OH)
2を形成するための水との簡単な反応によりプラスチック用の難燃剤として官能化することができる。
本発明はまた、極めてまれなおよび潜在的に貴重なナノ材料の組合せ、例えば挿入グラフェン−MgO複合材およびナノスピネルなどを生成することもできる。グラフェン−MgO複合材料は、新規物質と考えられ、ナノスピネルは相対的に珍しい。反応中に存在するあらゆる物質は、周辺温度で固体である限り、ナノ材料形態へ還元される可能性が高い。
【0082】
本発明は、制御可能性および拡張可能性が高いことが判明した。供給原料ならびに他の物質および気体投入物は、大きさ、圧力および化学成分を変化させることができる。これによって、新規の物質、複合材、および非炭素、非マグネシウムナノ材料を含めた、変化に富むおよび制御可能な結果が生まれることになる。
反応それ自体は、供給原料のタイプ、性質、形態、量、または圧力の変更、不活性ガスの導入、注入物質の冷却または予熱、点火のタイプ、ならびに容器のタイプおよびサイズなどの手段により調節または制御することができる。これによって、変化に富んだおよび制御可能な結果が生まれる。
反応生成物もまた制御することができる。反応投入物、反応エネルギーおよび反応温度、および他のパラメータを操作することによって、反応生成物の性質、一貫性およびタイプを制御することができる。反応の高エネルギーおよび温度のため、反応は、グラフェンおよび他の反応生成物の量子力学的属性、例えば、低い電気抵抗、高い電気伝導率、および/または物質から出される磁場などを含めた量子力学的属性を変化させる方法を提供することができる。物質の処理、分離、および精製のための反応後プロセスを管理および制御することによって、変化に富むおよび制御可能な生成物を生成させることができ、精製および分離プロセスに熱サイクルを加えることによって、挿入MgO−グラフェン複合材を、還元するまたはなくすことができる。
【0083】
本発明は、拡張可能であり、適応可能である。反応は、単純で、本質的に強力であり、所望のナノ材料を生成するのに必要なエネルギーおよび温度を生成する。供給原料は、一般的で、容易に入手可能であり、反応は、公知の物質および方法を用いて封じ込めることができる。エネルギーおよび物質の捕集および再利用はまた、公知の物質および方法を用いて行うことができる。いくつかの標準的な、周知の分離プロセスおよび方法を利用および最適化することができ、本発明は、MgOの有利な排出を含めた新規の分離プロセスを提供する。反応生成物は、一貫して、制御可能、および予想可能であり、本発明は、大規模なナノ材料の生成から可動式の排出捕集までの範囲の異なるスケールおよび異なる形態で実行することができる。MgO反応生成物を、反応プロセス用のマグネシウム供給原料としての再利用のために有利に捕集し、効率的にリサイクルすることができ、これによって、本発明の大規模な運用がマグネシウムの世界的需要、供給、および価格に対して影響を与えることを回避する。
本発明は、グラフェンを含めたナノ材料の生成のための新規の、独特な、一般的な、完全なおよび拡張可能なプロセスであって、炭素ナノ材料の生成が、このような物質を使用することに興味がある多くの産業に対して適切な工業規模および統一小売価格に到達するように、今までこれを阻止してきた障害を克服することによって、これらの製品および解決策を改善する方法を提供する。
【0084】
グラフェンの生成のためのこれまでに知られている方法および戦略は、スケーリングおよびコスト削減の影響を受けにくい。公知のナノカーボン生成プロセスは、エネルギー、物質および労働集中型である。これらは、鉱物または合成グラファイト供給原料に依存している。しかし、グラファイトの供給は、弾性ではなく、高品質結晶グラファイト、つまりグラフェン生成のための好ましい供給源物質は、供給が限られている。多くのナノ材料生成プロセスに必要となるエネルギーが重大であり、公知のプロセスは、大量の機械的および/または電気的エネルギーを使用する。
公知のナノカーボン生成プロセスは、拡大するのが難しい、これらの多くは、自動化するのが難しく、拡大するのが困難な高価な特定化された機器を必要とする。炭素ナノチューブを生成するためのプロセスは、10年に渡り広く知られ、統一小売価格を適切なレベルまで縮尺し、低下させる見込みがあるが、炭素ナノ生成物の生成は、10年前と比べて、工業的規模および価格に近づいたわけではない。
【0085】
本発明は、グラファイトまたは相対的に希少な高度結晶性グラファイト供給原料に依存せず、むしろ炭素ナノ材料またはグラフェンの生成のための、広く入手可能な、低コストのガスである二酸化炭素に依存している。本発明は、炭素ナノ材料またはグラフェンを生成するためにエネルギーを必要としない発熱性の高いおよび有利な反応を利用する。一部のエネルギーは、反応生成物を分離および精製するために使用されるが、他のプロセスよりもかなり少ないエネルギーが、本発明全体で使用され、本発明のエネルギーフットプリントはゼロにさえ接近している。本発明は、反応生成物の分離および精製に使用されるマグネシウム供給原料および塩酸を含めた重要な物質をリサイクルする。反応の単純さおよび活力により、本発明を拡大することによって、非常に大量のグラフェンの生成が可能となる。二酸化炭素供給原料の低いコスト、マグネシウム供給原料をリサイクルする能力および相対的に単純な分離および精製プロトコルのおかげで、グラフェンの生成が非常に低コストとなり、これは、公知のプロセスに対してもっとも楽観的に見積られたコストよりずっと低く、匹敵する純度の高品質ミクロンスケールのグラファイト粉末に対する市場価格とおよそ同等である。
【0086】
本発明は、様々な実施形態を実行することができ、これらのそれぞれが、本発明の独自の統合された特徴および機能の恩恵を受け、特定の目的を達成するために利用することができる。連続流の実施形態は、バッチプロセスよりも一般的にかなり大量のグラフェンおよび他のナノ材料を生成することになるが、グラフェン生成物またはカスタマイズされた複合材料のより正確な制御および操作を所望する場合、バッチプロセスを利用することができる。気体CO
2を用いたバッチプロセスは、プロセシング変数の決定に対してもっとも制御可能なプロセスであり、グラフェン物質特性の容易な変更を可能にする。バッチプロセスは、電解によるアルミニウム還元およびスチール生成における電気炉生成に使用される「ポットライン」と類似している。バッチプロセスはまた、システム操作上のパラメータを決定するための開発ステージにおいて貴重である。
モジュール式実施形態は、固定された底部または大きな可動式化石燃料燃焼システムの中のCO
2および微粒子の捕集および破壊に利用することができる。また、MgOは、CO
2捕捉剤として機能することが知られているので、ナノMgO反応生成物は、MgOベースのCO
2捕集システムの性能を強化するのに有用となり得る。
【0087】
本発明は、拡張性、コスト、および生成物の質、例えば一貫性、信頼性、および純度などを含めた、ナノ材料の工業生産に対する有意な利点を有する。本発明の生成物は、最先端工業製品、解決策および用途に対して有意な適応性を有する。グラフェンは、電気化学ならびに触媒、磁気、熱および物質移動、半導体、水素貯蔵および先端材料構築を含めた他の用途において、独特なおよび証明された可能性を有する。本発明で生成した超純粋なナノMgOは、本発明で再利用するためリサイクルされたMgに対する供給原料としてのその使用に加えて、プラスチック工業を含めた多くの産業において多くの潜在的用途がある。本発明で容易に生成することができる他のナノ材料もまた貴重なものとなり得る。例えばナノスピネルは、リチウムイオン電池カソードに用途があり、ナノMgOは、CO
2捕集における基礎成分として重要となり得る。
本発明は、投入物ならびに反応および分離プロセスの有意な制御を提供する。反応の投入物、温度、速度、成分および他のパラメータならびに反応後の分離プロセスを変化させることによって、ナノ炭素および他のナノ生成物の形態、一貫性および量子力学的属性を制御することができる。
【0088】
前述のことから、グラフェンおよび他のナノ材料の生成のための新規のおよび改善されたプロセスが提供されることは、明らかである。特定の現在好ましい実施形態のみが詳細に記載されているが、当技術分野を熟知する者には明らかなように、以下の特許請求の範囲で定義されたような本発明の範囲を逸脱することなく、特定の変更および修正を行うことができる。