【実施例】
【0084】
実施例1:ミニエマルションの調製法
以下のプロセスを使用して、各種の濃度の界面活性剤を用いて100gのミニエマルションを調製した。
【0085】
【表2】
調製品A:
1.ポリソルベート80をミニエマルションの調製に必要なWFIの80%に添加し、撹拌して分散させた。
【0086】
2.次いで、そのTween80(登録商標)の水溶液の中にレシチンを添加し、ロータホモジナイザーを2分間または分散するまで使用したホモジナイゼーションによって分散させた。
【0087】
調製品B:
1.ダイズ油
AとBとの混合:
10,000rpmの速度でロータホモジナイザーを使用して、連続ホモジナイゼーションを行ないながら、調製品Aの中に調製品Bを一滴ずつ(徐々に)添加した。残りのWFIを添加して、所定重量になるようにした。そうして得られた混合物を、ロータホモジナイザーを18,000rpmの速度で10分間使用して、ホモジナイズさせた。
【0088】
実施例2:異なった界面活性剤濃度を有するミニエマルションの安定性
実施例1において調製したミニエマルションを、1ヶ月後に、表1に示したような種々のパラメータを使用して安定性についてのスコア付けをした。表1からも判るように、界面活性剤の全濃度は、ミニエマルションの総合的な安定性には顕著な影響を与えなかった。
【0089】
【表3】
実施例3:超音波処理有りおよび無しで調製したミニエマルション
以下の配合に従い、実施例1に従って1kgバッチのミニエマルションを調製したが、ただし、調製品Bを調製品Aに添加する際に、滴下による添加ではなく、ペリスタポンプを使用した。
【0090】
【表4】
次いでそうして得られたミニエマルションを、磁気撹拌、2、4、または10分間のホモジナイザー処理、そして5分間の超音波処理にかけたが、それぞれのステージで粒径分析のための試料を採取した。簡単に説明すれば、マグネチックスターラを10分間使用してエマルションを撹拌してから、第一の試料を採取した。次いでそのエマルションを、ロータホモジナイザーを10分間使用してホモジナイズさせたが、試料は、2、4、および10分に採取した。次いで、そのエマルションを超音波処理に5分かけて、さらに加工して、最終の試料を採取した。
【0091】
粒径は、マスターサイザ(Mastersizer)2000(マルベルン(Malvern)製)によって分析し、中央粒径(分布の50%がそれより上にあり、50%がそれより下にあるような直径(d(0.5))を求めた。表2に見られるように、マグネチックスターラだけの撹拌では、0.680μmのd(0.5)が得られた。さらに、ホモジナイゼーションおよび/または超音波処理を用いてもd(0.5)には顕著な低下がなかったが、このことは、本発明の方法では、低エネルギーの方法を用いてミニエマルションを製造することが可能であるということを示唆している。
【0092】
【表5】
実施例4:多層化ミセル構造の形成および評価
分散された親水性界面活性剤に親油性界面活性剤を添加すると、多層化ミセル構造が形成されるという仮説があった。次のようにして、蛍光色素を含む100gのミニエマルションを調製した。
【0093】
【表6】
調製品A:
1.フルオレセインナトリウム(水可溶性)を50gの水の中に溶解させた。
【0094】
2.フルオレセインナトリウムを含むその50gの水の中に、Tween80(登録商標)をマグネチックスターラ上で添加して、分散させた。
3.そのTween80(登録商標)の水溶液にレシチンを添加し、ロータホモジナイザーを10分間または分散するまで使用したホモジナイゼーションによって分散させた。
【0095】
調製品B:
1.温水(40℃)中で20分間超音波処理することにより、ローダミンをダイズ油の中に溶解させた。
【0096】
2.次いでその油を0.2μmのフィルターを通して濾過して、未溶解のローダミン粒子をすべて除去した。
AとBとの混合:
マグネチックスターラにより中程度の速度(5)で連続撹拌しながら、調製品Bを調製品Aの中に、一滴ずつ(徐々に)添加した。このステージで試料を採取して、蛍光顕微鏡を使用して画像化した(
図1)。
【0097】
残りの水を添加して、所定重量になるようにした。マグネチックスターラを用いて10分間(最大速度、10)その最終混合物を撹拌した。ホモジナイゼーションプロセスは省略し、その代わりに調製物を中程度の速度で撹拌すると、より大きな粒径が得られたが、それは、蛍光顕微鏡により、400倍の倍率で、より容易に観察することができる。
【0098】
次いで、蛍光顕微鏡法を使用して、そのようにして得られた調製物の試料を画像化した(
図2)。
図1および2からも判るように、その調製物は、レシチンと内部に脂質を含むTween80(登録商標)との多層化/球状構造を含んでいる。同様のプロセスを使用して、光学顕微鏡法のための試料も調製したが、ただし、水相からフルオレセインナトリウムを除外した(
図3)。この多層化構造が界面の表面積を増やし、乳化プロセスの間に、界面のところで界面活性剤がより容易に利用可能となっていると考えられる。
【0099】
さらに、それらの粒子が球状であるが、このことは、それらの粒子が界面活性剤分子によって完全に覆われていて、他の形態の粒子に比較して、粒子の相互作用に利用可能な表面が最小になっているということを意味している。
【0100】
最後に、この実施例は、そのミニエマルションが、親水性薬剤(フルオレセインナトリウム)および親油性薬剤(ローダミン)を組み入れる能力を有していることを示している。
【0101】
実施例5:代替的なミニエマルション調製物
上述の配合物において以下の変更を加えたものも調製したが、それらは3〜6ヶ月間安定であった。
【0102】
【表7】
調製品A:
1.Tween80(登録商標)を、撹拌によりWFIの80%の中に溶解させた。
【0103】
2.そのTween80(登録商標)の水溶液の中に1.0gのレシチンを添加し、ロータホモジナイザーを5分間使用して、ホモジナイズすることにより分散させた。
調製品B:
1.残りのレシチンを、油に添加し、次いでイソプロピルアルコールを添加し、40℃で20分間超音波処理をして、レシチンを溶解させ、溶媒を除去した。
【0104】
AとBとの混合:
10,000rpmでロータホモジナイザーを使用して連続ホモジナイゼーションを行ないながら、調製品Aの中に調製品Bを一滴ずつ(徐々に)添加した。次いで、残りのWFIを添加して、所定重量になるようにした。
【0105】
【表8】
調製品A:
1.Tween80(登録商標)を、撹拌によりWFIの80%の中に溶解させた。
【0106】
2.そのTween80(登録商標)の水溶液の中にグリセリルモノステアレートを添加し、十分に混合した。
調製品B:
1.ダイズ油
AとBとの混合:
10,000rpmでロータホモジナイザーを使用して連続ホモジナイゼーションを行ないながら、調製品Aの中に調製品Bを一滴ずつ(徐々に)添加した。残りのWFIを添加して、所定重量になるようにした。
【0107】
【表9】
調製品A:
1.Tween80(登録商標)を、撹拌によりWFIの80%の中に溶解させた。
【0108】
2.そのTween80(登録商標)の水溶液の中に1.0gのSpan20(登録商標)を添加し、ロータホモジナイザーを5分間使用して、ホモジナイズすることにより分散させた。
【0109】
調製品B:
1.残りのSpan20(登録商標)を油に添加し、40℃で20分間撹拌して、Span20(登録商標)を溶解させた。
【0110】
AとBとの混合:
調製品Aの中に調製品Bを一滴ずつ(徐々に)添加し、そして10,000rpmでロータホモジナイザーを使用して、連続ホモジナイゼーションを行なった。残りのWFIを添加して、所定重量になるようにした。
【0111】
実施例6:ミニエマルションの調製法
以下のようにして、リグノカインを含むミニエマルション150gを調製した。
【0112】
【表10】
調製品A:
1.50gのWFIの中にTween80(登録商標)を添加し、ロータホモジナイザーを使用して、10,000〜15,000rpmで5分間ホモジナイズさせた。
【0113】
2.そのTween80(登録商標)の水溶液にホスホチジルコリンを添加し、ホモジナイザーによって2分間または分散するまで、分散させた。
3.その水溶液を、オートクレーブ中121℃で15分かけて滅菌した。
【0114】
調製品B:
1.ダイズ油を、215℃で2時間かけるか、または0.2μmのフィルターを通して濾過することによって滅菌した。
【0115】
2.温水(40℃)中で20分間超音波処理することにより、リグノカインを滅菌した油の中に溶解させた。
AとBとの混合:
調製品Aの中に調製品Bを、0.2μmの滅菌フィルターを通過させることにより、一滴ずつ(徐々に)添加し、そして10,000rpmでロータホモジナイザーを使用して、連続ホモジナイゼーションを行なった。残りのWFIを添加して、所定重量になるようにした。その最終的な混合物を、ロータホモジナイザーを18,000rpmで10分間使用して、ホモジナイズさせた。
【0116】
実施例7:室温および4℃における安定性−リグノカインの濃度
時間の経過でリグノカインが分解されていないことを確認するために、実施例6における方法に従って形成させた、二つの別々のバッチ(「バッチ1」および「バッチ2」)について、室温および4℃(すなわち、冷蔵有りと冷蔵無し)で322日の間貯蔵したときの、リグノカイン安定性の試験を行った。安定性は、所定のタイムポイントで、調製品中のリグノカインの濃度をHPLCによって測定することによって試験し、これを、その調製物を形成させる際に添加された実際の量と比較した。簡単に説明すれば、それぞれのタイムポイントで、液液抽出によって、調製物の試料からリグノカインを抽出した。その方法は、異なった溶媒系を使用することによって最適化し、薬局方のガイドラインに従ってバリデーションも行った。
【0117】
ステップ1:
25mLのメスフラスコの中に0.5gのエマルションを秤り込んだ。そのエマルション試料をイソプロピルアルコールの中に溶解させてから、追加のイソプロピルアルコールを用いて定容した(溶液A)。次いで、溶液Aの2mLアリコートを、ネジ蓋式の試験管に移してから、4mLのジクロロメタンを添加した。試験管を4〜5回反転させることによって、その混合物を穏やかに振盪した。
【0118】
ステップ2:
その溶媒混合物に4mLの0.1MのHClを加えた。5分間穏やかに振盪し、次いで1000rpmの遠心分離に5分間かけることによって、0.1MのHClの中にリグノカインを抽出した。上側の水層を取り出し、20mLのメスフラスコの中に集めた(溶液A/1)。ステップ2をさらに2回繰り返し、合計3回実施した。
【0119】
ステップ3:
0.1MのHClを用いて、溶液A/1を定容した。0.5μmのフィルターを通して少量の試料を濾過し、HPLC分析のために注入した。HPLC条件は次の通りである:
1.移動相:
・ 25mMリン酸(2.883g): 60%:600mL
・ メタノール 40%:400mL
・ 全容積 1000%:1L
2.流速: 1mL/分
3.波長: 210nm
4.カラム(オールテック(Alltech)): アポロ(Apollo) C18、5μm、長さ:50mm、ID:4.6mm
5.積分パラメータ: 計数除外面積:10000
閾値:3
ピーク幅:0.05
試料中のリグノカイン濃度を、調製品の中の最初のリグノカイン濃度と比較して百分率として表した。
図4に見られるように、リグノカインの分解は、室温で貯蔵した調製物と4℃で貯蔵した調製物とでは、ほぼ同じ速度で起きていた。したがって、この結果は、記載された方法で調製したミニエマルションは、長い保存期間を有しているということを示しているが、その理由は、それが安定であって、長期間にわたって室温で貯蔵しても薬剤の濃度が維持されているからである。
【0120】
実施例8:室温および4℃における安定性−粒径
実施例6および7の記述に従って調製したバッチ1および2について、室温および4℃(すなわち、冷蔵有りと冷蔵無し)で236日の間貯蔵したときの安定性を、粒径を測定することによって試験した。粒径は、マスターサイザ(Mastersizer)2000(マルベルン(Malvern)製)によって分析し、中央粒径(分布の50%がそれより上、50%がそれより下になる粒径(d(0.5))および、分布の90%がそれより下になる粒径(d(0.9))を測定した。以下の表3および4に見られるように、室温で貯蔵した調製物と4℃で貯蔵した調製物の間では、平均分布d(0.5)およびd(0.9)における差はほとんど認められなかった。
【0121】
【表11】
【0122】
【表12】
実施例9:ミニエマルションの特性:粒径の報告
実施例6に記載した方法で調製したミニエマルションの試料を、マスターサイザ(Mastersizer)2000(マルベルン(Malvern)製)によって分析した。実施例6における方法を使用して1kgのスケールアップバッチも調製し(ただし、調製品Bの調製品Aへの添加では、滴下による添加ではなく、ペリスタポンプを使用した)、分析した。簡単に説明すれば、100mLの脱イオン水の中に2〜3滴のエマルションを滴下により添加した。試験の結果を
図5〜7に示す。150gバッチから分析した粒子のほとんど100%(99.24%)が、1μm未満または以下の粒径を有していた。これは、1kgバッチの場合(85.00%)よりもやや高い。さらに、150gバッチにおける粒子のほぼ50%が、200nm〜1μmの間にあり、1kgバッチにおける粒子のほぼ85%が、200nm〜1μmにあった。
【0123】
150kgバッチにおける粒子は、1kgバッチ(d(0.5)=0.619μm)におけるものよりも、平均してやや小さい(d(0.5)=0.202μm)が、これは、技法的なサンプリングの問題のためだと考えられる。それにも関わらず、これらの結果は、このミニエマルションは、粒径に顕著な影響を与えることなく、商業的なバッチサイズへ満足のいくレベルでスケールアップできるであろうということを示している。
【0124】
実施例10:1kgのバッチサイズで調製したミニエマルションの安定性
スケールアップした形態においてもエマルションが依然として安定していることを確認するために、1kgバッチの安定性についても試験をした。安定性に関わるいくつかのパラメータについて調べ、その結果を表5に示した。
【0125】
粒径は、マスターサイザ(Mastersizer)2000(マルベルン(Malvern)製)によって分析し、中央粒径(分布の50%がそれより上にあり、50%がそれより下にあるような直径(d(0.5))を求めた。実施例7において記載したHPLC法を使用して、リグノカインの濃度(%(w/w))およびリグノカインの%力価検定を測定した。
【0126】
過酸化物値は、英国薬局方(British Pharmacopoeia)、第IV巻、補遺XF 2010(ロンドン(London):英国保健省出版局(Her Majesty’s Stationery Office for the Department of Health))からの標準化方法Aを使用して求めた。簡単に説明すれば、250mLの共栓付き三角フラスコの中に2.50gのエマルションを入れた。2容のクロロホルムRと3容の氷酢酸との混合物30mLを添加し、エマルションが溶解するまでフラスコを振盪させた。次いで、0.5mLの飽和ヨウ化カリウム溶液Rを添加し、正確に1分間フラスコを再度振盪させてから、30mLの水を添加した。連続的に激しく振盪させながら、その溶液の中に0.01Mのチオ硫酸ナトリウムを、黄色がほとんど消えるまで、徐々に滴定しながら添加した。次いで、5mLのデンプン溶液を添加して、色が消えるまで激しく振盪しながら滴定を続けた(n
1mLの0.01Mチオ硫酸ナトリウム)。次いで同じ条件下でブランク試験を実施した(n
2mLの0.01Mチオ硫酸ナトリウム)。ブランク滴定で使用する0.01Mチオ硫酸ナトリウムの容量が0.1mLを超えてはいけない。
計算
【0127】
【数1】
エマルションのpHはデジタルpHメータによって測定した。エマルション試料を測定する前に、標準緩衝剤溶液(pH4および7)を使用してpHメータの較正を行った。pHは、デュオテスト(Duo test)pHメータを使用して試験した。
【0128】
【表13】
表5からも見られるように、15ヶ月の期間を過ぎても、いずれのパラメータも顕著に変化することはなかったが、このことは、このエマルションが、1kgにスケールアップしたとしても、2年以上にわたって安定であることを示している。
【0129】
重要な点は、時間が経過してもその平均粒径が大きくならないということである。粒径の増大は、エマルションの不安定性の重要な指標である。しかしながら、室温で30ヶ月(914日)経過後でも、粒径の増大は無視できる(
図8)。したがって、これらの結果は、このエマルションが室温で2年6ヶ月を超えても安定であることを示している。
【0130】
油の酸化は、エマルションの不安定性のもう一つの指標である。先に見たように、時間が経過しても過酸化物値が大きく変化することはなかったが、このことは、エマルション中で油の酸化が起きていないことを示している。ペルオキシドの値に小さな変動が見られるが、これは分析の本来的性質によるものである。さらに、すべての数値は、注射製剤についての薬局方の標準に適合している。
【0131】
実施例11:40%(w/w)の脂質を含むミニエマルション調製物
以下のようにして、リグノカイン・HCl、サリチル酸およびユーカリ油を含む100gのミニエマルションを調製した。
【0132】
【表14】
調製品A:
1.リグノカイン・HClおよび安息香酸を20gの水の中に溶解させた。
【0133】
2.20gのリグノカイン・HClおよび安息香酸を含むWFIの中にTween80(登録商標)を添加し、ロータホモジナイザーを使用し、10,000〜15,000rpmで5分間かけてホモジナイズさせた。
【0134】
3.そのTween80(登録商標)の水溶液にホスホチジルコリンを添加し、ロータホモジナイザーを20分間または分散するまで使用したホモジナイゼーションによって分散させた。
【0135】
調製品B:
1.40℃でヤシ油を融解させ、おだやかに撹拌しながら流動パラフィンと混合した。
2.サリチル酸を、2mLのイソプロピルアルコールと共に温水(40℃)中で20分間超音波処理にかけて、その油の中に溶解させた。
【0136】
AとBとの混合:
10,000rpmでロータホモジナイザーを使用して連続ホモジナイゼーションを行ないながら、調製品Aの中に調製品Bを一滴ずつ(徐々に)添加した。残りのWFIを添加して、所定重量になるようにした。その最終混合物を、18,000rpmで10分間かけてホモジナイズさせた(このプロセスの間に、ほとんどのイソプロピルアルコールが蒸発したものと推定される)。
【0137】
そのミニエマルションの試料を、マスターサイザ(Mastersizer)2000(マルベルン(Malvern)製)によって分析した。簡単に説明すれば、100mLの脱イオン水の中に2〜3滴のエマルションを滴下により添加した。この試験の結果を
図9に示す。
【0138】
この実施例もまた、このミニエマルションが、親水性薬剤(リグノカイン・HCL)と親油性薬剤(サリチル酸)とを組み入れる能力を有していることを示している。
実施例12:疼痛治療に対するミニエマルションの使用
実施例9および10で述べた、スケールアップした1kgバッチを使用して、皮膚のドナー部位(donor site)で包帯交換を受ける患者における疼痛を処置した。このエマルションをスプレー(「NSスプレー」)として投与し、従来からの4%のキシロカインを含む疼痛スプレー(「キシロカインスプレー」)と比較試験した。
【0139】
患者をランダムに割り付けて、キシロカインスプレーまたはNSスプレーいずれかの処置を受けるようにした。その手順の1時間後に、患者が最終疼痛スコアを提出して、彼らの総合的な満足度の評価付けを行った。患者は、10(疼痛の激しさの抑制がまったく無し)から0(完全な疼痛緩和)までの尺度で疼痛のスコア付けをし、所定値に等しいかそれよりも大きい平均スコアを、有効な疼痛緩和を構成したとみなす。この試験において5.0以下、より好ましくは、2.0以下の平均スコアであれば、有効な疼痛緩和を構成したものとみなされる。
【0140】
実施例13:疼痛スコア分析
すべての患者が、彼らの最終疼痛スコアで5未満の疼痛スコアを記録した(
図10)。
図10からも判るように、NSスプレー処置は、キシロカインスプレーに比較して、疼痛を抑制することではわずかに、より効果的であった。
【0141】
患者らはさらに、その処置にどの程度満足したかについて、1〜5の尺度で質問された(ここで、1は極めて満足、5は極めて不満足である)。NSスプレーを用いて処置された患者は、1.4の平均満足度スコアを与えた(
図11)。したがって、患者らはNSスプレーの処置に極めて満足しており、NSスプレーが、少なくとも標準処置とは同程度に疼痛を制御し、おそらくは、より長い持続効果を有していた。