特許第6030607号(P6030607)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030607
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】爪矯正具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/11 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   A61F5/11
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-130766(P2014-130766)
(22)【出願日】2014年6月9日
(65)【公開番号】特開2015-231507(P2015-231507A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2016年4月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500264227
【氏名又は名称】丸山 政雄
(72)【発明者】
【氏名】丸山 政雄
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−172687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/11
A61F 13/06
A41D 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する材によって爪幅方向へ長く筒状に成形された筒体には、該筒体の長手方向両側端部にかけて形成されたスリットを備え
該スリットの対向端面には、爪の先端縁に差し込まれて該爪を挟持する上側保持部と下側保持部とがあり、
該下側保持部の少なくとも一部には平面状部を備え、
該平面状部の摺動方向端部から該平面状部に対し略垂直と成るように設けられた成形用側壁とを備えている、ことを特徴とする爪矯正具。
【請求項2】
請求項1記載の爪矯正具において、
該爪矯正具の筒体の少なくとも一部が塑性材によって形成されている、ことを特徴とする爪矯正具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形爪の湾曲状および爪縁端部に形成する屈曲状を略平状に矯正治療するための爪矯正具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の陥入爪を治療する矯正具の発明においては、湾曲変形し爪郭に陥入した爪縁部を略平状へ矯正する矯正具が提案されている。
【0003】
例えば、巻き爪の表面に弾性材または記憶合金で形成された板状の矯正具を貼り付け湾曲変形した爪縁部を略平状へ矯正するようにした矯正具が提案されている。(特許文献1)
【0004】
また、連結部から延びる上下の係止片によって略コ字状空間を形成し、このコ字状空間に爪の両側縁をそれぞれ嵌め合せ、前記連結部を連結部材で連結して引っ張ることにより、爪の両側縁に対して引き上げ力で陥入爪を矯正する矯正具も提案されている。(特許文献2)
【0005】
また、弾性材で形成された板状体に間隔を隔てて設けられた2以上備えた挟持部を用いて爪の先端縁に差し込むことで、陥入爪の先端縁両側を上方へ引き上げる矯正が働き、陥入爪の両側縁が平らに矯正される矯正具も提案されている。(特許文献3)
【0006】
本願出願人は、先に、断面略U字状に形成された矯正具を爪先正面平坦部へ装着した後、被巻き爪の爪縁部まで横摺動させて、巻き爪の矯正を行う、横摺動挿入による矯正法を特徴とする巻き爪矯正具が提案されている。(特許文献4)
【0007】
本願出願人は、前述巻き爪矯正具のほかに、人の爪に発生した陥入爪の爪先を塑性材で形成された該陥入爪矯正具に備わる収容間隙へ挿入した後、該間隙に挿入された該陥入爪とともに該陥入爪矯正具を塑性加工によって略平状へ挟圧し、塑性変形させることで該陥入爪の矯正ができる陥入爪矯正具も提案されている。(特許文献5)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014−83146号公報
【特許文献2】特開2003−10218号公報
【特許文献3】特開2007−185203号公報
【特許文献4】特開2006−314748号公報
【特許文献5】特開2008−295982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者が陥入爪の発症について鋭意検討した結果、湾曲状に変形した爪縁部が爪郭または爪溝に嵌入して陥入爪を発症する、というのが今までの定説であったが、それだけでなく、爪の爪縁端部には爪形を保つため下方へ屈曲状(以下、「リブ状部」という)が形成されているのだが、該リブ状部への外圧や爪保湿量の変化など諸原因はあるが突然に該リブ状部が鈎曲状に変形したことで、爪郭または爪溝の軟部組織を刺激し、腫脹や刺傷を伴う陥入爪が発症していることを判明した。
【0010】
これに対し、前記文献1に掲げた該陥入爪矯正具の矯正方法では、湾曲状に変形した陥入爪を矯正するために平状の弾性板を湾曲状変形に沿うように撓曲させて爪甲面へ貼設するが、例えば、平板状のままでは鉤状変形した該リブ状部へ貼設するには困難であり、またそのことにより、リブ状部への矯正力が作用しない問題がある。
【0011】
また、前記文献2に掲げた該陥入爪矯正具の矯正具両側端部に略コ字状空間を有する係止片が設けられているが、爪縁部に係止される該係止片においては、引っ掛けて係止するための係止片なので、爪縁端部へ係止しているが該リブ状部への矯正効果は得られないという問題がある。
【0012】
前記文献3に掲げた陥入爪矯正具においては、爪の先端縁から挟持部が差し込まれているが、挟持部や矯正具端部には爪縁端部への矯正作用についての開示はされていない、また爪縁端部へ矯正作用を働かせる構造も開示されていないいことから、該リブ状部を外方向へ横倒変形する手段を付加した矯正能を有していないため、爪郭軟部組織にリブ状部が刺さった状態から改善されていない問題がある。
【0013】
また、本出願人が先に提案した前記文献4に掲げた巻き爪矯正具においては、該巻き爪矯正具の横摺動を円滑にするための横摺動用緩衝曲面を下側脚部の両端に具備していることで、この緩衝作用によってリブ状部を円滑にいなされ、リブ状部を引っ掛けて横倒したり平状にする矯正効果はないという問題がある。
【0014】
前記文献5に掲げた陥入爪矯正具も本出願人が先に提案した矯正具であるが、
陥入爪を収容間隙へ収容した状態で、矯正具本体を外部からの挟圧によって塑性変形させて変形爪を平状へ圧潰矯正するのだが、リブ状部を外方向へ平状に横倒変形する手段を付加した矯正能を有していないため、該リブ状部を圧潰すると、爪溝の内方向へ鈎状変形したリブ状部は爪郭軟部組織の一部を巻き込んだ状態で内方向へ圧潰させてしまい、刺傷をさらに悪化させてしまう、危険な状況を招く問題がある。
【0015】
また、本発明者の検討によれば、巻き爪においても湾曲変形が進行し、さらに湾曲状が強く変形した場合、該リブ状部は鈎曲の鋭角を強め、さらに爪郭軟部組織への刺入を深くし、放置すれば該リブ状部全体が該軟部組織に埋没して、外観からはまったく見えなくなるため、従来の矯正具を用いた場合、外部からリブ状部端部を探し平状へ成形するのは容易ではない。
【0016】
なお、爪郭軟部組織に埋没した該リブ状部の引き出しもしくは該リブ状部の平坦成形は、爪郭軟部組織の刺傷や腫脹の早期改善においても極めて重要な矯正治療であるが、上記の公報において全く開示されていない。
【0017】
本発明の目的は、これらの課題を解決し、且つ、爪郭軟部組織に埋没したリブ状部および変形爪を容易かつ安全に略平状へ矯正できることにより、該爪郭の腫脹だけでなく刺傷や感染症をも手軽に改善できる、爪矯正具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための、第一発明は、弾性を有する材によって爪幅方向へ長く筒状に成形された筒体には、該筒体の長手方向両側端部にかけて形成されたスリットを備え、また該スリットの対向端面には、爪の先端縁に差し込まれて該爪を挟持する上側保持部と下側保持部とがあり、該下側保持部の少なくとも一部には平面状部を備え、該平面状部の摺動方向端部には該平面状部に対し略垂直と成るように設けられた成形用側壁とを備えている、ことを特徴とする。
【0019】
ここで、筒体の断面形状は、必ずしも円筒に限らず、楕円筒状や多角形筒状であってもよい。また、該下側保持部に備わる平面状部は、該スリットの対向端面に差し込まれた鈎曲したリブ状部を挟持圧により略平状へ形成できる略平坦な表面形状に成形されていれば、平面状部の平坦度および面積は症状により適宜変更されてもよい。
また、平面状部の摺動方向端部から該平面状部に対し略垂直と成るように形成される成形用側壁は、該爪矯正具が横摺動された際に、リブ状部が該成形用側壁に引っかかり外方向へ横倒変形または削ぎ落とされるように設けられていればよく、該成形用側壁の高さは、前述機能を妨げない範囲で低いほど、爪先端縁を横摺動する際に滑動を妨げないので、好ましい。
なお、筒体は柱体を用いて中ぐり加工など切削加工によって形成されてもよい。
さらに、筒体を形成する材は、該上側保持部と下側保持部によって上下から挟圧された変形爪を略平状へ圧潰できる弾性能を有する材であれば、例えばステンレス、チタン合金、貴金属合金、鋼系の弾性材でもよく、また超弾性材、形状記憶特性材の弾性材料のほか、該弾性能を有していれば樹脂材から選択されてもよい。
【0020】
このような構成による装着例を図3を用いて説明する。
(1)先ず筒体に沿って形成されたスリット12を拡開しながら、矯正しようとする爪の略平状先端縁(図3(a))へ挟装する。これにより、該スリット12を構成する上側保持部13と下側保持部14とが爪の略先端部に挟持した状態で、爪矯正具10Aが挟設される。なお、変形爪を略平状へ圧潰できる弾性能を有する材で形成されている該爪矯正具10Aの保持(以下、「挟持」という)力は、爪の先端縁への挟持であっても安定した設置性を提供する。
(2)爪縁端部のリブ状部4近傍まで(図3(b))該爪矯正具10Aを横摺動で移動し、挟設する。これにより湾曲していた爪縁部が略平状に圧潰されたことで、爪郭5軟部組織へ嵌入した該リブ状部4が、露出される。
(3)下側保持部14に形成された平面状部15がリブ状部4を挟持する適宜位置(図3(c))まで該爪矯正具10Aを横摺動することで、該リブ状部4は挟持力で圧潰され矯正される。なお、摺動中に成形用側壁16によってリブ状部4を外方向へ横倒変形または削ぎ落され、圧潰されやすい形状に成形されている。また、爪縁部3の湾曲状変形爪もスリットに具備する上下保持部(13、14)の挟圧によって圧潰されて矯正される。
(4)変形爪が略平状へ矯正された後、爪矯正具10Aは横摺動で脱着される。(図3(d))このように、リブ状部4および変形爪の矯正治療において、取り扱いも簡単で安全な治療効果が期待できる。
なお、ここでいう変形爪とは、陥入爪や巻き爪を意味する。
【0021】
本発明の爪矯正具10Bにおいて、該爪矯正具の筒体の少なくとも一部が金属または高分子化合物から選択された塑性材を用い、挟圧加工によって本爪矯正具の性能を得られる形状に形成されていることが好ましい。
【0022】
これにより、塑性加工によってスリットの開口高w2が調整可能になるように、該筒体の一部または全部に塑性変形を有する材を用いて形成すれば、大きく湾曲変形した変形爪への矯正の対応も容易となるほか、さらに矯正のための挟圧力の加減も自在となり、施術者が爪の劈開の状況から鑑みた適宜な挟持圧で矯正がおこなえるという利点もある。
【0023】
装着の例を、図5を用いて説明する。
(1)該爪矯正具10Bに具備するスリットの開口幅w2を変形爪高さに適宜に調整された後、リブ状部近傍の爪先端縁を該スリットの間隙に嵌挿させる。(図5(a))
(2)続いて、変形爪2の矯正を行う。該変形爪2が劈開しないよう靭性状況を鑑みながら略平状に成形されるまで挟持具(例えば、ペンチ)の挟圧力を加減して該爪矯正具10Bを塑性変形する。(図5(b))
(3)塑性加工後、リブ状部4の端部が平面状部15略中央の位置(図5(c))にくるまで該爪矯正具10Bを横摺動で移動させる。この横摺動時にリブ状部は成形用側壁16で外方向へ横倒変形される。さらに横摺動することで該リブ状部4と変形爪は該スリット内へ挿設される。
(4)リブ状部4は平面状部15と上側保持部13とで、また変形爪は上側保持部13と下保持部14とで、夫々は挟設され保持されている。この状態から挟持具を用いてスリット12に形成されている上下の挟持部(13,14)の挟持力を強めるように、且つ脆性化している爪質が裂壊しない適宜な挟圧力で塑性加工することにより、該リブ状部と該変形爪は圧潰され略平状(図5(d))へ矯正される。
(5)爪変形が略平状に矯正治療が済んだ後、横摺動で該爪矯正具10Bは図5(d)が示すように安全且つ容易に爪から脱着できる。
【0024】
このように、各々患者の変形爪の爪質や湾曲形状から鑑みられた該爪矯正具の該スリット開口高を調整することにより、変形爪の症状によらず該スリットの間隙へ嵌挿することができ、さらに、該爪矯正具への挟圧力を加減することで劣化等を有する爪質をも鑑みられた適宜な矯正力で治療できるので、爪を壊すことなく安全にリブ状部および変形爪を平状へ矯正する効果が期待できる。なお、爪矯正具10Bの使用に先立って、変形爪2を発症している足の指を38℃〜43℃のお湯へ20分以上浸けて、変形爪2をふやかしてから、装着されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について適宜図面を参照しながら説明するが、本実施形態は以下の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を損なわない範囲で任意に変更して実施可能である。
【実施形態】
【実施例1】
【0026】
【実施例1】
図1図3参照)
第1実施形態の爪矯正具10Aは、図1(a)〜図1(c)に示されたように、巻き爪や陥入爪など矯正する変形爪2(図2(b))の略平状先端縁に装着して変形爪2を矯正するものであって、円筒状に形成された筒体11と、この筒体11の一端から他端にかけて筒体11の長手方向に沿って形成され、矯正する爪の先端縁に差し込まれて変形爪2を挟持するスリット12とを備え、該スリット12の対向端面に該爪を挟持する上側保持部13と下側保持部14とがあり、該下側保持部14の少なくとも一部には平面状部15を備え、該平面状部15の摺動方向端部に該平面状部に対し略垂直と成るように設けられた成形用側壁16とを備えて、全体が弾性を有する材で断面C字状に形成されている。
【0027】
筒体11の長手方向寸法は略8mm、短手外形寸法は略4mm、板厚寸法は略1mm、スリット12は筒体11の一方の端縁から長手方向に沿って他方の端縁間を渡る間隙であり、スリット12の対向する一方の面である上側保持部13と、他方の下側保持部14とで構成され、スリット12の開口高w1(上側保持部13と下側保持部14との間隔)は略0.7mm、下側保持部14に備わる平面状部15の面寸法は板厚方向2mm、横摺動方向先端部から略1mm離れ、下側保持部長手方向は少なくとも3mm以上で、面は略平面状に形成されている。成形用側壁16は横摺動方向平面状部15端部に該平面状部に対し略垂直と成るように略1mm、筒状内方向2mmの面状で形成されて、該成形用側壁16の下側端部から矯正具端部までの略1mmは角丸の長形で形成されている。なお、各寸法は変形爪2の形状や厚さにより適宜変更されてもよい。
【0028】
爪矯正具10AはABS樹脂を射出成形で加工されたが、例えば、樹脂においてはABSの他スチレン共重合体、PE、PP、PS、PVC、FRP、アイオノマー、アクリル、PETなども使用可能である。
【0029】
また、弾性金属からも適宜選択できる。例えば、弾性力を有する限り鋼、合金鋼、ステンレス鋼、銅合金、チタン、チタン合金、コバルト合金、形状記憶合金等も使用できる。
【0030】
例えば、冷間圧延板から切り出され、或いは打ち抜かれたステンレス鋼を素材にした場合、板厚は0.2mm程度(材料の厚さは材により適宜寸法でよい)がよく、成形手段によって若干寸法は異なるが、爪矯正具10Aを展開した適宜寸法からプレス加工で抜き加工、絞り加工、折り曲げ加工で形成されてもよい。また下側保持部14に備わる平面状部15の形成位置は、スリット12長手方向片側端部近傍または両側端部近傍または全部のいずれでもよく、平面状部15の加工は下側保持部14を屈曲加工で平状に形成してもよい。なお、平面状部15が下側保持部の端部に形成されている場合には、平面状部15が形成されている該下側保持部14の側端面が、成形用側壁16とされてもよい。
【実施例2】
【0031】
【実施例2】
図4図5参照)
第2実施形態の爪矯正具10Bは、図4(a)〜図4(c)に示すように、略三角筒形に形成された筒体11と、筒体11の一端から他端にかけて筒体11の長手方向に沿って形成された変形爪2を挟装させるスリット12と、該スリット12の対向端面に該変形爪2を挟持する上側保持部13と下側保持部14とがあり、該下側保持部14と同一平面高になる平面状部15を備え、該平面状部15の横摺動方向端部には該平面状部に対し略垂直と成るように設けられた成形用側壁16が形成されている。
また、筒体11は、少なくとも塑性加工により挟持力の調整が可能な部位に塑性材を用いて、断面略C字状に形成されている。つまり、第1実施形態の爪矯正具10Aに対して、爪矯正具10Bは筒体11の矯正作用を司る矯正作用部が塑性材であって、弾性材で形成されていない点で異なる。
【0032】
略三角筒体11の長手方向寸法は略8mm、短手方向一辺の寸法は略4mm、板厚寸法は略0.5mm、スリット12の開口高w2は略3mmとされたが変形爪の変形の大きさから鑑みられた開口高に調整されてもよい。下側保持部14と同一面に備わる平面状部15は同一面高さになるよう筒体長手方向長で筒体内側へ折り曲げ加工され、夫々の面寸法は下側保持部14は筒体内方向2mm、平面状部15は筒体内方向3mm、長手方向は略4mmで、夫々は屈曲加工されている。成形用側壁16は横摺動方向平面状部端部面に、筒体内方向略3mm、成形用側壁高さ略0.5mmで形成されている。なお、各寸法は変形爪2の形状や厚さにより適宜変更されてもよい。また、夫々の曲げ加工の角は、加工最小Rでよい。
【0033】
爪矯正具10Bを形成する材料は、実施例2では
アルミを用いて加工されたが、塑性加工に適していれば、金属または高分子化合物から少なくとも一つ以上の材から適宜に選択できる。また塑性変形金属では、アルミ合金が知られているが、挟持具の挟圧力による塑性成形が可能な材であれば、限定されることなく選択できる。
なお、爪先端爪縁部への固定には、爪矯正具10Aの弾性力を用いた挟装、および、爪矯正具10Bの挟持具を用いた塑性加工による挟持力だけにたよらず、テープや接着剤のほかUV硬化ジェルなど固定用具の中から適宜選択されて固定の補助に用いられてもよい。
【0034】
第2実施形態によれば、
塑性材を用いて爪矯正具10Bを形成すれば、挟圧による圧潰での矯正治療を行う場合、脆性化が著しい変形爪を矯正する際、脆性破壊しないよう変形爪の靭性状況を観察しながら施術者が挟圧を適宜に加減して安全に変形爪の矯正治療が行える、ことを可能とした。
【発明の効果】
【0035】
以上のように本発明の爪矯正具は、
長手方向両側端部にかけて形成されたスリットを備え、該スリットの対向端面には、爪の先端縁に差し込まれて該爪を挟持する上側保持部と下側保持部とがあり、該下側保持部の少なくとも一部には平面状を具備し、該平面状の摺動方向端部に該平面状部に対し略垂直と成るように成形用側壁を備えている。
これによって、スリットに嵌挿された変形爪の矯正だけでなく、下側保持部に備わる平面状部および成形用側壁によりリブ状部まで簡単且つ安全に矯正することができるので、爪郭の腫脹や裂傷をも短期間に改善できる効果を得られる。
【産業上の利用可能性】
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、医療用器具および美容器具の産業界において利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】この発明爪矯正具10Aの一例を示す(a)斜視図、(b)側面図、(c)正面図である。
図2】第一趾爪の正面図を示し、(a)は健康な爪、(b)は陥入爪である。
図3】この発明の実施例1爪矯正具10Aの装着例を示した正面図で、(a)は爪先端縁に装着した状態、(b)は爪縁端部近傍まで横摺動した状態、(c)はリブ状部を平面状部で挟圧した状態、(d)は矯正された状態の爪を表している正面図。
図4】この発明の実施例2爪矯正具10Bを示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)正面図である。
図5】この発明の実施例2爪矯正具10Bの装着例を示した正面図で、(a)はスリットの開口高w2を適宜拡開して変形爪先端縁に装着した状態、(b)は塑性加工で挟圧矯正された状態の変形爪を表している正面図、(c)は爪矯正具10Bを横摺動でリブ状部まで異動させ、平面状部でリブ状部を圧潰している状態を示している正面図、(d)は矯正された状態の爪を表している正面図。
【符号の説明】
【0038】
10A、10B・・・爪矯正具
1・・・健康な爪
2・・・変形爪
3・・・爪縁部
4・・・リブ状部
5・・・爪郭部
11・・・筒体
12・・・スリット
13・・・上側保持部
14・・・下側保持部
15・・・平面状部
16・・・成形用側壁
21・・・背面部
w1、w2・・・開口高
図1
図2
図3
図4
図5