(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、体に電流を供給するのに好適な新規のカテーテル、特に、カテーテルの細長いメインシャフトとは無関係に位置決めできる電極を有するカテーテルに関する。より詳細には、本発明は、電極を組み込む可動スリーブを含むカテーテルに関する。本発明はまた、1つ以上の電極を含む可動スリーブに、ならびに電極および関連の構成要素の構造の進化に関する。本発明はまた、診断的適用または治療的適用のために、体の治療部位に電極を位置決めする方法に関する。
【0002】
診断的適用、測定的適用およびその他の医学的応用に使用される電極を含むカテーテルはよく知られており、これらカテーテルは複数の電極を含む(例えば、Silnyの米国特許第5,109,870号明細書)。電極を含むカテーテルは当業界で公知であるが、それらにはいくつもの欠点がある。
【0003】
国際公開第2006/024825号パンフレット(Hamdy)には、口や鼻を経由して患者の体内に挿入するカテーテルを含む、嚥下障害からの回復を支援するカテーテルと、本発明の装置に特に有用な適用とが開示されている。電極はカテーテルの細長いシャフトにあり、カテーテルが患者の体内で好適な位置にあるとき、電極は、咽頭電気刺激を加える位置にある。
【0004】
しかしながら、本発明人らは、Hamdyが開示しているカテーテルの正確な位置決めには問題が発生し得ることを見出した。カテーテルは2つの機能を満たす必要がある−第1に、カテーテルの細長いシャフトの内部ルーメンを経由して患者の胃に栄養を安全かつ効果的に補給すること、および第2に、カテーテルの細長いシャフトの外表面にある電極を介して口腔咽頭部の規定領域に電気刺激を与えることである。カテーテルの本体に両機能を組み込むことには利点があり、これは、患者の不快感を最小限にし、かつ既存の標準的治療と一致するため、従来の経鼻胃(NG)栄養管に取って代わり、かつ従来のNG管と同じ方法で患者に挿入できる。
【0005】
しかしながら、本発明人らによって、定位置の電極には、いくつかの欠点があることが分かっている。カテーテルは、遠位端部が胃の中で正しく位置決めされて、栄養を安全かつ効果的に補給するための条件を満たすように、患者に挿入する必要がある。正しい挿入距離は患者の身長に応じて大幅に異なる可能性があり、かつ通常、患者毎に20cm以上異なり得る。対照的に、口腔咽頭部おける電極に最適な位置は、垂直距離で2〜3cmの範囲内である。それゆえ、カテーテルの細長いシャフトにある電極を確実に正しく位置決めするためには、患者の身長のばらつきに対応するために様々なサイズのカテーテルを必要とするか、または予想される最も身長の高い患者のために十分に長いカテーテルを設計して、電極を正しい位置にするために身長の低い患者に余分に挿入する必要があるかのいずれかである。これは、カテーテルの遠位端部が、胃のなかに留まらずに十二指腸へ続き、胃のなかで絡まって、効果的な栄養の補給または胃からの簡単な除去を妨げないようにする、または胃から下部食道へ再出現するという危険性を生じる。
【0006】
Hamdyらの発明の電気刺激および栄養補給の双方の機能を固定した位置で行うことはまた、カテーテルの内部ルーメンが、栄養補給物によって消散できない状態で詰まった場合に、カテーテル全体を交換する必要があるという欠点がある。
【0007】
さらに、電気刺激による治療が完了しても、依然として、経腸栄養のためだけにカテーテルを適所に保持しておく必要があり得ることが明らかとなった。これは、患者の快適さの点または安全管理の面から望ましくない。これらの理由から、電気刺激機能性を取り除けるようにする一方、栄養補給機能性を適所に残せるようにすることが特に有利である。
【発明の概要】
【0008】
本発明人らは、ここで、別個の可動な電極担持部品に電極を含むカテーテルが、体に電流を供給するのに使用される電極の正確な位置決めに大きな利益をもたらすと判断した。それゆえ、本発明は、細長いシャフトと;1つ以上の電極を組み込んだスリーブであって、スリーブの位置が調整可能であるように細長いシャフトに沿って可動であるスリーブと;スリーブが適所になるとスリーブを細長いシャフトに固定する手段とを含む、体に電気刺激を与えるためのカテーテルを提供する。
【0009】
それゆえ、本発明は、2つ以上の機能を単一のカテーテルに組み込むことを可能にしかつ各機能を個別に位置決めして最適化できるようにすることによって、現在のカテーテル設計に勝る利点を提供する。それゆえ、カテーテルは、少なくとも1つの治療または診断機能を組み込み得る細長いシャフトを含む。それゆえ、カテーテルは、細長いシャフトおよびスリーブの双方に少なくとも1つの治療または診断機能を含み得る。細長いシャフトは、経腸栄養の提供などの治療機能を有してもよく、およびスリーブは電気刺激電極を有する。カテーテルは、圧力センサーまたはpHセンサーなどの他の診断機能を組み込んでもよい。
【0010】
本発明のカテーテルはまた、いくつかの機能部品を、それらがもはや必要なくなると、またはそれらの機能性が損なわれる場合に、選択的に除去できるように構成し得る。例えば、カテーテルは、細長いシャフトが取り除かれるときに電極担持スリーブが体内に留まることができるように構成できる。
【0011】
細長いシャフトを体内に残してスリーブを取り除けるようにカテーテルを構成することも可能である。
【0012】
2つ以上の機能を組み込む、本発明によるカテーテルの例は以下を含む。
刺激を与えるための電極を備えるスリーブと、与えられた刺激の効果を検出するセンサーを備える細長いシャフトとを含む電気刺激用カテーテル。それゆえ、カテーテルは、スリーブの電気刺激機能と、細長いシャフトの診断機能とを組み合わせて、刺激の効果を測定する。そのようなカテーテルは、細長いシャフトが可動であるように構成し得る。これにより、刺激点を動かさずに、いくつもの異なる位置での刺激の効果を評価できるようにする。あるいは、スリーブを動かすことによって刺激点を動かすことができる。
【0013】
1組の刺激用電極を備えるスリーブと、第2の組の刺激用電極を備える細長いシャフトとを含む電気刺激を与えるためのカテーテル。これは、必要に応じて刺激点間の距離を調整できるようにするだけでなく、必要な場合には1つの刺激点を固定して保持もできるという利点を有する。
【0014】
例えば圧力、EMG信号またはpHを測定するセンサーである電極を組み込むスリーブと、例えば圧力、EMG信号またはpHを測定するセンサーを備える細長いコア構造とを含む測定用カテーテル。この構成は、固定位置と使用者が制御する可変位置とで同時に同じパラメータを測定するか、または固定位置と使用者が制御する可変位置とで同時に2つの異なるパラメータを測定する可能性を提供する。この構成を使用する有用な応用の一例は、下部食道括約筋の強度の測定、およびそれとは別の、食道に沿った複数の点でのpHの測定である。
【0015】
電気刺激を与えるために1つ以上の電極を組み込むスリーブと、圧力センサーを組み込む細長いシャフトとを含む、電気刺激を与えかつ圧力を測定するためのカテーテル。圧力センサーは細長いシャフト上に位置決めでき、それらを使用して上部食道括約筋の圧力を測定できるようにする。この構成は、使用者に、上部食道括約筋からの圧力の示度値によってカテーテルの遠位端部が上気道または食道のどちらにあったかを知らせること、および気道ではなく咽頭または食道への刺激用電極の正しい配置を容易にすることを助ける。
【0016】
電気刺激を与えるために電極を備えるスリーブと、患者の胃まで延在できかつpHセンサーをその遠位端部に組み込むことができる細長いコア構造とを含む、電気刺激を与えかつpHを測定するための二部品カテーテルの形態のカテーテル。この構成は、使用者に、患者の胃からのpHの示度値によってカテーテルの遠位端部が気道または食道のどちらにあったかを知らせること、および気道ではなく咽頭または食道への刺激用電極の正しい配置を容易にすることを助ける。
【0017】
別の例は、電気刺激を与えるために電極を備えるスリーブと、経鼻胃栄養管の形態の細長いシャフトとを含む、電気刺激を与えかつ栄養を補給するカテーテルである。このカテーテルは、嚥下障害、特に急性嚥下障害を治療するために使用できる一方、患者の胃への栄養の安全な補給も維持する。
【0018】
それゆえ、本発明のカテーテルは、急性または慢性嚥下障害の治療のための咽頭刺激カテーテルとし得る。
【0019】
嚥下障害は、患者が嚥下困難である状態、すなわち飲み込むことができないことである。嚥下障害は、例えば、脳卒中、神経変性病、および脳腫瘍によって、または場合によっては呼吸器疾患などの他の共存症によって引き起こされ得る。嚥下障害は、脳卒中または外傷性脳損傷(TBI)後の急性神経障害によって生じる急性状態とし、かつ病院において管理され得る。嚥下障害はまた、持続性または慢性状態とし得る(最初の発生後6週間超の期間残って存在すると定義される)。これは、脳卒中またはTBI誘発欠陥から回復できないためであり、パーキンソン病などの進行性の神経変性病の特徴とし得るか、または脳性麻痺や多発性硬化症などの状態の特徴とし得る。この場合、管理は、ほとんどの場合、病院の外部で行われる。急性であるかまたは慢性であるかにかかわらず、嚥下障害は、主に食物および液体が気道に制御されずに入ることに起因する呼吸器感染の発生による、命にかかわる状態である。脳卒中後の嚥下障害は、嚥下障害のない脳卒中患者と比べると、吸引性肺炎が6倍増加する。
【0020】
本発明による咽頭刺激カテーテルは、急性嚥下障害または慢性嚥下障害のどちらの患者を治療するかに依存して、いくつかの異なる構成を有し得ることが想定される。例えば救急病院環境で、患者が脳卒中後の嚥下障害を示す場合、患者は、経腸栄養管による栄養補給も必要とする可能性がある。それゆえ、栄養補給能力と、治療的電気刺激を咽頭に与える能力とを組み合わせる装置の構成は、急性嚥下障害の患者には特に有利である。嚥下障害の治療および栄養補給のためのカテーテルのこの構成は、病院環境において使用され、栄養管を組み込んで、比較的長い期間(29日間まで)実施されることが想定される。慢性嚥下障害の患者を治療するのに特に好適な代替的な構成は、経腸栄養管を組み込む必要はないが、ケアの内容、すなわち、病院においてではなく地域密着型となる可能性を反映して、異なる機能条件を有する。この場合、細長いシャフトの主な機能は、電極担持スリーブを治療部位に配置するのを容易にすることである。
【0021】
細長いシャフトが経鼻胃(NG)管である構成では、細長いシャフトは、その外部表面に視覚的な位置表示器を組み込み得る。細長いシャフトはまた、経腸栄養法セットとの係合に好適なコネクタを含み得る。
【0022】
しかしながら、当業者には明白なように、および上述の通り、本発明のカテーテルは、他の治療または診断的適用においても、特に、細長いシャフトの位置に対して電極の位置を調整することが望ましいときにおよび/または治療または診断部位に電極を正確に位置決めすることが望ましいときに有用であることが想定される。
【0023】
カテーテルの細長いシャフトまたはスリーブに組み込まれ得る機能性の種類の例は、限定されるものではないが、電極、センサー、トランスデューサー、ワイヤ、導電性材料、活性薬品表面コーティング、潤滑材、バルーンまたはステントを含む。
【0024】
スリーブの寸法は、細長いシャフトに対して動くことができるような寸法である。スリーブの寸法は、カテーテルが体内の適所にあるとき、スリーブが体の外まで延在するような寸法とし得る。これは、体の外側からスリーブの位置を調整できるようにするため、有利である。また、スリーブを展開または調整するためにカテーテルに別個の機構を必要とすることなく、医療従事者によってスリーブを位置決めできることを意味する。それゆえ、スリーブの位置を手動で調整できる。
【0025】
一般に、スリーブは、ポリウレタン、PVC、ポリアミド、シリコーンまたはこれらの等価材料で作製された実質的に透明の可撓性の管である。スリーブの寸法は、細長いシャフトに対して動かすことができるような寸法であるため、その内径のサイズは、細長いシャフトの外径よりも大きい。例えば、細長いシャフトが大人用の経鼻胃栄養管である場合、スリーブの寸法は、外径約5mmであり、内部ルーメンは直径3mm、および長さ約35〜45cmである。この構成は、急性嚥下障害の治療用の咽頭刺激カテーテルに特に好適である。当業者には、スリーブの寸法は、治療される患者集団に応じて変化し得ることが明白である。例えば、栄養管を8Fとし、およびスリーブを14Fとしてもよい。
【0026】
スリーブは、1つ以上の対のリング電極と、電極に接続されたスリーブの壁に沿って横方向に配置された導電性要素とを組み込み得る。スリーブの壁は、導電性要素(ワイヤ)用に予め形成されたルーメンを含み得る。それゆえ、スリーブは、多ルーメン押出によって形成され得る。そこで、スリーブは、ワイヤを適切なルーメンに挿入することによって、構成し得る。ワイヤは、例えばFEP(フッ素化エチレンプロピレン)などの絶縁材によって被覆し得る。
【0027】
スリーブはまた、装置、例えばY型コネクタを含んで、ワイヤを電気コネクタまで案内し得る。
【0028】
スリーブは、細長いシャフト上を摺動するのを助けるように適合され得る。スリーブおよび/または細長いシャフトは、潤滑材での被覆、表面硬度の修正、表面特徴の組み込み、またはその他の方法によって修正し、患者の外側および内側にあるときの双方で、細長いシャフトの長さに沿ったスリーブの自由な相対運動を可能にし得る。
【0029】
スリーブの内側面は、その硬度、形状、仕上げまたはコーティングに対して修正を行って、その修正により、スリーブを細長いシャフトに配置するかまたはスリーブを位置決めしたシャフトに沿って動かすときの摩擦を最小限にするように、助けてもよい。
【0030】
スリーブは位置表示器、例えば可視的表示器、例えばその表面上に印刷されたガイドまたは窓を有し、細長いシャフトに対するその位置決めを容易にし得る。
【0031】
カテーテルは、細長いシャフトを体内に残してスリーブを取り除くようにして、構成することが可能である。そのような構成は、急性嚥下障害の治療において特に有利であり、この場合、細長いシャフトが栄養管として機能する。
【0032】
本発明の別の特徴は、スリーブの遠位端部の形状によって、患者の不快感を最小限にすることである。この形状は、段階的なまたは丸みを帯びた端部を含み、挿入または除去の最中にスリーブが組織を撹乱させないようにすることを保証し得る。
【0033】
本発明の重要な特徴は、別個のスリーブおよび細長いシャフトを提供することによって単一のカテーテルを使用できるようにすることであり、そうでなければ2つ以上のカテーテルが必要となる。さらに、本発明は、可動スリーブおよび細長いシャフトを含むカテーテルと位置表示器とを提供し、位置表示器は、カテーテルを体内で正確に位置決めする手段を提供する。
【0034】
それゆえ、本発明によるカテーテルは、スリーブが細長いシャフト上で正しく位置決めされているときを示すように配置された位置表示器を含み得る。一般に、スリーブが位置表示器を含む;しかしながら、スリーブおよび細長いシャフトの双方が位置表示器を含む場合、有利とし得る。カテーテルは、スリーブが細長いシャフトに対して正しく配置されているため患者内の予め定められた位置にあるときを示すように配置された位置表示器を含み得る。
【0035】
本発明による位置表示器は、スリーブおよび/または細長いシャフトの外面に可視的なマーキングを、例えばスリーブの表面に、垂直および/または横方向の配置を示すためのガイドまたはスケールを含み得る。ガイドまたはスケールは、例えば、男性または女性、および患者の身長に基づいた垂直距離範囲など、治療される患者に応じていくつもの表示器を提供し得る。そのようなガイドまたはスケールは、スリーブの配置に基づき得る。好ましい実施形態では、挿入距離を特定する細長いシャフト上に印刷されたガイドと一致する、スリーブに印刷された窓がある。例えば、急性での使用のために構成された咽頭刺激カテーテルでは、窓から電極までの距離は14cm〜17cmの範囲にあり、電極が、カテーテル挿入時に患者内で正しい位置にあることを保証する。カテーテルは、2つ以上の位置表示器、例えば、任意選択で色分けされ得る2つ以上の窓を組み込んで、異なる応用および患者のサイズまたはカテーテル挿入ルート(経口的または経鼻的)に応えてもよい。
【0036】
当業者には、位置表示器は、電極を正しく配置するのを容易にするために、診断情報を提供する他のカテーテルの機能と組み合わせてもよいことが明白である。例えば咽頭刺激用のカテーテルは、スリーブおよび/または細長いシャフト上の可視的ガイドの形態の位置表示器、およびまた、患者の食道上部括約筋の高圧ゾーンを検出するための圧力センサーを組み込んでもよい。圧力センサーは、カテーテルのスリーブまたは細長いシャフトに組み込まれ得る。他の好適なセンサーは、CO
2センサー、含水率センサーまたはpHセンサーを含む。
【0037】
本発明のカテーテルは、細長いシャフトに対して移動し得るスリーブを有し、カテーテルはまた、スリーブを適所に固定する手段を有する。この固定手段が可逆性である場合、有利とし得る。それゆえ、スリーブを細長いシャフト上の適所に固定した後、固定手段を解放して、スリーブの位置をさらに調整することおよび/またはスリーブまたは細長いシャフトを取り除くことが依然として可能である。固定手段は、患者への挿入前または後に係合し得る。有利には、固定手段はスリーブの近位端部に配置される。
【0038】
例えばクリップの形態の固定手段は、スリーブの一部を形成するか、またはそこに装着され得る。固定手段は、スリーブの近位端部に位置決めされ得る。しかしながら、特に咽頭刺激応用に関し、固定手段は、カテーテルが体内の適所にあるときに、体の外部、すなわちスリーブ/細長いシャフトの近位端部に配置されるクリップの形態とし得る。それゆえ、本発明のカテーテルは、細長いシャフトに対してスリーブの位置を固定するためのクリップを含み、前記クリップはカテーテルの近位端部に配置される。
【0039】
理想的には、固定手段はまた、例えば、クリップがスリーブの近位端部に配置されているときにスリーブと細長いシャフトとの間のいかなる間隙も封止するように機能し、スリーブと細長いシャフトとの間での液体または材料の侵入を防止する。
【0040】
スリーブは、適所に固定されていないとき、細長いシャフトの長さに沿って自由に動くことができる。有利なことには、固定手段は、スリーブの近位端部に位置決めされ得るので、カテーテルが体内に挿入されるときも操作者がアクセスしやすいままとなり得る。固定手段は、Y型コネクタ組立体の一部、それゆえ、スリーブがY型コネクタを組み込む場合はスリーブの一部を形成してもよく、例えば、スリーブの近位端部は、固定手段を組み込むコネクタに取り付けられてもよく、固定手段は細長いシャフト、例えばNG管に作用して、細長いシャフトに対するスリーブの位置を固定する。これにより、使用者は、スリーブに対してシャフトを動かすことができ、その後固定手段を係合してスリーブを固定する。コネクタはまた、ワイヤを好適な電気コネクタまで案内するための導管を組み込み得る。コネクタは、上述のようなY型コネクタの形態とし得る。そのようなコネクタ構成の例を
図5に示す。
【0041】
あるいは、固定手段は、独立しているがY型コネクタに接続可能な形体とし得る。
【0042】
固定手段は、スリーブに固定されかつ例えばその内表面上の隆起またはその等価物によって細長いシャフトを把持することができる、可逆的に係合可能なクリップの形態を取り得る。固定手段はまた、Touhy−Borst弁と同様の方法で動作してもよく、それにより、スリーブ上のコネクタは、可逆的に圧縮され得る変形可能なOリングを含む。このようにして、Oリングの中心に延びる細長いシャフトを保持または解放することが可能である。可逆的に係合可能なクリップまたは固定手段はまた、細長いシャフトを把持するコレットの形態、またはシャフトを把持する干渉突起部または波形を取り得る。
【0043】
固定手段は細長いシャフトと係合して、スリーブの位置を固定し得る。固定手段は、弾性的に変形可能な材料、例えば変形可能シリコーンなどを含み得る。固定手段は、この種の材料から、例えば、適合(compliant)シリコーングロメットの形態で作製され得る。あるいは、変形可能な材料を使用して、特に、細長いシャフトがNG栄養管である場合、細長いシャフトと係合する固定手段の部分を被覆し得る。シリコーンまたはその等価物などの変形可能な材料が使用される場合、2つの有用な特徴を有し得る−1つは、加えられている負荷を分散させるように変形し、もう1つは、加えられる負荷が理論上小さくなり得るように摩擦を生じる。これらは共に、均一の負荷、かつ加えられる圧力が小さいことによって、栄養管が変形される可能性を小さくし、かつルーメンの断面積が小さくなる(これは、閉塞の危険性を高める)として有利である。
【0044】
それゆえ、固定手段、特に可逆的固定手段は、弾性的に変形可能な材料、例えば変形可能なシリコーンなどを含み得る。固定手段は、弾性的に変形可能な材料から形成され得るまたはそれによって被覆され得る。本発明によるカテーテルはまた、前記電極を、例えば、上述のようなY型コネクタなどの形態の、電力供給部、例えば配線接続部に接続するための手段を含み得る。接続手段は固定手段に組み込まれ得る。咽頭刺激に使用されるカテーテルでは、これにより、スリーブの除去時に電気刺激部品の全てを取り除くのを容易にする。
【0045】
それゆえ、本発明によるカテーテルは、細長いシャフトと、1つ以上の電極を組み込んだスリーブであって、スリーブの位置が調整可能であるように細長いシャフトに沿って可動するスリーブと;スリーブが適所になると細長いシャフトにスリーブを固定する可逆的手段とを含んでもよく、スリーブはその近位端部においてコネクタに取り付けられ、およびコネクタは、電極を電力供給部に接続する手段を含み、および可逆的固定手段の形態の固定手段は、スリーブが適所になると、細長いシャフトを把持してスリーブを細長いシャフトに固定できる。
【0046】
本発明はまた、体内へ挿入するための装置への電極部品の構成を著しく改良することによって、カテーテルへの電極の組み込みにおける進歩をもたらす。
【0047】
別の態様では、スリーブは、スリーブの長さに沿って延在しかつ少なくとも1つの電極で終端するマルチストランド導電性要素を含む。特に、マルチストランド導電性要素は鋼を含む。より詳細には、導電性要素はマルチストランド鋼線である。
【0048】
従来、単一ストランドの銅線がカテーテルにおいて使用されてきたが、本発明人らは、銅線はいくつもの重大な欠点を有し得ることを発見した。特に、従来の銅線は、適切な直径では十分に頑丈でなく、およびスリーブの表面に取り付けられるように配置すると、管の表面から容易に外れて、とがった部分でけがをさせる可能性を生じ得る。銅線はまた容易に壊れ、電極の故障を生じる。さらに、銅は、より可鍛性がある、つまり、銅線は、異なる伸縮性を有して束になるか、または同様に、銅線が外れることになる。しかしながら、特にスリーブの壁にあるルーメンに挿入する場合には、絶縁性銅線を使用してもよい。それゆえ、本発明によるカテーテルは、電極までワイヤを運ぶ成形ルーメンを組み込む壁を備えるスリーブを含み得る。
【0049】
マルチストランド巻き鋼線は強度があり、より剛性があり、曲げまたは束になることおよび破損の危険性が小さい。そのような鋼線は、解剖学的構造の曲率に適合し、かつ別個のガイドワイヤを必要としない。意外にも、鋼線とスリーブとの接着力は、同時押出しされると、同等な銅線の場合よりも強力になるまたは大きくなる。マルチストランドワイヤは、各電極が個別の接続部をより多数含むことを意味する−1本のワイヤが破損しても、電極は機能し続ける。
【0050】
本発明人らは、これらの応用に関して、より一般的に使用されている銅線に勝る、マルチストランド鋼線の使用の多様な利点を特定した。具体的には;
ワイヤは、スリーブにより高い剛性を与え、カテーテル挿入プロセスを促進する。
【0051】
スリーブのいずれかの側にワイヤを配置することによって、カテーテルを同一方向(directional conformity)にし(すなわち、スリーブは、一平面内においてのみ容易に曲がる)、それゆえ、表面ガイドの印刷および使用を単純にする。
【0052】
マルチストランド鋼線は非常に強度があり、かつ銅よりもスリーブ壁と良好な接合部を形成する。これらの特徴は、ワイヤの破損の危険性を著しく小さくし、製品の欠陥を生じたり、患者に穿刺傷を生じたりせず、かつまた、ワイヤおよびスリーブ壁の伸張が異なるために束になったりまたはワイヤが取り外されたりしないようにする。
【0053】
それゆえ、この発明の概念は、本発明による新規のスリーブにおける適用を有するか、またはより伝統的なカテーテルへ組み込まれ得る。本発明の別の態様では、細長いシャフト上を動くように適合されたスリーブを含む、体に電気刺激を与えるためのカテーテルであって、スリーブは、スリーブの長さに沿って延在しかつ少なくとも1つの電極で終端するマルチストランド導電性要素を含み、ワイヤはマルチストランド鋼線とし得る、カテーテルが提供される。
【0054】
別の独立した態様では、カテーテルの長さに沿って延在しかつ少なくとも1つの電極で終端するマルチストランド鋼導電性要素を含むカテーテルが提供される。
【0055】
上述のカテーテルは、細長いシャフトまたはスリーブの表面上に配置された電極に刺激を誘発できる電気パルスを適用することを含む、体に電気刺激を与えることのために使用されてもよく、カテーテルは、患者の体内に挿入され、および電極は、標的組織または器官に電気刺激を与えるのに好適な位置に配置される。
【0056】
本発明のカテーテルは、公知の装置に勝る大きな利点を有し、かつそれらに関連する問題の多くを解決する。特に、装置は、経鼻胃栄養管の組み込みによく適応している。
【0057】
第1に、栄養補給機能と刺激機能を分離して、双方を患者毎に最適に位置決めできるようにする。この分離はまた、スリーブに配置された刺激部品を体内に保持したまま、必要な場合に(閉塞のために)栄養補給部品を取り外して交換できるようにする。スリーブを体内に残すことは、管の挿入を助ける導管またはガイドを提供することによって栄養管の交換を容易にするため、有利である。これは、管を気道にうっかりと挿入してしまう危険性が実質的にないため、管の交換手順を非常に単純にする。これはまた、NG管の最終的な位置をX線によって確認する必要がないことを意味する。スリーブが存在することによってまた、交換管の正確な垂直方向の位置決めを助ける。
【0058】
栄養補給機能および刺激機能の分離はまた、電気治療の完了後に刺激機能、すなわち電極担持スリーブを患者から取り外せるようにする一方、栄養管は患者内の適所に残ったままにすることができるようにする。
【0059】
体内に電気刺激を与えるために使用されることを目的としたカテーテルの主な設計課題の1つは、スリーブ、特に電極を、患者が最も楽に耐えることができる方法で正しい位置に安全かつ容易に挿入する機構を特定することである。単純な制御および確認フィードバックは、装置が安全かつ首尾よく位置決めされたという自信を使用者に与える必要がある。配置された装置は、安全であり、可能な限り快適であり、かつ正しい位置での電極接触を最大にするための微調整を支援できる必要がある。
【0060】
経鼻挿入は、患者に嘔吐反応を誘発する領域のいくつかを回避するという利点を有する。
【0061】
経口挿入は、カテーテルおよび装置が辿る経路の、ある程度の直接可視化を可能にするという利点を有し、かつ侵襲性が幾分低いとみなされている。経口挿入は嘔吐反応を引き起こしやすく、および配置後に、カテーテルおよび装置の不要な動きを生じる傾向がある。
【0062】
国際公開第2006/024825号パンフレット(Hamdy)には、口や鼻を経由して患者の体に挿入されるカテーテルを含む、嚥下障害からの回復を支援するための装置が開示されている。カテーテルは、カテーテルが患者の体内の好適な位置にあるときに、電極が咽頭電気刺激を与える位置にあるように位置決めされた電極を含む。
【0063】
本発明の別の態様では、体に電気刺激を与えて嚥下障害からの回復を支援するために使用される、上述のようなカテーテルが提供される。カテーテルは、細長いシャフト上を動くように適合されたスリーブと、前記スリーブに組み込まれた1つ以上の電極と、適所になるとスリーブを前記細長いシャフトに固定する手段と、前記電極を電力供給部に接続する手段とを含む。
【0064】
この目的のために使用するとき、スリーブを、患者に挿入するとき、電極が咽頭電気刺激を与えるのに好適な位置になるように、位置決めする。別の態様では、カテーテルは、診断センサー、例えば圧力センサーの形態の、電極の正しい位置決めを容易にする手段を含み得る。センサーは、スリーブまたは細長いシャフトに含まれ得る。圧力センサーは、患者の食道上部括約筋における高圧ゾーンを測定するためのものとし得る。
【0065】
カテーテルは、pHセンサーの形態の、カテーテルおよび/または電極の正しい位置決めを確認する手段を含み得る。理想的には、pHセンサーは細長いシャフトに組み込まれ、かつ胃のpHを測定するために使用され、それゆえ、センサーは細長いシャフトの遠位端部にまたはその付近にあり得る。EP2023881号明細書で説明されているものなどのpHセンサーは、本発明による咽頭刺激カテーテルの細長いシャフト(NG管)の遠位端部が胃に配置されていることを判断するのに特に好適とし得る。
【0066】
患者の食道上部括約筋の高圧ゾーンを測定するための圧力センサー、またはpHセンサーを組み込むカテーテルは、慢性嚥下障害の治療に特に有用である。
【0067】
理想的には、本発明による咽頭刺激カテーテルは、位置表示器と、電極の正しい位置決めを容易にする診断情報を提供するセンサーとを組み込んでいる。
【0068】
本発明の別の態様は、嚥下障害からの回復を支援する方法を含み、この方法は、カテーテルの細長いシャフト上で、1つ以上の電極を含むスリーブを摺動させることと、適所になったらスリーブを前記細長いシャフトに固定することと、前記電極によって体に、咽頭刺激を引き起こすことができる電気刺激を与えることとを含む。
【0069】
当業者には明白なように、この方法は、カテーテルの細長いシャフト上でスリーブを摺動させることと、スリーブおよび/または細長いシャフトの位置を調整することと、スリーブを細長いシャフトに固定することと、その後カテーテルを体内に挿入することとを含み得る。スリーブおよび/またはシャフトの位置は、任意選択で、体に電気刺激を与える前にさらに調整し得る。
【0070】
あるいは、スリーブを体に挿入してから細長いシャフトを挿入し、スリーブおよび/またはシャフトの位置は、任意選択で、挿入後に調整し得る。
【0071】
本発明の好ましい実施形態では、カテーテルの細長いシャフト上で、1つ以上の電極を含むスリーブを摺動させることと、適所になったらスリーブを前記細長いシャフトにクリップで留めることと、装置を体の適切な部分に挿入することと、前記電極によって電気刺激を与えることとを含む、体に電気刺激を与える方法が提供される。
【0072】
本発明はまた、カテーテル上で摺動可能なスリーブを取り除く方法を提供し、前記スリーブは、1つ以上の電極と、前記スリーブを前記カテーテルに固定する手段とを含み、この方法は、クリップ手段のクリップを取り除くこと、および前記カテーテルをその場に残したまま、前記カテーテル上で前記スリーブを摺動させることを含む。
【0073】
以下、本発明の具体的な実施形態を、例示としてのみ、添付の図面を参照して説明する。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本発明の第1の特に好ましい実施形態は、急性嚥下障害の治療のために口腔咽頭領域に咽頭電気刺激を与えることと、胃に栄養を安全に補給することを組み合わせることである。この実施形態では、コア構造(細長いシャフト)は経鼻胃(NG)栄養管であり、この管は、一般に直径8Frおよび長さ125cm以上であり、ポリウレタン、PVCまたはシリコーンで形成され、X線不透過性であり、1cm間隔で表面印刷されており、遠位端部においては、1つ以上の栄養補給ポートで終端し、および近位端部においては、経腸栄養セットと係合するのに好適なコネクタを備えて終端する。スリーブは、好ましくは、一般に直径14Frおよび長さ35〜45cmの、ポリウレタンまたはその等価材料で作製された透明な可撓性カバーであり、一対のリング電極と、電流を供給するために電極に接続されたワイヤと、好適な電気コネクタにワイヤを案内するためのY型コネクタとを組み込んでみる。さらに、本発明は、NG管に対してスリーブの位置を固定するためのクリップと、スリーブの近位端部においてスリーブとNG管との間の間隙をシールする手段とを含む。クリップによって適所に固定されていないとき、スリーブは、細長いコア構造の長さ部分に沿って自由に動くことができる。クリップまたはシールは、Y型コネクタ組立体の一部、それゆえスリーブの一部を形成してもよいし、または独立しているが、Y型コネクタに接続可能な形体としてもよい。
【0076】
この実施形態では、NG管の近位端部におけるコネクタは、切り離すことができ、NGコネクタの交換前に、スリーブを、NG管の近位端部上を摺動させることによって完全に取り外せるようにしてもよい。
【0077】
コネクタは、NG管を把持できる可逆的に係合可能なクリップを含め、いくつもの方法で、例えばその内表面上にある隆起またはその等価物によってNG管に対して簡単に取り外しかつ再び取り付られるように構成できる。コネクタは、Touhy−Borst弁と同様の方法で動作でき、それにより、NGコネクタは、ねじ込み嵌め部分の回転によって可逆的に圧縮できる変形可能なOリングを含み、およびこのようにして、Oリングの中心に延びる管を保持または解放する。
【0078】
スリーブは、全体的に押し出し法によってポリウレタンなどのプラスチック材料から形成された可撓性の細長い管であり、遠位端部(1a)および近位端部(1b)を備え、かつその長さに沿ってボア(2)が延在している。スリーブは滑らかなまたは実質的に円形の外表面(3)を有し、そこに少なくとも1つの電極、センサーまたはトランスデューサーが配置されている。スリーブを使用して電気刺激を与える場合、
図1および
図2に示す実施形態のように、一般的に、スリーブの表面上の、患者にそのような刺激を与えるのに好適な個所に、少なくとも一対の電極(4)を位置決めする。電極は、2つの導電性要素(5)に接続されており、これら導電性要素は、細長い管の壁内に横方向に配置され、かつY字接続部(6)に小さく形成されたアパーチャを介して壁から現れ、そこから、絶縁カバー(7)を経て電気コネクタ(8)まで至る。導電性要素は、好ましくは鋼マルチストランドワイヤなどのマルチストランドワイヤから構成されている。電極と導電性要素(5)との間の接続は、スリーブの一セクションを取り除いて、下にある導電性要素を露出させるアパーチャを形成することによって、なされ得る。次いで、ワイヤを戻すように曲げて、導電性接着剤、溶融または溶接を使用して導電性材料のリングを適用し得る。
【0079】
スリーブは、遠位端部(1a)および近位端部(1b)の双方に、ボアと接続したアパーチャを有し、細長いシャフトの挿入、およびシャフトの長さに沿ったスリーブの自由な動きを可能にする。
【0080】
図3に示すように、スリーブは、その表面(16)に印刷されたまたは他の方法でマークされた1つ以上のガイドまたは窓を有し、細長いコア構造(17)に対して制御された方法でおよび細長いコア構造の表面に印刷されたマークまたはガイド(18)を参照して位置決めできるようにする。
【0081】
スリーブは、クリップ(19)の使用に適合し、クリップは、スリーブが細長いコア構造に対して正しい位置に調整されたら、スリーブをその構造に可逆的に固定する。クリップは、スリーブの一体部分としてもよいし、または別個の構成要素としてもよい。スリーブをコア構造に可逆的に固定することに加え、クリップはシールを形成して、スリーブとコア構造との間の空間への液体または粒子状物質の侵入を防止する。
【0082】
本発明によるカテーテル、特に、
図2に示すようなものは、急性嚥下障害を治療する方法において有用であり、そのような方法は、下記で詳細に説明し、かつ以下を含む:
患者の鼻通路の入口にNG管の遠位端部を配置し、耳たぶまで、その後、剣状突起までの管の長さを測定することによって、コアNG管構成要素の挿入距離を測定すること。総距離数は、NG管表面上の印刷ガイドで示される。
スリーブの固定クリップを必要な場合には係合解除して、および透明スリーブの表面にある適切な窓が上述の挿入距離の数字と並ぶ位置まで、スリーブをNG管の表面に沿って動かすこと。
固定クリップを係合することによって、スリーブが独立して動かないようにし、かつカテーテルを、経口的または経鼻的のいずれでもよいが、好ましくは経鼻的に、患者の鼻通路の入口で正しい挿入距離上にある窓がちょうど見えるようになるまで、挿入すること。
NG管構成要素の遠位端部が患者の胃にあることの確認は、標準的な方法によって、すなわちX線または胃内容物を吸引してpHを試験することによって行うこと。
従来の経腸栄養装置に接続することにより、コアNG管を介して栄養を補給すること。
スリーブにある電力供給コネクタに適切な装置を接続することにより治療的電気刺激を与え、かつスリーブにある電極により治療を実施すること。
必要な場合には患者からカテーテル組立体全体を除去せずに、固定クリップを係合解除し、かつスリーブの調整を行うこと。
治療計画の終了後であるが、NG管を除去せずに、固定クリップを係合解除し、かつスリーブを取り除くこと。
必要な場合には患者からスリーブを除去せずに、固定クリップを係合解除してNG管を取り除き、かつスリーブの本体を通して、新しいNG管を、正しい挿入距離数がスリーブの窓と並ぶ位置まで挿入して、固定クリップと係合すること。
【0083】
図2に示す第1の実施形態では、急性嚥下障害を治療する治療的電気刺激と経腸栄養補給の二重機能を有するカテーテルを説明する。
【0084】
カテーテルは、あつらえの経鼻胃(NG)栄養管(9)の形態の細長いコア構造を含み、その上に、NG管の長さに沿って自由に動くことができるスリーブが配置される。スリーブは、実質的に透明な可撓性の管であり、ポリウレタン、PVC、ポリアミド、シリコーンまたはこれらの等価材料で作製され、一般に外径が4.7mmであり、内部ルーメンの直径は3.3mmであり、および長さは35〜45cmであり、一対のリング電極と、電極に接続された管の壁に沿って横方向に配置された導電性要素と、ワイヤを電気コネクタまで案内するY型コネクタとを組み込んでいる。スリーブの内側面は、その硬度、形状、仕上げまたはコーティングに関して修正して、その修正によって、スリーブをNG管に配置するとき、またはその上に位置決めしてそれに沿って動かすときの摩擦を最小限にするように助け得る。スリーブは、その表面に印刷されたガイドまたは窓の形態の視覚的な位置表示器を有して、NG管に対するその位置決めを容易にし、かつ固定クリップの使用に適合して、必要なときにはスリーブをNG管に固定する。
【0085】
NG管は、直径が好ましくは2.9mm、内部ルーメンの直径は1.9mm、長さが125cmであり、ポリウレタン、シリコーンまたはこれらの等価材料で形成され、その遠位端部(11)には1つ以上のポート(10)を備え、そこを通って、栄養を胃まで通過させることができる。その近位端部(12)には、経腸栄養法セットへの接続部に適合するコネクタ(13)がある。このコネクタは、さらに、必要な場合にNG管から完全に取り外すことができるようになっており、取り外したとき、スリーブを、NG管の近位端部上で摺動させることによってNG管から分離できる。その後、取り外し可能な経腸コネクタを交換して、装置をその後の経腸栄養法のために使用し続けることもできるようにする。NG管の外部表面は、その硬度、形状、仕上げまたはコーティングに関して修正され、その修正によって、NG管の外部表面とスリーブの内部ルーメンの表面との間の摩擦を最小限にするのを助け得る。NG管は、センチメートル単位のガイドを有し、ガイドはその表面に印刷され、遠位端部からの距離を表示する。NG管はまた、内部ルーメン内に位置決めされたガイドワイヤ(14)を組み込んでもよく、ガイドワイヤは、NG管の近位端部から、NG管の遠位端部から1〜3cmの位置まで延び、かつ経腸コネクタに適合するコネクタ(15)に固定されている。
【0086】
以下、
図1および
図2を参照して装置の使用を説明する。
【0087】
NG管の遠位端部(11)を、患者の外鼻孔に隣接して位置決めする。鼻孔の隣に管の端部の位置を保持する間、管を使用して、患者の耳たぶまでの距離、その後それらの剣状突起までの距離を測定する。鼻孔から耳たぶ、そこから剣状突起までのセンチメートル単位の総距離(NEX)は、NG管の表面に印刷された数字のガイドから得られる。これは、NG管の正しい挿入距離を表し、印された数字が鼻孔の入口で見えるときに、遠位端部が胃の中にあるように十分に管が挿入されたことを保証する。
【0088】
スリーブは、NG管の遠位端部(11)をスリーブの近位端部(1a)に挿入しかつスリーブの遠位端部(1b)から出現するまでスリーブのボアを通して押し入れることによって、NG管に位置決めする。スリーブ上に印刷された窓が、NG管に印刷されたガイドの挿入距離の数字と位置合わせされるまで、スリーブをNG管の表面に沿って動かす。スリーブを、Y型コネクタのクリップを使用してNG管に固定する。これにより、組み合わされた装置が患者に経鼻的に挿入されて、印刷された窓が鼻孔の入口で見えるとき、NG管の遠位端部が胃の中にあること、およびスリーブにある電極が口腔咽頭部の刺激標的部位内に確実に配置されることの双方を可能にするように、管が十分に挿入されたことを保証する。NG管でのスリーブの相対位置は、患者毎に25cm以上変化し得る。
【0089】
装置を、スリーブに印刷された窓が鼻孔への入口で見えるまで、患者に経鼻的に挿入する。ガイドワイヤを取り除き、かつ患者の外部にある装置のセクションを適所に固定する。胃の中でのNG管の遠位端部の位置が正しいことを、胃の吸引液のpH試験によってまたはX線によって、確認する。経腸栄養コネクタ(13)を経腸栄養法セットに接続して、栄養を補給できるようにし得る。
【0090】
治療的電気刺激は、適切な装置をスリーブ上の電力供給コネクタに接続しかつスリーブの電極を介して治療を実施することによって、達成される。電極と標的組織との間に適切な接触が得られない場合、スリーブをNG管に固定するクリップ(19)を係合解除し、スリーブの垂直位置を少し調整してからクリップを再係合してもよい。患者は、好ましくは、10分の間、周波数5Hzおよびパルス幅200μSで一日一度、3日間連続で、最大許容電流レベルの75%で10分間の刺激を受ける。NG管が、直せないほど閉塞される場合、クリップを係合解除し、かつスリーブは適所に保持したままでNG管を完全に取り除いてもよい。その後、新しいNG管を、NEXの数字がスリーブに印刷された窓に並ぶ位置まで挿入し、およびpH試験およびX線を実施して、胃に遠位端部が存在していることを確認し得る。
【0091】
治療的電気刺激治療計画が完了したら、NG管を取り除かずにスリーブを取り除くことが望ましいかもしれない。これは以下の通り達成される。
【0092】
スリーブに印刷された窓を通して見えるNG管の表面上のNEXの数値を確認する。スリーブをNG管に固定するクリップを係合解除し、かつ、スリーブを保持してスリーブが動かないようにし、追加的なNG管を、NEX+20cmに等しい数字がスリーブに印刷された窓に現れるまで、スリーブを通して患者に挿入する。その後クリップを再係合する。
【0093】
次いで、スリーブおよびNGの双方ともを、スリーブの遠位端部が鼻孔から現れかつ元のNEXの数値が鼻孔の入口で見えるまで、ゆっくりと取り除く。これにより、NG管の遠位端部が依然として胃の中にあることを保証する。
【0094】
患者が経腸栄養を受けるプロセスにある場合、ポンプのスイッチは切られており、および経腸栄養コネクタは経腸栄養法セットから切り離されている。次いで、経腸栄養コネクタをNG管から取り外し、スリーブをNG管に固定するクリップを係合解除し、およびスリーブを、NG管の近位端部上を摺動させることによってNGから取り除く。NG管の外側部分を適切な消毒用ふきんでしっかりと拭く。
【0095】
経腸コネクタをNG管の近位端部に、その後経腸栄養法セットに再び取り付け、必要に応じて栄養補給を再び開始し得る。
【0096】
図4aおよび
図4bに示す第2の実施形態では、装置は、咽頭電気刺激および測定の二重機能を有する。装置は細長いコア構造(9)を含み、その上には、カテーテルの長さに沿って自由に動くことができるスリーブが配置されている。スリーブは、ポリウレタン、PVC、ポリアミド、シリコーンまたはこれらの等価材料で作製された、実質的に透明の可撓性の管であり、一般に外径4.7mm、内部ルーメンの直径3.3mmおよび長さ35〜45cmであり、一対のリング電極と、電極に接続された管の壁に沿って横方向に配置された導電性要素と、ワイヤを電気コネクタまで案内するY型コネクタとを組み込んでいる。スリーブの内側面は、その硬度、形状、仕上げまたはコーティングに関して修正され、その修正により、スリーブがカテーテルに配置されるまたはカテーテルに位置決めされてそれに沿って動かされるときの摩擦を最小限にするのを助け得る。スリーブは、その表面上に、印刷されたガイドまたは窓を有し、細長いコア構造に対するスリーブの位置決めを容易にする。表面には2つ以上の窓が印刷されて、カテーテルの経鼻または経口のいずれかによる挿入を容易にし得る。スリーブは固定クリップの使用に適合し、必要な場合にスリーブをコア構造に固定する。
【0097】
細長いコア構造(シャフト)はいくつもの形態を取り得る。一実施形態では(
図4a)、コア構造は、一般に直径8Frおよび長さ50〜70cmの可撓性の管(20)と、その遠位端部付近の領域には、圧力、特に上部食道括約筋の作用によって加えられる圧力を測定するセンサーまたは他の手段(21)と、管の本体内に、感圧手段に接続されたワイヤ(22)と、その近位端部に、圧力データの処理および表示を行う好適な手段への電気コネクタ(23)とを含む。
【0098】
図5は、Y型コネクタ(25)の形態のコネクタを有するスリーブ(24)を示し、スリーブは、細長いシャフト(NG管)(26)を把持しかつまたワイヤ(27)を好適な電気コネクタ(28)まで案内するように機能するコレットの形態の可逆的固定手段を組み込んでいる。スリーブ(24)の近位端部は、接着、溶接、オーバーモールディング(over moulding)などによってY型コネクタの近位端部(29)に接合されている。スリーブからの電極ワイヤ(27)が、コネクタのチャネル(30)に飛び出して電気コネクタ部分(28)に至る。コネクタにはEEPROM装置が組み込まれ得る。可逆的固定手段は、ツーピースのコレット装置(31)(32)を含み、NG管を把持または解放するように使用者が調整でき、それゆえ使用者が、NG管部分に対してスリーブ部分を簡単に調整できるようにする第1のピース(31)を含む。Y型コネクタの電気コネクタ部分は、感染予防目的でシール機構、例えばキャップ(図示せず)を組み込んでもよく、キャップを使用して、電気刺激機能が使用されていないときに電気コネクタをシールする。
【0099】
図6は、スリーブ(24)の近位端部に取り付けられたY型コネクタを示す。Y型コネクタは、ケーシング(33)の形態の可逆的固定手段を組み込んでおり、可逆的固定手段は「波形」(34)を組み込んで、細長いシャフト(NG管)を把持する。NG管に対するスリーブの位置は、NG管を波形チャネル(34)に挿入してケーシングを閉じることによって(図示せず)、使用者によって調整され、かつ使用者によって固定される。
【0100】
図7は、スリーブ(24)の近位端部に取り付けられたY型コネクタ(25)を示す。Y型コネクタは、細長いシャフト(NG管)(26)を係合する干渉突起部(35)を有するケーシング(33)の形態の可逆的固定手段を組み込んでおり、干渉突起部は迷路を形成し、それによりNG管を適所にロックする。使用者は、NG管部分に対してスリーブ位置を容易に調整し、かつその後ケーシングの蓋(36)を閉じることによって位置を固定し得る。
【0101】
図8は、スリーブ(24)の近位端部に取り付けられたY型コネクタ(25)を示す。Y型コネクタは、クラムシェルケース(37)の形態の可逆的固定手段を組み込んでおり、これは、細長いシャフト(NG管)(26)に装着された摺動可能な適合グロメット(38)と係合する。グロメットは、変形可能なシリコーンなどの好適な材料で作製し得るので、ポリウレタン製のNG管とグロメットとの間には摩擦が生じる。
【0102】
本発明は、以下のことを含む、急性嚥下障害の治療方法を含む。
・NG管の遠位端部を患者の鼻通路の入口に配置すること、耳たぶまでの、その後剣状突起までの管の長さを測定することによって、コアNG管構成要素の挿入距離を測定すること。総距離数がNG管表面上の印刷されたガイドに示される。
・必要な場合にスリーブ上の固定クリップを係合解除し、かつ透明スリーブの表面上の適切な窓が上述の挿入距離の数字上に並ぶ位置までNG管の表面に沿ってスリーブを動かすこと。
・固定クリップを係合して、スリーブが独立して動かないようにし、かつカテーテルを、経口的または経鼻的のいずれかであるが、好ましくは経鼻的に、正しい挿入距離の窓が患者の鼻通路の入口でちょうど見えるまで、挿入すること。
・NG管構成要素の遠位端部が患者の胃にあることの確認は、標準的な方法によって、すなわちX線、または胃の内容物の吸引およびpH試験によって行うこと。
・従来の経腸栄養装置に接続することによって、コアNG管を介して栄養を補給すること。適切な装置をスリーブの電力供給コネクタに接続すること、およびスリーブの電極を介して治療を実施することによって、治療的電気刺激を与えること。
・必要な場合には、カテーテル組立体全体を患者から取り除くことなく、固定クリップの係合を解除し、かつスリーブを調整すること。
・治療計画が終了した後、NG管を取り除くことなく、固定クリップの係合を解除し、かつスリーブを除去すること。
・必要な場合には、患者からスリーブを取り除くことなく、固定クリップの係合を解除し、かつNG管を除去すること、および正しい挿入距離の数字がスリーブの窓と並ぶ位置まで、スリーブの本体を通して新しいNG管を挿入し、かつ固定クリップを係合すること。
【0103】
以下、装置のこの実施形態の使用を、
図1および
図4aを参照して説明する。
【0104】
コア構造の遠位端部(11)をスリーブの近位端部(1a)に挿入しかつスリーブの遠位端部(1b)から出現するまでスリーブのボアを通して押し入れることによって、スリーブを細長いコア構造に位置決めする。装置を経鼻的または経口的のどちらで挿入するかに依存して、スリーブに印刷された窓が、鼻孔の永久的な入口から上部食道括約筋の中心までの平均距離に対応するコア構造上のマーク、または切歯から上部食道括約筋の中心までの平均距離に対応するマークのいずれかと整列するまで、スリーブをコア構造の表面に沿って動かす。Y型コネクタ上のクリップを使用してスリーブをコア構造に固定する。これにより、組み合わされた装置を経鼻的または経口的に患者に挿入し、かつ印刷された窓が鼻孔の入口または切歯で見えるとき、コア構造の遠位領域に配置された圧力センサーの1つ以上を上部食道括約筋の近くにできるまたはその内部にできると同時に、スリーブ上の電極が口腔咽頭部の刺激標的部位内に確実に配置されるように、管が十分に挿入されていることを保証する。
【0105】
コア構造の近位端部上の電気コネクタ(23)は、カテーテルの遠位領域にある圧力センサーからの圧力測定値を分析しかつ表示するための適切な手段に接続される。スリーブとコア構造の組み合わせを、印刷された窓が鼻孔の入口または切歯から約5cmとなるまで、経鼻的または経口的のいずれかで挿入する。そこで、装置を挿入し続けている間、圧力測定値を表示する手段を監視する。圧力の示度値の特徴的な変化は、圧力センサーが上部食道括約筋内にあること、およびコア構造の遠位端部が、上気道ではなく食道内に配置されていることを示す。必要な場合、装置を、さらに、スリーブの表面上に印刷された窓が必要に応じて鼻孔の入口または切歯に配置される時点まで、挿入する。患者の外部にある装置の部分を適所に固定して、不要な動きを防止する。
【0106】
治療的電気刺激は、適切な装置をスリーブ上の電力供給コネクタに接続し、かつスリーブの電極を介して治療を実施することによって、達成される。電極と標的組織との間に適切な接触が得られない場合、スリーブをコア構造に固定するクリップ(19)を係合解除し、およびスリーブの垂直位置を少し調整してからクリップを再係合してもよい。
【0107】
治療が完了すると、スリーブとコア構造の組み合わせを患者からゆっくりと取り除く。スリーブをコア構造に固定するクリップを係合解除し、およびスリーブは、摺動させてカテーテルの遠位端部から外すことによって取り除く。治療計画を完了するための次の治療では、毎回、新しい使い捨ての無菌スリーブを使用する。コア構造は、使い捨てでも、または再使用可能でもよい。後者の場合、コア構造を、当業界で公知の標準的な方法によって治療と治療の間に滅菌する。
【0108】
図4bに示す実施形態では、細長いコア構造は、一般に直径8Frおよび長さ125cmの可撓性の管(39)と、その遠位端部に近い領域には、胃の内部に位置決めされる、細長い構造の遠位端部と一致するpH、特に低pH値を測定するためのセンサーまたは他の手段(40)と、管の本体内には、pH感知手段に接続するためのワイヤ(41)と、その表面に印刷された、遠位端部からの距離を表示するセンチメートル単位のガイドと、その近位端部には、pHデータを収集、処理および表示する適切な手段へのコネクタ(42)とを含む。
【0109】
以下、装置のこの実施形態の使用を、
図1および
図4bを参照して説明する。
【0110】
コア構造の遠位端部を、患者の外鼻孔に隣接して位置決めする。端部の位置を鼻孔の隣に保持する間、コア構造を使用して、患者の耳たぶまでの、そしてそれらの剣状突起までの距離を測定する。鼻孔から耳たぶ、そこから剣状突起までのセンチメートル単位の総距離(NEX)は、コア構造の表面上に印刷された数字のガイドから得られる。これは、印された数字が鼻孔への入口で見えるとき、遠位端部が胃内にあるように管が十分に挿入されたことを保証する、コア構造に対する正しい挿入距離を表す。
【0111】
コア構造の遠位端部をスリーブの近位端部(1a)に挿入しかつスリーブの遠位端部(1b)から出現するまでスリーブのボアを通して押し入れることによって、スリーブをコア構造に位置決めする。スリーブに印刷された適切な窓(カテーテルが経口的または経鼻的のどちらで挿入されるかに依存して)がNEXの数値と位置合わせされるまで、スリーブをコア構造の表面に沿って動かす。Y型コネクタ上のクリップを使用してスリーブをカテーテルに固定する。これは、組み合わされた装置を経鼻的または経口的に患者に挿入して、印刷された窓が鼻孔の入口または切歯で見えるとき、カテーテルの遠位端部が患者の胃の中に確実にあると同時に、スリーブ上の電極が口腔咽頭部の刺激標的部位内に確実に配置されるように、管が十分に挿入されたことを保証する。
【0112】
印刷された窓が鼻孔の入口または切歯に位置決めされるまで、スリーブとカテーテルの組み合わせを、経鼻的または経口的のいずれかで挿入する。カテーテル(42)の近位端部上のコネクタは、カテーテルの遠位領域にあるpHセンサーからのpH測定値を分析かつ表示する好適な手段に接続される。5.5以下のpH示度値は、コア構造の遠位端部が気道ではなく胃内に配置されていることを示す。患者の外部にある装置の部分を適所に固定して、不要な動きを防止する。
【0113】
治療的電気刺激は、適切な装置をスリーブ上の電力供給コネクタに接続しかつスリーブの電極を介して治療を実施することにより、達成される。電極と標的組織との間に適切な接触が得られない場合、スリーブをコア構造に固定するクリップ(43)を係合解除し、およびスリーブの垂直位置を少し調整してから、クリップを再係合してもよい。
【0114】
治療が完了したら、スリーブとコア構造の組み合わせを患者からゆっくりと取り除く。スリーブをカテーテルに固定するクリップを係合解除し、およびスリーブを摺動させてコア構造の遠位端部から外すことによって、スリーブを取り除く。治療計画を完了するための次の治療は、毎回、新しい使い捨ての無菌スリーブを用いる。コア構造は使い捨てでも、または再使用可能でもよい。後者の場合、コア構造を、当業界で公知の標準的な方法によって治療と治療の間に滅菌する。