(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に記載される実施形態の詳細に取り組む前に、幾つかの用語が定義されるかまたは明確化される。
【0010】
定義
本明細書で用いるところでは、用語伝熱組成物は、熱を熱源からヒートシンクに運ぶために使用される組成物を意味する。
【0011】
熱源は、それから熱を加える、移す、移動させるまたは除去することが望ましい任意の空間、場所、物体または本体と定義される。熱源の例は、冷蔵庫またはスーパーマーケットでのフリーザーケース、エアコンを必要とする建物空間、工業用水冷却装置またはエアコンを必要とする自動車の客室などの、冷凍もしくは冷却を必要とする空間(開かれたまたは閉ざされた)である。幾つかの実施形態では、伝熱組成物は、移送プロセスの全体にわたって一定の状態のままであってもよい(すなわち、蒸発しないまたは凝縮しない)。他の実施形態では、蒸発冷却プロセスは、同様に伝熱組成物を利用してもよい。
【0012】
ヒートシンクは、熱を吸収することができる任意の空間、場所、物体または本体と定義される。蒸気圧縮冷凍システムは、かかるヒートシンクの一例である。
【0013】
伝熱システムは、特定の空間で加熱または冷却効果を産生させるために用いられるシステム(または装置)である。伝熱システムは、移動式システムであっても固定システムであってもよい。
【0014】
伝熱システムの例には、エアコン、フリーザー、冷蔵庫、ヒートポンプ、水冷却装置、フラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張冷却装置、ウォーク−イン・クーラー、ヒートポンプ、移動式冷蔵庫、移動式エアコン装置およびそれらの組み合わせが挙げられるがそれらに限定されない。
【0015】
本明細書で用いるところでは、移動式伝熱システムは、道路、鉄道、海もしくは空用の輸送ユニットへ組み入れられた任意の冷凍、エアコン、または加熱装置を意味する。加えて、移動式冷凍またはエアコン装置には、任意の移動キャリヤーから独立している、「共同一貫輸送」システムとして知られるそれらの装置が含まれる。かかる共同一貫輸送システムには、「スワップボディ」(道路/鉄道複合輸送)だけでなく「コンテナ」(海/陸複合輸送)が含まれる。
【0016】
本明細書で用いるところでは、固定伝熱システムは、運転中に適所に固定されているシステムである。固定伝熱システムは、任意の種類の建物内に結び付けられていてももしくは建物に付属していてもよいし、またはソフトドリンク自動販売機などの、ドアから外へ配置されたスタンドアロンデバイスであってもよい。これらの固定用途は、固定エアコンおよびヒートポンプ(冷却装置、高温ヒートポンプ、住宅用、商業用または工業用エアコンシステムを含むがそれらに限定されない、そしてウィンドウ、ダクトレス、ダクト付き、パッケージ化末端、冷却装置、および屋上システムなどの屋外のしかし建物に連結されたものを含む)であってもよい。固定冷凍用途では、本開示の組成物は、商業用、工業用または住宅用冷蔵庫およびフリーザー、製氷機、内蔵型クーラーおよびフリーザー、フラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張冷却装置、ウォーク−インおよびリーチ−インクーラーおよびフリーザー、ならびに複合型システムを含む機器で有用であるかもしれな
い。幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、スーパーマーケット冷凍システムに使用されてもよい。さらに、固定システムには、一次冷媒および二次伝熱流体を利用する二次ループシステムが含まれる。
【0017】
冷凍能力(冷却能力とも言われる)は、循環される冷媒の1ポンド当たりのエバポレーターでの冷媒のエンタルピーの変化、またはエバポレーターを出る冷媒蒸気の単位体積(容積)当たりエバポレーターで冷媒によって除去される熱を定義するための用語である。冷凍能力は、冷媒または伝熱組成物の冷却を行う能力の尺度である。それ故、この能力が高ければ高いほど、行われる冷却は大きい。冷却速度は、単位時間当たりエバポレーターで冷媒によって除去される熱を意味する。
【0018】
性能計数(COP)は、サイクルを運転するために必要とされるエネルギー入力で割られた除熱量である。COPが高ければ高いほど、エネルギー効率は高い。COPは、内温および外温の特有のセットでの冷凍またはエアコン機器についての効率格付けであるエネルギー効率比(EER)に直接関係する。
【0019】
用語「サブクーリング」は、所与の圧力について液体の飽和点より下への液体の温度の低下を意味する。飽和点は、蒸気組成物が液体に完全に凝縮する温度である(バブルポイントとも言われる)。しかしサブクーリングは、所与の圧力で液体をより低い温度の液体へ冷却し続ける。液体を飽和温度より下に冷却することによって、正味の冷凍能力を増大させることができる。サブクーリングはそれによってシステムの冷凍能力およびエネルギー効率を向上させる。サブクール量は、飽和温度より下への冷却の量(度単位での)であるかまたは液体組成物がその飽和温度よりどれくらい下に冷却されているかである。
【0020】
過熱は、飽和蒸気温度(「露点」とも言われる、組成物が冷却される場合に、液体の第1滴が形成される温度)よりどれくらい上に蒸気組成物が加熱されているかを定義する用語である。
【0021】
温度グライド(簡単に「グライド」と時々言われる)は、いかなるサブクーリングまたは過熱も除いて、冷媒システムの構成要素内での冷媒による相変化プロセスの開始および終了温度の間の差の絶対値である。この用語は、近共沸(near−azeotropic)混合物または非共沸組成物の凝縮または蒸発を記載するために用いられてもよい。
【0022】
共沸組成物とは、単一物質として挙動する2つ以上の物質の定沸点混合物を意味する。共沸組成物を特徴づける一方法は、液体の部分蒸発または蒸留によって生み出された蒸気が、それがそれから蒸発するまたは蒸留される液体と同じ組成を有する、すなわち、混合物が組成変化なしに蒸留される/還流することである。定沸点組成物は、同じ化合物の非共沸混合物のそれと比べて、それらが最高沸点か最低沸点かのどちらかを示すので、共沸として特徴づけられる。共沸組成物は、システムの伝熱および効率を低下させるかもしれない、運転中に冷凍またはエアコンシステム内で分別蒸留しないであろう。さらに、共沸組成物は冷凍またはエアコンシステムからの漏洩時に分別蒸留しないであろう。
【0023】
近共沸組成物(一般に「共沸混合物様組成物」とも言われる)は、本質的に単一物質として挙動する2つ以上の物質の実質的に定沸点の液体混合物である。近共沸組成物を特徴づける一方法は、液体の部分蒸発または蒸留によって生み出された蒸気が、それがそれから蒸発したまたは蒸留された液体と実質的に同じ組成を有する、すなわち、混合物が実質的な組成変化なしに蒸留される/還流することである。近共沸組成物を特徴づける別の方法は、ある特定の温度での組成物のバブルポイント蒸気圧および露点蒸気圧が実質的に同じものであることである。本明細書では、組成物の50重量パーセントが蒸発またはボイリングオフなどによって除去された後に、元の組成物と、元の組成物の50重量パーセン
トが除去された後に残る組成物との間の蒸気圧の差が約10パーセント未満である場合に組成物は近共沸である。
【0024】
非共沸組成物は、単一物質よりむしろ単純な混合物として挙動する2つ以上の物質の混合物である。非共沸組成物を特徴づける一方法は、液体の部分蒸発または蒸留によって生み出された蒸気が、それがそれから蒸発したまたは蒸留された液体と実質的に異なる組成を有する、すなわち、混合物が実質的な組成変化ありで蒸留される/還流することである。非共沸組成物を特徴づける別の方法は、ある特定の温度での組成物のバブルポイント蒸気圧および露点蒸気圧が実質的に異なることである。本明細書では、組成物の50重量パーセントが蒸発またはボイリングオフなどによって除去された後に、元の組成物と、元の組成物の50重量パーセントが除去された後に残る組成物との間の蒸気圧の差が約10パーセントより大きい場合に組成物は非共沸である。
【0025】
本明細書で用いるところでは、用語「潤滑油」は、潤滑性を圧縮機にもたらして部品を焼き付けから防ぐのに役立つ、組成物または圧縮機に添加される(および任意の伝熱システム内で使用中の任意の伝熱組成物と接触する)任意の材料を意味する。
【0026】
本明細書で用いるところでは、相溶化剤は、伝熱システム潤滑油への本開示の組成物のハイドロフルオロカーボンの溶解度を向上させる化合物である。幾つかの実施形態では、相溶化剤は圧縮機へのオイルリターンを改良する。幾つかの実施形態では、本組成物は、油に富む相の粘度を下げるためのシステム潤滑油と一緒に使用される。
【0027】
本明細書で用いるところでは、オイルリターンは、伝熱システムを通して潤滑油を運び、そしてそれを圧縮機に戻す伝熱組成物の能力を意味する。すなわち、使用中に、圧縮機潤滑油のある部分が圧縮機からシステムの他の部分へ伝熱組成物によって運び去られることは珍しくない。かかるシステムでは、潤滑油が圧縮機に効率よく戻されない場合、圧縮機は、潤滑の欠如のために最終的には破損するであろう。
【0028】
本明細書で用いるところでは、「紫外線」染料は、電磁スペクトルの紫外または「近」紫外領域の光を吸収するUV蛍光またはリン光組成物と定義される。10ナノメートル〜約775ナノメートルの範囲の波長の少なくともある放射線を発するUV光による照明下にUV蛍光染料によって生み出される蛍光が検出されてもよい。
【0029】
地球温暖化係数(GWP)は、1キログラムの二酸化炭素の排出と比較して1キログラムの特定の温室効果ガスの大気排出による相対的な地球温暖化関与を推定するための指標である。GWPは、所与のガスについて大気寿命の影響を示す異なる対象期間について計算することができる。100年対象期間のGWPは一般に参照される数値である。混合物については、加重平均を各成分についての個々のGWPに基づいて計算することができる。
【0030】
オゾン層破壊係数(ODP)は、物質によって引き起こされるオゾン層破壊の量に関する数である。ODPは、類似の質量のCFC−11(フルオロトリクロロメタン)の影響と比較した化学薬品のオゾンへの影響の比である。従って、CFC−11のODPは1.0であると定義される。他のCFCおよびHCFCは、0.01〜1.0の範囲であるODPを有する。HFCは、それらが塩素を含有しないのでゼロのODPを有する。
【0031】
本明細書で用いるところでは、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「包含する(includes)」、「を含む(including)」、「有する(have)」、「有する(having)」またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を網羅することを意図される。例えば、要素のリストを含む組
成物、プロセス、方法、物品、もしくは装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されないが、明確にリストされないかまたはかかる組成物、プロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を包含してもよい。さらに、それとは反対を明確に述べられない限り、「または(or)」は包括的なまたはを意味し、排他的なまたはを意味しない。例えば、条件AまたはBは次のいずれか1つで満たされる:Aは真であり(または存在し)かつBは偽である(または存在しない);Aは偽であり(または存在せず)かつBは真である(または存在する);ならびにAおよびBの両方とも真である(または存在する)。
【0032】
移行句「からなる(consisting of)」は、明記されないいかなる要素、工程、または原料も排除する。特許請求の範囲においてかかる句は、それらと通常関係がある不純物を除いて列挙されるもの以外の材料の包含を特許請求の範囲から締め出すであろう。語句「からなる(consists of)」が、序文の直後よりむしろ、特許請求の範囲の本体の条項に現れるとき、それは当該条項に記述される要素のみを限定し;他の要素は全体として特許請求の範囲から排除されない。
【0033】
移行句「から本質的になる」は、文字通り開示されるものに加えて、材料、工程、特徴、成分、または要素を包含する組成物、方法または装置を定義するために用いられる。ただし、これらの追加の包含された材料、工程、特徴、成分、または要素は、特許請求される発明の基本的なおよび新規な特性に実質的に影響を及ぼさない。用語「から本質的になる」は、「含む」と「からなる」との中間位置を占める。
【0034】
本出願人らが発明またはそれの一部を、「含む」などの開放端用語で定義した場合、(別のやり方で記述されない限り)その記載が用語「から本質的になる」または「からなる」を用いてかかる発明をまた記載していると解釈されるべきであることは容易に理解されるべきである。
【0035】
また、「a」および「an」の使用は、本明細書に記載される要素および組成物を記載するために用いられる。これは、便宜上および本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われるにすぎない。この記載は、1つまたは少なくとも1つを包含すると読まれるべきであり、単数形はまた、それが複数形ではないことを意味することが明らかでない限り、複数形を包含する。
【0036】
特に定義されない限り、本明細書に用いられる全ての専門および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似のまたは等価の方法および材料を、本開示の組成物の実施形態の実施または試験に使用することができるが、好適な方法および材料は以下に記載される。本明細書に言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、特定の節が引用されない限り、それらの全てを参照により援用される。矛盾が生じた場合には、定義を含む、本明細書が優先される。加えて、材料、方法、および実施例は例示的であるにすぎず、限定的であることを意図されない。
【0037】
組成物
2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)および少なくとも1つの他の化合物を含む組成物が開示される。HFO−1234yfは、当該技術分野で公知の方法によって製造されてもよい。
【0038】
一実施形態では、HFO−1234yfを含む本発明の組成物において他の化合物は少なくとも1つの炭化水素を含む。別の実施形態では、HFO−1234yfを含む本発明の組成物において他の化合物は、プロパン、シクロプロパンおよびプロピレンからなる群から選択される少なくとも1つの炭化水素を含む。
【0039】
別の実施形態では、本開示の組成物はまた、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、およびジフルオロエタン(1,1−ジフルオロエタンまたはHFC−152a)からなる群から選択される他のフッ素化化合物を含有する。テトラフルオロエタンは、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)または1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)であってもよい。これらのフッ素化化合物は、商業的に入手可能であるかまたは当該技術分野で公知の方法によって製造されてもよい。
【0040】
一実施形態では、
HFO−1234yfおよびシクロプロパン;
HFO−1234yfおよびプロピレン;
HFO−1234yf、HFC−152a、およびシクロプロパン;
HFO−1234yf、HFC−152a、およびプロパン;ならびに
HFO−1234yf、HFC−134a、およびシクロプロパン
を含む組成物が開示される。
【0041】
本明細書に開示される組成物は、伝熱組成物、エアゾール噴射剤、発泡体形成剤、発泡剤、キャリヤー流体、置換乾燥剤、バフ研磨剤、重合媒体、ポリオレフィンおよびポリウレタン用の膨張剤、ならびにガス状誘電体として有用である。液体またはガス状形態で、本開示の組成物は、熱を熱源からヒートシンクへ運ぶために使用される作動流体として働く。かかる伝熱組成物はまた、流体が相変化する;すなわち、液体からガスへおよびガスから液体へまたは逆もまた同様に変化するサイクルにおける冷媒としてもまた有用であるかもしれない。
【0042】
一実施形態では、開示される二成分組成物は、HFO−1234yfが約1重量パーセント〜約99重量パーセントで存在するときに一般に有用であるかもしれない。別の実施形態では、有用な組成物は、約20重量パーセント〜約99重量パーセントのHFO−1234yfを含む。別の実施形態では、有用な組成物は、約40重量パーセント〜約98重量パーセントのHFO−1234yfを含む。そしてさらに別の実施形態では、有用な組成物は、約50重量パーセント〜約98重量パーセントのHFO−1234yfを含む。
【0043】
一実施形態では、HFO−1234yf、炭化水素および追加のフルオロカーボンを含有する開示される三成分組成物は、HFO−1234yfが全体組成物の約1重量パーセント〜約98重量パーセントで存在するときに一般に有用である。別の実施形態では、有用な組成物は、約20重量パーセント〜約98重量パーセントのテトラフルオロプロペンを含む。別の実施形態では、有用な組成物は、約40重量パーセント〜約98重量パーセントのテトラフルオロプロペンを含む。そしてさらに別の実施形態では、有用な組成物は、約50重量パーセント〜約98重量パーセントのテトラフルオロプロペンを含む。
【0044】
一実施形態では、本開示の組成物は、成分が、リストされるような濃度±2重量パーセントで存在するときに所望の特性および機能性を維持すると一般に予期される。
【0045】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は近共沸であることが見いだされる。2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む近共沸組成物は、表1にリストされるような特定の温度で特定された。
【0047】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は共沸であることが見いだされる。2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む共沸組成物は、表2にリストされるような特定の温度で特定された。
【0049】
本発明の組成物の幾つかは非共沸組成物である。
【0050】
非共沸組成物は、共沸または近共沸混合物よりもある種の利点を有するかもしれない。非共沸組成物は、単一物質よりむしろ混合物として挙動する2つ以上の物質の混合物である。非共沸組成物を特徴づける一方法は、液体の部分蒸発または蒸留によって生み出された蒸気が、それがそれから蒸発したまたは蒸留された液体と実質的に異なる組成を有する、すなわち、混合物が実質的な組成変化ありで蒸留される/還流することである。非共沸組成物を特徴づける別の方法は、ある特定の温度での組成物のバブルポイント蒸気圧および露点蒸気圧が実質的に異なることである。本明細書では、組成物の50重量パーセントが蒸発またはボイリングオフなどによって除去された後に、元の組成物と、元の組成物の50重量パーセントが除去された後に残る組成物との間の蒸気圧の差が約10パーセントより大きい場合に組成物は非共沸である。
【0051】
幾つかの実施形態では、HFO−1234yf、炭化水素、および随意の追加のフッ素化化合物に加えて、本開示の組成物は随意の他の成分を含んでもよい。
【0052】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される組成物中の随意の他の成分(本明細書では添加剤とも言われる)は、潤滑油、染料、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、トレーサー、
パーフルオロポリエーテル、摩耗防止剤、極圧剤、腐食および酸化防止剤、金属表面エネルギー低減剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、発泡制御剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、洗剤、粘度調整剤、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の成分を含んでもよい。実際に、これらの随意の他の成分の多くは、これらのカテゴリーの1つ以上に適合し、それらが1つ以上の性能特性を達成するのに役立つ品質を有するかもしれない。
【0053】
幾つかの実施形態では、1つ以上の添加剤が全体組成物に対して少量で本開示の組成物中に存在する。幾つかの実施形態では、本開示の組成物中の添加剤濃度の量は、約0.1重量パーセント未満から約5重量パーセントほどに多くまでの全添加剤である。ある場合には、添加剤は、約0.1重量パーセント〜約3.5重量パーセントの量で本開示の組成物中に存在する。本開示の組成物のために選択される添加剤成分は、実用性および/または個々の機器構成要素もしくはシステム要件に基づいて選択される。
【0054】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、鉱油(鉱物起源の油)、合成潤滑油、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの潤滑油を含む。
【0055】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、冷凍またはエアコン機器で使用するのに好適なものから選択される少なくとも1つの潤滑油を含む。幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、圧縮冷凍潤滑の分野で容易に公知のものから選択される少なくとも1つの合成油を含む。
【0056】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの随意の成分は鉱油潤滑油である。幾つかの実施形態では、鉱油潤滑油は、パラフィン(真っ直ぐな炭素鎖の飽和炭化水素、分岐炭素鎖の飽和炭化水素、およびそれらの混合物を含む)、ナフテン(飽和の環状および環構造を含む)、芳香族化合物(1つ以上の環を含有する不飽和炭化水素のものであって、1つ以上の環が交互の炭素−炭素二重結合で特徴づけられるもの)および非炭化水素(硫黄、窒素、酸素およびそれらの混合物などの原子を含有する分子)、ならびにそれらの混合物および組み合わせからなる群から選択される。
【0057】
幾つかの実施形態は1つ以上の合成潤滑油を含有してもよい。幾つかの実施形態では、合成潤滑油は、アルキル置換芳香族化合物(しばしば一般にアルキルベンゼンと言われる、線状、分岐、線状アルキル基と分岐アルキル基の混合物で置換されたベンゼンまたはナフタレンなどの)、合成パラフィンおよびナフテン、ポリ(アルファオレフィン)、ポリグリコール(ポリアルキレングリコールを含む)、二塩基性酸エステル、ポリエステル、ネオペンチルエステル、ポリビニルエーテル(PVE)、シリコーン、シリケートエステル、フッ素化化合物、ホスフェートエステルならびにそれらの混合物および組み合わせからなる群から選択される。
【0058】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるような組成物は、鉱油、アルキルベンゼン、ポリアルファオレフィン、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、ポリビニルエーテル、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの潤滑油をさらに含む。
【0059】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、少なくとも1つの商業的に入手可能な潤滑油を含有する。幾つかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、BVM 100 N(BVA Oilsによって販売されるパラフィン系鉱油)、Suniso(登録商標)1GS、Suniso(登録商標)3GSおよびSuniso(登録商標)5GS(Crompton Co.によって販売されるナフテン系鉱油)、Sontex(登録商標)372LT(Pennzoilによって販売されるナフテン系鉱油)、
Calumet(登録商標)RO−30(Calumet Lubricantsによって販売されるナフテン系鉱油)、Zerol(登録商標)75、Zerol(登録商標)150およびZerol(登録商標)500(Shrieve Chemicalsによって販売される線状アルキルベンゼン)およびHAB 22(新日本石油によって販売される分岐アルキルベンゼン)、Castrol(登録商標)100(Castrol,United Kingdom)などのポリオールエステル(POE)、Dow(Dow Chemical,Midland,Michigan)からのRL−488Aなどのポリアルキレングリコール(PAG)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの潤滑油を含有する。
【0060】
幾つかの実施形態では、潤滑油は、全組成物に対して5.0重量%未満の量で存在する。他の実施形態では、潤滑油の量は、全組成物の約0.1〜3.5重量%である。
【0061】
本明細書に開示される組成物についての上記の重量比にもかかわらず、幾つかの伝熱システムでは、組成物が使用されている間に、それが、かかる伝熱システムの1つ以上の機器構成要素から追加の潤滑油を獲得してもよいことが理解される。例えば、幾つかの冷凍、エアコンおよびヒートポンプシステムでは、潤滑油は、圧縮機および/または圧縮機潤滑油溜めに装入されてもよい。かかる潤滑油は、かかるシステムにおいて冷媒中に存在する任意の潤滑油添加剤に加えて存在するであろう。使用中に、冷媒組成物は、圧縮機中にあるときに、ある量の機器潤滑油をピックアップして冷媒−潤滑油組成を出発比から変えるかもしれない。
【0062】
かかる伝熱システムでは、潤滑油の大部分がシステムの圧縮機部分内に存在するときでさえ、全体システムは、組成物の約75重量パーセントほどから約1.0重量パーセントほどまでが潤滑油である状態で全組成物を含有してもよい。一実施形態では、幾つかのシステム、例えばスーパーマーケット冷凍展示ケースでは、システムは、約3重量パーセントの潤滑油(システムに装入する前に冷媒組成物中に存在する任意の潤滑油に加えて)および97重量パーセントの冷媒を含有してもよい。別の実施形態では、幾つかのシステム、例えば移動式エアコンシステムでは、システムは約20重量パーセントの潤滑油(システムに装入する前に冷媒組成物中に存在する任意の潤滑油に加えて)および約80重量パーセントの冷媒を含有してもよい。
【0063】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、組成物の引火特性を低下させるための添加剤を含んでもよい。炭化水素冷媒は引火性化合物であることが知られており、幾つかの用途では、引火特性の低下が望まれる。本開示の組成物中に含められてもよい添加剤には、塩(例えば、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物、モリブデン酸塩、臭化物、臭素酸塩、塩素酸塩、塩化物、またはヨウ化物)、ホスフェートエステル、有機ホスホネート、およびホスホニウム塩を含むリン化合物、ホウ酸、有機ホウ素化合物、臭素化化合物、塩素化パラフィン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン、水とポリアルキレングリコールまたはポリオールエステルとの混合物、過フッ素化潤滑油、フルオロケトン、フルオロヨード化合物、またはそれらの混合物が含まれる。
【0064】
引火性を低減するための代表的な塩には、酢酸ナトリウム(CH
3CO
2Na)、酢酸カリウム(CH
3CO
2K)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、炭酸鉄(II)(FeCO
3)、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)、炭酸アンモニウム((NH
4)
2CO
3)、重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)、重炭酸カリウム(KHCO
3)、リン酸アンモニウム((NH
4)
3PO
4)、硝酸カリウム(KNO
3)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化コバルト(CoCl
2)、塩化ルビジウム(RbCl)、塩化チタン(TiCl
4)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、臭化ルビジウム(RbBr)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化ルビジウム(RbI)、水酸
化マグネシウム(Mg(OH)
2)、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、ホウ酸亜鉛(3ZnO:2B
2O
3)、酸化亜鉛(ZnO)、モリブデン酸亜鉛(ZnMoO
4)、モリブデン酸カルシウム(CaMoO
4)、酸化銅(Cu
2OおよびCuO)、ならびに、三酸化アンチモン(Sb
2O
3)および五酸化アンチモン(Sb
2O
5)を含むがそれらに限定されない酸化アンチモンなどが含まれるがそれらに限定されない。かかる塩は、Aldrich,Milwaukee,Wisconsinなどの多数の化学薬品供給業者から入手可能である。
【0065】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるような組成物は、トリアルキルホスフェート、トリアリールホスフェート、混合アルキル−アリールホスフェート(アルキルジアリール、ジアルキルアリールまたはアルキル化アリール)、および環状ホスフェートを含むがそれらに限定されないホスフェートエステルを含むがそれらに限定されない引火性を低減するためのリン化合物をさらに含んでもよい。代表的なトリアルキルホスフェートには、トリメチルホスフェート((CH
3)
3PO
4);トリエチルホスフェート((CH
3CH
2)
3PO
4);トリブチルホスフェート((C
4H
9)
3PO
4);トリオクチルホスフェート((C
8H
17)
3PO
4);およびトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート((CH
3CH(C
2H
5)(CH
2)
4)
3PO
4)が含まれる。代表的なトリアリールホスフェートには、トリフェニルホスフェート((C
6H
5O)
3PO);トリクレジルホスフェート(TCP、(CH
3C
6H
4O)
3PO);およびトリキシレニルホスフェート(((CH
3)
2C
6H
3O)
3PO)が含まれる。代表的な混合アルキル−アリールホスフェートには、イソプロピルフェニルフェニルホスフェート(IPPP、(C
6H
5O)
2((CH
3)
2CHO)PO)およびビス(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート(TBPP、(C
6H
5O)
2((CH
3)
3C)PO)が含まれる。かかるリン化合物は、Aldrich(Milwaukee,Wisconsin);Alfa Aesar(Ward Hill,MA);またはAkzo Nobel(Arnhem,the Netherlands)などの多数の化学薬品供給業者から入手可能である。追加の代表的なリン化合物は、Syn−O−Ad 8784、Akzo Nobel(Arnhem,the Netherlands)からのブチル化トリフェニルホスフェート;Durad 620、Great Lakes Chemical Corporation(GLCC,West Lafayette,IN)からの第三ブチル化トリフェニルホスフェート;ならびにDurad 220および110、同様にGLCCからのイソ−プロピル化トリフェニルホスフェートである。
【0066】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、トリスモノクロロプロピルホスフェート(TMCPP、異なる異性体、トリス(2−クロロイソプロピル)ホスフェート、およびトリス(2−クロロプロピル)ホスフェート);トリス(1,3−ジクロロ−2−プロピル)ホスフェート(TDCPP、P(OCH
2OH)
4Cl);ジメチルホスホネート(PHO(OCH
3)
2);ならびにとりわけ塩化テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム(P(CH
2OH)
4Cl)を含むがそれらに限定されない引火性を低減するための有機ホスフェートおよびホスホニウム塩をさらに含んでもよい。これらのリン化合物はまた、Aldrich、Alfa Aesar、またはAkzo Nobelから入手可能である。
【0067】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、ホウ酸(H
3BO
3)、トリフェニルボラン(B(C
6H
5)
3)、およびホウ酸ナトリウムなどの他のホウ素塩などのホウ素化合物をさらに含んでもよい。
【0068】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、ヘキサブロモシクロドデカンまたはデカブロモジフェニルオキシドなどの臭素化有機化合物をさらに含んでもよい。臭素化有機化合物には、ジブロモネオペンチルグリコール(DBNPG、C(CH
2Br)
2(CH
2O
H)
2、Specialchem FR−522);トリスブロモネオペンチルホスフェート(Specialchem FR−370/FR−372、(C(CH
2Br)
3CH
2O)PO)、トリスブロモネオペンチルアルコール(TBNPA、CH
2(CH
2Br)OH)、およびヘキサブロモシクロドデカン(HBCD、シクロ−(−CHBrCHBrCH
2CH
2CHBrCHBrCH
2CH
2CHBrCHBrCH
2CH
2−))などの脂肪族化合物がさらに含まれる。
【0069】
臭素化有機化合物には、デカブロモジフェニルオキシド(DECA、O(C
6Br
5)
2、Specialchem FR−1210);トリス(トリブロモフェニル)トリアジン(Specialchem FR−245);テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(Specialchem FR−720);オクタブロモジフェニルオキシド(OCTA、Specialchem FR−1208);テトラブロモビスフェノールA(CH
3)
2C(C
6H
2Br
2OH)
2、Specialchem FR−1524);および臭素化トリメチルフェニルインダン(Specialchem FR−1808)などの芳香族化合物がさらに含まれる。
【0070】
本明細書に開示されるような組成物において引火性低減添加剤として機能する臭素化有機化合物には、とりわけ、Specialchem F−2016(オリゴマー)などの臭素化エポキシ化合物が含まれる。上にリストされた脂肪族臭素化、芳香族臭素化および臭素化エポキシ化合物の全てが、Specialchem S.A.(Paris,France)から入手可能である。
【0071】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるような組成物は、10〜30個の炭素原子のそして約35重量パーセント〜約70重量パーセントの塩素を分子中に有する塩素化パラフィンをさらに含んでもよい。塩素化パラフィンには、Dover Chemical Corporation(Dover,Ohio)によって、商標:Chlorez(登録商標)/Hordaresin(登録商標)難燃性添加剤;Doversperse(登録商標)樹脂状および液体塩素化パラフィンの分散系およびエマルジョン;Doverguard(登録商標)臭素化塩素化パラフィン;Paroil(登録商標);ならびにChlorowax(登録商標)液体塩素化パラフィンで販売されるものが含まれる。さらに、本発明の塩素化パラフィンには、Pioneer(Houston,Texas)によって、商標:Cereclor(登録商標)42、42SS、48、70、LCCP 44、および46難燃性塩素化パラフィンワックスおよびCereclor(登録商標)S−45、51L、S−52、S−52HV、S−55、S−56、S−56B、およびMCCP 54 C
14〜C
17塩素化パラフィンで販売される化合物が含まれる。
【0072】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるような組成物は、引火性低減添加剤としてポリリン酸アンモニウム(APP)、[NH
4PO
3]
nをさらに含んでもよい。ポリリン酸アンモニウムは、直鎖または分岐のおよび架橋した分子であってもよい。シラン、メラミンまたは他の物質でコーティングされたポリリン酸アンモニウムが入手可能である。本発明は、コートされたまたは非コートのポリリン酸アンモニウム調合物を含むことが意図される。これらのAPP調合物の代表的なものは、全てSpecialchem S.A.(Paris,France)から入手可能である、FR CROS 484(非コートの)、RF CROS 486(表面反応シランコーティング)、およびFR CROS 484(表面反応メラミンコーティング)である。
【0073】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるような組成物は、引火性低減添加剤として、任意選択的に腐食防止、摩耗防止、安定剤および/または潤滑性添加剤入りの水とポリアルキレングリコール(PAG)またはポリオールエステル(POE)潤滑油との混合
物をさらに含んでもよい。水での調合物は、Uniqema(Gouda,The Netherlands)によって商標EMKAROX(登録商標)HV 45およびEMKAROX(登録商標)HV 20(PAG)で販売されるものなど、30重量パーセント以上の水を含んでもよい。記載されるようなPAG/水およびPOE/水はまた潤滑油としても機能するので、追加の潤滑油は必要ではないかもしれない。あるいはまた、追加の潤滑油が、潤滑のために必要に応じてPAG/水またはPOE/水混合物に加えられてもよい。
【0074】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるような組成物は、引火性低減添加剤としてパーフルオロカーボンまたはパーフルオロポリエーテル潤滑油をさらに含んでもよい。例には、商標:Krytox(登録商標)(DuPont,Wilmington,DE);Fomblin(登録商標)(Solvay Solexis,Italy);およびDemnum(商標)(Daikin America,Inc.,日本、大阪によって提供される)で販売されるパーフルオロポリエーテルが挙げられるがそれらに限定されない。このタイプの代表的な潤滑油は、Krytox(登録商標)1531XPまたはKrytox(登録商標)GLPシリーズ、Fomblin(登録商標)Z−Dol、Z−Tetraol、AM 2001、またはAM 3001、Demnum(商標)LR−200またはS−65および他のDemnum(商標)油である。前記過フッ素化潤滑油はまた潤滑油としても機能するので、他の潤滑油は、前記過フッ素化火災危険低減剤を含有する組成物に全く必要とされないかもしれない。あるいはまた、過フッ素化潤滑油は、本明細書に記載されるような他の潤滑油に添加剤として含められてもよい。
【0075】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるような組成物は、引火性低減添加剤としてメラミン類をさらに含んでもよい。かかるメラミン類には、メラミン(2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン)ならびにメラミンの同族体および誘導体が含まれる。かかるメラミン同族体には、メラム(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン−n−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)、メレム(2,5,8−トリアミノ−1,3,4,6,7,9,9b−ヘプタアザフェナレン)、およびメロン(ポリ[8−アミノ−1,3,4,6,7,9,9b−ヘプタアザフェナレン−2,5−ジイル)])などの多環構造体が含まれる。かかるメラミン誘導体には、メラミンシアヌレートならびにSpecialchem S.A.(Paris,France)によって商標Melapur(登録商標)MP(メラミンモノホスフェートおよびMelapur(登録商標)200(メラミンポリホスフェート)で販売されるメラミン類などの、メラミン(モノ/ピロ/ポリ)ホスフェートが含まれる。
【0076】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、引火性低減添加剤としてフルオロケトンをさらに含んでもよく、ここで、前記フルオロケトンは式R
1COR
2(式中、R
1およびR
2は独立して、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の、脂肪族または脂環式の部分的にまたは完全にフッ素化された炭化水素ラジカルから選択される)で表される。さらに、R
1およびR
2は一緒になって環状フルオロケトン環を形成してもよい。フルオロケトンは、約2〜10個の炭素原子を含有してもよい。好ましいフルオロケトンは、4〜8個の炭素原子を含有する。本発明のフルオロケトンは、酸素などの、ヘテロ原子をさらに含有し、こうして追加のケトン基、エーテル基、アルデヒド基、またはエステル基を形成してもよい。かかるフルオロケトンの例は、1,1,1,2,2,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−3−ペンタノンまたはパーフルオロエチルイソプロピルケトン(PEIK);1,1,1,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−2−ブタノンまたはパーフルオロメチルイソプロピルケトン(PMIK);1,1,1,2,4,5,5,5−オクタフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)−3−ペンタノン;1,1,1,2,4,4,5,5−オクタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−3−ペンタノン;1,1,1,2,4,4,5,5
,6,6,6−ウンデカフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−3−ヘキサノン;および1,1,2,2,4,5,5,5−オクタフルオロ−1−(トリフルオロメトキシ)−4−(トリフルオロメチル)−3−ペンタノンである。PEIKは3M(商標)(St.Paul,MN)から入手可能であり、リストされた他のフルオロケトンは、参照により本明細書に援用される、米国特許第3,185,734号明細書および同第6,478,979号明細書ならびにJ.Am.Chem.Soc.,vol 84,pp.4285−88、1962に記載されているように製造されてもよい。
【0077】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるような組成物は、引火性低減剤として、ヨウ化トリフルオロメチル(CF
3I)などのフルオロヨード化合物をさらに含んでもよい。
【0078】
引火性低減添加剤の濃度は、これらの添加剤が添加される組成物の引火特性に依存して変わるであろう。本開示の組成物のいずれか中の引火性低減添加剤の濃度は、許容されるレベルまで引火性を低減するかまたは前記組成物の引火性を完全に排除するのに十分なものであってもよい。一実施形態では、本開示の組成物に関して引火性低減添加剤の濃度は、全組成物を基準として約ゼロ重量パーセント超〜約50重量パーセントであってもよい。別の実施形態では、引火性低減添加剤の濃度は、約0.1重量パーセント〜約20重量パーセントであろう。さらに別の実施形態では、引火性低減添加剤の濃度は、全組成物を基準として約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントであろう。
【0079】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は少なくとも1つの染料を含む。幾つかの実施形態では、本開示の組成物は少なくとも1つの紫外線(UV)染料を含む。
【0080】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、蛍光染料である少なくとも1つのUV染料を含む。幾つかの実施形態では、本記載組成物は、ナフタルイミド、ペリレン、クマリン、アントラセン、フェナントラセン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン、フルオレセイン、および前記染料の誘導体ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される蛍光染料である少なくとも1つのUV染料を含む。
【0081】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、約0.001重量パーセント〜約1.0重量パーセントのUV染料を含有する。他の実施形態では、UV染料は、約0.005重量パーセント〜約0.5重量パーセントの量で存在し;他の実施形態では、UV染料は、全組成物の0.01重量パーセント〜約0.25重量パーセントの量で存在する。
【0082】
幾つかの実施形態では、UV染料は、装置(例えば、冷凍装置、エアコンまたはヒートポンプ)の漏洩ポイントでまたはその近くで染料の蛍光を観察することを可能にすることによって組成物の漏洩を検出するための有用な成分である。UV発光、例えば、紫外光下に染料からの蛍光が観察されてもよい。それ故、かかるUV染料を含有する組成物が装置の所与のポイントから漏洩しつつある場合、蛍光は、漏洩ポイントで、または漏洩ポイントの近くで検出することができる。
【0083】
幾つかの実施形態では、本記載組成物は、本開示の組成物への1つ以上の染料の溶解度を向上させるために選択される少なくとも1つの可溶化剤をさらに含有する。幾つかの実施形態では、染料対可溶化剤の重量比は、約99:1〜約1:1の範囲である。
【0084】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物中の可溶化剤には、炭化水素、炭化水素エーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル(ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどの)、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン(塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、またはそれらの混合物などの)、エステル、ラクトン、芳香族エ
ーテル、フルオロエーテルおよび1,1,1−トリフルオロアルカンならびにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物が含まれる。
【0085】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの相溶化剤は、1つ以上の潤滑油と本開示の組成物との相溶性を向上させるために選択される。幾つかの実施形態では、相溶化剤は、炭化水素、炭化水素エーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル(ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどの)、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン(塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム、またはそれらの混合物などの)、エステル、ラクトン、芳香族エーテル、フルオロエーテル、1,1,1−トリフルオロアルカン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0086】
幾つかの実施形態では、1つ以上の可溶化剤および/または相溶化剤は、ジメチルエーテル(DME)などの、炭素、水素および酸素のみを含有するエーテルからなる炭化水素エーテルおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0087】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、5〜15個の炭素原子を含有する、少なくとも1つの線状または環状の脂肪族または芳香族炭化水素相溶化剤を含む。幾つかの実施形態では、相溶化剤は、少なくとも1つの炭化水素からなる群から選択され;他の実施形態では、相溶化剤は、少なくともペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、商標Isopar(登録商標)H(高純度C
11〜C
12イソ−パラフィン系)でExxon
Chemical(USA)から商業的に入手可能なもの、Aromatic 150(C
9〜C
11芳香族)、Aromatic 200(C
9〜C
15芳香族)およびNaptha 140ならびにそれらの混合物からなる群から選択される炭化水素である。
【0088】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、少なくとも1つの高分子相溶化剤を含む。幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、フッ素化および非フッ素化アクリレートのランダムコポリマーであって、式CH
2=C(R
1)CO
2R
2、CH
2=C(R
3)C
6H
4R
4、およびCH
2=C(R
5)C
6H
4XR
6(式中、Xは酸素または硫黄であり;R
1、R
3、およびR
5は独立して、HおよびC
1〜C
4アルキルラジカルからなる群から選択される選択され;R
2、R
4、およびR
6は独立して、C、およびFを含有し、そしてさらに、H、Cl、エーテル酸素、またはチオエーテル、スルホキシド、もしくはスルホン基およびそれらの混合物の形態で硫黄を含有してもよい炭素鎖ベースのラジカルからなる群から選択される)で表される少なくとも1つのモノマーの繰り返し単位を含むポリマーであるものから選択される少なくとも1つの高分子相溶化剤を含む。かかる高分子相溶化剤の例には、商標Zonyl(登録商標)PHSでE.I.du Pont de Nemours & Co.(Wilmington,DE,19898,USA)から商業的に入手可能なものが挙げられる。Zonyl(登録商標)PHSは、40重量パーセントのCH
2=C(CH
3)CO
2CH
2CH
2(CF
2CF
2)
mF(Zonyl(登録商標)フルオロメタクリレートまたはZFMとも言われる)(式中、mは1〜12、主として2〜8である)と、60重量パーセントのラウリルメタクリレート(CH
2=C(CH
3)CO
2(CH
2)
11CH
3、LMAとも言われる)とを重合させることによって製造されるランダムコポリマーである。
【0089】
幾つかの実施形態では、相溶化剤成分は、金属への潤滑油の付着力を低減する方法で、熱交換器中に見いだされる金属銅、アルミニウム、スチール、または他の金属およびそれらの金属合金の表面エネルギーを低減する(相溶化剤の総量を基準として)約0.01〜30重量パーセントの添加剤を含有する。金属表面エネルギー低減添加剤の例には、商標Zonyl(登録商標)FSA、Zonyl(登録商標)FSP、およびZonyl(登録商標)FSJでDuPontから商業的に入手可能なものが挙げられる。
【0090】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、金属表面不活性化剤をさらに含む。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの金属表面不活性化剤は、アレオキサリルビス(ベンジリデン)ヒドラジド(CAS登録番号6629−10−3)、N,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルヒドラジン(CAS登録番号32687−78−8)、2,2’−オキサミドビス−エチル−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(CAS登録番号70331−94−1)、N,N’−(ジサリチリデン)−1,2−ジアミノプロパン(CAS登録番号94−91−7)ならびにエチレンジアミン四酢酸(CAS登録番号60−00−4)およびその塩、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0091】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、ヒンダードフェノール、チオホスフェート、ブチル化トリフェニルホスホロチオネート、オルガノホスフェート、またはホスファイト、アリールアルキルエーテル、テルペン、テルペノイド、エポキシド、フッ素化エポキシド、オキセタン、アスコルビン酸、チオール、ラクトン、チオエーテル、アミン、ニトロメタン、アルキルシラン、ベンゾフェノン誘導体、アリールスルフィド、ジビニルテレフタル酸、ジフェニルテレフタル酸、イオン性液体、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの安定剤をさらに含む。
【0092】
幾つかの実施形態では、前記少なくとも1つの安定剤は、トコフェロール;ヒドロキノン;t−ブチルヒドロキノン;モノチオホスフェート;および商標Irgalube(登録商標)63で、Ciba Specialty Chemicals,Basel,Switzerland、本明細書では以下「Ciba」から商業的に入手可能な、ジチオホスフェート;それぞれ、商標Irgalube(登録商標)353およびIrgalube(登録商標)350でCibaから商業的に入手可能な、ジアルキルチオホスフェートエステル;商標Irgalube(登録商標)232でCibaから商業的に入手可能な、ブチル化トリフェニルホスホロチオネート;商標Irgalube(登録商標)349(Ciba)でCibaから商業的に入手可能な、アミンホスフェート;Irgafos(登録商標)168としてCibaから商業的に入手可能な、ヒンダードホスファイトおよび、商標Irgafos(登録商標)OPHでCibaから商業的に入手可能な、トリス−(ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト;(ジ−n−オクチルホスファイト);および商標Irgafos(登録商標)DDPPでCibaから商業的に入手可能な、イソ−デシルジフェニルホスファイト;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、およびトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどの、トリアルキルホスフェート;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、およびトリキシレニルホスフェートを含むトリアリールホスフェート;および、イソプロピルフェニルホスフェート(IPPP)、およびビス(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート(TBPP)を含む混合アルキル−アリールホスフェート;Syn−O−Ad(登録商標)8784を含む商標Syn−O−Ad(登録商標)で商業的に入手可能なものなどの、ブチル化トリフェニルホスフェート;商標Durad(登録商標)620で商業的に入手可能なものなどの第三ブチル化トリフェニルホスフェート;商標Durad(登録商標)220およびDurad(登録商標)110で商業的に入手可能なものなどのイソプロピル化トリフェニルホスフェート;アニソール;1,4−ジメトキシベンゼン;1,4−ジエトキシベンゼン;1,3,5−トリメトキシベンゼン;ミルセン、アロオシメン、リモネン(特に、d−リモネン);レチナール;ピネン;メントール;ゲラニオール;ファルネソール;フィトール;ビタミンA;テルピネン;デルタ−3−カレン;テルピノレン;フェランドレン;フェンチェン;ジペンテン;リコピン、ベータカロテンなどの、カラテノイド、およびゼアキサンチンなどの、キサントフィル;ヘパキサンチンおよびイソトレチノインなどの、レチノイド;ボルナン;1,2−プロピレンオキシド;1,2−ブチレンオキシド;n−ブチルグリシジルエーテル;トリフルオロメチルオキシラン;1,1−ビス(トリフルオロメチル)オキシラン;OXT−1
01(東亞合成株式会社)などの、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン;OXT−211(東亞合成株式会社)などの、3−エチル−3−((フェノキシ)メチル)−オキセタン;OXT−212(東亞合成株式会社)などの、3−エチル−3−((2−エチル−ヘキシルオキシ)メチル)−オキセタン;アスコルビン酸;メタンチオール(メチルメルカプタン);エタンチオール(エチルメルカプタン);補酵素A;ジメルカプトコハク酸(DMSA);グレープフルーツメルカプタン((R)−2−(4−メチルシクロヘキセ−3−ニル)プロパン−2−チオール));システイン((R)−2−アミノ−3−スルファニル−プロパン酸);リポアミド(1,2−ジチオラン−3−ペンタンアミド);商標Irganox(登録商標)HP−136でCibaから商業的に入手可能な、5,7−ビス(1,1−ジメチルエチル)−3−[2,3(または3,4)−ジメチルフェニル]−2(3H)−ベンゾフラノン;ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジイソプロピルアミン;商標Irganox(登録商標)PS 802(Ciba)でCibaから商業的に入手可能な、ジオクタデシル3,3’−チオジプロピオネート;商標Irganox(登録商標)PS 800でCibaから商業的に入手可能な、ジドデシル3,3’−チオプロピオネート;商標Tinuvin(登録商標)770でCibaから商業的に入手可能な、ジ−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート;商標Tinuvin(登録商標)622LD(Ciba)でCibaから商業的に入手可能な、ポリ−(N−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジルスクシネート;メチルビス牛脂アミン;ビス牛脂アミン;フェノール−アルファ−ナフチルアミン;ビス(ジメチルアミノ)メチルシラン(DMAMS);トリス(トリメチルシリル)シラン(TTMSS);ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;2,5−ジフルオロベンゾフェノン;2’,5’−ジヒドロキシアセトフェノン;2−アミノベンゾフェノン;2−クロロベンゾフェノン;ベンジルフェニルスルフィド;ジフェニルスルフィド;ジベンジルスルフィド;イオン性液体;ならびにそれらの混合物および組み合わせからなる群から選択される。
【0093】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、それらの塩がピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウムおよびトリアゾリウムならびにそれらの混合物からなる群から選択されるカチオンと;[BF
4]−、[PF
6]−、[SbF
6]−、[CF
3SO
3]−、[HCF
2CF
2SO
3]−、[CF
3HFCCF
2SO
3]−、[HCClFCF
2SO
3]−、[(CF
3SO
2)
2N]−、[(CF
3CF
2SO
2)
2N]−、[(CF
3SO
2)
3C]−、[CF
3CO
2]−、およびF
−ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるアニオンとを含有する、室温(おおよそ25℃)で液体である有機塩からなる群から選択される少なくとも1つのイオン性液体安定剤を含む。幾つかの実施形態では、eイオン性液体安定剤は、それらの全てがFluka(Sigma−Aldrich)から入手可能である、emim BF
4(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート);bmim BF
4(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラボレート);emim PF
6(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート);およびbmim PF
6(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート)からなる群から選択される。
【0094】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの安定剤は、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−第三ブチル−4−エチルフェノール;2,4−ジメチル−6−第三ブチルフェノール;トコフェロールなどを含むアルキル化モノフェノールなどの、1つ以上の置換されたまたは環式の、直鎖、または分岐の脂肪族置換基を含むフェノールを含む任意の置換フェノール化合物である、ヒンダードフェノール、ヒドロキノンおよびt−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンの他の誘導体などを含むアルキル化ヒドロキノン、4,4’−チオ−ビス(2−メチル−6−第三ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4メチル−6−
第三ブチルフェノール)などを含むヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール類、例えば4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−第三ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−第三ブチルフェノール);2,2’−または4,4−ビフェノールジオールの誘導体;2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール);4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノール);4,4−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−第三ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ジ−第三ブチルフェノール)を含む2,2−または4,4−ビフェニルジオール;ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT、または2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,6−ジ−第三−アルファ−ジメチルアミノ−p−クレゾール、4,4−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)などを含むヘテロ原子を含むビスフェノール;アシルアミノフェノール;2,6−ジ−第三−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール);ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィドを含むスルフィド、ならびにそれらの混合物および組み合わせである。
【0095】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は少なくとも1つのトレーサーを含有する。幾つかの実施形態では、本開示の組成物中のトレーサー添加剤は、同じクラスの化合物からのまたは異なるクラスの化合物からの2つ以上のトレーサー化合物からなる。
【0096】
幾つかの実施形態では、トレーサー成分またはトレーサーブレンドが、百万重量部当たり約50重量部(ppm)〜約1000ppmの総濃度で組成物中に存在する。他の実施形態では、トレーサー化合物またはトレーサーブレンドは、約50ppm〜約500ppmの総濃度で存在する。他の実施形態では、トレーサー化合物またはトレーサーブレンドは、約100ppm〜約300ppmの総濃度で存在する。
【0097】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、重水素化ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒドおよびケトン、亜酸化窒素ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのトレーサーを含む。本開示の組成物の幾つかの実施形態は、フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5−デカフルオロペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプタン、ヨウ素トリフルオロメタン、重水素化炭化水素、重水素化ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素(N
2O)およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのトレーサーを含む。幾つかの実施形態では、トレーサー添加剤は、2つ以上のハイドロフルオロカーボン、または1つ以上のパーフルオロカーボンと組み合わせた1つのハイドロフルオロカーボンを含有するトレーサーブレンドである。
【0098】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つのトレーサー組成物が、組成物の任意の希釈、汚染または他の変化の検出を可能にするために予め決められた量で本開示の組成物に加えられる。
【0099】
他の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、パーフルオロポリエーテルをさら
に含んでもよい。パーフルオロポリエーテルの共通の特徴は、パーフルオロアルキルエーテル部分の存在である。パーフルオロポリエーテルはパーフルオロポリアルキルエーテルの同義語である。頻繁に用いられる他の同義語には、「PFPE」、「PFAE」、「PFPEオイル」、「PFPE流体」、および「PFPAE」が含まれる。幾つかの実施形態では、パーフルオロポリエーテルは、CF
3−(CF
2)
2−O−[CF(CF
3)−CF
2−O]j’−R’fの式を有し、商標Krytox(登録商標)でDuPontから商業的に入手可能である。直前の式において、j’は2〜100(両端を含む)であり、R’fは、CF
2CF
3、C3〜C6のパーフルオロアルキル基、またはそれらの組み合わせである。
【0100】
それぞれ、商標Fomblin(登録商標)およびGalden(登録商標)で、Milan,ItalyのAusimont、およびMilan,ItalyのMontedison S.p.A.から商業的に入手可能な、そしてパーフルオロオレフィン光酸化によって製造される、他のPFPEもまた使用することができる。
【0101】
商標Fomblin(登録商標)−Yで商業的に入手可能なPFPEは、CF
3O(CF
2CF(CF
3)−O−)
m’(CF
2−O−)
n’−R
1fの式を有することができる。CF
3O[CF
2CF(CF
3)O]
m’(CF
2CF
2O)
o’(CF
2O)
n’−R
1fもまた好適である。式中、R
1fは、CF
3、C
2F
5、C
3F
7、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり;(m’+n’)は8〜45(両端を含む)であり;m/nは20〜1000(両端を含む)であり;o’は1であり;(m’+n’+o’)は8〜45(両端を含む)であり;m’/n’は20〜1000(両端を含む)である。
【0102】
商標Fomblin(登録商標)−Zで商業的に入手可能なPFPEは、CF
3O(CF
2CF
2−O−)
p’(CF
2−O)
q’CF
3の式(式中、(p’+q’)は40〜180であり、p’/q’は0.5〜2(両端を含む)である)を有することができる。
【0103】
ダイキン工業株式会社、日本から商標Demnum(商標)で商業的に入手可能な、別の系統のPFPEもまた使用することができる。それは、2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンの順次オリゴマー化およびフッ素化によって製造することができ、F−[(CF
2)
3−O]
t’−R
2fの式(式中、R
2fは、CF
3、C
2F
5、またはそれらの組み合わせであり、t’は2〜200(両端を含む)である)を生成する。
【0104】
幾つかの実施形態では、PFPEは官能化されていない。官能化されていないパーフルオロポリエーテルでは、末端基は、分岐鎖または直鎖のパーフルオロアルキルラジカル末端基であることができる。かかるパーフルオロポリエーテルの例は、C
r’F
(2r’+1)−A−C
r’F
(2r’+1)の式(式中、各r’は独立して3〜6であり;Aは、O−(CF(CF
3)CF
2−O)
w’、O−(CF
2−O)
x’(CF
2CF
2−O)
y’、O−(C
2F
4−O)
w’、O−(C
2F
4−O)
x’(C
3F
6−O)
y’、O−(CF(CF
3)CF
2−O)
x’(CF
2−O)
y’、O−(CF
2CF
2CF
2−O)
w’、O−(CF(CF
3)CF
2−O)
x’(CF
2CF
2−O)
y’−(CF
2−O)
z’、またはそれらの2つ以上の組み合わせであることができ;好ましくはAは、O−(CF(CF
3)CF
2−O)
w’、O−(C
2F
4−O)
w’、O−(C
2F
4−O)
x’(C
3F
6−O)
y’、O−(CF
2CF
2CF
2−O)
w’、またはそれらの2つ以上の組み合わせであり;w’は4〜100であり;x’およびy’はそれぞれ独立して1〜100である)を有することができる。具体的な例には、F(CF(CF
3)−CF
2−O)
9−CF
2CF
3、F(CF(CF
3)−CF
2−O)
9−CF(CF
3)
2、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。かかるPFPEでは、ハロゲン原子の30%以下が、例えば、塩素原子などの、フッ素以外のハロゲンであることができる。
【0105】
他の実施形態では、パーフルオロポリエーテルの2つの末端基は独立して、同じまたは異なる基で官能化されていてもよい。官能化PFPEは、パーフルオロポリエーテルの2つの末端基の少なくとも1つが、そのハロゲン原子の少なくとも1つがエステル、ヒドロキシル、アミン、アミド、シアノ、カルボン酸、スルホン酸またはそれらの組み合わせから選択される基で置換されたPFPEである。
【0106】
幾つかの実施形態では、代表的なエステル末端基には、−COOCH
3、−COOCH
2CH
3、−CF
2COOCH
3、−CF
2COOCH
2CH
3、−CF
2CF
2COOCH
3、−CF
2CF
2COOCH
2CH
3、−CF
2CH
2COOCH
3、−CF
2CF
2CH
2COOCH
3、−CF
2CH
2CH
2COOCH
3、−CF
2CF
2CH
2CH
2COOCH
3が含まれる。
【0107】
幾つかの実施形態では、代表的なヒドロキシル末端基には、−CF
2OH、−CF
2CF
2OH、−CF
2CH
2OH、−CF
2CF
2CH
2OH、−CF
2CH
2CH
2OH、−CF
2CF
2CH
2CH
2OHが含まれる。
【0108】
幾つかの実施形態では、代表的なアミン末端基には、−CF
2NR
1R
2、−CF
2CF
2NR
1R
2、−CF
2CH
2NR
1R
2、−CF
2CF
2CH
2NR
1R
2、−CF
2CH
2CH
2NR
1R
2、−CF
2CF
2CH
2CH
2NR
1R
2が含まれ、式中、R
1およびR
2は独立して、H、CH
3、またはCH
2CH
3である。
【0109】
幾つかの実施形態では、代表的なアミド末端基には、−CF
2C(O)NR
1R
2、−CF
2CF
2C(O)NR
1R
2、−CF
2CH
2C(O)NR
1R
2、−CF
2CF
2CH
2C(O)NR
1R
2、−CF
2CH
2CH
2C(O)NR
1R
2、−CF
2CF
2CH
2CH
2C(O)NR
1R
2が含まれ、式中、R
1およびR
2は独立して、H、CH
3、またはCH
2CH
3である。
【0110】
幾つかの実施形態では、代表的なシアノ末端基には、−CF
2CN、−CF
2CF
2CN、−CF
2CH
2CN、−CF
2CF
2CH
2CN、−CF
2CH
2CH
2CN、−CF
2CF
2CH
2CH
2CNが含まれる。
【0111】
幾つかの実施形態では、代表的なカルボン酸末端基には、−CF
2COOH、−CF
2CF
2COOH、−CF
2CH
2COOH、−CF
2CF
2CH
2COOH、−CF
2CH
2CH
2COOH、−CF
2CF
2CH
2CH
2COOHが含まれる。
【0112】
幾つかの実施形態では、スルホン酸末端基は、−S(O)(O)OR
3、−S(O)(O)R
4、−CF
2OS(O)(O)OR
3、−CF
2CF
2OS(O)(O)OR
3、−CF
2CH
2OS(O)(O)OR
3、−CF
2CF
2CH
2OS(O)(O)OR
3、−CF
2CH
2CH
2OS(O)(O)OR
3、−CF
2CF
2CH
2CH
2OS(O)(O)OR
3、−CF
2S(O)(O)OR
3、−CF
2CF
2S(O)(O)OR
3、−CF
2CH
2S(O)(O)OR
3、−CF
2CF
2CH
2S(O)(O)OR
3、−CF
2CH
2CH
2S(O)(O)OR
3、−CF
2CF
2CH
2CH
2S(O)(O)OR
3、−CF
2OS(O)(O)R
4、−CF
2CF
2OS(O)(O)R
4、−CF
2CH
2OS(O)(O)R
4、−CF
2CF
2CH
2OS(O)(O)R
4、−CF
2CH
2CH
2OS(O)(O)R
4、−CF
2CF
2CH
2CH
2OS(O)(O)R
4からなる群から選択され、式中、R
3は、H、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CF
3、CF
3、またはCF
2CF
3であり、R
4は、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CF
3、CF
3、またはCF
2CF
3である。
【0113】
幾つかの実施形態では、本開示の組成物は、ブチル化トリフェニルホスフェート(BTPP)、または他のアルキル化トリアリールホスフェートエステル、例えばAkzo ChemicalsからのSyn−0−Ad(登録商標)8478、トリクレジルホスフェートおよび関連化合物などの、EP(極圧)潤滑性添加剤のトリアリールホスフェート系統のメンバーである添加剤を含む。さらに、Lubrizol 1375およびこの系統の化学薬品の他のメンバーを含む、金属ジアルキルジチオホスフェート、例えば、亜鉛ジアルキルジチオホスフェート(またはZDDP)が本開示の組成物の組成物に使用される。他の摩耗防止添加剤には、商業的に入手可能なSynergol TMS(International Lubricants)などの、天然産物油および非対称ポリヒドロキシル潤滑添加剤が含まれる。
【0114】
幾つかの実施形態では、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、および水捕捉剤ならびにそれらの混合物などの安定剤が含められる。このカテゴリーのかかる添加剤には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エポキシド、およびそれらの混合物が含まれ得るが、それらに限定されない。腐食防止剤には、ドデシルコハク酸(DDSA)、アミンホスフェート(AP)、オレオイルサルコシン、イミダゾン誘導体および置換スルホネートが含まれる。
【0115】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、所望量の個々の成分を組み合わせるための任意の便利な方法によって調製されてもよい。好ましい方法は、所望の成分量を秤量し、その後、成分を適切な容器で組み合わせることである。撹拌が必要ならば用いられてもよい。
【0116】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、(i)冷媒組成物のある容量の1つ以上の成分を少なくとも1つの冷媒容器から回収する工程と、(ii)回収成分の前記1つ以上の再使用を可能にするのに十分なほどに不純物を除去する工程と、(iii)任意選択的に、前記回収容量の成分の全てまたは一部を少なくとも1つの追加の冷媒組成物または成分と組み合わせる工程とを含む方法によって調製されてもよい。
【0117】
冷媒容器は、冷凍装置、エアコン装置またはヒートポンプ装置で使用された冷媒ブレンド組成物が貯蔵される任意の容器であってもよい。前記冷媒容器は、冷媒ブレンドが使用された冷凍装置、エアコン装置またはヒートポンプ装置であってもよい。さらに、冷媒容器は、加圧ガスシリンダーを含むがそれらに限定されない、回収冷媒ブレンド成分を集めるための貯蔵容器であってもよい。
【0118】
残存冷媒は、冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分を移すために知られる任意の方法によって冷媒容器から取り出されてもよい任意の量の冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分を意味する。
【0119】
不純物は、冷凍装置、エアコン装置またはヒートポンプ装置でのその使用のために冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分中にある任意の成分であってもよい。かかる不純物には、本明細書で前に記載されたものである、冷凍潤滑油と、冷凍装置、エアコン装置またはヒートポンプ装置から出てきたかもしれない、金属、金属塩またはエラストマー粒子を含むがそれらに限定されない微粒子と、冷媒ブレンド組成物の性能に悪影響を及ぼすかもしれない任意の他の汚染物質とが含まれるがそれらに限定されない。
【0120】
かかる不純物は、冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分が使用されるであろう機器の性能に悪影響を及ぼすことなく冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分の再使用を可能にするために十分に除去することができる。
【0121】
所与の製品に対して要求される規格を満たす組成物を生成するために、追加の冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分を残存冷媒ブレンドまたは冷媒ブレンド成分に提供することが必要であるかもしれない。例えば、冷媒ブレンドがある特定の重量百分率範囲で3成分を有する場合、組成物を規格限界内に復元するために所与の量で成分の1つ以上を加えることが必要であるかもしれない。
【0122】
本発明の組成物は、ゼロのオゾン層破壊係数および低い地球温暖化係数(GWP)を有する。さらに、本発明の組成物は、現在使用中の多くのハイドロフルオロカーボン冷媒より少ない地球温暖化係数を有するであろう。本発明の一態様は、1000未満、500未満、150未満、100未満、または50未満の地球温暖化係数の冷媒を提供することである。
【0123】
使用方法
本明細書に開示される組成物は、R134a(またはHFC−134a、1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、R22(またはHCFC−22、クロロジフルオロメタン)、R12(CFC−12、ジクロロジフルオロメタン);R407C(52重量パーセントのR134a、25重量パーセントのR125(ペンタフルオロエタン)、および23重量パーセントのR32(ジフルオロメタン)のブレンドに対するASHRAE呼称);R410A(50重量パーセントのR125および50重量パーセントのR32のブレンドに対するASHRAE呼称);R417A(46.6 重量パーセントのR125、
50.0重量パーセントのR134a、および3.4重量パーセントのn−ブタンのブレンドに対するASHRAE呼称);R419A(R125、R134aおよびDMEを含有するブレンドに対するASHRAE呼称);R422A、R422B、R422CおよびR422D(異なる成分濃度でのR125、R134a、イソブタンのブレンドに対するASHRAE呼称);R404A(44重量パーセントのR125、52重量パーセントのR143a(1,1,1−トリフルオロエタン)、および4.0重量パーセントのR134aのブレンドに対するASHRAE呼称);R413A(R218、R134a、およびイソブタンを含有するブレンドに対するASHRAE呼称);R423A(52.5重量パーセントのR134aおよび47.5重量パーセントのR227ea(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)を含有するブレンドに対するASHRAE呼称);R424A(R125、R134a、イソブタン、n−ブタン、およびイソペンタンを含有するブレンドに対するASHRAE呼称);R426A(R125、R134a、n−ブタン、およびイソペンタンを含有するブレンドに対するASHRAE呼称);R428A(R125、R143a、プロパンおよびイソブタンを含有するブレンドに対するASHRAE呼称);R430A(R152aおよびイソブタンを含有するブレンドに対するASHRAE呼称);R434A(約63.2重量パーセントのR125、約16重量パーセントのR134a、約18重量パーセントのR143a、および約2.8重量パーセントのイソブタンを含有するブレンドに対するASHRAE呼称);R437A(約19.5重量パーセントのR125、約78.5重量パーセントのR134a、約1.4重量パーセントのn−ブタン、および約0.6重量パーセントのn−ペンタンを含有するブレンドに対するASHRAE呼称);R438A(約8.5重量パーセントのR32、約45重量パーセントのR125、約44.2重量パーセントのR134a、約1.7重量パーセントのn−ブタン、および約0.6重量パーセントのイソペンタンを含有するブレンドに対するASHRAE呼称);ならびにR507A(50重量パーセントのR125および50重量パーセントのR143aのブレンドに対するASHRAE呼称)を含むがそれらに限定されない、現在使用されている冷媒の低地球温暖化係数(GWP)代替品として有用であるかもしれない。さらに、本明細書に開示される組成物は、R12(CFC−12、ジクロロジフルオロメタン)またはR502(51.2重量パーセントのCFC−115(クロロペンタフルオロエタン)および48.8重量パーセントのHCFC−22のブレンドに対するASHRAE呼称)の代替品として有用であるかもしれな
い。
【0124】
多くの場合代替冷媒は、異なる冷媒向けに設計された元の冷凍機器で使用できる場合に最も有用である。特に、本明細書に開示されるような組成物は、元の機器でとりわけ、R12、R134a、R407C、R417A、およびR422Dの代替品として有用であるかもしれない。さらに、本明細書に開示されるような組成物は、とりわけ、R410A、R507、R404A、502、およびR422Aの代替品としてこれらの冷媒向けに設計された機器で有用であるかもしれない。さらに、本明細書に開示されるような組成物は、これらの新規組成物向けに特に改造されたまたは完全に製造された機器で上述の冷媒のいずれを置き換えるために有用であるかもしれない。
【0125】
多くの用途で、本開示の組成物の幾つかの実施形態が冷媒として有用であり、代替が追求されつつある冷媒に少なくとも匹敵する冷却性能(冷却能力およびエネルギー効率を意味する)を提供する。
【0126】
幾つかの実施形態では、上に開示された組成物の使用は、加熱されるべき本体の近くで本明細書に開示されるような組成物を凝縮させる工程と、その後、前記組成物を蒸発させる工程とを含む熱を産生する方法で伝熱組成物として本組成物を使用することを含む。
【0127】
本明細書に開示されるような組成物を凝縮させる工程と、その後、冷却されるべき本体の近くで前記組成物を蒸発させる工程とを含む冷却を行う方法での伝熱組成物としての上に開示された組成物の使用もまた本明細書に開示される。
【0128】
幾つかの実施形態では、上に開示された組成物の使用は、組成物が先ず冷却され、圧力下に貯蔵され、より暖かい環境に曝されたときに、組成物が周囲熱の幾らかを吸収し、膨張し、そしてより暖かい環境がこうして冷却される、冷却を行う方法で伝熱組成物として本組成物を使用することを含む。
【0129】
別の実施形態では、置き換えられるべき冷媒および潤滑油を含有する伝熱システムに再装入する方法であって、潤滑油のかなりの部分を前記システムに保持しながら置き換えられるべき冷媒を伝熱システムから除去する工程と、本明細書に開示される組成物の1つを伝熱システムに導入する工程とを含む方法が提供される。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物を含む熱交換システムであって、エアコン、フリーザー、冷蔵庫、ヒートポンプ、水冷却装置、フラデッドエバポレーター冷却装置、直接膨張冷却装置、ウォーク−イン・クーラー、ヒートポンプ、移動式冷蔵庫、移動式エアコン装置、およびそれらの組み合わせを有するシステムからなる群から選択されるシステムが提供される。さらに、本明細書に開示されるような組成物は、二次ループシステムで有用であるかもしれず、ここで、これらの組成物は一次冷媒として役立ち、それによって遠く離れた場所を冷却する二次伝熱流体に冷却をこうして提供する。
【0130】
別の実施形態では、冷凍、エアコン、またはヒートポンプ装置での高GWP冷媒を置き換える方法であって、前記高GWP冷媒がR134a、R22、R12、R404A、R410A、R407C、R413A、R417A、R422A、R422B、R422CおよびR422D、R423A、R507A、R502、ならびにR437Aからなる群から選択され、前記方法が、前記高GWP冷媒を使用する、使用したまたは使用するよう設計されている前記冷凍、エアコン、またはヒートポンプ装置に本明細書に開示されるような組成物を提供する工程を含み、前記組成物が
HFO−1234yfおよびシクロプロパン;
HFO−1234yfおよびプロピレン;
HFO−1234yf、HFC−152a、およびシクロプロパン;
HFO−1234yf、HFC−152a、およびプロパン;ならびに
HFO−1234yf、HFC−134a、およびシクロプロパン
からなる群から選択される方法が提供される。
【0131】
別の実施形態では、高GWP冷媒を置き換える方法は、前記高GWP冷媒を使用する、使用したまたは使用するように設計されている前記冷凍、エアコン、またはヒートポンプ装置に、
HFO−1234yfおよびシクロプロパン;
HFO−1234yfおよびプロピレン;
HFO−1234yf、HFC−152a、およびシクロプロパン;
HFO−1234yf、HFC−152a、およびプロパン;ならびに
HFO−1234yf、HFC−134a、およびシクロプロパン
からなる群から選択される組成物を提供する工程をさらに含んでもよい。
【0132】
蒸気−圧縮冷凍、エアコン、またはヒートポンプシステムには、エバポレーター、圧縮機、凝縮器、および膨張デバイスが含まれる。蒸気−圧縮サイクルは、一工程で冷却効果、そして異なる工程で加熱効果をもたらす多段工程で冷媒を再使用する。サイクルは次の通り簡単に説明することができる。液体冷媒は膨張デバイスを通ってエバポレーターに入り、液体冷媒は、環境から熱を取り去ることによって、エバポレーターにおいて低温で沸騰してガスを形成し、冷却を行う。低圧ガスは圧縮機に入り、そこでガスは圧縮されてその圧力および温度を上げる。より高い圧力の(圧縮された)ガス状冷媒は次に凝縮器に入り、そこで冷媒は凝縮し、その熱を周囲に吐出する。冷媒は膨張デバイスに戻り、それによって液体は凝縮器におけるより高い圧力レベルからエバポレーターにおける低い圧力レベルに膨張し、このようにサイクルを繰り返す。
【0133】
一実施形態では、本明細書に開示されるような組成物を含有する伝熱システムが提供される。別の実施形態では、本明細書に開示されるような組成物を含有する冷凍、エアコンまたはヒートポンプ装置が開示される。別の実施形態では、本明細書に開示されるような組成物を含有する固定冷凍またはエアコン装置が開示される。さらに別の実施形態では、本明細書に開示されるような組成物を含有する移動式冷凍またはエアコン装置が開示される。
【0134】
別の実施形態では、冷却されるべき本体の近くで本開示の組成物のいずれかを蒸発させる工程と、その後、前記組成物を凝縮させる工程とを含む冷却を行うための方法が提供される。
【0135】
別の実施形態では、加熱されるべき本体の近くで本明細書に開示されるような組成物のいずれかを凝縮させる工程と、その後、前記組成物を蒸発させる工程とを含む熱を産生するための方法が提供される。
【0136】
別の実施形態では、伝熱流体組成物としての本発明の組成物の使用方法が開示される。本方法は、前記組成物を熱源からヒートシンクに運ぶ工程を含む。
【0137】
別の実施形態では、本発明は、発泡体の製造で使用するための本明細書に記載されるような本発明のフルオロオレフィン含有組成物を含む発泡体膨張剤組成物に関する。他の実施形態では、本発明は、発泡性組成物、好ましくはポリウレタンおよびポリイソシアネート発泡体組成物、ならびに発泡体の製造方法を提供する。かかる発泡体の実施形態では、本フルオロオレフィン含有組成物の1つ以上が発泡性組成物中の発泡体膨張剤として含められ、その組成物は、適切な条件下に反応し、発泡して発泡体または気泡構造を形成することができる1つ以上の追加の成分を好ましくは含む。
【0138】
本発明はさらに、(a)本発明のフルオロオレフィン含有組成物を発泡性組成物に加える工程と;(b)発泡体を形成するために有効な条件下に発泡性組成物を反応させる工程とを含む発泡体の形成方法に関する。
【0139】
本発明の別の実施形態は、スプレー可能な組成物における噴射剤としての使用のための本明細書に記載されるようなフルオロオレフィン含有組成物の使用に関する。さらに、本発明は、本明細書に記載されるようなフルオロオレフィン含有組成物を含むスプレー可能な組成物に関する。不活性成分、溶剤および他の材料と一緒にスプレーされるべき活性成分がまた、スプレー可能な組成物中に存在してもよい。好ましくは、スプレー可能な組成物はエアゾールである。スプレーされるべき好適な活性材料には、限定なしに、脱臭剤、香料、ヘアスプレー、クリーナー、および研磨剤などの化粧品原料ならびに抗喘息および口臭防止薬剤などの医用素材が含まれる。
【0140】
本発明はさらに、本明細書に記載されるようなフルオロオレフィン含有組成物であって、噴射剤として機能する組成物をエアゾール容器中で活性成分に加える工程を含むエアゾール製品の製造方法に関する。
【実施例】
【0141】
本明細書に開示される概念は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定しない、以下の実施例でさらに説明される。
【0142】
実施例1
蒸気漏洩の影響
示される温度で容器に初期組成物を装入し、組成物の初期蒸気圧を測定する。温度を一定に保ちながら、組成物を、初期組成物の50重量パーセントが除去されるまで、容器から漏洩させ、その時点で容器に残っている組成物の蒸気圧を測定する。推定値を表3に示す。
【0143】
【表3】
【0144】
【表4】
【0145】
【表5】
【0146】
【表6】
【0147】
表3は、元の組成物と、50重量パーセントが除去された後に残る組成物との間の蒸気圧の差が約10パーセント未満である組成物としてどの組成物が近共沸であるかを示す。
【0148】
実施例2
サイクル性能
表4は、HFC−134a、HCFC−22、R407C、およびHFO−1234yfと比べて本明細書に開示されるような様々な冷媒組成物の冷却性能を示す。この表で、Evap Presはエバポレーター圧力であり、Cond Presは凝縮器圧力であり、Comp Exit Tは圧縮機出口温度であり、COPは性能係数(エネルギー効率に類似の)であり、Capは冷却能力である。データは次の条件に基づいている:
凝縮器温度 54℃
エバポレーター温度 4℃
サブクール温度 4℃
リターンガス温度 18℃
圧縮機効率 70%
【0149】
【表7】
【0150】
【表8】
【0151】
上にリストされたようなブレンドは全て純HFO−1234yfより高い冷却能力を有することが指摘されるべきである。さらに、ほとんどのブレンドは、R407C(現在のところ使用される許容された冷媒ブレンド)より少ないグライドを有する。最後に、様々
なブレンドが、表4に示されるようにHFC−134a、HCFC−22、またはR407Cの潜在的な代替品であることを理解することができる。
【0152】
実施例3
地球温暖化係数
ある種の開示組成物についての地球温暖化係数(GWP)についての値を表5に示す。純成分についてのGWPを参考のためにリストする。HFCおよび炭化水素についての値は、「Climate Change 2007−IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Chang(気候変動に関する政府間パネル))Fourth Assessment Report on Climate
Change(気候変動に関する第4次評価報告)」、「Working Group
1 Report:The Physical Science Basis(作業グループ1報告:物理科学的基礎)」という表題のセクション、Chapter 2,pp.212−215、表2.14および2.15から取られたものである。HFO−1234yfおよびHFO−1234zeについての値は、Papadimitriou et
al.,Physical Chemistry Chemical Physics,2007,vol.9,pp.1−13に発表された。本明細書で参照される表にリストされる値は全くないので、シクロプロパンについてはGWP=3(
*)の推定値を用いる。特に100年対象期間を使用する。2つ以上の成分を含有する組成物についてのGWP値は、個々の成分のGWP値の加重平均として計算する。
【0153】
【表9】
【0154】
【表10】
【0155】
上にリストされた本明細書に開示されるような組成物についてのGWP値は、現在使用されている冷媒ブレンド、R404A、R407C、R410A、および上の表にリスト
されるような他のものだけでなくHFC−134aおよびHCFC−22についてのものより低い。