(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
最近、環境破壊による地球温暖化と原油高などの問題で自動車業界では電気自動車の開発を急速に進めている。
【0003】
現在、全世界のメジャー級自動車メーカは主な開発車両として電気自動車を製作するために研究開発を行っている。
【0004】
電気自動車は排気ガスが全くなく、騒音が非常に小さい長所がある。電気自動車は1873年にガソリン自動車より先に製作されたが、蓄電器の重い重量、充電にかかる時間などの問題のため実用化されず、最近公害問題が深刻になるにつれ更に開発されている。しかし、再充電可能な蓄電池の使用回収の制限によって蓄電池自体のみでは長距離走行を確保できない問題点がある。よって、現在市場では化石燃料と蓄電池のように2つの動力源を使用するハイブリッド(Hybrid)自動車が北米地域を中心に活発に販売され使用されている。日本のトヨタ自動車(登録商標)のプリウス(登録商標)は代表的なハイブリッド自動車の一種である。プリウス(登録商標)はガソリンを使用するエンジンと車両のブレーキングの際に回収される運動エネルギーを電気エネルギーとして使用可能なオルタネータ(Alternator)及びモータ(Motor)を有する。
【0005】
一方、電気自動車の場合、再充電可能な蓄電池(即ち、二次電池の性能改善)と従来の電池特性とは異なる特性を有する燃料電池などを使用する方案が設けられている。それによって、電気自動車内部の蓄電池の充電と頻繁な交換周期による従来の問題点が次第に解決されつつある。
【0006】
一般道路走行用電気自動車ではなく一部の小型電気自動車の場合には既に商用化されて活発に使用されている。例えば、ゴルフ場のゴルフカート、競技場の選手及び装備移動用車両、室内運転車両、室内掃除車両などに活発に使用されており、まもなく一般商用及び乗用車にも電気自動車の普及が急速に行われると予測されている。
【0007】
電気自動車に具備される蓄電池は周期的に充電されるべきである。電気自動車用充電装置の場合には電力線を利用して電気を供給すると共にデータを伝達することができるため、近い将来に商用化が予想される電気自動車の利用に非常に役に立ち、ユーザが電力線を利用して車両に必要な各種マルチメディアデータを伝送することができる。
【0008】
従来提示された電気自動車用充電装置の場合、電力線通信(power line communication、以下「PCL」と称する)技術を利用して電力線を介して受信されるデータ信号をデータ処理装置に伝達する。
【0009】
電気自動車が普及されて商用化される場合、一般に商用電源アウトレット(Outlet)を利用して電気自動車に具備された蓄電池を充電する。例えば、現在の給油所と類似した電気充電所が登場し、人々は電気充電所に具備された商用電源アウトレットを利用して電気自動車の蓄電池を充電するのである。この際、商用電源アウトレットは家庭や電気自動車充電所、建物の駐車場などから提供される一般的な商用電源連結手段である。一般に、商用電源アウトレットが設置される場所は周辺の雑音又は機械的騒音によって車両の充電中にデータ通信が行われることに非常に不適合した環境である。例えば、充電所と洗車場が同じ空間に位置する場合、洗車場で車両を洗浄するために駆動されるモータの騒音又は振動は車両の充電中に効果的で信頼性のあるデータ通信を行うことに非常に不適合な環境である。よって、車両の充電中に電力線を利用して信頼性が高く効果的にデータ信号を伝送するためには高い負荷干渉と雑音、信号歪曲などを克服可能な通信技術が適用されるべきである。
【0010】
電気自動車(EV)と電気自動車充電器(EVSE)に通信標準として電力線通信方式のISO 15118標準が採択されており、特にCPLT(Control Pilot Line Transmission)に電力線通信を行う。EV製造会社とEVSE製造会社は標準に合う電力線通信モデムの開発を行っている。しかし、ISO 15118標準では電力線通信モデムのPHY,MAC,NWK,Applicationなどに技術を論議しており、電力線チャネルに関する要求条件はない状態である。それによってEVSE,EVの通信に影響を及ぼすチャネル特性は製造会社ごとに差があるため、電力線通信の信頼性が低下する原因になり得る。
【0011】
しかし、従来の電気自動車用充電装置に適用されたPLC技術の場合、電力線に潜在する雑音(Noise)、高い負荷干渉、信号歪曲などによって上述したような環境でデータを信頼性が高く効果的に伝送することが難しい。
【0012】
また、PLC技術の場合、電力線に潜在された雑音のため通信品質はもちろん伝送速度と距離制限を解決する核心チップの技術開発が容易ではなく、通信可能距離(例えば、5マイル)に関する制約が存在するため途中に高出力PLC増幅装置を設置すべきである。 そのため、インフラを構築するための初期コストが多くかかる短所があり、これは今後の技術開発課題の懸案となっている。
【0013】
上述した理由で、従来のPLC技術を利用した自動車充電装置はユーザが遠隔地で車両に信頼性が高く効果的にデータを伝達することが容易ではないだけでなく、上述した問題を解決するために多くのコストがかかる問題点がある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施例を図面と共に詳細に説明する。しかし、本発明の思想が提示される実施例に制限されるとは限らず、他の構成要素の追加、変更、削除などによって退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができる。
【0019】
本発明を説明するに当たって、関連する公知機能に関する具体的な説明が本明細書の要旨を不明確にする恐れがあると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。また、本明細書の説明過程で利用される数字(例えば、第1、第2など)は一つの構成要素を他の構成要素と区分するための識別記号に過ぎない。
【0020】
本発明で使用される用語はできるだけ現在広く使用されている一般的な用語を選択しているが、特定の場合には出願人が任意に選定した用語もあり、この場合には該当する発明を実施するための形態の部分にその意味を詳細に記載しているため、単純な用語の名称ではなく用語が有する意味として本発明を把握すべきであることを明らかにする。
【0021】
また、本明細書で一構成要素が他の構成要素と「連結される」か「接続される」などと言及される場合には、前記一構成要素が前記他の構成要素と直接連結されるか又は直接接続されることもあるが、特に反対の記載がない限りその中間に他の構成要素を媒介して連結されるか又は接続されることもあると理解すべきである。
【0022】
即ち、以下の説明において、単語「含む」は列挙したものとは異なる構成要素又はステップの存在を排除しない。
【0023】
以下、本発明の実施例を添付した図面を参照して詳細に説明する。本発明を説明するに当たって、全体的な理解を容易にするために図面符号に関係なく同じ手段に対しては同じ参照番号を使用している。
【0024】
図1は、本発明の電気自動車及び電気自動車用充電装置内に含まれた複数の電力線通信装置1,2及び2つの装置の間の電力線を示す回路図である。
【0025】
図1に示したように、電気自動車と電気自動車用充電装置は電力線で連結される。
【0026】
電気自動車と電気自動車用充電装置は電力線を介して通信する。
【0027】
電気自動車と電気自動車用充電装置が互いに通信するに当たって、規格プロトコールであるISO−15118の通信技術が常用される。
【0028】
ISO−15118とは電気自動車の通信標準あり、ISO−15118−3はMAC層とPHY層の電力線通信について定義している。
【0029】
電力線通信装置1は雑音測定部104、信号測定部102、信号減殺補正部101及び通信モデム103を含む。
【0030】
雑音測定部104は信号減殺補正部101と一つのモジュールで構成される。
【0031】
電気自動車内の電力線通信装置1は電気自動車用充電装置内の電力線通信装置2と同じく構成されており、同じ動作方法によって動作するため、以下では電気自動車内の電力線通信装置1の動作方法のみについて説明し、電気自動車用充電装置内の電力線通信装置2の動作方法は省略する。
【0032】
雑音測定部104は電力線内の雑音に関する情報である電力線雑音情報を生成する。
電力線雑音情報を生成する方法の例を以下に説明する。
【0033】
雑音測定部104は電力線を介して電気自動車用充電装置に第1電圧信号(例えば、振動数1Hz及び最大値5Vを有する正弦波信号)を印加する。第1電圧信号を印加した後、雑音測定部104は電力線を介して電気自動車用充電装置から印加される雑音を含む第2電圧信号を測定する。雑音測定部104は印加した第1電圧信号と測定した第2電圧信号を比較し、第1電圧信号から第2電圧信号に新たに追加された雑音信号のみを別に獲得する。
【0034】
即ち、雑音信号は、(第2電圧信号)−(第1電圧信号)=第3電圧信号と定義される。
【0035】
電力線雑音情報はこのように獲得した全ての雑音信号に対する周波数領域で各周波数別信号強度に関する情報をデシベル(DB)単位で含む。
【0036】
雑音測定部104は電力線雑音情報を生成した後、生成した電力線雑音情報をメモリ(図示せず)に記憶する。
【0037】
電気自動車通信モデム103は電気自動車用充電装置と電力線信号を交換する。
【0038】
電気自動車用充電装置の通信モデム203は電気自動車の信号測定部102に複数の第1電力線信号を出力し、複数の第1電力線信号が出力されると電気自動車の信号測定部102は出力された複数の第1電力線信号が電力線を介して伝送されながら減殺された信号である複数の第2電力線信号を受信する。
【0039】
電気自動車用充電装置の通信モデム203は複数の第1電力線信号を電気自動車の信号測定部102に出力すると共に電気自動車の通信モデム103に複数の第1電力線信号に関する情報を伝送する。
【0040】
複数の電力線の例として、同じ振幅を有して互いに異なる周波数を使用する電力線信号が挙げられる。
【0041】
複数の電力線信号に関する情報については詳細に後述する。
【0042】
電力線を介して出力されながら減殺された複数の第2電力線信号を受信(又は測定)した後、信号測定部102は受信(又は測定)された複数の第2電力線信号を信号減殺補正部101に伝達する。
【0043】
電気自動車内の通信モデム103は減殺されて電気自動車に受信される前に電気自動車用充電装置の通信モデム203から出力される複数の第1電力線信号に関する情報を前記電気自動車用充電装置から受信し、受信した複数の第1電力線信号情報を信号減殺補正部101に伝送する。
【0044】
第1電力線信号情報は電気自動車用充電装置の通信モデム203から出力されて減殺された状態で電気自動車に受信される前に電気自動車用充電装置の通信モデム203から出力される複数の第1電力線信号に対する周波数領域での各周波数の各信号強度に関する情報をデシベル単位で含む。
【0045】
一方、電気自動車の信号減殺補正部101は受信された複数の第2電力線信号に関する情報を生成し、前記第2電力線信号情報は電気自動車用充電装置の通信モデム203から出力されて減殺された状態で電気自動車に受信される複数の第2電力線信号に対する周波数領域での各周波数の各信号強度に関する情報をデシベル単位で含む。
【0046】
信号減殺補正部101は電気自動車内の通信モデム103から複数の第1電力線信号情報を受信し、電力線雑音情報、複数の第1電力線信号情報及び第2電力線信号情報に基づいて信号減殺情報を生成する。
【0047】
信号減殺情報を生成し、生成した信号減殺情報に基づいて通信交換を行うことで、電気自動車の電力線通信装置は電気自動車と電気自動車用充電装置間の通信交換において信頼性を確保し安全性を提供することができる。
【0048】
信号減殺情報とは、複数の第2電力線信号に対する複数の第1電力線信号の大きさの割合に関する情報である。
【0049】
即ち、信号減殺情報は電力線を介して受信される前の電気自動車用充電装置から出力された第1電力線信号対電力線を介して電気自動車に受信される第2電力線信号の比を周波数領域で示したグラフである。
【0050】
信号減殺情報は電力線の状態又は電力線のチャネル状態、特に電力線内の雑音に応じて変わる値である。
【0051】
信号減殺情報の一つの例が
図2に示されている。
【0052】
更に
図1を参照すると、信号減殺補正部101は信号減殺情報を生成して電気自動車内の通信モデム103に伝送する。
【0053】
信号減殺補正部101から信号減殺情報を伝送された後、電気自動車内の通信モデム103は信号減殺情報に基づいて電気自動車用充電装置内の通信モデム203と通信交換を行う。
【0054】
電気自動車に内の通信モデム103は信号減殺情報に基づいて通信交換をするに当たって、信号減殺情報に含まれた電力線信号の周波数別第1電力線信号対第2電力線信号の大きさの比を分析して通信交換おいてどの帯域の周波数を利用して通信交換をすることが有利であるのかを判断し、判断結果、通信交換に有利な周波数大域を利用して通信交換を行う。
【0055】
通信交換に関する動作方法の例としてISO−15118による通信方法があるが、それに限ることはない。
【0056】
信号減殺情報に基づくことで、通信モデム103は電力線内の雑音情報を考慮して通信交換を行うことができる。
【0057】
以下、
図3を参照して本発明の電力線通信方法について説明する。
【0058】
電気自動車と電気自動車用充電装置が電力線を介して連結されることを感知する(S301)。
【0059】
電気自動車と電気自動車用充電装置が電力線を介して連結されると、雑音測定部104は電力線内の雑音に関する情報である電力線雑音情報を生成し電力線雑音情報をメモリ(図示せず)に記憶する(S303)。
【0060】
雑音測定部104で電力線雑音情報を生成する方法は上述したようである。
【0061】
雑音情報をメモリに記憶した後、電気自動車用充電装置内の通信モデム203から電気自動車内の通信モデム103及び信号測定部102に電力線信号が伝送されると、信号測定部102は受信した電力線信号を信号減殺補正部101に伝達する(S305)。
【0062】
電力線信号が伝送されると信号減殺補正部101はメモリから電力線雑音情報を獲得し、電力線雑音情報と電力線信号に基づいて電力線に関する信号減殺情報を生成する(S307)。
【0063】
信号減殺補正部101は生成した信号減殺情報を通信モデム103に伝達する(S309)。
【0064】
通信モデム103は信号減殺情報を伝達され、信号減殺情報を反映して電気自動車用充電装置内の通信モデム203と通信交換を行う。
【0065】
以下、
図4を参照して電気自動車及び電気自動車用充電装置内に各電力線通信装置1,2が通信交換を行う方法について説明する。
【0066】
図4に示したように、電気自動車及び電気自動車用充電装置は電力線(CPLT line)及び接地部分(PE(GND))で接続されている。
【0067】
電気自動車用充電装置はオシレータ(Oscillator)を含む。オシレータは、例えば12ボルト(V)の大きさを有する交流電圧信号(又は電力線信号)を発生する。また、例えばオシレータは1kHzの周波数で交流電圧信号を発生するが、それについては限定しない。
【0068】
電気自動車用充電装置のオシレータの上端部にはR1抵抗(例えば、1kオーム)が接続される。R1抵抗はオシレータから出力される交流電圧信号を電力線が位置する方向に伝達する通路となる。
【0069】
R1抵抗の右側にはCsコンデンサ(例えば、200ピコファラッド(pF))が接続される。Csコンデンサは交流電圧信号を整流する動作を行う。
【0070】
Csコンデンサの上端及び下端部にはRM抵抗(例えば、10kオーム)とRM抵抗の下端部に接続されたCMコンデンサ(例えば、100ピコファラッド(pF))が直列に接続される。RM抵抗及びCMコンデンサの間には伝達される予め整流された交流電圧信号の状態又はその大きさを測定するための測定部が含まれるが、それについては限定しない。
【0071】
RM抵抗の上端部にはRdamp抵抗(例えば、220オーム)及びLインダクタ(例えば、220マイクロヘンリー)が並列に連結されるが、それについては限定しない。
【0072】
Rdamp抵抗及びLインダクタはオシレータから出力された交流電圧信号を電力線及び接地部分に伝達する。
【0073】
RM抵抗及びLインダクタの他端には電力線が接続される。
【0074】
電力線及び接地部分の電気自動車用充電装置端には電力線通信装置2及びPLCチップセット(PLC Chipset)部がそれぞれ並列に接続される。
【0075】
PLCチップセット部は2つのコンデンサ(例えば、2.7ナノファラッド(nF))、2つのコンデンサの間に直列に接続された変圧器及びPLCチップセットを含む。
【0076】
PLCチップセットが変圧器及び2つのコンデンサを介して電力線及び設置部を介して電気自動車側に第1電圧信号を伝送すると、電力線通信装置2は第1電圧信号及び第2電圧信号に対応して出力された第2電圧信号に基づいて電力線の雑音情報を生成する。
【0077】
電力線及び接地部分の電気自動車側端には電気自動車電力線通信装置1及びPLCチップセット部が接続される。
【0078】
電気自動車電力線通信装置1及びPLCチップセット部の動作は電気自動車用充電装置の電力線通信装置2及びPLCチップセット部の動作と同じであるため、以下では省略する。
【0079】
電気自動車の電力線通信装置1及びPLCチップセット部は並列に接続されている。
【0080】
電気自動車の電力線通信装置1及びPLCチップセット部の右側上端にはRdamp抵抗(例えば、220オーム)及びLインダクタ(例えば、200マイクロヘンリー)が並列に連結された部分が接続される。
【0081】
Rdamp抵抗及びLインダクタは電力線を介して伝達された第1電圧信号及びオシレータから伝達された交流電圧信号を伝達する通路の役割をするが、それについては限定しない。
【0082】
Rdamp抵抗及びLインダクタの右側端にはRM抵抗(例えば、10kオーム)及びCMコンデンサ(例えば、100ピコファラッド(pF))が接続され、電気自動車用充電装置から伝達された第1電圧信号及び交流電圧信号を整流する動作を行う。
【0083】
RM抵抗の上端部分及びCMコンデンサの下端部分にはCvコンデンサ(例えば、100ピコファラッド以下の容量値)が並列に接続されている。
【0084】
Cvコンデンサの上端部にはDダイオードが接続される。
【0085】
Dダイオードの他端にはR2抵抗(例えば、2.74kオーム)が接続される。
【0086】
R2抵抗の上端及び下端部にはS2スイッチ及びR3抵抗(例えば、1.3kオーム)が直列に接続されてR2と並列連結される。
【0087】
本発明の一実施例によると、上述した方法はプログラムが記録された媒体にプロセッサが読み込めるコードとして具現することができる。プロセッサが読み込める媒体の例としては、ROM,RAM,CD−ROM,磁気テープ、フロッピーディスク、光データ記憶装置などがあり、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを介した伝送)の形態に具現されることも含む。
【0088】
前記のように記載された実施例は説明した構成と方法が限定されて適用されるのではなく、実施例は多様な変形が行われるように各実施例の全部又は一部が選択的に組み合わせられて構成されてもよい。