(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6030734
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】ゴム紐の捩じりによる回転速度の調整装置
(51)【国際特許分類】
A63H 29/24 20060101AFI20161114BHJP
A63H 29/18 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
A63H29/24 B
A63H29/18
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-219249(P2015-219249)
(22)【出願日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年7月15日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516047061
【氏名又は名称】犬飼 八重子
(74)【代理人】
【識別番号】715009178
【氏名又は名称】犬飼 晴雄
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 晴雄
【審査官】
前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−185791(JP,A)
【文献】
特開2007−170368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム紐の捩じりによる出力回転体の回転速度を調整する装置であって、回転体の回転軸に固定した円形の外周面を有する調整用回転体と、前記調整用回転体の外周面に一端部が固定された、前記調整用回転体の幅以下で、前記調整用回転体の周長と同等の長さを有する帯と、からなることを特徴とする回転速度調整装置。
【請求項2】
前記帯の他端部に鉛等の重みが固定されていることを特徴とする請求項1記載の回転速度調整装置。
【請求項3】
前記調整用回転体が回転することによって外側に飛び出す前記帯の他端部が届く範囲内で、前記調整用回転体の下側に粗面を有する摩擦板を設置することを特徴とする請求項1又は2記載の回転速度調整装置。
【請求項4】
前記調整用回転体が回転することによって外側に飛び出す前記帯の他端部が届く範囲内で、前記調整用回転体の下方又は上方に前記帯の受け棒を設置することを特徴とする請求項1又は2記載の回転速度調整装置。
【請求項5】
前記調整用回転体の外周面より高い縁枠を両側に設け、外周面に一端部を固定した前記帯を内側にして、前記縁枠間に周方向に間隔をもって複数の帯長調整ピンを差し込み固定し、それらの中から選択した帯長調整ピンの間から帯の他端部を外側に伸ばして、前記調整用回転体からの帯の飛び出し長さを調整することを特徴とする請求項1,2、3又は4記載の回転速度調整装置。
【請求項6】
ゴム紐の一端部をゴム紐の捩じり用の回転ハンドルのフックに設け、他端部を出力回転体に直接又は回転伝達機構を介して接続し、さらに前記出力回転体に直接又は回転伝達機構を介して前記調整用回転体を固定することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の回転速度調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムの捩じりによって回転する出力回転体を減速し、玩具に設けられている観覧車等の出力回転体の回転速度を必要な範囲に調整する調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴム紐の捩じりを動力源とする玩具の出力回転体の回転速度は、捩じりの強いスタート時には速く、捩じりが弱くなるにつれて遅くなるという特徴がある。模型飛行機はスタート時、プロペラが速く回転し舞い上がり、空中飛行し、着陸時には回転速度をほとんど必要としない。ゴム紐の捩じり動力の特徴をうまく利用している玩具の例であるが、これに対し、最初からゆっくりとした一定の速度が望ましい玩具、例えば観覧車等の玩具も多くある。
【0003】
このような玩具への対応として、小径から大径のプ−リ、又は歯車に回転を伝達させる減速機構により回転体の回転速度を抑える方法がある。しかし、上記減速機構を採用した場合、ゴム紐の捩じりの消費量が大きく、捩じることができる数に限界があるゴム紐の場合、回転体の回転数が少なくなり作動時間が短くなるという問題があった。
【0004】
又、他にも回転制御方法として、回転速度が等速であることを前提として、断続的に停止させ減速させる方法があるが、スムーズな回転が得られず、等速回転でないゴム紐の捩じりによる回転体には不適当であり、その上実施には厳しい精密性が要求されることが多く、限定された玩具以外には適用することが難しいという問題があった。又、特許文献1に示されるように、粘性グリースで回転を制御する方法もあるが、その制御機構は簡単ではなく、限定された玩具以外には、手軽に適用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−185791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ゴム紐の捩じりを動力源とする玩具の回転に関し、従来、回転速度を調整することが困難であるという技術問題を解決し、玩具に望まれる回転速度を簡単かつ安価に実現することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための方法・手段について
図1〜
図7を示して以下説明する。
図1の概念図において、第1軸受材2aに回転可能に支持されたゴム紐捩じり用回転ハンドル1のフックに、ゴム紐4の一端部を掛け、第2軸受材2bと第3軸受材2cで支持された回転体3のフックにゴム紐4の他端部を掛け、第3軸受材2cとの摩擦の減少を図って軸方向の移動を阻止するため回転体3の軸が球座5に挿入され、この球座を押さえる受け部材5aが軸に固定されている。回転体3を止めておき、回転ハンドル1を回し、ゴム紐4を所定数まで捩じってから、回転体3の止めを外した場合、回転体3は速い速度で回転する。
【0008】
前記回転体3の回転速度を遅くする方法として、回転体3の直径より小さい新たなプ−リを回転体3とゴム紐4の間に設け、回転体3とプ−リとをベルトで接続することによって、前記新たに設けたプ−リの介在により回転体3の回転速度を落とすことができる。上述の大小のプ−リによる減速方法は、ゴム紐の捩じりの消費が大きいので、ゴム紐を動力とする玩具では使用し難い。上述の減速方法に対し、本発明は前記回転体3の回転を直接減速させるものである。
【0009】
前記回転体3の軸に速度調整を目的とする調整用回転体6の中心を固定する。この調整用回転体6の外周面には、調整用回転体6の回転に伴い、重力や遠心力によって調整用回転体6から他端部が外側に飛び出す帯7の一端部が固定されている。
【0010】
前記帯7の飛び出し長さは、
図2に示すように、調整用回転体6の縁枠間に周方向に間隔を持って差し込み固定されている帯長調整ピン9の中から選択された帯長調整ピン9の間から、帯7の他端部を外側に出すことにより調整される。飛び出し長さは、帯7を固定している一端部に近い帯長調整ピン9の間から出すと長くなり、遠くから出すと短くなる。帯7の飛び出し長さが長いほど調整用回転体6の回転は強く拘束される。加えて、帯7の他端部に重み8付けると拘束はさらに強くなる。
【0011】
前記調整用回転体6の前記帯7を
図2に示す下記の物理的拘束によって更に大幅に回転を拘束することができる。
1.調整用回転体6の下側に摩擦板10を設置する。
2.調整用回転体6の下方に帯7の下方受け棒11を設置する。
3.調整用回転体6の上方に帯7の上方受け棒12を設置する。
【0012】
回転体3の回転軸に調整用回転体6を固定したうえで、上記1,2又は3の設置を組み合わせることにより要求される回転速度を実現することができる。
【0013】
図3a〜
図3dは、前記帯7の挙動を、前記調整用回転体6の回転が遅い場合について説明したものである。
図3aでは帯7は重力により下方に垂れ下がっており、調整用回転体6が時計方向に回転する時これを引き上げて回転しなければならず、回転速度は拘束され遅くなる。ゴム紐の捩じりが強く調整用回転体6の回転が速い場合には、帯7には重力に加え遠心力が作用し帯7は外側に放たれるが、弱い場合は
図3b〜
図3dに示すように、調整用回転体6に巻きつくような動きをする。
【0014】
図4aは調整用回転体6の回転速度が遅い場合の前記帯7の軌跡である。
図4bは回転速度が速い場合の帯7の軌跡である。
図4bの軌跡面積は
図4aより大きく、
図4bの回転拘束が大きいことを示している。即ちゴムの捩じりが強く回転が速い時は回転を強く拘束し減速率は大きくなる。捩じりが弱くなり回転が遅くなるにつれ回転をあまり拘束しなくなり減速率は小さくなる。即ち帯7はゴム紐の捩じりが強い時は初期時の回転を遅くし、回転を一定の速度にする効果をもたらす。帯7の他端部に重り8を付けることにより、帯7に働く重力や遠心力が大きくなり、捩じりが強い時の回転がより強く拘束され、回転速度がより遅くなる。
【0015】
前記調整用回転体6の下に前記摩擦板10を設置した場合、ゴム紐の捩じりが弱い時は前記帯7の先端は摩擦板10の近くに接地し、摩擦板10と帯7の接触長さは短い。反対に、強い時は摩擦板10の遠くに接地し、摩擦板10と帯7の接触長さは長くなる。
図5aは捩じりが弱い場合、
図5bは捩じりが強い場合の帯7の軌跡を示したものである。捩じりが強い時の回転拘束力は大きく、弱い時は小さいから、上述
図4a、
図4bと基本的に同様な効果を発揮するが、回転速度はより遅くなる。
【0016】
図6は、前記調整用回転体6の下方に前記下方受け棒11を設置し、捩じりが弱い場合をa、強い場合をbで表示して、下方受け棒11に懸かる前記帯7の状況を示したものであり、弱い時は帯7の懸かりは少なく、強い時は掛かりが多いことを示している。上述
図4a、
図4bと同様な効果をもたらすが、回転速度はより遅くなる。
【0017】
図7は、前記調整用回転体6の上方に前記上方受け棒12を設置し、捩じりが弱い場合をa,強い場合をbで表示して、上方受け棒12に懸かる前記帯7の動きで、前記下方受け棒11の場合と類似な性状を示しているが、捩じりが強い時の受け棒に懸かる帯7による拘束は下方受け棒11より強く、回転速度はより遅くなる。上方に受け棒を設けた場合、上方受け棒12に当たって折れ曲がった帯7の外端側は重力によって下側に落ち、したがって帯7の外端側は
受け棒によって折り重なるように曲がり強い摩擦抵抗を示す。
【0018】
前記調整用回転体6の回転を拘束する上述の各種方法と、前記帯7の飛び出し長さの長短を組み合わせることにより、玩具の前記回転体3を望ましい回転速度にすることができる。調整用回転体6は回転体3の軸に直接、又は回転体の軸に回転伝達装置を介して連結されている。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、ゴムの捩じりを動力源とする回転体を回転させる玩具において、回転速度の調整が困難という従来の大きな問題を、本発明の調整用回転体6を用いた回転速度調整装置により解決できる。仕組みが簡単でかつ安価であることが玩具の動力源としてゴムが選択される大きな理由であるが、本発明はこの条件を満たしている。
【0020】
以上のように技術上、経済上の問題を解決している本発明により、従来は不可能ないしは困難と考えられていたような玩具を可能にし、さらに新たな玩具の実現も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】調整用回転体の帯長調整ピン、摩擦板及び上方、下方受け棒の概念図
【
図4】調整用回転体の回転速度が遅い場合と速い場合の帯の軌跡
【
図5】調整用回転体の下側に摩擦板を設置した場合の回転速度が遅い場合と速い場合の帯の軌跡
【
図6】調整用回転体の下方に下方受け棒を設置した時の帯の挙動
【
図7】調整用回転体の上方に上方受け棒を設置した時の帯の挙動
【
図11】回転ハンドルが時計方向又は反時計方向に回転するときの説明図
【
図12】観覧車玩具の調整用回転体からの帯の飛び出しを示す断面と正面の説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。観覧車の玩具について、観覧車の玩具の平面を
図8で、正面を
図9で示し、観覧車と回転体部分の側面を
図10で示している。
【0023】
実際の観覧車の回転は非常にゆっくりしており、玩具でもイメージ的にゆっくりとした回転にする必要がある。ゴム紐の捩じり自体による回転は極めて速く、観覧車の回転速度としては速すぎるから、小径のプ−リから大径のプ−リに回転を伝達させる減速機構で減速する方法が必要となる。この減速機構では、観覧車1回の回転には非常に多くのゴム紐の捩じりが消費されるから、ゴム紐の捩じり回数をできるだけ多くすることが要求される。3列のゴム紐を設け、ゴムの捩じり回数を多くしこの問題を解決している。
【0024】
図8において、4隅角部の支持脚20bに支持された長方形の枠状の本体枠20aに、本体枠20aの前側に第1横軸受材21a,後側に第2横軸受材21bが固定され、本体枠20aの前側の枠部と上記第1横軸受材21aとにより、回転用ハンドル22aと第3プ−リ23cの軸が支持されている。上記回転用ハンドル22aはクランク状をなし、逆転を防止するため以下のような逆転防止具が付いている。
【0025】
逆転防止具とは以下のようなもので
図11に示す。一端部が本体枠20aの前側の枠部にヒンジ固定され、鉛の小片22dを付けた他端部が回転ハンドル22aのクランク部に接触出来る長さを有す逆転防止用細板22bと、この逆転防止用細板22bが下方に落ちないように本体枠20aの前側の枠部から突出固定された逆転防止突起22cとの構造から成っている。
【0026】
回転ハンドル22aはゴム紐を捩じる時計方向への回転は、
図11aに示すように、逆転防止用細板22bの持ち上げを繰り返しながら自由で、ゴム紐の捩じりを戻す反時計方向への回転は、
図11bに示すように、逆転防止用細板22bが逆転防止突起22cによって阻止されるため回転不可能になっている。
【0027】
前記第2横軸受材21bと前記本体枠20aの後側の枠部により第1プ−リ23aと第2プ−リ23bの軸が支持され、これらのプ−リより一段高い位置に第4プ−リ24aと第5プ−リ24bが有り、第4プ−リ24aの軸は、本体枠20aの前側の枠部に固定された第1縦軸受材26aと、前記第1横軸受材21aに固定された第2縦軸受材26bとにより、また第5プ−リ24bの軸は第2横軸受材21bに固定された第3縦軸受材26cと本体枠20aの後側の枠部に固定された第4縦軸受材26dにより支持されている。第1プ−リ23a、第2プ−リ23b、第3プ−リ23c、第4プ−リ24a及び第5プ−リ24bの軸には、本体枠20aの枠部側との摩擦の減少をはかるため、球座25が固定されている。
【0028】
前記回転ハンドル22aと前記第1プ−リ23aのフックには第1ゴム紐29aが、前記第2プ−リ23bと前記第3プ−リ23cのフックには第2ゴム紐29bが、前記第4プ−リ24aと前記第5プ−リ24bのフックには第3ゴム紐29cが掛けられている。これらのゴム紐は市販のサイズナンバー18の輪ゴムを2本繋げたものを、第1ゴム紐29aでは12本、第2ゴム紐29bでは9本、第3ゴム紐29cでは6本、で構成されている。すなわち、第1ゴム紐29a、第2ゴム紐29b及び第3ゴム紐29cは長さが同じで太さが順に細くなっている。第1プ−リ23aと第2プ−リ23bはタコ糸を個々に複数本掛けた第1ベルト27aで、第3プ−リ23cと第4プ−リ24aもタコ糸を個々に複数本掛けた第2ベルト27bで接続されている。
【0029】
観覧車30の軸は第1門型部材31aと第2門型部材31bに支持され、その軸には前記第5プ−リ24bより大きい直径の回転体プ−リ32が固定され、第5プ−リ24bとタコ糸1本の第3ベルト33で接続され、第5プ−リ24bの回転が減速されるようになっている。
【0030】
上記複数のプ−リは、厚紙で作った円形環状体の両側に、環状体の外周面より一回り大きい円形の厚紙を貼り付け、プ−リを真直ぐ支えられる剛性を有す針金等が軸として使用され、プ−リの中心を貫通しプ−リと接着されている。また、ベルトとのすべり防止のため、プ−リの外周面の粗面加工として、外周面にサンドペーパが貼付されている。
【0031】
ここで前記調整用回転体の設置方法を検討するため予備試験として、調整用回転体を付けない場合の前記観覧車30の回転状況を観察した。
【0032】
ゴム紐は、捩じり始めると最初はわずかに膨らむ1次瘤ができる。さらに捩じると1次瘤の上に2次瘤ができ、その上に3次瘤ができ、捩じり続けると切断にいたる。通常玩具ではゴム紐の切断を回避するため、全長に渡る2次瘤の発生前後で捩じることをやめている。
【0033】
前記第5プ−リ24bを止めておき、手動で前記回転ハンドル22aを回し、前記第1ゴム紐29a、第2ゴム紐29b及び第3ゴム紐29cの全長に渡る上述の2次瘤の発生まで捩じってから回転ハンドル22a回すのを止める。手を離しても逆転防止用細板22bと逆転防止突起22cにより回転ハンドル22aは停止状態におかれる。
【0034】
第5プ−リ24bの止めを外すと、最初に第3ゴム紐29cの捩じりが戻り第5プ−リ24bがまわされベルト33によって観覧車の回転体プ−リ32に伝達され観覧車が回り始める。第3ゴム紐29cの捩じりが減ると、第2ゴム紐29bの捩じりが戻り、第3ゴム紐29cが再度捩じられる。第2ゴム紐29bも第1ゴム紐29aの捩じりの戻りにより再度捩じられる。こうして3列のゴム紐の捩じりがほとんど無くなるまで観覧車は回転を続ける。
【0035】
上述の予備試験では、ゴム紐の総捩じり数を150回にし、第5プ−リ24bの直径30mmに対し上記回転体プ−リ32の直径を90mmとして減速させた結果、観覧車の回転は15秒で50回になり、玩具としての回転数については、満足できるものであったが、回転は速すぎほぼ瞬時の作動で終わってしまうという不満足の結果になった。望ましい回転速度を1分間で50回転とすると、プ−リの減速機構だけで達成するには、総捩じり回数を600回、観覧車の回転体プ−リの直径を360mmとしなければならず、いずれも玩具としての実現は難しい。
【0036】
このように捩じり数に限界があるゴム動力では、プ−リ等の減速機構だけで観覧車に見合うゆっくりした回転速度を実現することは極めて困難であることが判明した。望ましい回転速度にするため、本実施例では、プ−リによる減速機構に加えて、本発明の調整用回転体34を第5プ−リ24bの軸に取り付け、回転体プ−リ32の回転速度を減速する方法を採用した。
【0037】
前記調整用回転体34は、
図12aで断面を、
図12bで側面を示すように、厚紙で作った円形環状体34aの両端に、それより大きい円形の厚紙で作った円形枠版34bを貼り付けることにより外周面より高い縁枠を設け、周方向を8等分して8本の帯長調整ピン34cが縁枠に差し込み固定されている。円形枠版34bの中心は前記第5プ−リ24bの軸に挿入・接着されている。
【0038】
前記円形環状体34aの外周面には、縁枠間の幅以下で、前記円形環状体34aの周長に等しい長さを有する帯35の一端部が特定の帯長調整ピン位置に固定されている。帯35の他端部には鉛の重り35aが付いている。帯35の飛び出し長さは、帯35の長さが周長と同じであるから、例えば帯35を固定点から2番目の帯長調整ピン34cから外側に出すと帯の飛び出し長さは周長の6/8となり、5番目から出すと3/8になる。
【0039】
予備試験では
図12に示すように、固定点から3番目の帯長調整ピン34cから帯を外側に出し、帯の飛び出し長さを周長の5/8とした。第5プ−リ24b又は調整用回転体34を止めておき、回転ハンドル22aを回し、第1ゴム紐29a、第2ゴム紐29b及び第3ゴム紐29cを全長に渡る2次瘤発生まで捩じってから、第5プ−リ24b又は調整用回転体34の止めをはずして、観覧車30が50回転する時の回転時間を測定し、以下の結果を得た。
1.調整用回転体を取り付けず自由回転とした場合、15秒
2.調整用回転体34を取り付けた場合、約30秒
3.調整用回転体34を取り付け、さらに摩擦板を設置した場合、約40秒
4.調整用回転体34を取り付け、さらに上方受け棒36を設置した場合、60秒以上
【0040】
本実施例の観覧車30では、上記4の調整用回転体34と上方受け棒36の設置を採用。即ち約60秒で50回転する観覧車とした。自由回転の場合に比べ、4倍以上の長い回転時間を実現した。
【符号の説明】
【0041】
1:回転ハンドル
2a:第1軸受材
2b:第2軸受材
2c:第3軸受材
3:回転体
4:ゴム紐
5:球座
5a:球座を押さえる受け部位
6:調整用回転体
7:帯
8:鉛等の重み
9:帯長調整ピン
9a:選択された帯長調整ピン
10:摩擦板
11:下方受け棒
12:上方受け棒
20a:観覧車玩具の本体枠
20b:観覧車玩具の本体枠の支持脚
21a:観覧車玩具の第1軸受材
21b:観覧車玩具の第2軸受材
22a:観覧車玩具の回転ハンドル
22b:観覧車玩具の逆転防止用細板
22c:観覧車玩具の逆転防止突起
22d:観覧車玩具の逆転防止用細板の鉛の小片
23a:観覧車玩具の第1プ−リ
23b:観覧車玩具の第2プ−リ
23c:観覧車玩具の第3プ−リ
24a:観覧車玩具の第4プ−リ
24b:観覧車玩具の第5プ−リ
25:観覧車玩具の球座
26a:観覧車玩具の第1縦軸受材
26b:観覧車玩具の第2縦軸受材
26c:観覧車玩具の第3縦軸受材
26d:観覧車玩具の第4縦軸受材
27a:観覧車玩具の第1ベルト
27b:観覧車玩具の第2ベルト
29a:観覧車玩具の第1ゴム紐
29b:観覧車玩具の第2ゴム紐
29c:観覧車玩具の第3ゴム紐
30:観覧車玩具の観覧車
31a:観覧車玩具の第1門型部材
31b:観覧車玩具の第2門型部材
32:観覧車の軸に固定されている回転体プ−リ
33:観覧車玩具の第3ベルト
34:観覧車玩具の調整用回転体
34a:観覧車玩具の調整用回転体の円形環状体
34b:観覧車玩具の調整用回転体の円形枠版
34c:観覧車玩具の調整用回転体の帯長調整ピン
35:観覧車玩具の帯
35a:観覧車玩具の帯の重り
36:観覧車玩具の上方受け棒
【要約】
【課題】
ゴム紐の捩じりによって回転する回転体を有す玩具において、その回転の速度を調整することを課題とする。
【解決手段】
ゴム紐4の捩じりによって回転する回転体3の回転軸に中心が取り付けられた調整用回転体6と、その調整用回転体6の外周面に一端部が止められた帯7からなる回転速度調整装置により課題を解決する。帯7の先端部には重り8が取り付けられている。帯7の他端側は調整用回転体6の帯長調整ピン9の間から引き出されている。回転体を有す玩具において、回転体の回転速度を、ほぼ一定かつ緩やかにすることができる。
【選択図】
図1