特許第6030735号(P6030735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030735
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】塗装装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/16 20060101AFI20161114BHJP
   B05B 7/26 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   B05B7/16
   B05B7/26
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-220957(P2015-220957)
(22)【出願日】2015年11月11日
(65)【公開番号】特開2016-93807(P2016-93807A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年4月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000187149
【氏名又は名称】昭和電工ガスプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】那須 貴樹
(72)【発明者】
【氏名】小松 康宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎吾
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−502201(JP,A)
【文献】 特開2012−086150(JP,A)
【文献】 特開平05−096213(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/113489(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00〜 3/18
7/00〜 9/08
12/00〜13/06
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアー供給ラインと、このエアー供給ラインから供給されるエアーを駆動源とする塗料用駆動ポンプと、この塗料用駆動ポンプと塗料供給源とを含み混合器に塗料を供給する塗料供給ラインと、二酸化炭素用駆動ポンプと、この二酸化炭素用駆動ポンプと二酸化炭素供給源とを含み前記混合器に二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給ラインと、前記塗料供給ライン及び二酸化炭素供給ラインに接続し、前記塗料と前記二酸化炭素の両方の成分を混合して被覆材組成物を生成する前記混合器と、この混合器に噴射ホースで接続され、かつ前記被覆材組成物を噴射する噴射手段を備える塗装装置であって、前記二酸化炭素供給ラインには、少なくとも圧力調整弁又は流量調節弁のいずれかを含む二酸化炭素定量供給機構を前記二酸化炭素駆動ポンプの下流側に備え、前記混合器と噴射手段を接続する噴射ホースの全体を覆い、該噴射ホース内の被覆材組成物の温度を、前記噴射手段の直前において所定の粘度となるような温度に調節する温度調節機構を有することを特徴とする塗装装置。
【請求項2】
前記温度調節機構は、噴射ホース内の被覆材組成物の粘度が0.01Pa・s乃至0.20Pa・sとなるような温度に調節するものであることを特徴とする請求項1記載の塗装装置。
【請求項3】
前記温度調節機構は、三重管式熱交換器であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の塗装装置。
【請求項4】
前記温度調節機構の三重管式熱交換器内を流れ、被覆材組成物と熱交換を行う温度調節媒体として、水、エアー又は不活性ガスのいずれかを用いることを特徴とする請求項3に記載の塗装装置。
【請求項5】
前記二酸化炭素定量供給機構は、前記二酸化炭素用駆動ポンプの二次圧を調節する二次圧調節弁、流量調節弁、仕切弁及び混合器へ供給する二酸化炭素の一次圧力を調節する一次圧調整弁とで成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の塗装装置。
【請求項6】
検知手段をさらに設け、該検知手段の検出信号に基づき前記仕切弁の開閉を制御することを特徴とする請求項5に記載の塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動産又は不動産の如何を問わず、噴射手段(噴射ガン)を操作して物の表面に被覆材組成物を塗布する塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「有機溶剤系の噴霧塗装において用いられる希釈溶剤(シンナー)を、二酸化炭素で一部又は全部を代替する二酸化炭素塗装において、 塗料供給ラインとして、塗料を貯蔵するタンク、該タンクから供給される塗料を所定の圧力まで加圧する塗料高圧ポンプ、該塗料高圧ポンプの吐出圧を調整し、余剰分を塗料タンクへ返送させる塗料1次圧調整弁、を有し、二酸化炭素供給ラインとして、液体二酸化炭素を貯蔵するタンク、該液体二酸化炭素を所定温度まで冷却する冷却器、該冷却器から供給される液体二酸化炭素を所定の圧力まで加圧する液体二酸化炭素高圧ポンプ、該液体二酸化炭素高圧ポンプの吐出圧を調整し、余剰分を同ポンプのサクションに返送させる液体二酸化炭素1次圧調整弁、を有し、塗料/二酸化炭素混合物ラインとして、上記塗料供給ラインから供給される加圧された塗料、上記二酸化炭素供給ラインから供給される加圧された二酸化炭素とを混合する混合器、及び該混合器から供給される混合後の塗料/二酸化炭素加圧混合物を、必要に応じて混合物加熱器で加熱し、ストップ弁を経由して、大気圧下の塗装対象物へ噴霧する噴霧ガン、を有することを特徴とする二酸化炭素を用いた塗装装置」が開示されている。
【0003】
上記特許文献1の公知発明1は、混合物加熱器が用いられているが、この加熱器の後にストップ弁を経由して噴霧ガンに接続されており、加熱された混合物が、噴霧ガンまで到達するまでの間に冷却されてしまう場合があり、適切な粘度の塗料を噴射手段に供給することができないという欠点があった。
【0004】
なお、特許文献2乃至4に記載されている公知発明も適切な粘度の塗料を噴射手段に供給することが可能な塗装装置は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−234348号公報
【特許文献2】特開2010−234349号公報
【特許文献3】特開2012−86150号公報
【特許文献4】特開2012−86151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、適切な粘度の塗料を噴射手段に供給することができる塗装装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の塗装装置は、エアー供給ラインと、このエアー供給ラインから供給されるエアーを駆動源とする塗料用駆動ポンプと、この塗料用駆動ポンプと塗料供給源とを含み混合器に塗料を供給する塗料供給ラインと、二酸化炭素用駆動ポンプと、この二酸化炭素用駆動ポンプと二酸化炭素供給源とを含み前記混合器に二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給ラインと、前記塗料供給ライン及び二酸化炭素供給ラインに接続し、前記塗料と前記二酸化炭素の両方の成分を混合して被覆材組成物を生成する前記混合器と、この混合器に噴射ホースで接続され、かつ前記被覆材組成物を噴射する噴射手段を備える塗装装置であって、前記二酸化炭素供給ラインには、少なくとも圧力調整弁又は流量調節弁のいずれかを含む二酸化炭素定量供給機構を前記二酸化炭素駆動ポンプの下流側に備え、前記混合器と噴射手段を接続する噴射ホースの全体を覆い、該噴射ホース内の被覆材組成物の温度を、前記噴射手段の直前において所定の粘度となるような温度に調節する温度調節機構を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、噴射ホース内の被覆材組成物(塗料と二酸化炭素の混合物)の温度を所定の温度に調節する温度調節機構を有しているので、被覆材組成物の温度を適切な温度とすることができ、被覆材組成物の粘度を適切な粘度にすることができる。
したがって、塗装対象物に効率よく被覆材組成物を噴霧することができる。
(2)二酸化炭素定量供給機構を備えるので、定量性を向上させることができる。
(3)請求項2に記載の発明も前記(1)〜(2)と同様な効果が得られるとともに、塗料の粘度をより適切な粘度にすることができる。
(4)請求項3に記載の発明も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、より安定した温度調節ができ、噴射手段近傍に温度調節媒体を注入又は排出するための配管等を追加することなく温度調節をすることができる。
(5)請求項4に記載の発明も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、噴射手段や混合器が防爆エリアに設置されている場合であっても、安全に温度調節を行うことができる。
(6)請求項5に記載の発明も前記(1)〜(5)と同様な効果が得られるとともに、より定量性を向上させることができる。
(7)請求項6に記載の発明も前記(1)〜(6)と同様な効果が得られるとともに、検知手段により噴射手段のON/OFFを検知し、仕切弁の開閉を自動で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1乃至図4は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図5及び図6は本発明の第2の実施形態示す説明図である。
図7は本発明の第3の実施形態示す説明図である。
図1】概略説明図。
図2】塗料供給ラインの概略説明図。
図3】二酸化炭素供給ラインの概略説明図。
図4】温度調節機構の説明図。
図5】概略説明図。
図6】温度調節機構の説明図。
図7】概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図4に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明の塗装装置で、この塗装装置1は、動産又は不動産の如何を問わず、また金属製・合成樹脂製・コンクリート製かを問わず、ロボット、各種の機械やその部品、電気器具やその部品、建物の壁面等の表面に被覆材組成物を塗布するものである。
【0011】
この塗装装置1は、エアー供給ライン2と、このエアー供給ライン2から供給されるエアーを駆動源とする塗料用駆動ポンプ3と、この塗料用駆動ポンプ3と塗料供給源4とを含み混合器5に塗料6を供給する塗料供給ライン7と、二酸化炭素用駆動ポンプ8と、この二酸化炭素用駆動ポンプ8と二酸化炭素供給源9とを含み前記混合器5に二酸化炭素10を供給する二酸化炭素供給ライン11と、前記塗料供給ライン7及び二酸化炭素供給ライン11に接続し、前記塗料6と前記二酸化炭素10の両方の成分を混合して被覆材組成物12を生成する前記混合器5と、この混合器5に塗料ホース13で接続され、かつ前記被覆材組成物12を噴射する噴射手段14(例えば手動で噴射させる噴射ガン)とで構成されている。
【0012】
前記塗料用駆動ポンプ3は、駆動用エアーで起動するものを採用しており、この塗料用駆動ポンプ3には塗料接続ライン(管)15を介して単数又は複数の塗料供給源4が接続している。
【0013】
したがって、塗料用駆動ポンプ3が駆動用エアーで起動すると、その吸引口から前記塗料供給源4の塗料6を吸い込む一方、その吐出口から塗料6を圧送する。それ故に、塗料用駆動ポンプ3は塗料6を吸引し、かつ吐出する塗料高圧ポンプである。また塗装供給ライン7は、塗料供給源4と塗料接続ライン15と前記塗料用駆動ポンプ3と塗料吐出ライン16とで構成されており、塗料吐出ライン16は、塗料用駆動ポンプ3と混合器(混合部)5とを接続する塗料吐出ラインで、この塗料吐出ライン16は塗料用駆動ポンプ3から圧送される塗料を混合器5に供給する。
【0014】
なお、塗装用駆動ポンプ3の一例としては、旭サナック株式会社製の空気圧式プランジャーポンプの、SP1021、SP1628、SP1636、SP1844、SP1854(Z)、SP1878、SP2544、SP2554(Z)、SP2578等を適宜に用いることができる。
【0015】
混合器5の機能について説明する。ところで、混合器5の詳細構造は、好ましくは流路径を考慮して適宜なマイクロ混合器が使用される。マイクロ混合器の種類や構造は周知事項(例えば特開2010−234348号公報の段落0031〜段落0033、)なので割愛する。
【0016】
この混合器5は、逆止弁17を有する二酸化炭素吐出ライン18及び逆止弁19を有する塗料吐出ライン16の下流に配設され、前述した塗料用駆動ポンプ3から塗料吐出ライン16を介して取得した塗料6と前記二酸化炭素吐出ライン18から取得した二酸化炭素10との両方の成分を混合して被覆材組成物を生成する。また前述した噴射手段14は、市販されている噴射ガン14が用いられ、該噴射ガン14は前記混合器5と噴射ホース13を介して接続し、かつ混合器5で生成した被覆材組成物12を大気圧下の塗装対象物20に噴射する。
【0017】
ところで、この噴射ホース13には、この噴射ホース内の被覆材組成物12の温度を所定の温度に調節する温度調節機構21を備えており、噴射ホース内の被覆材組成物12の粘度が噴射手段14直前において0.01Pa・s〜0.20Pa・s(イワタカップ粘度計換算で60秒以内)、より好ましくは0.01Pa・s〜0.10Pa・s(イワタカップ粘度計換算で30秒以内)となるような温度に調節している。
【0018】
この温度調節機構21は、前記噴射ホース13の全体を覆うように設けられた三重管式熱交換器22と、該三重管式熱交換器22内に流し、噴射ホース13内の被覆材組成物12と熱交換を行う水、エアー又はガス等の温度調節媒体23とで構成されている。
【0019】
なお、本実施の形態において、温度調節媒体23は水を用いている。水を温度調節媒体23として用いることにより、電気式ヒーター等による温度調節と異なり、防爆エリアにおいても安全で、かつ室温よりも低い温度での温度調節を行うことができる。
【0020】
また、噴射手段14直前において被覆材組成物12の粘度が所定の粘度となるような温度に調整できるものであれば、噴射ホース13の一部を覆うものであってもよい。
前記三重管式熱交換器22は、図4に示すように、中心の管22aには噴射ホース13が配置され、中間の管22bには前記混合器5側に設けられた温度調節媒体供給部24から供給された温度調節媒体23が流れる通路となっている。最も外側の管22cは前記中間の管22bと連通しており、中間の管22bを通過した温度調節媒体23が、前記噴射手段14直前で折り返して混合器5側に流れ、混合器5側に設けられた温度調節媒体排出部25から排出される通路となっている。
【0021】
このような三重管式熱交換器22を用いることにより、噴射手段14付近に温度調節媒体23を排出するための温度調節媒体排出部25を設ける必要がなく、また、噴射ホース13に隣接する中間の管22b内の温度調節媒体23の温度を安定させることができる。
なお、温度調節媒体排出部25から排出された温度調節媒体23は、そのまま廃棄(エアーの場合には大気開放)しても良いが、温度調節媒体排出部25と温度調節媒体供給部24の間に圧縮機及び温度調節媒体23を供給温度に調節する温度調節部を介して接続し、温度調節媒体23を循環させてもよい。
【0022】
二酸化炭素用駆動ポンプ8は、駆動用エアーで起動するものを採用しており、この二酸化炭素用駆動ポンプ8には、二酸化炭素接続ライン(管)26を介して二酸化炭素供給源9が接続されている。二酸化炭素供給源9は、可搬ボンベや1m3以上の容量を要する据置型タンク等が考えられ、本発明においては供給源の形態は特に限定しない。また、供給される二酸化炭素10の性状もどのような性状でもよい。
【0023】
二酸化炭素用駆動ポンプ8が駆動用エアーで起動すると、その吸引口から前記二酸化炭素供給源9から二酸化炭素10を吸い込む一方、その吐出口から気体の二酸化炭素10を圧送する。それ故に、二酸化炭素用駆動ポンプ8は二酸化炭素10を吸引し、かつ吐出する高圧ポンプである。また二酸化炭素供給ライン11は、二酸化炭素供給源9と二酸化炭素接続ライン26と前記二酸化炭素用駆動ポンプ8と二酸化炭素吐出ライン18とで構成されており、二酸化炭素吐出ライン18は、二酸化炭素用駆動ポンプ8と混合器(混合部)5とを接続する二酸化炭素吐出ラインで、この二酸化炭素吐出ライン18は二酸化炭素用駆動ポンプ8から圧送される二酸化炭素を混合器5に供給する。この時の二酸化炭素性状も特に限定するものではなく、気体であってもその他の性状であってもよい。
【0024】
前記二酸化炭素供給ライン11の下流側(前記二酸化炭素用駆動ポンプ8の2次側)に位置する二酸化炭素吐出ライン18は、二酸化炭素定量供給機構27を備えている。
この二酸化炭素定量供給機構27は、本実施形態では二酸化炭素用駆動ポンプ8の二次圧を調節する二次圧調節弁28、流量計29、流量調節弁30、仕切弁31及び混合器5へ供給する二酸化炭素の一次圧力を調節する一次圧調整弁32とで構成されている。これらの機器を二酸化炭素用駆動ポンプ8の二次側に設けることにより、定量供給精度を向上させることができる。
【0025】
ところで、これらが配置される順番は、上流側から二次圧調節弁28、流量計29、流量調節弁30、仕切弁31、一次圧調整弁32の順番である。
【0026】
この流量計29と流量調節弁30は、一体型の物を用いて二酸化炭素定量供給機構27を構成してもよく、流量調節弁30の一次圧力と二次圧力及び開度やオリフィスを設ける等により流量を予め設定する場合には、流量計29を用いずに二酸化炭素定量供給機構27を構成してもよい。
【0027】
仕切弁26も必ずしも設けなくてもよく、流量計29及び仕切弁31を設ける場合であっても、流量計29及び仕切弁31は順不同で設けることができる。
【0028】
二酸化炭素定量供給機構27は、二次圧調節弁28又は一次圧調整弁32の一方のみを設けてもよく、これらを設けずに流量調節弁30のみ設けてもよい。すなわち、少なくとも圧力調節弁(二次圧調節弁28又は一次圧調整弁32)又は流量調節弁30のいずれかを備えればよい。
【0029】
二酸化炭素供給ライン11の上流側(二酸化炭素用駆動ポンプ8の一次側)に位置する二酸化炭素接続ライン26の二酸化炭素供給源9と二酸化炭素用駆動ポンプ8の間に圧力調整弁(図示せず)をさらに設けてもよい。二酸化炭素用駆動ポンプ8の一次側にも圧力調整弁を設けることにより、さらに定量供給精度を向上させることができる。
【0030】
塗料供給ライン7のエアー供給ライン2に検知手段33としての流量センサーを備え、エアー供給ライン2のエアー供給量が減少した場合には、二酸化炭素定量供給機構27の仕切弁31等を操作し、二酸化炭素の供給を停止するような制御部34を設けている。この制御部34は非防爆エリアに設けることが望ましい。
【0031】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図5乃至図7に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0032】
図5及び図6に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、二重管式熱交換器35を用いた温度調節機構21Aにした点で、このような塗装装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0033】
この二重管式熱交換器35は、図6に示すように、中心の管35aには噴射ホース13が配置され、中間の管35bには前記噴射手段14側に設けられた温度調節媒体供給部24から温度調節媒体23が供給され、混合器5側に流れ、混合器5側に設けられた温度調節媒体排出部25から排出される通路となっている。
【0034】
なお、温度調節媒体23がエアーのような大気へ排出可能な媒体であれば、混合器側に温度調節媒体供給部24を設け、噴射手段14側に温度調節媒体排出部25を設けて、噴射手段14側から温度調節媒体23を排出してもよい。
【0035】
また、温度調節媒体排出部25と温度調節媒体供給部24の間に圧縮機及び温度調節媒体23を供給温度に調節する温度調節部を介して接続し、温度調節媒体23を循環させてもよい。
【0036】
図7に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、噴射手段14に塗装対象物20を検知する検知手段33Aを設け、該検知手段33Aが塗装対象物20を検知した場合のみ前記仕切弁31を開状態とするように前記制御部34で制御する点で、このような塗装装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0037】
付言すると、このように噴射手段14に塗装対象物20を検知する検知手段33Aを設けることにより、例えば搬送コンベアで流れてくる塗装対象物20をロボット等を用いて噴射手段14(例えば自動開閉式噴射ガン)を操作し、塗装する場合、流れてきた塗装対象物20を検知手段33A(例えば赤外線センサー)で検知して塗装することにより、塗装対象物20が噴射手段14の前にあるときにだけ塗料を噴射することができる。
【0038】
なお、本発明の実施の形態においては、エアー供給ライン又は噴射手段に検知手段を備えているものについて説明したが、本発明はこれに限られず、塗料吐出ラインに検知手段としての流量センサーを備えて流量の変化を検知してもよいし、噴射手段に検知手段としてのリミットスイッチ等を設けて、噴射手段のトリガーを握っている状態を検知し、仕切弁等を操作するように制御してもよく、その他上位の制御機器(生産ラインの制御コンピューター等)からの出力信号を検知し、仕切弁等を操作するように制御してもよい。
【0039】
また、制御部としては、制御プログラムを記憶部に記憶し、そのプログラムに基づいて仕切弁を制御する制御部であってもよいし、リレー回路等を用いた(記憶部等を有しない)制御部としてもよい。
【0040】
さらに、本発明の実施の形態において、二酸化炭素駆動ポンプはエアー駆動のものについて説明したが、本発明はこれに限られず、電動ポンプ等、エアー駆動以外のポンプを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は塗装装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0042】
1、1A、1B:塗装装置、 2:エアー供給ライン、
3:塗料用駆動ポンプ、 4:塗料供給源、
5:混合器、 6:塗料、
7:塗料供給ライン、 8:二酸化炭素用駆動ポンプ、
9:二酸化炭素供給源、 10:二酸化炭素、
11:二酸化炭素供給ライン、 12:被覆材組成物、
13:噴射ホース、 14:噴射手段、
15:塗料接続ライン、 16:塗料吐出ライン、
17:逆止弁、 18:二酸化炭素吐出ライン、
19:逆止弁、 20:塗装対象物、
21、21A:温度調節機構、 22:三重管式熱交換器、
23:温度調節媒体、 24:温度調節媒体供給部、
25:温度調節媒体排出部、 26:二酸化炭素接続ライン、
27:二酸化炭素定量供給機構、 28:二次圧調整弁
29:流量計、 30:流量調節弁
31:仕切弁 32:一次圧調整弁
33、33A:検知手段、 34:制御部、
35:二重管式熱交換器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7