特許第6030750号(P6030750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6030750オーバーコーティング性の改善された海洋機器保全および修復コーティング用エポキシ樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030750
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】オーバーコーティング性の改善された海洋機器保全および修復コーティング用エポキシ樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20161114BHJP
   C08L 29/04 20060101ALI20161114BHJP
   C08L 31/04 20060101ALI20161114BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20161114BHJP
   C09D 163/02 20060101ALI20161114BHJP
   C09D 127/06 20060101ALI20161114BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20161114BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   C08L63/00 A
   C08L29/04
   C08L31/04 D
   C09D163/00
   C09D163/02
   C09D127/06
   C09D7/12
   C09D5/00 D
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-507321(P2015-507321)
(86)(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公表番号】特表2015-520258(P2015-520258A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】CN2012074568
(87)【国際公開番号】WO2013159277
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2015年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エイミー・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ホンユ・チェン
【審査官】 藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−178571(JP,A)
【文献】 特開平02−000690(JP,A)
【文献】 特開昭52−130832(JP,A)
【文献】 特開昭51−024631(JP,A)
【文献】 特開昭54−111536(JP,A)
【文献】 特開平01−118574(JP,A)
【文献】 特開昭63−152672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
C08G 59/00−59/72
C09D 1/00−10/00、101/00−201/10
C09J 1/00−5/10、9/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性組成物であって、前記硬化性組成物の総重量を基準として、
a)芳香族エポキシ化合物ら選択される1重量%〜20重量%のエポキシ化合物Iと、
b)1重量%〜20重量%の、塩化ビニル、酢酸ビニル、およびビニルアルコールの塩素化ポリオレフィンベースターポリマー、または塩化ビニル、酢酸ビニル、およびマレイン酸の塩素化ポリオレフィンベースターポリマーと、
c)1重量%〜40重量%のフェナルカミンを含む硬化剤と、
を含む硬化性組成物。
【請求項2】
非環式脂肪族エポキシ化合物から選択される0.4重量%〜10重量%のエポキシ化合物IIをさらに含む請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記エポキシ化合物IがビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、またはこれらの混合物である請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記塩素化ポリオレフィンベースターポリマーが、5〜20モルパーセントのビニルアルコールの構造単位、1〜5モルパーセントの酢酸ビニル構造単位、および80〜90モルパーセントの塩化ビニル構造単位を含む請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記塩素化ポリオレフィンベースターポリマーが、5〜20モルパーセントの酢酸ビニル構造単位、70〜90モルパーセントの塩化ビニル構造単位、および1〜10モルパーセントのマレイン酸構造単位を含む請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記エポキシ化合物IIが、グリセロールジグリシジルエーテル、平均分子量(Mw)300〜1000のポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、またはこれらの混合物である請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
コーティング組成物であって、前記コーティング組成物の総重量を基準として、
a)芳香族エポキシ化合物ら選択される25重量%〜45重量%の硬化エポキシ化合物Iと、
b)1重量%〜20重量%の、塩化ビニル、酢酸ビニル、およびビニルアルコールの塩素化ポリオレフィンベースターポリマー、または塩化ビニル、酢酸ビニル、およびマレイン酸の塩素化ポリオレフィンベースターポリマーと、
c)35重量%〜65重量%の充填剤と、
を含むコーティング組成物。
【請求項8】
前記コーティング組成物の総重量を基準として、非環式脂肪族エポキシ化合物から選択される0.4重量%〜25重量%の硬化エポキシ化合物IIをさらに含む請求項7に記載のコーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーコーティング性の改善された海洋機器保全および修復コーティング用エポキシ樹脂組成物およびその適用に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、優れた金属への接着、機械的剛性および耐薬品性のために最も費用対効果の高い耐食コーティング用の結合剤と見なされている。エポキシプライマーは、通常、溶媒または水系エポキシ、アクリル酸塩、ポリウレタン、ポリシロキサンまたは他の機能性仕上げ剤などの種々のトップコートによりオーバーコーティングされる。
【0003】
エポキシをオーバーコートするための最適な期間があり、この期間内では追加の表面調製が不要である。「オーバーコート可能期間(overcoat window)」の経過後は、プライマーを粗面化する必要があり、その後トップコート可能となるが、この工程には費用と労力とを要する。
【0004】
オーバーコート可能期間は、それぞれの系で具体的材料および塗布条件に応じて変わる。温度は、オーバーコート可能期間に大きな影響を与える。ほとんどの場合、7〜14日が典型的オーバーコート可能期間である。オーバーコート可能期間を経過したオーバーコーティングは、弱い被膜間密着、さらには塗装不良につながり、生産時の大きなスケジュール上の問題、または再加工が必要となり、処理能力が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、バランスのとれたオーバーコート可能期間と耐食性を有するコーティングの開発は、未だに当技術分野における関心の対象である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、硬化性組成物の総重量を基準として、a)芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、またはこれらの混合物から選択される1重量%〜20重量%のエポキシ化合物Iと、b)1重量%〜20重量%の塩素化ポリオレフィンベースターポリマーと、c)1重量%〜40重量%の硬化剤と、を含む硬化性組成物を提供する。この組成物は、非環式脂肪族エポキシ化合物から選択される0.4重量%〜10重量%のエポキシ化合物IIをさらに含んでもよい。
【0007】
エポキシ化合物Iは、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、またはこれらの混合物であるのが好ましい。
【0008】
塩素化ポリオレフィンベースターポリマーは、5〜20モルパーセントの塩化ビニル構造単位、4〜10モルパーセントの酢酸ビニル構造単位、および60〜90モルパーセントのビニルアルコール構造単位を含むのが好ましい。
【0009】
任意選択で、塩素化ポリオレフィンベースターポリマーは、5〜20モルパーセントの塩化ビニル構造単位、70〜90モルパーセントの酢酸ビニル構造単位、および1〜10モルパーセントのマレイン酸構造単位を含んでもよい。
【0010】
エポキシ化合物IIは、グリセロールジグリシジルエーテル、300〜1000の平均分子量(Mw)のポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルまたはこれらの混合物であるのが好ましい。
【0011】
本発明は、コーティング組成物の総重量を基準として、a)芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、またはこれらの混合物から選択される25重量%〜45重量%の硬化エポキシ化合物Iと、b)1重量%〜20重量%の塩素化ポリオレフィンベースターポリマーと、c)35重量%〜65重量%の充填剤と、を含むコーティング組成物をさらに提供する。このコーティング組成物は、コーティング組成物の総重量を基準にして、非環式脂肪族エポキシ化合物から選択される0.4重量%〜25重量%の硬化エポキシ化合物IIをさらに含んでもよい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用される「1つの」、「1」、「前記」、「少なくとも1つの(1種の)」、および「1つ(1種)または複数(複数種)の」は同義に使用される。用語の「および/または」は、列挙された項目の1つ(1種)、1つ(1種)または複数(複数種)の、または全てを意味する。端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、等)が包含される。
【0013】
1以上の実施形態では、硬化性組成物は、エポキシ化合物Iおよび任意選択で、エポキシ化合物IIを含むエポキシ組成物を含む。化合物は、化学的に組み合わされた2種以上の元素の原子またはイオンから構成される物質であり、エポキシ化合物は、酸素原子が炭素鎖または環系の2個の隣接もしくは非隣接炭素原子に直接結合している化合物である。エポキシ化合物Iは、硬化性組成物の1重量パーセント〜20重量パーセントであってもよく、例えば、エポキシ化合物は、硬化性組成物の3重量パーセント〜16重量パーセント、または5重量パーセント〜15重量パーセントであってもよい。エポキシ化合物IIを含む一部の実施形態では、エポキシ化合物IIは、硬化性組成物の0.4重量パーセント〜10重量パーセントであってもよく、例えば、エポキシ化合物IIは、硬化性組成物の1重量パーセント〜8重量パーセント、または4重量パーセント〜8重量パーセントであってもよい。
【0014】
エポキシ化合物Iは、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよい。
【0015】
エポキシ化合物IIは、非環式脂肪族エポキシ化合物からなる群より選択されてもよい。
【0016】
芳香族エポキシ化合物の例としては、限定されるものではないが、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、トリスフェノール(トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン)、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、およびこれらの組み合わせなどのポリフェノールのグリシジルエーテル化合物が挙げられる。
【0017】
脂環式エポキシ化合物の例としては、限定されるものではないが、少なくとも1個の脂環式環を有するポリオールのポリグリシジルエーテル、またはシクロヘキセン環またはシクロペンテン環を含む化合物を酸化剤でエポキシ化することにより得られる酸化シクロヘキセンまたは酸化シクロペンテンを含む化合物が挙げられる。一部の特定の例としては、限定されるものではないが、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシラート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシラート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシラート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシラート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジパート、メチレン−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキシド、エチレン−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシラート)、ジオクチルエポキシヘキサヒドロフタラート、ジ−2−エチルヘキシルエポキシヘキサヒドロフタラート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0018】
「非環式脂肪族エポキシ化合物」との用語は、エポキシドが結合する線状構造(直鎖または分岐)を有する炭化水素化合物を意味する。水素に加えて、他の元素も炭素鎖に結合でき、他の元素のよくある例は、酸素、窒素、硫黄、および塩素である。非環式脂肪族エポキシ樹脂は、モノエポキシド化合物または2個以上のエポキシ基を含む化合物であってもよい。非環式脂肪族エポキシ樹脂は、2個以上のエポキシ基を有するのが好ましい。非環式脂肪族エポキシ樹脂は、グリコールで変性された非環式脂肪族エポキシドを含んでもよい。
【0019】
非環式脂肪族エポキシ化合物は、エポキシ化ジエンポリマー、エポキシ化油および誘導体、ならびにポリグリコールジエポキシドの3種の特定型を含む。
【0020】
エポキシ化ジエンポリマーは、1種以上のオレフィン、特に、ジオレフィンそれ自体間での、または1種以上のアルケニル芳香族炭化水素モノマーとの共重合により調製できるエチレン系不飽和を含むポリマーのエポキシ化によるものである。共重合体は、無論、ランダム、テーパー、ブロック、またはこれらの組み合わせ、ならびに線状、放射状星形であってよい。限定するものではないが、ブタジエン単独ポリマー、ブタジエンとスチレンとのランダム共重合体、ブタジエンと(メタ)アクリロニトリルとのランダム共重合体、ブタジエンとスチレンとのブロック共重合体、イソプレンとスチレンとのランダム共重合体、イソプレンと(メタ)アクリロニトリルとのランダム共重合体、イソプレンとスチレンとのブロック共重合体、およびブタジエンとイソプレンとの共重合体などのジエンポリマーをエポキシ化してもよい。場合によっては、ブタジエンとイソプレンとの共重合体が、スチレンおよび(メタ)アクリロニトリルなどのビニル化合物を含んでもよい。
【0021】
エポキシ化油および誘導体は、エポキシ化脂肪酸エステルである。これらの生成物の元になる脂肪油は天然の長鎖脂肪酸源であり、これらの生成物の脂肪酸部分の組成中にかなり重複する部分がある。それらは主としてC18酸であるオレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸である。アルコールは、一級アルコール、ジオールまたはトリオールである。このカテゴリーは、関連脂肪酸エステルから構成される。エポキシ化トール油脂肪酸、2−エチルヘキシルエステル(ETP);エポキシ化9−オクタデカン酸(Z)−、プロピレングリコールエステル(EODA);エポキシ化大豆油(ESBO);エポキシ化亜麻仁油(ELSOまたはELO)。ETPは2−エチルヘキサノールとのモノエステルである。EODAはプロピレングリコールとのジエステルである。ESBOとELSOはグリセロールとのトリエステル(トリグリセリド)である。
【0022】
ポリグリコールジエポキシドは式Iで表すことができる。式Iの好ましい化合物としては、エチレンおよびプロピレングリコールから得られるもの、特に、100〜1500、好ましくは、200〜800、なかでも、600の平均分子量のエチレングリコールおよびポリエチレングリコールから得られるものが挙げられる。式Iにおいて、mは、好ましくは、7〜30、より好ましくは、7〜14である。
【化1】
R’は、水素またはメチルを意味し、mは、1〜40の整数である。
【0023】
ポリグリコールジエポキシドの例としては、限定するものではないが、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、および1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;グリセロールジグリシジルエーテル;グリセリンのトリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル;ソルビトールのテトラグリシジルエーテル;ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル;エチレングリコールジグリシジルエーテル、およびジエチレングリコールジグリシジルエーテルなどのポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル;ならびにプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどのポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル;1種のタイプ、または2種以上のタイプのアルキレンオキシドの、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、およびグリセリンなどの脂肪族ポリオールへの付加により得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、例えば、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、およびプロピレングリコールジグリシジルエーテル;脂肪族長鎖二塩基性酸のジグリシジルエステル;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0024】
本発明において有用なエポキシ化合物の広範囲にわたる一覧は、Lee,H.and Neville,K.,「Handbook of Epoxy Resins」、McGraw−Hill Book Company,New York,1967,Chapter2,pages 257−307に記載されている。
【0025】
好ましくは、エポキシ化合物Iは、エピクロロヒドリンとポリオールとの反応から得られる芳香族エポキシ化合物、例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノール−A)であり、より好ましくは、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、またはこれらの混合物である。これらのエポキシ樹脂は、通常、液体状態または低分子量で、ケトン、エステル、エーテルアルコールなどの種々の脂肪族溶剤、またはキシレンなどのいずれかの芳香族溶剤に可溶である。
【0026】
本発明の硬化性組成物の調製に有用なエポキシ化合物Iは、市販の製品から選択されるのが好ましい。例えば、ダウケミカル社から入手可能な、D.E.R.(商標)331、D.E.R.(商標)332、D.E.R.(商標)334、D.E.R.(商標)337、D.E.R.(商標)383、D.E.R.(商標)580、D.E.R.(商標)736、またはD.E.R.(商標)732を使用できる。エポキシ化合物Iとしては、平均エポキシド等量190のD.E.R.(商標)331および平均エポキシド等量240のD.E.R.(商標)337などの液体エポキシ樹脂が最も好ましい。
【0027】
好ましくは、エポキシ化合物IIは、ポリグリコールジエポキシドおよびグリコール変性ポリグリコールジエポキシドであり、より好ましくは、平均分子量(Mw)300〜1000のポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルなどのポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、およびグリセロールジグリシジルエーテルである。
【0028】
1以上の実施形態では、硬化性組成物は、硬化剤を含む。硬化剤は、ノボラック、アミン、酸無水物、カルボン酸、フェノール、チオール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択できる。硬化剤は、硬化性組成物の1重量パーセント〜40重量パーセントでよく、例えば、硬化剤は、硬化性組成物の20重量パーセント〜40重量パーセント、または25重量パーセント〜35重量パーセントであってよい。
【0029】
1以上の実施形態では、硬化剤にノボラックが含まれてもよい。ノボラックの例としては、フェノールノボラックが挙げられる。フェノールは、過剰な状態で酸性触媒の存在下でホルムアルデヒドと反応させてフェノールノボラックを生成できる。
【0030】
1以上の実施形態では、硬化剤にアミンが含まれてもよい。アミンは、脂肪族ポリアミン、アリール脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、ヘテロ環式ポリアミン、ポリアルコキシポリアミン、ジシアンジアミドおよびこれらの誘導体、アミノアミド、アミジン、ケチミン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択できる。好ましいアミン硬化剤は、不飽和脂肪酸と、分子当たり少なくとも3つのアミノ基を有するC〜C10脂肪族ポリアミンの縮合により形成されたものを含む、2個以上の反応性水素基およびアミン末端ポリアミド組成物を含むC〜C10ポリアミンである。十分な量のアミン硬化剤を採用してエポキシド樹脂の強固な架橋を保証する。通常、化学量論量またはわずかに過剰量のアミン硬化剤が採用される。通常、アミン硬化剤は、エポキシ樹脂のタイプに応じて20〜75wt.パーセントの範囲の量で使用される。
【0031】
脂肪族ポリアミンの例としては、限定するものではないが、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、トリメチルヘキサンジアミン(TMDA)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン(N3−アミン)、N,N’−1,2−エタンジイル−ビス−1,3−プロパンジアミン(4−アミン)、ジプロピレントリアミン、およびビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのこれらのアミンの過剰分とエポキシ樹脂の反応生成物が挙げられる。
【0032】
アリール脂肪族ポリアミンの例としては、限定するものではないが、m−キシリレンジアミン(mXDA)、およびp−キシリレンジアミンが挙げられる。脂環式ポリアミンの例としては、限定するものではないが、1,3−ビスアミノシクロヘキシルアミン(1,3−BAC)、イソフォロンジアミン(IPDA)、4,4’−メチレンビスシクロヘキサンアミン、およびHuntsman Chemical CompanyのJEFFLINK(登録商標)754などのビス(二級アミン)が挙げられる。
【0033】
芳香族ポリアミンの例としては、限定するものではないが、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、およびジアミノジフェニルスルホン(DDS)が挙げられる。ヘテロ環式ポリアミンの例としては、限定するものではないが、N−アミノエチルピペラジン(NAEP)、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0034】
ポリアルコキシポリアミンの例としては、限定するものではないが、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン;1−プロパンアミン;(2,1−エタンジイルオキシ)−ビス−(ジアミノプロピル化ジエチレングリコール)(ANCAMINE(登録商標)1922A);ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル))、アルファ−(2−アミノメチルエチル)オメガ−(2−アミノメチルエトキシ)(JEFFAMINE(登録商標)SD−231、SD−401、SD−2001);トリエチレングリコールジアミン;およびオリゴマー(JEFFAMINE(登録商標)EDR−148、EDR−176);ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル))、アルファ,アルファ’−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス(オメガ−(アミノメチルエトキシ))(JEFFAMINE(登録商標)XTJ−511);ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン350;ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン750;ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル));2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールとのα−ヒドロ−(2−アミノメチルエトキシ)エーテル(JEFFAMINE(登録商標)T−403);ジアミノプロピルジプロピレングリコール;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
ジシアンジアミド誘導体の例としては、限定するものではないが、グアナゾール、フェニルグアナゾール、シアノ尿素、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
アミノアミドの例としては、限定するものではないが、米国特許第4,269,742号に記載されているような、上記脂肪族ポリアミンと化学量論量不足酸無水物およびカルボン酸との反応により形成されるアミドが挙げられる。
【0037】
アミジンの例としては、限定するものではないが、カルボキサミジン、スルフィンアミジン、ホスフィンアミジン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
ケチミンの例としては、構造(RC=NRの化合物が含まれ、式中、各Rはアルキル基であり、Rはアルキル基または水素およびこれらの組み合わせである。
【0039】
1以上の実施形態では、硬化剤にフェナルカミンが含まれてもよい。フェナルカミンは、アルキルフェノール、アルデヒドおよびもう一つの少なくとも二官能性のアミンの縮合物であり、当業者にはホルムアルデヒドなどのアルデヒド、アミンおよびアルキルフェノールの反応生成物のマンニッヒ塩基として知られる(国際公開第2004/024792A1号、第3ページ16〜18行目を参照されたい)。有用なアミンとしては、エチレンジアミン(EDA)、ジエチルトリアミン(DETA)(国際公開第2004/024792A1号、第3ページ18〜19行目を参照されたい)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、m−キシレンジアミン(MXDA)、イソフォロンジアミン、およびこれらの混合物が挙げられる。TETAとTEPAの混合物がアミン混合物として使用されるのが最も好ましい。アルキルフェノールは、カシューナットシェル液から得られるカルダノール含有抽出物である(国際公開第2004/024792A1号、第3ページ19〜20行目を参照されたい)。
【0040】
1以上の実施形態では、硬化剤に酸無水物が含まれてもよい。酸無水物は、同じ酸素原子に対し2つのアシル基を有する化合物である。酸無水物は対称型でも混合型でもよい。対称型酸無水物は同じアシル基を有する。混合型酸無水物は異なるアシル基を有する。酸無水物は、芳香族酸無水物、脂環式酸無水物、脂肪族酸無水物、高分子酸無水物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0041】
芳香族酸無水物の例としては、限定するものではないが、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリト酸無水物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
脂環式酸無水物の例としては、限定するものではないが、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
脂肪族酸無水物の例としては、限定するものではないが、プロピオン酸無水物、酢酸無水物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
高分子酸無水物の例としては、限定するものではないが、ポリ(スチレン−co−マレイン酸無水物)共重合体などのマレイン酸無水物の共重合により得られる高分子酸無水物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
1以上の実施形態では、硬化剤にカルボン酸が含まれてもよい。カルボン酸の例としては、構造RC(=O)OHのオキソ酸が含まれ、式中、Rはアルキル基または水素、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
1以上の実施形態では、硬化剤にフェノールが含まれてもよい。フェノールの例としては、限定するものではないが、ビスフェノール、ノボラック、およびフェノールおよび/またはフェノール誘導体から得られるレゾール、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0047】
1以上の実施形態では、硬化剤にチオールが含まれてもよい。チオールの例としては、構造RSHを有する化合物が含まれ、式中、Rはアルキル基、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
本発明の硬化性組成物は、硬化性組成物の総重量を基準にして1重量%〜20重量%の塩素化ポリオレフィンベースターポリマーをさらに含む。その含量は、3重量%〜13重量%であるのが好ましい。
【0049】
一実施形態では、塩素化ポリオレフィンベースターポリマーは、塩化ビニル、酢酸ビニル、およびビニルアルコールのターポリマーである。このターポリマーは、約5〜約20モルパーセントの量のビニルアルコール反復単位、約80〜約90モルパーセントの量の塩化ビニル反復単位、および約4〜約10モルパーセントの量の酢酸ビニル反復単位を含む。ターポリマーは、約14〜約15モルパーセントの量のビニルアルコール反復単位、約70〜約80モルパーセントの量の塩化ビニル反復単位、および1〜約5モルパーセントの量の酢酸ビニル反復単位を含むのが好ましいが、モノマーの相対量はこれらの範囲外であってもよい。
【0050】
塩化ビニル、酢酸ビニル、およびビニルアルコールのターポリマーは、典型的な例では、約25000〜約40000、より好ましくは、約30000〜約35000の重量平均分子量(Mn)であるが、重量平均分子量がこれらの範囲外であってもよい。
【0051】
適切なポリ(塩化ビニル−ビニルアルコール−酢酸ビニル)ターポリマーは、例えば、水、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、などの適切な溶媒中で塩化ビニルと酢酸ビニルの高圧フリーラジカル重合によりポリ(塩化ビニル−酢酸ビニル)共重合体を形成し、続いてポリ(塩化ビニル−酢酸ビニル)共重合体を加水分解してポリ(塩化ビニル−ビニルアルコール−酢酸ビニル)ターポリマーを得ることにより調製できる。
【0052】
このような適切なポリ(塩化ビニル−ビニルアルコール−酢酸ビニル)ターポリマーの市販製品の1つは、Connell Bros.Company LTDにより販売されている、Mnが約32000、Vac含量が4%、ヒドロキシル値が75のCONVINYL(登録商標)G−75である。
【0053】
別の実施形態では、塩素化ポリオレフィンベースターポリマーは、塩化ビニル、酢酸ビニル、およびマレイン酸のターポリマーである。これは、約5〜約20モルパーセントの量の酢酸ビニル反復単位、約70〜約90モルパーセントの量の塩化ビニル反復単位、および約1〜約10モルパーセントの量のマレイン酸反復単位を含む。ターポリマーは、約10〜約15モルパーセントの量の塩化ビニル反復単位、約80〜約90モルパーセントの量の酢酸ビニル反復単位、および1〜約5モルパーセントの量のマレイン酸反復単位を含むのが好ましいが、モノマーの相対量は、これらの範囲外であってもよい。
【0054】
典型的な例では、ターポリマーは、重量平均分子量(Mn)約20000〜約40000、より好ましくは、約28000〜約32000であるが、重量平均分子量がこれらの範囲外であってもよい。
【0055】
好適するポリ(塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸)ターポリマーは、例えば、塩化ビニルと、酢酸ビニルおよびマレイン酸を水、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、などの適切な溶媒中で高圧フリーラジカル重合を行い、ポリ(塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸)ターポリマーを形成することにより調製できる。
【0056】
このような好適ポリ(塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル)ターポリマーの市販製品の1つは、Connell Bros.Company LTDから販売されている、Mnが29000およびVc:VCM:Malの比が13:86:1のCONVINYL(登録商標)C−47である。
【0057】
1以上の実施形態では、硬化性組成物に、触媒が含まれてもよい。触媒の例としては、限定するものではないが、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、ホウ酸、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム−テトラフェニルボラート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。触媒は、エポキシ化合物100部当たり0.01〜5部の量で使用できる。例えば、触媒は、エポキシ化合物100部当たり0.05〜4.5部または0.1〜4部の量で使用できる。
【0058】
1以上の実施形態では、硬化性組成物に阻害剤が含まれてもよい。阻害剤はルイス酸であってよい。阻害剤の例としては、限定するものではないが、ホウ酸、および、亜鉛、スズ、チタニウム、コバルト、マンガン、鉄、シリコン、ホウ素、アルミニウムのハロゲン化物、酸化物、水酸化物およびアルコキシド、ならびに、これらの組み合わせが挙げられる。本明細書で使われるホウ酸は、メタホウ酸およびホウ酸無水物などのホウ酸またはその誘導体を意味する。硬化性組成物は、触媒モル当たり0.3モルの阻害剤〜触媒モル当たり3モルの阻害剤を含んでもよい。例えば、硬化性組成物は、触媒モル当たり0.4モルの阻害剤〜触媒モル当たり2.8モルの阻害剤、または触媒モル当たり0.5モルの阻害剤〜触媒モル当たり2.6モルの阻害剤を含んでもよい。
【0059】
また、硬化性組成物に、エポキシ樹脂系に一般にみられる1種以上の任意の添加物が含まれ、本発明のコーティング組成物を形成してもよい。例えば、本発明の硬化性組成物は、非反応性および反応性希釈剤、触媒、他の硬化剤、他の樹脂、繊維、着色料、チキソトロープ剤、光開始剤、潜在性光開始剤、潜在性触媒、阻害剤、流動性調節剤、加速剤、乾燥添加物、界面活性剤、接着促進剤、流動性調節剤、安定剤、イオンスカベンジャー、紫外線安定剤、柔軟剤、難燃剤、処理を容易にする希釈剤、強靱化剤、湿潤剤、離型剤、カップリング剤、粘着付与剤、および製造、適用、または適切な組成物の機能遂行に必要ないずれか他の物質などの添加物を含んでもよい。
【0060】
充填剤が、粘度、レオロジー、貯蔵安定性、比重および耐食性、耐衝撃性および耐摩耗性などの硬化後機能特性を調節するために使用される。充填剤は、球状でも、平板状でもよい。本明細書で使われる平板状は、高アスペクト比を有する粒子を意味する。高アスペクト比の充填剤には、滑石、雲母および黒鉛が含まれる。好ましい高アスペクト比の充填剤には、20〜70ミクロン(マイクロメートル)、最も好ましくは、50ミクロン(マイクロメートル)の粒径中央値の雲母が含まれる。充填剤の例としては、例えば、珪灰石、重晶石、雲母、長石、滑石、シリカ、結晶質シリカ、溶融シリカ、ヒュームドシリカ、ガラス、金属粉末、カーボンナノチューブ、グラフェン、カルシウムカルボナート、および硫酸バリウム;ガラスビーズ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオール樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール性樹脂、黒鉛、モリブデンジスルフィドおよび研磨顔料などの粒子集合体;粘度低下剤、窒化ホウ素、核剤;染料、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、酸化クロムなどの顔料;および有機顔料が挙げられる。
【0061】
本発明のコーティング組成物は、高速、高剪断攪拌条件下で必要成分をバッチ混合することにより作られる。このプロセスには、全液体樹脂、硬化性および平板状充填剤を最初に20分間混合し30mHgで脱ガスするステップ;球状充填剤およびガラス球を添加し、混合物を20分間混合し30mmHgで脱ガスするステップ、および次に、ヒュームドシリカを加え、混合物を10分間混合し30mmHgで脱ガスするステップ、の3ステップが含まれる。
【0062】
コーティングの調製に関する他の情報は、米国特許出願公開第2010/0048827(A1)号に記載されている。
【0063】
本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物の総重量を基準として、a)25重量%〜45重量%、好ましくは、30重量%〜45重量%、最も好ましくは、30重量%〜40重量%の硬化エポキシ化合物I;b)1重量%〜20重量%、好ましくは、3重量%〜13重量%の塩素化ポリオレフィンベースターポリマー;およびc)35重量%〜65重量%、好ましくは、40重量%〜60重量%、最も好ましくは、45重量%〜60重量%の充填剤を含む。
【0064】
一部の実施形態では、本発明のコーティング組成物は、0.1重量%〜25重量%、好ましくは、5重量%〜20重量%、最も好ましくは、10重量%〜15重量%の硬化エポキシ化合物IIをさらに含む。
【0065】
実施例
I.原材料
【表1】
【0066】
II.試験手順
オーバーコート可能期間を、下記の評価プロトコルによるASTM D3359−02に従ってクロスハッチテープ試験(cross hatch tape test)により測定した。
a)Q−パネル上に200umの未乾燥塗膜厚さでコーティングを塗布する。
b)各コーティングを半硬化乾燥状態にする。
c)コーティングを設定期間(1日〜6ヶ月)の間、自然光下で熟成する。
d)200umの未乾燥塗膜厚さのアクリル表面コートをトップコートする。
e)室温で少なくとも5日間硬化する。
f)クロスハッチテープ試験を実施する。
【0067】
オーバーコート可能期間の定義:
オーバーコート可能期間は、クロスハッチテープ試験による接着試験結果から決定された。クロスハッチテープ試験の各種分類を表2に列挙した。トップコートとプライマーとの間の接着が5Bから4Bに減少し始めるときをオーバーコート可能期間とした。
【表2】
【0068】
また、耐薬品性試験および耐塩水噴霧試験を行い、耐食性能を評価した。
耐薬品性試験:
タンポンに10重量%水酸化ナトリウム溶液または10重量%硫酸溶液を染み込ませ、日数を変えて、コーティング表面上に置いた。水の蒸発を制限するために、プラスチックボトルを使用して化学薬品を含む衛生綿を覆い隠した。E:優秀、G:良好、F:可、P:不可、の4段階の評価尺度を使用した。
【表3】
【0069】
III.実施例
表4の配合物に従ってプライマーを調製した。固形物含量は77%で、エポキシド基の含有量は1.145mmol/gである。
【表4】
【0070】
実施例1
表1の配合に従ってプライマーを調製した。固形物含量は77%である。15gプライマー(77%固形分)および0.75gCONVINYL(登録商標)G−75(塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体、50%固形分、Mn=32000、Vac含量4%、ヒドロキシル値75、Connell Bros.Company LTD.)ならびに6.67gフェナルカミン硬化剤を加え、10分間攪拌した。十分に混合した溶液をミキサーから取りだし、2〜5分静置して気泡を除去した。上記配合物を、ブレードコーターを使用してQ−パネル上にコートした。厚さ200μmの液状塗料を清浄Q−パネル(H.J.Unkel LTD.Company)に塗布した。トップコートをコーティングする前に、コーティングしたパネルを室温で設定時間乾燥させた。トップコートが完全に乾燥した時点で、クロスハッチテープ試験を行った。また、塩水噴霧試験および耐薬品性試験を行って耐食特性を評価した。
【0071】
実施例2
15gプライマー(77%固形分)および1.5gCONVINYL(登録商標)G−75(塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体、50%固形分、Mn=32000、Vac含量4%、ヒドロキシル値75、Connell Bros.Company LTD.)ならびに6.67gフェナルカミン硬化剤を加えた。調製プロセスは、実施例1と同じである。トップコートをコーティングする前に、コーティングしたパネルを室温で設定時間乾燥させた。トップコートが完全に乾燥した時点で、クロスハッチテープ試験を行った。また、塩水噴霧試験および耐薬品性試験を行って耐食特性を評価した。
【0072】
実施例3
15gプライマー(77%固形分)および3gCONVINYL(登録商標)G−75(塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体、50%固形分、Mn=32000、Vac含量4%、ヒドロキシル値75、Connell Bros.Company LTD.)ならびに6.67gフェナルカミン硬化剤を加えた。調製プロセスは、実施例1と同じである。トップコートをコーティングする前に、コーティングしたパネルを室温で設定時間乾燥させた。トップコートが完全に乾燥した時点で、クロスハッチテープ試験を行った。また、塩水噴霧試験および耐薬品性試験を行って耐食特性を評価した。
【0073】
実施例4
15gプライマー(77%固形分)および1.5gCONVINYL(登録商標)C−47(塩化物/酢酸ビニル/マレイン酸ターポリマー、50%固形分、Mn=29000、Vac:Vcm:Mal=13:86:1、Connell Bros.Company LTD.)ならびに6.67gフェナルカミン硬化剤を加えた。調製プロセスは、実施例1と同じである。トップコートをコーティングする前に、コーティングしたパネルを室温で設定時間乾燥させた。トップコートが完全に乾燥した時点で、クロスハッチテープ試験を行った。また、塩水噴霧試験および耐薬品性試験を行って耐食特性を評価した。
【0074】
実施例5
15gプライマー(77%固形分)および3gCONVINYL(登録商標)C−47(塩化物/酢酸ビニル/マレイン酸ターポリマー、50%固形分、Mn=29000、Vac:Vcm:Mal=13:86:1、Connell Bros.Company LTD.)ならびに6.67gフェナルカミン硬化剤を加えた。調製プロセスは、実施例1と同じである。トップコートをコーティングするために、コーティングしたパネルを室温で設定時間乾燥させた。トップコートが完全に乾燥した時点で、クロスハッチテープ試験を行った。また、塩水噴霧試験および耐薬品性試験を行って耐食特性を評価した。
【0075】
比較例1
15gプライマー(77%固形分)および6.67gフェナルカミン硬化剤を加えた。調製プロセスは、実施例1と同じである。トップコートをコーティングする前に、コーティングしたパネルを室温で設定時間乾燥させた。トップコートが完全に乾燥した時点で、クロスハッチテープ試験を行った。また、塩水噴霧試験および耐薬品性試験を行って耐食特性を評価した。
【0076】
比較例2
15gプライマー(77%固形分)および0.75gポリ(塩化ビニル)(平均Mn=30000)ならびに6.67gフェナルカミン硬化剤を混合し、30分間攪拌した。しかし、かなりのメチルエチルケトンをプライマー系中に加えた後でさえも、塩化ビニルを完全にキシレンで溶解するのは困難であった。従って、ポリ(塩化ビニル)混合粉末をエポキシ系中に直接混合するには、溶解度の問題がある。
【0077】
IV.結果
【表5】
表5に、この研究で使用された種々のコーティングの特性をまとめる。塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合体CONVINYL(登録商標)G−75または塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸ターポリマーCONVINYL(登録商標)C−47のブレンドにより、全てのコーティングは、オーバーコーティング可能期間が改善され、さらに、耐食性および耐薬品性がわずかに改善された。塩化ビニルポリマー変性プライマーのガラス転移温度(Tg)は、比較例1のTgに比べて少し低下した。室温で30日間硬化したコーティングの耐衝撃性、ペンデュラム硬度および接触角を試験した。これらのパラメータは、適用量と共に変動するが、許容可能な範囲である。