特許第6030795号(P6030795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6030795
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】抗ウィルス性の化粧板
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20161114BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   B32B27/00 E
   B32B27/18 Z
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-97876(P2016-97876)
(22)【出願日】2016年5月16日
【審査請求日】2016年5月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-219961(P2015-219961)
(32)【優先日】2015年11月9日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-228925(P2015-228925)
(32)【優先日】2015年11月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀野 克年
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和紘
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−285691(JP,A)
【文献】 特開2013−180233(JP,A)
【文献】 特開2008−087260(JP,A)
【文献】 特開2005−067209(JP,A)
【文献】 特開2003−020391(JP,A)
【文献】 特開平11−256017(JP,A)
【文献】 特開2000−096800(JP,A)
【文献】 特開2002−011827(JP,A)
【文献】 特開2006−175685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、
前記表層樹脂層上に存在する可視光応答型光触媒とからなり、
前記表層樹脂層における前記可視光応答型光触媒の存在量が0.02〜0.21g/mであることを特徴とする抗ウィルス性の化粧板。
【請求項2】
前記可視光応答型光触媒の存在量が0.03〜0.21g/mである請求項1に記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項3】
さらに、前記表層樹脂層上には、セラミック粒子が露出して配置され、
前記可視光応答型光触媒は、前記セラミック粒子の露出面上に担持されている請求項1または2に記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項4】
前記セラミック粒子は、酸化アルミニウム含有粒子である請求項3に記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項5】
前記セラミック粒子は、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子である請求項3又は4に記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項6】
前記セラミック粒子の平均粒子径は、0.1μm〜55μmである請求項3〜5のいずれか一つに記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項7】
前記セラミック粒子は、前記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在する請求項3〜6のいずれか一つに記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項8】
前記セラミック粒子の表層に無機ゾルの乾燥体を有している請求項3〜7のいずれか一つに記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項9】
前記可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンである請求項1〜8のいずれか一つに記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項10】
前記表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する請求項1〜9のいずれか一つに記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項11】
前記表層樹脂層上には、耐酸化性樹脂からなる耐酸化性樹脂層が形成され、前記耐酸化性樹脂層上に前記可視光応答型光触媒が担持されている請求項1〜10のいずれか一つに記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項12】
前記耐酸化性樹脂は、シリコーン樹脂またはフッ素樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項11に記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項13】
前記表層樹脂層上には、シリコーン樹脂層が形成され、前記シリコーン樹脂層上に機能性物質が担持されている請求項1〜10のいずれか一つに記載の抗ウィルス性の化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウィルス性の化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メラミン化粧板等の化粧板に、光触媒などの機能性物質を添加もしくは塗布することで、防汚性、抗菌性等の機能性を付与した化粧板が提供されている。
【0003】
特許文献1には、抗菌・抗ウィルス性等の機能を有する機能材を含有する樹脂塗膜で被覆された機能性建材が提案されている。
【0004】
特許文献2には、シリコーン樹脂層上に光触媒が担持された防汚化粧板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−80210号公報
【特許文献2】特開2003−276117号公報
【特許文献3】特許3486588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の建材は、樹脂塗膜中にタンニン酸などの抗ウィルス性物質が担持されたシリカ微粒子が含まれるため、大部分の抗ウィルス性物質は化粧板表面の樹脂層中に埋まってしまう。このため、建材表層における抗ウィルス性物質の露出部が少なく、充分な機能性が発現できないという問題があった。また、建材や化粧板には、ウィルス不活度が99.9%以上(大腸菌に対して不活化されていないウィルス濃度が1000分の1以下)相当となる高い抗菌性、抗ウィルス性を要求される場合もあり、このような場合、その機能性を充分に発現できないという課題もあった。
また、特許文献2に記載の化粧板は、防汚性を目的としており、抗ウィルス性特性を維持するためにどの程度の光触媒を担持すべきかについては、全く記載されていない。
さらに、これらの公知文献に記載された化粧板では、機能性物質が、光触媒のように白色であったり、着色している場合には、化粧板の意匠性が低下するという問題があった。
特許文献3の化粧板では、光抗菌剤と光触媒の併用が開示されているが、触媒の量が多すぎて化粧板の意匠性が低下してしまうという問題があった。
【0007】
また、化粧板の表層に機能性物質を添加又は塗布する場合があるが、このような場合、機能性物質は表層の表層樹脂層に埋まってしまい表層における露出部が少ないため、充分な機能性が発現できないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、意匠性を低下させることなく、機能性に優れた化粧板を提供することを目的とする。特に、抗菌性、抗ウィルス性に優れた化粧板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の化粧板は、基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、上記表層樹脂層上に存在する機能性物質とからなり、上記表層樹脂層における上記機能性物質の存在量が0.02〜0.21g/mであり、望ましくは、0.03〜0.21g/mであることを特徴とする。
【0010】
本発明の化粧板は、表層樹脂層における機能性物質の存在量が0.02〜0.21g/mであるため、機能性物質の機能を充分に発揮することができ、かつ、機能性物質によって化粧板の意匠性が低下することを防止できる。
表層樹脂層における機能性物質の存在量が0.02g/m未満の場合、機能性物質の量が少なすぎるため、ウィルス不活性度が実用上要求される−3.00もしくはそれよりも抗ウィルス機能が優れていることを示す数値を得ることができず、充分な抗菌性、抗ウィルス性を発揮できない。一方、表層樹脂層における機能性物質の存在量が0.21g/mを超えると、機能性物質によって化粧板の意匠性が低下する。また、表層樹脂層における機能性物質の存在量が0.21g/mを超えると、抗ウィルス機能が低下してしまう。この理由は、明確ではないが、光触媒のような機能性物質が密集してしまい、比表面性が低下してしまうからであると推定している。本発明の化粧板は、表層樹脂層における機能性物質の存在量が0.5g/m以上となると、抗ウィルス機能がさらに低下する。なお、ウィルス不活性度とは、元のウィルスの量を1とし、ウィルス失活処理後に失活したウィルス量をXとした場合に、常用対数log(1−X)で示される数値(負の値で示される)であり、絶対値が大きいほどウィルスを不活性化する能力が高い。たとえば、元のウィルスの99.9%が失活した場合、ウィルス不活性度は、log(1−0.999)=−3.00で表記される。なお、ウィルス失活処理前の全ウィルス量に対するウィルス失活処理後に失活したウィルス量の割合を%で表したもの(上記の場合、99.9%)をウィルス不活度という。
本発明の化粧板における表層樹脂層における機能性物質の存在量は、0.03g/m以上であることが望ましい。この理由は、ウィルス不活性度が−4.76(ウィルス不活度99.998%)と同等かそれよりも抗ウィルス性において優れた値となるため、充分な抗菌性、抗ウィルス性を発揮でき、医療用途の中でも手術室など、抗ウィルス機能に即効性と再現性が要求される用途への応用が可能となるためである。本発明の化粧板において、表層樹脂層としてメラミン樹脂を、機能性物質として光触媒を採用した場合には、光触媒の存在量が0.033〜0.111g/mであることが望ましい。光触媒が脱落してメラミン樹脂が劣化することを防止できるからである。
【0011】
本発明の化粧板においては、上記表層樹脂層上には、セラミック粒子が露出して配置され、上記機能性物質は、上記セラミック粒子の露出面上に担持されていることが望ましい。
機能性物質がセラミック粒子の露出面上に担持されていると、機能性物質は表層樹脂層に直接接触しない。このため、機能性物質による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する機能性物質の脱落を防止することができる。また、機能性物質がセラミック粒子の露出面上に担持されていると、機能性物質の表層樹脂層中への埋没がなく、化粧板表面上に露出されているので、抗菌性、抗ウィルス性等、機能性物質としての本来の機能を発揮することができ、その効果を長期間維持することができる。
また、表層樹脂層上に耐酸化性樹脂からなる耐酸化性樹脂層を設け、当該耐酸化性樹脂からなる樹脂層上に機能性物質を担持してもよい。
セラミック粒子同様に、機能性物質は表層樹脂層に直接接触しない。このため、機能性物質による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する機能性物質の脱落を防止することができる。
上記耐酸化性樹脂としては、シリコーン樹脂もしくはフッ素樹脂を使用することができる。
【0012】
本発明の化粧板において、セラミック粒子の等電点は、機能性物質の等電点よりも高いことが望ましい。ここで等電点とは、溶液の水素イオン濃度を変化させたとき、溶質となる粒子の正と負の電荷が全体としてゼロになり、電場をかけても移動しないような状態で、粒子全体の電荷平均が0となるときの水素イオン指数であり、その値をpHとして表す。この等電点は物質により規定される値であり、その一例として、機能性物質の等電点はpH5〜6であるものが多く、それに対して、セラミック粒子は、機能性物質の等電点よりも高い等電点となるものを用いることができる。特に、セラミック粒子の等電点がpH7以上であることがより望ましい。なお、等電点の測定方法としては、電気泳動法(JIS R1638)により行うことができる。
【0013】
セラミック粒子としては、具体的には、セリウム、ジルコニウム、ストロンチウム、アルミニウム、珪素、鉄、コバルト、銅、クロム、ニッケル、錫、カドミウム、マグネシウム、マンガン、タングステン、バナジウム、イットリウムなどから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属酸化物あるいは金属水和物の粒子、酸化アルミニウム含有粒子、シリカ含有粒子、珪藻土からなるセラミック粒子を用いることができる。また、等電点に関し、アルミナ(Al)の等電点は、pH:7.4〜9.2、ベーマイト(AlOOH)の等電点は、pH7.7〜9.4、カドミウム水酸化物(Cd(OH))の等電点は、pH10.5以上、酸化カドミウム(CdO)の等電点は、pH7.7、鉄水和物(Fe(OH))の等電点は、pH12、酸化鉄(Fe)の等電点は、pH12、酸化銅(CuO)の等電点は、pH9.5、銅水和物(Cu(OH))の等電点は、pH7.7である。これらの成分を複合化し、セラミック粒子としての等電点が、機能性物質の等電点よりも高いことが望ましい。上記したセラミック粒子を構成する化合物のなかでは、特に酸化アルミニウム含有粒子を用いることが望ましい。
【0014】
セラミック粒子は、菌やウィルスを引き寄せやすいという作用を有する。そもそも、菌やウィルスは、タンパク質や脂肪を含んでいるため、アニオン物質であり、アニオン物質は、その対極であるカチオン物質に引き寄せられるという性質を有する。つまり、化粧板の表層に存在する菌やウィルスは、セラミック粒子に引き寄せられ、セラミック粒子に担持された機能性物質により、菌やウィルスを減少させることができ、また、菌やウィルスが増殖しないので、抗菌や抗ウィルスの効果を得やすくなる。セラミック粒子でない粒子の場合、化粧板の表層に存在する菌やウィルスが機能性物質に接触する頻度が低いので、菌やウィルスが残存または増殖し、抗菌や抗ウィルスの効果を得にくいのである。
【0015】
また、セラミック粒子は、機能性物質を一定間隔で担持しやすいという性質を有する。セラミック粒子でない粒子に機能性物質を担持させると、機能性物質の間隔が狭くなりやすい。そのため、菌やウィルスと機能性物質との接触頻度が低下し、想定される菌やウィルスの減少作用が発揮されなくなる。その結果、菌やウィルスを減少させるのに時間を要し、抗菌、抗ウィルスの効果が発現しにくくなる。これに対して、本発明で用いるセラミック粒子は、一定間隔に担持されるので、菌やウィルスが機能性物質との接触頻度の低下がなく、所望の時間で菌やウィルスを減少させ、抗菌、抗ウィルスの効果が発現しやすくなる。このように、セラミック粒子は、機能性物質の担持を一定間隔にさせ、菌やウィルスを引き寄せるという効果があり、抗菌や抗ウィルス効果を向上させることができる。機能性物質に、菌やウィルスが接触すると、機能性物質は、菌やウィルスを全分解させるか、又は、一部を損傷させることができるので、菌やウィルスを減少させることができる。
上記した効果は、セラミック粒子に機能性物質を担持させることにより得られる。
【0016】
本発明の化粧板では、セラミック粒子として、酸化アルミニウム含有粒子を用いることが望ましい。また、セラミック粒子として、具体的には、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子を用いることが望ましい。アルミナは、セラミック粒子の中で最も利用しやすい上に、上記で説明した菌やウィルスを減少させる作用を効率的に利用することができる。また、アルミン酸ストロンチウムは、蓄光作用があるので、光がない環境下でも菌やウィルスを減少させる作用を長時間持続させることができる。
【0017】
本発明の化粧板において、セラミック粒子の平均粒子径は、0.1μm〜55μmであることが望ましい。
【0018】
本発明の化粧板において、上記セラミック粒子は、上記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在することが望ましい。
セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して5%以上の面積率で露出していると、機能性物質を充分に担持させることができるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に発揮させることができる。また、セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して30%以下の面積率で露出していると、機能性物質を担持するセラミック粒子が表層樹脂層に強固に接合され脱落しにくくなるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に持続させることができる。
【0019】
本発明の化粧板において、機能性物質は、光触媒であることが望ましく、可視光応答型光触媒であることがさらに望ましい。
【0020】
本発明の化粧板において、上記可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンであることが望ましい。特に、可視光応答型光触媒の等電点は、pH5〜6であることが望ましい。
【0021】
本発明の化粧板において、上記表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有することが望ましい。
【0022】
本発明の化粧板において、セラミック粒子の表層に無機ゾルの乾燥体を有していることが望ましい。機能性物質の固定化を補強することができるからである。
【0023】
本発明の化粧板において、上記表層樹脂層上には、耐酸化性樹脂からなる耐酸化性樹脂層が形成され、上記耐酸化性樹脂層上に機能性物質が担持されていることが望ましい。
表層樹脂層上に耐酸化性樹脂層が形成され、耐酸化性樹脂層上に機能性物質が担持されていると、機能性物質は表層樹脂層に直接接触しない。このため、機能性物質による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する機能性物質の脱落を防止することができる。
【0024】
本発明の化粧板において、上記耐酸化性樹脂は、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
シリコーン樹脂及びフッ素樹脂は耐酸化性に優れるため、機能性物質による劣化を受けにくい。
【0025】
本発明の化粧板において、上記表層樹脂層上には、シリコーン樹脂層が形成され、上記シリコーン樹脂層上に機能性物質が担持されていることが望ましい。
表層樹脂層上にシリコーン樹脂層が形成され、シリコーン樹脂層上に機能性物質が担持されていると、機能性物質が表層樹脂層に直接接触することがないため、機能性物質による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する機能性物質の脱落を防止することができる。さらに、シリコーン樹脂層は耐酸化性に優れるため、機能性物質による劣化を受けにくい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の化粧板では、表層樹脂層における機能性物質の存在量が0.02〜0.21g/mであるため、化粧板の意匠性を損なうことなく、充分な抗菌性、抗ウィルス性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
図2図2は、本発明の化粧板を構成するセラミック粒子の露出部の面積率の算定の基礎となる面積部を示す説明図である。
図3図3(a)は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図であり、図3(b)は、本発明の他の実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
図4図4は、機能性物質(光触媒)の存在量[g/m]とウィルス不活性度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の化粧板について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
【0029】
本発明の化粧板1は、基板(図示せず)と基板の表面上に積層されるメラミン樹脂等からなる表層樹脂層12を有し、セラミック粒子13が表層樹脂層12上に露出して配置され、機能性物質14がセラミック粒子13上に担持された構造を有するものである。
【0030】
本発明の化粧板に使用する基板は、特に限定されるものではなく、一般的に化粧板に使用されるコア紙やマグネシアセメント等の不燃基材等を使用することができる。コア紙は単独でもよく複数枚のコア紙を積層した積層体としてもよい。コア紙の枚数は特に限定されないが、1〜20枚とすることができる。コア紙としては、例えば、水酸化アルミニウム抄造紙を使用することができる。コア紙には、フェノール樹脂を含浸させることができる。また、コア紙とマグネシアセメント不燃基材を積層させて基板とすることもできる。
【0031】
マグネシアセメント不燃基材は、単独で使用することにより、又は、コア紙の中心部に積層して配置させることにより基板を構成することができる。マグネシアセメント不燃板は、酸化マグネシウム(MgO)と塩化マグネシウム(MgCl)を混合し、さらに骨材と水を加えて混練し、板状に成形することにより製造されるものである。骨材としては、ロックウール、グラスウール等の無機質繊維、ウッドチップ、パルプ等の有機質繊維を用いることができる。また、マグネシアセメント不燃板の強度を高めるため、中間層として網目状等に形成されたガラス繊維層を設けることができる。
【0032】
複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃基材からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。例えば、基板の片面又は両面にメラミン樹脂含浸紙を積層し、熱圧成形する方法を用いることができる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現する。
また、本発明の化粧板を構成する表層樹脂層に用いることができる樹脂としては、メラミン樹脂、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられる。これらの中では、メラミン樹脂を用いることが望ましい。
【0033】
メラミン樹脂は、透光性などの光学的、視覚的特性を損なうことなく、寸法安定性や靭性を改善した樹脂である。メラミン樹脂としては、メラミン及びその誘導体をモノマーとする樹脂であれば公知のものを採用することができる。また、メラミン樹脂は、単一のモノマーからなる樹脂であってもよく、複数のモノマーからなる共重合体であってもよい。メラミンの誘導体としては、例えば、イミノ基やメチロール基、メトキシメチル基、ブトキシメチル基等のアルコキシメチル基などの官能基を有する誘導体が挙げられる。また、メチロール基を有するメラミン誘導体に低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物をモノマーとして用いることができる。モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロール基を有する誘導体(以下、「メチロール化メラミン」という。)を架橋剤としてメラミンと共重合させてなるメラミン樹脂を用いることができる。
【0034】
メラミン樹脂含浸紙は、パターン紙にメラミン樹脂を所定の含浸率で含浸させた後、加熱、乾燥させることにより作製される。メラミン樹脂をパターン紙に含浸させるには、溶媒として、例えば、ホルムアルデヒド水溶液を使用したメラミン樹脂含有溶液中にパターン紙を浸漬することにより行うことができる。また、メラミン樹脂含浸紙に曲げ加工性を付与するために、メラミン樹脂と共に可塑剤を含む溶液を含浸させることができる。可塑剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、アセトグアナミン、パラトルエンスルフォン酸アミド、尿素等を使用することができる。パターン紙としては、例えばチタン紙が用いられる。パターン紙の坪量は、パターン紙の厚みや重さを考慮して80〜150g/mとすることができる。加熱、乾燥の温度は、パターン紙にメラミン樹脂を強固に固着させるために100〜150℃に設定することができる。
【0035】
本発明の化粧板において、表層樹脂層における機能性物質の存在量は、0.02〜0.21g/mであり、0.025〜0.21g/mが望ましく、0.03〜0.21g/mがより望ましく、0.04〜0.20g/mであることがさらに望ましく、0.05〜0.19g/mであることが好適である。
表層樹脂層における機能性物質の存在量が0.02g/m未満の場合、機能性物質の量が少なすぎるため、ウィルス不活性度が実用上要求される−3.00もしくはそれよりも抗ウィルス性に優れていることを示す数値を得ることができず、充分な抗菌性、抗ウィルス性を発揮できない。
表層樹脂層における機能性物質の存在量が0.025g/m以上の場合、ウィルス不活性度が−4.00と同等かそれよりも抗ウィルス性に優れた値となるため、充分な抗菌性、抗ウィルス性を発揮でき、医療用途など、抗ウィルス機能に即効性(4時間以内に感染力が無くなるまでウイルスの数を減らすことができる)が要求される用途への応用が可能となるためである。ウイルス不活性度が、−4.00と同等かそれよりも抗ウィルス性に優れた値である場合、4時間以内にインフルエンザウイルスを感染力が発現しない数(1000〜3000程度)に、またノロウイルスを感染力が発現しない数(100個)程度にまで減らすことができる。
表層樹脂層における機能性物質の存在量が0.03g/m以上の場合、ウィルス不活性度が−4.76(ウィルス不活度99.998%)と同等かそれよりも抗ウィルス性に優れた値となるため、充分な抗菌性、抗ウィルス性を発揮でき、医療用途の中でも手術室など、抗ウィルス機能に即効性と再現性が要求される用途への応用が可能となるためである。
一方、表層樹脂層における機能性物質の存在量が0.21g/mを超えると、機能性物質の量が多すぎるため、化粧板の外観を損ねることがある。また、抗ウィルス機能も低下してしまう。
【0036】
本発明の化粧板においては、上記表層樹脂層上には、セラミック粒子が露出して配置され、上記機能性物質は、上記セラミック粒子の露出面上に担持されていることが望ましい。
機能性物質がセラミック粒子の露出面上に担持されていると、機能性物質は表層樹脂層に直接接触しない。このため、機能性物質による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する機能性物質の脱落を防止することができる。また、機能性物質がセラミック粒子の露出面上に担持されていると、機能性物質の表層樹脂層中への埋没がなく、化粧板表面上に露出されているので、抗菌性、抗ウィルス性等、機能性物質としての本来の機能を発揮することができ、その効果を長期間維持することができる。
また、表層樹脂層上に耐酸化性樹脂からなる耐酸化性樹脂層を設け、当該耐酸化性樹脂からなる樹脂層上に機能性物質を担持してもよい。
セラミック粒子同様に、機能性物質は表層樹脂層に直接接触しない。このため、機能性物質による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する機能性物質の脱落を防止することができる。
上記耐酸化性樹脂としては、シリコーン樹脂もしくはフッ素樹脂を使用することができる。
シリコーン樹脂としては、具体的には、国際公開第2012/117929号、国際公開第2014/073341号に記載されたシリコーン樹脂や市販のシリコーン樹脂等を使用することができる。
【0037】
セラミック粒子としては、機能性物質の等電点より高い等電点を有し、機能性物質を担持することができる粒子であれば特に限定されないが、酸化アルミニウム含有粒子であることが望ましい。セラミック粒子としては、具体的には、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子を用いることが望ましい。
【0038】
本発明の化粧板において、セラミック粒子の平均粒子径は0.1〜55μmであることが望ましく、0.5〜5μmであることがより望ましい。セラミック粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、セラミック粒子が表層樹脂層に埋まり易くなり、機能性物質がセラミック粒子に担持されにくくなる傾向にあり、セラミック粒子の平均粒子径が55μmを超えると、セラミック粒子が脱落したり、表層樹脂層に凹凸が形成されたりするため、化粧板の外観及び意匠性に不具合が生じる傾向にある。セラミック粒子の平均粒子径が0.5〜5μmであると、機能性物質としての機能性が発揮されて、化粧板の外観及び意匠性においても問題とならない。
【0039】
本発明の化粧板において、上記セラミック粒子は、上記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在することが望ましい。
セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して5%以上の面積率で露出していると、機能性物質を充分に担持させることができるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に発揮させることができる。また、セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して30%以下の面積率で露出していると、機能性物質を担持するセラミック粒子が表層樹脂層に強固に接合され脱落しにくくなるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に持続させることができる。
図2を用いて、セラミック粒子の露出部の面積率の算定の基礎となる面積部を説明する。
本発明の化粧板おける面積率とは、図2における表層樹脂層全体の表面積Aに対する、その上にセラミック粒子13が露出して存在する表層樹脂層の合計の表面積Bの割合を意味する。セラミック粒子が、上記表層樹脂層表面に対して面積率で5%未満しか露出しないと、機能性物質の機能性が充分に発揮できない傾向にある。
【0040】
本発明の化粧板において、機能性物質は、抗菌性、抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性等の機能を有する機能材であることが望ましい。例えば、抗菌性、抗ウィルス性の機能性物質としては、可視光応答型光触媒が挙げられる。この可視光応答型光触媒の具体例としては、例えば、酸化チタンに白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの白金族、鉄、銅などを担持させたものなどが挙げられる。
本発明の化粧板において、可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンであることが望ましく、銅担持チタニア触媒であることがより望ましい。銅担持チタニア触媒としては、例えば、特開2006−232729号公報に記載されたCuO/TiO(重量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタン、特開2012−210557号公報に記載された亜酸化銅(酸化銅(I):CuO)と酸化チタンとが複合化した光触媒組成物、特開2013−166705号公報に記載された一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した酸化チタン、並びに、国際公開第2013/094573号に記載された結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する銅及びチタン含有組成物などが挙げられる。
【0041】
本発明の化粧板において、表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有していてもよい。シリコーン樹脂としては、例えば、シリコーンレジン、変性シリコーンオイル等を用いることができる。変性シリコーンオイルとしては、分子内に1個以上の官能基を有するシリコーンオイルを用いることができる。官能基を導入する位置は特に限定されず、ポリシロキサン主鎖の片末端、両末端あるいは側鎖のいずれの位置に導入してもよい。また、官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、メトキシ基、ヒドラジノ基、エポキシ基、メタクリル基、カルボキシル基、カルビノール基等を導入することができる。
表層樹脂層は、チタン紙に模様や色彩を印刷したパターン紙に前述したメラミン樹脂等を含浸、硬化させてパターン層を構成していてもよい。また、上記表層樹脂層は、填料(酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム等の無機粒子)が5重量%以下の透明紙に前述したメラミン樹脂等を含浸、硬化させたものをパターン層上に積層して、オーバーレイ層を構成してもよい。さらに、複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント等からなる不燃基材からなる基板の裏面にバッカー層を設けて、反りを防止してもよい。
【0042】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基といった官能基を持ったものが望ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、ジアリルジメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0043】
本発明の化粧板において、セラミック粒子の表層に無機ゾルの乾燥体を有していることが望ましい。セラミック粒子の表層に無機ゾルを付着させた後、機能性物質を担持し、乾燥させることにより、機能性物質を無機ゾルの乾燥体で固定化し、機能性物質をより強固に固定化することができるからである。無機ゾルとしては、シリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル等を用いることができるが、シリカゾルを用いることが望ましい。
【0044】
本発明の化粧板において、表層樹脂層上にはシリコーン樹脂からなるシリコーン樹脂層が形成されていてもよく、該シリコーン樹脂層上に機能性物質が担持されていてもよい。
表層樹脂層上にシリコーン樹脂層が形成され、シリコーン樹脂層上に機能性物質が担持されていると、機能性物質が表層樹脂層に直接接触することがないため、機能性物質による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する機能性物質の脱落を防止することができる。さらに、シリコーン樹脂層は耐酸化性に優れるため、機能性物質による劣化を受けにくい。
【0045】
次に、本発明の化粧板の製造方法について説明する。
最初に、複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃基材等からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する。上記基板やその製造方法、上記表層樹脂層については、本発明の化粧板の説明において説明したので、ここでは省略する。
【0046】
本発明の化粧板においても説明したが、基板表面上に表層樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。具体的な表層樹脂層の形成方法としては、例えば、コア紙の積層体からなる基板の片面又は両面にメラミン樹脂等の樹脂含浸紙を積層する積層工程と、メラミン樹脂等の樹脂含浸紙が積層された基板を熱圧成形する熱圧成形工程を含む方法が挙げられる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現する。
【0047】
熱圧成形する際の加熱条件としては、化粧板の温度を125〜150℃とすることができ、加圧条件としては、1.96〜9.80MPa(20〜100kg/cm)とすることができる。温度が125℃未満の場合又は圧力が1.96MPa未満の場合には、基板に対する樹脂含浸紙の密着性が不足し、剥離が発生しやすくなる。一方、温度が150℃を超える場合又は圧力が9.80MPaを超える場合には、亀裂が発生するおそれがある。
【0048】
基板上に表層樹脂層を有する表層樹脂層表面に、セラミック粒子を固定する方法としては、例えば、セラミック粒子を含むスプレー液を表層樹脂層表面に吹き付け、乾燥後、熱圧着する方法をとることができる。上記方法により、樹脂表面上にセラミック粒子を露出して固定させることができる。
【0049】
本発明の化粧板の製造方法においては、セラミック粒子を表層樹脂層表面に熱圧着する際、セラミック粒子吹き付け面と熱圧着プレス面との間にポリエチレンテレフタレート(PET)からなる離形クッション材を介在させて行うことができる。これによって、セラミック粒子が表層樹脂層内に埋没するのを防止することができ、表層樹脂層の表面上に露出して固定することができる。
【0050】
本発明の化粧板の他の製造方法としては、転写フィルムにセラミック粒子を含むスプレー液を吹き付け、次いで、表層樹脂層を有する基板の樹脂表面に、転写フィルムのセラミック粒子付着面を対向させて、セラミック粒子を熱転写する方法が挙げられる。
【0051】
表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有させる際には、メラミン樹脂溶液中に、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含ませることによって、表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含浸する方法を用いることができる。
【0052】
表層樹脂層の表面上に露出して固定されたセラミック粒子の表面に機能性物質を担持させる方法としては、例えば、機能性物質を含む溶液をセラミック粒子を固定した表層樹脂層にスプレー等により塗布し、溶媒を除去する方法が挙げられる。
なお、表層樹脂層に塗布した機能性物質の量は、使用した機能性物質を含む溶液の量から算出することができる。
【0053】
また、化粧板に塗布されている機能性物質の存在量は、以下のようにして測定することができる。まず、化粧板の表面に担持された機能性物質を分離する。分離の方法は機能性物質を溶解させることができればどのような方法を用いてもよいが、弗酸、熱濃硫酸および溶解アルカリ塩などを用いて、化粧板の表面から機能性物質を溶出させる。
続いて、得られた溶出液を用いて、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光法で含有量を分析する。
銅担持チタニア触媒では酸化チタンと銅が機能性物質であるので、酸化チタンの含有量に酸化物係数を乗じた値と、銅の含有量に酸化物係数を乗じた値との和が機能性物質の含有量である。また、機能性物質の含有量を分析した化粧板の面積で除すると存在量を得ることができる。酸化物係数とは、酸化物の組成式に占める測定元素の比率である。
【0054】
図3(a)は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図であり、図3(b)は、本発明の他の実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
表層樹脂層がシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有すると、メラミン樹脂等の表面に撥水性を付与することができる。機能性物質をセラミック粒子の露出面上に担持させる際に、図3(a)に模式的に示されるように、表層樹脂層12がシリコーン樹脂及びシランカップリング剤を含有しない場合には、セラミック粒子13表面だけでなく、表層樹脂層表面15に機能性物質14が付着することがある。一方、図3(b)に模式的に示されるように、表層樹脂層12がシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する場合には、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する表層樹脂層表面16の撥水性によって、機能性物質14は、表層樹脂層12の表面を避け、極力、セラミック粒子13の表面に付着するようになり、表層樹脂層12の表面に直接接触する機能性物質14の量をさらに低減することができる。また、表層樹脂層がシランカップリング剤を含有すると、メラミン樹脂等に硬化性を付与することができ、セラミック粒子を熱圧着する際に、表層樹脂層中に埋没することを防ぐことができる。
【0055】
表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有させることで、セラミック粒子を埋没させずに固定化させることができ、表層樹脂層に機能性物質が付着しにくくする効果がある。具体的には、工程中に過剰となった機能性物質が表層樹脂層に付着しても、洗浄工程後に除去しやすいということである。さらに、菌やウィルスなどを含む汚染水が親水性のセラミック粒子や機能性物質に引き寄せられやすくなり、機能性が発現しやすくなる。特に、表層樹脂層にメラミン樹脂を用いた場合には、上記の作用、効果を得やすい。
【0056】
さらに、本発明の化粧板の製造方法においては、セラミック粒子の表層に無機ゾルを付着させることが望ましい。機能性物質の固定化を補強することができるからである。無機ゾルとしてはシリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル等を用いることができ、シリカゾルを用いることが望ましい。
【実施例】
【0057】
(実施例1)
(一次メラミン含浸工程)
厚さ0.2〜0.3mmの紙ロールを、メラミン樹脂を含む溶液中に浸漬した。溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、ロール紙にメラミン樹脂を含浸させた。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒であった。
(乾燥工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度100℃、乾燥時間30秒となるように乾燥させた。
【0058】
(二次メラミン含浸工程)
乾燥工程を経た紙ロールを、メラミン樹脂からなる溶液中に浸漬させた。溶液の温度20℃、浸漬時間30分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、メラミン樹脂を紙ロールに含浸させた。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒であった。
(乾燥・切断工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度100℃、乾燥時間2時間となるように乾燥させた。乾燥後、910mm×1820mmに切断した。
【0059】
(アルミナ粒子スプレー工程)
平均粒子径0.5μmのγアルミナ粒子とエタノールからなるスプレー液を調製した。スプレー液を常温でスプレーに充填させて、切断したメラミン樹脂含浸紙に吹き付けた。
(乾燥工程)
アルミナ粒子を吹き付けたメラミン樹脂含浸紙を乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度110℃、乾燥時間2分となるように乾燥させた。
【0060】
(組合せ工程)
厚み0.3〜0.4mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、上記工程により得られたアルミナ粒子を吹き付けたメラミン樹脂含浸紙をアルミナ粒子吹き付け面が外面となるように積層し、プレス機のプレス面とメラミン樹脂含浸紙のアルミナ粒子吹き付け面との間にPETからなる離形クッション材を介在させて、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着した。これにより、メラミン樹脂含浸層上にアルミナ粒子が露出して固定された。
【0061】
(光触媒担持工程)
平均粒子径100nmのCuO−TiOの光触媒を水に分散したスラリー(固形分濃度25重量%)と、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、4.5:5.5の重量割合で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度0.05重量%)を調製した。上記工程で得られたアルミナ粒子が表面に配置されたメラミン樹脂含浸層を表面に有する基板にスプレーを用いて上記メタノール混合溶液を光触媒の存在量(固形分重量)が0.111g/mとなるよう塗布し、25℃で12時間乾燥させることにより、アルミナ粒子の露出面上に上記光触媒が担持された化粧板の製造を完了した。
【0062】
(実施例2)
(光触媒担持工程)におけるメタノール混合溶液の塗布量を、光触媒の存在量(固形分重量)が0.056g/mとなるよう変更するほかは、実施例1と同様の手順で実施例2に係る化粧板の製造を完了した。
【0063】
(比較例1)
(光触媒担持工程)におけるメタノール混合溶液の塗布量を、光触媒の存在量(固形分重量)が0.220g/mとなるよう変更するほかは、実施例1と同様の手順で比較例1に係る化粧板の製造を完了した。
【0064】
(実施例3〜10)
実施例1と同様であるが、(光触媒担持工程)におけるメタノール混合溶液の塗布量を、光触媒の存在量(固形分重量)が0.021g/m、0.025g/m、0.029g/m、0.033g/m、0.071g/m、0.210g/m、0.100g/m、0.050g/mとなるようにそれぞれ変更した。
【0065】
(比較例2)
実施例1と同様であるが、(光触媒担持工程)におけるメタノール混合溶液の塗布量を、光触媒の存在量(固形分重量)が0.500g/mとなるように変更した。
【0066】
(比較例3)
実施例1と同様であるが、(光触媒担持工程)におけるメタノール混合溶液の塗布量を、光触媒の存在量(固形分重量)が0.010g/mとなるように変更した。
【0067】
(意匠性の評価)
各実施例及び比較例に係る化粧板の外観を目視で観察し、問題がないか確認した。
【0068】
(抗ウィルス性評価)
各実施例及び比較例で得られた光触媒が担持された化粧板の抗ウィルス性を評価するために、JIS R1756 可視光応答形光触媒材料の抗ウィルス性試験方法に準じて抗ウィルス性に関する測定を行った。測定結果は、大腸菌に対して不活化されたウィルス濃度で表す。ここで、ウィルス濃度の指標として、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用した。ウィルス不活度とは、バクテリオファージを用いた抗ウィルス性試験で、ファージウィルスQβ濃度:830万個/ミリリットルを用いて、大腸菌に感染することができるウィルスの濃度を測定することにより、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度を算出した結果である。すなわち、ウィルス不活度は、ファージウィルスQβ濃度に対して、大腸菌に感染することができない濃度の度合いであり、(ファージウィルスQβ濃度−大腸菌に感染することができるウィルスの濃度)/(ファージウィルスQβ濃度)×100で算出することができる。ウィルス不活度の値が高いほど(ウィルス不活性度の絶対値が高い程)、抗ウィルス性に優れるといえる。ウィルス不活度からウィルス不活性度を求め、結果を機能性物質(光触媒)の存在量[g/m]と共に表1及び図4に示す。
なお、実施例1及び2については、ウィルス不活度が99.99%以上(ウィルス不活性度が−4.00と同等か、それよりも抗ウィルス性に優れた値)という結果が得られた。
また、比較例1については、ウィルス不活度が99.968%(ウィルス不活性度が−3.50)であることが確認された。
【0069】
【表1】
【0070】
表1の結果から、本発明の化粧板は抗ウィルス性に優れ、意匠性を損なわないことが確認できた。
図4には、機能性物質(光触媒)の存在量[g/m]とウィルス不活性度の関係を示すグラフを記載する。実施例3〜10を○、比較例1〜3を×で示した。図4から、ウィルス不活性度−3.00を超える機能を発揮し、白化などの外観上の問題を生じないようにするためには、光触媒の担持量を0.02g/m〜0.21g/mに調整することが必要であることがわかる。
【符号の説明】
【0071】
1 化粧板
12 表層樹脂層
13 セラミック粒子
14 機能性物質
15 表層樹脂層表面
16 シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する表層樹脂層表面
A 表層樹脂層全体の表面積
B セラミック粒子が露出して存在する表層樹脂層の合計の表面積
【要約】
【課題】意匠性を低下させることなく、機能性に優れた化粧板を提供する。
【解決手段】基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、上記表層樹脂層上に存在する機能性物質とからなり、上記表層樹脂層における上記機能性物質の存在量が0.02〜0.21g/mであることを特徴とする化粧板。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4