特許第6030796号(P6030796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6030796
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】抗ウィルス性の化粧板
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   B32B27/00 E
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-105272(P2016-105272)
(22)【出願日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年5月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀野 克年
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和紘
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−175685(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/114966(WO,A1)
【文献】 特開2002−011827(JP,A)
【文献】 特開2001−232713(JP,A)
【文献】 特開2010−167779(JP,A)
【文献】 特表2012−509214(JP,A)
【文献】 特開2008−106112(JP,A)
【文献】 特開2012−016851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一方又は両面上に積層される可視光反射層と、
前記可視光反射層上に配置される耐酸化性樹脂からなる耐酸化性樹脂層と、
前記耐酸化性樹脂層上に配置される可視光応答型光触媒とからなり、
前記可視光反射層は、波長が430〜500nmの光の反射率が60%以上であることを特徴とする抗ウィルス性の化粧板。
【請求項2】
前記可視光反射層は、白色顔料、白色染料及び蛍光増白剤からなる群から選択される少なくとも1種以上を含むパターン紙と樹脂からなる複合体である請求項1に記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項3】
前記白色顔料は、鉛白、酸化チタン、亜鉛華、炭酸カルシウム、タルク、シリカ及びアルミナからなる群から選択される少なくとも1種以上である請求項2に記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項4】
前記蛍光増白剤は、ジアミノスチルベン型増白剤、ウンベリフェロン及びエスクリンからなる群から選択される少なくとも1種以上である請求項2に記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項5】
前記可視光反射層は、光沢性粒子を含むパターン紙と樹脂からなる複合体である請求項1に記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項6】
前記光沢性粒子は、金属粒子又はマイカ粒子である請求項5に記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項7】
前記可視光反射層は、金属層を含む請求項1に記載の抗ウィルス性の化粧板。
【請求項8】
前記耐酸化性樹脂は、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂からなる請求項1〜7のいずれか一つに記載の抗ウィルス性の化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウィルス性の化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メラミン化粧板等の化粧板に、光触媒などの可視光応答型光触媒を添加もしくは塗布することで、防汚性、抗菌性等の機能性を付与した化粧板が提供されている。
【0003】
特許文献1には、化粧板用の表面紙にシリコーン樹脂含浸表面紙を積層し、熱圧成形後、光触媒コーティング剤を塗布してなる防汚性化粧板が開示されている。
【0004】
特許文献2には、フッ素樹脂をバインダーとして、その上に光触媒を担持する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−276117号公報
【特許文献2】特開平07−171408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された化粧板では、表面近傍に固定化されている機能材が可視化されることによって化粧板の意匠性が損なわれることがあった。そのため、表面近傍に可視光応答型光触媒を固定化させた化粧板においては、意匠性と機能性の両立が困難であるという問題があった。
また、特許文献2に記載された技術では、シリコーン樹脂やフッ素樹脂が濁りにより失透しているため、パターン層の意匠性を低下させる上、濁りによる散乱のため、可視光の反射率が低く、可視光応答型光触媒の機能を充分に引き出すことができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、良好な意匠性を保ちつつ、可視光応答型光触媒の機能を充分に発揮することができる化粧板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の化粧板は、基板と、上記基板の一方又は両面上に積層される可視光反射層と、
上記可視光反射層上に配置される耐酸化性樹脂からなる耐酸化性樹脂層と、上記耐酸化性樹脂層上に配置される可視光応答型光触媒とからなり、上記可視光反射層は、波長が430〜500nmの光の反射率が60%以上であることを特徴とする。
【0009】
本発明の化粧板では、可視光応答型光触媒が耐酸化性樹脂層上に配置されているため、可視光応答型光触媒の作用によって耐酸化性樹脂が劣化しにくい。
さらに、可視光応答型光触媒が配置される耐酸化性樹脂層下に、波長が430〜500nmの光の反射率が60%以上である可視光反射層が設けられているため、一度耐酸化性樹脂層を通過した可視光のうち、可視光応答型光触媒が活性を示しやすい波長成分が反射されやすく、化粧板の上面のみならず、反射された可視光により下側から可視光応答型光触媒を活性化させることができる。従って、可視光応答型光触媒の活性をより高めることができ、優れた抗菌・抗ウィルス性を発揮することができる。
【0010】
本明細書において、可視光反射層とは、波長が430〜500nmの光の反射率が60%以上であるものをいう。
可視光反射層としてパターン紙に樹脂を含浸、硬化させた複合体を採用する場合は、樹脂が含浸、硬化された状態での反射率であり、パターン紙それ自体の反射率ではない。
可視光反射率の測定は、少なくとも400〜600nmの範囲で反射率を測定し、図2に示すような測定波長と反射率の関係性を示すグラフを描き、430〜500nmの範囲で反射率が60%以上あれば、反射率に関する要件を満たすと解釈する。
反射率の測定が5nmまたは10nm毎になされる場合は、隣接する測定点同士を繋げて測定波長と反射率のグラフとする。
反射率の測定は、パターン紙に樹脂を含浸させ、硬化させた時点で測定することもでき、また、耐酸化性樹脂層を研磨除去、あるいは剥離除去して可視光反射層を露出させた後、分光測色計を用いて測定することができる。
研磨は、ダイヤモンド研磨材、炭化ケイ素研磨材、アルミナ研磨材などで湿式研磨することで、耐酸化性樹脂層を除去できる。
【0011】
本発明の化粧板では、上記可視光反射層は、白色顔料、白色染料及び蛍光増白剤からなる群から選択される少なくとも1種以上を含むパターン紙と樹脂からなる複合体であることが望ましい。
可視光反射層が、白色顔料、白色染料及び蛍光増白剤からなる群から選択される少なくとも1種以上により白色化されたパターン紙と樹脂からなる複合体であると、波長が430〜500nmの光を充分に反射することができ、可視光応答型光触媒を充分に活性化することができる。
【0012】
本発明の化粧板において、上記白色顔料は、鉛白、酸化チタン、亜鉛華、炭酸カルシウム、タルク、シリカ及びアルミナからなる群から選択される少なくとも1種以上であることが望ましい。
これらの白色顔料は、430〜500nmの光を反射しやすく、紙に抄き込む、もしくは印刷することにより、パターン紙の表面に白色化層を形成することができるからである。
【0013】
本発明の化粧板において、上記蛍光増白剤は、ジアミノスチルベン型増白剤、ウンベリフェロン及びエスクリンからなる群から選択される少なくとも1種以上であることが望ましい。これらの蛍光増白剤は、430〜500nmの光を反射することができる。さらに、これらの蛍光増白剤は、紫外線を吸収して430〜500nmの蛍光を示す。そのため、可視光応答型光触媒の活性をさらに高めることができる。
これらの白色顔料、白色染料及び蛍光増白剤は、パターン紙に抄きこまれていてもよく、含浸されていてもよく、グラビア印刷などにより表面に印刷されていてもよい。
【0014】
本発明の化粧板において、上記可視光反射層は、光沢性粒子を含むパターン紙と樹脂からなる複合体であることが望ましい。
【0015】
本発明の化粧板において、上記光沢性粒子は、金属粒子又はマイカ粒子であることが望ましい。これらの光沢性粒子は、430〜500nmの光を反射しやすく、紙に抄きこんだり、印刷することにより、パターン紙表面に光沢層を形成することができるからである。
上記金属粒子は、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、ステンレスからなる群より選択される少なくとも1種以上であることが望ましい。これらの金属からなる金属粒子は耐食性に優れるため、化粧板に用いた場合に化粧板の長寿命化が可能となる。
【0016】
本発明の化粧板では、上記可視光反射層は、金属層を含むことが望ましい。
可視光反射層が金属層を含むと、波長が430〜500nmの光を充分に反射することができ、可視光応答型光触媒を充分に活性化することができる。
【0017】
本発明の化粧板では、上記耐酸化性樹脂は、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂からなることが望ましい。
シリコーン樹脂又はフッ素樹脂は耐酸化性に優れ、耐酸化性樹脂層を構成する材料として好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の化粧板では、可視光応答型光触媒が耐酸化性樹脂層上に配置されているため、可視光応答型光触媒の作用によって耐酸化性樹脂が劣化しにくい。
さらに、可視光応答型光触媒が配置される耐酸化性樹脂層下に、波長が430〜500nmの光の反射率が60%以上である可視光反射層が設けられているため、一度耐酸化性樹脂層を通過した可視光のうち、可視光応答型光触媒が活性を示しやすい波長成分が反射されやすく、反射光により再度可視光応答型光触媒を活性化させることができる。従って、可視光応答型光触媒の機能を充分に発揮し、優れた抗菌・抗ウィルス性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
図2図2は、実施例1及び比較例1における可視光反射層の反射スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の化粧板について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
【0021】
本発明の化粧板1は、基板10と、基板10の表面上に積層される可視光反射層11と、可視光反射層11上に配置される耐酸化性樹脂層12と、耐酸化性樹脂層12上に配置される可視光応答型光触媒13が配置された構造を有するものである。図1に示すように、可視光(図1中、化粧板に入射する可視光を実線矢印で示す)は可視光反射層11にて反射され、可視光応答型光触媒13の下面側(基板10側)からも励起される(図1中、可視光反射層11で反射した可視光を破線矢印で示す)。
【0022】
本発明の化粧板を構成する可視光反射層は、波長が430〜500nmの光の反射率が60%以上であり、より望ましくは70%以上、さらに望ましくは80%以上である。
可視光反射層の波長が430〜500nmの光の反射率が60%以上であると、一度可視光応答型光触媒を通過した可視光のうち、可視光応答型光触媒が活性を示しやすい波長成分が反射されやすく、反射光により再度可視光応答型光触媒を活性化させることができる。
可視光反射層の、波長が430〜500nmの光の反射率を調整する方法は、特に限定されないが、例えば、可視光反射層を構成するパターン紙の色彩を調整する方法などが挙げられる。
【0023】
なお、可視光反射層の光の反射率については、可視光反射層に向けて光を照射し、反射光を測定することによって測定することができ、具体的には、分光測色計[スガ試験機(株)製SC−P]を用いて測定することができる。
測定方法を分光測色方法の方法a(Sa)、有効波長幅は5nm、三刺激値の計算に用いる波長間隔は5nm(W5)、等色関数の種類はX101010表色系(CIE1964表色系)、測定用イルミナントは標準イルミナントD65、照射及び受光の幾何条件は幾何条件c(de:8°)とする。測定孔はφ30mmとする。
パターン紙の色彩が、無模様で単一色である場合には、無作為に選択した1点で測定を行う。一方、パターン紙の色彩にパターンが存在する場合には、それぞれのパターン(色)領域毎に無作為に選択した1点で反射率を測定する。例えば、白色と黒色のチェッカーフラッグ模様の場合、白色領域で1点、黒色領域で1点、ぞれぞれ反射率を測定する。そして、白色領域における波長が430〜500nmの光の反射率が60%以上であれば、その領域では本発明の効果が発現するため、黒色領域における波長が430〜500nmの光の反射率が60%未満であっても、本発明を利用しているものと解釈する。
なお、波長が430〜500nmの光の反射率が60%以上であるとは、上記測定条件において測定された反射スペクトルにおいて、430〜500nmの波長域における反射率が全て60%以上であることを意味する。
すなわち、430〜500nmの波長域のいずれかの領域に、反射率が60%未満となる領域があった場合は、上記領域を除く全ての領域における反射率が60%以上であったとしても、430〜500nmにおける光の反射率が60%以上であるとはいわない。
反射率が70%以上の場合、80%以上の場合も同様である。
【0024】
本発明の化粧板に使用する基板は、特に限定されるものではなく、一般的に化粧板に使用されるコア紙やマグネシアセメント等の不燃基材、石膏ボード、金属板等を使用することができる。コア紙は単独でもよく複数枚のコア紙を積層した積層体としてもよい。コア紙の枚数は特に限定されないが、1〜20枚とすることができる。コア紙としては、例えば、水酸化アルミニウム抄造紙を使用することができる。またコア紙として、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたクラフト紙を用いることができる。また、コア紙とマグネシアセメント不燃基材を積層させて基板とすることもできる。
【0025】
マグネシアセメント不燃基材は、単独で使用することにより、又は、コア紙の中心部に積層して配置させることにより基板を構成することができる。マグネシアセメント不燃基材は、酸化マグネシウム(MgO)と塩化マグネシウム(MgCl)を混合し、さらに骨材と水を加えて混練し、板状に成形することにより製造されるものである。骨材としては、ロックウール、グラスウール等の無機質繊維、ウッドチップ、パルプ等の有機質繊維を用いることができる。また、マグネシアセメント不燃基材の強度を高めるため、中間層として網目状等に形成されたガラス繊維層を設けることができる。
【0026】
複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃基材からなる基板表面上に可視光反射層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。例えば、色彩を調整したパターン紙にメラミン樹脂等を含浸させたもの(以下、メラミン樹脂含浸紙ともいう)を基板の片面又は両面に積層し、熱圧成形する方法を用いることができる。上記方法を用いると、上記パターン紙に含浸させたメラミン樹脂等がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対する上記パターン紙の接着力が発現する。
上記色彩を調整したパターン紙としては、白色顔料、白色染料又は蛍光増白剤からなる群から選択される少なくとも1種以上の物質(白色化剤ともいう)をグラビア印刷、インクジェット印刷、シルクスクリーン印刷等で印刷したパターン紙、上記白色化剤を抄き込んだパターン紙、もしくは、上記白色化剤を含浸させることで色彩を白色に調整したパターン紙等が挙げられる。
このとき、印刷によりパターン紙の色彩を調整した場合は、印刷面(色彩を調整した面)が外側(基板とは反対側)となるよう配置することにより、基板上に可視光反射層が形成されることとなる。
本発明においては、白色化剤をパターン紙の全面に均一に含ませることが望ましい。すなわち、白色化剤をパターン紙の表面全体に無模様で単一の色彩となるように均一に印刷するか、パターン紙全体に均一に抄き込むか、パターン紙に均一に含浸させることが望ましい。このようにして形成されたパターン紙は、可視光を均一に反射するため、可視光応答型光触媒を充分に活性化できるからである。
【0027】
本発明の化粧板を構成する可視光反射層に用いることができる樹脂としては、メラミン樹脂、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられる。これらの中では、メラミン樹脂、ジアリルフタレート(DAP)樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂を用いることが望ましい。
【0028】
メラミン樹脂は、透光性などの光学的、視覚的特性を損なうことなく、寸法安定性や靭性を改善した樹脂である。メラミン樹脂としては、メラミン及びその誘導体をモノマーとする樹脂であれば公知のものを採用することができる。また、メラミン樹脂は、単一のモノマーからなる樹脂であってもよく、複数のモノマーからなる共重合体であってもよい。メラミンの誘導体としては、例えば、イミノ基やメチロール基、メトキシメチル基、ブトキシメチル基等のアルコキシメチル基などの官能基を有する誘導体が挙げられる。また、メチロール基を有するメラミン誘導体に低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物をモノマーとして用いることができる。モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロール基を有する誘導体(以下、「メチロール化メラミン」という。)を架橋剤としてメラミンと共重合させてなるメラミン樹脂を用いることができる。
【0029】
メラミン樹脂含浸紙は、色彩を調整したパターン紙にメラミン樹脂を所定の含浸率で含浸させた後、加熱、乾燥させることにより作製される。メラミン樹脂をパターン紙に含浸させるには、溶媒として、例えば、ホルムアルデヒド水溶液を使用したメラミン樹脂含有溶液中にパターン紙を浸漬することにより行うことができる。また、メラミン樹脂含浸紙に曲げ加工性を付与するために、メラミン樹脂と共に可塑剤を含む溶液を含浸させることができる。可塑剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、アセトグアナミン、パラトルエンスルフォン酸アミド、尿素等を使用することができる。パターン紙としては、例えばチタン紙が用いられる。パターン紙の坪量は、パターン紙の厚みや重さを考慮して80〜150g/mとすることができる。加熱、乾燥の温度は、パターン紙にメラミン樹脂を強固に固着させるために100〜150℃に設定することができる。
色彩を白色に調整する場合は、JIS Z 8715(1999)に規定される白色度測定で、白色度指数W10が60以上であることが望ましく、70以上であることがより望ましい。
【0030】
本発明の化粧板を構成する可視光反射層は、光沢性粒子を含むパターン紙と樹脂からなる複合体であることが望ましい。
すなわち、上記色彩を調整したパターン紙として、光沢性粒子を含むパターン紙を用いることが望ましい。
光沢性粒子としては、金属粒子又はマイカ粒子が望ましい。
光沢性粒子を含むパターン紙としては、具体的には、光沢性粒子を含むインクをパターン紙の表面に印刷したもの、光沢性粒子をパターン紙に抄き込んだもの、パターン紙の表面に光沢性粒子を吹き付けたもの等が挙げられる。
パターン紙の色彩を光沢性粒子によって調整することで、可視光反射層の反射率を調整することができる。
本発明においては、光沢性粒子をパターン紙の全面に均一に含ませることが望ましい。すなわち、光沢性粒子をパターン紙の表面全体に無模様で単一の色彩となるように均一に印刷するか、光沢性粒子をパターン紙の表面全体に抄き込むか、光沢性粒子をパターン紙に均一に含浸させることが望ましい。可視光が均一に反射し、可視光応答型光触媒を充分に活性化できるからである。
なお、パターン紙の表面に光沢性粒子を含むインクで印刷する場合、印刷方法は特に限定されず、グラビア印刷、インクジェット印刷、シルクスクリーン印刷等を使用することができる。なお、印刷は、パターン紙の表側となる面の全面に均一に行うことが望ましい。
【0031】
パターン紙の色彩を調整するためのインクとしては、水、乾燥防止剤(グリセリン、グリコール等)、浸透剤(アルコール、グリコールエーテル等)から選ばれる少なくとも1種以上の溶媒に、アクリル系ブロック共重合体の樹脂と白色顔料又は光沢性粒子を混合したものであることが望ましい。
【0032】
白色顔料は、鉛白、酸化チタン、亜鉛華、炭酸カルシウム、タルク、シリカ及びアルミナからなる群から選択される少なくとも1種以上で構成されていることが望ましい。
蛍光増白剤は、ジアミノスチルベン型増白剤、ウンベリフェロン及びエスクリンからなる群から選択される少なくとも1種以上であることが望ましい。
光沢性粒子としては、金属粒子及びマイカ粒子を用いることができる。
金属粒子としては、金、銀、銅、アルミニウム、クロム及びステンレスからなる群から選択される少なくとも1種以上で構成されていることが望ましい。
白色顔料及び光沢性粒子の平均粒子径は特に限定されないが、0.1〜10μmであることが望ましい。
【0033】
本発明の化粧板を構成する可視光反射層に用いるパターン紙としては、酸化チタンを含有するチタン紙であることが望ましく、酸化チタンを5〜20重量%含むチタン紙であることがより望ましい。
パターン紙が酸化チタンを含有すると、インクがパターン紙の表面に添着しやすい。
【0034】
本発明の化粧板を構成する可視光反射層は、金属層を含むことが望ましい。
可視光反射層が金属層を含むと、波長が430〜500nmの光を充分に反射することができ、可視光応答型光触媒を充分に活性化することができる。
可視光反射層が金属層を含む場合、可視光反射層は、金属層となる金属箔のみからなっていてもよく、金属層を備えたパターン紙と樹脂との複合体であってもよい。
可視光反射層が金属層のみからなる場合の化粧板の構成としては、基材上に金属層が設けられ、該金属層上に耐酸化性樹脂層が設けられたものが挙げられる。
また、金属層を備えたパターン紙としては、パターン紙の表面に金属膜を蒸着させたものや、金属箔にパターン紙を裏打ちしたもの等が挙げられる。
金属層を構成する金属としては、金属粒子を構成する金属と同様のものを好適に用いることができる。
【0035】
本発明の化粧板において、可視光反射層上には耐酸化性樹脂層が配置されている。
耐酸化性樹脂層は、オーバーレイ紙等に耐酸化性樹脂を含浸させたものであってもよく、耐酸化性樹脂層のフィルムから構成されたものであってもよい。
耐酸化性樹脂としては、可視光応答型光触媒の作用により劣化を受けにくいもの、すなわち耐酸化性を有する樹脂であれば特に限定されないが、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂のいずれかが望ましい。
シリコーン樹脂及びフッ素樹脂は、通常濁りによる散乱のため可視光の反射率が低く、可視光応答型光触媒の機能を充分に引き出すことができないが、本発明の化粧板においては、可視光応答型光触媒が配置されている耐酸化性樹脂層よりも下側に可視光反射層が設けられているため、可視光応答型光触媒の機能を充分に引き出すことができる。
【0036】
耐酸化性樹脂層を構成するオーバーレイ紙は、灰分が0.1〜5重量%であることが望ましい。灰分が5重量%を超えると、耐酸化性樹脂層の可視光透過性が低下し、可視光応答型光触媒の機能を低下させてしまうことがある。
【0037】
耐酸化性樹脂層を構成するシリコーン樹脂としては、例えば、シリコーンレジン、変性シリコーンオイル等を用いることができる。変性シリコーンオイルとしては、分子内に1個以上の官能基を有するシリコーンオイルを用いることができる。官能基を導入する位置は特に限定されず、ポリシロキサン主鎖の片末端、両末端あるいは側鎖のいずれの位置に導入してもよい。また、官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、メトキシ基、ヒドラジノ基、エポキシ基、メタクリル基、カルボキシル基、カルビノール基等を導入することができる。
フッ素樹脂としては、フッ素樹脂エマルジョンを用いることができる。
【0038】
本発明の化粧板において、耐酸化性樹脂層は、シランカップリング剤を含有していてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基といった官能基を持ったものが望ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、ジアリルジメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0039】
本発明の化粧板において、耐酸化性樹脂層上には可視光応答型光触媒が配置されている。
可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンであることが望ましく、銅担持チタニア触媒であることがより望ましい。銅担持チタニア触媒としては、例えば、特開2006−232729号公報に記載されたCuO/TiO(重量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタン、特開2012−210557号公報に記載された亜酸化銅(酸化銅(I):CuO)と酸化チタンとが複合化した光触媒組成物、特開2013−166705号公報に記載された一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した酸化チタン、並びに、国際公開第2013/094573号に記載された結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する銅及びチタン含有組成物などが挙げられる。
【0040】
本発明の化粧板においては、可視光応答型光触媒の一次粒子が凝集した凝集体が耐酸化性樹脂層上に担持されていることが望ましい。可視光応答型光触媒の一次粒子が凝集した凝集体が耐酸化性樹脂層上に担持されていると、細菌やウィルスが可視光応答型光触媒の一次粒子間にトラップされるため、細菌やウィルスを失活させやすい。特に、飛沫細菌やウィルスを含む気流、液流などの流体が化粧板の表面に接触する場合には、これらの飛沫細菌やウィルスは、運動エネルギーを持っているため、可視光応答型光触媒と充分に反応する前に、化粧板表面から離脱してしまうが、可視光応答型光触媒の一次粒子が凝集した凝集体が耐酸化性樹脂層上に担持されている化粧板では、可視光応答型光触媒の凝集体が耐酸化性樹脂層上に担持されているため、可視光応答型光触媒の一次粒子間に細菌やウィルス等をトラップして、充分な反応時間を確保でき、可視光応答型光触媒の一次粒子が単独で耐酸化性樹脂層上に担持されている場合に比べて、抗菌、抗ウィルス効果に優れる。
さらに、可視光応答型光触媒として光触媒(酸化チタン)を用いた場合は、当該光触媒の凝集体は親水性であり、細菌やウィルスを含む水等の液体が、毛管現象により光触媒粒子の隙間に吸い込まれやすくなるため、液中の細菌やウィルスを確実に失活させることができる。
また、可視光応答型光触媒を凝集させておくことで、機能を低下させることなく、白化を抑制しやすくなる。このため、可視光応答型光触媒の量を増やしたり、可視光応答型光触媒担持層の厚さを厚くしたりしても、白化を防止できる。
一次粒子の平均粒子径は、10nm〜200nmが望ましい。一次粒子が凝集した凝集体の平均粒子径は、50nm〜1000nmが望ましい。平均粒子径は、電子顕微鏡で撮影した画像から任意の10点の一次粒子もしくは凝集粒子の粒子径(直径)を測定し、平均値を求める。
【0041】
本発明の化粧板において、可視光応答型光触媒の担持量(存在量)は、0.02〜2.20g/mであることが望ましい。可視光応答型光触媒が凝集体の場合は、担持量が2.20g/m以下であれば、白化は生じない。また、0.02g/m以上であれば、ウィルスを失活させることができる。
可視光応答型光触媒の担持量は、0.02〜0.21g/mであることがより望ましい。可視光応答型光触媒を凝集させなくてもこの範囲であれば、ウィルスを失活させることができ、かつ白化を防止できるからである。
なお、耐酸化性樹脂層上に存在する可視光応答型光触媒の量(存在量)は、熱濃硫酸および溶解アルカリ塩などを用いて、化粧板の表面から可視光応答型光触媒を溶出させ、得られた溶出液を用いて、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光法で分析することにより算出できる。
【0042】
本発明の化粧板において、耐酸化性樹脂層上には、セラミック粒子が露出して配置され、可視光応答型光触媒は、セラミック粒子の露出面上に担持されていてもよい。
可視光応答型光触媒がセラミック粒子の露出面上に担持されていると、可視光応答型光触媒は耐酸化性樹脂層に直接接触しない。このため、可視光応答型光触媒による耐酸化性樹脂層の劣化を防ぐことができ、耐酸化性樹脂層の変色や耐酸化性樹脂層の劣化等に起因する可視光応答型光触媒の脱落を防止することができる。また、可視光応答型光触媒がセラミック粒子の露出面上に担持されていると、可視光応答型光触媒の耐酸化性樹脂層中への埋没がなく、化粧板表面上に露出されているので、抗菌性、抗ウィルス性等、可視光応答型光触媒としての本来の機能を発揮することができ、その効果を長期間維持することができる。
セラミック粒子としては、可視光応答型光触媒の等電点より高い等電点を有し、可視光応答型光触媒を担持することができる粒子であれば特に限定されないが、酸化アルミニウム含有粒子であることが望ましい。セラミック粒子としては、具体的には、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子を用いることが望ましい。
【0043】
本発明の化粧板において、セラミック粒子の平均粒子径は0.1〜55μmであることが望ましく、0.5〜5μmであることがより望ましい。セラミック粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、セラミック粒子が耐酸化性樹脂層に埋まり易くなり、可視光応答型光触媒がセラミック粒子に担持されにくくなる傾向にあり、セラミック粒子の平均粒子径が55μmを超えると、セラミック粒子が脱落したり、耐酸化性樹脂層に凹凸が形成されたりするため、化粧板の外観及び意匠性に不具合が生じる傾向にある。セラミック粒子の平均粒子径が0.5〜5μmであると、可視光応答型光触媒としての機能性が発揮されて、化粧板の外観及び意匠性においても問題とならない。
上記セラミック粒子は、フィルム表面にセラミック粒子を配置し、このフィルムをセラミック粒子が耐酸化性樹脂層の表面に接触するように、当該耐酸化性樹脂層に配置し、加熱プレスして、セラミック粒子を耐酸化性樹脂層表面に転写して担持させることができる。
フィルムの表面は、JIS B 0601(2013)に規定される算術平均粗さRaが0.01〜100μm程度となるように粗化されていることが望ましい。
【0044】
本発明の化粧板は、耐酸化性樹脂層の表層に無機ゾルの乾燥体又は有機ゾルの乾燥体を有していてもよい。無機ゾルの乾燥体又は有機ゾルの乾燥体を介して可視光応答型光触媒を固定化することにより、可視光応答型光触媒をより強固に固定化することができる。無機ゾルとしては、シリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル、チタニアゾル等を用いることができるが、シリカゾルを用いることが望ましい。有機ゾルとしては、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができ、また、フッ素樹脂を用いることもできる。その中でもシリコーン樹脂を用いることが望ましい。ゾルとしてシリカ又はシリコーン樹脂を用いることにより、可視光応答型光触媒と耐酸化性樹脂層との密着性を向上させることができ、可視光応答型光触媒の脱落が抑制され、機能性が維持される。
【0045】
本発明の化粧板では、耐酸化性樹脂層上に過酸化チタン層が形成され、その過酸化チタン層上に可視光応答型光触媒が担持されていてもよい。上記可視光応答型光触媒は、複数の粒子が凝集した凝集体であることがより望ましい。
耐酸化性樹脂層上に過酸化チタン層が形成されていると、セラミック粒子を設けた場合と同様に、可視光応答型光触媒は耐酸化性樹脂層に直接接触しない。このため、可視光応答型光触媒による耐酸化性樹脂層の劣化を防ぐことができ、耐酸化性樹脂層の変色や耐酸化性樹脂層の劣化等に起因する可視光応答型光触媒の脱落を防止することができる。
【0046】
本発明の化粧板において、過酸化チタン層を構成する過酸化チタンは、アモルファス型過酸化チタンであることが望ましい。アモルファス型過酸化チタンは、常温ではアモルファスの状態でアナターゼ型酸化チタンには結晶化していない。アモルファス型過酸化チタンを含むゾルを用いて過酸化チタン層を形成する場合、密着性に優れ、成膜性が高く、均一で平坦な薄膜を作製することができ、かつ、乾燥後の被膜は水に溶けないという優れた性質を有している。
【0047】
本発明の化粧板において、過酸化チタン層の厚さは、0.1〜500μmであることが望ましい。過酸化チタン層の厚さを上記範囲とすることにより、耐酸化性樹脂層上に可視光応答型光触媒を密着させることができ、可視光応答型光触媒の特性が充分に発揮される。特に、過酸化チタン層の厚さが0.2μm〜200μmであることが密着性の観点から最適である。
【0048】
次に、本発明の化粧板の製造方法について説明する。
最初に、コア紙、マグネシアセメント不燃基材、石膏ボード及び金属板からなる群から選択される少なくとも1種以上からなる基板表面上に可視光反射層及び耐酸化性樹脂層を形成する。上記基板やその製造方法、上記可視光反射層及び上記耐酸化性樹脂層については、本発明の化粧板の説明において説明したので、ここでは省略する。
【0049】
本発明の化粧板においても説明したが、基板表面上に可視光反射層及び耐酸化性樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。具体的な可視光反射層及び耐酸化性樹脂層の形成方法としては、例えば、コア紙の積層体からなる基板の片面又は両面に白色化もしくは光沢化して色彩を調整したパターン紙にメラミン樹脂等を含浸させたメラミン樹脂含浸紙を積層する第1積層工程と、メラミン樹脂含浸紙上にオーバーレイ紙等に耐酸化性樹脂を含浸させた耐酸化性樹脂シートを積層する第2積層工程と、メラミン樹脂含浸紙及び耐酸化性樹脂シートが積層された基板を熱圧成形する熱圧成形工程を含む方法が挙げられる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現するとともに、メラミン樹脂含浸紙と耐熱性樹脂シートが圧着され、基板上に可視光反射層及び耐熱性樹脂層が形成される。
このとき、パターン紙の色彩パターンが印刷された面を外側(基板とは反対側)となるよう配置することにより、パターン紙に印刷された色彩パターンに対応する可視光の反射率(及び反射スペクトル)を有する可視光反射層が得られる。
【0050】
メラミン樹脂含浸紙は、波長が430〜500nmの光の反射率が60%となるような色彩パターンを有していればよく、パターン紙にそのような色彩パターンを印刷してもよく、パターン紙及び樹脂に加えて、金属層等を加えてメラミン樹脂含浸紙を構成してもよい。金属層、パターン紙及び樹脂からなるメラミン樹脂含浸紙としては、例えば、金属層となる金属箔にパターン紙を裏打ちした金属箔−パターン紙複合体にメラミン樹脂を含浸させたものであってもよい。
【0051】
耐酸化性樹脂を含む耐酸化性樹脂シートを得る方法としては、例えば、耐酸化性樹脂を含むゾル溶液等を灰分の少ないオーバーレイ紙等に含浸し、乾燥させる方法等が挙げられる。
【0052】
なお、上述の製造方法では基板上にメラミン樹脂含浸紙及び耐酸化性樹脂シートを両方積層して熱圧着することにより、可視光反射層及び耐酸化性樹脂層を同時に形成する方法を記載しているが、可視光反射層及び耐酸化性樹脂層は別々に形成してもよく、例えば、コア紙の積層体からなる基板の片面又は両面に上記メラミン樹脂含浸紙を積層して、メラミン樹脂含浸紙が積層された基板を熱圧成形する工程と、熱圧された基板の表面(すなわち可視光反射層の表面)に耐酸化性樹脂シートを積層し、耐酸化性樹脂シートが積層された基板をさらに圧熱成形する工程によっても、本発明の化粧板を製造することができる。
【0053】
熱圧成形する際の加熱条件としては、化粧板の温度を125〜150℃とすることができ、加圧条件としては、1.96〜9.80MPa(20〜100kg/cm)とすることができる。温度が125℃未満の場合又は圧力が1.96MPa未満の場合には、基板に対するメラミン樹脂含浸紙の密着性が不足し、剥離が発生しやすくなる。一方、温度が150℃を超える場合又は圧力が9.80MPaを超える場合には、亀裂が発生するおそれがある。
【0054】
耐酸化性樹脂層にシランカップリング剤を含有させる際には、耐酸化性樹脂溶液中に、シランカップリング剤を含ませることによって、耐酸化性樹脂層にシランカップリング剤を含浸する方法を用いることができる。
また、メラミン樹脂等の樹脂を含浸した可視光反射層を形成した後、シランカップリング剤層を塗布等により形成し、その上に耐酸化性樹脂層を形成してもよい。
耐酸化性樹脂層にシランカップリング剤を含有させることで、メラミン樹脂等の樹脂を含浸した可視光反射層と耐酸化性樹脂層との密着性を改善することができる。
【0055】
また、可視光応答型光触媒を耐酸化性樹脂層の上に固定化する方法としては、可視光応答型光触媒を未硬化の耐酸化性樹脂フィルム又は耐酸化性樹脂を含浸させたオーバーレイ紙に塗布し、硬化後の430〜500nmの光の反射率が60%以上となるように調整されたパターン紙に樹脂を含浸させたものと積層して加熱プレスする方法や、可視光応答型光触媒と無機ゾルの混合溶液を耐酸化性樹脂層に付与して乾燥させ、無機ゾルをゲル化して可視光応答型光触媒を固定化する方法がある。
可視光応答型光触媒を無機ゾルの乾燥体で耐酸化性樹脂層上に固定化する方法としては、耐酸化性樹脂層を有する基板を、可視光応答型光触媒と無機ゾルを含む溶液中に含浸し、乾燥させる方法や、可視光応答型光触媒と無機ゾルを含む溶液を耐酸化性樹脂層上に塗布し、乾燥する方法などが挙げられる。
無機ゾルの乾燥体を介して可視光応答型光触媒を耐酸化性樹脂層上に担持することにより、可視光応答型光触媒の固定化を補強することができる。無機ゾルとしてはシリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル、チタニアゾル等を用いることができ、シリカゾルを用いることが望ましい。
【0056】
可視光応答型光触媒は、一次粒子をそのまま使用してもよく、凝集させた二次粒子を使用してもよい。可視光応答型光触媒を凝集させるために、可視光応答型光触媒を含む溶液は、凝集剤を含んでいてもよい。凝集剤により、コロイド状の可視光応答型光触媒を凝集させることができるからである。凝集剤としては、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(Aldrich Chemical Company,Inc製)及びアニオン性ポリアクリルアミド(ハイホルダー351 栗田工業株式会社製)などを使用することができる。
【実施例】
【0057】
(実施例1)
(可視光反射層用メラミン樹脂含浸紙作製工程)
厚さ0.2mmのチタン紙(酸化チタン含有量15重量%)の一方の表面に、酸化チタン30重量部、スチレン−アクリロニトリル共重合体10重量部、アミノメチルプロパノール1重量部、水69重量部からなる白色インクを全面にグラビア印刷する。このチタン紙をメラミン樹脂溶液中に、溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、チタン紙にメラミン樹脂を含浸させる。
メラミン樹脂溶液を含浸させたチタン紙は、乾燥機により、温度100℃で30秒間乾燥させた。乾燥後、910mm×1820mmに切断し、可視光反射層用メラミン樹脂含浸紙を得る。
【0058】
(耐酸化性樹脂シート作製工程)
厚さ0.2mmのオーバーレイ紙(タルク含有量0.5重量%)に、アクリルシリコン樹脂エマルジョン(チタン工業株式会社製 PCU−103)を、固形分重量に換算して77g/mとなるように含浸させる。アクリルシリコン樹脂エマルジョンを含浸させたオーバーレイ紙は、乾燥機により、温度100℃で30秒間乾燥させる。乾燥後、910mm×1820mmに切断し耐酸化性樹脂シートを得る。
【0059】
(組合せ工程)
厚み0.3mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、チタン紙に印刷された色彩面が上記コア紙とは反対側となるように上記可視光反射層用メラミン樹脂含浸紙を積層し、プレス機のプレス面と可視光反射層用メラミン樹脂含浸紙との間にPETからなる離型クッション材を介在させて、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着する(第1積層工程)。
さらにその上に耐酸化性樹脂シートを積層して、耐酸化性樹脂シートとプレス機との間にPET製離型クッション材を介在させて、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着する(第2積層工程)。
これにより、基板の片面に可視光反射層及び耐酸化性樹脂層を形成する。
【0060】
(光触媒担持工程)
平均粒子径100nmのCu−TiOの光触媒を水に分散したスラリー(固形分濃度25重量%)と、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、4.5:5.5の重量割合(固形分重量)で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度0.05重量%)を調製する。上記工程で得られた基板の耐酸化性樹脂層の表面に、スプレーを用いて上記メタノール混合溶液を塗布し、25℃で12時間乾燥させることにより、シリカゾルの乾燥体を介して上記光触媒が担持された化粧板の製造を完了する。
化粧板に担持された光触媒の固形分重量は、0.11g/mとする。
【0061】
(実施例2)
(可視光反射層用メラミン樹脂含浸紙作製工程)
実施例1で調製された白色インクをアルミニウムペースト(旭化成製 商品名 FD−512)に変更したほかは、実施例1と同様の手順で、耐酸化性樹脂シート作製工程、第1積層工程、第2積層工程、光触媒担持工程を行い実施例2に係る化粧板を製造する。
【0062】
(実施例3)
白色インクでグラビア印刷するかわりに、蛍光増白剤であるジアミノスチルベンジスルホン酸の1×10−5モル/リットルの水溶液に浸漬して、乾燥機により、温度100℃で30秒間乾燥させることでチタン紙の色彩を調整したほかは、実施例1と同様の手順で、耐酸化性樹脂シート作製工程、第1積層工程、第2積層工程、光触媒担持工程を行い実施例3に係る化粧板を製造する。
【0063】
(実施例4)
上記(第1積層工程)において、可視光反射層用メラミン樹脂含浸紙上にさらに厚さ200μmのアルミニウム箔を積層して熱圧着するほかは、実施例1と同様の手順で実施例4に係る化粧板を製造する。
【0064】
(比較例1)
(一次メラミン含浸工程)で用いるチタン紙に印刷する色彩を木目調に変更したほかは、実施例1と同様の手順で化粧板の製造を完了する。
【0065】
(可視光反射層の反射率の評価)
実施例1及び比較例1に係る化粧板の表面(チタン紙にパターンを印刷した側の表面)に対して、分光測色計[スガ試験機(株)製SC−P]を用いて以下の条件で可視光反射層の反射率を測定する。反射率の測定は、実施例、比較例ともに、第1積層工程後であって第2積層工程の実施前に行う。
測定方法は分光測色方法の方法a(Sa)、有効波長幅は5nm、三刺激値の計算に用いる波長間隔は5nm(W5)、等色関数の種類はX101010表色系(CIE1964表色系)、測定用イルミナントは標準イルミナントD65、照射及び受光の幾何条件は幾何条件c(de:8°)とし、測定孔はφ30mm×5箇所(無作為に選択)とする。測定した反射スペクトル(平均のスペクトル)をそれぞれ図2に示す。
なお、同条件でJIS Z 8715(1999)に規定される白色度指数および色み指数は、実施例1でW10=71、TW,10=0.3、比較例1でW10=−65、TW,10=−25.2である。
【0066】
(抗ウィルス性評価)
実施例1及び比較例1で得られた化粧板の抗ウィルス性を評価するために、JIS R 1756 可視光応答形光触媒材料の抗ウィルス性試験方法に準じて抗ウィルス性に関する測定を行う。測定結果は、大腸菌に対して不活化されたウィルス濃度で表す。ここで、ウィルス濃度の指標として、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用する。ウィルス不活度とは、バクテリオファージを用いた抗ウィルス性試験で、ファージウィルスQβ濃度:830万個/ミリリットルを用いて、大腸菌に感染することができるウィルスの濃度を測定することにより、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度を算出した結果である。すなわち、ウィルス不活度は、ファージウィルスQβ濃度に対して、大腸菌に感染することができない濃度の度合いであり、(ファージウィルスQβ濃度−大腸菌に感染することができるウィルスの濃度)/(ファージウィルスQβ濃度)×100で算出することができる。ウィルス不活度の値が高いほど、抗ウィルス性に優れるといえる。
大腸菌に感染することができるウィルス濃度は、次のように測定する。ファージウィルス濃度既知(830万個/ミリリットル)の試験液を化粧板上に滴下して、JIS R1756に準じて光照射してウィルスを失活させた後、化粧板を所定量の水で洗浄、これを1000倍に希釈して、大腸菌培地に移植して培養し、失活していないウィルスの数を計測する。この失活していないウィルスの数、洗浄に使用した水の量および希釈率から大腸菌に感染することができるウィルス濃度を計算する。結果を表1に示す。
表1には、可視光(430〜500nm)における反射率と、ウィルス不活度、ウィルス不活性度を記載する。
ウィルス不活性度とは、元のウィルスの量を1とし、ウィルス失活処理後に失活したウィルス量をXとした場合に、常用対数log(1−X)で示される数値(負の値で示される)であり、絶対値が大きい程ウィルスを不活性化する能力が高い。例えば、元のウィルスの99.9%が失活した場合、ウィルス不活性度は、log(1−0.999)=−3.00で表記される。なお、ウィルス失活処理前の全ウィルス量に対するウィルス失活処理後に失活したウィルス量の割合を%で表したもの(上記の場合、99.9%)をウィルス不活度という。
【0067】
【表1】
【0068】
表1の結果から、実施例1〜4に係る化粧板は、白色もしくは金属調の色彩であり、耐酸化性樹脂の濁りによる意匠の低下も認識されないため、良好な意匠性を保つことができ、可視光応答型光触媒の機能を充分に発揮することができることがわかった。
【符号の説明】
【0069】
1 化粧板
10 基板
11 可視光反射層
12 耐酸化性樹脂層
13 可視光応答型光触媒
【要約】
【課題】良好な意匠性を保ちつつ、可視光応答型光触媒の機能を充分に発揮することができる化粧板を提供する。
【解決手段】基板と、上記基板の一方又は両面上に積層される可視光反射層と、上記可視光反射層上に配置される耐酸化性樹脂からなる耐酸化性樹脂層と、上記耐酸化性樹脂層上に配置される可視光応答型光触媒とからなり、上記可視光反射層は、波長が430〜500nmの光の反射率が60%以上であることを特徴とする化粧板。
【選択図】 図1
図1
図2