【文献】
Qualcomm Incorporated,Mechanisms for efficient small sell operation,3GPP TSG-RAN WG1 #72 R1-130595,2013年 1月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの移動性メトリックの前記値は、少なくとも1つのセルで複数回生じるようなセル変更を実行するアクセス端末の数または比率に基づく、請求項1に記載の方法。
前記少なくとも1つの移動性メトリックは、前記セルにおける接続障害またはハンドオーバ障害の数のうちの1つまたは複数と、前記セルによってサービス提供を受けるアクセス端末の数とのうちの少なくとも1つに基づく、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、図面を参照しながら様々な態様について説明することにする。以下の記載では、1つまたは複数の態様の完全な理解を提供するために説明を目的として多くの具体的な詳細を示している。しかしこのような態様をこうした具体的な詳細を伴うことなく実施し得ることは明らかである。
【0015】
本明細書では、様々な態様において小規模セルの動的な電力調整のためのシステムおよび方法を開示している。本明細書で使用する場合に、「小規模セル」という用語は、アクセスポイントを、またはアクセスポイントの対応するカバレッジ領域を意味し得るし、この場合におけるアクセスポイントはたとえばマクロネットワークアクセスポイントやマクロセルの送信電力やカバレッジ領域と比較して比較的低い送信電力または比較的小さいカバレッジを有する。たとえばマクロセルは、半径が数キロメートル(ただし、これに限らない)など比較的大きな地理的領域をカバーし得る。これに対して小規模セルは、家庭、ビルディングまたはビルディングの1つのフロア(ただし、これらに限らない)など比較的小さい地理的領域をカバーし得る。このため小規模セルは、基地局(BS)、アクセスポイント、フェムトノード、フェムトセル、ピコノード、マイクロノード、ノードB、進化型ノードB(eNB)、ホームノードB(HNB)またはホーム進化型ノードB(HeNB)(ただし、これらに限らない)などの装置を含み得る。したがって本明細書で使用する場合に「小規模セル」という用語は、マクロセルと比較して比較的低い送信電力および/または比較的小さいカバレッジ領域のセルを意味する。
【0016】
小規模セルは、モバイルデバイスの通信のために利用され得る。当技術分野で一般に知られているように、モバイルデバイスはまた、システム、デバイス、加入者ユニット、加入者局、移動局、モバイル、リモート局、モバイル端末、リモート端末、アクセス端末、ユーザ端末、端末、通信デバイス、ユーザエージェント、ユーザデバイスまたはユーザ機器(UE)と呼ばれることがある。モバイルデバイスは、携帯電話機、衛星電話、コードレス電話機、セッション開始プロトコル(SIP)電話、ワイヤレスローカルループ(WLL)局、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ワイヤレス接続機能を有するハンドヘルド型デバイス、タブレット、コンピューティングデバイス、またはワイヤレスモデムを介してモバイルデバイスにセルラー式やワイヤレス式のネットワークアクセスを提供する1つまたは複数の基地局(BS)に接続された他の処理デバイスであってもよい。
【0017】
本明細書に記載した技法は、CDMA、TDMA、FDMA、OFDMA、SC-FDMA、WiFi搬送波感知多重アクセス(CSMA)、および他のシステムなどの様々なワイヤレス通信システムについて使用されてもよい。「システム」と「ネットワーク」という用語は多くの場合に区別なく使用される。CDMAシステムは、ユニバーサル地上無線アクセス(UTRA)、cdma2000、その他などの無線技術を実装し得る。UTRAはワイドバンドCDMA(W-CDMA)や他のCDMAの変形形態を含む。さらにcdma2000は、IS-2000、IS-95およびIS-856標準をカバーする。TDMAシステムは、グローバルシステムフォーモバイル通信(GSM(登録商標))などの無線技術を実装し得る。OFDMAシステムは、進化型UTRA(E-UTRA)、ウルトラモバイルブロードバンド(UMB)、IEEE802.11(Wi-Fi)、IEEE802.16(WiMAX)、IEEE802.20、Flash-OFDMR(登録商標)、その他などの無線技術を実装し得る。UTRAおよびE-UTRAは、ユニバーサルモバイル通信システム(UMTS)の一部である。3GPPロングタームエボリューション(LTE)は、ダウンリンクについてOFDMAをまたアップリンクについてSC-FDMAを使用するE-UTRAを使用したUMTSのリリースの1つである。UTRA、E-UTRA、UMTS、LTEおよびGSM(登録商標)は、「第3世代パートナーシッププロジェクト」(3GPP)という名称の組織により文書の形で記述されている。さらにcdma2000およびUMBは、「第3世代パートナーシッププロジェクト2」(3GPP2)という名称の組織により文書の形で記述されている。さらにこのようなワイヤレス通信システムは、多くの場合、対を成さない非認可スペクトルを使用するピアツーピア(たとえば、モバイル対モバイル)のアドホックネットワークシステム、802.xxワイヤレスLAN、BLUETOOTH(登録商標)および他の短距離または長距離ワイヤレス通信技法をさらに含み得る。
【0018】
様々な態様または特徴を、いくつかのデバイス、コンポーネント、モジュール、その他を含み得るシステムに関して提示することにする。様々なシステムは、追加のデバイス、コンポーネント、モジュール、その他を含んでいてもよいこと、および/または図面に関連して検討したデバイス、コンポーネント、モジュール、その他を全部含まなくてもよいことを理解されまた認識されたい。これらの方式が組み合わされて使用されてもよい。
【0019】
図1は、例示のワイヤレス通信システム100を示している。システム100は、モバイルデバイス105に対して、音声、データ、ビデオその他などの遠隔通信サービスをモバイルデバイス105に提供するモバイル事業者コアネットワーク110(バックホールネットワークとも呼ばれる)として示したワイヤレスネットワークへのアクセスを提供し得る1つまたは複数の高電力基地局102(マクロノードとも呼ばれる)を含む。マクロノード102のカバレッジ領域はマクロセル112と呼ばれる。システム100はまた、ワイヤレスネットワークのカバレッジを拡大させる複数の低電力基地局104および106(低電力ノードとも呼ばれる)を含む。低電力ノード104および106のカバレッジ領域は、それぞれ小規模セル114および116と呼ばれる。
【0020】
提示したワイヤレスネットワーク配備では各小規模セルのカバレッジ領域が小さいため、アクティブな高速度モバイルデバイス105は異なる小規模セル(たとえば、小規模セル114および116)を跨いで移動するときに頻繁なハンドオーバを体験し得る。さらに、静止または低速で移動しているモバイルデバイス105であっても、隣接するノード(たとえば、低電力ノード104および106)からのパイロット信号がほぼ同じ強度である場所(パイロット汚染領域)に位置している場合にチャネルフェージングによる頻繁なハンドオーバを体験し得る。同じセットのセルが関係するような隣接するセル間での頻繁なハンドオーバのことを、本明細書では「ピンポン式ハンドオーバ」と呼ぶ。チャネル変動を体験することになる、高速度モバイルデバイスによる頻繁なハンドオーバや、静止または低速で移動しているモバイルデバイスによる隣接する小規模セル間でのピンポン式ハンドオーバは、パケット損失を生じさせ、これが音声アーチファクトおよび/またはパケット遅延および/または不十分なユーザ体験につながるため、さらには隣接するノード(たとえば、低電力ノード104および106)および/またはコアネットワーク110の信号負荷を増大させるために望ましくない。さらに、小規模セルの無計画な配備による接続障害やハンドオーバ障害などの移動性の問題が存在し得る。さらに無計画な配備はまた、いくつかのアクセス端末に大きな干渉を体験させることになり得る。したがって、小規模セルの送信電力に関して上記の懸念に対処するような調整を必要とし得る。したがって、高速度モバイルデバイスによる頻繁なハンドオーバや、静止または低速で移動しているモバイルデバイスによる隣接する小規模セル間のピンポン式ハンドオーバに対する調整が望まれている。
【0021】
一般に、いつ、どのように小規模セル間のハンドオーバを調整するかを決定の際には、以下の検討事項を考慮に入れることがある。第1に、小規模セルによってマクロセルからの大量のオフロードを提供すべきである。第2に、小規模セルは接続型モード移動性に大きな影響を及ぼすべきではない。モバイルデバイスの移動状態はセルによるサービス提供を受けたことがある/サービス提供を受けることが可能な/サービス提供を受けているデバイスの移動性に基づく/関連する1つまたは複数の移動性メトリックを使用して計測されてもよい。たとえば、小規模セルに関する単位時間あたり(たとえば、毎分)のハンドオーバ、単位時間あたり(たとえば、毎分)の呼ドロップ数、単位時間あたり(たとえば、毎分)の接続障害、および/または単位時間あたり(たとえば、毎分)の無線リンク障害(RLF)のような移動性メトリックは低いことが好ましく、これにより信号伝達負荷、パケット遅延、その他を節減し、かつユーザ体験を向上させるとともに、ネットワーク負荷についての支援となり得る。さらに、小規模セルの信号対干渉プラス雑音比(SINR)などの干渉メトリックは高いことが好ましく、これにより提供されるスループットが大きくなる。第3に、多くのモバイルデバイス105が時間を費やす領域であるパイロット汚染領域を最小限にすることが好ましい。一態様では、これらおよび他の移動性および干渉の基準は、小規模セルの送信(Tx)電力に対する動的な調整を通じて制御することが可能である。
【0022】
有効な送信電力調整を達成するために、高電力小規模セルと低電力小規模セルの長所と短所を検討すべきである。たとえば高い送信電力の長所には、小規模セルのカバレッジ領域の拡大によるマクロセルからのより大きなオフロードや、特に隣接する小規模セルからの干渉が少ないとき(たとえばマクロセルの辺縁にあるとき、または強化型セル間干渉調整(eICIC)が配備されておりかつ隣接する小規模セルが近くに存在しないとき)においてより良好なスループットにつながるある種の状況におけるSINRの改善が含まれる。高い送信電力の短所には一般的に、隣接するセルについてSINRおよびスループットに影響を及ぼすセルに対する干渉の増大、高電力に関する隣接する小規模セル(または、マクロセル)のカバレッジと重複する小規模セルカバレッジ領域の増大および隣接するセルのカバレッジ内のモバイルデバイスに関するピンポン式ハンドオーバの増加によるパイロット汚染が生じる可能性の上昇、ならびにカバレッジ領域の増大による隣接するマクロセルと小規模セルによるハンドオーバ/リセレクションの増加が含まれる。小規模セルの低送信電力の短所には、一般的に、小規模セルのカバレッジ領域の縮小により同じ数の小規模セルについてマクロセルからのオフロードが小さくなること、およびスループットの低下につながるようなSINRの低下が含まれる。小規模セルの低送信電力の長所には一般的に、隣接するセルとの干渉が少ないこと、パイロット汚染を生じる可能性の低下、およびカバレッジ領域の縮小による隣接するマクロセルおよび小規模セルとのハンドオーバ/リセレクションの低下が含まれる。
【0023】
小規模セルの高電力と低電力の長所と短所の観測に基づいて、小規模セルに対する動的な電力調整の主たる目標は、一態様では、マクロセルから小規模セルへのオフロードを増大させること、および隣接する小規模セル(および、マクロセル)間におけるピンポン式ハンドオーバおよび接続障害を最小化とすることであり得る。「ピンポン式ハンドオーバ」という用語は本明細書で使用する場合、モバイルデバイスによる隣接したセル間での頻繁なハンドオーバを意味しており、ここでハンドオーバをどの時点で頻繁であるとみなしてもよいのかを決定するハンドオーバ回数は、ネットワークによって(たとえば、単位時間あたりのハンドオーバ回数がしきい値より大きいときと)指定されてもよく、またネットワーク負荷、利用可能なワイヤレスバンド幅または他のパラメータに基づいていてもよい。一般に、動的な電力調整に関するこれらの目標はたとえば、マクロセルからのオフロードの増大を可能にするために小規模セルの送信電力を、移動性に対する有意な影響が観測されるまで、あるいはオフロードの増大の恩恵をまったく/ほとんど伴うことなく隣接する小規模セルに生じる干渉が上昇するところまで増大させることによって達成することが可能である。
【0024】
本電力調整機構の例示の一態様を
図2の図示200に示している。図示のように、1つまたは複数のモバイルデバイスは、セル間でピンポン式ハンドオーバが生じ得るような3つの隣接する小規模セル(セル1、セル2、およびセル3)のカバレッジ領域の域内にある。一態様では、影響を受けるモバイルデバイスがまったくないかほとんどないようにセル1のTx電力を上昇させてパイロット汚染境界を移動させる。本方式は、セル2と3の干渉を増大させる可能性はあるがこれらのセルにおいて干渉消去技法を通じて処置することが可能であり、最も好ましくなり得る。別の態様では、セル2および3がそのTx電力を低減することが可能である。本方式でも、小規模セル間の重複の縮小によってパイロット汚染領域のシフトおよび/またはパイロット汚染領域の低減の可能性が得られる。しかし、本方式は、マクロセルからのオフロードが失われることになり兼ねずより好ましくない。さらに別の態様では、パイロット汚染を排除しかつユーザにマクロセルによるサービス提供を受けさせるようにすべての小規模セルがTx電力を低減することが可能である。本方式は、パイロット汚染を有効に排除するが、小規模セルに対するオフロードが大幅に低下するため最も好ましくない。
【0025】
図3は、本明細書に開示した原理に基づいて小規模セルの動的な電力調整を実行するように動作可能なセルコントローラの例示の一実装形態を示している。一態様ではセルコントローラ300(その1つまたは複数のコンポーネントを含む)は、
図1の低電力ノード104および106に実装されてもよい。別の態様では、セルコントローラ300(その1つまたは複数のコンポーネントを含む)は、モバイル事業者コアネットワーク110内の単独のコンピュータデバイスに実装されてもよい。いずれの実装形態においても、セルコントローラ300は、少なくとも次のコンポーネント、すなわち移動性メトリック決定コンポーネント310、干渉メトリック決定コンポーネント320、メトリック評価コンポーネント330および電力調整コンポーネント340(これらについては本明細書の以下においてさらに詳細に説明することにする)を含み得る。
【0026】
一態様では、セルコントローラ300の移動性メトリック決定コンポーネント310は、小規模セルの1つまたは複数の移動性メトリックを決定するように構成される。様々な態様では、その移動性メトリックは、セルにおける単位時間あたり(たとえば、毎分)のハンドオーバ回数、隣接するセル間でのピンポン式ハンドオーバ回数、非ピンポン式ハンドオーバ回数に対するピンポン式ハンドオーバ回数の比率に基づいていてもよい。この情報は、小規模セル間のハンドオーバ中に伝えられる可能性があるPL/RSCP計測値および/または「UE履歴情報」情報要素(IE)から取得されてもよい。このIEは、そのモバイルデバイスがアクティブ状態で目標セルの前にサービス提供を受けたことがあるセル(たとえば、16個まで)に関する情報を包含する。これらのセルの各々ごとにIEは、セル識別と、セル種別(たとえば、非常に小さい、小さい、中間、大きい、マクロ、フェムト、その他)と、モバイルデバイスが当該セルに留まっていた時間とを包含する。ハンドオーバ履歴情報を取得すると移動性メトリック決定コンポーネント310は、たとえば以前のセルでモバイルデバイスが費やした平均時間および/またはセル識別の反復(たとえば、少なくとも1つのセル識別の複数回の出現)に基づいてピンポン式ハンドオーバの回数を決定し得る。ある時間しきい値(たとえば、数秒)を超えてより頻繁に実行されかつ少なくとも1つのセル識別が複数回出現するセル変更を生じさせるようなハンドオーバは、ピンポン式ハンドオーバであるとみなされてもよい。この時間しきい値パラメータは、シミュレーションまたはシステム要件に基づいて選択されてもよい。他の態様では、その移動性メトリックは、小規模セルにおける呼のドロップまたは接続障害の回数、小規模セルにおけるリンク障害またはハンドオーバ障害の回数、および小規模セルによりサービス提供を受けるモバイルデバイスの数に基づいていてもよい。さらに別の態様では、移動性メトリック決定コンポーネント310は、ある所定の時間期間(たとえば、数時間または数日間)にわたる異なる移動性パラメータに関するデータを観測し収集した後に、この収集したパラメータ情報に基づいて1つまたは複数の移動性メトリックを計算し得る。
【0027】
別の態様では、セルコントローラ300の干渉メトリック決定コンポーネント320は、小規模セルの1つまたは複数の干渉メトリックを決定するように構成される。たとえば、小規模セルユーザ(たとえば、小規模セルによるサービス提供を受けるモバイルデバイス)の信号対干渉プラス雑音比(SINR)を干渉メトリックとして使用することまたは干渉メトリックの一部とし得る。一態様では、コンポーネント320は、ある所定の時間期間(たとえば、数時間または数日間)にわたるSINRデータを観測し収集するとともに、監視対象の時間期間にわたる平均SINRを決定してもよい。別の例では、干渉メトリックは、小規模セルまたは小規模セルユーザによって実行される隣接するセルの経路損失計測値に基づいていてもよい。
【0028】
一態様では、メトリック評価コンポーネント330は、移動性メトリックおよび/または干渉メトリックの値が許容可能か許容不可能かを判定するように構成される。具体的には、メトリックの許容可能性を判定するためにコンポーネント330は、移動性メトリックと干渉メトリックの値を移動性メトリックと干渉メトリックの事前設定しきい値のそれぞれと比較し得る。たとえばハンドオーバベースの移動性メトリックについては移動性メトリックしきい値は、ピンポン式ハンドオーバの回数の低減のためにその送信電力を調整すべきとされるまでにその小規模セルの有することが許容されるハンドオーバまたはピンポン式ハンドオーバの最大回数を指示し得る。別の例では、移動性メトリックは、小規模セルがサービス提供するモバイルデバイスの数に基づいていてもよい。小規模セルは、サービス提供するモバイルデバイスの数が多いほどその電力の調整(特に、低減)についてより慎重となってもよい。一例として、移動性メトリックしきい値は、モバイルデバイスのうちのいくつかを他のセルに対してオフロードさせるために小規模セルがこの数未満ではその送信電力を調整可能とするような、小規模セルによってサービス提供を受ける平均的モバイルデバイスの最大数を指示し得る。さらに別の態様では、干渉メトリックは、そのパイロット汚染領域を拡大または縮小するためにその送信電力を調整すべきとされるまでに、その小規模セルが有し得る最小SINRを指示し得る。異なるメトリックしきい値は、シミュレーションまたはシステム要件に基づいて選択されてもよい。
【0029】
別の態様では、セルコントローラ300の電力調整コンポーネント340は、移動性および/または干渉メトリックの評価結果に基づいて小規模セルの送信電力を調整するように構成される。一態様では、電力調整コンポーネント340は、電力調整の間において干渉メトリックより移動性メトリックを優先するように構成される。たとえば、非ピンポン式ハンドオーバに対してピンポン式の比率が大きい場合は、多くのモバイルデバイスがパイロット汚染エリアにあり、したがって、こうした小規模セルはその送信電力を調整すべきである。別の例では、ある小規模セルにおいて多くのモバイルデバイスが費やす時間がより短い場合、この小規模セルは希望しない領域にリークしていることがあり、移動性を改善するようにその電力を調整する必要がある。別の例では、ある小規模セルが多くのモバイルデバイス(特に、非ピンポン式の高経路損失のモバイルデバイス)にサービス提供している場合、この小規模セルはオフロードに大きな寄与をしていることがあり、したがってその電力を縮減は控えるべきである。別の例では、小規模セルへのまたは小規模セルからのハンドオーバの大部分が正常に行われていない(たとえば、モバイルデバイスにおけるRLFにつながる)場合、この小規模セルは移動性を改善するようにその電力を調整する必要がある。
【0030】
より具体的には、一態様では、メトリック評価コンポーネント330によりその移動性メトリックが許容不可能である(たとえば、ピンポン式ハンドオーバの回数が許容可能なピンポン式ハンドオーバしきい値を超える)と判定されたとき、電力調整コンポーネント340は小規模セルの移動性メトリックが許容可能となる(たとえば、ピンポン式ハンドオーバの回数が許容可能なピンポン式ハンドオーバしきい値未満になる)まで小規模セルの送信電力を増大させてもよい。しかし、小規模セルの移動性メトリックが許容可能とならない場合、電力調整コンポーネント340は小規模セルの送信電力をその最小値まで低減(小規模セルのピンポン領域を有効に縮小させるとともに、モバイルデバイスが隣接する小規模セルへのオフロードすることになるためピンポン式ハンドオーバの回数が減少することになる)させてもよい。別の例では、メトリック評価コンポーネント330によりその干渉メトリックが許容不可能である(たとえば、隣接する小規模セルからの強力な干渉が示唆され得るような、ユーザの平均SINRまたはユーザSINRの大部分が許容されるSINRしきい値未満である)と判定されたとき、電力調整コンポーネント340は、干渉メトリックが許容可能となる(たとえば、ユーザの平均SINRまたはユーザSINRの大部分が許容されるSINRしきい値を上回るまで上昇している)か、小規模セルの移動性メトリックが許容可能のままとなる(たとえば、ピンポン式ハンドオーバの回数が許容可能なピンポン式ハンドオーバしきい値未満のままとなる)かのいずれかとなるまで小規模セルの干渉メトリックを低下させるように送信電力を低減するとともに、小規模セルの移動性メトリックを移動性メトリックしきい値未満のままとするように小規模セルの送信電力を低減させたレベルに維持し得る。
【0031】
セルコントローラ300がコアネットワーク120に配置され、このためにそのワイヤレスネットワーク内のすべてのノードの送信電力に関する情報を有するような別の態様では、電力調整コンポーネント340はオフロードを最適化しセル間のピンポン式ハンドオーバを低減するためにいくつかの隣接する小規模セル114および116とマクロセル112との電力を調整し得る。たとえば、電力調整コンポーネント340がある小規模セルの送信電力をその小規模セルの移動性メトリックが許容可能となる(たとえば、移動性メトリックしきい値未満まで低下する)まで上昇させると判断したとき、コンポーネント340は1つまたは複数の隣接するセルの送信電力を同時に不変に維持し得る。別の例では、電力調整コンポーネント340が、小規模セルの移動性メトリックを移動性メトリックしきい値未満のままとするように小規模セルの送信電力を維持すると判断したとき、コンポーネント340は1つまたは複数の隣接する小規模セルの送信電力を低減するように判断し得る。さらに別の例では、電力調整コンポーネント340がいくつかの小規模セルの送信電力を低減するように判断したとき、コンポーネント340はその小規模セルに対してこれらのサービスの対象となるモバイルデバイスのすべてを隣接するマクロセルにハンドオーバするように指令し得る。
【0032】
一態様では、ワイヤレスネットワーク100に新たな小規模セルが追加されたとき、この新たな小規模セルのセルコントローラ300の電力調整コンポーネント340は先ず小規模セルの送信電力をその最大値に自動的に設定し得る。セルコントローラ300は次いで、指定された時間期間(たとえば、新たなセルでは1日また従来のセルでは1週間)にわたる様々な移動性および干渉メトリックを評価した後、上述のような適当な電力調整措置をとってもよい。一態様では、隣接しているところに新たな小規模セルが追加されると、従来の小規模セルもまたその電力調整アルゴリズムを再トリガすることが可能である。新たな小規模セルは、小規模セル間のメッセージ伝達を介する(たとえば、X2インターフェースを通じる)か、小規模セルで実行される無線計測を介するかのいずれかで発見することが可能である。
【0033】
図4A、4B、4C、4Dおよび4Eは、
図3のセルコントローラ300によって実装することが可能な動的な電力調整に関する例示の方法を示している。本方法については説明を簡略とする目的で一連の動作として図示し説明しているが、いくつかの動作を1つまたは複数の実施形態に従って本明細書に図示し説明したのと異なる順序でおよび/または他の動作と同時に行い得るため、本方法はこの動作順序によって限定されないことが理解し認識されよう。たとえば本方法は、代替形態として、状態図に示したものなど一連の相互関係のある状態や事象として表すことが可能であることが認識されよう。さらに、1つまたは複数の実施形態に従って本方法を実装するために図示した動作の全部を必要としなくてもよい。
【0034】
図4Aを参照すれば、ステップ41において、本方法40は、小規模セルの少なくとも1つの移動性メトリックを決定するステップを含む。たとえば一態様ではセルコントローラ300の移動性メトリック決定コンポーネント310は、ピンポン式ハンドオーバの回数などの少なくとも1つの移動性メトリックを決定するように構成されてもよい。ステップ42において、本方法40は、少なくとも1つの決定された移動性メトリックに基づいてセルの送信電力を決定するステップを含む。一態様では、セルコントローラ300の電力調整コンポーネント340は、小規模セルの送信電力を決定するように構成されてもよい。ステップ43において、本方法40は、決定された電力に基づいてセルにおいて送信するステップを含む。一態様では、
図7の低電力ノード710の送信機722aは、決定された送信電力でRF信号を送信するように構成されている。
【0035】
図4Bを参照すれば、ステップ51において、本方法50は、小規模セルの少なくとも1つの移動性メトリックを決定するステップを含む。たとえば、一態様では、セルコントローラ300の移動性メトリック決定コンポーネント310は、ピンポン式ハンドオーバの回数などの少なくとも1つの移動性メトリックを決定するように構成されてもよい。ステップ52において、本方法50は、セルの少なくとも1つの干渉メトリックを決定するステップを含む。一態様では、セルコントローラ300の干渉メトリック決定コンポーネント320は、サービス提供を受ける小規模セルユーザのSINRなどの少なくとも1つの干渉メトリックを決定するように構成されてもよい。ステップ53において、本方法50は、少なくとも1つの決定された干渉メトリックと少なくとも1つの決定された移動性メトリックとに基づいてセルの送信電力を決定するステップを含む。一態様では、セルコントローラ300の電力調整コンポーネント340は、小規模セルの送信電力を決定するように構成されてもよい。ステップ54において、本方法50は、決定された電力に基づいてセルにおいて送信するステップを含む。一態様では、
図7の低電力ノード710の送信機722aは決定された送信電力でRF信号を送信するように構成されている。
【0036】
図4Cを参照すれば、ステップ61において、本方法60は、ピンポン式ハンドオーバの回数に基づいて小規模セルの少なくとも1つの移動性メトリックを決定するステップを含む。たとえば、一態様では、セルコントローラ300の移動性メトリック決定コンポーネント310は、ピンポン式ハンドオーバの回数に基づいて少なくとも1つの移動性メトリックを決定するように構成されてもよい。ステップ62において、本方法60は、移動性メトリックが移動性メトリックしきい値を上回っているかどうかを判定するステップを含む。一態様では、移動性セルコントローラ300のメトリック評価コンポーネント330は、移動性メトリックが移動性メトリックしきい値を上回っているかどうかを判定するように構成されてもよい。ステップ63において、本方法60は、ピンポン式ハンドオーバの回数を低減するようにセルの送信電力を増大させるステップを含む。一態様では、セルコントローラ300の電力調整コンポーネント340は、セルの送信電力を増大させるように構成されてもよい。ステップ64において、本方法60は、ピンポン式ハンドオーバの回数が減少しないかどうかを判定するステップを含み、またピンポン式ハンドオーバの回数が減少しないときに、ステップ65において、本方法60は、セルのピンポン領域を縮小するようにセルの送信電力を低減するステップを含む。一態様では、電力調整コンポーネント340は、セルの送信電力を低減するように構成されてもよい。
【0037】
図4Dを参照すれば、ステップ405において、本方法400は、小規模セルの少なくとも1つの移動性メトリックを決定するステップを含む。たとえば、一態様では、セルコントローラ300の移動性メトリック決定コンポーネント310は、ピンポン式ハンドオーバの回数などの少なくとも1つの移動性メトリックを決定するように構成されてもよい。ステップ410において、本方法400は、移動性メトリックが許容可能かどうかを判定するステップを含む。一態様では、セルコントローラ300のメトリック評価コンポーネント330は、移動性メトリックを移動性メトリックしきい値と比較するように構成されてもよい。ステップ415において、本方法400は、移動性メトリックが許容不可能である(たとえば、移動性メトリックしきい値を超える)ときに、移動性メトリックが許容可能となる(たとえば、移動性メトリックが移動性メトリックしきい値未満まで低下する)まで小規模セルの送信電力を増大させるステップを含む。一態様では、セルコントローラ300の電力調整コンポーネント320は、小規模セルの送信電力を増大させるように構成されてもよい。ステップ420において、本方法400は、移動性メトリックが許容不可能のままである(たとえば、移動性メトリックしきい値未満まで低下しない)と判定されたときに、ステップ425においてセルの送信電力を低減するステップを含む。一態様では、電力調整コンポーネント340は、送信電力を低減するように構成されてもよい。
【0038】
図4Eを参照すれば、ステップ430において、本方法400は、少なくとも1つの小規模セルの干渉メトリックを決定するステップをさらに含む。たとえば、一態様では、セルコントローラ300の干渉メトリック決定コンポーネント310は、SINRなどの少なくとも1つの干渉メトリックを決定するように構成されてもよい。ステップ435において、本方法400は、干渉メトリックが許容可能かどうかを判定するステップを含む。一態様では、セルコントローラ300のメトリック評価コンポーネント330は、干渉メトリックを干渉メトリックしきい値と比較するように構成されてもよい。ステップ440および445において、方法400は、干渉メトリックが許容不可能である(たとえば、干渉メトリックが干渉メトリックしきい値未満である)と判定されたとき、移動性メトリックが許容可能のまま(たとえば、移動性メトリックが移動性メトリックしきい値未満のまま)であるとともに干渉メトリックが改善しまた可能であれば許容可能となるまで小規模セルの送信電力を低減するステップを含む。一態様では、セルコントローラ300の電力調整コンポーネント320は、小規模セルの送信電力を低減するように構成されてもよい。ステップ450において、本方法400は、小規模セルの移動性メトリックを移動性メトリックしきい値未満のままとするように小規模セルの送信電力を維持するステップを含む。
【0039】
図5は、小規模セルにおける動的な電力調整のためのシステム500を示している。たとえば、システム500は、
図1の低電力ノード104または106の内部に配置し得る
図3のセルコントローラ300内に実装することが可能である。システム500は、プロセッサ、ソフトウェア、またはこれらの組合せ(たとえば、ファームウェア)によって実装された機能を表す機能ブロックとすることが可能な機能ブロックを含むように表していることを認識されたい。システム500は、連携して動作することが可能な電気部品からなる論理グループ502を含む。たとえば、論理グループ502は、小規模セルの移動性メトリックを決定するための電気部品504を含むことが可能である。さらに、論理グループ502は、小規模セルの干渉メトリックを決定するための電気部品505を備えることが可能である。さらに、論理グループ502は、移動性および干渉メトリックの許容可能性を評価するための電気部品506を含むことが可能である。さらに、論理グループ502は、小規模セルの送信電力を調整するための電気部品507を含むことが可能である。
【0040】
さらに、システム500は、電気部品504〜507に関連付けられた機能を実行するための命令を保持するメモリ510を含むことが可能である。メモリ510に対して外部にあるように図示しているが、電気部品504〜507のうちの1つまたは複数はメモリ510内に存在することが可能であることが理解されよう。一例では、電気部品504〜507は、少なくとも1つのプロセッサを備えることが可能であり、または各電気部品504〜507を少なくとも1つのプロセッサの対応するモジュールとすることが可能である。さらに、追加的または代替的な例では、電気部品504〜507をコンピュータ可読媒体を備えたコンピュータプログラム製品とすることが可能であり、この各電気部品504〜507は、対応するコードとすることが可能である。
【0041】
ここで
図6を参照すると、小規模セルにおける動的な電力調整のための機構を実装し得るワイヤレス通信システム600である。システム600は、
図1の低電力ノード104または106内に実装させ得る基地局602を備えており、また、
図1〜5に関連して上で説明したようなコンポーネントを含むとともに機能を実装し得る。一態様では、基地局602は、複数のアンテナグループを含むことが可能である。たとえば、あるアンテナグループは、アンテナ604および606を含むことが可能であり、別のグループは、アンテナ608および610を備えることが可能であり、また、追加のグループはアンテナ612および614を含むことが可能である。各アンテナグループに2つのアンテナを図示しているが、各グループについて利用可能なアンテナはこれより多くすることも少なくすることも可能である。基地局602は、さらに、送信機チェーンと受信機チェーンを含むことが可能であり、一方、これらの各々は、認識されるように信号の送信および受信に関連付けられた複数のコンポーネント(たとえば、プロセッサ、変調器、マルチプレクサ、復調器、デマルチプレクサ、アンテナ、その他)を備えることが可能である。
【0042】
基地局602は、モバイルデバイス616やモバイルデバイス622(
図1のモバイルデバイス105など)などの1つまたは複数のモバイルデバイスと通信することが可能であるが、基地局602は、モバイルデバイス616および622と同様の実質的に任意の数のモバイルデバイスと通信することが可能であることが認識されよう。モバイルデバイス616および622は、たとえば、携帯電話、スマートフォン、ラップトップ、ハンドヘルド型通信デバイス、ハンドヘルド型コンピューティングデバイス、衛星無線、全地球測位システム、PDAおよび/またはワイヤレス通信システム600を通じた通信に適した他の任意のデバイスとすることが可能である。図示したように、モバイルデバイス616は、アンテナ612および614と通信しており、アンテナ612および614は、順方向リンク618を通じてモバイルデバイス616に情報を送信しており、また逆方向リンク620を通じてモバイルデバイス616から情報を受信している。さらに、モバイルデバイス622は、アンテナ604および606と通信しており、アンテナ604および606は順方向リンク624を通じてモバイルデバイス622に情報を送信しており、また逆方向リンク626を通じてモバイルデバイス622から情報を受信している。周波数分割複信(FDD)システムでは、順方向リンク618は逆方向リンク620で使用されるのとは異なる周波数帯域を利用することが可能であり、また順方向リンク624はたとえば逆方向リンク626によって利用されるのと異なる周波数帯域を利用することが可能である。さらに、時分割複信(TDD)システムでは、順方向リンク618と逆方向リンク620は共通の周波数帯域を利用することが可能であり、また順方向リンク624と逆方向リンク626は共通の周波数帯域を利用することが可能である。
【0043】
各アンテナグループおよび/またはこれらが通信のために指定されるエリアのことを基地局602のセクタと呼んでもよい。たとえば、アンテナグループは、基地局602によってカバーされたエリアのセクタ内でモバイルデバイスと通信するように設計することが可能である。順方向リンク618および624を通じた通信において、基地局602の送信アンテナはモバイルデバイス616および622に関する順方向リンク618および624の信号対雑音比が向上するようなビームフォーミングを利用することが可能である。さらに、基地局602は関連するカバレッジにわたってランダムに分散したモバイルデバイス616および622に対して送信するようなビームフォーミングを利用することが可能である一方、隣接するセル内のモバイルデバイスは単一のアンテナを通じてそのすべてのモバイルデバイスに送信する基地局と比較して受ける干渉をより少なくすることが可能である。さらに、モバイルデバイス616および622は、図示したようなピアツーピアやアドホック技術を用いて互いに直接通信することが可能である。一例によれば、システム600は、マルチ入力マルチ出力(MIMO)通信システムとすることが可能である。
【0044】
図7は、例示のワイヤレス通信システム700を示している。ワイヤレス通信システム700は、
図1の低電力ノード104内に実装することが可能な1つの基地局710と、簡略とするために
図1のモバイルデバイス105などとした1つのモバイルデバイス750とを示している。しかし、システム700は、複数の基地局および/または複数のモバイルデバイスを含むことが可能であり、追加の基地局および/またはモバイルデバイスは、以下で説明する例示の基地局710およびモバイルデバイス750と実質的に同じとすることも異ならせることも可能であることが認識されよう。さらに、基地局710および/またはモバイルデバイス750は、この間のワイヤレス通信を容易にするために本明細書に記載したシステム(
図1、
図2、
図3、
図5および
図6)および/または方法(
図4Aおよび
図4B)を利用することが可能であることが認識されよう。たとえば、本明細書に記載したシステムおよび/または方法のコンポーネントまたは機能は以下で説明するメモリ732および/または772あるいはプロセッサ730および/または770の一部とすることが可能であり、および/または開示した機能を実行するようにプロセッサ730および/または770によって実行することが可能である。
【0045】
基地局710においていくつかのデータストリームに関するトラフィックデータがデータソース712から送信(TX)データプロセッサ714に提供される。一例によれば、各データストリームは、それぞれのアンテナを通じて送信することが可能である。TXデータプロセッサ714は、データストリームについて選択されたある特定の符号化スキームに基づいて、このトラフィックデータストリームをフォーマットし、符号化し、およびインターリーブして、符号化済みデータを提供する。
【0046】
各データストリームに関する符号化済みデータは直交周波数分割多重化(OFDM)技法を用いてパイロットデータとで多重化することが可能である。追加としてまたは代替として、このパイロット記号を、周波数分割多重化(FDM)する、時分割多重化(TDM)する、または符号分割多重化(CDM)することが可能である。このパイロットデータは、一般的には、既知の方式で処理される既知のデータパターンであり、またチャネル応答を評価するためにモバイルデバイス750において使用することが可能である。各データストリームに関する多重化されたパイロットおよび符号化済みデータは、当該データストリーム向けに選択されたある特定の変調スキーム(たとえば、バイナリ位相シフトキーイング(BPSK)、直交位相シフトキーイング(QPSK)、M位相シフトキーイング(M-PSK)、M直交振幅変調(M-QAM)、その他)に基づいて変調(たとえば、記号マッピング)し、変調記号を提供することが可能である。各データストリームのデータ速度、符号化および変調は、プロセッサ730によって実行されるまたは提供される命令によって決定することが可能である。
【0047】
データストリームに関する変調記号は、TX MIMOプロセッサ720に提供することが可能であり、これによってさらに、変調記号を(たとえば、OFDM向けに)処理することが可能である。次いで、TX MIMOプロセッサ720が、N
Tの変調記号ストリームをN
Tの送信機(TMTR)722a〜722tに提供する。様々な実施形態では、TX MIMOプロセッサ720は、データストリームの記号に対しておよびその記号を送信するアンテナに対してビームフォーミングの重み付けを付与する。
【0048】
各送信機722は、1つまたは複数のアナログ信号を提供するようにそれぞれの記号ストリームを受け取って処理するともに、MIMOチャネルを介した送信に適した変調済み信号を提供するためにこのアナログ信号をさらに条件付け(たとえば、増幅、フィルタ処理およびアップコンバード)する。さらに、送信機722a〜722tからのN
Tの変調済み信号はN
Tのアンテナ724a〜724tのそれぞれから送信される。
【0049】
モバイルデバイス750では送信された変調済み信号がN
Rのアンテナ752a〜752rによって受信され、また各アンテナ752から受け取った信号がそれぞれの受信機(RCVR)754a〜754rに提供される。各受信機754は、それぞれの信号を条件付け(たとえば、フィルタ処理、増幅およびダウンコンバード)し、サンプルを提供するためにこの条件付け済み信号をデジタル化し、かつ対応する「受信」記号ストリームを提供するためにこのサンプルをさらに処理する。
【0050】
RXデータプロセッサ760は、ある特定の受信機処理技法に基づいてN
Rの受信機754からN
Rの受信記号ストリームを受け取って処理し、N
Tの「検出済み」記号ストリームを提供することが可能である。RXデータプロセッサ760は、各検出済み記号ストリームを復調、デインターリーブおよび復号し、データストリームに関するトラフィックデータを復元することが可能である。RXデータプロセッサ760による処理は、基地局710においてTX MIMOプロセッサ720およびTXデータプロセッサ714によって実行されたものに対して相補的である。
【0051】
逆方向リンクメッセージは、通信リンクおよび/または受信したデータストリームに関する様々なタイプの情報を備えることが可能である。逆方向リンクメッセージは、同じくデータソース736からいくつかのデータストリームに関するトラフィックデータを受け取るTXデータプロセッサ738によって処理され、変調器780によって変調され、送信機754a〜754rによって条件付けされ、かつ基地局710に戻すように送信される可能性がある。
【0052】
基地局710においてモバイルデバイス750からの変調済み信号は、アンテナ724によって受信され、受信機722によって条件付けされ、復調器740によって復調され、かつRXデータプロセッサ742によって処理されモバイルデバイス750によって送信された逆方向リンクメッセージを抽出する。さらに、プロセッサ730は、ビームフォーミングの重み付けを決定するためにどのプリコーディング行列を使用すべきかを決定するためにこの抽出したメッセージを処理することが可能である。
【0053】
プロセッサ730および770は、基地局710とモバイルデバイス750のそれぞれにおける動作の指令(たとえば、制御、協調、管理、その他)を行うことが可能である。それぞれのプロセッサ730および770は、プログラムコードおよびデータを記憶するメモリ732および772と関連付けすることが可能である。プロセッサ730および770はまた、1つまたは複数の低電力ノードに関するページングエリア識別子の選択をサポートするために本明細書に記載した機能を実行することが可能である。
【0054】
図8は、1つまたは複数の低電力ノードがネットワーク環境内に配備されている例示的な通信システム900を示している。具体的には、システム900は、比較的スケールが小さいネットワーク環境内(たとえば、1つまたは複数のユーザ住居930内に)据え付けられた複数の低電力ノード910Aおよび910B(たとえば、フェムトセルノードまたはH(e)NB)を含む。ノード910Aおよび910Bは、一態様では、
図1の低電力ノード104および106に対応し得る。各低電力ノード910は、デジタル加入者線(DSL)ルータ、ケーブルモデム、ワイヤレスリンク、または他の接続手段(図示せず)を介してワイドエリアネットワーク940(たとえば、インターネット)およびモバイル事業者コアネットワーク950に接続させることが可能である。以下で検討することにするが、各低電力ノード910は、関連するモバイルデバイス920(たとえば、モバイルデバイス920A)に、また任意選択でエイリアン(alien)モバイルデバイス920(たとえば、モバイルデバイス920B)にサービス提供するように構成させることが可能である。言い換えれば、低電力ノード910へのアクセスを、所与のモバイルデバイス920が(たとえば、家庭の)低電力ノード910の指定されたセットによってサービス提供され得るが、任意の指定されていない低電力ノード910(たとえば、隣接する小規模セル)によってサービス提供され得ることがないように制限することが可能である。
【0055】
低電力ノード910の所有者は、モバイル事業者コアネットワーク950を通じて提供されるたとえば3Gモバイルサービスなどのモバイルサービスに加入することが可能である。別の例では、ワイヤレスネットワークのカバレッジを拡大するために、低電力ノード910をモバイル事業者コアネットワーク950によって動作させることが可能である。さらに、モバイルデバイス920は、マクロ環境と、よりスケールが小さい(たとえば、家庭の)ネットワーク環境の両方で動作することが可能である。したがって、たとえば、モバイルデバイス920の現在の場所に応じてモバイルデバイス920は、マクロセルアクセスノード960によって、または1組の低電力ノード910(たとえば、対応するユーザ住居930内に配置された低電力ノード910Aおよび910B)のうちの任意の1つによってサービス提供を受けることが可能である。たとえば、加入者が自分の家の外にいるとき、加入者は標準マクロセルアクセスノード(たとえば、ノード960)によってサービス提供を受け、また加入者が家にいるとき、加入者は低電力ノード(たとえば、ノード910A)によってサービス提供を受ける。ここで、低電力ノード910は、既存のモバイルデバイス920に対して上位互換性とすることが可能であることを理解されたい。
【0056】
低電力ノード910は、単一の周波数による配備が可能であり、また代替形態では複数の周波数による配備が可能である。当該の構成に応じて単一の周波数あるいは複数の周波数のうちの1つまたは複数をマクロセルアクセスノード(たとえば、ノード960)が使用する1つまたは複数の周波数と重複させることが可能である。いくつかの態様では、モバイルデバイス920を、好ましい低電力ノード(たとえば、モバイルデバイス920の家庭用低電力ノード)に接続される(このような接続が可能の場合に常に接続される)ように構成することが可能である。たとえば、モバイルデバイス920がユーザの住居930内にあるときは常に、家庭用低電力ノード910と通信することが可能である。
【0057】
いくつかの態様では、モバイルデバイス920がモバイル事業者コアネットワーク950内で動作しているが(たとえば、好ましいローミングリストにおける規定に従った)その最も好ましいネットワークに配置されていない場合、より適格なシステムが現在利用可能かどうかを判定するための利用可能なシステムに対する周期的なスキャンと、このような好ましいシステムとの関連付けのための後続の試みとを含むことが可能な適格システムリセレクション(BSR)を用いてモバイルデバイス920は最も好ましいネットワーク(たとえば、低電力ノード910)の検索を続けることが可能である。収集テーブルエントリ(たとえば、好ましいローミングリスト内にあるもの)を用いることによって、一例では、モバイルデバイス920は、指定された帯域およびチャネルに対する検索を限定することが可能である。たとえば、最も好ましいシステムに対する検索は周期的に反復することが可能である。低電力ノード910などの好ましい低電力ノードが発見されるとモバイルデバイス920は、そのカバレッジ領域内でのキャンプのために低電力ノード910を選択する。
【0058】
低電力ノードは、いくつかの態様では制限を受ける可能性がある。たとえば、所与の低電力ノードは、ある種のモバイルデバイスに対するある種のサービスの提供だけが可能である。いわゆる制限型(または、閉鎖型)関連付けによる配備では所与のモバイルデバイスは、マクロセルモバイルネットワークおよび規定された低電力ノードのセット(たとえば、対応するユーザ住居930内に配置された低電力ノード910)によってだけサービス提供を受けることが可能である。いくつかの実装形態では低電力ノードは少なくとも1つのモバイルデバイスに関して、信号伝達、データアクセス、登録、ページングまたはサービスのうちの少なくとも1つを提供しないように制限される可能性がある。
【0059】
いくつかの態様では、制限型の低電力ノード(閉鎖型加入者グループH(e)NBと呼ばれることもある)は、モバイルデバイスの制限された供給のセットにサービスを提供するノードである。このセットは、必要に応じて一時的にまたは永続的に拡張することが可能である。いくつかの態様では閉鎖型加入者グループ(CSG)をモバイルデバイスの共通のアクセス制御リストを共有するアクセスノード(たとえば、低電力ノード)からなるセットと規定することが可能である。ある領域内のすべての低電力ノード(または、すべての制限型低電力ノード)がその上で動作するチャネルのことを低電力チャネルと呼ぶことが可能である。
【0060】
したがって、所与の低電力ノードと所与のモバイルデバイスとの間には様々な関係が存在する可能性がある。たとえば、モバイルデバイスの観点からは、開放型の低電力ノードは制限型の関連付けを伴わない低電力ノードの意味とすることが可能である。制限型の低電力ノードは、いくつかの方式で制限された(たとえば、関連付けおよび/または登録に関する制限)低電力ノードの意味とすることが可能である。家庭用低電力ノードは、モバイルデバイスが一時的にアクセスまたはここでの動作の許可を受けるノードの意味とすることが可能である。ゲスト低電力ノードは、モバイルデバイスが一時的にアクセスまたはここでの動作の許可を受ける低電力ノードの意味とすることが可能である。エイリアン低電力ノードは、恐らくは緊急状況(たとえば、911コール)以外にはモバイルデバイスがアクセスまたはここでの動作の許可を受けることがない低電力ノードの意味とすることが可能である。
【0061】
制限型低電力ノードの観点からは、家庭モバイルデバイスは、制限型低電力ノードへのアクセスが許可されたモバイルデバイスの意味とすることが可能である。ゲストモバイルデバイスは、制限型低電力ノードへの一時的アクセスを有するモバイルデバイスの意味とすることが可能である。エイリアンモバイルデバイスは、恐らくはたとえば911コールなどの緊急状況以外には制限型の低電力ノードへのアクセス許可を有しないモバイルデバイス(たとえば、制限型低電力ノードで登録するための証明書または許可を有しないアクセス端末)の意味とすることが可能である。
【0062】
便宜上、本明細書における開示は様々な機能について低電力ノードのコンテキストで説明している。しかし、ピコノードによって(カバレッジ領域がより大きいことを除けば)低電力ノードと同じまたは同様の機能を提供可能であることを認識すべきである。たとえば、ピコノードは制限を受ける可能性がある、家庭用ピコノードは所与のモバイルデバイス向けに規定される可能性がある、等々である。
【0063】
ワイヤレス多元接続通信システムは、複数のワイヤレスモバイルデバイスに対する通信の同時サポートが可能である。上で言及したように各端末は、1つまたは複数の基地局と順方向リンクと逆方向リンクでの送信を介して通信することが可能である。順方向リンク(または、ダウンリンク)は基地局から端末への通信リンクを意味しており、また逆方向リンク(または、アップリンク)は端末から基地局への通信リンクを意味している。この通信リンクは単一イン単一アウトシステム、MIMOシステム、または何らかの他のタイプのシステムを介して確立することが可能である。
【0064】
本明細書で開示された実施形態と連携して説明した様々な例示のロジック、論理ブロック、モジュール、コンポーネント、および回路は、汎用のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)または他のプログラム可能論理デバイス、離散的なゲートまたはトランジスタロジック、離散的なハードウェアコンポーネント、または本明細書に記載された機能を実行するように設計されたこれらの任意の組合せを用いて実装または実行されてもよい。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってもよいが、代替として、プロセッサを任意の従来式プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラまたは状態機械であってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ(たとえば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ)として、複数のマイクロプロセッサとして、DSPコアと接合させた1つまたは複数のマイクロプロセッサとして、または他の任意のこうした構成として実装されてもよい。さらに少なくとも1つのプロセッサは、上で説明したステップおよび/または動作のうちの1つまたは複数を実行するように動作可能な1つまたは複数のモジュールを備えていてもよい。例示的な記憶媒体は、プロセッサによる記憶媒体からの情報の読取りおよび記憶媒体への情報の書込みを可能とするようにしてプロセッサに接続されてもよい。代替形態として記憶媒体はプロセッサに一体化されてもよい。さらにいくつかの態様では、プロセッサと記憶媒体とをASIC内に配置させてもよい。さらにASICをユーザ端末内に配置させてもよい。代替形態として、プロセッサと記憶媒体とをユーザ端末の離散的コンポーネントとして配置させてもよい。
【0065】
1つまたは複数の態様では、記載された機能、方法またはアルゴリズムは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組合せの形で実装されてもよい。ソフトウェアでの実装の場合にその機能は、コンピュータプログラム製品に組み込み得るコンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして記憶または送信されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、コンピュータプログラムのある場所から別の場所への転送を容易にする任意の媒体を含んだ通信媒体との両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによるアクセスが可能な利用可能な任意の媒体とし得る。限定ではなく一例として、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMや他の光ディスク記憶、磁気ディスク記憶や他の磁気記憶デバイス、または命令やデータ構造の形態での所望のプログラムコードの運搬または保存に使用することが可能でありかつコンピュータによるアクセスが可能であるような他の任意の媒体を備えることが可能である。さらに実質的に任意の接続も、コンピュータ可読媒体と呼び得る。たとえばソフトウェアをウェブサイト、サーバまたは他のリモートソースから同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、無線およびマイクロ波などのワイヤレス技術を用いて送信する場合、この同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線およびマイクロ波などのワイヤレス技術は媒体の定義の中に含まれる。本明細書で使用される場合のディスク(disk)やディスク(disc)には、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多目的ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスクおよびブルーレイディスクが含まれる(ここで、ディスク(disk)は通常データを磁気式に再生するものであり、一方ディスク(disc)は通常データをレーザを用いて光学式に再生するものである)。上述したものの組合せもコンピュータ可読媒体の範囲に含めるべきである。
【0066】
本明細書で使用する場合に「コンポーネント」、「モジュール」、「システム」その他の用語は、ハードウェア、ファームウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中ソフトウェア(software in execution)(ただし、これらに限らない)などのコンピュータ関連のエンティティを含むように意図している。たとえばコンポーネントは、プロセッサ上で稼働するプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能体、実行スレッド、プログラムおよび/またはコンピュータ(ただし、これらに限らない)とし得る。例証として、コンピューティングデバイス上で稼働するアプリケーションとコンピューティングデバイスの両方を1つのコンポーネントとすることが可能である。1つまたは複数のコンポーネントをプロセスおよび/または実行スレッド内に配置させることが可能であり、またコンポーネントを1つのコンピュータ上に配置させること、および/または2つ以上のコンピュータ間で分散させてもよい。さらに、これらのコンポーネントは、様々なデータ構造をその上に記憶した様々なコンピュータ可読媒体から実行することが可能である。これらのコンポーネントは、1つまたは複数のデータパケット(ローカルシステム、分散システム内にある別のコンポーネントとやり取りするあるコンポーネントからのデータなど)を有する信号に従うなどローカルおよび/またはリモートのプロセスによって、および/またはインターネットなどのネットワークを介して、信号による他のシステムとの通信をし得る。
【0067】
本明細書で使用する場合に「例示的な」という表現は、一例、事例または例証の役割を意味するために使用している。本明細書に「例示的な」として記載した任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈すべきでない。むしろ、例示的という表現の使用は、考え方を具体的な方式で提示することを目的としたものである。
【0068】
上の開示では例示の態様および/または実施形態を検討しているが、添付の特許請求の範囲の規定に従った記載の態様および/または実施形態の趣旨を逸脱することなくこれに対して様々な変更および修正を実施することが可能であることに留意すべきである。さらに、記載した態様および/または実施形態の要素が単数形で記載または特許請求されていることがあるが、単数への限定が明示的に述べられていない限りその複数も企図される。さらに、特に別段の記載がなければ、任意の態様および/または実施形態のすべてまたはその一部は、他の任意の態様および/または実施形態のすべてまたはその一部とともに利用されてもよい。