(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030811
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】圧縮エアコンプレッサ再循環バルブシステム
(51)【国際特許分類】
F02B 33/00 20060101AFI20161114BHJP
F02B 33/44 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
F02B33/00 E
F02B33/44 H
F02B33/44 J
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-519678(P2016-519678)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公表番号】特表2016-522352(P2016-522352A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】US2014042309
(87)【国際公開番号】WO2014201357
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2016年7月8日
(31)【優先権主張番号】61/834,539
(32)【優先日】2013年6月13日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512309299
【氏名又は名称】デイコ アイピー ホールディングス,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DAYCO IP HOLDINGS,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴ・フレッチャー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エム・グレイチェン
(72)【発明者】
【氏名】キース・ハンプトン
(72)【発明者】
【氏名】マット・ギルマー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エイチ・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴ・ロング
【審査官】
津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−30127(JP,A)
【文献】
特開2009−250072(JP,A)
【文献】
特開2007−276682(JP,A)
【文献】
特開2004−332612(JP,A)
【文献】
特開平6−323149(JP,A)
【文献】
特開平5−195798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 33/00
F02B 33/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンシステムであって、
エンジンに対して接続されていて、吸気マニホールドに対してエアを供給する、コンプレッサと;
前記コンプレッサから前記吸気マニホールドへのエアの供給を制御するためのスロットルと;
真空リザーバと;
前記コンプレッサの下流側に対して流体連通した動力部分と、前記コンプレッサの上流側に対して流体連通した排出部分と、を有したアスピレータであるとともに、このアスピレータの吸引ポートが、前記真空リザーバに対して流体連通している、アスピレータと;
前記コンプレッサからの下流側エアに対しておよび前記真空リザーバに対して流体連通した圧縮エア制御チャンバを有したコンプレッサ再循環バルブと;
前記コンプレッサ再循環バルブの前記圧縮エア制御チャンバの、前記コンプレッサの下流側エアに対してのおよび前記真空リザーバに対しての流体連通を制御するためのゲートバルブと;
抽気バルブを有した抽気ラインであるとともに、前記真空リザーバと、前記コンプレッサ再循環バルブの前記圧縮エア制御チャンバと、に対して流体連通した抽気ラインと;
を具備している、
ことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項2】
請求項1記載のエンジンシステムにおいて、
前記コンプレッサが、前記エンジンに対して接続されたターボチャージャーの一部とされている、
ことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項3】
請求項1記載のエンジンシステムにおいて、
前記真空リザーバが、真空引きリミットバルブを有している、
ことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項4】
請求項1記載のエンジンシステムにおいて、
さらに、前記アスピレータの前記吸引ポートと前記真空リザーバとの間に一方向バルブを具備している、
ことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項5】
請求項1記載のエンジンシステムにおいて、
前記ゲートバルブが、前記スロットルの上流側において前記吸気マニホールドへと流入するエアに対して流体連通した圧縮エア制御チャンバを有している、
ことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項6】
請求項1記載のエンジンシステムにおいて、
さらに、前記抽気バルブと前記ゲートバルブとの間に一方向バルブを具備し、
前記抽気ラインが、前記コンプレッサの上流側においてエア誘導システムに対して流体連通している、
ことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項7】
請求項1記載のエンジンシステムにおいて、
前記スロットルを開放しつつブーストを有した状態で、前記アスピレータが、前記真空リザーバを真空引きし、前記ゲートバルブが、第1開放位置へと駆動され、これにより、前記コンプレッサ再循環バルブの前記圧縮エア制御チャンバが、前記コンプレッサからの下流側エアに対して流体連通され、これにより、前記コンプレッサ再循環バルブが閉塞される、
ことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項8】
請求項7記載のエンジンシステムにおいて、
前記スロットルが閉塞されたときには、前記ゲートバルブが、前記第1開放位置から第2開放位置へとスイッチングされ、これにより、前記コンプレッサ再循環バルブの前記圧縮エア制御チャンバが、前記真空リザーバに対して流体連通され、これにより、前記真空リザーバの圧力に応答して、前記コンプレッサ再循環バルブを開放する、
ことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項9】
請求項8記載のエンジンシステムにおいて、
前記第2開放位置においては、前記真空リザーバが、前記抽気ラインに対して流体連通され、前記抽気バルブを通して流体が抽気され、これにより、前記真空リザーバの圧力が消費され、これにより、前記コンプレッサ再循環バルブを、閉塞位置へと復帰させることができる、
ことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項10】
請求項9記載のエンジンシステムにおいて、
前記抽気ラインが、前記コンプレッサの上流側においてエア誘導システムに対して流体連通され、
前記抽気バルブを通して抽気されつつ、前記コンプレッサの第1端部から流体が抽気される、
ことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項11】
請求項1記載のエンジンシステムにおいて、
前記エンジンが、天然ガスエンジンとされている、
ことを特徴とするエンジンシステム。
【請求項12】
エンジンシステムにおいてブースト時のサージを自動的に最小化するための方法であって、
請求項1に記載されたエンジンシステムを準備し;
ブーストを有した条件でエンジンを駆動し;
この場合、前記アスピレータによって前記真空リザーバを真空引きし、前記ゲートバルブを第1開放位置へと駆動し、これにより、前記コンプレッサ再循環バルブの前記圧縮エア制御チャンバを、前記コンプレッサからの下流側エアに対して流体連通させ、これにより、前記コンプレッサ再循環バルブが閉塞する、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、
さらに、前記スロットルを閉塞し、
前記ゲートバルブを、前記第1開放位置から第2開放位置へとスイッチングし、これにより、前記コンプレッサ再循環バルブの前記圧縮エア制御チャンバを、前記真空リザーバに対して流体連通させ、これにより、前記真空リザーバの圧力に応答して、前記コンプレッサ再循環バルブを開放する、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、
前記ゲートバルブが前記第2開放位置とされた状態で、前記真空リザーバを、前記抽気ラインに対して流体連通させ、前記抽気バルブを通して流体を抽気し、これにより、前記真空リザーバの圧力を消費させ、これにより、前記コンプレッサ再循環バルブを、閉塞位置へと復帰可能とする、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、
前記抽気ラインを、前記コンプレッサの上流側においてエア誘導システムに対して流体連通させ、
前記抽気バルブを通して抽気するのと同時に、前記コンプレッサの第1端部から流体を抽気する、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年6月13日付けで出願された米国特許予備出願第61/834,539号明細書の優先権を主張するものである。この文献の記載内容は、参考のためここに組み込まれる。
【0002】
本出願は、コンプレッサ再循環バルブ(compressor recirculation valves,“CRV”)に関するものであり、より詳細には、システム内において使用されて、コンプレッサまわりにおけるターボチャージャーコンプレッサ出口エアからコンプレッサ入口へと戻る再循環を制御し、これにより、サージを最小化するための、そのようなバルブに関するものである。
【背景技術】
【0003】
手頃な価格の天然ガスの出現は、路上走行車エンジンのメーカーによって受け入れられ、従来のディーゼル燃料エンジンに適用されて、天然ガスによって動作するものとされる。そのためには、流入エアストリーム内へのスロットルの追加を含めて、いくつかの変更点を必要とする。スロットルが迅速に閉塞されたときには、状況コールサージを開始することができる。ターボチャージャーがサージ状態とされたときには、なおも排出ガスフローからパワーが吸収されるものの、もはや取込チャージを効率的に圧縮することができない。スロットル閉塞移行においては、この圧縮損失により、ターボチャージャーが加速され、これと同時に、エンジン内へのエア流量が減少する。数分の一秒で、ターボチャージャーに対して利用可能な排出パワーが、急激に減少し、ターボチャージャーの戻りを遅くさせ、これにより、圧縮圧力が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2014年6月3日付けで出願された米国特許出願第14/294,727号明細書
【特許文献2】2014年1月1日付けで出願された米国特許出願第14/154,268号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この不安定な動作は、いくつかの振動に関して起こり得る。これにより、車両に振動が発生し、エンジンからのトルク出力が変化してしまう。よって、天然ガスを燃料としたエンジンにおいて移行的スロットル閉塞期間の際にターボチャージャーの動作を制御し得るように、改良することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一見地においては、エンジンシステムは、CRVおよびゲートバルブを観測して駆動するための外部制御システムを必要とすることなく、ブースト時のサージを最小化するものとして説明される。2つのバルブは、エンジンシステム内の圧力変動に応じて純粋に動作する。これにより、それ自体をリセットするループを形成する。
【0007】
このエンジンシステムは、エンジンに対して接続されていて、吸気マニホールドに対してエアを供給する、コンプレッサと;コンプレッサから吸気マニホールドへのエアの供給を制御するためのスロットルと;真空リザーバと;コンプレッサの下流側に対して流体連通した動力部分と、コンプレッサの上流側に対して流体連通した排出部分と、を有したアスピレータであるとともに、このアスピレータの吸引ポートが、真空リザーバに対して流体連通している、アスピレータと;コンプレッサからの下流側エアに対しておよび真空リザーバに対して流体連通した圧縮エア制御チャンバを有したコンプレッサ再循環バルブと;コンプレッサ再循環バルブの圧縮エア制御チャンバの、コンプレッサの下流側エアに対してのおよび真空リザーバに対しての流体連通を制御するためのゲートバルブと;抽気バルブを有した抽気ラインであるとともに、真空リザーバと、コンプレッサ再循環バルブの圧縮エア制御チャンバと、に対して流体連通した抽気ラインと;を具備している。
【0008】
エンジンシステムは、スロットルを開放しつつブーストを有した状態においては、以下のように動作する。アスピレータが、真空リザーバを真空引きし、ゲートバルブが、第1開放位置へと駆動され、これにより、コンプレッサ再循環バルブの圧縮エア制御チャンバが、コンプレッサからの下流側エアに対して流体連通され、これにより、コンプレッサ再循環バルブが閉塞される。その後、スロットルが閉塞されたときには、ゲートバルブが、第1開放位置から第2開放位置へとスイッチングされ、これにより、コンプレッサ再循環バルブの圧縮エア制御チャンバが、真空リザーバに対して流体連通され、これにより、真空リザーバの圧力に応答して、コンプレッサ再循環バルブを開放する。第2開放位置においては、真空リザーバが、抽気ラインに対して流体連通され、抽気バルブを通して流体が抽気され、これにより、真空リザーバの圧力が消費され、これにより、コンプレッサ再循環バルブを、閉塞位置へと復帰させることができる。
【0009】
他の見地においては、上記のエンジンシステムにおいて、ブースト時のサージを自動的に最小化するための方法が開示される。この方法においては、上記のようなエンジンシステムを準備し;ブーストを有した条件でエンジンを駆動し;この場合、アスピレータによって真空リザーバを真空引きし、ゲートバルブを第1開放位置へと駆動し、これにより、コンプレッサ再循環バルブの圧縮エア制御チャンバを、コンプレッサからの下流側エアに対して流体連通させ、これにより、コンプレッサ再循環バルブが閉塞する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】圧力ブーストを検出するコンプレッサ再循環バルブ(CRV)を備えたシステム構成を概略的に示す図である。
【
図2】スナップアクチュエータゲートバルブを、ゲート部材を通してのコンジットの長手方向軸線に直交して示す断面図であって、バルブは、第1コンジットに対して位置合わせされた第1開放位置で示されている。
【
図3】
図2のスナップアクチュエータゲートバルブを示す断面図であって、バルブは、第2コンジットに対して位置合わせされた第2開放位置で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、本発明の一般的な原理を例示しており、本発明の例は、添付図面に図示されている。添付図面においては、同一の構成部材あるいは同様の構成部材には、同じ参照符号が付されている。
【0012】
本明細書においては、「流体」という用語は、任意の液体や、任意の懸濁液や、任意のコロイドや、任意のガスや、任意のプラズマや、これらの組合せ、を意味している。
【0013】
図1は、例えば天然ガスエンジンシステムといったようなエンジンシステムの少なくとも一部を、符号10によって全体的に示している。エンジンシステム10は、CRV12を備えており、このCRV12は、エンジンシステム内の複数の構成部材からなる独自アセンブリによって制御される。エンジンシステム10は、コンプレッサ20を備えている。コンプレッサ20は、エンジンマニホールド22に対して流体連通している。エンジンシステム10は、さらに、マニホールド22とコンプレッサ20との間の流体ストリーム内に配置されたスロットル制御部材24を備えている。ブーストデバイスがターボチャージャーである実施形態においては、コンプレッサ20は、エンジンシステム10のエンジン排気系内のタービン(図示せず)に対して接続することができ、そのタービンによって駆動されることができる。CRV12を駆動するアセンブリは、第1アスピレータ14と、真空リザーバ16と、真空引きリミットバルブ18と、コンプレッサ20とCRV12との間の流体連通および真空リザーバ16とCRV12との間の流体連通を制御するゲートバルブ19と、コンプレッサ20の上流側から延出された抽気ライン52と、を備えている。エンジンシステム10は、コンジット36を備えている。コンジット36は、ゲートバルブ19内の制御チャンバを、マニホールド22とスロットル制御部材24との間の位置においてマニホールド22の基端側における流体ストリームに対して接続する。これは、スロットル24の下流側におけるマニホールド22に対しての流体連通として記述することができる。エンジンシステム10は、さらに、限定するものではないけれども、例えば一方向バルブ30,32といったような1つまたは複数のバルブを備えることができる。コンジットは、特定のタイプの材料や特定のタイプの接続態様に限定されるものではなく、剛直なものやフレキシブルなものを含めてチューブやホースやパイプ等を有するものとして理解されたい。
【0014】
アスピレータ14は、真空圧力を生成するためのものであって、コンプレッサ20がブーストを行っている際にはアスピレータ14が真空を生成するようにして、コンプレッサ20の第1端部26と第2端部28との間にわたって流体連通可能に接続されている。
図1に示すように、アスピレータ14は、コンプレッサ20の第2端部28の下流側に対して流体連通可能に接続されている。これにより、コンプレッサから導出される圧縮エアは、コンジット56を介してアスピレータ14内に動力流Mを提供するとともに、排気流Dが、コンジット54を介して、コンプレッサ20の第1端部26の上流側に排出される。アスピレータ14は、限定するものではないけれども、特許文献1に記載された構成のものとすることができる。この文献の記載内容は、参考のためここに組み込まれる。アスピレータ14の吸引ポート15は、真空リザーバ16に対して流体連通されており、吸引ポート15と真空リザーバ16との間の流体ストリーム内に一方向バルブ30を有している。これにより、アスピレータ14を通しての動力流の結果として、真空リザーバ16の真空引きを制御することができる。真空リザーバ16は、真空引きリミットバルブ18を有している。これにより、真空リザーバ内に生成される真空引きの程度を制限することができる。真空リザーバ16は、ゲートバルブ19に対して接続されている、とりわけ、コンジット60によって第2入口ポート40に対して接続されている。
【0015】
CRV12は、圧縮エア制御チャンバと、
図2,3におけるものと同様の構成とされたスプリング(図示せず)と、を備えることができる。しかしながら、CRV12は、バイパス66を開閉するための、ゲートバルブや、ポペットバルブや、バタフライバルブや、他の公知のバルブ構成、とすることができる。
図1においては、CRV12は、入口ポート62と、出口ポート64と、を備えている。入口ポート62および出口ポート64は、CRV12のバルブ部分が開状態とされたときには、互いに流体連通し、これにより、圧縮エアは、バイパス66を通して流れることができ、コンプレッサ20の上流側へと戻ることができる。CRV12のバルブ部分の移動は、スプリングによって、および、圧縮エア制御チャンバに対して導出入される圧力によって、制御される。圧縮エア制御チャンバの制御ポート13は、コンプレッサからの下流向きエアに対して流体連通しているとともに、真空リザーバ16に対して流体連通している。しかしながら、これら2つは、ゲートバルブ19によって制御される。
【0016】
ゲートバルブ19は、圧縮エア制御チャンバ103(
図2,3参照)を備えている。圧縮エア制御チャンバ103は、制御ポート42(
図1)を有しており、この制御ポート42は、コンジット36によってスロットルの下流側の吸気マニホールド圧力に対して接続されている。コンジット36は、圧力「検出」ラインと称することができる。なぜなら、コンジット36内の圧力が減少したときには、特にスロットルが閉塞状態とされた後には、この圧力減少が「検出」されるからである。この場合、ゲートバルブ19は、自動的に、第1開放状態140(
図2)から第2開放状態142(
図3)へとスイッチングされる。
【0017】
再度
図1に示すように、ゲートバルブ19のゲート部分19’は、このゲート部分19’から延出された第1入口ポート46と、反対サイドにおいてこのゲート部分19’から延出された第1出口ポート48と、を有している。第1入口ポート46および第1出口ポート48は、互いに流体連通するように位置合わせされている。第1入口ポート46と第1出口ポート48との間の流体連通は、ゲートバルブ19によって制御される。ゲートバルブ19は、ゲート機構を備えている。このゲート機構は、第1入口ポート46から第1出口ポート48へと流体を流し得るように移動可能である。これは、ゲート機構内の
図2に示す通路129を、第1入口ポート46に対して位置合わせすることによって、あるいは、第1入口ポート46を閉塞しない位置へとゲート機構を移動させることによって、行うことができる。ゲート部分19’は、さらに、このゲート部分19’から延出された第2入口ポート40と、反対サイドにおいてこのゲート部分19’から延出された第2出口ポート50と、を有している。第2入口ポート40および第2出口ポート50は、互いに流体連通するように位置合わせされている。第2入口ポート40と第2出口ポート50との間の流体連通は、第1入口ポート46に関して上述したのと同様にして、ゲートバルブ19によって制御される。
【0018】
ゲートバルブ19は、さらに、閉塞機構すなわちアクチュエータ104(
図2,3参照)を備えている。この閉塞機構は、第1入口ポート46から第1出口ポート48への流体の流れを制御するとともに、第2入口ポート40から第2出口ポート50への流体の流れを制御する。
図1においては、第1出口ポート48は、CRV12の圧縮エア制御チャンバの制御ポート13に対して流体流通している。よって、バルブ機構120が、
図2に示す第1開放状態140とされたときには、圧縮エアが、CRV12の圧縮エア制御チャンバに対して流体連通する。
図1に示すように、第2出口ポート50も、また、CRV12の圧縮エア制御チャンバの制御ポート13に対して流体流通している。よって、バルブ機構120が、
図3に示す第2開放状態142とされたときには、真空リザーバ16が、CRV12の圧縮エア制御チャンバに対して流体連通し、これにより、圧縮エア制御チャンバ内の圧力を減少させることができる。したがって、第1出口ポート48および第2出口ポート50の双方が、制御ポート13に対して接続されており、ひいては、CRV12の圧縮エア制御チャンバに対して接続されており、これにより、CRV12の圧縮エア制御チャンバに対して流体連通していて、CRV12のバルブ部分の開閉に影響を与えることができる。
【0019】
図1に示すように、抽気バルブ34が設けられた抽気ライン52は、ゲートバルブ19の第1出口ポート48および第2出口ポート50からCRV12の制御ポート13へと流れる流体ストリームに対しての第1ジャンクションと、エア誘導システム38に対しての第2ジャンクションと、を備えている。抽気ライン52は、第1ジャンクションと抽気バルブ34との間に配置された第2一方向バルブ32を備えている。
【0020】
ここで、
図2,3を参照すると、ゲートバルブ19は、一実施形態においては、スナップアクチュエータゲートバルブ100とすることができる。スナップアクチュエータゲートバルブ100は、コンテナ部分130と、このコンテナ部分130に対して密封的に連結されていて内部チャンバ103を規定しているキャップ132と、を備えている。内部チャンバ103に対して流体連通した制御ポート42(
図1)が設けられている。内部チャンバ103内には、アクチュエータ104が収容されている。アクチュエータ104は、ピストン110を備えている。ピストン110は、バルブ機構120に対して接続可能なステム114を有している。ステム114は、バルブ機構120側に位置した基端部152(連結端部と称することができる)と、バルブ機構120から離間した先端部154(
図2に図示されている)と、を有している。この実施形態においては、バルブ機構120は、ポケット126を備えている。ポケット126内には、ゲート部材128が収容されている。ゲート部材128を貫通して、通路129が設けられている。ポケット126は、第1入口ポート46によって第1コンジット58に対して接続されているとともに、第2入口ポート40によって第2コンジット60に対して接続されている。第1コンジット58の反対側においては、ゲートバルブ19は、CRV12の制御部分13に対して接続されている。第2コンジット60の反対側においては、抽気ライン52が、CRV12の制御部分13に対して接続されている。
【0021】
なおも
図2,3を参照すると、ゲート部材128は、レールシステム160によってピストン110に対して接続されている。レールシステム160は、流体流れの方向においてのおよび流体流れに応答してのゲート部材128のスライド移動を提供し、これにより、ポケット126に対してのシールを形成する。レールシステム160は、ステム114の基端部152の近傍に、ガイドレール162を有している。ガイドレール162は、このガイドレール162の両サイドに、軌道グルーブ164を有している。ゲート部材128は、スライダ166を有している。スライダ166は、ガイドレール162に適合する形状に構成されており、軌道グルーブ164に適合する形状に構成されている。
【0022】
アクチュエータ104は、バルブ機構120の開閉を制御する、特に、ピストン110の移動によってゲート部材128の開閉を制御する。
図2,3に示すように、ピストン110は、ゲート部材128が第1コンジット58に対して位置合わせされた第1開放位置140(
図2)と、ゲート部材128が第1コンジット58を閉塞するとともに第2コンジット60を開放する第2開放位置142(
図3)と、の間にわたって移動可能とされている。バルブ機構120は、いずれの位置から開始することもできる。あるいは、バルブ機構120は、長尺のものとすることができ、第1コンジット58および第2コンジット60は、互いに離間させることができる。これにより、第1コンジット58および第2コンジット60の双方を同時に閉塞する閉塞位置を提供することもできる。
【0023】
ピストン110は、少なくとも部分的には、磁気的に吸引可能な材料111(あるいは、そのような材料から形成された構成部材)を備えている。これにより、ピストン110を、第1磁石116および第2磁石118に対して引きつけることができる。ピストン110に対しては、スプリング112が付設されている。スプリング112は、ピストン110を第1開放位置140(
図2)に向けて付勢することができる。第1磁石116は、ピストン110を第1開放位置140に維持し得るよう、スプリング112を補助するように配置されている。第2磁石118は、ピストン110が第2開放位置142(
図3)へと駆動された際に、ピストン110をその第2開放位置142に維持し得るように、配置されている。ピストン110は、さらに、外周縁のところに、シール部材134を有している。シール部材134のリップシールは、チャンバ103の内表面に対して当接する。ピストン110の外周縁は、シール部材134を着座させるための環状グルーブ136を有することができる。一実施形態においては、シール部材134は、O−リングや、V−リングや、X−リング、とすることができる。これに代えて、シール部材134は、シール材料から形成された他の任意の環状シールとすることができる。これにより、他の構成部材に対してシール係合を行うことができる。
【0024】
ピストン110のステム114は、また、バルブ機構120とは逆方向にも、延出させることができる。
図2,3に示すように、ステム114のそのような延出部分は、キャップ132内のガイドチャネル146の内部に受領される。キャップ132は、さらに、スプリング112に対しての座148を有することができる。キャップ132のこれら特徴点は、アクチュエータを位置合わせし得るという利点を提供するとともに、スプリングやピストンの捻れや曲がりを防止するという利点を提供する。
【0025】
アクチュエータ104は、第1バンパー138と、第2バンパー139と、を備えることができる。第1バンパー138は、一方の位置140へと到達した際のピストン110とハウジング102との間のノイズを低減するために配置されている。第2バンパー139は、他方の位置142へと到達した際のピストン110とハウジング102との間のノイズを低減するために配置されている。第1バンパー138は、また、ハウジング102とバルブ機構120との間の開口をシールし得るように配置することができる。一実施形態においては、開口150は、全体的に円錐台形状表面によって規定することができる。第1バンパー138および第2バンパー139は、ハウジング102内の環状グルーブによってシールすることができる、あるいは、ピストン110のうちの、例えばステム114といったような構成部材上においてシールすることができる。
【0026】
動作時には、アクチュエータ104は、制御ポート42を介しての、チャンバ103内への流体の導入によってあるいはチャンバ103からの流体の導出によって、および、磁石116,118およびスプリング112の補助によって、ピストン110を駆動する。ピストン110は、第1開放位置140(
図2)に位置しており、この位置においては、スプリングの付勢力によっておよび第1磁石116の磁力によって、この位置に保持される。スプリングの付勢力および第1磁石116の磁力の打ち勝つだけのしきい値力以上の力が印加されたときには、ピストン110が移動する。しきい値力以上の力が印加された後には、ピストン110は、移動行程の全長さにわたって移動し、第2磁石118の磁力によって補助されて、第2開放位置142(
図3)に位置する。この第2開放位置142においては、ピストン110は、第2磁石118によって維持される。全移動行程にわたってのピストン110のこの移動は、迅速なものであって、ほぼ瞬時的なものであり、それら2つの位置の間における休止期間を実質的に有していない。すなわち、ピストン110は、第1開放位置140と第2開放位置142との間において、時間遅れを有しておらず、浮遊状態となることがない。この移動態様は、ピストンの「スナップ」移動として表現することができる。この「スナップ」移動は、バンパーがなければ可聴音を生成するものであって、ピストン110に対しての第2磁石118の磁気的引力の結果である。第2磁石118は、ピストン110を第2開放位置142に向けて迅速に移動させるように作用する。その後、第2磁石118は、ピストン110を、その第2開放位置142に維持する。この維持は、スナップタイプの移動として全移動行程にわたってピストンを第1開放位置140に向けて戻り移動させるような最小しきい値以上の力が印加されるまで、継続する。スナップアクチュエータゲートバルブ100は、さらに、特許文献2に記載された他の様々な特徴点を有することができる。この文献の記載内容は、参考のためここに組み込まれる。
【0027】
動作時には、3つの状態が存在する。(1)ブースト状態とされた定常状態。(2)スロットル閉塞状態。(3)ブーストされていない定常状態。エンジンがブーストされているときには、ブースト圧力は、2つのことを引き起こす。(a)ゲートバルブ19が、このゲートバルブ19のバルブ部分を、第1入口ポート46と第1出口ポート48との間にわたっての流体連通が可能とされこれによりコンプレッサ20の第2端部28とCRV12の圧縮エア制御チャンバとの流体連通を可能とする位置へと、駆動される。(b)アスピレータ14が、真空を生成し、この真空が、真空リザーバ16を真空引きする。事象(a)により、コンプレッサ20からのコンプレッサ出口圧力は、CRV12の内部のアクチュエータに対して作用し、これにより、アクチュエータを閉塞バルブ位置へと駆動する。アクチュエータは、そのコンプレッサ出口圧力が解除されるまで、あるいは、そのコンプレッサ出口圧力に打ち勝つ力が印加されるまで、その位置に維持される。
【0028】
スロットル閉塞状態(すなわち、スロットル24が閉塞されている)においては、吸気マニホールド圧力が低減し、これにより、圧力「検出」ラインをなすコンジット36内の圧力を減少させる。この圧力減少により、ゲートバルブ19が駆動され、流体連通が、第1出口ポート48から第2出口ポート50へとスイッチングされる。第2入口ポート40は、上述したように、真空リザーバ16に対して接続されている。これにより、第2入口ポート40と真空リザーバ16との間に流体連通が形成されている。これにより、CRV12の圧縮エア制御チャンバから圧力が真空引きされる。これにより、CRV12のバルブ部分が開放され、バイパス66によって、第2端部28(出口)から第1端部26(入口)へとコンプレッサ流れが戻される。真空リザーバ16がCRV12の流体連通に関して開放された後には、流体は、第2一方向バルブ32を通して、抽気バルブ34からおよびエア誘導システム(コンプレッサ20の第1端部26(入口)から離間する向きに抽気されることも含む)から、抽気され始める(流れ始める)。これにより、キャニスター真空を消費し、これにより、CRV12と一緒にアクチュエータを、閉塞位置へと駆動することができる。これにより、CRV12のバイパスを閉塞する。
【0029】
状態(3)すなわちブーストのない定常状態へと到達した後には、CRVは、閉塞位置へと戻る。これは、抽気ライン52を通してのエアの漏洩のためであり、これにより、真空リザーバ16が充填されることのためである。ここで、CRV12は、第2開放状態142とされたままである。
【0030】
上述したエンジンシステムは、ブースト時のサージを自動的に最小化する。この場合、CRVやゲートバルブを観測して駆動するための外部制御システムは、一切不要である。その代わりに、CRVやゲートバルブは、システム内の圧力の変化に応答して純粋に動作する。これにより、それ自身をリセットするループを形成する。
【0031】
本発明の好ましい実施形態を参照して本発明について詳細に上述したけれども、特許請求の範囲において規定された本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な修正や変形が可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 エンジンシステム
12 コンプレッサ再循環バルブ、CRV
14 アスピレータ
16 真空リザーバ
18 真空引きリミットバルブ
19 ゲートバルブ
20 コンプレッサ
22 エンジンマニホールド
24 スロットル制御部材
36 コンジット
42 制御ポート
52 流体ライン
66 バイパス
103 圧縮エア制御チャンバ