(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030829
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】振動および乱気流下のタッチスクリーンディスプレイの使用を改善するシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20161114BHJP
B64D 45/00 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
G06F3/041 520
B64D45/00 A
G06F3/041 400
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-252140(P2011-252140)
(22)【出願日】2011年11月18日
(65)【公開番号】特開2012-113711(P2012-113711A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2014年11月17日
(31)【優先権主張番号】12/952,846
(32)【優先日】2010年11月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506388923
【氏名又は名称】ジーイー・アビエイション・システムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・ジェームズ・ガンノン
【審査官】
遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−009261(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0159466(US,A1)
【文献】
特開平10−240420(JP,A)
【文献】
特開2010−157060(JP,A)
【文献】
特開2000−305477(JP,A)
【文献】
特開2002−140151(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0214249(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0109576(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0153438(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0149124(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041−3/0489
B64D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークルの測定したパラメータに対する第1信号を送信するように構成された第1センサ(102、206)と、
タッチスクリーン入力/表示システム(104)と、
入力ユニット(118)と、
を備え、
前記タッチスクリーン入力/表示システム(104)が、
複数の縁部(108)を有し、ユーザによる手動入力に対する第2信号を送信するように構成されたプレーナ入力および閲覧表面と、
前記複数の縁部(108)の少なくとも一部に近接して前記表面を少なくとも部分的に取り囲むベゼル(110)とを備え、
前記ベゼルが、ユーザの1つまたは複数の手の1つまたは複数の指に係合するように構成され、弾性材料で形成された表面(112)と、第2センサとを備え、
前記第2センサが、
前記ベゼル上の前記1つまたは複数の指の数および配置を表すアンカポイントを特定し、
振動、衝撃、および乱気流のうちの少なくとも1つの結果として生じる、前記ベゼルに対する前記1つまたは複数の指の移動を測定し、
前記移動の方向と量を表す第3信号を生成するように構成され、
前記入力ユニット(118)が、
前記第1乃至第3信号を受信し、
振動、衝撃、および乱気流のうちの少なくとも1つの結果として生じる、前記1つまたは複数の指の移動を補償する前記第3信号及び前記第1信号に基づいて、前記表面(112)のタッチ活動化エリアを再配置またはサイズ変更し、
前記手動入力を表す前記第2信号を前記1つまたは複数の指の移動と逆方向に調整し、前記移動を補償するように構成されるビークル制御システム(100)。
【請求項2】
前記タッチ活動化エリア(120)が、キャパシタンス、近接、加速度、力、およびそれらの組合せのうちの少なくとも1つを使用して、振動、衝撃、および乱気流のうちの少なくとも1つによる運動の影響を求めるように構成されたセンサ(102、206)からの入力に基づいて、前記タッチスクリーン上で再配置されること、およびサイズ変更されることのうちの少なくとも一方を受けるように構成される請求項1記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記ベゼル(110)が、ユーザの1つまたは複数の手の1つまたは複数の指(114)に係合するように構成された溝(202)および突起のうちの少なくとも一方を備える請求項1または2に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、一般には入力デバイスに関し、より詳細には、振動状態および乱気流状態中のタッチスクリーンディスプレイの使用を改善する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
シングルタッチおよびマルチタッチ機能を有する少なくともいくつかの周知のタッチスクリーンは、スクローリング、パニング、ズーミングなどの機能に対して直観的なジェスチャベースの制御を加えて、消費者製品で大きな成功を収めた。しかし、航空機のフライトデッキなどのビークル内では、振動および乱気流によってタッチスクリーンの使用が妨げられ、それにより、厳密で正確で迅速な手指および手の動きが極めて難しくなる。さらに、大部分の航空機ディスプレイはフライトデッキに固定しなければならず、振動および乱気流が減衰することなく直接的にディスプレイに伝わる。現行世代のカーソル制御デバイスは、ユーザの手を安定化させようと試みて、乱気流中に手首をユーザの上に置くための乱気流ハンプを組み込んでいる。しかし、こうした現行世代ディスプレイは、マルチタッチ操作で使用するのに適した手安定化向けに設計されていない。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、振動状態および乱気流状態中のタッチスクリーンディスプレイの使用を改善するシステムが、ビークルの測定パラメータに対する第1入力信号を送信するように構成されたセンサと、ユーザによる手動入力に対する第2入力信号を送信するように構成されたタッチスクリーン入力/表示システムとを含む。タッチスクリーン入力/表示システムは、複数の縁部を有するプレーナ入力および閲覧表面と、複数の縁部の少なくとも一部に近接して表面を少なくとも部分的に取り囲むベゼルとを含む。ベゼルは、ユーザの1つまたは複数の手の1つまたは複数の指に係合するように構成された表面を含み、表面はエラストマー材料で形成される。システムはまた、送信された第1および第2入力信号を受信するように構成された入力ユニットをも含む。
【0004】
別の実施形態では、振動状態および乱気流状態中のタッチスクリーンディスプレイの使用を改善する方法が、タッチスクリーン入力/表示デバイスを少なくとも部分的に取り囲むベゼル上にユーザの少なくとも1つの手の少なくとも1つの指を置くこと、およびタッチスクリーン入力/表示デバイスのタッチ活動化エリアを少なくとも1つの手の少なくとも1つの他の指と係合することを含む。この方法は、タッチスクリーン入力/表示デバイスと手の少なくとも一方に関連する振動、衝撃、および乱気流のうちの少なくとも1つによる少なくとも1つの手の運動の影響量を判定すること、および求めた運動の影響量を使用してタッチ活動化エリアを調節することをさらに含む。
【0005】
さらに別の実施形態では、タッチスクリーン入力/表示システムが、複数の縁部を有するプレーナ入力および閲覧表面と、複数の縁部の少なくとも一部に近接して表面を少なくとも部分的に取り囲むベゼルとを含むタッチスクリーンを含み、ベゼルは、ユーザの1つまたは複数の手の1つまたは複数の指に係合するように構成された表面を含み、表面はエラストマー材料で形成される。
【0006】
図1および
図2は、本明細書に記載の方法およびシステムの例示的実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の例示的実施形態によるビークル制御システムの概略ブロック図である。
【
図2】本発明の例示的実施形態による、
図1に示すベゼルの、やはり
図1に示す直線2−2に沿って取られた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は、本発明の実施形態を限定としてではなく、例として示す。本発明は、産業的、商業的、および住居的応用分野で、振動状態および乱気流状態中のタッチスクリーンディスプレイの使用を改善する一般的応用分野を有することが企図される。
【0009】
本明細書では、単数で記載され、「a」または「an」という語に続く要素またはステップは、複数の要素またはステップの除外が明示的に列挙されるのでない限り、複数の要素またはステップを除外しないと理解されたい。さらに、本発明の「一実施形態」に対する参照は、記載の特徴をやはり組み込む追加の実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図するものではない。
【0010】
本発明の一実施形態では、タッチスクリーンの使用中に一方または両方の手を安定化させることができるように、エルゴノミック物理安定化縁部がタッチスクリーンディスプレイのベゼルで形成される。
【0011】
別の実施形態では、比較的薄いタッチパッドがベゼルの安定化縁部で形成され、手の位置に基づいて、安定化のために使用中の手指の数、乱気流による運動、および適切なGUIおよびカーソル制御動作の範囲が求められる。
【0012】
図1は、本発明の例示的実施形態によるビークル制御システム100の概略ブロック図である。この例示的実施形態では、ビークル制御システム100は、ビークルの測定パラメータに対する第1入力信号を送信するように構成されたセンサ102と、ユーザによる手動入力に対する第2入力信号を送信するように構成されたタッチスクリーン入力/表示システム104とを含む。タッチスクリーン入力/表示システム104は、複数の縁部108を有するプレーナ入力および閲覧表面と、縁部108の少なくとも一部に近接してプレーナ入力および閲覧表面106を少なくとも部分的に取り囲むベゼル110とを含む。ベゼル110は、ユーザの1つまたは複数の手116の1つまたは複数の指114に係合するように構成された表面112を含む。この例示的実施形態では、表面112は、エラストマー材料、例えば、限定はしないが、ネオプレンおよび合成ゴムで形成される。ビークル制御システム100はまた、さらなる処理および/または他のプロセスへの送信のためにプロセッサ119によって使用される、送信された第1および第2入力信号を受信するように構成された入力ユニット118をも含む。
【0013】
プレーナ入力および閲覧表面106は、ユーザの指114、例えば手指または親指から手動入力を受けるタッチ活動化エリア120を含む。
【0014】
図2は、本発明の例示的実施形態による、直線2−2(
図1に示す)に沿って取られたベゼル110の断面図である。例示的実施形態では、ベゼル110は、ユーザの1つまたは複数の手116の1つまたは複数の指114に係合するように構成された溝202を備える。別の実施形態では、ベゼル110は、ユーザの1つまたは複数の手116の1つまたは複数の指114、例えば手指および/または親指に係合するように構成された突起204を備える。
【0015】
物理的実施形態では、ベゼル110は、プレーナ入力および閲覧表面106を使用して操作している間の手指および親指の安定化、意図される運動、および快適さのために設計される。ベゼル110は、溝202または突起204を、主に左縁部、右縁部、上縁部108に沿ったフィンガレールとして、さらには下縁部108に沿ったサムレールとして与え、左向きおよび右向きにスクロール中のピンチグリップを可能にする。ベゼル110は、プレーナ入力および閲覧表面106から後ろへの手指突出を可能にし、プレーナ入力および閲覧表面106の背後で湾曲した背面を使用して、指114の第1リンクに適合させ、プレーナ入力および閲覧表面106の背後の限定された開口を介する手指突出を可能にし、激しい乱気流ロックダウン安定化を可能にすることができる。ベゼル110は、乱気流を減衰させ、快適さを向上させるために、軟質熱可塑性エラストマーを含む、表面112についてのいくつかのオプションを提供する。表面112はまた、オンスクリーン対話と相まって滑らかな摺動を可能にするのに使用される滑らかなナイロン部分に隣接して、摩擦を増大させるテクスチャード部分をも含むことができる。テクスチャード部分を遠位溝202に形成することができ、滑らかな表面は近位側部プレーナ表面208上に形成される。
【0016】
様々な実施形態では、ベゼル110は、振動、衝撃、および乱気流のうちの少なくとも1つを検出するように構成されたセンサ206を備える。センサ206をベゼル110と一体的に形成することができ、例えば、限定はしないが、溝202または突起204に近接する表面112上または表面112内に埋め込むことができる。代替実施形態では、センサ206を別の位置に配置することができる。センサ206は、振動、衝撃、および乱気流のうちの少なくとも1つの結果として生じる、タッチスクリーン入力/表示システム104とユーザとの間の運動成分に対する出力を生成するように構成される。センサ206は、キャパシタンス、近接、加速度、力、およびそれらの組合せのうちの少なくとも1つを使用して、1つまたは複数の指114の数および配置を求めるように構成される。
【0017】
タッチ活動化エリア120は、振動、衝撃、および乱気流のうちの少なくとも1つによる運動の影響を求めるように構成されるセンサ206からの入力に基づいて、プレーナ入力および閲覧表面106上で再配置されること、およびサイズ変更されることのうちの少なくとも一方を受けるように構成される。
【0018】
あるいは、プレーナ入力および閲覧表面106は、人体寸法の範囲で使用するためにサイズ決定することもでき、2つの安定化された手が親指をプレーナ入力および閲覧表面106の中央近傍に触れさせることが可能となる。異なる手および手指のサイズについて、異なるライン交換可能ベゼル幅を使用することができる。
【0019】
対話的実施形態では、ベゼル110は、ベゼル110の外縁212の周りに延在する薄いベゼル統合タッチパッド210を組み込むアクティブユーザインターフェースである。タッチパッド210を使用して、プレーナ入力および閲覧表面106上の所期のグラフィカルフォーカスエリアを識別し、垂直および/または水平スクロールバーを制御し、量的表示またはグラフィカル表示を増大または減少させ、画面をパニング、ズーミング、または回転し、GUI動作について手指位置を求め、パイロットが画面と対話するときの乱気流入力を求め、その効果を減衰させることができる。
【0020】
システム100は、タッチスクリーン入力/表示システム104と対話するのに使用されている手116の位置および指114の数を求め、一実施形態では、例えば、限定はしないが、指アンカポイントの急速な上/下運動を介して、測定した乱気流に基づいて、意図しない指アンカポイント運動をさらに求め、感知したタッチスクリーン入力/表示システム104に対する手指または親指入力を、意図しないアンカポイント運動と逆方向に調節する。したがって、システム100は、測定した乱気流および指タッチポイントの運動に基づいて、意図しない指タッチポイント運動を求め、補正する。
【0021】
本明細書では、プロセッサという用語は、中央演算処理装置、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および本明細書に記載の機能を実行することのできる任意の他の回路またはプロセッサを指す。
【0022】
本明細書では、「ソフトウェア」および「ファームウェア」という用語は相互交換可能であり、プロセッサ119によって実行するために、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、および不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含むメモリ内に格納された任意のコンピュータプログラムを含む。上記のメモリタイプは例示的なものに過ぎず、したがってコンピュータプログラムの記憶のために使用可能なメモリのタイプに関する制限ではない。
【0023】
上記の明細書に基づいて理解するであろうが、上述の開示の実施形態は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらのサブセットの任意の組合せを含むコンピュータプログラミングまたはエンジニアリング技法を使用して実装することができ、技術的効果は、振動状態および乱気流状態でタッチスクリーンを使用するときの意図しない手および手指の運動を低減することである。コンピュータ可読コード手段を有する、任意のそのような得られるプログラムは、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体内で実施または提供することができ、それによって、論じた開示の実施形態によるコンピュータプログラム製品、すなわち製造品が作成される。コンピュータ可読媒体は、例えば、限定はしないが、固定(ハード)ドライブ、ディスケット、光ディスク、磁気テープ、読取り専用メモリ(ROM)などの半導体メモリ、および/またはインターネットや他の通信ネットワークまたはリンクなどの任意の伝送/受信媒体でよい。コンピュータコードを含む製造品は、ある媒体から直接的にコードを実行することによって、ある媒体から別の媒体にコードをコピーすることによって、またはネットワークを介してコードを伝送することによって作成および/または使用することができる。
【0024】
振動および乱気流下のタッチスクリーンディスプレイの使用を改善する方法およびシステムの上述の実施形態は、振動または乱気流下で操作するパイロットによって使用可能な方法で、マルチタッチタッチスクリーンの直観的側面をフライトデッキ応用分野にもたらす、コスト効果が高く、信頼性の高い手段を提供する。その結果、本明細書に記載の方法およびシステムは、コスト効果が高く、信頼性の高い方式で、航空機などのビークルの操作を容易にする。
【0025】
この説明は、例を使用して、最良の形態を含む本発明を開示し、任意のデバイスまたはシステムを作成および使用すること、および任意の組み込まれた方法を実施することを含めて、当業者が本発明を実施することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い浮かぶ他の例を含むことができる。そのような他の例は、それが特許請求の範囲の文字通りの言い回しと違いのない構造的要素を有する場合、またはそれが特許請求の範囲の文字通りの言い回しと実質的に違いのない等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0026】
100 システム
102 センサ
104 入力および表示システム
106 入力および閲覧表面
108 複数の縁部
110 ベゼル
112 表面
114 指
116 手
118 入力ユニット
119 プロセッサ
120 タッチ活動化エリア
202 溝
204 突起
206 センサ
208 近位側部プレーナ表面
210 タッチパッド
212 外縁