(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の基板検査装置(X線検査装置)では、X線撮像部が可視光撮像部により撮像される側から見て基板の後方(下方)に配置されているので、可視光撮像部により貫通孔を有する基板を撮像する場合に、貫通孔を介して基板の後方のX線撮像部が写り込んでしまい、その結果、基板の貫通孔を精度よく識別することができない場合があるという不都合がある。このため、上記特許文献1の基板検査装置(X線検査装置)では、基板(検査対象物)の状態を精度よく検査することができない場合があるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、検査対象物の状態を精度よく検査することが可能なX線検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の
一の局面におけるX線検査装置は、可視光が照射される検査対象物を撮像する光学撮像部と、光学撮像部による撮像結果に基づいて検査対象物の状態を検査する光学検査部と、光学撮像部により撮像される側から見て検査対象物の後方に配置される背景部材と、検査対象物を境として光学撮像部と同じ側に配置され、検査対象物にX線を照射するX線源と、検査対象物を境としてX線源と反対側に配置され、X線源により照射されて検査対象物を透過したX線を撮像するX線撮像部とを備え、背景部材は、
X線撮像部とは別体で、かつ、X線源から照射されるX線を透過可能な素材により構成され、光学撮像部により撮像される側から見て検査対象物の後方でかつX線撮像部の前方に配置されるとともに、光学検査部により検査対象物との識別が可能な表面色を有している。
【0008】
この発明の
一の局面によるX線検査装置では、上記のように、光学撮像部により撮像される側から見て検査対象物の後方に配置される背景部材を、光学検査部により検査対象物との識別が可能な表面色を有するように構成することによって、光学撮像部により貫通孔を有する検査対象物を撮像する場合に、検査対象物との識別が可能な上記表面色を有する背景部材が検査対象物の貫通孔を介して写り込むので、光学検査部により、上記表面色を有する背景部材が写り込んだ部分を検査対象物に形成された貫通孔として精度よく識別することができる。これにより、検査対象物の状態を精度よく検査することができる。
また、光学撮像部により検査対象物を光学撮像する際に、検査対象物の貫通孔を介してX線撮像部ではなく背景部材を写り込ませることができるので、X線撮像部の表面色に関わらず、背景部材が写り込んだ部分を検査対象物に形成された貫通孔として精度よく識別することができる。また、X線源から照射されるX線を透過可能な素材により背景部材を構成することによって、背景部材が平面視でX線撮像部による撮像視野内に位置する場合でも、X線撮像部により検査対象物をX線撮像することができるので、光学撮像部による光学撮像とX線撮像部によるX線撮像とを互いに並行して行うことができる。
【0013】
上記
一の局面によるX線検査装置において、好ましくは、背景部材は、検査対象物に対して光学検査部により検査対象物との識別が可能な階調または輝度の表面色を有している。このように構成すれば、光学検査部により、貫通孔を介して写り込む背景部材と検査対象物とを、それぞれの階調または輝度に基づいて容易に識別することができる。
【0014】
上記
一の局面によるX線検査装置において、好ましくは、X線撮像部は、光学撮像部が検査対象物を光学撮像する際に並行して検査対象物をX線撮像可能なように構成されている。このように構成すれば、光学撮像部による光学撮像とX線撮像部によるX線撮像とを互いに並行して行うことができるので、光学撮像とX線撮像とを互いにずらして異なる時間に行う場合とは異なり、光学撮像とX線撮像との両方を含む撮像動作をより短時間で行うことができる。これにより、X線検査装置による検査作業時間を短縮することができる。
【0015】
上記
一の局面によるX線検査装置において、好ましくは、検査対象物は、貫通孔が形成された基板を含み、背景部材は、光学撮像部により撮像される側から見て、表面色を有する領域が基板の貫通孔を介して露出されるように構成されている。このように構成すれば、光学撮像部による光学撮像により、背景部材の上記表面色を有する領域が検査対象物の貫通孔を介して写り込むので、光学検査部により、背景部材の上記表面色を有する領域が写り込んだ部分を検査対象物の貫通孔として容易に識別することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、検査対象物の状態を精度よく検査することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1〜
図4を参照して、本発明の第1実施形態によるX線検査装置100の構成について説明する。
【0020】
第1実施形態によるX線検査装置100は、図示しない電子部品が搭載された基板110において、基板110に対する電子部品の接続状態を主に検査するものである。また、X線検査装置100は、基板110に対する電子部品の接続状態を、X線撮像および光学撮像の両方の撮像結果に基づいて検査することが可能に構成されている。なお、基板110は、本発明の「検査対象物」の一例である。
【0021】
具体的には、X線検査装置100は、
図1に示すように、X線検査装置100の各部を内部に収容するハウジング1(基台1A、側壁部材1B、および天井部材1Cとから構成される)と、XY駆動テーブル2と、光学撮像装置3と、X線撮像装置4と、コントローラ5(
図2参照)とを備えている。X線検査装置100は、ハウジング1の側壁部材1Bに設けられた搬入口11から搬入された基板110に対して検査を行い、検査終了後に基板110を側壁部材1Bに設けられた搬出口12から搬出するように構成されている。
【0022】
基台1A上に配置されるXY駆動テーブル2は、基板110の周辺部を支持する機能を有し、基板110の周辺部を支持する支持部の内側は、X線が邪魔されずに透過可能となるようにされている。また、XY駆動テーブル2は、水平面内のX方向およびY方向に移動可能に構成されている。また、XY駆動テーブル2は、サーボモータなどからなり基台1A上に固定されるXY駆動機構21により駆動されるように構成されている。具体的には、XY駆動テーブル2は、ハウジング1の搬入口11まで移動して基板110を受け取るように構成されている。また、XY駆動テーブル2は、受け取った基板110を所定の検査位置まで搬送して位置決めするように構成されている。また、XY駆動テーブル2は、検査済みの基板110をハウジング1の搬出口12まで搬送するように構成されている。また、XY駆動テーブル2により基板110を水平面内で移動させることによって、後述の光学カメラ33およびX線カメラ42による撮像視野を変えたり、後述のX線源41から照射されるX線の基板110への入射角度を変えたりすることが可能である。
【0023】
光学撮像装置3は、側壁部材1Bまたは天井部材1Cに支持され、
図1に示すように、照明31と、ミラー32と、光学カメラ33とにより構成されている。照明31は、下方に向かって広がるドーム形状のカバー部材と、このカバー部材内側に配置され可視光を照射する複数のLEDを含んでいる。ドーム形状の照明31は、検査位置に位置する基板110を上方(Z1方向)から覆うように設けられており、基板110の上面(Z1方向側の表面)に可視光を照射するように構成されている。また、ドーム形状の照明31の天井部には、上下方向に貫通する開口311が形成されている。なお、光学カメラ33は、本発明の「光学撮像部」の一例である。
【0024】
ミラー32は、照明31の上方で開口311に対応する位置に配置されている。これにより、ミラー32には、照明31の可視光により照らされた基板110が開口311を介して写される。また、ミラー32は、後述のX線源41から照射されたX線を透過可能に構成されている。光学カメラ33は、カラー画像に対応した光学CCD(Charge Coupled Device)カメラからなる。また、光学カメラ33は、ミラー32の近傍に配置されており、ミラー32に写された像を撮像するように構成されている。すなわち、光学カメラ33は、照明31により可視光が照射された基板110をミラー32を介して撮像するように構成されている。また、
図3に示すように、光学カメラ33による撮像視野33aの中心は、後述のX線源41から照射されるX線の中心軸C1上に配置されている。また、撮像視野33aは、36mm×44mmの矩形視野である。
【0025】
X線撮像装置4は、側壁部材1B、あるいは天井部材1Cに支持されたX線源41と、基台1A上に支持されたX線カメラ42とにより構成されている。X線源41は、基板110を境として光学カメラ33と同じ側(Z1方向側)で、かつ、ミラー32の上方に配置されている。また、X線源41は、基板110に対して開口311を通過してX線を照射可能に構成されている。また、X線源41は、中心軸C1を中心に下方に向かって放射状にX線を照射するように構成されている。X線カメラ42は、X線CCDカメラからなり、略直方体形状に形成されている。また、X線カメラ42は、基板110を境としてX線源41と反対側(Z2方向側)に配置されている。具体的には、X線カメラ42は、基板110の下方(Z2方向)の基台1A上に配置されている。言い換えると、X線カメラ42は、光学カメラ33により撮像される側(Z1方向側)から見て基板110の後方(Z2方向)に配置されている。また、X線カメラ42は、X線源41により照射されて開口311を通過し基板110を透過したX線を撮像するように構成されている。なお、X線カメラ42は、本発明の「X線撮像部」および「背景部材」の一例である。
【0026】
また、X線カメラ42は、基台1A上において水平面内のX方向およびY方向に移動可能であり、基板110に沿う方向にX線源41に対して相対移動可能に構成されている。また、X線カメラ42は、水平面内で移動することにより、傾斜した方向から基板110に入射したX線を検知することが可能である。すなわち、X線カメラ42により、X線斜視画像を撮像することが可能である。また、X線カメラ42は、サーボモータなどからなり基台1A上に固定されるXY駆動機構422により駆動されるように構成されている。また、X線カメラ42は、光学カメラ33により基板110が光学撮像される際に、X線の中心軸C1上に配置されるように構成されている。詳細には、X線カメラ42は、
図3に示すように、光学カメラ33により基板110が光学撮像される際に、光学カメラ33による撮像視野33a内に移動されるように構成されている。また、X線カメラ42は、光学カメラ33が基板110を光学撮像する際に並行して基板110をX線撮像することが可能に構成されている。また、X線カメラ42は、光学カメラ33による撮像視野33aと同軸の撮像視野でX線撮像することが可能に構成されている。
【0027】
また、X線カメラ42は、
図3に示すように、光学カメラ33により撮像される側(Z1方向側)から見て、光学カメラ33による撮像視野33aよりも大きい面積を有するように形成されている。すなわち、X線カメラ42の上面(Z1方向の表面)42aは、光学カメラ33による撮像視野33aよりも大きい面積を有している。また、X線カメラ42は、外表面の全域にわたって黒色の表面色を有している。詳細には、X線カメラ42は、図示しない撮像素子が配置される素子設置領域42bも含む外表面の全域にわたって黒色の表面色を有している。また、
図4に示すように、黒色の表面色を有するX線カメラ42は、光学カメラ33により撮像される側から見て、基板110に形成されたスルーホール111を介して露出されるように構成されている。これにより、X線カメラ42は、スルーホール111を介して光学カメラ33による光学撮像画像に写り込む。なお、X線カメラ42の黒色の表面色については以下で詳細に説明する。また、スルーホール111は、本発明の「貫通孔」の一例である。
【0028】
コントローラ5は、光学撮像装置3およびX線撮像装置4からそれぞれ光学撮像結果およびX線撮像結果を取得するように構成されている。そして、コントローラ5は、取得した光学撮像結果およびX線撮像結果に基づいて、基板110に対する電子部品の接続状態(たとえば、半田の塗布状態など)を確認する機能を有している。また、コントローラ5は、
図2に示すように、コントローラ5により実行される制御動作を統括的に管理するCPU51と、モータ制御部52と、画像処理部53と、検査判定処理部54とを含んでいる。なお、検査判定処理部54は、本発明の「光学検査部」の一例である。
【0029】
モータ制御部52は、XY駆動テーブル2のXY駆動機構21およびX線カメラ42のXY駆動機構422を制御するように構成されている。画像処理部53は、検査判定処理部54により判定可能なように、光学撮像装置3およびX線撮像装置4からそれぞれ取得した光学撮像結果(光学撮像画像)およびX線撮像結果(X線撮像画像)に対して所定の画像処理を行うように構成されている。
【0030】
検査判定処理部54は、画像処理部53により画像処理された光学撮像画像およびX線撮像画像に基づいて、基板110に対する電子部品の接続状態の良否を判定(検査)する機能を有している。具体的には、検査判定処理部54は、光学撮像画像に基づいて、電子部品の接続状態の外観検査としての良否を判定するように構成されている。検査判定処理部54は、光学撮像画像の色情報に基づいて、電子部品の接続状態の外観検査としての良否を判定する。詳細には、検査判定処理部54は、画像処理部53により画像処理された光学撮像画像に基づいて、各画素の色をR(赤)G(緑)B(青)に分割して、RGBそれぞれの階調を算出するように構成されている。そして、検査判定処理部54は、RGBそれぞれの階調に基づいて、撮像されたものを特定して接続状態の良否を判定する。具体的には、
図4に示すように、検査判定処理部54は、RGBそれぞれの階調に基づいて、少なくとも、基板110に設けられたランド120、電子部品のリード130および半田140を互いに識別可能に構成されている。
【0031】
次に、第1実施形態におけるX線カメラ42の表面色について説明する。第1実施形態では、X線カメラ42は、上記のとおり、外表面の全域にわたって黒色の表面色を有している。具体的には、X線カメラ42の表面色は、検査判定処理部54により、基板110(緑色)、ランド120(銅色)、リード130(銀色)および半田140(銀色)との識別が可能な階調を有する黒色である。
【0032】
ここで、
図4に示すように、基板110に形成されたスルーホール111にリード130が挿入されていない場合、および、スルーホール111にリード130が挿入された状態で半田が塗布されていない場合には、基板110は、スルーホール111を介して黒色の表面色を有するX線カメラ42が露出された状態で光学カメラ33により光学撮像される。この際、スルーホール111を介して露出されたX線カメラ42の黒色の表面色が基板110、ランド120、リード130および半田140との識別が可能な階調を有しているため、検査判定処理部54により、基板110、ランド120、リード130および半田140に対してスルーホール111を精度よく識別することが可能である。そして、スルーホール111が確認された場合は、スルーホール111に半田140が充填されていない状態を示しており、検査判定処理部54は、外観検査結果として、基板110に対する電子部品の接続状態が不良であると判定する。一方、検査判定処理部54は、
図4に示すように、ランド120およびスルーホール111の全体が半田140により覆われている場合には、外観検査結果として、基板110に対する電子部品の接続状態が良好であると判定するように構成されている。なお、ランド120およびスルーホール111の全体が半田140により覆われていても、リード130が識別できない場合、スルーホール111に挿入されたリード130および充填された半田140が識別されても、充填された半田140に所定以上の大きさの貫通孔が識別される場合、さらには、リード130が挿入されないで半田140が充填される基板110の表裏導通用のスルーホール111では、充填された半田140に所定以上の大きさの貫通孔が識別される場合、検査判定処理部54は、外観検査結果として、基板110に対する電子部品の接続状態が不良であると判定する。
【0033】
また、検査判定処理部54は、X線撮像画像に基づいて、電子部品の接続状態の内部検査としての良否を判定するように構成されている。具体的には、検査判定処理部54は、X線撮像画像から得られる断層画像に基づいて、塗布された半田の内部を確認して良否を判定する。このように検査判定処理部54は、光学撮像画像に基づく外観検査に加えて、X線撮像画像に基づく内部検査も行うことが可能である。
【0034】
また、コントローラ5は、モデリング演算処理部55と、配置情報記憶部56とを含んでいる。モデリング演算処理部55は、断層画像を構成する複数枚のX線撮像画像の撮像条件(撮像角度など)を演算により求める機能を有している。配置情報記憶部56は、基板110に搭載される電子部品等の配置情報(形状や寸法、配置位置などの情報)を記憶する機能を有している。モデリング演算処理部55は、配置情報記憶部56に記憶された配置情報に基づいて、撮像条件を求めるように構成されている。
【0035】
第1実施形態では、上記のように、光学カメラ33により撮像される側(Z1方向側)から見て基板110の後方に配置されたX線カメラ42を、検査判定処理部54により基板110との識別が可能な表面色(黒色)を有するように構成することによって、光学カメラ33によりスルーホール111を有する基板110を撮像する場合に、基板110との識別が可能な上記表面色(黒色)を有するX線カメラ42が基板110のスルーホール111を介して写り込むので、検査判定処理部54により、上記表面色(黒色)を有するX線カメラ42が写り込んだ部分を基板110に形成されたスルーホール111として精度よく識別することができる。これにより、基板110の状態を精度よく検査することができる。
【0036】
また、第1実施形態では、光学カメラ33により撮像される側(Z1方向側)から見て光学カメラ33による撮像視野33aよりも大きい領域において上記表面色(黒色)を有するようにX線カメラ42を構成する。これにより、光学カメラ33による撮像視野33aの全域にわたって、スルーホール111を介してX線カメラ42の上記表面色(黒色)を有する領域を写り込ませることができるので、光学カメラ33による撮像視野33aの全域にわたって基板110のスルーホール111を精度よく識別することができる。
【0037】
また、第1実施形態では、光学カメラ33により基板110を光学撮像する際に、光学カメラ33による撮像視野33a内に移動されるようにX線カメラ42を構成する。これにより、光学カメラ33により基板110を光学撮像する際に、光学カメラ33による撮像視野33a内で平面視で基板110の後方に重なるようにX線カメラ42が移動されるので、上記表面色(黒色)を有するX線カメラ42を基板110のスルーホール111を介して確実に写り込ませることができる。
【0038】
また、第1実施形態では、X線カメラ42を、基板110に対して検査判定処理部54により基板110との識別が可能な階調の表面色(黒色)を有するように構成する。これにより、検査判定処理部54により、スルーホール111を介して写り込むX線カメラ42と基板110とを、それぞれの階調に基づいて容易に識別することができる。
【0039】
また、第1実施形態では、光学カメラ33が基板110を光学撮像する際に、並行して基板110をX線撮像可能なようにX線カメラ42を構成する。これにより、光学カメラ33による光学撮像とX線カメラ42によるX線撮像とを互いに並行して行うことができるので、光学撮像とX線撮像とを互いにずらして異なる時間に行う場合とは異なり、光学撮像とX線撮像との両方を含む撮像動作をより短時間で行うことができる。これにより、X線検査装置100による検査作業時間を短縮することができる。
【0040】
また、第1実施形態では、光学カメラ33により撮像される側(Z1方向側)から見て、上記表面色(黒色)を有する領域が基板のスルーホール111を介して露出されるようにX線カメラ42を構成する。これにより、光学カメラ33による光学撮像により、X線カメラ42の上記表面色(黒色)を有する領域が基板110のスルーホール111を介して写り込むので、検査判定処理部54により、X線カメラ42の上記表面色(黒色)を有する領域が写り込んだ部分を基板110のスルーホール111として容易に識別することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、
図1を参照して、本発明の第2実施形態によるX線検査装置200について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、基板110とX線カメラ42との間に黒色の表面色を有する背景部材201(
図1において2点鎖線で表示)を備えた構成について説明する。
【0042】
第2実施形態によるX線検査装置200は、光学カメラ33により撮像される側から見て、基板110の後方(Z2方向)でかつX線カメラ42の前方(Z1方向)に配置される背景部材201を備えている。背景部材201は、X線カメラ42とは別体である。また、背景部材201は、取付部材202を介してXY駆動テーブル2により支持されている。これにより、背景部材201は、基板110とともにXY駆動テーブル2の移動に連動して移動する。なお、XY駆動テーブル2は、本発明の「支持部」の一例である。
【0043】
また、背景部材201は、平面視で略矩形形状を有する板状部材である。また、背景部材201は、基板110に平行に配置されている。また、背景部材201は、光学カメラ33により撮像される側から見て基板110よりも大きい面積の外形形状を有している。すなわち、背景部材201の上面(Z1方向の表面)201aは、平面視で基板110よりも大きい面積を有している。また、背景部材201の上面201aは、光学カメラ33による撮像視野33aよりも大きい面積を有している。
【0044】
ここで、第2実施形態では、背景部材201は、外表面の全域にわたって黒色の表面色を有している。背景部材201の表面色は、検査判定処理部54により基板110、ランド120、リード130および半田140との識別が可能な階調を有する黒色である。また、背景部材201は、光学カメラ33により撮像される側から見て、基板110に形成されたスルーホール111(
図4参照)を介して露出されるように構成されている。これにより、黒色の表面色を有する背景部材201が、スルーホール111を介して光学カメラ33による光学撮像画像に写り込む。このため、第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、X線カメラ42の表面色を黒色にすることなく、光学撮像画像において基板110のスルーホール111に対応する部分に基板110の他の部分とは識別可能な黒色を写り込ませることが可能である。また、背景部材201は、X線源41から照射されるX線を透過可能なカーボンパネルにより構成されている。このように軽量でかつ剛性が高いカーボンパネルを背景部材201の素材として用いることによって、背景部材201の軽量化および薄肉化を図ることが可能である。
【0045】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0046】
第2実施形態では、上記のように、光学カメラ33により撮像される側(Z1方向側)から見て基板110の後方に配置される背景部材201を、検査判定処理部54により基板110との識別が可能な表面色(黒色)を有するように構成することによって、光学カメラ33によりスルーホール111等を有する基板110を撮像する場合に、基板110との識別が可能な上記表面色(黒色)を有する背景部材201が基板110のスルーホール111を介して写り込むので、検査判定処理部54により、上記表面色(黒色)を有する背景部材201が写り込んだ部分を基板110に形成されたスルーホール111として精度よく識別することができる。これにより、基板110の状態を精度よく検査することができる。
【0047】
また、第2実施形態では、背景部材201を、光学カメラ33により撮像される側(Z1方向側)から見て基板110の後方でかつX線カメラ42の前方に配置する。このように構成すれば、光学カメラ33により基板110を光学撮像する際に、基板110のスルーホール111を介してX線カメラ42ではなく背景部材201を写り込ませることができるので、X線カメラ42の表面色(黒色)に関わらず、背景部材201が写り込んだ部分を基板110に形成されたスルーホール111として精度よく識別することができる。また、X線源41から照射されるX線を透過可能なカーボンパネルにより背景部材201を構成することによって、背景部材201が平面視でX線カメラ42による撮像視野内に位置する場合でも、X線カメラ42により基板110をX線撮像することができるので、光学カメラ33による光学撮像とX線カメラ42によるX線撮像とを互いに並行して行うことができる。
【0048】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0049】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0050】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、本発明の表面色の一例として、黒色を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光学検査部により検査対象物との識別が可能な階調または輝度の表面色であれば、黒色以外の表面色であってもよい。この場合、濃いグレーなど、基板などの検査対象物との階調差または輝度差がより大きくなる表面色が好ましい。
【0051】
また、上記第1および第2実施形態では、検査判定処理部(光学検査部)により基板(検査対象物)との識別が可能な階調の表面色を有するようにX線カメラ(X線撮像部)または背景部材を構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光学検査部により検査対象物との識別が可能な輝度の表面色を有するようにX線撮像部および背景部材の少なくとも一方を構成し、光学検査部により、輝度に基づいて撮像されたものを特定してもよい。
【0052】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の検査対象物の一例として、基板を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、電子部品自体など、基板以外の検査対象物であってもよい。
【0053】
また、上記第1および第2実施形態では、外表面の全域にわたって本発明の表面色としての黒色を有するようにX線カメラ(X線撮像部)または背景部材を構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光学撮像部により撮像される側(Z1方向側)から見て光学撮像部による撮像視野よりも大きい領域において本発明の表面色を有していれば、たとえば、X線撮像部または背景部材の上面のみや上面の一部など、外表面の一部のみに本発明の表面色を有するようにX線撮像部または背景部材を構成してもよい。
【0054】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の貫通孔の一例として、基板のスルーホールを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、基板を分割するためのスリットなど、スルーホール以外の貫通孔であってもよい。
【0055】
また、上記第2実施形態では、X線を透過可能な背景部材の素材の一例として、カーボンパネルを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、X線を透過可能なアルミニウム、合成樹脂やシリコンなど、背景部材の素材としてカーボンパネル以外の素材を用いてもよい。
【0056】
また、上記第2実施形態では、X線カメラ(X線撮像部)を本発明の表面色を有するように構成することなく、背景部材のみを本発明の表面色を有するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、X線撮像部および背景部材の両方を、本発明の表面色を有するように構成してもよい。
【0057】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の光学撮像部およびX線撮像部の一例として、それぞれ、光学CCDカメラおよびX線CCDカメラを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光学CCDカメラ以外の光学撮像部およびX線CCDカメラ以外のX線撮像部であってもよい。