特許第6030839号(P6030839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030839
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】遊技媒体計数装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   A63F5/04 512T
   A63F5/04 512S
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-53161(P2012-53161)
(22)【出願日】2012年3月9日
(65)【公開番号】特開2013-183987(P2013-183987A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 浩之
【審査官】 薄井 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−156015(JP,A)
【文献】 特開平11−146969(JP,A)
【文献】 特開2002−177619(JP,A)
【文献】 特開2010−269000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に使用された遊技媒体の数である使用数を特定可能な使用信号、遊技者に付与した遊技媒体の数である付与数を特定可能な付与信号を含む遊技信号を出力する遊技機に対応して設けられ、貨幣の受付に応じて遊技媒体を貸し出す貸出処理を実行する貸出部と、外部から投入された遊技媒体を計数する計数処理を実行する計数部と、該計数部が計数した遊技媒体の範囲内で遊技媒体を払い出す払出処理を実行する払出部とを備えた遊技媒体計数装置であって、
前記計数部が計数した遊技媒体の数から前記払出部が払い出した遊技媒体の数を差し引いた計数済持玉数を算出する計数済持玉数算出手段と、
前記計数済持玉数算出手段により算出された計数済持玉数を特定可能な情報が記録された記録媒体を発行するために遊技者が操作する操作手段と、
前記計数済持玉数が所定の発行下限数以上である場合に、前記操作手段の操作に応じて前記記録媒体を発行する記録媒体発行手段と、
前記遊技信号の入力に基づいて、前記使用数及び前記付与数を特定する特定手段と、
前記貸出部が貸し出した遊技媒体の数と前記特定手段が特定した前記付与数との和から前記特定手段が特定した前記使用数を差し引いた理論持玉数を算出する理論持玉数算出手段と、
前記記録媒体を受け付けて前記計数済持玉数を読み出す読出手段と、を備え、
前記計数部は、前記理論持玉数算出手段により算出された理論持玉数が、前記発行下限数以上の値に設定された所定の計数下限数未満である場合に前記計数処理を実行しない計数不可状態を設定し、前記理論持玉数が前記所定の計数下限数以上である場合に前記計数不可状態を解除すると共に、前記読出手段が前記記録媒体を受け付けて読み出した前記計数済持玉数が第1の所定数以上である場合、当該計数済持玉数が第2の所定数である0になるまで前記計数処理を可能とする一方、当該計数済持玉数が第2の所定数である0になった時点で前記計数不可状態に切り替えることを特徴とする遊技媒体計数装置。
【請求項2】
前記貸出部と前記払出部とは同一物であることを特徴とする請求項1に記載した遊技媒体計数装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技に使用された遊技媒体の数である使用数を特定可能な使用信号、遊技者に付与した遊技媒体の数である付与数を特定可能な付与信号を含む遊技信号を出力する遊技機に対応して設けられた遊技媒体計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技場においては、遊技者が獲得した遊技媒体(メダル等)を島端の計数装置で計数し、その計数値に応じた景品との交換取引が行われている。しかしながら、遊技者が獲得した遊技媒体を島端の計数装置まで運ぶ作業は遊技場の従業員や遊技者にとって過度な負担となる。又、島端の計数装置で計数する場合には遊技終了まで遊技者が遊技媒体を保持するので、遊技場側は島内の遊技媒体がなくならないように相当数の遊技媒体を確保しておかなければならず、その分、コストアップに繋がってしまう。そこで、各遊技機に隣接して貸出機能を兼ね備えた各台計数装置を備えることが提案されている(例えば特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−226234号公報
【特許文献2】特開2006−212236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各台計数装置においては、計数した持玉数である計数済持玉数が所定数未満である場合には持玉券(持玉カード)を発行しないように構成するのが一般的である。これは発行した持玉券が回収できないことによる損失を補填するためであるが、遊技者が自身の所有する遊技媒体を計数したにも関わらずその計数した遊技媒体数が所定数未満であることにより持玉券を発行できない場合には、遊技者に不快感を与えてしまう。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技者が自身の所有する遊技媒体を計数したにも関わらずその計数した遊技媒体数が所定数未満であることにより記録媒体を発行できないことで生じる不快感を軽減することができる遊技媒体計数装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明は、遊技に使用された遊技媒体の数である使用数を特定可能な使用信号、遊技者に付与した遊技媒体の数である付与数を特定可能な付与信号を含む遊技信号を出力する遊技機に対応して設けられ、貨幣の受付に応じて遊技媒体を貸し出す貸出処理を実行する貸出部と、外部から投入された遊技媒体を計数する計数処理を実行する計数部と、該計数部が計数した遊技媒体の範囲内で遊技媒体を払い出す払出処理を実行する払出部とを備えた遊技媒体計数装置であって、前記計数部が計数した遊技媒体の数から前記払出部が払い出した遊技媒体の数を差し引いた計数済持玉数を算出する計数済持玉数算出手段と、前記計数済持玉数算出手段により算出された計数済持玉数を特定可能な情報が記録された記録媒体を発行するために遊技者が操作する操作手段と、前記計数済持玉数が所定の発行下限数以上である場合に、前記操作手段の操作に応じて前記記録媒体を発行する記録媒体発行手段と、前記遊技信号の入力に基づいて、前記使用数及び前記付与数を特定する特定手段と、前記貸出部が貸し出した遊技媒体の数と前記特定手段が特定した前記付与数との和から前記特定手段が特定した前記使用数を差し引いた理論持玉数を算出する理論持玉数算出手段と、前記記録媒体を受け付けて前記計数済持玉数を読み出す読出手段と、を備え、前記計数部は、前記理論持玉数算出手段により算出された理論持玉数が、前記発行下限数以上の値に設定された所定の計数下限数未満である場合に前記計数処理を実行しない計数不可状態を設定し、前記理論持玉数が前記所定の計数下限数以上である場合に前記計数不可状態を解除すると共に、前記読出手段が前記記録媒体を受け付けて読み出した前記計数済持玉数が第1の所定数以上である場合、当該計数済持玉数が第2の所定数である0になるまで前記計数処理を可能とする一方、当該計数済持玉数が第2の所定数である0になった時点で前記計数不可状態に切り替えることを特徴とする。
【0008】
請求項に記載した発明は、前記貸出部と前記払出部とは同一物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明によれば、貸し出した遊技媒体の数と付与数との和から使用数を差し引いた理論持玉数を算出し、その算出した理論持玉数が計数下限数未満であると判定すると、計数不可状態として計数処理を実行しないようにしたので、計数したにも関わらず記録媒体を発行できないという事態を回避することができ、遊技者の不快感を軽減することができる。
【0010】
、計数済持玉数が記録された記録媒体を受け付けると、その計数済持玉数が第1の所定数(例えば「1」)以上であれば、計数済持玉数が第2の所定数である0になるまで計数処理を可能とし、計数済持玉数が第2の所定数である0になった時点で計数しないように切り替えることで、新規に記録媒体を発行する場合だけを対象として計数不可状態を設定することができる。
【0011】
請求項に記載した発明によれば、貸出部と払出部とを同一物とすることで、コスト削減及び省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態を示す各台計数装置を含む全体構成図
図2】各台計数装置の正面図(a)、縦断側面図(b)及び回転盤本体の平面図(c)
図3】各台計数装置の機能ブロック図
図4】計数判定処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は遊技場用管理システム1の全体構成を概略的に示している。遊技場には、スロットマシン2(遊技機に相当)に対応して各台計数装置3(遊技媒体計数装置に相当)及び表示装置4が設置されている。2台のスロットマシン2、2台の各台計数装置3及び2台の表示装置4は1台の中継装置5に接続されており、中継装置5はLAN6を介して管理装置7に接続されている。管理装置7は、遊技場内の例えば管理室に設置されており、主装置8、遊技場の管理者が操作するマウス9及びキーボード10、モニタ11やプリンタ(図示せず)等が組み合わされて構成されている。尚、図1では省略しているが、数100台のスロットマシン2が管理装置7の管理対象となる。又、本実施形態では上記したように遊技機がスロットマシン2であることから、遊技価値(遊技媒体)はメダルである。遊技機がパチンコ機であれば、遊技価値はパチンコ玉である。
【0014】
スロットマシン2は、遊技者がリールを視認可能な表示窓12、有効化された入賞ラインを示す有効ライン表示部13、表示パネル14、クレジットメダルの投入を行うクレジットボタン15、クレジットメダルの精算を行う精算ボタン16、メダルを投入するメダル投入口17、スタートレバー18、左ストップボタン19、中ストップボタン20、右ストップボタン21、受け皿22等を有する。受け皿22には「600〜800枚」のメダル(貸単価が「20円」であれば「12000〜16000円」相当のメダル)が収納可能である。
【0015】
スロットマシン2は、メダルが投入された状態でスタートレバー18が操作されると(ゲーム開始操作が行われると)、各リールを始動(回転)させ、発生する乱数の中から1つの乱数を抽出して内部抽選を実行すると共に、内部当選役がある場合には当該内部当選役に対応するフラグを成立させ、この状態で各ストップボタン19〜21が操作されると、対応するリールの回転を停止させる。続いて、内部当選役のフラグに応じて各リールの停止位置を決定するための図示しない停止テーブルに基づいて、所謂引込制御(すべり制御)を含む停止制御(各リールを内部当選役フラグの種類に応じた入賞図柄又はハズレ図柄で停止表示させる制御)を実行する。引込制御は、各ストップボタン19〜21の操作を検出した時点から予め規定された引込範囲(最大で4図柄まで)にある図柄を入賞ライン上に引込んで停止させることが可能な制御である。尚、内部当選役フラグに対応する図柄が引込範囲内に存在しないときは、その図柄を入賞ライン上に引き込んで停止させることができないので、入賞が発生せず、所謂取りこぼしとなる。
【0016】
スロットマシン2は、以下に示す遊技信号を出力する。
「アウト信号」:遊技に使用された遊技価値数(使用数、アウト)を特定可能な使用信号である。ゲームの開始操作に応じてBET状態のメダル数(3枚又は1枚)分がパルス出力されるので、アウト信号数×1をアウトとして特定する。尚、リプレイ役入賞時にも対応分が出力される。
「セーフ信号」:遊技者に付与した(遊技者が獲得した)遊技価値数(付与数、セーフ)を特定可能な付与信号である。メダルが1枚払出される毎に1パルスが出力されるので、セーフ信号数×1をセーフとして特定する。尚、リプレイ役入賞時にも、そのゲームに使用されたメダル分が出力される。
【0017】
「BB信号」:BB(ビッグボーナス)状態を特定可能な信号である。BB状態中にレベル出力されるので、BB信号入力中をBB状態中として特定する。大当たり状態の発生を特定可能な大当たり信号である。
「RB信号」:RB(レギュラーボーナス)状態を特定可能な信号である。RB状態中にレベル出力されるので、RB信号入力中をRB状態中として特定する。BB信号と同様に、大当たり状態の発生を特定可能な大当たり信号である。
【0018】
表示装置4は、各種の遊技情報(BB状態やRB状態の発生回数、スタート回数、ARTの発生回数、平均獲得枚数等)を表示する情報表示部23、遊技場の従業員を呼出すときに遊技者が押下する呼出ボタンや情報表示部23が表示する遊技情報を切替えるときに遊技者が押下する切替ボタン等を含む操作部24、遊技場の従業員が所持する操作リモコン(図示せず)から送信されたリモコン信号を受信する受光部25等を有する。又、表示装置4は、CPU、ROM、RAM、I/Oを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部、スロットマシン2や各台計数装置3や管理装置7との間で各種信号を入出力する入出力部等を有する。
【0019】
表示装置4は、制御部が予め記憶している制御プログラムを実行し、スロットマシン2から出力された遊技信号(アウト信号、セーフ信号、BB信号、RB信号)を入力したり、遊技者が操作部24を操作したり、操作リモコンから送信されたリモコン信号を受光部25により受信したりすることで、各種の遊技情報を情報表示部23に表示する等の処理を行う。尚、表示装置4は、リモコン信号を受光部25により受信すると、その受信したリモコン信号を特定可能な信号(後述する計数信号であるかを特定可能な信号)を各台計数装置3に出力する。
【0020】
管理装置7は、CPU、ROM、RAM、I/Oを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部、スロットマシン2や各台計数装置3や表示装置4との間で各種信号を入出力する入出力部等を有する。管理装置7は、制御部が予め記憶している制御プログラムを実行し、スロットマシン2から出力された遊技信号(アウト信号、セーフ信号、BB信号、RB信号)を入力したり、各台計数装置3から出力された貸出信号を入力したりすることで、スロットマシン2の遊技情報(アウト、セーフ、差メダル、BB回数、RB回数等)を集計したり、貸出情報(売上情報)を算出したりする等の処理を行う。
【0021】
各台計数装置3は、図2にも示すように、その筐体26の正面26a側に、各台計数装置3の動作状態を示す動作ランプ27、遊技者が紙幣を投入するための紙幣投入口28、遊技者が会員カードや持玉券71(図3参照、記録媒体に相当)を発行したり新規の持玉券を発行したりするためのカード挿入口29(記録媒体発行手段に相当)、テンキーを含むパスワード入力ボタン群30や貸出ボタン31や計数ボタン32や払出ボタン33や発行ボタン34(操作手段に相当)を含む操作部35、残クレジット数を表示する残クレジット数表示部36、持玉数(後述する計数済持玉数)を表示する持玉数表示部37、遊技者がメダルを取り出すための取出口38、遊技者がメダルを投入する投入口39等を有する。
【0022】
筐体26の内部には、メダルを排出(貸出、払出)する排出部40(貸出部、払出部に相当)、メダルを計数する計数部41が設けられている。筐体26の裏面26b側には、メダルを各台計数装置3に補給する補給路42、メダルを各台計数装置3から回収する回収路43が設けられている。
【0023】
排出部40は、メダルを収納する収納容器44、回転盤45を有する回転盤本体46、回転盤46を回転させるモータ47、回転盤本体46から上記した取出口38にメダルを搬送する搬送路48等を有する。収納容器44にはメダルを回転盤本体46に搬送する搬送路49が一体的に形成されており、その搬送路49の途中部位には排出検出センサ50が設けられている。又、回転盤本体46から取出口38に連なる搬送路48の途中部位には計数検出センサ51が設けられている。
【0024】
排出部40においては、補給路42から筐体26の裏面26bの開口部52を介してメダルが補給されると、その補給されたメダルは収納容器44に収納されて搬送路49の排出検出センサ50を通過して回転盤本体46に搬送される。回転盤本体46に搬送されたメダルは回転盤45がモータ47により回転軸53を回転中心として例えば反時計周りに回転することで、回転盤45に形成されている5個の穴部54のうち何れかに挿入された状態で所定位置まで回転されると、ガイドピン55により搬送路48に押し出される。搬送路48に押し出されたメダルは計数検出センサ51を通過した後に筐体26の正面26aの開口部56を介して取出口38に搬送される(貸出処理、払出処理を実行する)。
【0025】
計数部41は、基本的には上記した排出部40と同様の構造である。計数部41は、メダルを収納する収納容器57、回転盤58を有する回転盤本体59、回転盤58を回転させるモータ60、回転盤本体59から上記した回収路43にメダルを搬送する搬送路61等を有する。収納容器57にはメダルを回転盤本体59に搬送する搬送路62が一体的に形成されており、その搬送路62の途中部位には投入検出センサ63(投入検出手段に相当)が設けられている。又、回転盤本体59から回収路43に連なる搬送路61の途中部位には計数検出センサ64が設けられている。
【0026】
計数部41においては、遊技者がメダルを投入口39に投入すると、その投入されたメダルは筐体26の正面26aの開口部65を介して収納容器57に収納されて搬送路62の投入検出センサ63を通過して回転盤本体59に搬送される。回転盤本体59に搬送されたメダルは回転盤58がモータ60により回転軸66を回転中心として例えば反時計周りに回転することで、回転盤58に形成されている5個の穴部67のうち何れかに挿入された状態で所定位置まで回転されると、ガイドピン68により搬送路61に押し出される。搬送路61に押し出されたメダルは計数検出センサ64を通過した後に筐体26の裏面26bの開口部69を介して回収路43に搬送される。そして、回収路43に搬送されたメダルはベルトコンベア70により搬送される(計数処理を実行する)。
【0027】
図3は、各台計数装置3の電気的な構成を機能ブロック図により示している。制御部72(計数済持玉数算出手段、特定手段、理論持玉数算出手段に相当)は、CPU72a、ROM72b、RAM72c、I/O72dを有するマイクロコンピュータにより構成されており、動作ランプ27、操作部35、残クレジット数表示部36、持玉数表示部37、紙幣投入口28に投入された紙幣を処理する(種類や枚数等を判定する)紙幣処理部73、カード挿入口29に挿入された会員カードに記録されている会員IDや貯玉数を読み出したり更新したり、カード挿入口29に挿入された持玉券71に記録されている計数済持玉数を読み出したり更新したり、新しく発行する持玉券71に計数済持玉数を記録したりするカード処理部74(読出手段に相当)、排出部40、計数部41を接続している。
【0028】
制御部72は、駆動指令信号を排出部40のモータ47に出力することで、メダルを貸し出したり払い出したりする。このとき、排出検出センサ50は、メダルが通過する毎に検出信号を制御部72に出力し、制御部72は、排出検出センサ50から検出信号を入力することで、メダルの貸し出しや払い出しを検出する。又、計数検出センサ51は、メダルが通過する毎に検出信号を制御部72に出力し、制御部72は、計数検出センサ51から検出信号を入力することで、貸し出されたり払い出されたりするメダルの枚数を検出する。
【0029】
同様に、制御部72は、駆動指令信号を計数部41のモータ60に出力することで、遊技者が投入したメダルを計数する。このとき、投入検出センサ63は、メダルが通過する毎に検出信号を制御部72に出力し、制御部72は、投入検出センサ63から検出信号を入力することで、メダルの投入を検出する。又、計数検出センサ64は、メダルが通過する毎に検出信号を制御部72に出力し、制御部72は、計数検出センサ64から検出信号を入力することで、投入されたメダルの枚数を検出する。
【0030】
各台計数装置3は、制御部72が予め記憶している制御プログラムを実行することで以下の動作を行う。
(1)「千円札」、「2千円札」、「5千円札」、「1万円札」の4種類の紙幣を紙幣投入口28にて受付可能であり、何れかの紙幣を紙幣投入口28にて受付けると、貸出処理を行うことで、50枚のメダルを排出部40により貸し出す。即ち、例えばメダルの貸単価が20円であれば、1000円分に相当するメダルを貸し出す。この場合、「千円札」の紙幣を紙幣投入口28にて受付けていれば、1000円分に相当する50枚のメダルを貸し出し、残クレジット数(メダルに換金していない金額)を0円として記憶し、「5千円札」の紙幣を紙幣投入口28にて受付けていれば、1000円分に相当する50枚のメダルを貸し出し、残クレジット数を4000円として記憶する。尚、メダルを5枚貸し出す毎に貸出信号を1パルスで出力する。即ち、1000円分に相当する50枚のメダルを貸出す際には貸出信号を10パルスで出力する。貸出信号数×5が貸出メダル数に相当し、その貸出メダル数に貸出単価を乗じた値が売上額に相当する。残クレジット数がある状態では、遊技者が貸出ボタン31を押下する毎に、1000円分のメダルを排出部40により貸し出し、残クレジット数を更新する。
【0031】
(2)遊技者がメダルを投入口39に投入したことに応じて、投入検出センサがメダルを検出すると、投入口39から計数部41に搬送されたメダルを計数部41により計数する(回転盤58を回転させてメダルを計数検出センサ64に搬送する)。又、例えばメダルが詰まった場合等で回転盤58の回転が停止した場合には、遊技者が計数ボタン32を押下した場合にも、メダルを計数部41により計数する。
【0032】
(3)排出部40により貸し出したメダル数(貸玉数)とスロットマシン2から入力したセーフ信号により特定したセーフとの和から、スロットマシン2から入力したアウト信号により特定したアウトを差し引いた持玉数を理論持玉数(貸玉数+セーフ−アウト)として算出する。算出した理論持玉数と所定の計数下限数(遊技場側の設定値であり、例えば60枚、後述する発行下限数以上の値である)とを比較し、理論持玉数が計数下限数以上であれば、計数を行う計数可状態を設定する一方、理論持玉数が計数下限数未満であれば、計数を行わない計数不可状態を設定する。計数不可状態を設定すると、投入検出センサがメダルを検出した場合又は遊技者が計数ボタン32を押下した場合であっても、メダルを計数しない(回転盤58を回転させずメダルを計数検出センサ64に搬送しない)。尚、計数ボタン32は、計数可状態では黄色点灯し、計数不可状態では消灯する。即ち、遊技者は、計数ボタン32の黄色点灯を確認することで、計数可状態を把握することができ、計数ボタン32の消灯を確認することで、計数不可状態を把握することができる。但し、会員カードが挿入されている状態では理論持玉数が計数下限数以上であるか否かに関わらず常に計数可状態を設定する。
【0033】
(4)計数不可状態を設定している場合、計数不可状態であるにも関わらず遊技者が誤ってメダルを投入してしまった場合に対応するように、遊技場の従業員が所持する操作リモコンからのリモコン信号(計数信号)に応じて計数不可状態を一時的に解除する。又、遊技者がワゴンサービス(担当者が遊技中の遊技者のところへ出向いて持玉と景品とを交換するサービス)を利用する場合に対応するように、ワゴンサービスの担当者が所持する操作リモコンからのリモコン信号(計数信号)に応じて計数不可状態を一時的に解除する。
【0034】
(5)計数部41により計数した計数値から排出部40により払い出した払出値を差し引いた持玉数を計数済持玉数として算出する。
(6)遊技者が払出ボタン33を押下すると、計数済持玉数が50枚以上であれば、その範囲内でメダルを50枚単位で排出部40により払い出す。計数済持玉数が50枚未満であれば、その50枚未満の全てのメダルを排出部40により払い出す。
【0035】
(7)遊技者が発行ボタン34を押下すると、計数済持玉数を持玉券71に記録し、その計数済持玉数を記録した持玉券71をカード挿入口29から発行すると共に、発行した持玉券に固有のID(持玉券ID)と計数済持玉数とを対応付けた信号を管理装置7に出力する。但し、計数済持玉数が所定の発行下限数(遊技場側の設定値であり、例えば50枚)未満である場合には、持玉券71を発行しない。即ち、上記した計数処理を行わない判定基準である計数下限数(例えば60枚)が、持玉券71を発行しない判定基準である発行下限数(例えば50枚)よりも大きい値であるので、計数済持玉数と理論持玉数との誤差が発行下限数から計数下限数を差し引いた値よりも小さければ、持玉券71を発行しない状況では必ず計数処理を行わないことになる。尚、会員カードが挿入されている状態で遊技者が発行ボタン34を押下した場合には、計数済持玉数に関わらず、その会員カードのIDに対応する貯玉情報(当日貯玉数)を更新した後に会員カードをカード挿入口29から発行する。
【0036】
次に、上記した構成の作用について、図4を参照して説明する。図5は各台計数装置3が本発明に関連して行う計数判定処理をフローチャートにより示している。各台計数装置3は、電源が投入されている状態では計数判定処理を所定周期で定期的に実行する。又、各台計数装置3は、メダルを排出部40により貸し出す毎に、又、スロットマシン2からアウト信号やセーフ信号を入力する毎に理論持玉数を逐一算出(更新)している。
【0037】
各台計数装置3は、計数判定処理を開始すると、最新の理論持玉数と計数下限数とを比較し、理論持玉数が計数下限数以上であるか否かを判定する(S1)。各台計数装置3は、理論持玉数が計数下限数以上であると判定すると(S1:YES)、計数可能フラグを「1」に設定する(S2)(計数不可状態を解除する)。即ち、各台計数装置3は、計数可能フラグを「1」に設定していれば、その「1」を維持し、計数可能フラグを「0」に設定していれば、「0」から「1」に変更する。一方、各台計数装置3は、理論持玉数が計数下限数以上でない(計数下限数未満である)と判定すると(S1:NO)、計数可能フラグを「0」に設定する(S3)(計数不可状態を設定する)。即ち、各台計数装置3は、計数可能フラグを「0」に設定していれば、その「0」を維持し、計数可能フラグを「1」に設定していれば、「1」から「0」に変更する。このように各台計数装置3は、理論持玉数が計数下限数以上であるか否かに応じて計数処理を行うか否かの判定基準となる計数可能フラグを「1」又は「0」の何れかに選択的に設定する。
【0038】
次いで、各台計数装置3は、メダルの投入を検出したか否かを判定し(S4)、遊技者が計数ボタン22を押下したか否かを判定し(S5)、操作リモコンからの計数信号の表示装置4への受信を検出したか否かを判定する(S6)。
【0039】
各台計数装置3は、メダルの投入を検出したと判定すると(S4:YES)、その時点で計数可能フラグを「1」に設定しているか否かを判定し(S7)、その時点で計数可能フラグを「1」に設定していると判定すると(S7:YES)、計数部41のモータ60を駆動して回転盤58を回転させてメダルを計数検出センサ64を通過するように搬送し、計数処理を行う(S8)。尚、各台計数装置3は、メダルの投入を検出したと判定したが、その時点で計数可能フラグを「1」に設定していないと判定すると(S7:NO)、計数処理を行わずにリターンする。
【0040】
又、各台計数装置3は、遊技者が計数ボタン22を押下したと判定すると(S5:YES)、この場合も、その時点で計数可能フラグを「1」に設定しているか否かを判定し(S7)、その時点で計数可能フラグを「1」に設定していると判定すると(S7:YES)、計数部41のモータ60を駆動して回転盤58を回転させてメダルを計数検出センサ64を通過するように搬送し、計数処理を行う(S8)。尚、各台計数装置3は、遊技者が計数ボタン22を押下したと判定したと判定したが、その時点で計数可能フラグを「1」に設定していないと判定すると(S7:NO)、この場合も、計数処理を行わずにリターンする。
【0041】
又、各台計数装置3は、遊技場の従業員やワゴンサービスの担当者が操作リモコンにて計数操作を行ったことに応じて、操作リモコンからの計数信号の表示装置4への受信を判定すると(S6:YES)、この場合は、その時点で計数可能フラグを「1」に設定しているか否かに関わらず、計数処理を行う(S8)。
【0042】
以上に説明したように本実施形態によれば、各台計数装置3において、貸し出したメダル数とセーフとの和からアウトを差し引いた持玉数を理論持玉数として算出し、その算出した理論持玉数と予め遊技場側により設定された計数下限数とを比較し、理論持玉数が計数下限数未満であれば、計数処理を行わないようにしたので、計数したにも関わらず持玉券71を発行できないという事態を回避することができ、遊技者の不快感を軽減することができる。
【0043】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
計数済持玉数が記録された持玉券71を受け付けた場合に、その計数済持玉数が第1の所定数(例えば「1」)以上であれば、計数済持玉数が第2の所定数(例えば「0」)になるまで計数処理を可能とし、計数済持玉数が第2の所定数になった時点で計数しないように切り替えても良い。新規に持玉券71を発行する場合だけを対象として計数不可状態を設定することができる。
【0044】
計数下限数や発行下限数は例示した以外の数値であっても良い。
貸出部と払出部とが別々に設けられた構成であっても良い。又、貸出部、計数部及び払出部は、スロットマシン2毎に設けられる構成であれば、別々の装置として設けられる構成であっても良い。
【0045】
対象となる遊技機は、スロットマシン2に限らず、パチンコ機等であっても良い。又、遊技機は、遊技価値に相当する遊技媒体を払出す遊技機に限らず、遊技価値を電子データとして加算記憶する所謂封入式やクレジット式の遊技機であっても良い。この点を考慮し、遊技媒体と電子データとを包含して遊技価値と表現している。
例えば理論持玉数の算出を中継装置5や管理装置7が行う等、各台計数装置3が行う情報処理の一部を他の装置にて行っても良い。即ち、各台計数装置としては中継装置5や管理装置7等を含む広義の概念も含む。
【符号の説明】
【0046】
図面中、2はスロットマシン(遊技機)、3は各台計数装置(遊技媒体計数装置)、29はカード挿入口(記録媒体発行手段)、34は発行ボタン(操作手段)、40は排出部(貸出部、払出部)、41は計数部、71は持玉券(記録媒体)、72は制御部(計数済持玉数算出手段、特定手段、理論持玉数算出手段)、74はカード処理部(読出手段)である。
図1
図2
図3
図4