特許第6030847号(P6030847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6030847コンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030847
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】コンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/03 20060101AFI20161114BHJP
   B21C 37/04 20060101ALI20161114BHJP
   B21H 8/00 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   E04C5/03
   B21C37/04 B
   B21H8/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-101616(P2012-101616)
(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公開番号】特開2013-227818(P2013-227818A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】595097841
【氏名又は名称】愛鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蛇沼 光男
(72)【発明者】
【氏名】吉村 朝也
(72)【発明者】
【氏名】中川 英樹
【審査官】 多田 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−113079(JP,A)
【文献】 特開2011−190571(JP,A)
【文献】 特開平07−300946(JP,A)
【文献】 特開2001−182219(JP,A)
【文献】 特開昭51−078533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 5/00−5/20
B21C 37/04
B21H 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径6.0mm未満のステンレス鋼製線条材を準備し、
ステンレス鋼製線条材に冷間圧延を施すことにより、
断面略円形状の本体部と、
該本体部の表面から突出する凸部とを有しており、
該凸部は、上記本体部の軸方向に連続的に延びる2本のリブ部と、上記2本のリブ部を連結するとともに軸方向において間隔をあけて配置された多数の節部とを有しており、
上記節部は、全てが、軸方向に対して同じ斜め方向に延びるように配置されており、
軸方向のいずれの位置においても、軸方向に直交する断面の外周部に上記リブ部と上記節部とが存在しており、
軸方向のいずれの位置においても、軸方向に直交する断面における上記凸部の存在する範囲が、上記本体部の軸を中心として上記凸部に外接する仮想外接円の周長の30%以上に相当し、
上記節部の軸方向に沿った幅寸法は、隣接する上記節部の間の軸方向の間隔よりも大きく、
上記節部が、軸方向に対して30°〜80°傾くよう斜めに配置されているように成形し、
その後、上記ステンレス鋼製線条材を矯正加工機に通して矯正することを特徴とするコンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材の製造方法。
【請求項2】
上記ステンレス鋼製線条材は材質がSUS304であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材に関する(以下、本明細書中においては、「ステンレス異形線条材」は、適宜、単に「異形線条材」あるいは「線条材」と称する場合がある。)
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリートに用いられる補強線として、種々の直径を有する棒鋼あるいは線条材が使用されている。これらの棒鋼や線条材には、コンクリートとの付着強度を高めるために、表面に凹凸形状が付与されたものがある。
【0003】
例えば、比較的直径の小さい線条材に凹凸形状を付与した例として、熱間圧延により製造した異形線条材が特許文献1に開示されている。このように直径の小さい異形線条材を用いることで、コンクリート製品の軽量化が容易となる。また、コンクリート製品内部において複数の鉄筋が交差して配置される場合には、この交差部分の厚みを薄くすることができるため、コンクリート部分の肉厚を容易に薄くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3684124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンクリート部分の肉厚を薄くすると、コンクリートのひび割れや炭酸ガスの浸透によるコンクリートの中性化等が鉄筋の周囲まで到達しやすくなるおそれがある。そのため、鋼鉄製の異形棒鋼を用いる場合には、鉄筋が腐食されやすくなるという問題があった。
【0006】
そこで、耐食性の高いステンレス鋼を用いて異形線条材を形成する方法がある。しかしながら、ステンレス鋼を用いて特許文献1に記載の異形線条材を製造する場合には、スピンナー矯正機などの矯正加工機を用いて曲がりを矯正する際に、線条材表面の凹凸と矯正加工機内部の矯正コマとが引っかかることがある。そのため、矯正加工機に線条材を通過させる際の抵抗が大きくなり、矯正加工機を通過した後に線条材の表面に傷が生じたり、線条材が塑性加工されたりすることがあった。これにより、ステンレス鋼の表面に存在する不動態層が削り取られ、異形線条材の耐食性が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたもので、耐食性に優れたコンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、直径6.0mm未満のステンレス鋼製線条材を準備し、
ステンレス鋼製線条材に冷間圧延を施すことにより、
断面略円形状の本体部と、
該本体部の表面から突出する凸部とを有しており、
該凸部は、上記本体部の軸方向に連続的に延びる2本のリブ部と、上記2本のリブ部を連結するとともに軸方向において間隔をあけて配置された多数の節部とを有しており、
上記節部は、全てが、軸方向に対して同じ斜め方向に延びるように配置されており、
軸方向のいずれの位置においても、軸方向に直交する断面の外周部に上記リブ部と上記節部とが存在しており、
軸方向のいずれの位置においても、軸方向に直交する断面における上記凸部の存在する範囲が、上記本体部の軸を中心として上記凸部に外接する仮想外接円の周長の30%以上に相当し、
上記節部の軸方向に沿った幅寸法は、隣接する上記節部の間の軸方向の間隔よりも大きく、
上記節部が、軸方向に対して30°〜80°傾くよう斜めに配置されているように成形し、
その後、上記ステンレス鋼製線条材を矯正加工機に通して矯正することを特徴とするコンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材の製造方法にある。
【発明の効果】
【0009】
上記コンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材は、上記本体部の軸方向に連続的に延びる2本のリブ部と、上記2本のリブ部を連結するとともに軸方向において間隔をあけて配置された多数の節部とを有している。そのため、上記コンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材は、コンクリートとの接触面積が比較的大きくなるとともに、コンクリート内部において回転や引き抜きをされにくくなる。その結果、上記コンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材は、コンクリートとの付着強度に優れたものとなる。
【0010】
また、軸方向のいずれの位置においても、軸方向に直交する断面の外周部に上記リブ部と上記節部とが存在している。そのため、矯正加工機を用いて線条材の曲がりを矯正する際に、矯正コマが上記リブ部または上記節部と接触しやすくなり、これらの凸部と上記本体部との間の段差部分に矯正コマが引っかかる頻度を低減することができる。その結果、上記線条材は、矯正加工の際に生じる表面の傷等を低減し、耐食性に優れたものとなる。
【0011】
以上のごとく、上記態様によれば、耐食性に優れたコンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1における異形線条材の斜視図。
図2】実施例1における異形線条材を径方向から見た平面図。
図3】実施例1における異形線条材の表面形状を平面上に写し取った展開図。
図4】実施例2における、節部をらせん状に形成した異形線条材を径方向から見た平面図。
図5】実施例2における異形線条材の表面形状を平面上に写し取った展開図。
図6】実施例3における、節部を軸方向に対して40°傾けた斜め方向に形成した異形線条材を径方向から見た平面図。
図7】実施例3における異形線条材の表面形状を平面上に写し取った展開図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記ステンレス異形線条材は、軸方向のいずれの位置においても、軸方向に直交する断面における上記凸部の存在する範囲が、上記本体部の軸を中心として上記凸部に外接する仮想外接円の周長の30%以上に相当するよう構成されている。
この場合には、軸方向に直交する断面における上記凸部の存在する割合が比較的大きくなるため、矯正加工機の矯正コマが上記凸部とより接触しやすくなる。これにより、上記凸部と上記本体部との間の段差部分に矯正コマが引っかかる頻度をより低減することができる。その結果、上記ステンレス異形線条材は、矯正加工の際に生じる表面の傷等を低減し、より耐食性に優れたものとなる。
【0014】
ここで、上述の段差部分に矯正コマが引っかかる頻度は、上記凸部の存在する範囲が広いほど低減することができる。そのため、軸方向に直交する断面における上記凸部の存在する範囲は、上記仮想外接円の周長に対して30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上が更に好ましい。
【0015】
軸方向に直交する断面における上記凸部の存在する範囲の上限は、矯正コマの引っかかり低減の観点からは特に制限されることはなく、軸方向のいずれかの位置における断面について、上記凸部が上記仮想外接円の円周全体にわたって形成されていてもよい。一方、隣り合う上記凸部の間の軸方向の間隔を詰めて配置し、上述の段差部分を密に形成することにより、上記線条材とコンクリートとの付着強度を大きくしやすくなる。この観点からは、軸方向のいずれの位置においても、上記凸部の存在する範囲が、上記本体部の表面に沿った仮想円の周長に対して90%以下であることが好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下が更に好ましい。
【0016】
また、上記節部の軸方向に沿った幅寸法は、隣接する上記節部の間の軸方向の間隔よりも大きくする。
この場合には、上記ステンレス異形線条材の表面に占める上記節部の割合が相対的に大きくなるため、矯正加工機の矯正コマが上記凸部とより接触しやすくなる。これにより、上記凸部と上記本体部との間の段差部分に矯正コマが引っかかる頻度をより低減することができる。その結果、上記ステンレス異形線条材は、矯正加工の際に生じる表面の傷等を低減し、より耐食性に優れたものとなる。
【0017】
また、上記節部は、軸方向に対して30°〜80°傾くよう斜めに配置させる
この場合には、軸方向のいずれの位置においても、軸方向に直交する断面の外周部に上記リブ部と上記節部とが形成されるように上記節部を配置することが容易となる。また、矯正加工の際に、上記線条材の送り方向(軸方向)に対して上記節部が斜めに配置されるため、上記線条材を矯正加工機に通過させる際の抵抗を低減しやすくなる。これらの結果、上記線条材は、矯正加工の際に生じる表面の傷等を低減し、より耐食性に優れたものとなる。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
上記コンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材1の実施例を、図1図3を用いて説明する。異形線条材1は、直径4.0mmのステンレス鋼製線条材に冷間圧延を施して形成されており、図1に示すごとく、断面略円形状の本体部2と、本体部2の表面20から突出する凸部3とを有している。凸部3は、図1及び図3に示すごとく、本体部2の軸10の方向に連続的に延びる2本のリブ部30と、2本のリブ部30を連結するとともに軸方向において間隔をあけて配置された多数の節部31とを有している。また、節部31は、図3に示すごとく、軸方向に対して斜め方向に延びるように配置されている。そして、図3に示すごとく、軸方向のいずれの位置においても、軸方向に直交する断面の外周部に上記リブ部30と上記節部31とが存在している。なお、以下において、凸部3に取り囲まれ、本体部2の表面20が露出している部分を「凹部21」という。
【0019】
凸部3は、軸方向と直交する方向の断面において、本体部2の表面20から径方向に0.1mm〜0.2mm突出して形成されている。
【0020】
2本のリブ部30は、異形線条材1の中心軸10を挟んで対向する位置にそれぞれ配置されている。また、リブ部30と、リブ部30に隣接する凹部21との間の段差部分が曲面状に形成されている。つまり、軸方向と直交する方向の断面において、リブ部30及び凹部21の周方向における各々の端縁の角部が略円弧状を呈している。
【0021】
節部31は、図3に示すごとく、異形線条材1の周方向における展開図上において軸方向から45度傾くよう斜めに配置されており、リブ部30に対して一方側の節部31と、他方側の節部31とが同一方向を向いている。また、図3に示すごとく、リブ部30に対して一方側の節部31の周方向における端縁が、他方側の凹部21の周方向における端縁とリブ部30を挟んで対向するように配置されている。ここで、周方向における展開図は、例えば異形線条材1を粘土等の上で転がし、上記粘土に表面形状を転写すること等により得ることができる。
【0022】
また、節部31の軸方向における端縁の角部は、丸みを帯びた形状に形成されている。つまり、図2に示すごとく、径方向から見た節部31の端縁の角部が略円弧状を呈している。
【0023】
また、本例において、リブ部30の太さは1.0mmであり、節部31の軸方向に沿った幅寸法は2.1mmであり、隣接する節部31の間の軸方向の間隔は1.4mmである。異形線条材1は、凸部3の寸法を上述のごとく設定することにより、軸方向のいずれの位置においても、軸方向に直交する断面における凸部3の存在する範囲が、異形線条材1の軸を中心として凸部3に外接する仮想外接円の周長の30%以上となるよう構成されている。例えば、図2及び図3に示す軸方向の位置Aにおいて、凸部3の存在する範囲は仮想外接円の周長の約72%である。また、位置Bにおいては、凸部3の存在する範囲は仮想外接円の周長の約58%である。そして、軸方向のその他の位置における凸部3の存在する範囲は、58%〜72%の範囲内に設定される。
【0024】
次に、異形線条材1の製造方法について説明する。まず、直径4.0mmのSUS304製丸鉄線を準備し、冷間圧延により凸部3を形成する模様付け加工を施す。模様付け加工は、例えば、溝内部に凹部21に対応する凸形状を形成した溝付きロールを用いて行うことができる。この模様付け加工により得られた異形線条材1は、巻き取りコイルに巻き取られて一端保管される。その後、異形線条材1は必要量に応じて巻き取りコイルから引き出され、スピンナー矯正機等の矯正加工機に導入される。そして、矯正加工機により保管時等に生じた曲がりを矯正された後、所要の長さに切断される。
【0025】
次に、本例の作用効果を説明する。コンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材1は、本体部2の軸方向に連続的に延びる2本のリブ部30と、2本のリブ部30を連結するとともに軸方向において間隔をあけて配置された多数の節部31とを有している。そのため、コンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材1は、コンクリートとの接触面積が比較的大きくなるとともに、コンクリート内部において回転や引き抜きをされにくくなる。その結果、コンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材1は、コンクリートとの付着強度に優れたものとなる。
【0026】
また、軸方向のいずれの位置においても、軸方向に直交する断面の外周部にリブ部30と節部31とが存在している。そのため、矯正加工機を用いて異形線条材1の曲がりを矯正する際に、矯正コマがリブ部30または節部31と接触しやすくなり、これらの凸部3と本体部2との間の段差部分に矯正コマが引っかかる頻度を低減することができる。その結果、異形線条材1は、矯正加工の際に生じる表面の傷等を低減し、耐食性に優れたものとなる。
【0027】
また、軸方向のいずれの位置においても、軸方向に直交する断面における凸部3の存在する範囲が、異形線条材1の軸を中心として凸部3に外接する仮想外接円の周長の30%以上に相当するよう構成されている。これにより、凸部3と本体部2との間の段差部分に矯正コマが引っかかる頻度をより低減することができる。その結果、異形線条材1は、矯正加工の際に生じる表面の傷等を低減し、より耐食性に優れたものとなる。また、隣り合う凸部3の間の軸方向の間隔を詰めて配置することにより、異形線条材1とコンクリートとの付着強度を大きくしやすくなる。
【0028】
また、節部31の軸方向に沿った幅寸法は、隣接する節部31の間の軸方向の間隔よりも大きい。これにより、凸部3と本体部2との間の段差部分に矯正コマが引っかかる頻度をより低減することができる。その結果、異形線条材1は、矯正加工の際に生じる表面の傷等を低減し、より耐食性に優れたものとなる。
【0029】
また、上記節部31は、軸方向に対して30°〜80°傾くよう斜めに配置されている。そのため、軸方向のいずれの位置においても、軸方向に直交する断面の外周部にリブ部30と節部31とが形成されるように節部31を配置することが容易となる。また、矯正加工の際に、異形線条材1の送り方向(軸方向)に対して節部31が斜めに配置されるため、異形線条材1を矯正加工機に通過させる際の抵抗を低減しやすくなる。これらの結果、異形線条材1は、矯正加工の際に生じる表面の傷等を低減し、より耐食性に優れたものとなる。
また、リブ部30と、リブ部30に隣接する本体部2の表面20(凹部21)の間の段差部分が曲面状に形成されている。これにより、リブ部30と本体部2との間の段差部分に矯正コマが引っかかりにくくなる。その結果、異形線条材1は、矯正加工の際に生じる表面の傷等を低減し、より耐食性に優れたものとなる。
【0030】
以上のごとく、上記態様によれば、耐食性に優れたコンクリート鉄筋用ステンレス異形線条材を提供することができる。
【0031】
(実施例2)
本例は、実施例1における異形線条材1の節部31の配置を変更した例である。本例の異形線条材1は、図4及び図5に示すごとく、節部31がらせん状になるように配置されている。つまり、図5に示す展開図上において、リブ部30に対して一方側に配された節部31と他方側に配された節部31とが、軸方向に対して45°に傾いた直線L上に並ぶように配置されている。
【0032】
また、本例の異形線条材1における軸方向に直交する断面における凸部3の存在する範囲は、仮想外接円の周長の58%〜74%の範囲内に設定される。例えば、図4及び図5に示す軸方向の位置Cにおいて、凸部3の存在する範囲は仮想外接円の周長の約58%であり、位置Dにおいては、凸部3の存在する範囲は仮想外接円の周長の約74%である。なお、その他は実施例1と同様である。
【0033】
このように、リブ部30を挟んで互いに向かい合う節部31同士がどのような位置関係であってもよく、軸方向に直交する断面の外周部にリブ部30と節部31とが存在していれば実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0034】
(実施例3)
本例は、実施例1における異形線条材1の、軸方向に対する節部31の角度を変更した例である。本例の異形線条材1の節部31は、図6及び図7に示すごとく、周方向における展開図上において軸方向から40度傾くよう斜めに配置されている。
【0035】
また、本例の異形線条材1における軸方向に直交する断面における凸部3の存在する範囲は、仮想外接円の周長の65%〜68%の範囲内に設定される。例えば、図6及び図7に示す軸方向の位置Eにおいて、凸部3の存在する範囲は仮想外接円の周長の約65%である。また、位置Fにおいては、凸部3の存在する範囲は仮想外接円の周長の約68%である。なお、その他は実施例1と同様である。
【0036】
このように、節部31の寸法、つまり節部31の軸方向に沿った幅寸法や隣り合う節部31の間隔、あるいは軸方向に対する傾きの角度も限定されることはなく、軸方向に直交する断面の外周部にリブ部30と節部31とが配置されるように適宜調整することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 異形線条材
2 本体部
3 凸部
30 リブ部
31 節部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7