特許第6030852号(P6030852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030852
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】床材の固定具
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   E04F15/02 101H
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-115247(P2012-115247)
(22)【出願日】2012年5月21日
(65)【公開番号】特開2013-241778(P2013-241778A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000181963
【氏名又は名称】若井ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】ヴォー ドン ハイ
(72)【発明者】
【氏名】福井 隆浩
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0045244(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00−15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に長さ方向の凹溝が設けられた床材を下地材の上に並べ、隣接する床材の凹溝に亘って嵌り合う状態で、前記床材を下地材に固定する固定具であって、中間位置にビス挿通孔が設けられた天板と、前記天板の両側に張り出すよう設けられ、前記隣接する床材の凹溝内にそれぞれ嵌る押圧部とで金具本体が形成され、この金具本体における前記天板の両端に一対の下向き支持脚を設け、前記金具本体と支持脚は、一枚の金属板から一体に形成され、前記一対の支持脚は、天板の両端から下部広がりの傾斜状配置となるように折り曲げて設けられ、下端が下地材に当接して自立することで前記金具本体の押圧部が床材の凹溝内に嵌る高さ位置に保持することができる長さを有し、前記金具本体を上部から押し下げたときに開脚可能な弾性を有し、その下端に前記下地材に対する水平方向の接地片が設けられている床材の固定具。
【請求項2】
前記金具本体における天板の下面に、この金具本体の両側幅方向に対する姿勢補助部材が固定され、この姿勢補助部材は、合成樹脂を用い、天板の下面から下方に向けて延び、前記天板のビス挿通孔と同軸心の配置となる筒軸と、前記筒軸の下端部で金具本体の幅方向に沿う両側の位置に、この筒軸の下端から下部広がりの傾斜状配置となるよう設けられ、前記金具本体を上部から押し下げたときに開脚可能となる一対の補助脚と、両補助脚の下端に外方へ屈曲するよう設けた接地片で形成され、前記筒軸は、前記支持脚よりも短い上下長さを有し、前記補助脚は、下端が前記支持脚の下端と同じ高さ位置かそれよりも下方に位置している請求項1に記載の床材の固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デッキ材と称されているような長尺の床材を下地材に対して固定する床材の固定具、更に詳しくは、床材を下地材に固定する作業の施工性がよく、並列配置した床材の途中に位置する床材の交換が可能となり、しかも、固定した床材の横ずれ発生を確実に防ぐことができる固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物等に付設されるデッキを構築するには、長さ方向の両側に凹溝が設けられた床材と、この床材を根太や大引き等の下地材に対して固定するための固定具と、この固定具から下地材にねじ込むビスとを用い、下地材の上に多数枚の床材を並列状態の配置で並べ、隣接する床材の凹溝に亘って嵌め合わせた固定具を、この固定具から下地材に向けてねじ込むビスによって固定し、これにより、下地材に対して床材を固定するものである。
【0003】
従来、前記のような床材の固定に用いられる固定具には、下地材と床材のそれぞれにビス止めすることにより下地材に対して床材を固定する方式と、下地材だけにビス止めすることにより下地材に対して床材を固定する方式がある。
【0004】
前者の下地材と床材のそれぞれにビス止めする従来の固定具1は、図7に示すように、下板2の上面中央に縦板3を設け、この縦板3の上端に両側に張り出す上板4を設け、前記下板2の一方側縁に固定板5を連成し、縦板3を挟む両側を背中合わせの溝形部にした断面形状を有し、前記縦板3と固定板5にビス挿通孔6、7を設けた構造になっている。
【0005】
下地材a上において、この下地材aに載置した固定具1の上板4と床材bの凹溝cを嵌め込むことで一方の溝形部に床材bの下側突部dを収め、縦板2のビス挿通孔6から床材bにビス8をねじ込むことで固定具1と床材bを固定し、次に、固定板5のビス挿通孔7から下地材aにビス9をねじ込んで固定具1を下地材aに固定し、これにより、床材bの一方側部を下地材aに固定する。
【0006】
この後、前記床材bの横に新たな床材bを並列状に配置し、その他方側縁における凹溝cを固定具1の上板4に嵌め込むことで他方の溝形部に床材bの下側突部dを収め、新たな床材bの他方側を下地材aに固定化し、この新たな床材bの一方側部を前記と同じように固定具1とビス8、9を用いて下地材aに固定し、このような床材bの並列配置と下地材aへの固定作業を繰り返すことにより、多数枚の並列する床材bでデッキを構成する。
【0007】
前記のような下地材aと床材bのそれぞれにビス止めする固定具1は、固定具1と床材bを水平のビス8で結合するため、床材bの伸縮による幅方向の横ずれ防止が得られるが、二本のビス8と9のねじ込み作業が必要になり、固定作業に時間と手間がかかることになり、また、床材bと固定するビス8は横から水平にねじ込まなければならないので、ねじ込み作業が行いにくいという問題がある。
【0008】
また、固定具1と床材bを結合するビス8及び固定具1を下地材aに固定するビス9は、床材bで覆われてしまう構造であるため、デッキを構成した状態で、途中にある一枚の床材だけを取り外すことができないという致命的な欠点があり、途中の床材が損傷した場合は端の床材から順に取外さなければならず、床材の取換えに多くの手間と時間がかかるという問題がある。
【0009】
次に、後者の下地材だけにビス止めする固定具は、中央にビス孔を有する板状金具本体の両側に押圧片を設け、前記金具本体の下面で両側に一対の脚部を設けた構造を有している(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
この固定具でデッキを構成するには、床材を載置した下地材の上面に固定具を位置させ、一方押圧片を床材の凹溝に嵌め込んで脚部を下地材の上に接地させた仮置き状態とし、次に、板状金具本体のビス孔に予めセットしておいた垂直のビスを下地材にねじ込み、固定具を下地材に固定すると同時に一方押圧片で床材を押圧固定する。
【0011】
この後、前記床材の横に新たな床材を並列状に配置し、その他方側面における凹溝下部を固定具の他方押圧片と下地材の間に嵌め込むことで、新たな床材の他方側を下地材に固定化し、この新たな床材の一方側部を前記と同じように固定具とビスを用いて下地材に固定し、このような床材の並列配置と下地材への固定作業を繰り返すことにより、多数枚の並列する床材でデッキを構成する。
【0012】
このような固定具は、一本のビスにより上からのねじ込みによって固定できるので、固定作業が簡単であると共に、デッキの構成状態で床材間の隙間から工具を挿入してビスを緩め、この工具で固定具を凹溝の長さ方向に沿って移動させ、凹溝の端部から取り出すことができるので、途中にある一枚の床材に損傷が生じた場合、この一枚の床材だけを取り外して取替えることができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4675978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、床材の両側面において、凹溝を設ける位置や幅により、この凹溝の下面と床材の底面間に形成される下側突部の高さ寸法は、メーカーや品番によって異なったり製品での誤差が生じている場合がある。
【0015】
これに対して、前記した固定具はアルミを用いた押し出し成形によって形成されており、下地材の上に載る脚部の下端から押圧片の下面までの寸法が一定化された構造になっている。
【0016】
このため、固定具の脚部の下端から押圧片の下面までの寸法と床材の下側突部の高さ寸法が一致する場合、下地材上に固定具を水平に仮設置することができ、ビスのねじ込み作業が支障なく行えることになるが、床材の下側突部を押さえ込んで固定することができず、床材の幅方向に沿う横ずれ防止機能がまったくなく、また、固定具の脚部の下端から押圧片の下面までの寸法と床材の下側突部の高さ寸法が不一致の場合、下側突部の高さ寸法が高いと仮設置した固定具は床材に対して外側に傾斜し、このため、ビスが傾斜することで上からのねじ込み作業が行いにくいだけでなく、仮置きしたときに固定具が外側に倒れてしまい、固定具が使用できない事態が生じることになる。
【0017】
更に、固定具の脚部の下端から押圧片の下面までの寸法に対して下側突部の高さ寸法が低い場合、仮設置した固定具の押圧片と下側突部の間に隙間が生じ、ビスをねじ込んで固定具を下地材に固定しても、押圧片は下側突部を押さえ込むことができず、結果として床材を下地材に対してガタツキのないよう固定することができないことになる。
【0018】
このように、従来の固定具は、固定具の脚部の下端から押圧片の下面までの寸法と床材の下側突部の高さ寸法が一致する場合しか使用することができず、その使用可能な範囲が制約を受けることになる。
【0019】
そこで、この発明の課題は、床材の下側突部の高さ寸法が異なる場合でも倒れることのないよう安定よく仮設置することができ、しかも、確実に下側突部を押さえ込んで下地材に床材を固定することができる床材の固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記のような課題を解決するため、この発明は、側面に長さ方向の凹溝が設けられた床材を下地材の上に並べ、隣接する床材の凹溝に亘って嵌り合う状態で、前記床材を下地材に固定する固定具であって、中間位置にビス挿通孔が設けられた天板と、前記天板の両側に張り出すよう設けられ、前記隣接する床材の凹溝内にそれぞれ嵌る押圧部とで金具本体が形成され、この金具本体における前記天板の両端に一対の下向き支持脚を設け、前記金具本体と支持脚は、一枚の金属板から一体に形成され、前記一対の支持脚は、天板の両端から下部広がりの傾斜状配置となるように折り曲げて設けられ、下端が下地材に当接して自立することで前記金具本体の押圧部が床材の凹溝内に嵌る高さ位置に保持することができる長さを有し、前記金具本体を上部から押し下げたときに開脚可能な弾性を有し、その下端に前記下地材に対する水平方向の接地片が設けられているようにしたものである。
【0023】
前記金具本体における天板の下面に、この金具本体の両側幅方向に対する姿勢補助部材が固定され、この姿勢補助部材は、合成樹脂を用い、天板の下面から下方に向けて延び、前記天板のビス挿通孔と同軸心の配置となる筒軸と、前記筒軸の下端部で金具本体の幅方向に沿う両側の位置に、この筒軸の下端から下部広がりの傾斜状配置となるよう設けられ、前記金具本体を上部から押し下げたときに開脚可能となる一対の補助脚と、両補助脚の下端に外方へ屈曲するよう設けた接地片で形成され、前記筒軸は、前記支持脚よりも短い上下長さを有し、前記補助脚は、下端が前記支持脚の下端と同じ高さ位置かそれよりも下方に位置している構造とすることができる。
【0026】
ここで、金具本体における天板は、床材の長さ方向に沿って長い長方形となり、その両側に設けた押圧部は天板よりも長く、天板の両端から長さ方向に沿って突出し、前記天板の両端に設けた支持脚は両押圧部間を下向きに屈曲し、この支持脚の根元部分は、金属板の弾性を生かし、支持脚の開脚を容易にするための細幅部に形成されている。
【0027】
また、姿勢補助部材の筒軸は、上下軸線に沿ってビス孔が貫通する角形の筒状に形成され、この筒軸の上面でビス孔を挟む両側の位置に設けた突起を、金具本体における天板の対応する位置に設けた小孔に嵌め込むことにより、金具本体に対する姿勢補助部材の取り付けを行い、この取り付けにより、天板の下面に筒軸の上端から腕板の上面が重なり、前記腕板の先端に設けた二又部が支持脚の根元細幅部分外嵌するとにより、金具本体の長さ方向及び幅方向に対する姿勢補助部材の固定が同時に得られるようになっている。
【0028】
この発明の固定具は、長さ方向の両端に支持脚と幅方向の両側に補助脚を設けることにより、下地材の上に配置したとき支持脚と補助脚によって、長さ方向と幅方向の何れにも安定した自立状態が保持され、例えば、床材に設けた凹溝の下側突部の高さ寸法が規定より高いような場合、凹溝内に押圧部を嵌め込むことで固定具は外側下がりに傾斜することになるが、この傾斜による倒れこみを補助脚の接地によって防ぐことができ、仮配置時に固定具が倒れることがないので、上部からのビスのねじ込み作業が支障なく行え、床材の固定状態がえられることになる。
【0029】
また、床材に設けた凹溝の下側突部の高さ寸法が規定より低いような場合、凹溝内に押圧部を嵌め込むことで固定具は、支持脚と補助脚によって自立した仮配置状態が得られ、上部からのビスのねじ込みにより金具本体が押し下げられると、支持脚と補助脚が開脚することで押圧部が凹溝の下側突部を押圧し、床材の固定状態がえられることになる。
【発明の効果】
【0030】
請求項1の発明によると、天板とその両側に張り出すよう設けられた押圧部とで形成された金具本体の両端に一対の下向き支持脚を設け、この支持脚は、前記金具本体の押圧部が床材の凹溝内に嵌る高さ位置に保持することができる長さを有し、前記金具本体を上部から押し下げたときに開脚可能な弾性を有し、その下端に水平方向の接地片が設けられているので、ビスのねじ込みによる床材の固定時に、支持脚の開脚により押圧部を下降させることができる構造となり、凹溝の下側突部の高さ寸法に変動があっても、床材を下地材に対してガタツキのないよう固定することができ、下側突部の高さ寸法に対して、単一の構造で広範に対応することができると共に、金具本体は、下地材の上面に載せ置いた状態で床材を固定できるので、下地材の幅条件に制約を受けることなく単一の構造で床材を固定できる
【0033】
請求項の発明によると、金具本体における天板の下面に姿勢補助部材を固定し、この姿勢補助部材の下部で金具本体の幅方向に沿う両側の位置に一対の補助脚を設けたので、金具本体を下地材の上に仮置きしたとき、床材における凹溝の下側突部と押圧部の間に高さ寸法の差があっても、金具本体の幅方向を補助脚で支持することで倒れの発生を防ぐことができ、仮置き姿勢を確保することでビスのねじ込みによる床材の固定が確実に行えると共に、姿勢補助部材における筒軸の下端に設けた一対の補助脚が、筒軸の下端から下部広がりの傾斜状配置となるよう形成されているので、この補助脚はビスのねじ込みによる床材の固定時に座屈のような形状変化をして金具本体の下降を許容することで、床材における凹溝の下側突部と押圧部の間に高さ寸法の差があっても、床材の押圧固定が確実に得られることになる
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】この発明に係る床材の固定具を示す斜視図
図2】固定具の形成に用いる姿勢補助部材の斜視図
図3】この発明に係る床材の固定具を下地材の上に仮置きした状態を示す縦断正面図
図4】この発明に係る床材の固定具を示す拡大した縦断側面図
図5】この発明に係る床材の固定具を示す底面図
図6】この発明に係る床材の固定具の使用状態を示し、(a)は下地材の上に固定具を載置して一方の押圧部を床材の凹溝内に挿入し、固定具を下地材の上に自立させた仮置した状態の縦断側面図、(b)は仮置状態にある固定具に対して新たな床材を下地材の上に並列配置し、この新たな床材の凹溝を前記固定具の他方の押圧部に差し込み、固定具から下地材に向けてねじ込んだビスを本締めして床材を固定した本固定の状態を示す縦断側面図
図7】従来の床材の固定具を示す使用状態の縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、この発明の実施の形態を添付図面の図1乃至図6に基づいて説明する。
【0038】
図示のように、この発明の床材の固定具11は、長方形となる天板12の長さ方向に沿う両側に押圧部13、13を張り出すよう設け、前記天板12の長さ方向の両端に一対の下向き支持脚14、14を設けた金具本体15と、この金具本体15の下面に組み合わせ使用する姿勢補助部材16と、金具本体15から姿勢補助部材16にわたって上部から挿通するビス17の組み合わせからなり、前記天板12の長さ方向に沿う中央位置にビス17の雄ねじ軸17aをねじ込み又は挿通させることができるビス挿通孔18が設けられている。
【0039】
前記金具本体15は、ばね性のある金属板を用い、天板12と両側の押圧部13、13及び両端の支持脚14、14を一体に打ち抜いて折り曲げ加工することにより形成され、両側の押圧部13、13は、天板12に対して幅方向両側部から外側下がりの傾斜状に折れ曲がり、天板12よりも長くその両端が天板12の両端から長さ方向に沿って突出し、両側押圧部13、13の両端部下面に、床材bに対して食い込む下向きの先鋭状となる爪19が設けられている。
【0040】
また、前記した一対の支持脚14、14は、天板12よりも少し幅が狭い板状となり、天板12の端部から下部広がりの傾斜状配置となるよう折り曲げ形成され、この支持脚14、14の下端に水平方向の接地片14aが設けられている。
【0041】
この一対となる支持脚14、14は、接地片14aを下地材aの上に載置したとき、金具本体15を自立状態に保つことができ、また、床材bの側面に設けた凹溝c内に押圧部13を嵌め込んだとき、凹溝cの下側突部dの高さ寸法に押圧部13、13の傾斜下がり縁の高さ位置が少し高いか略一致するような高さに設定されている。
【0042】
図2のように、前記姿勢補助部材16は材料に合成樹脂を用い、金具本体15における天板12の下面から下方に向けて延び、前記天板12のビス挿通孔18と同軸心の配置となるビス保持用の筒軸20と、前記筒軸20の下端部で金具本体15の幅方向に沿う両側の位置に設けられ、前記金具本体15を上部から押し下げたときに開脚可能となる一対の補助脚21、21と、前記筒軸20の上端部両端に、前記天板12の長さ方向に沿って突出し、この天板12の下面に重なり状となるよう設けられた一対の腕板22、22とで形成され、図1図5のように、前記腕板22、22の先端が支持脚14の細幅となる根元部分に外嵌する二又部22aになっている。
【0043】
この姿勢補助部材16は、腕板22、22の上面で根元部分の位置に設けた突起23、23を、天板12のビス挿通孔18を挟む両側の位置に設けた小孔24、24に圧入することにより、金具本体15に対する姿勢補助部材16の固定取付け状態を得るようにしている。
【0044】
前記筒軸20は、前記支持脚14、14よりも短い上下長さを有し、上下軸心に沿ってビス17の雄ねじ軸17aをねじ込むことができる縦孔25がビス挿通孔18と同軸心の配置で形成され、前記縦孔25はビス17を縦にねじ込む場合の誘導孔となり、この筒軸20の下端で両側に設けた一対の補助脚21、21は、下端が前記支持脚14の下端と同じ高さ位置かそれよりも少し下方に位置し、図4のように、筒軸20の下端から下部広がりの傾斜状配置となるよう形成され、この両補助脚21、21の下端に外方へ屈曲する接地片21aが設けられている。なお、前記した支持脚14、14又は及び筒軸20の幅が両側に並列する床材b、b間に生じる目地隙間となり、また、図示の場合、筒軸20の外面で腕板22の長さ方向の両側位置に補強用のリブ26、26が設けてある。
【0045】
この発明の固定具11は、前記のような構成であり、長さ方向の両側に凹溝cが設けられた床材bを用い、この床材bを根太や大引き等の下地材aに対して並列状に並べてデッキを構築するとき、床材bを下地材aに固定するために使用される。
【0046】
前記固定具11は、図1のように、金具本体15の下面に姿勢補助部材16を重ねて固定し、天板12のビス挿通孔18から姿勢補助部材16の縦孔25にビス17をねじ込んで建て込んでおき、図6(a)のように、床材bを支持する下地材aの上にこの固定具11を載置し、一方の押圧部13を床材bの凹溝c内に挿入し、一対の支持脚14、14又は及び補助脚23、23によって固定具11を下地材aの上に自立させ、仮置状態とする。なお、図4の場合、金具本体15の支持脚14、14よりも姿勢補助部材16の補助脚23、23を少し長くした例を示し、図3のように、固定具11は下地材aの上に仮置した自立状態は補助脚23、23で保持され、支持脚14、14が下地材aから少し浮いた状態になっている。
【0047】
このとき、床材bにおける下側突部dの高さ寸法に多少の誤差があって、押圧部13の高さ寸法より下側突部dの高さ寸法が少し高い場合、固定具11が床材bから離れる幅方向の外側に向けて傾こうとしても、固定具11の幅方向両側に位置するよう姿勢補助部材の補助脚21、21が、下地材aに当接することで固定具11の倒れ発生を防いで仮置状態を保つことができる。
【0048】
このような固定具11の仮置状態から、姿勢補助部材16における筒軸20の側面及びその下端の一方補助脚23を床材bの側面に当接させるように、前記固定具11を横方向に押す。このとき、上記一方補助脚23は、下部広がりになっており、しかも開脚弾性を有しているので、床材bの側面に対して押し付けられることで該側面に沿うことになり、この補助脚23の下端に設けた接地片21aの先端は、床材bの側面下部のコーナーにある面取りやアールによって生じている僅かな隙間に臨み、この状態でビス17を下地材aに向けて途中までねじ込み、固定具11を仮固定の状態にし、次に、前記床材bの横に新たな床材bを並列状に配置して下地材aの上に載置し、図6(b)に示したように、この新たな床材bの下側突部dを他方押圧部13の下に差し込むようにする。
【0049】
前記床材bの横に新たな床材bを並列状に配置した仮固定の状態で、両床材b、b間の目地隙間から工具を挿入してビス17をねじ込み、ビス17が金具本体15の天板12を介して固定具11全体を押し下げると、押し下げ力の加わった固定具11は、支持脚14、14が押し広げられると共に補助脚21、21が座屈のようなような形状変化をすることで天板12が下降し、両押圧部13、13が両床材b、bの下側突部d、dを押し下げることで両床材b、bを下地材aに対して本固定する図6(b)に示す状態)上記ビス17のねじ込みによる本固定時に金具本体15の天板12が押し下げられると、合成樹脂の開脚弾性を有する補助脚21、21は、床材bの側面をこの床材bの幅方向に押圧するが、前記側面に圧接する状態で上から押されて座屈のような形状変化をすることで前記金具本体15の下降を可能にしている。
【0050】
この本固定により、押圧部13、13の両端に設けた爪19が下側突部dに対して食い込み、床材bと固定具11が結合固定化されることにより、両床材b、bは、長さ方向に移動しないよう固定化されると同時に、幅方向にも移動しないように固定化され、床材の横ずれ発生を確実に防止することができる。
【0051】
前記のような固定具11による床材bの固定を各下地材aの部分で行い、このようにして床材bを順次並列配置することで、デッキを構築することができる。
【0052】
構築後のデッキにおいて、損傷などの発生した固定具11を新たなものと取り換えるには、並列する両床材b、b間の隙間から工具を差し込んでビス17を緩め、固定具11の下地材a及び床材b、bに対する固定を解き、工具によって固定具11を床材間の隙間の長さ方向に移動させ、この隙間の端部から固定具11を取り出す。
【0053】
前記した固定具11の取り出し作業と逆に、隙間の端部から新たな固定具11を挿入し、この新たな固定具11を工具で床材b、b間の隙間の長さ方向に移動させ、下地材aの上でビス17をねじ込むことで床材b、bの固定が行えることになる。
【0054】
このような固定具11の取換え作業を利用して、損傷の生じた床材bを部分的に交換することも行え、取換えんとする床材bの両側において固定具11の取り外しを行い、床材bを取り除いた部分に新たな床材bを配置し、床材b、b間の隙間端部から挿入した固定具11を下地材aにねじ込み固定するようにすればよい。
【0055】
なお、前記した固定具11の使用は、金具本体15に姿勢補助部材16を組み合わせたが、姿勢補助部材16の使用を省き、金具本体15とビス17の組み合わせを使用して床材bの固定を行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
11 固定具
12 天板
13 押圧部
14 支持脚
14a 接地片
15 金具本体
16 姿勢補助部材
17 ビス
17a 雄ねじ軸
18 ビス挿通孔
19 爪
20 筒軸
21 補助脚
21a 接地片
22 腕板
22a 二又部
23 突起
24 小孔
25 縦孔
26 補強用のリブ
a 下地材
b 床材
c 凹溝
d 下側突部
図1
図2
図3
図4
図5
図7
図6