特許第6030856号(P6030856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030856
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】作業機械のバッテリ取付構造
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20161114BHJP
   B60R 16/04 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   E02F9/00 D
   B60R16/04 L
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-127502(P2012-127502)
(22)【出願日】2012年6月4日
(65)【公開番号】特開2013-249715(P2013-249715A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】黒田 孝明
(72)【発明者】
【氏名】永田 正夫
(72)【発明者】
【氏名】河村 卓蔵
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−125742(JP,A)
【文献】 特開2008−265360(JP,A)
【文献】 特開平08−321290(JP,A)
【文献】 特開2010−168839(JP,A)
【文献】 実開昭56−097122(JP,U)
【文献】 特開2005−178651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00−9/18、9/24−9/28
B60R 1/00−16/04
B60S 3/00−13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械に搭載されるバッテリの取付構造において、
バッテリ取付台と、バッテリ取付台の上に設けられたバッテリ載置部と、バッテリ載置部に固定されるバッテリ受皿と、を備え、
前記バッテリ受皿にバッテリを固定する固定部を設け、
前記バッテリ受皿の固定部にバッテリを固定した状態で、前記バッテリ受皿とバッテリとを一体的に前記バッテリ取付台から取り外し可能に構成し
前記バッテリ取付台は、前記バッテリ載置部から突出して、作業機械の作動油タンクの上に取り付けられる締結部を具備し、
作業機械のエンジンルーム内に前記バッテリ取付台を固定し、前記作動油タンク上に前記バッテリ取付台の締結部を固定したとき、前記バッテリ取付台の締結部の高さが前記バッテリ載置部の高さよりも低くなるように構成した
ことを特徴とする作業機械のバッテリ取付構造。
【請求項2】
請求項1記載の作業機械のバッテリ取付構造において、
前記バッテリ受皿は、バッテリを載置可能な板状の底部と、前記底部から立設する側壁部と、を有し、
前記バッテリ受皿の側壁部は、バッテリの外周側面の寸法よりも僅かに大きく、前記バッテリ受皿の底部にバッテリを載置したときに、バッテリの外周側面との間に隙間ができるように構成し、
前記バッテリ受皿の側壁部とバッテリの外周側面との間に、前記固定部を設けた
ことを特徴とする作業機械のバッテリ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル、バックホー等の作業機械のバッテリ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンルーム内に作動油タンク、バッテリ等を備えるバックホーの技術は公知となっている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のバックホーは、エンジンルーム内に作動油タンク、バッテリ、エンジン等の複数の装置を備えており、前記複数の装置を機体フレーム上に載置していた。しかし、作業者が、バッテリ交換等のメンテナンス作業を行っている場合で、バッテリをエンジンルームの外部へ運び出している最中に、バッテリからバッテリ液が漏れて落下することがあり、メンテナンス作業を円滑に行えない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−117046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、作業者がメンテナンス作業を円滑に行うことが可能な作業機械のバッテリ取付構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1においては、作業機械に搭載されるバッテリの取付構造において、バッテリ取付台と、バッテリ取付台の上に設けられたバッテリ載置部と、バッテリ載置部に固定されるバッテリ受皿と、を備え、前記バッテリ受皿にバッテリを固定する固定部を設け、前記バッテリ受皿の固定部にバッテリを固定した状態で、前記バッテリ受皿とバッテリとを一体的に前記バッテリ取付台から取り外し可能に構成し、前記バッテリ取付台は、前記バッテリ載置部から突出して、作業機械の作動油タンクの上に取り付けられる締結部を具備し、作業機械のエンジンルーム内に前記バッテリ取付台を固定し、前記作動油タンク上に前記バッテリ取付台の締結部を固定したとき、前記バッテリ取付台の締結部の高さが前記バッテリ載置部の高さよりも低くなるように構成したものである。
【0007】
請求項2においては、請求項1記載の作業機械のバッテリ取付構造において、前記バッテリ受皿は、バッテリを載置可能な板状の底部と、前記底部から立設する側壁部と、を有し、前記バッテリ受皿の側壁部は、バッテリの外周側面の寸法よりも僅かに大きく、前記バッテリ受皿の底部にバッテリを載置したときに、バッテリの外周側面との間に隙間ができるように構成し、前記バッテリ受皿の側壁部とバッテリの外周側面との間に、前記固定部を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1の如く構成したので、作業者がバッテリを運び出している最中に、バッテリからバッテリ液が漏れた場合でも、バッテリ液がバッテリの外周を伝って流れて、バッテリに固定されているバッテリ受皿に収容されるので、バッテリ液の液ダレの発生が抑制される。これにより、作業者がメンテナンス作業を円滑に行うことが可能となる。
【0010】
また、バッテリ取付台の締結部が、作動油タンクの上部に締結されることによって、バッテリ載置面の高さが確保され、これにより、作業者がエンジンルーム内のメンテナンスを楽に行うことができる高さに、バッテリをレイアウトすることが可能となる。従って、作業者がメンテナンス作業を円滑に行うことが可能となる。
また、バッテリがバッテリ取付台のバッテリ載置面に載置された状態から、作業者が、バッテリの交換等のメンテナンスを行うために、バッテリを水平に移動してエンジンルームの外部へ運び出すときに、バッテリの下部が締結部に当接することが抑制される。また、これにより、作業者がバッテリをスムーズに運び出すことが可能となり、メンテナンス作業を円滑に行うことが可能となる。
【0011】
請求項2の如く構成したので、作業者がバッテリを運び出している最中に、バッテリからバッテリ液が漏れた場合でも、バッテリ液がバッテリの外周を伝って流れて、バッテリの外周側面と、バッテリ受皿の側壁部との間に形成される隙間に収容されるので、バッテリ液の液ダレの発生が抑制される。これにより、作業者がメンテナンス作業を円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】バックホーを右方から見た図。
図2】バックホーを上方から見た図。
図3】バッテリ取付台を後方から見た図。
図4】バッテリ取付台を右方から見た図。
図5】運転操作部を示す図。
図6】(a)バッテリ取付台の斜視図、(b)バッテリ取付台にバッテリが載置された状態を示す図。
図7】バッテリ受皿の斜視図。
図8】(a)図7に示すバッテリ受皿のA−A切断端面図、(b)図8(a)に示すバッテリ受皿にバッテリが載置された状態を示す図。
図9】(a)突出部が設けられたバッテリ受皿を上方から見た図、(b)図9(a)に示すバッテリ受皿のB−B切断端面図。
図10】(a)図9(a)に示すバッテリ受皿にバッテリが載置された状態を示す図、(b)図10(a)に示すバッテリ受皿のC−C切断端面図。
図11】(a)シール部材が設けられたバッテリ受皿の斜視図、(b)図11(a)に示すバッテリ受皿のD−D切断端面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、作業機械(バックホー1)について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1及び図2に示すように、バックホー1は、旋回式の作業機械である。バックホー1は、クローラ式走行装置2と、クローラ式走行装置2の上部中央に配置され、クローラ式走行装置2に左右旋回可能に搭載される機体3と、機体3の前部に取り付けられる作業装置4(ブーム18、ブームシリンダ19、アーム20、アームシリンダ21、バケット22、及びバケットシリンダ23)と、クローラ式走行装置2の前後一側に取り付けられる排土装置5(ブレード29及びブレードシリンダ30)と、コントロールバルブ装置10と、を備えている。
【0015】
クローラ式走行装置2は、左右一対に配置されるクローラ形式の走行部6L・6Rと、左右の走行部6L・6Rをそれぞれ駆動させるための油圧アクチュエータ(走行モータ)と、を有している。
【0016】
機体3は、クローラ式走行装置2の上部にて左右旋回可能に支持される機体フレーム9と、機体3を左右旋回させるための油圧アクチュエータ(旋回モータ)と、を有している。機体フレーム9の前部側にはコントロールバルブ装置10が搭載され、機体フレーム9の後部側にはエンジン11が搭載されている。図3及び図4に示すように、エンジン11の左方にはバッテリ100を支持するバッテリ取付台101が配置されおり、バッテリ取付台101には、バッテリ100が載置されている(詳細には、バッテリ100がバッテリ受皿112を介して載置されている)。バッテリ取付台101の前方には作動油タンク102が配置されている。バッテリ取付台101及びバッテリ受皿112の詳細な説明は後述する。図2及び図3に示すように、エンジン11の右方には、ラジエータ61、シュラウド81及びダクト73が配置されており、ラジエータ61の前方には燃料タンク80が配置されている。エンジン11、バッテリ100、作動油タンク102、ラジエータ61等は、エンジンルーム75内に配置されており、ボンネットによって覆われている。エンジン11の前上側には、運転操作部12が配置され、運転操作部12はキャビン13によって覆われている。図5に示すように、運転操作部12には、運転席14、クローラ式走行装置2を操作するための走行レバー15L・15R、アーム20の操作及び機体3の旋回を行うための第一作業レバー16L、ブーム18及びバケット22を操作するための第二作業レバー16R、ブレード29を操作するためのブレード操作レバー17等が設けられている。
【0017】
図1及び図2に示すように、作業装置4は、機体3に接続されるブーム18と、ブーム18を上下回動させるための油圧アクチュエータ(ブームシリンダ19)と、ブーム18に接続されるアーム20と、アーム20を上下回動させるための油圧アクチュエータ(アームシリンダ21)と、アーム20に接続されるバケット22と、バケット22を上下回動させるための油圧アクチュエータ(バケットシリンダ23)と、を有している。機体3の前部にはブームブラケット24が支持されており、機体3には、ブームブラケット24を介してブーム18の一端部が回動可能に取り付けられている。ブーム18は中途部で前方に屈曲しており、側面視において略「く」字状に形成されている。ブーム18の他端部にはアーム20が回動可能に取り付けられており、アーム20の先端部には作業用アタッチメントとしてのバケット22が回動可能に取り付けられている。ブームブラケット24と、ブーム18の中途部前面に設けられたブームシリンダブラケット25と、の間にはブームシリンダ19が介装されており、ブーム18の中途部背面に設けられたアームシリンダボトムブラケット26と、アーム20の基端部に設けられたバケットシリンダブラケット27と、の間にはアームシリンダ21が介装されており、バケットシリンダブラケット27と、バケット22に連結されるバケットブラケット28と、の間にはバケットシリンダ23が介装されている。
【0018】
排土装置5は、クローラ式走行装置2の前後一側に連結されるブレード29と、ブレード29とクローラ式走行装置2との間に介装され、ブレード29を上下回動させるための油圧アクチュエータ(ブレードシリンダ30)と、を有している。
【0019】
上記した油圧アクチュエータ(走行モータ、旋回モータ、ブームシリンダ19、アームシリンダ21、バケットシリンダ23、及びブレードシリンダ30)は、油圧ポンプ(不図示)からの圧油により駆動し、前記油圧ポンプはエンジン11の動力により駆動して、作動油タンク102から圧油を供給される。前記油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプとの間にはコントロールバルブ装置10が介装されている。コントロールバルブ装置10は、運転操作部12の各種操作具(走行レバー15L・15R、第一作業レバー16L、第二作業レバー16R、及びブレード操作レバー17)により操作されて、前記油圧アクチュエータに対する前記油圧ポンプからの圧油の供給と排出を切り換えることにより、前記各油圧アクチュエータの動作を制御する。
【0020】
以下では、バッテリ取付台101について説明する。
【0021】
図6(a)及び図6(b)に示すように、バッテリ取付台101は、バッテリ100を支持するものであり、支柱部103と、バッテリ載置部104と、を有している。支柱部103は、上下に延在する板状の部材であり、下端部が機体フレーム9に固定されており、機体フレーム9から立設している。バッテリ載置部104は、前後に延在する板状の部材であり、支柱部103と、機体フレーム9上に載置される作動油タンク102と、の間に架設されている。
【0022】
バッテリ載置部104の後端部は、支柱部103の上端部に連設されている。バッテリ載置部104の上端部にはバッテリ100を載置可能な水平面であるバッテリ載置面105が形成されている。バッテリ載置面105には孔106が形成されており、孔106には、バッテリ100をバッテリ載置面105に固定するために用いられる固定ロッド107が引っ掛けられる。
【0023】
バッテリ載置部104の前端部108は、締結部であり、作動油タンク102の上部にボルト(締結部材)109により締結されている。バッテリ載置部104の前端部108が作動油タンク102の上端面にブラケット110を介して載置されており、バッテリ載置部104の前端部108及びブラケット110には、ボルト109が螺入しており、これにより、バッテリ載置部104の前端部108が作動油タンク102の上部に、ブラケット110を介して締結されている。ボルト109は、その頭部がバッテリ載置部104の前端部108の上端面上に存在しており、その軸部がバッテリ載置部104の前端部108を上下に貫通して、ブラケット110に螺入している。
【0024】
バッテリ載置部104は、前端部108の高さ(前端部108の上端面の高さ)が、バッテリ載置面105の高さよりも低くなるように形成された段差形状を有しており、これにより、前端部108の上端面上に存在するボルト109の頭部が、バッテリ載置面105よりも低い位置に存在している。これによると、バッテリ100がバッテリ取付台101のバッテリ載置面105に載置された状態から、作業者が、バッテリの交換等のメンテナンスを行うために、バッテリ100を水平に移動して(バッテリ100をバッテリ載置面105に沿って摺動させて)、エンジンルーム75の外部へ運び出すときに、バッテリ100の下部がボルト109の頭部に当接することが抑制される。これにより、作業者がバッテリ100をスムーズに運び出すことが可能となり、メンテナンス作業を円滑に行うことが可能となる。
【0025】
バッテリ取付台101(バッテリ100)の左方には、サイドメンテナンスカバー111が配置されている(図2参照)。サイドメンテナンスカバー111は、バッテリ取付台101の左方を覆っており、サイドメンテナンスカバー111が開かれることによって、バッテリ取付台101の左方に開口(左メンテナンス口)が形成され、バッテリ取付台101の左方が前記左メンテナンス口を介して開放された状態になる。作業者は、前記左メンテナンス口からエンジンルーム75内に手を突っ込んで、エンジンルーム75内のメンテナンス(バッテリ100の交換等)を行う。
【0026】
以下では、バッテリ受皿112について説明する。
【0027】
図7図8(a)及び図8(b)に示すように、バッテリ受皿112は、樹脂製の部材であり、バッテリ取付台101のバッテリ載置面105に載置可能な形状を有している。
【0028】
バッテリ受皿112は、バッテリ100を載置可能な底部113と、底部113から立設する側壁部114と、を有している。
【0029】
底部113は、板状の部材であり、その上端面の形状がバッテリ100の下端面よりも僅かに大きい四角形状に形成されており、その上端面上にバッテリ100を載置可能に構成されている。
【0030】
側壁部114は、四角環状の部材であり、底部113の縁部に連設されており、底部113の縁部から立設している。側壁部114の内周の寸法は、バッテリ100下部の外周側面の寸法よりも僅かに大きくなるように形成されている。これにより、バッテリ100がバッテリ受皿112の底部113に載置されたときに、側壁部114が、バッテリ100下部の外周側面の周囲に存在して、バッテリ100下部の外周側面との間に隙間116を形成する。側壁部114には、突出部115aが形成されている。
【0031】
突出部115aは、弾性変形可能な部材(ゴム製品等)であり、側壁部114の下部内周に固定されており、側壁部114の下部内周に沿って四角環状に延在しており、内側に突出する形状を有している。突出部115aの内周の寸法は、バッテリ100下部の外周側面の寸法よりも小さくなるように設定されている。これにより、バッテリ100がバッテリ受皿112の底部113に載置されたときに、突出部115aがバッテリ100の外周側面からの圧力により潰れて(弾性変形して)、その結果、突出部115aがその復元力によりバッテリ100の外周側面を内側へ加圧して、バッテリ受皿112をバッテリ100に固定する。
【0032】
上記したように、バッテリ100がバッテリ受皿112の底部113に載置されたときに、側壁部114がバッテリ100下部の外周側面との間に隙間116を形成して、さらに、突出部115aがその復元力によりバッテリ受皿112をバッテリ100に固定する。これにより、バッテリ100がバッテリ受皿112を介して、バッテリ取付台101のバッテリ載置面105に載置された状態から、作業者が、バッテリ100の交換等のメンテナンスを行うために、バッテリ100をエンジンルーム75の外部へ運び出すときに、バッテリ受皿112が突出部115aの復元力によりバッテリ100に固定されているので、作業者がバッテリ100のみを把持して運び出すことによって、バッテリ100と共にバッテリ受皿112を運び出すことが可能となる。また、作業者が、バッテリ100をエンジンルーム75の外部へ運び出している最中に、バッテリ100からバッテリ液が漏れた場合でも、バッテリ液がバッテリ100の外周を伝って流れて、バッテリ100下部の外周側面と、バッテリ受皿112の側壁部114との間に形成される隙間116に収容されるので、バッテリ液の液ダレの発生が抑制される。これにより、作業者がメンテナンス作業を円滑に行うことが可能となる。
【0033】
なお、突出部115aに代えて、例えば、バッテリ受皿112の底部113に固定され粘着シートを用いてもよい。前記粘着シートは、バッテリ100がバッテリ受皿112の底部113に載置されたときに、粘着力によりバッテリ受皿112をバッテリ100に固定する。また、図9(a)、図9(b)、図10(a)及び図10(b)に示すように、突出部115aに代えて、弾性変形可能な部材(ゴム製品等)であり、側壁部114の上端部に固定されており、内側に突出する形状を有し、所定間隔を空けて配置される複数の突出部115b・115b・・・を用いてもよい。突出部115b・115b・・・は、バッテリ100がバッテリ受皿112の底部113に載置されたときに、バッテリ100の外周側面からの圧力により潰れて(弾性変形して)、その結果、突出部115b・115b・・・がその復元力によりバッテリ100の外周側面を内側へ加圧して、バッテリ受皿112をバッテリ100に固定する。また、バッテリ100がバッテリ受皿112の底部113に載置されたときに、隣り合う突出部115b・115bの間には、バッテリ液を収容可能な隙間116の開口が存在している。また、図11(a)及び図11(b)に示すように、突出部115aに代えて、弾性変形可能な一対のシール部材115c・115c(ウェザーストリップ等)を用いてもよい。シール部材115c・115cは、それぞれが側壁部114の上端部に嵌合している嵌合部材115d・115dに固定されており、側壁部114の内側に存在して、互いに対向している。シール部材115c・115cは、バッテリ100がバッテリ受皿112の底部113に載置されたときに、バッテリ100の外周側面からの圧力により潰れて(弾性変形して)、その結果、シール部材115c・115cがその復元力によりバッテリ100の外周側面を左右両側から内側へ加圧して、バッテリ受皿112をバッテリ100に固定する。また、バッテリ100がバッテリ受皿112の底部113に載置されたときに、側壁部114と、バッテリ100の外周側面におけるシール部材115c・115cが圧着していない部分と、の間には、バッテリ液を収容可能な隙間116の開口が存在している。
【0034】
以上のように、バックホー1は、バッテリ受皿112を備え、バッテリ受皿112には、バッテリ受皿112をバッテリ100に固定するための突出部115aが設けられる。
【0035】
これにより、作業者が、バッテリ100を運び出している最中に、バッテリ100からバッテリ液が漏れた場合でも、バッテリ液がバッテリ100の外周を伝って流れて、バッテリ100に固定されているバッテリ受皿112に収容されるので、バッテリ液の液ダレの発生が抑制される。これにより、作業者がメンテナンス作業を円滑に行うことが可能となる。
【0036】
また、バックホー1においては、エンジンルーム75内に、バッテリ取付台101を備え、バッテリ取付台101は、バッテリ受皿112を載置可能なバッテリ載置面105と、ボルト109により締結される前端部108と、を有し、ボルト109の頭部がバッテリ載置面105よりも低い位置に存在するように、前端部108の高さを、バッテリ載置面105の高さよりも低くした。
【0037】
これによると、バッテリ100がバッテリ取付台101のバッテリ載置面105に載置された状態から、作業者が、バッテリの交換等のメンテナンスを行うために、バッテリ100を水平に移動して(バッテリ100をバッテリ載置面105に沿って摺動させて)、ボンネットの外部へ運び出すときに、バッテリ100の下部がボルト109の頭部に当接することが抑制される。これにより、作業者がバッテリ100をスムーズに運び出すことが可能となり、メンテナンス作業を円滑に行うことが可能となる。
【0038】
また、バックホー1においては、バッテリ取付台101の前端部108は、作動油タンク102の上部に締結される。これにより、バッテリ取付台101の前端部108が作動油タンク102の上部に締結されることによって、バッテリ載置面105の高さが確保され、これにより、作業者がボンネット内のメンテナンスを楽に行うことができる高さに、バッテリ100をレイアウトすることが可能となる。従って、作業者がメンテナンス作業を円滑に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1 バックホー
9 機体フレーム
75 エンジンルーム
101 バッテリ取付台
102 作動油タンク
103 支柱部
104 バッテリ載置部
105 バッテリ載置面
108 前端部
109 ボルト(締結部材)
112 バッテリ受皿
113 底部
114 側壁部
115a・115b・115c 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11