特許第6030877号(P6030877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030877
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】集魚灯
(51)【国際特許分類】
   A01K 79/00 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   A01K79/00 H
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-161033(P2012-161033)
(22)【出願日】2012年7月19日
(65)【公開番号】特開2014-18157(P2014-18157A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】502089671
【氏名又は名称】交和電気産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】藤井 敏
(72)【発明者】
【氏名】岩川 常清
(72)【発明者】
【氏名】種田 修
(72)【発明者】
【氏名】堂後 勝志
(72)【発明者】
【氏名】前田 洋幸
【審査官】 本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−185186(JP,A)
【文献】 特開2012−014867(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/029952(WO,A1)
【文献】 特開2009−125003(JP,A)
【文献】 特開2011−233635(JP,A)
【文献】 特開2007−087614(JP,A)
【文献】 特開2010−118325(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3099741(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 79/00
F21S 2/00
F21V 29/503;29/56;29/57;29/67
F21Y 101:02
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に投入して使用可能な集魚灯であって、
複数の発光素子を実装する板状の実装部材であって、3枚以上の複数の前記実装部材と、
前記複数の実装部材のそれぞれの端部が縦方向に接続されることで形成される中空空間と、
前記発光素子を防水する防水カバーと、を備え、
前記中空空間は、前記集魚灯が水中に投入される落下方向に沿って形成されており、
前記中空空間には、前記集魚灯が水中に投入されるに従って水が流入して前記集魚灯の浮力を減少させると共に、水が流入して前記複数の実装部材を冷却し、
前記中空空間は、前記集魚灯の縦方向の上部に上部開口部を有し、前記集魚灯の縦方向の下部に下部開口部を有し、
前記中空空間の中央付近の横断面積は、前記上部開口部および前記下部開口部の開口面積よりも小さい集魚灯。
【請求項2】
前記複数の実装部材のそれぞれは、その裏面を前記中空空間に対向させ、表面に複数の発光素子を実装する、請求項1記載の集魚灯。
【請求項3】
前記集魚灯が水中に投入される際には、前記下部開口部もしくは前記上部開口部から前記中空空間に水が流入して、流入した水が上部開口部もしくは前記下部開口部より吐出されることで、前記集魚灯の浮力が減少すると共に、前記複数の実装部材の裏面の熱が奪われる、請求項記載の集魚灯。
【請求項4】
前記複数の実装部材が3枚の場合には、前記中空空間の前記上部開口部および前記下部開口部のそれぞれは、略三角形を有し、前記複数の実装部材が4枚の場合には、前記上部開口部および前記下部開口部のそれぞれは、略四角形を有し、前記複数の実装部材が5枚以上の場合には、前記上部開口部および前記下部開口部のそれぞれは、当該枚数に合わせた多角形を有する、請求項記載の集魚灯。
【請求項5】
前記複数の実装部材のそれぞれは、長辺と短辺を有する長方形の板状であり、前記複数の実装部材のそれぞれの長辺同士が接続されることで、縦方向に長い前記中空空間が形成される、請求項1からのいずれか記載の集魚灯。
【請求項6】
前記上部開口部および前記下部開口部とは、水中への投入時の圧力、水中での水圧差、水中での温度差および水中での潮目変化の少なくとも一つによって、前記中空空間の水を移動させ、前記複数の実装部材の裏面の熱を奪う、請求項1から5のいずれか記載の集魚灯。
【請求項7】
前記中空空間は、水の移動を促進する回転ファンおよび吸引ポンプの少なくとも一方を内部に備える、請求項1からのいずれか記載の集魚灯。
【請求項8】
前記集魚灯は、前記中空空間が水中に対して略垂直方向に水を流入させるので、前記複数の実装部材の表面に実装されている前記複数の発光素子は、水中において略横方向に、光を照射する、請求項1からのいずれか記載の集魚灯。
【請求項9】
前記実装部材の少なくとも表面は、防水されている、請求項1からのいずれか記載の集魚灯。
【請求項10】
前記複数の実装部材のある実装部材の表面に実装されている前記発光素子と、別の実装部材の表面に実装されている前記発光素子は、輝度および色度の少なくとも一つで異なる発光を可能である、請求項1からのいずれか記載の集魚灯。
【請求項11】
前記複数の実装部材のそれぞれは、前記中空空間および前記集魚灯全体の外形を形成する外板、前記外板に積層される熱伝導率の高い基材、前記基材に積層される回路基板および前記回路基板にベアチップ実装される前記発光素子を備えて板状である、請求項1から10のいずれか記載の集魚灯。
【請求項12】
前記複数の実装部材のそれぞれは、前記中空空間および前記集魚灯全体の外形を形成する外板、前記外板に積層される熱伝導率の高い基材、および前記基材にベアチップ実装される前記発光素子を備える板状を有する、請求項1から10のいずれか記載の集魚灯。
【請求項13】
前記発光素子が発生する熱は、前記基材を介して、前記外板に伝導される、請求項11または12記載の集魚灯。
【請求項14】
前記実装部材の裏面であって前記中空空間を形成する面は、凸凹を有している、請求項1から13のいずれか記載の集魚灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)などの発光ダイオードや発光半導体素子などを始めとする発光素子を用いて、海中や水中に沈めて集魚を行う集魚灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蛍光灯や白熱電球に代わる新しい光源としてLEDを始めとする発光素子が集魚灯に用いられることが多くなっている。LEDを始めとする半導体を利用した発光素子は、小型であること、消費電力が小さいことおよび発光色や発光パターンを容易に制御できること、などのメリットを提供できる。
【0003】
特に、LEDを始めとする半導体素子を用いた発光素子は、長寿命および低消費電力であることから環境負荷が小さいとの理由で、発光素子は、従来の電球や蛍光灯に置き換えられつつある。
【0004】
このため、室内の照明や屋外の街灯など、従来は電球やHIDランプ(high-intensity discharge lamps)であることが普通であった集魚灯においても、電球やHIDランプからLEDなどの発光素子に置き換わる動きが大きくなっている。このような電球やHIDランプから、LEDなどの発光素子への置き換えは、その他の分野にも進んでいる。例えば、漁船が魚を集めるために用いる集魚灯などにも、置き換えの動きが生じ始めている。
【0005】
ここで、発光力を有する集魚灯を用いる漁法では、一般的には船の上から界面を照射して、海面に漁獲対象となる魚を集める。漁獲対象となる魚が、集魚灯によって照射される海面の明るさにひかれて、海面に集まりやすくなるからである。例えば、船に集魚灯が設置され、船の上から海面を照射して、目的の魚を集めたところで、漁師が網やその他の手法で、集まったこれらの魚を捕獲する。
【0006】
ここで、集魚灯は、非常に高い輝度を要求する。夜の海上で効果的に魚を集めるには、高い輝度の光を、海面に照射する必要があるからである。また、集魚灯は、海面に光を照射するだけでなく、海面への照射から海中にも光を伝えつつ、海面およびこの海面下を照射することが好適である。海面下まで照射できることで、集魚灯は、海中を回遊する魚を海面近くまで集めることができ、魚の捕獲がより容易となるからである。
【0007】
このため、現状においては、高い輝度で発光できるハロゲンランプやHIDランプなどの電球が用いられることが多い。しかしながら、ハロゲンランプやHIDランプなどの電球は、寿命が短い上に高い電力を必要とする。このため、維持費用が高くなるなど、漁業関係者にとって不都合であった。
【0008】
加えて、HIDランプのような高い輝度を有する電球からは、非常に強い紫外線の照射があり、ハロゲンランプにおいては、強い発熱を作業者である漁師に与えることになり、漁師の健康被害などの問題も発生していた。
【0009】
このような環境下で、従来型の電球を用いた集魚灯のランニングコストが高い問題や健康被害などの問題に、電球やHIDランプから発光素子への置き換えの流れと、が相まって、集魚灯にLEDが用いられる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0010】
しかしながら、LEDは、単一素子ではハロゲンランプやHIDランプの輝度よりも低い。このため、集魚灯としての十分な光量を確保するためには、複数のLEDを集積して実装した集魚灯が提供される必要があった。あるいは、非常に高輝度のLEDを実装した集魚灯が提供される必要があった。しかし、このように多数のLEDが実装されたり高輝度のLEDが用いられたりする場合には、LEDが発する熱が大きくなり、実施における問題や耐久性の問題などが生じていた。
【0011】
このような、LEDの高密度化や高輝度化に合わせて発熱が大きくなる問題に対して、冷却用の冷媒を用いて冷却する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
一方で、近年の研究で効率的に魚を集めるには、船の上から海面や海面の直下を照射するだけでなく、海中での照射が効率的であることも分かってきている。海中における照射によって、海中の一定の深さに存在していたり回遊していたりする魚を、まず一定の領域に集めることを、前提とすることが好適であることが分かってきている。このように、海中で光を照射できるように、集魚灯を海中に沈める技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−140886公報
【特許文献2】国際公開WO2007/096938号公報
【特許文献3】特開2005−95123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1は、発光ダイオードを用いた集魚灯であって、発光ダイオードの周囲を防水カバーで覆った集魚灯を開示する。特許文献1は、従来のハロゲンランプなどの電球を用いた集魚灯を発光ダイオードに置き換える技術を開示している。
【0015】
すなわち、特許文献1は、発光ダイオードによって低消費電力や健康被害の低減を目的とする集魚灯を開示する。
【0016】
しかしながら、特許文献1の集魚灯は、ハロゲンランプなどの電球を発光ダイオードに置き換える技術を提案するだけで、発光ダイオードによって魚を効果的に集めたり、追い返したりする具体的な技術を開示していない。加えて、発光ダイオードは低消費電力ではあるが、高い輝度での光を照射するには、発光ダイオードに高い電力を付与する必要がある。しかしながら、発光ダイオードに高い電力が付与されると、発光ダイオードの発熱が高まって、発光効率の低下と発光ダイオードの故障などにつながる問題がある。
【0017】
特許文献1に開示される集魚灯は、魚を効果的に集めたり追い返したりすることができない問題を有している。加えて、発熱に対処しつつ十分な輝度の光を照射できない問題も有している。
【0018】
特許文献2は、LEDを実装する面を有する棒状(板状)の集魚灯であって、棒状もしくは板状の内部に、冷媒を循環させる冷媒循環路を有する集魚灯を開示する。特許文献2に開示される集魚灯は、船の上で用いられて、船の上から海面を照射することを目的としている。この海面の照射の際に、集魚灯に実装されているLEDを極めて高輝度で発光させる必要があるので、LEDおよびその基板は高い熱を発生させてしまう。このため、特許文献2に開示される集魚灯は、海水をポンプでくみ上げて、この冷媒循環路を循環させてこの熱を冷却することを目的としている(例えば、特許文献2の(0075)段に記載)。
【0019】
しかしながら、冷媒を汲みあげるためのポンプや、ポンプからの冷媒を循環路で循環させて排出させるための構造など、複雑な機械や装置を必要とする。もちろん、電力を消費する必要もあり、節電や燃料高騰に苦しむ漁業関係者にとっては、好ましくない。もちろん、冷媒循環路は、棒状あるいは板状の筐体内部に設けられているだけなので、熱の排出効率が悪く、LEDの発光輝度を極めて高くすることも難しい問題がある。
【0020】
また、特許文献2に開示される集魚灯は、船の上から海面を照射することを目的としており(このため、海中からポンプで汲みあげた海水を冷媒循環路に循環させる)、海中に投入して海中を照射することには不適である。LEDやその他の電子回路の防水密封の問題もあるが、構造上簡単に海中に沈みにくいからである。集魚灯は、LEDや電子回路(加えて棒状や板状の筐体であって、樹脂等の筐体)を有しているので、海中に沈みにくい。また、海中に沈ませた場合には、ポンプから汲みあげた海水を冷媒循環路に循環させることが難しい問題も有している。
【0021】
当然ながら、特許文献2に開示される集魚灯は、一方の面もしくはこれと逆側の面のように、一次元もしくは二次元にしか光を照射できず、船の上から海面を照射することのみを前提としかしていない。すなわち、海中に投入して、魚を集めることには不適である。もちろん、船の上からの照射を前提としているので、特定方向への照射量を多くする必要があるので、特許文献2の技術は、ある面や領域に高密度実装されたLEDによって発生する熱を、ポンプでくみ上げた海水による冷媒循環で対応する対症療法的な技術を開示している。
【0022】
特許文献3は、海面のみならず、水中にも投入してLEDの光を照射して魚を集める集魚灯を開示している。特許文献3は、ぶら下げながら水中に投入する紐に、LEDの発光素子を取り付けた集魚灯を開示している。LEDの周囲を防水にすることで、船の上から水中にLEDを投入し水中をLEDの光によって照射する技術である。
【0023】
しかしながら、LEDを高密度に実装したり、高輝度に制御したりすることはできない。特許文献3に開示される技術での構造上の問題にも依存するし、LEDを高密度に実装したり高輝度に制御したりすることで、LEDや回路基板は、高い発熱を生じさせるが、特許文献3は、これに対応することが難しい。LEDそのものは、水中に投入されるが、LEDの周りは防水されており、LEDあるいはLEDを制御する電子回路が、効率的に冷却される構造ではない。
【0024】
このため、特許文献3に開示される集魚装置は、水中に投入されるものの、冷却の不十分性によって、LEDの高密度化や高輝度化といった性能を発揮させることが難しい問題を有している。また、LEDの実装構造によっては、浮力が生じてしまい、水中に沈めにくかったり、狙い通りの場所に沈めにくかったりする問題もある。
【0025】
このように、冷却の不十分や沈めにくさなどによって、特許文献3に開示される集魚装置は、水中の狙い通りの場所に投入することが難しい。もちろん、特許文献2に開示される集魚装置は、水中に投入することを想定していないし、投入したとしても、却って冷却ができなくなったり、水中に投入しにくかったりして、水中の狙い通りの場所に投入することが難しい。
【0026】
上述の通り、近年では、船の上から海面だけを光で照射するだけよりも、水中で光を照射することが、集魚においては効果的であることが分かってきている。特に、高輝度の光を、水中で照射することが効果的であるが、高輝度の照射をするには、高密度実装や高輝度制御が必要となり、LEDや電子回路での発熱の処理も必要となる。
【0027】
このように、特許文献1〜3に開示される従来技術の集魚灯は、次のような問題を有していた。
(問題1)水中に投入できないか、水中に投入しにくい構造を有しており、水中における狙い通りの場所に投入できない。
(問題2)熱処理が困難であるので、高い光量を生じさせるための、LEDの高密度化や高輝度化の実現が困難である。
(問題3)3次元的に多角的な光の照射が困難である。
(問題4)問題1〜3を解決しつつも、取扱が容易で小型で簡易な構成を実現できない。
【0028】
本発明は、以上の課題に鑑み、取扱容易で構造が簡易でありながら、水中に投入が容易でありつつ、熱処理も可能である、水中に投下して使用可能な集魚灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記課題を解決するために、本発明の集魚灯は、水中に投入して使用可能な集魚灯であって、複数の発光素子を実装する板状の実装部材であって、3枚以上の複数の実装部材と、複数の実装部材のそれぞれの端部が縦方向に接続されることで形成される中空空間と、発光素子を防水する防水カバーと、を備え、中空空間は、集魚灯が水中に投入される落下方向に沿って形成されており、中空空間には、集魚灯が水中に投入されるに従って水が流入して集魚灯の浮力を減少させると共に、水が流入して複数の実装部材を冷却し、中空空間は、集魚灯の縦方向の上部に上部開口部を有し、集魚灯の縦方向の下部に下部開口部を有し、中空空間の中央付近の横断面積は、上部開口部および下部開口部の開口面積よりも小さい


【発明の効果】
【0030】
本発明の集魚灯は、LED素子を実装した3以上の板状の実装部材が、中空空間を形成する。この中空空間は、水中に投入する投入方向に略平行に沿っているので、集魚灯は、この中空空間に水を入れることで、簡単に水中に沈められるようになる。
【0031】
加えて、この中空空間は、実装部材の裏面の組み合わせによって構成されるので、浮力を減少させて集魚装置が水中に沈みやすくなると共に、実装部材の裏面を通じて、中空空間に入り込んで移動する水によって発光素子や回路基板が冷却される。
【0032】
また、集魚装置は、中空空間が、水中に沈む方向に沿っているのに加えて、中空空間に沿った外側に、複数の発光素子が実装されているので、水中に沈められた集魚装置は、水中の水平方向の周囲に、光を照射できる。
【0033】
加えて、集魚装置は、すくなくとも3面の発光素子の実装部材を有しているので、水中において周囲を3次元的に照射することができ、高い集魚効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施の形態1における集魚灯の斜視図である。
図2】本発明の実施の形態2における集魚灯の使用態様を示す説明図である。
図3】本発明の実施の形態1における集魚灯を上から見た模式図である。
図4】本発明の実施の形態1における集魚灯の斜視図である。
図5】本発明の実施の形態1における6角形状の集魚灯の上面図である。
図6】本発明の実施の形態2における集魚灯の側面図である。
図7】本発明の実施の形態2における集魚灯1の内部を透視状態とした側面図である。
図8】本発明の実施の形態2における実装部材の側面図である。
図9】本発明の実施の形態2における実装部材の表面図である。
図10】本発明の実施の形態2における実装部材の表面図である。
図11】本発明の実施の形態3における実際の試作品の斜視図である。
図12】本発明の実施の形態3における実際の試作品の集魚灯の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の第1の発明に係る集魚灯は、水中に投入して使用可能な集魚灯であって、複数の発光素子を実装する板状の実装部材であって、3枚以上の複数の実装部材と、複数の実装部材のそれぞれの端部が縦方向に接続されることで形成される中空空間と、発光素子を防水する防水カバーと、を備え、中空空間は、集魚灯が水中に投入される落下方向に沿って形成されており、中空空間には、集魚灯が水中に投入されるに従って水が流入して集魚灯の浮力を減少させると共に、水が流入して複数の実装部材を冷却する。
【0036】
この構成により、集魚灯は、水中に沈めやすいと共に、海水等の水が流入して、発光素子などから発生する熱を、効率的に冷却できる。
【0037】
本発明の第2の発明に係る集魚灯では、第1の発明に加えて、複数の実装部材のそれぞれは、その裏面を中空空間に対向させ、表面に複数の発光素子を実装する。
【0038】
この構成により、水が流入する中空空間は、発光素子を実装する実装部材の裏面を形成して、裏面から発光素子等の熱を冷却できる。
【0039】
本発明の第3の発明に係る集魚灯では、第1又は第2の発明に加えて、中空空間は、集魚灯の縦方向の上部に上部開口部を有し、集魚灯の縦方向の下部に下部開口部を有する。
【0040】
この構成により、中空空間は、水の流入と流出を容易に行え、中空空間での水の移動を実現できる。この水の移動によって、中空空間は、実装部材を裏面から冷却できる。
【0041】
本発明の第4の発明に係る集魚灯では、第3の発明に加えて、集魚灯が水中に投入される際には、下部開口部もしくは上部開口部から中空空間に水が流入して、流入した水が上部開口部もしくは下部開口部より吐出されることで、集魚灯の浮力が減少すると共に、複数の実装部材の裏面の熱が奪われる。
【0042】
この構成により、中空空間は、集魚灯の沈み込みと冷却とを両立できる。
【0043】
本発明の第5の発明に係る集魚灯では、第4記載の発明に加えて、複数の実装部材が3枚の場合には、中空空間の上部開口部および下部開口部のそれぞれは、略三角形を有し、複数の実装部材が4枚の場合には、上部開口部および下部開口部のそれぞれは、略四角形を有し、複数の実装部材が5枚以上の場合には、上部開口部および下部開口部のそれぞれは、当該枚数に合わせた多角形を有する。
【0044】
この構成により、中空空間は、用途や仕様によって、様々に形成できる。
【0045】
本発明の第6の発明に係る集魚灯では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、複数の実装部材のそれぞれは、長辺と短辺を有する長方形の板状であり、複数の実装部材のそれぞれの長辺同士が接続されることで、縦方向に長い中空空間が形成される。
【0046】
この構成により、中空空間は、集魚灯を沈めやすくできるし、面積対体積比で、実装部材の冷却をも容易とする。
【0047】
本発明の第7の発明に係る集魚灯では、第3から第6のいずれかの発明に加えて、上部開口部および下部開口部とは、水中への投入時の圧力、水中での水圧差、水中での温度差および水中での潮目変化の少なくとも一つによって、中空空間の水を移動させ、複数の実装部材の裏面の熱を奪う。
【0048】
この構成により、中空空間は、水の移動を促進させて、実装部材の裏面から熱を奪う。
【0049】
本発明の第8の発明に係る集魚灯では、第3から第7のいずれかの発明に加えて、中空空間の中央付近の横断面積は、上部開口部および下部開口部の開口面積よりも小さい。
【0050】
この構成により、中空空間内部での水の圧力差や温度差が生じやすくなり、水の内部での移動が促進される。
【0051】
本発明の第9の発明に係る集魚灯では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、中空空間は、水の移動を促進する回転ファンおよび吸引ポンプの少なくとも一方を内部に備える。
【0052】
この構成により、中空空間での水の移動が激しくなり、実装部材の冷却が更に促進される。
【0053】
本発明の第10の発明に係る集魚灯では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、集魚灯は、中空空間が水中に対して略垂直方向に水を流入させるので、複数の実装部材の表面に実装されている複数の発光素子は、水中において略横方向に、光を照射する。中空空間の開口部が略横方向の状態で光を照射することも可能である。
【0054】
この構成により、集魚灯は、水中において所定の姿勢での光の照射を実現できる。
【0055】
本発明の第11の発明に係る集魚灯では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、実装部材の少なくとも表面は、防水されている。
【0056】
この構成により、集魚灯は、水中で容易に使用できる。
【0057】
本発明の第12の発明に係る集魚灯では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、複数の実装部材のある実装部材の表面に実装されている発光素子と、別の実装部材の表面に実装されている発光素子は、輝度および色度の少なくとも一つは異なる発光が可能である。
【0058】
この構成により、集魚灯は、魚の種類や特性に応じた、集魚を可能とする。
本発明の第13の発明に係る集魚灯では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、複数の実装部材のそれぞれは、中空空間および集魚灯全体の外形を形成する外板、外板に積層される熱伝導率の高い基材、基材に積層される回路基板および回路基板にベアチップ実装される発光素子を備えて板状である。
【0059】
この構成により、中空空間は、実装部材、特に実装部材に実装されている発光素子や回路基板を効率的に冷却できる。なお、ベアチップが、外板に積層される熱伝導率の高い基材に直接ダイボンデング実装され、回路基板電極とチップ電極とがワイヤーボンデングされた構成でも良い。
本発明の第14の発明に係る集魚灯では、第13の発明に加えて、複数の実装部材のそれぞれは、中空空間および集魚灯全体の外形を形成する外板、外板に積層される熱伝導率の高い基材、および基板にベアチップ実装される発光素子を備える板状を有する。
この構成により、実装部材が、非常に簡略な構成で形成されると共に、発行と外形形成とを両立できる。
本発明の第15の発明に係る集魚灯では、第13又は第14の発明に加えて、発光素子および回路基板が発生する熱は、基材を介して、外板に伝導される。
【0060】
この構成により、中空空間を移動する水によって、発光素子や回路基板から生じる熱が冷却される。
本発明の第16の発明に係る集魚灯では、第1から第15のいずれか記載の実装部材の裏面であって中空空間を形成する面は、凸凹を有している。
【0061】
この構成により、実装部材の裏面でカルマン渦などの発生による高い冷却効果が生じる。
【0062】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0063】
(実施の形態1)
【0064】
実施の形態1について説明する。
【0065】
(全体概要)
まず、図1図2を用いて、実施の形態1における集魚灯の全体概要を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における集魚灯の斜視図である。図2は、本発明の実施の形態2における集魚灯の使用態様を示す説明図である。
【0066】
まず、集魚灯1は、図2に示されるように、水上(海、湖、池、川など)で操船される漁船50で使用される。特に、図2に示されるように、漁船50から水面100から水中101に投入されて、水中101において使用可能である。このため、集魚灯1は、水中101内部で使用されて、水中101内部に光を照射する。すなわち、集魚灯101は、水中101で光を照射して、水中を回遊等する魚を引き寄せて所望の場所に集めることを目的とする。この点で、漁船50から水面100(あるいはせいぜい水面100の下部分)に光を照射するに過ぎない従来技術での集魚灯とは、その目的が異なる。
【0067】
集魚灯1は、3枚以上の複数の実装部材3、中空空間4、防水カバー6、実装部材3の表面に実装される複数の発光素子5を備える。
【0068】
図1においては、4枚の実装部材3A〜3Dが設けられており、実装部材3A〜3Dのそれぞれは、板状の部材である。この板状の部材である実装部材3A〜3Dのそれぞれの端部が縦方向に沿って接続される。このような板状部材である実装部材3A〜3Dのそれぞれの隣接する端部同士が接続されることで、図1に示されるように、接続後の実装部材3A〜3Dに囲まれた空間に、中空空間4が形成される。
【0069】
このとき、板状部材である実装部材3A〜3Dのそれぞれが製造されてから、溶着、接着、溶接などで事後的に接続されて中空空間4が形成されても良い。あるいは、予め中空空間4を有するように周囲が囲まれた立体が、鋳型、押し型、金型、研削などの工程で形成されておき、形成された立体の各面(中空空間4の周囲の各面)が、板状である実装部材3A〜3Dとして把握されてもよい。
【0070】
要は、3以上の板状の実装部材3の隣接する端部同士が接続・組み合わされて、実装部材3の裏面同士が囲む空間が、中空空間4となり、実装部材3の表面は、集魚灯1の外側を向くようになればよい。
【0071】
また、実装部材3が3枚以上であることで、実装部材3の隣接する端部同士が接続されると、必ず立体である中空空間4が形成される。実装部材3が2枚であると、端部同士が接続されても、空間が生じないことになり、中空空間4は、形成されない。もちろん、図1に示されるように、実装部材3が4枚であると、四角形(方形)の横断面を有する中空空間4が形成される。
【0072】
実装部材3A〜3Dのそれぞれの表面には、複数の発光素子5を実装していている。発光素子5は、主にLEDを用いる。またLED表面に蛍光体を分散させた有機物で被覆したものでもよい。複数の発光素子5には、集魚灯1として照射したい光量、光の到達度、輝度、色度などに合わせた素子が採用されればよい。このため、実装部材3A〜3Dのそれぞれは、表面に複数の発光素子5を実装して、集魚灯1の外部に光を照射し、裏面で中空空間4を形成する。中空空間4は、複数の実装部材3A〜3Dのそれぞれの裏面に接触することになる。
【0073】
また、集魚灯1は、水中101に投入されて使用されることを前提としているので、少なくとも発光素子5を防水する防水カバー6を備えている。ここで、図1では、図示と見易さの都合上、半円柱状の防水カバー6が、実装部材3Aの表面(実装部材3Aの表面に実装されている発光素子5を覆うように)に装着されている状態が示されている。もちろん、他の実装部材3B〜3Dのそれぞれにも、防水カバー6が装着されていればよい。
【0074】
防水カバー6は、発光素子5(およびこれを実装する回路基板や電気配線)を防水できればよいので、実装部材3A〜3Dのそれぞれに個別に防水カバー6が設けられてもよいし、複数の実装部材3A〜3Dの組み合わせで構成される本体部2全体を覆うように、防水カバー6が設けられてもよい。防水カバー6は、樹脂などの耐久性、強度を有しつつ、発光素子5の光を外部に露出できる素材で形成されることが好ましい。
【0075】
集魚灯1は、図2に示されるように、漁船50から水面100を通じて、水中101に投入される。このとき、集魚灯1の本体部2は、縦方向と横方向を有しているが、全体として縦方向に長い形状を有している。この縦方向に沿って、複数の実装部材3A〜3Dが、長辺同士を接続させて本体部2を形成しているので、中空空間4も縦方向に沿って形成される。このため、中空空間4は、横断面よりも縦方向の方が長い(大きい)。
【0076】
集魚灯1が、水中101に投下される際には、この本体部2(集魚灯1)の縦方向に投入されやすくなる。このため、中空空間4は、集魚灯1が水中101に投入される落下方向に沿って形成されていることになる。集魚灯1が水中101に投入されるに従って、この中空空間4に水が流入する。水が流入すれば、中空空間4内部は、流入した水で充填される。この水の充填によって、集魚灯1の浮力が減少すると共に中空空間4を形成する複数の実装部材3A〜3D(特にその裏面)が、冷却される。
【0077】
また、集魚灯1は、水中101に中空空間4の開口部が横向きになるように投入されても良い。集魚灯1が水中101に投入されるに従って、この中空空間4は水で充填される。この水の充填によって、集魚灯1の浮力が減少すると共に中空空間4を形成する複数の実装部材3A〜3D(特にその裏面)が、冷却される。
中空空間4内に充填された水は、その温度上昇によって生ずる温度差や水中での潮目変化(潮流)の少なくとも一つによって、移動するため、複数の実装部材の裏面の熱を安定して奪うことができる。矢印Aは、水の流入方向の一例を示しているだけである。
【0078】
このように、中空空間4は、集魚灯1を水中101に投入する際に悪影響となる浮力を減少させて目的の位置にまで沈めると共に、発熱の大きな発光素子5(およびその回路基板)を実装している実装部材3A〜3Dそのものも、その裏面から冷却できる、二重の役割を有している。
【0079】
また、中空空間4を形成する複数の実装部材3A〜3Dのそれぞれの表面は、複数の発光素子5を実装している。水中に投入された集魚灯1は、中空空間4に水が流入することで、その姿勢が縦方向に安定しやすくなる(もちろん、操作によって横方向や斜め方向に、その姿勢を安定させてもよい)。この結果、水中において、周囲を効率的に照射することができ、所望の魚を所望の範囲に集めることも可能となる。
【0080】
このように、実施の形態1における集魚灯1は、効率的かつ簡易な構成によって、水中での集魚作業を実現できる。
【0081】
なお、図1に示されるように、発光素子5や回路基板に電力を供給する電気信号線20が備わっていてもよい。
【0082】
(水中への投入の容易性)
集魚灯1は、水中101に投入して(沈めて)使用することを予定されている。海水、淡水などに関らず、水は一定の比重(浮力)を有しているので、集魚灯1を沈めることは難しいことが多い。特に、集魚灯1は、発光素子5をその表面に実装しておく必要があるが、この場合にはどうしても防水カバー6の装着が必要となる。防水カバー6が装着される場合には、内部に密封空気空間が生じること、および集魚灯1全体の形状が単純形状(全体として筒状、球状など)となること、の2つの問題を引き起こす。このような2つの問題を有していると、集魚灯1は、比重の問題をクリアしても水中101に沈みにくくなる。
【0083】
このような集魚灯では、比重をより大きくするか、外形を複雑形状とするかのいずれかが必要となる。いずれの場合であっても、製造の手間やコストが上がる上、漁船50での取り扱いや作業が煩雑となったり、危険となったりする。このような集魚灯は、普及にとってもデメリットが高い。
【0084】
これに対して、実施の形態1の集魚灯1は、複数の実装部材3A〜3Dの組み合わせによって形成される単純形状の本体部2および外部の防水カバー6によって、全体として単純かつ取扱の容易な外形を有している。にもかかわらず、水中101への投入方向に沿った中空空間4に、投入時に容易に水が流入することで、集魚灯1の浮力が減少して、水中101に沈みやすくなる。このため、製造も取り扱いも容易でかつ危険性の少ない集魚灯1でありながら、水中101の所望の場所に投入して、水中101で周囲を照らすことができる。図2は、水中101の所望の場所に投入された2つの集魚灯1が、周囲を照らしている状態を示している。
【0085】
なお、集魚灯1が、水中101により容易に沈みやすくなるように、本体部2の一部に錘が取り付けられていることも好適である。
【0086】
(冷却)
中空空間4は、複数の実装部材3A〜3Dの裏面に囲まれて形成されている。複数の実装部材3A〜3Dのそれぞれの表面は、図1に示されるとおり、複数の発光素子5を実装している。なお、図1、2などでは、図示の容易性といやすさの点から、実装部材3C,3Dには発光素子5が示されていないが、実装されていないわけではなく、図示の都合上で表示していないだけである。実際には発光素子5が実装されている。
【0087】
中空空間4は、このように複数の実装部材3A〜3Dの裏面で囲まれて形成されるので、言い換えれば、中空空間4は、実装部材3A〜3Dの裏面に接している。中空空間4には、集魚灯1の水中101への投入によって、水が流入する。使用される場所が海であれば、海水が中空空間4に流入し、湖や川であれば、淡水が中空空間4に流入する。
【0088】
ここで、図1図2に示されるように、中空空間4は、集魚灯1の縦方向の上部に上部開口部41を有し、下部に下部開口部42を有する。中空空間4は、一つの外周を囲むようにして複数の実装部材3A〜3Dの端部同士が接続して形成される。この結果、上部と下部に開口部が生じる。これが上部開口部41と下部開口42である。上部開口部41と下部開口部42によって、中空空間4内部には水が流入すると共に、外部環境等に応じて、中空空間4内部の水が流入と流出(すなわち入れ替わり)を行う。
【0089】
図2に示されるように、集魚灯1が水面100から水中101に投入される際には、矢印Cのように、下部開口部42から中空空間4に水が流入し、中空空間4に水が充填される。更に、中空空間4で水が移動して、矢印Bのように、上部開口部41から中空空間4を移動した水が流出する。もちろん、逆方向として、上部開口部41から中空空間4に水が流入し、中空空間4が水で充填されつつ水が移動し、下部開口部42から水が流出してもよい。
【0090】
もちろん、逆に、上部開口部41から水が中空空間4に流入し、中空空間4に水が充填される。更に、水が中空空間4を移動して、下部開口部42から水が流出してもよい。これらは、潮目、水圧、環境、集魚灯の投入、その他の状況によっていずれにもなりえる。
【0091】
図2では、後者のように、上部開口部41から水が入るように示されているが、これは一例であり、これに限定されるものではなく、前者のように、下部開口部42から上部開口部41に水が流入、流出しても良いものである。いずれであっても、集魚灯の水中101への沈めこみと実装部材3の冷却を実現できるからである。
【0092】
このように、水中101に集魚灯1が投入されれば、中空空間4に水が流入したり、水が移動(流入と流出による入れ替わり)したりするので、実装部材3A〜3Dの裏面の熱が剥ぎ取られるようになる。
【0093】
実装部材3A〜3Dのそれぞれは、上述の通り、表面に複数の発光素子5を実装している。発光素子5は、制御信号などを受けるための配線や実装素子などの回路基板も必要とするので、実装部材3A〜3Dのそれぞれでは、発光素子5および回路基板での発熱が生じてしまう。これらの発光素子5や回路基板で発生する熱は、実装部材3A〜3Dを伝導して、実装部材3A〜3Dの裏面に到達する。
【0094】
実装部材3A〜3Dの裏面のそれぞれは、水の充填もしくは水の移動によって水と接触している(あるいは水の移動と接触している)ので、伝導された熱を奪い取ることができる。中空空間4は、浮力を減少させて集魚灯1を沈めるだけでなく、実装部材3A〜3Dの表面で発生する熱をも減少(排出)させることができる。
【0095】
また、中空空間4は、図2に示されるように、上部開口部41と下部開口部42とを有している。このため、集魚灯1が水中へ投入される際の圧力、水中での水圧差、水中での温度差および水中での潮目変化の少なくとも一つによって、中空空間4は、水の流入、移動、流出を実現できる。この水の流入と流出による、中空空間4内部の水の入れ替えによって、実装部材4の熱がより効率的に奪われて冷却される。
【0096】
このように、中間空間4は、浮力の減少による沈み込みと実装部材3の冷却とを兼用できる。
【0097】
(中空空間)
次に、中空空間の詳細等について説明する。
【0098】
図3は、本発明の実施の形態1における集魚灯を上から見た模式図である。図3に示される集魚灯1は、3枚の実装部材3A〜3Cによって構成されている。また、実装部材3A〜3C端部同士が接続されて形成される本体部2に、本体部2の外形を形成しつつ集魚灯1の取扱を容易にするために筐体21が設けられてもよい。筐体21は、縦長となる集魚灯1の設置時の支持の役割を果たす。
【0099】
図3の集魚灯1では、3枚の実装部材3A〜3Cの端部同士が接続されるので、横断面形状が三角形となる中空空間4が形成される。言い換えれば、上部開口部41および下部開口部42のそれぞれが、略三角形となる。もちろん、4枚の実装部材3が用いられる場合には、上部開口部41および下部開口部42のそれぞれは、略四角形(略方形)となり、5枚以上の実装部材3が用いられる場合には、上部開口部41および下部開口部42のそれぞれは、枚数に合わせた略多角形となる。
【0100】
もちろん、上部開口部41および下部開口部42の間が分割された形状を有してもよい。あるいは、上部開口部41と下部開口部42とのそれぞれの形状、大きさに相違があってもよい。
【0101】
また、複数の実装部材3のそれぞれは、図1に示されるように長辺と短辺とを有する長方形の板状であり、複数の実装部材3のそれぞれの長辺同士が接続されることで、本体部2が形成されることも好適である(すなわち、中空空間4が形成される事が好適である)。このような形成によって、集魚灯1は、全体として縦長となり、水中101に沈めやすくなる。
【0102】
また、中空空間4も縦方向に長い形状となるので、集魚灯1が水中101に沈められる際に、水が入りやすくなって浮力を減少させやすくなる。特に、水が流入した後での集魚灯1の姿勢を保ちやすくなる効果も生じさせるので、集魚灯1の使用性が高まる。
【0103】
もちろん、使用態様や使用における要望に応じて、集魚灯1および中空空間4が横長であることでもよい。また、複数の本体部2が縦方向に連結されることで、集魚灯1が構成されてもよい。
【0104】
(防水)
図4は、本発明の実施の形態1における集魚灯の斜視図である。図4に示されるように、集魚灯1の本体部2の周囲は、防水カバー6によって防水されていることも好適である。防水カバー6は、図1に示されるように、電子部品である発光素子5や回路基板を防水できれば十分であるが、実装部材3によって構成される本体部2全体を(中空空間4を除いて)覆うことでもよい。図4に示されるように、防水カバー6が本体部2を覆うことで、防水がより確実となり、水中に投入されて使用される集魚灯1の、使用耐久性が向上するメリットがある。
【0105】
また、図4に示されるように、防水カバー6が本体部2の外周を覆うと、集魚灯1は、全体として円筒状の形状を有するようになる。円筒状の形状を有することで、外部からの衝撃に強くなる上、水中101で使用される場合に、障害物からの衝撃にも強くなる。あるいは、外周に角部が少なくなるので、漁獲対象となる魚への悪影響も無くなる。
【0106】
このように、防水カバー6は、電子部品である発光素子5や回路基板を防水するだけでなく、集魚灯1そのものの耐久性や使い勝手を向上させることもできる。もちろん、集魚灯1は船50の上に保管されて漁業者に使用されるので、角部や複雑な外形の少ない図4のような集魚灯1は、漁業者にとっての使い勝手の向上と安全性の向上を同時実現できる。
【0107】
(光の照射)
集魚灯1は、その実装部材3の表面に複数の発光素子5を実装している。図3では、3枚の実装部材3A〜3Cによって横断面が略三角形の本体部2が形成されている。このため、この3面のそれぞれに、発光素子5が実装されている状態となる。この結果、集魚灯1は、3面のそれぞれの方向に光を照射できる。水中101に投入されて使用される場合には、多方面(三次元的)に光が放射されることが、集魚効果から好ましい。
【0108】
あるいは、図1に示されるように、4枚の実装部材3A〜3Dで本体部2が構成される場合には、集魚灯1は、4方向に光を照射できる。すなわち、より広範囲かつ多方向に光を照射できる。この多方面への光の照射によって、高い集魚効果が期待できる。
【0109】
あるいは、図5に示されるように、6枚の実装部材3A〜3Fによって本体部2が構成される場合には、中空空間4の横断面も6角形となり、6枚の実装部材3A〜3Fのそれぞれの表面に実装されている発光素子5が、6方向に光を照射する。
【0110】
図5は、本発明の実施の形態1における6角形状の集魚灯の上面図である。図5は、集魚灯1を上方から見た状態を示している。中空空間4は、略6角形となっており、実装部材3A〜3Fのそれぞれが、それぞれの方向に向けて光を照射している。この場合には、広い範囲で光を拡散させることができる。
【0111】
もちろん、これら光を照射する発光素子5および発光素子5に必要な回路基板とは、発生させる熱を実装部材3に伝導させる。実装部材3は、その裏面を中空空間4内部の水に接触させる。中空空間4に注入される水は、移動することが多いので、この水の移動によって、裏面の熱が奪い取られるので、発光素子5の発光が発熱によって妨げられることが少ない。
【0112】
発光素子5は、強い電力を付与されれば、それだけ高い輝度を生じさせるようになる。高い輝度を生じることは、集魚灯1が、高い光量で、水中101の周囲を照射することができる。この照射によって、高い集魚効果が期待できるようになる。
【0113】
また、中空空間4に水が流入することで、水中101における集魚灯1の姿勢が安定することで、図3図5に示される光の照射方向は、水中101の平面方向を中心とした三次元的な方向となる。この結果、水中101を回遊する回遊魚を効率的に集めることができるようにもなる。
【0114】
また、中空空間4を形成するために、複数の実装部材3のそれぞれは、交差角を有しつつも、背中合わせであるので、集魚灯1は、外部に向けて光を照射できる。この結果、少ない集魚灯1で、広い範囲を照らすことができる。もちろん、集魚灯1の発光状態を調整しつつ、複数の集魚灯1を用いることで、ある一定の範囲の光を強くすることができるので、集魚効果を高めることができる。
【0115】
以上のように、実施の形態1における集魚灯1は、実装部材3の組み合わせで形成される中空空間4によって、浮力を減少させる役割、発光素子5や回路基板を冷却する役割、発光素子の光の照射方向を固定する役割および集魚灯1の水中101での姿勢を制御する役割のそれぞれを、一度にバランスよく実現できる。
【0116】
この結果、集魚灯1は、水中101で、効率的に集魚を行える。
【0117】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
【0118】
実施の形態2では、実施の形態1で説明した集魚灯1の各種工夫について説明する。
【0119】
(中空空間の形状やその他)
図6は、本発明の実施の形態2における集魚灯の側面図である。図6は、集魚灯1であって、特に複数の実装部材3の組み合わせによって形成される本体部2を側面から見た状態を示している。また、実装部材3の組み合わせによって形成される中空空間4が透視される状態で示されている。
【0120】
中空空間4は、本体部2において縦方向に形成される。特に、板状の実装部材3の端部同士の接続によって、中空空間4が形成されるので、通常は一定の断面積を有する筒状の形状を有する。すなわち、上部開口部41、中央付近、下部開口部42のそれぞれでの横断面形状、横断面積は大体一定である。
【0121】
しかし、図6に示される集魚灯1では、上部開口部41および下部開口部42の開口面積(横断面積)よりも、中央付近43の横断面積が小さい。すなわち、中空空間4は、中央付近43がくびれたような形状を有している。このようにくびれた形状を有すると、中空空間4への水の流入や流出が行われる上部開口部41や下部開口部42の開口面積が大きいのに加えて、中央付近43の横断面積が小さいことで、中空空間4内部での圧力差が生じやすくなる。この圧力差が生じやすくなることで、中空空間4は、流入した水の移動をより強くできる。
【0122】
中空空間4は、内部の水の移動によって、接触する実装部材3の裏面の熱を奪いやすくなる。特に、流体による熱の剥ぎ取り効果によって、中空空間4を移動する水が、実装部材3の裏面の熱を、より効果的に奪う。
【0123】
実装部材4の表面に実装されている発光素子5や回路基板の熱は、実装部材3の裏面に伝導する。中空空間4を移動する水が、この裏面の熱を奪うことで、結果的に発光素子5や回路基板の発熱が抑えられる。抑えられれば、より強い電力を発光素子5に付与することができるようになり、集魚灯1の発光効率や発光量が大きくなる。
【0124】
あるいは、中空空間4は、水の移動を促進する回転ファンおよび吸引ポンプの少なくとも一方を、その内部に備えることも好適である。図7は、本発明の実施の形態2における集魚灯1の内部を透視状態とした側面図である。図7では、中空空間4内部に、回転ファン45A、45B、45Cが設けられていることを示している。
【0125】
ここで、中空空間4は、回転ファン45A,45B、45Cの全てを備えなければならないわけではなく、回転ファン45A,45B、45Cのいずれか一つあるいはいずれか2つを設けてもよい。上部開口部41に近い場所に、回転ファン45Aが設けられることで、上部開口部41からの水の流入が促進される。あるいは、中央付近43に回転ファン45Bが設けられることで、中空空間4内部での水の移動が促進される。あるいは、下部開口部42付近に回転ファン45Cが設けられることで、下部開口部42からの水の流入が促進される。あるいは、それぞれの回転ファン45A〜45Cによって、水の流出が促進される。
【0126】
このように、回転ファン45A〜45Cが、中空空間4内部に設けられることで、中空空間4は、より効率よく水を流入させたり水を流出させたりすることができて、水の移動を促進できる。水の移動が促進されれば、実装部材3の裏面の熱がより効率的に奪われて、発光素子5等の熱が冷却される。
【0127】
また、中空空間4は、複数の実装部材4の裏面同士が形成している。中空空間4内部の水が、裏面を冷却する。この冷却をより効率的にするために、裏面に凸凹を有していることも好適である。凸凹が形成されることで、中空空間4を移動する水に、この凸凹の周囲にカルマン渦を生じさせる。このカルマン渦によって、移動する水が、実装部材3の裏面をより効率的に冷却できる。
【0128】
このように、冷却能力が向上することで、発光素子5や回路基板の冷却が実現されて、これ等電子部品へ供給される電力を大きくできる。この結果、発光素子5の輝度を大きくできるようになる。発光素子5の輝度が大きくできれば、水中101での集魚効果が高まるメリットが生じる。
【0129】
なお、集魚灯1は、中空空間4が、水中101において略垂直に水を流入、流出させる場合には、複数の実装部材3のそれぞれの表面に実装されている発光素子5は、水中101において、周囲に向かった略横方向に光を照射するようになる。
【0130】
(実装部材の構造)
3枚以上の複数の実装部材3の端部同士が接続されることで、中空空間4が形成されて、集魚灯1の全体外形が形成される。
【0131】
このため、実装部材3は、その表面においては発光素子5を実装する役割を果たす。一方、裏面においては、中空空間4を形成しつつ、中空空間4を移動する水による冷却を受ける役割を果たす。加えて、複数の実装部材3の組み合わせは、本体部2である集魚灯1の全体外形を形成する。このように、実装部材3は、一つの要素で、様々な役割を同時実現できる。
【0132】
ここで、実装部材3は、裏面での冷却が、表面に実装されている発光素子5の冷却に効率的に繋がることが重要である。
【0133】
図8は、本発明の実施の形態2における実装部材の側面図である。実装部材3は、平板状の部材であり、表面32と裏面31とを有する。この裏面31が、中空空間4を形成して、中空空間4を移動する水によって熱を奪われる。
【0134】
実装部材3は、この裏面31となって中空空間4の外形(集魚灯1の外形)を形成する外板33、この外板33に積層される熱伝導率の高い素材で形成された基材34、この基材34に積層される回路基板35を有する。また、発光素子5は、この回路基板35にベアチップ実装される。
【0135】
回路基板35は、電子素子である発光素子5をベアチップ実装すると共に、発光素子5に電力や制御信号を供給する回路、配線パターンを有している。このため、発光素子5および回路基板35が、熱を生じさせる。
【0136】
この熱は、回路基板35から熱伝導率の高い素材で形成された基材34に伝導される。外板33も、熱伝導率の高い素材であり、基材34から伝導された熱を受ける。熱伝導率の高い素材として、金、銀、銅、アルミニウム、これらの合金などが用いられる。基材34、外板33が、これらの熱伝導率の高い素材で形成されることで、発光素子5や回路基板35で発生した熱は、容易に実装部材3の裏面31に伝導される。この結果、裏面31での冷却を通じて、発光素子5などの熱が奪われて、発光に関る発光素子5や回路基板35の冷却が効率よく図られる。
【0137】
特に、発光素子5がベアチップ実装されていることで、発光素子5の熱は簡単に回路基板35に移動し、回路基板35から基材34を介して熱が外板33に伝導される。外板33は、当然ながら、中空空間4を形成するので、中空空間4内部の水によって、効率的に冷却される。このようにして、集魚灯1の外形が形成されると共に、発光素子5等の発熱が冷却される。
【0138】
また、実装部材3は、裏面31となって中空空間4の外形(集魚灯1の外形)を形成する外板33、この外板33に積層される熱伝導率の高い素材で形成された基材34を有し、発光素子5が、この基板34に直接ベアチップ実装されてもよい。この場合には、回路基板電極とチップ電極とがワイヤーボンデングにて接続されている。発熱体である発光素子5が、直接基板34に実装されるため、発光素子5の冷却効率は更に高まる。
【0139】
このように、実装部材3は、様々な役割を同時実現できる。
【0140】
また、複数の実装部材3のそれぞれは、中空空間4および前記集魚灯全体1の外形を形成する外板、外板に積層される熱伝導率の高い基材、および基板にベアチップ実装される前記発光素子を備える板状を有する形態を有していてもよい。すなわち、実装部材3は、発光素子5を実装しつつ、集魚灯1を形成し、更には集魚灯1を沈めつつ発光素子5の発熱を冷却する機能を実現できる素材、構成、構造、部材で形成されれば良いものである。
【0141】
(発光素子の種々の制御)
実装部材3は、複数が用意され、実装部材3のそれぞれには、複数の発光素子5が実装される。このため、集魚灯1は、発光素子5の発光において様々な制御を実現できる。
【0142】
例えば、ある実装部材3Aの表面に実装されている発光素子5と、別の実装部材3Bの表面に実装されている発光素子5とは、輝度および色度の少なくとも一つは異なる発光を行ってもよい。図示していないが、本体部2の内部もしくは外部に制御部が備わっており、この制御部によって、実装部材3のそれぞれでの、発光素子5の輝度や色度を変えることも好適である。
【0143】
ある方向にはより明るい発光を照射し、別の方向には弱い発光を照射することが、集魚に好適であることもある。あるいは、ある方向には赤みの強い発光を照射し、別の方向には青みの強い発光を照射することが、集魚には好適であることもある。
【0144】
このような様々な制御によって、魚の種類や特質に合わせた集魚を、集魚灯1は実現できるようになる。この場合でも、実装部材3の裏面から冷却できることで、集魚灯1の様々な制御にも役立つ。
【0145】
また、実装部材3の表面に実装されている複数の発光素子5のそれぞれが、輝度および色度の少なくとも一つで変化してもよい。図9図10は、本発明の実施の形態2における実装部材の表面図である。図9図10のそれぞれは、ある実装部材3であって、発光素子5が実装されている表面が示されている。
【0146】
実装部材3の表面には、複数の発光素子5が実装されているが、複数の発光素子5のそれぞれにおいて、輝度および色度の少なくとも一方が異なった状態である。
【0147】
例えば、図9の実装部材3では、中央付近の発光素子5Bは、高い輝度を有して発光しており、周辺部の発光素子5Aは、低い輝度を有して発光している。中央付近の発光素子5Bの輝度が高いことで、水中に投入された集魚灯1は、ある地点に対して収束された強い光を照射できる。収束された強い光によって、集まりやすい性質を有する魚を集めるのには、図9のような発光状態は適している。
【0148】
図10の実装部材3では、輝度の高い発光素子5Bと輝度の低い発光素子5Aとが互い違いに並んでいる。このようなマトリクス状の輝度の入れ替えが行われた実装部材3が、水中で光を照射することで、このような光に集まりやすい性質の魚を、集魚灯1は、集めやすくなる。
【0149】
また、図9図10の発光素子5Aと発光素子5Bとは、輝度の違いで説明したが、色度の違いとして把握されてもよい。
【0150】
実装部材3に実装される複数の発光素子5のそれぞれが、輝度、色度などで、様々に変化させられる制御を受けることで、集めたい魚の種類や量に合わせて、集魚灯1は、フレキシブルな集魚を行うことができる。特に、集魚灯1が水中101で使用されることで、このようなフレキシブルな集魚が、実現されやすくなる。
【0151】
以上、実施の形態2における集魚灯1は、種々の工夫によって、冷却効果を高めたり、集魚効果を高めたりできる。
【0152】
(実施の形態3)
【0153】
実施の形態3について説明する。実施の形態3では、実際の試作品について説明すると共に、冷却効果を説明する。
図11は、本発明の実施の形態3における実際の試作品の斜視図である。図11は、発明者が実際に試作した集魚灯1を示している。
【0154】
集魚灯1は、4枚の実装部材3が四辺形に組み合わされることと、組み合わされた実装部材3の上下に平板11、12が取り付けられることで、本体部2(集魚灯1の全体外形)が形成される。また、実装部材3の周囲に、円柱状のかつ透明(もしくは半透明)の防水カバー6が取付けられている。この防水カバー6によって、実装部材3のそれぞれの表面に実装される発光素子5が防水される。
【0155】
また、図11に示される集魚灯1は、4枚の実装部材3が四辺形に組み合わされているが、実装部材3のそれぞれは、縦方向に2つの領域に発光素子5を実装しており、発光力をより向上させている。また、2つの実装領域を電気的に接続するために、電気コード51が設けられている。
【0156】
4枚の実装部材3が四辺形に組み合わされているので、集魚灯1の中央に、図11に示されるように、四角形の断面を有する中空空間4が形成される。図11では分かりにくいが、中空空間4は、上部の平板12から下部の平板11まで貫通している。
【0157】
図12は、本発明の実施の形態3における実際の試作品の集魚灯の上面図である。図12からわかる通り、中空空間4は、四辺形の断面を有して、上下に貫通している。このため、集魚灯1が水中に投入されれば、この中空空間4に水が流入しつつ流出して、中空空間4を水が移動することになる。
【0158】
また、集魚灯1は、強度を維持するために、上下の平板11、12同士を接続する柱13を備えていても良い。柱13は、集魚灯1全体の構造力を上げると共に、海中や湖中での様々な悪環境にも対応できる。
【0159】
このように、発明者は実際に試作品を作成し、集魚灯1の製造と使用を確認できた。
【0160】
また、発明者は、図11に示される試作品を用いて、発光素子5に電力を供給して発光させながら、水中に投入することでの発光素子5(あるいはその周辺の回路基板)の温度上昇が押さえられることも実験によって確認した。
【0161】
(実験条件と結果)
図11に示される試作品の集魚灯1に、フルパワーで電力を付与して、発光素子5を発光させた。また、このとき、水がためられている水槽に、この集魚灯1を投入して、上述のようにフルパワーで45分間点灯させた。
【0162】
発光素子5が備わっている側面の2箇所での温度を測定した。
【0163】
集魚灯1を水中に投入しない、あるいは、中空空間4に水が流入しない状態では、発光素子5にフルパワーの電力を付与すると、100℃近い温度となりかねない。
【0164】
しかしながら、集魚灯1は、中空空間4に水が流入することで、1箇所においては、54℃〜60℃となり、別の箇所においては、46℃〜49℃として測定された。この温度であれば、発光素子5(LEDなどが用いられる)や、これを実装する回路基板が故障したり劣化したりする可能性は非常に低い。すなわち、集魚灯1を、容易に使えるようになる。もちろん、発光素子5にフルパワーので電力を付与できるので、集魚灯1は、高輝度の発光を可能として、集魚効果を高めることができる。
【0165】
以上のように、実施の形態1〜2で説明した集魚灯1は、実施の形態3で説明するように、実際の試作および実験でも、良好な結果が得られた。
【0166】
以上、実施の形態1〜3で説明された集魚灯は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。発光部を発光素子5として説明したが、LEDと蛍光体とで構成される場合も含まれる形態も含まれる。
【符号の説明】
【0167】
1 集魚灯
2 本体部
3 実装部材
31 裏面
32 表面
33 外板
34 基材
35 回路基板
4 中空空間
41 上部開口部
11、12 平板
13 柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12