特許第6030879号(P6030879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6030879-ボルテージレギュレータ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030879
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】ボルテージレギュレータ
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20161114BHJP
【FI】
   G05F1/56 320B
   G05F1/56 310A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-166154(P2012-166154)
(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-26457(P2014-26457A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢萩 顕仁
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 洋太朗
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−139673(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0103992(US,A1)
【文献】 特開2009−176008(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0189584(US,A1)
【文献】 特開2009−193414(JP,A)
【文献】 特開2008−210078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御電圧に応じた電流を出力端子に出力する出力トランジスタと、
基準電圧回路から出力される基準電圧と前記出力端子の出力電圧を抵抗分圧した分圧電圧とを比較し、前記出力トランジスタへ前記制御電圧を出力する誤差増幅回路と、
前記出力トランジスタが出力する出力電流が所定の電流制限値に達した時、前記出力トランジスタへ制御信号を出力する過電流保護回路と、
前記基準電圧が前記誤差増幅回路の差動対をなす前記基準電圧回路の出力端子に接続されたトランジスタの閾値電圧を超えるまで、前記過電流保護回路に検出信号を出力する制御回路と、を備え、
前記過電流保護回路は、
ゲートが前記誤差増幅回路の出力端子と接続され、ドレインがセンス抵抗に接続された第一のセンストランジスタと、
ゲートが前記誤差増幅回路の出力端子と接続された第二のセンストランジスタと、
ゲートが前記制御回路の出力端子と接続され、ソースが前記第二のセンストランジスタのドレインと接続され、ドレインが前記センス抵抗に接続された制御トランジスタと、を備え、
前記制御トランジスタは、前記制御回路が出力する前記検出信号を受けてオンする、ことを特徴とするボルテージレギュレータ。
【請求項2】
前記制御回路は、
ソースが接地され、ゲートが前記基準電圧回路の出力端子に接続されたトランジスタと、
一端が電源電圧に接続され、他端が前記トランジスタのドレインと接続された抵抗素子と、
入力端子が前記トランジスタと前記抵抗素子の接続ノードと接続されたインバータと、を備え、
前記トランジスタの閾値電圧は、前記誤差増幅回路の差動対をなす前記基準電圧回路の出力端子に接続されたトランジスタの閾値電圧より高い、ことを特徴とする請求項1に記載のボルテージレギュレータ。
【請求項3】
前記過電流保護回路は、垂下型の過電流保護回路、またはフの字型の過電流保護回路、または垂下型の過電流保護回路とフの字型の過電流保護回路である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のボルテージレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルテージレギュレータに関し、より詳しくは起動時の突入電流を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に、従来の起動時の突入電流を防止する回路を備えたボルテージレギュレータの回路図を示す。
従来のボルテージレギュレータは、出力トランジスタM1、ONOFF回路11、カウンタ回路12、基準電圧回路である定電流源Q1と抵抗R3、誤差増幅回路A1、短絡電流制限回路MB、出力電流制限回路MA、スイッチ13、トランジスタM2、M3を備える。
【0003】
従来のボルテージレギュレータは、電流制限値の高い第1出力電流制限回路MA1と電流制限値の低い第2出力電流制限回路MA2とを備え、起動した時は第2出力電流制限回路MA2を動作させ、所定の時間後に第1出力電流制限回路MA1へ切り替えることによって、起動時の突入電流を防止する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003‐271251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図4に示す従来のボルテージレギュレータでは、電流制限値の異なる保護回路と、突入電流を制限する期間を設けるカウンタ回路が必要となり、チップ面積が増大し、且つ消費電流も増加するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の突入電流を防止する回路を備えたボルテージレギュレータは以下のような構成とした。
【0007】
過電流保護回路は、ゲートが誤差増幅回路の出力端子と接続され、ドレインがセンス抵抗に接続された第一のセンストランジスタと、ゲートが誤差増幅回路の出力端子と接続された第二のセンストランジスタと、ゲートが制御回路の出力端子と接続され、ソースが前記第二のセンストランジスタのドレインと接続され、ドレインがセンス抵抗に接続された制御トランジスタと、を備え、制御トランジスタは、基準電圧が所定の電圧を超えるまで制御回路が出力する検出信号を受けてオンする、構成としたボルテージレギュレータ。
【発明の効果】
【0008】
本発明の過電流保護回路を備えたボルテージレギュレータによれば、簡便な回路を用いているのでチップ面積の増加を抑え、且つ消費電流の増加を抑えることが可能である。
また、誤差増幅回路の差動対をなすトランジスタと同じ構成のトランジスタを使用することによって、製造バラツキを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
図2】本実施形態のボルテージレギュレータの一例を示す回路図である。
図3】本実施形態のボルテージレギュレータの一例を示す回路図である。
図4】従来のボルテージレギュレータを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態のボルテージレギュレータを示す回路図である。
本実施形態のボルテージレギュレータは、誤差増幅回路1と、制御回路2と、過電流保護回路3と、基準電圧回路4と、出力トランジスタ5と、分圧抵抗6と、を備えている。
【0011】
誤差増幅回路1は、例えば、トランジスタM11、M12、M13、M14と定電流源I11からなる初段の誤差増幅回路と、トランジスタM15と定電流源I12からなる2段目の増幅回路と、からなる。制御回路2は、電源端子と接地端子の間に直列に接続された抵抗R21及びトランジスタM21と、インバータ22とを備えている。
【0012】
誤差増幅回路1は、基準電圧回路4の出力端子が反転入力端子に接続され、分圧抵抗6の出力端子が非反転入力端子に接続される。出力トランジスタ5は、誤差増幅回路1の出力端子がゲートに接続され、電源端子にソースが接続され、ボルテージレギュレータの出力端子にドレインが接続される。制御回路2は、基準電圧回路4の出力端子がトランジスタM21のゲートに接続され、インバータ22の出力端子が過電流保護回路3の第二の入力端子に接続される。インバータ22の入力端子は、抵抗R21とトランジスタM21の接続ノードと接続される。過電流保護回路3は、誤差増幅回路1の出力端子が第一の入力端子に接続され、出力端子は出力トランジスタ5のゲートに接続される。
【0013】
過電流保護回路3は、例えば図2に示すような、センストランジスタM31と、センス抵抗R31と、トランジスタM32と、抵抗R32と、トランジスタM33と、を備えた垂下型の過電流保護回路である。また、例えば図3に示すような、センストランジスタM31と、センス抵抗R31と、トランジスタM32と、抵抗R32と、トランジスタM33と、を備えたフの字型の過電流保護回路である。図2の垂下型の過電流保護回路3は、トランジスタM32のソースは接地端子に接続される。図3のフの字型の過電流保護回路3は、トランジスタM32のソースはボルテージレギュレータの出力端子に接続される。
【0014】
過電流保護回路3は、更に、誤差増幅回路1の出力端子がゲートに接続された第二のセンストランジスタM34と、第二のセンストランジスタM34のドレインがソースに接続され、ドレインがセンス抵抗R31に接続された制御トランジスタM35を備えている。
【0015】
以下、図面を参照して、本実施形態のボルテージレギュレータの動作を説明する。
誤差増幅回路1は、基準電圧回路4が出力する基準電圧Vrefと分圧抵抗6が出力する帰還電圧Vfbを入力し、その差を増幅して、制御電圧として出力端子から出力する。
出力トランジスタ5は、ボルテージレギュレータの出力端子の電圧が一定になるように、誤差増幅回路1の出力する制御電圧でゲートを制御される。過電流保護回路3は、誤差増幅回路1の出力する制御電圧を監視し、ボルテージレギュレータの出力端子に過電流が流れたことを検出すると、出力トランジスタ5のゲート電圧を高くして、出力電流が小さくなるように制御する。
【0016】
ここで、ボルテージレギュレータに電源が投入されたときの動作を説明する。
電源投入時、出力トランジスタ5はオフしているので、ボルテージレギュレータの出力端子の電圧Voutは接地電圧に等しい。即ち、帰還電圧Vfbは接地電圧に等しい。そして、基準電圧VrefがトランジスタM12の閾値電圧を越えると、誤差増幅回路1の出力する制御電圧はロウレベルになって、出力トランジスタ5はオンする。この時、出力トランジスタ5は急峻にオンするので、ボルテージレギュレータの出力端子に突入電流が発生する。
【0017】
図2に示す垂下型の過電流保護回路3では、センストランジスタM31が出力トランジスタ5と同様にオンして、センス抵抗R31に電流が流れて、センス抵抗R31の両端には電圧が発生する。トランジスタM32のゲート電圧が高くなってオンするので、トランジスタM33がオンして、出力トランジスタ5のゲート電圧をハイレベルに持ち上げる。このようにして、ボルテージレギュレータは、出力端子の過電流を減少させる。
【0018】
ここで、制御回路2のトランジスタM21の閾値は、誤差増幅回路1のトランジスタM12よりも高く設定されている。即ち、基準電圧VrefがトランジスタM12の閾値電圧を越えて、トランジスタM21の閾値電圧を越えるまでの間は、制御回路2の出力端子の出力はロウレベルである。過電流保護回路3の制御トランジスタM35は、ゲートがロウレベルなのでオンする。即ち、第二のセンストランジスタM34の電流もセンス抵抗R31に流れる。従って、基準電圧VrefがトランジスタM21の閾値電圧を越えまでは、二つのセンストランジスタM31、M34からセンス抵抗R31に電流が流れるので、その両端の電圧は早く高くなり、より早く出力端子の過電流を小さくすることが出来る。
【0019】
その後、基準電圧Vrefが制御回路2のトランジスタ21の閾値を超えると、制御回路2の出力が反転し、過電流保護回路3の制御トランジスタM35がオフする。従って、センス抵抗R31に流れる電流は、トランジスタM31のみから供給されるようになる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態のボルテージレギュレータは、突入電流発生期間中はセンス抵抗R31に流れる電流が、第二のセンストランジスタM34が流す量だけ増加するので、通常動作時の過電流保護回路の電流制限値よりも小さい値でトランジスタM32の閾値電圧に達し、出力トランジスタ5の動作を制限することが可能である。
【0021】
図3に示すフの字型過電流保護回路3についても、図2と同様の回路が設けられていて、同様の動作をすることによって、突入電流発生期間中に出力トランジスタ5の動作を制限することが可能である。
【0022】
なお、本実施形態のボルテージレギュレータでは、垂下型過電流保護回路3と制御回路2の組み合わせと、フの字型過電流保護回路と制御回路2の組み合わせを例にとって説明したが、垂下型過電流保護回路とフの字型過電流保護回路の両方と制御回路2の組み合わせた構成としても、同様の効果を奏することが可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 誤差増幅回路
2 制御回路
3 過電流保護回路
図1
図2
図3
図4