特許第6030905号(P6030905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6030905発光半導体を相互接続するためのオーバーレイ回路構造
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  • 特許6030905-発光半導体を相互接続するためのオーバーレイ回路構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030905
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】発光半導体を相互接続するためのオーバーレイ回路構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/64 20100101AFI20161114BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20161114BHJP
   H01L 23/34 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
   H01L33/64
   H01L33/62
   H01L23/34 A
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-215555(P2012-215555)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-72271(P2014-72271A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】アルン・ヴィルパスカ・ゴウダ
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・ポール・カニングハム
(72)【発明者】
【氏名】シャクティ・シン・チュウハン
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−531321(JP,A)
【文献】 特表2002−544673(JP,A)
【文献】 特開2009−010204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンク(14)と、
前記ヒートシンク(14)上にマウントされ、前記ヒートシンク(14)に電気的に接続されたLESチップ(12)のアレイであって、各LESチップ(12)は、表面および裏面を備え、前記表面が受け取った電力に応じて光を放出するように構成された発光領域(32)を含み且つ前記表面および前記裏面のうちの少なくとも一方がその上に接続パッド(28)を含む、LESチップ(12)のアレイと、
前記LESチップ(12)のアレイの制御された動作を行うために各LESチップ(12)上に設置され且つ電気的に接続された柔軟な相互配線構造(18)であって、前記柔軟な相互配線構造(18)が、
前記ヒートシンク(14)の形状に合うように構成された柔軟な誘電体膜(24)と、
前記柔軟な誘電体膜(24)上に形成された金属相互配線構造(22)であり、前記金属相互配線構造(22)が前記LESチップ(12)の前記接続パッド(28)への直接の金属接続部および電気的接続部を形成するように前記柔軟な誘電体膜(24)を貫通して形成されたビア(26)を通って延びる、金属相互配線構造(22)と、
を備えた、柔軟な相互配線構造(18)と、
を備え、
前記ヒートシンク(14)は、前記ヒートシンク(14)上にマウントされた前記LESチップ(12)のアレイが360度の領域全体にわたって光を放出するように設置されるように円形の形状を有するように作られる、
発光半導体(LES)デバイス(10)。
【請求項2】
前記金属相互配線構造(22)が、各個々のLESチップの前記発光領域(32)の位置に対応する開口部(30)を含むようにパターニングされる、請求項1に記載のLESデバイス(10)。
【請求項3】
前記ヒートシンク(14)が、前記LESデバイス(10)中のアノード接続部またはカソード接続部として機能するように構成される、請求項1に記載のLESデバイス(10)。
【請求項4】
前記柔軟な誘電体膜(24)が、各個々のLESチップの前記発光領域(32)の位置に対応して前記柔軟な誘電体膜(24)中に形成された複数の開口部(30)を含む、請求項1に記載のLESデバイス(10)。
【請求項5】
前記柔軟な誘電体膜(24)は、各個々のLESチップの前記発光領域(32)から放出された光が通過することを可能にするように構成された透明膜を含む、請求項1に記載のLESデバイス(10)。
【請求項6】
前記接続パッド(28)が、前記LESチップ(12)の前記表面上に形成され、前記柔軟な相互配線構造(18)が、前記LESチップ(12)の前記表面上に設置される、請求項1に記載のLESデバイス(10)。
【請求項7】
前記金属相互配線構造(22)が、外側表面上にコーティングされた反射膜(34)を備え、前記反射膜(34)が、前記LESデバイス(10)の反射を最大にし且つ光学的損失を減少させるために前記金属相互配線構造(22)のスペクトル反射率を増加させるように構成される、請求項1に記載のLESデバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、全体として発光半導体デバイスをパッケージングするための構造および方法に関係し、特に、発光半導体デバイスを相互接続するための柔軟なオーバーレイ回路構造に関係する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体デバイスは、例えば、スイッチモード電源などの、パワー電子回路内のスイッチまたは整流器として使用される半導体デバイスである。大部分のパワー半導体デバイスは、整流モード(デバイスがオンまたはオフのいずれかである)で使用されるだけであり、それゆえこのために最適化される。1つのかかるデバイスは、半導体発光デバイスであり、顕著な例が発光ダイオード(LED)である。LEDは、印加される電圧または電流に応じて放射光を放出するようにパッケージングされた半導体チップである。これらのLEDは、自動車用照明、ディスプレイ照明、安全装置/緊急装置用照明、および指向性の領域照明などの多数の商業的用途に使用される。可視放射光、紫外放射光、または赤外放射光を放出するいずれかの材料を使用して、LEDを製造することができる。現在、LEDを、典型的には、絶縁した金属基板上に組み立てる。絶縁した金属基板(IMS)は、誘電体材料の薄い層(例えば、エポキシ系の層)によって覆った金属ベースプレート(例えば、アルミニウムベースプレート)および銅の層を含み、その場合にはベースプレートは、冷却を行うためにヒートシンクに取り付けられる。LEDチップ/ダイの一方の面が、その場合には、IMS銅に典型的にははんだ付けまたは銀接着剤付けされ、他方の電極/面がIMSにワイアボンディングされる。あるいは、LEDチップを、その後でIMSにはんだ付けすることができる第1のレベルのパッケージ中にパッケージングすることができる。この第1のレベルのパッケージ中では、LEDチップの一方の面が、基板(金属化したセラミックまたはポリマー)上のパッドにはんだ付けまたは銀ダイ付けされ、他方の端子/面が、同じ基板上のもう1つのパッドにワイアボンドを介して取り付けられる。この第1のパッケージは、適宜、ヒートスラグを含むことができる。
【0003】
しかしながら、IMS上にLEDのアレイを組み立てる既存の方法およびIMSにLEDチップ/ダイをワイアボンディングする既存の方法に対するいくつかの欠点があることが、認識されている。湾曲した表面または形状を有する、例えば、丸い電球、投光器、円柱状の懐中電灯、等、などの照明用製品を含む様々な製品中での使用のために、LEDを製造することができることが、知られている。かかる製品中では、湾曲した表面IMSにLEDチップ/ダイをワイアボンディングすることが困難である場合がある。別の一例として、一般的な白熱灯照明において典型的な形状などのより複雑な形状に適用するまたは実装することがLEDのアレイにとって望ましい場合があるときに、IMSの形状因子が、指向性光源としてだけ使用することにLEDのアレイの用途または実装を限定することが、認識されている。さらに別の一例として、IMS中の誘電体材料の層が、LEDのアレイの性能および/または効率に悪影響を及ぼすことがある不必要な熱抵抗を付加することがあることが、認識されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0019097号明細書
【発明の概要】
【0005】
したがって、標準的なIMS上にマウントすることにともなう制約および欠点のない半導体発光デバイスパッケージを提供することが望ましい。複数の複雑な形状に適合可能であり整合的であること、およびワイアボンドにともなう制限を取り除くことが、かかる半導体発光デバイスパッケージにとってさらに望ましい。
【0006】
本発明の実施形態は、発光半導体チップのアレイを接続するための柔軟な相互配線構造を提供することによって上記の欠点を克服する。
【0007】
本発明の一態様によれば、発光半導体(LES)デバイスは、ヒートシンクと、ヒートシンク上にマウントされ、ヒートシンクに電気的に接続されたLESチップのアレイであって、各LESチップが、表面および裏面を備え、表面が受け取った電力に応じて光を放出するように構成された発光領域を含み且つ表面および裏面のうちの少なくとも一方の面がその上に接続パッドを含む、LESチップのアレイとを含む。LESデバイスは、また、LESチップのアレイの制御された動作を行うために各LESチップ上に設置され且つ電気的に接続された柔軟な相互配線構造であって、柔軟な相互配線構造が、ヒートシンクの形状に合うように構成された柔軟な誘電体膜と、柔軟な誘電体膜上に形成された金属相互配線構造であり、金属相互配線構造が、LESチップの接続パッドに電気的に接続されるように柔軟な誘電体膜を貫通して形成されたビアを通って延びる、金属相互配線構造とをさらに含む、柔軟な相互配線構造を含む。
【0008】
本発明の別の一態様によれば、多方向性照明デバイスは、湾曲したプロファイルを有するヒートシンクと、電気的に接続されるようにヒートシンクに張り付けられた発光半導体(LES)チップのアレイであって、LESチップのアレイがヒートシンクの湾曲したプロファイルと実質的に一致する湾曲したプロファイルを有するように配列され、各LESチップが、接続パッドを含む表面と、受け取った電力に応じて光を放出するように構成された発光領域とを備える、LESチップのアレイとを含む。多方向性照明デバイスは、また、LESチップのアレイ上に設置され且つLESチップの各々に電気的に接続された柔軟な相互配線構造であって、柔軟な相互配線構造が、LESチップのアレイの湾曲したプロファイルに合うように構成された柔軟な誘電体膜と、柔軟な誘電体膜上に形成された金属相互配線構造であり、金属相互配線構造がLESチップの接続パッドに電気的に接続されるように柔軟な誘電体膜を貫通して形成されたビアを通って延びる、金属相互配線構造とさらに含む、柔軟な相互配線構造を含む。
【0009】
本発明のさらに別の一態様によれば、発光半導体(LES)デバイスを形成する方法は、LESアレイを形成する複数のLESチップを形成するステップと、LESアレイ中の複数のLESチップの各々に柔軟な誘電体膜を接続するステップであって、柔軟な誘電体膜がLESアレイのプロファイルと実質的に合うように曲がるように構成される、柔軟な誘電体膜を接続するステップとを含む。本方法は、また、複数のLESチップを電気的に接続するために柔軟な誘電体膜上に金属相互配線構造を形成するステップであって、金属相互配線構造がLESチップのコンタクトパットに電気的に接続されるように柔軟な誘電体膜中のビアを通って延びる、金属相互配線構造を形成するステップを含む。本方法は、複数のLESチップがヒートシンクに電気的に接続されように且つLESアレイがヒートシンクのプロファイルに一致するプロファイルを有するようにヒートシンクに複数のLESチップを固定するステップをさらに含む。
【0010】
これらのおよびその他の特徴および長所は、添付した図面に関連して提供される本発明の好ましい実施形態の下記の詳細な説明から、より容易に理解されるであろう。
【0011】
図面は、本発明を実行するために現在予期される実施形態を図示する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による円柱状のヒートシンクの周りに設置したLESチップのアレイおよび柔軟な相互配線構造を含む発光半導体(LES)デバイスの断面図である。
図2】本発明の一実施形態による半径方向の内側に向かって見た図1のLESデバイスの一部の平面図である。
図3】本発明の一実施形態による図1のLESデバイスの一部のもう1つの平面図である。
図4】本発明の一実施形態による図1のLESデバイスのLESチップおよび柔軟な相互配線構造の模式的断面図である。
図5】本発明の別の一実施形態による図1のLESデバイスのLESチップおよび柔軟な相互配線構造の模式的断面図である。
図6】本発明の別の一実施形態によるLESデバイスのLESチップおよび柔軟な相互配線構造の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は、柔軟な相互配線構造を有する発光半導体(LES)デバイスを提供する。柔軟な相互配線構造は、様々な複雑な形状にしたLESチップのアレイの配列を提供し、かかる複雑な形状の周りに合うように構成された柔軟な相互配線構造が、LESチップへの堅固な相互配線をそれでも形成する。柔軟な相互配線構造は、LESデバイス中の従来からの絶縁した金属基板(IMS)およびワイアボンドに対する必要性を取り除く。本発明の実施形態によれば、LESデバイスは、発光ダイオード(LED)チップまたは他の適した非ダイオードタイプの発光半導体チップを組み込むことができ、すべてのかかる実施形態が、本発明の範囲内であると考えられる。
【0014】
図1を参照して、本発明の一実施形態にしたがった発光半導体(LES)デバイス10を示す。LESデバイス10は、LESデバイス10によって発生されるべき所望の照明可能範囲を形成する指定されたパターンおよび形状に配列したLESチップまたはダイ12のアレイを含む。本発明の例示的な一実施形態によれば、LESチップ12は、発光ダイオード(LES)チップの形式であるが、LESチップ12を、やはり他の適した非ダイオードタイプの発光半導体チップの形式とすることもできることが認識される。LESチップ12のアレイを、多方向性の照明装置を形成するために図1に図示したような円柱状の様式で配列することができる、または任意の他の所望の様式/パターンに配列することができる。図1に示した実施形態によれば、LESデバイス10を、360度の領域または範囲全体にわたる照明を与える多方向性の照明装置の形式にすることができ(すなわち、LESチップ12が360度の領域全体わたって光を放出するように設置され/配列され)、その結果、LESデバイス10が、例えば、白熱電球タイプの照明装置と同様に作られる/構成される。しかしながら、LESチップ12のアレイを、丸い電球、投光器、または円柱状の懐中電灯中に認められるような様々な配列に形成することができることが、認識される。図1に示したように、LESチップ12のアレイを、ヒートシンク14の周りに設置し、例えば、はんだまたは銀エポキシ層16によってヒートシンク14に固定する。ヒートシンク14を、アルミニウムまたは他の適した材料から形成することができ、LESデバイス10の動作中に発生した熱をLESチップ12から取り去ることによって、LESチップ12のアレイへの冷却を提供する。ヒートシンク14は、また、フィンまたはチャネルを含むことができ、そこを通り空気または液体を流して冷却を高めることができる。
【0015】
冷却機構として動作することに加えて、ヒートシンク14は、また、LESデバイス10の構成に応じてLESデバイスのカソードまたはアノードのいずれかの一部を形成し、これによって、LESチップ12用のカソード接続部またはアノード接続部のいずれかとして機能する。すなわち、図1の先行技術デバイスにおけるように、間に誘電体層の介在物(例えば、絶縁した金属基板)を用いずに、LESチップ12を(はんだ/銀エポキシ層16によって)ヒートシンク14に直接取り付け、ヒートシンク14が、カソード接続部またはアノード接続部のいずれかとして機能することができる。
【0016】
また、LESデバイス10に含まれるものは、LESチップ12のアレイの制御された動作を行うように機能する柔軟な相互配線構造18である。柔軟な相互配線構造18を、LESデバイスの動作中に光を放出するLESチップ12の表面20上のLESデバイス10の外側に面した表面上に形成する。柔軟な相互配線構造18を、一般に、LESチップ12のアレイが配列される形状/パターンに合わせる。このように、例えば図1に見られるように、柔軟な相互配線構造18は、一般に、円柱状の形状をしたヒートシンク14上にマウントされたLESチップ12のアレイのプロファイルと一致する円形/円柱状のプロファイルを有する。
【0017】
柔軟な相互配線構造18のより詳細な図を図2図4に提供する。示したように、柔軟な相互配線構造18は、柔軟な膜24上に形成しパターニングした複数の金属相互配線22(すなわち、銅配線)を含む。本発明の一実施形態によれば、柔軟な膜24を、誘電体材料から構成し、ポリイミド類、エポキシ類、ペリレン、シリコーン類、等などの材料から形成することができる。一実施形態によれば、柔軟な膜24は、Kapton(登録商標)、Ultem(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、Upilex(登録商標)、ポリスルホン材料(例えば、Udel(登録商標)、Radel(登録商標))、または液晶ポリマー(LCP)もしくはポリイミド材料などの別のポリマー膜から形成する事前成形した積層シートまたは積層膜の形式である。このように、本発明の一実施形態では、アレイ内の各LESチップ12に直接接着するように、柔軟な膜24を、接着特性を有するように形成する/設けることができる。しかしながら、代わりに、別々の接着層(図示せず)を柔軟な誘電体膜24とLESチップ12のアレイとの間に含むことができ、構成要素を一緒に接着できることが、認識される。
【0018】
図4に示したように、柔軟な膜24を選択的にパターニングして、複数のビア26をその中に形成する。電気的な接続をLESチップ12へ行うことができるビア26を、接続パッド28を露出させるように、LESチップ12上に形成した接続パッド(すなわち、コンタクトパッド)28に対応する位置のところに形成する。本発明の一実施形態によれば、LESチップ12上に柔軟な膜24を付けた後で実行するレーザーアブレーションプロセスまたはレーザードリリングプロセスによって、ビア26を柔軟な膜24を貫通して形成する。あるいは、LESチップ12上に柔軟な膜24を付ける前に実行するレーザーアブレーションプロセスまたはレーザードリリングプロセスによって、ビア/開口部26を柔軟な膜24中に事前成形することができる。本発明のさらなる実施形態によれば、プラズマエッチングプロセス、フォトデフィニション(photo−definition)プロセス、または機械的ドリリングプロセスを含む別の方法によって、ビア26を形成することができることが、やはり認識される。
【0019】
図4にさらに示したように、柔軟な相互配線構造18の金属相互配線22を、柔軟な膜24の上部表面に沿って形成し、LESチップ12上の接続パッド28まで柔軟な膜24を貫通して下へ延びるようにビア26の各々の内部にやはり形成する。金属相互配線22は、このように接続パッド28への直接の金属接続部および電気的接続部を形成する。一実施形態によれば、金属相互配線22を、スパッタリングプロセスまたは電気めっきプロセスを介してなどで、金属層/金属材料を付けることによって形成し、次に、所望の形状を有する金属相互配線22へと付けた金属材料を引き続いてパターニングする。一実施形態によれば、スパッタリングプロセスを介してチタン接着層および銅シード層を付け、続いて金属相互配線22の厚さを増加させ銅配線を形成するためにその上に追加の銅を電気めっきすることによって、金属相互配線22を形成する。
【0020】
図2図4に示したように、本発明の一実施形態によれば、金属相互配線22および柔軟な膜24の両方を形成し、その中に複数の開口部30をやはり含むようにパターニングする。開口部30を、LESチップ12に隣接する領域内の柔軟な相互配線構造18中に形成し、開口部30がLESチップ12の表面20上の能動領域32(すなわち、発光領域)を露出させる窓を形成する。本発明の実施形態によれば、窓/開口部30を、開いたままにするまたは能動領域32を保護するために封止剤(例えば、シリコーン)を用いて埋めることのいずれかとすることができる。LESチップ12の能動領域32から放出された光は、したがって、柔軟な膜24または金属相互配線22からの何らかの干渉なしに柔軟な相互配線構造18の窓30を通過することが可能である。本発明の一実施形態によれば、金属相互配線22の外側表面上をコーティングする反射性材料34(例えば、アルミニウム、等)の膜を含むように、金属相互配線22を形成する。LESデバイス10の反射を最大にし且つ光損失を減少させるために、コーティングした膜34を、関心のある波長領域において高いスペクトル反射率を有するように構成する。金属相互配線22上に反射膜34を介在させることによって、LESデバイス10の光学的性能を、このように向上させることができる。
【0021】
本発明の別の一実施形態によれば、図5に示したように、柔軟な相互配線構造18の柔軟な膜24を、(開口部30などの)何らかの開口部を形成せずに連続する層の形式で設ける。かかる実施形態では、柔軟な膜24を、光を通過させることが可能な(すなわち、高い光透過)透明な誘電体材料から形成する。透明な柔軟な膜24を形成する材料を、周囲の媒質(すなわち、空気またはシリコーン封止剤)の光学的特性と一致するようにさらに選択すべきであり、その結果、周囲の媒質との界面での反射を最小にする。より詳しくは、透明な柔軟な膜24を、膜内部の内部全反射(TIR)を回避するように構成し、TIRを回避するために臨界角よりも小さな入射角を用いる。
【0022】
このように、LESチップ12の能動領域32から放出された光は、いずれの干渉をも柔軟な膜24から受けずに柔軟な相互配線構造18の柔軟な膜24を通過することが可能である。本発明の実施形態によれば、透明な柔軟な膜24が、アレイ内の各LESチップ12に直接接着するように接着特性を有する場合がある。しかしながら、代わりに、別々の透明な接着層(図示せず)を、透明な柔軟な膜24とLESチップ12のアレイとの間に含むことができ、透明膜の光学的特性に近い光学的特性を有する接着剤を用いて構成要素を一緒に接着することができることが、認識される。柔軟な膜24をこのように誘電体材料の連続する層として形成することができ、一方で、金属相互配線22を形成し、LESチップ12の能動領域32に隣接する領域内に窓/開口部を形成するためにパターニングし、その結果、金属相互配線22が能動領域32から放出された光と干渉しないことが、認識される。
【0023】
図6をここで参照すると、LESデバイス10のさらなる実施形態を示し、LESチップ12は表面上ではなく裏側/裏面上にコンタクトパッド28を含む。かかる実施形態では、柔軟な相互配線構造18を、LESチップ12のアレイの裏面に沿って形成し、LESチップ12とヒートシンク14との間に設置する。柔軟な相互配線構造18が、柔軟な膜24上へと形成しパターニングした金属相互配線22を含み、相互配線がLESチップ12上の接続パッド28まで膜24を貫通して延びるように膜24中に形成したビア26を通って延びる。図6の実施形態では、金属相互配線22は、ヒートシンク14との電気的な相互配線として働き、LESチップ12とヒートシンク14との間の「ヒートスプレッダ」(すなわち、熱再配分層)としてやはり働く。図6に示したように、二重層POL相互配線構造18を形成するために、第2の柔軟な誘電体膜層またははんだマスクなどの追加層36を相互配線構造18に追加する。LESチップ12への保護を行うために、シリコン封止剤38を、LESチップ12の発光表面上に設置する。
【0024】
都合の良いことに、LESデバイス10中に柔軟な相互配線構造18を組み込むことは、様々な複雑な形状にしたLESチップ12のアレイの配列を形成する。すなわち、例えば、一般的な白熱灯照明において典型的な形状などの複雑な形状の周りに、柔軟な相互配線構造18を合わせることができ、柔軟な相互配線構造18がLESチップ12への堅固な相互接続をそれでも形成する。柔軟な相互配線構造18は、また、LESデバイス中の従来からのワイアボンドおよび絶縁した金属基板(IMS)に対する必要性を取り除き、これによって、LESアレイ12とLES駆動電子機器との間の低抵抗且つ低インダクタンス相互配線を形成する。IMSを取り除くと、LESチップ12とヒートシンク14との間に誘電体層を存在させずにLESチップ12をヒートシンク14上へと直接マウントするので、LESデバイス10中の熱抵抗が減少し、したがって、改善した熱性能および高ルーメン出力を有するLESデバイス10を提供する。
【0025】
それゆえ、本発明の一実施形態によれば、発光半導体(LES)デバイスは、ヒートシンクと、ヒートシンク上にマウントされ、ヒートシンクに電気的に接続されたLESチップのアレイであって、各LESチップは、表面および裏面を備え、表面が受け取った電力に応じて光を放出するように構成された発光領域を含み且つ表面および裏面のうちの少なくとも一方がその上に接続パッドを含む、LESチップのアレイとを含む。LESデバイスは、また、LESチップのアレイの制御された動作を行うために各LESチップ上に設置され且つ電気的に接続された柔軟な相互配線構造であって、柔軟な相互配線構造が、ヒートシンクの形状に合うように構成された柔軟な誘電体膜と、柔軟な誘電体膜上に形成された金属相互配線構造であり、金属相互配線構造が、LESチップの接続パッドに電気的に接続されるように柔軟な誘電体膜を貫通して形成されたビアを通って延びる、金属相互配線構造とさらに含む、柔軟な相互配線構造を含む。
【0026】
本発明の別の一実施形態によれば、多方向性照明デバイスは、湾曲したプロファイルを有するヒートシンクと、ヒートシンクに電気的に接続するようにヒートシンクに張り付けられた発光半導体(LES)チップのアレイであって、LESチップのアレイがヒートシンクの湾曲したプロファイルと実質的に一致する湾曲したプロファイルを有するように配列され、各LESチップが、接続パッドを含む表面と、受け取った電力に応じて光を放出するように構成された発光領域とを備えた、LESチップのアレイとを含む。多方向性照明デバイスは、また、LESチップのアレイ上に設置され且つLESチップの各々に電気的に接続された柔軟な相互配線構造であって、柔軟な相互配線構造が、LESチップのアレイの湾曲したプロファイルに合うように構成された柔軟な誘電体膜と、柔軟な誘電体膜上に形成された金属相互配線構造であり、金属相互配線構造がLESチップの接続パッドに電気的に接続されるように柔軟な誘電体膜を貫通して形成されたビアを通って延びる、金属相互配線構造とをさらに含む、柔軟な相互配線構造とを含む。
【0027】
本発明のさらに別の一実施形態によれば、発光半導体(LES)デバイスを形成する方法は、LESアレイを形成する複数のLESチップを形成するステップと、LESアレイ中の複数のLESチップの各々に柔軟な誘電体膜を接続するステップであって、柔軟な誘電体膜がLESアレイのプロファイルと実質的に合うように曲がるように構成される、柔軟な誘電体膜を接続するステップとを含む。本方法は、また、複数のLESチップを電気的に接続するために柔軟な誘電体膜上に金属相互配線構造を形成するステップであって、金属相互配線構造がLESチップのコンタクトパットに電気的に接続されるように柔軟な誘電体膜中のビアを通って延びる、金属相互配線構造を形成するステップを含む。本方法は、複数のLESチップがヒートシンクに電気的に接続され且つLESアレイがヒートシンクのプロファイルに一致するプロファイルを有するようにヒートシンクに複数のLESチップを固定するステップをさらに含む。
【0028】
限られた数の実施形態にだけ関連して本発明を詳細に説明してきたが、本発明がかかる開示した実施形態に限定されないことが、容易に理解されるはずである。むしろ、これまでに説明していないが本発明の精神および範囲に相応の、任意の数の変形形態、代替形態、置換形態、または等価な配置を組み込むように本発明を変形することができる。加えて、本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明の態様が説明した実施形態の一部だけを含むことができることを、理解すべきである。したがって、本発明は、上記の記載によって限定されるようには見なされず、別記の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0029】
10 LESデバイス
12 LESチップ
14 ヒートシンク
16 はんだ/銀エポキシ層
18 柔軟な相互配線構造
20 表面
22 金属相互配線
24 柔軟な膜
26 ビア
28 接続パッド
30 開口部
32 能動領域
34 反射膜
36 追加層
38 封止剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6