(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機種(基板)生産は、パターンプログラムデータで実行される。パターンプログラムデータは、電子部品実装装置に内蔵されている。パターンプログラムデータは、装着順番号毎に部品装着位置及びフィーダの配置から構成され、さらにフィーダの配置毎に供給されるべき部品IDを格納したフィーダ配置データをも有している。また部品ID毎に部品ライブラリのデータとして部品サイズやヘッド上ノズル配置等のデータがパターンプログラムデータとは独立して格納されている。
【0005】
部品実装時に部品切れが発生した場合、部品IDはフィーダ配置毎に固定してパターンプログラムデータとして登録されており、パターンプログラムデータに登録されない部品を代替え部品として使おうとすると、別のパターンプログラムデータを作成して機種切替をする必要がある。このためには、特許文献1、2では、作成時間、切換完了までの待ち時間が掛り、生産時間に影響する。
【0006】
また、部品IDは、登録されている登録部品、代替部品であるかどうかに関係なく異なった名前でなければ登録されず、同じ型式の部品でも複数のメーカから供給されているが区別したい場合は名前を変更する必要があるが、登録されている名前が数字等の羅列であると、確実に確信をもって代替部品を選ぶことができない場合がある。
【0007】
本発明の第1の目的は、部品実装時に部品切れが発生した時に、機種生産を効率的に継続して生産できる電子部品実装装置及び電子部品実装方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、部品実装時に部品切れが発生した時に、より確実に代替部品を選択できる電子部品実装装置及び電子部品実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、少なくとも以下の特徴を有する。
本発明は、電子部品を取り出し、基板に装着する実装ステップと、該電子部品の部品切れが発生した時に、前記装着すべき部品として登録されている登録部品に替わりに代替部品を使用するかを判断する判断ステップと、 前記代替部品を使用すると判断した場合に、前記電子部品に与えられる部品IDと共に前記代替部品のメーカ名を読み取り、該メーカ名に基づいて前記代替部品を確認し選択する確認・選択ステップと、該確認・選択ステップで選択された前記代替部品を前記電子部品供給装置に搭載する搭載ステップと、を備え、該搭載ステップ後、前記実装ステップを継続することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、電子部品供給装置から電子部品を取り出し、基板に装着する実装手段と、前記装着すべき部品として登録されている登録部品の代替部品候補のメーカ名一覧表を表示するメーカ名表示手段と、該メーカ名一覧表の中から代替部品のメーカ名と一致するものを確認し選択する確認・選択手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記実装を実行するのに必要なデータを前記登録部品のデータから前記代替部品のデータに置き換えてもよい。
【0012】
また、確認選択された前記代替部品が代替部品として適合するかを判断してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、部品実装時に部品切れが発生した時に、機種生産を効率的に継続して生産できる電子部品実装装置及び電子部品実装方法を提供できる。
【0014】
また、本発明によれば、部品実装時に部品切れが発生した時に、より確実に代替部品を選択できる電子部品実装装置及び電子部品実装方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態である電子部品実装ライン100(以下、単に実装ラインと略す)を示す。実装ライン100は、例えば、3台の電子部品実装装置(以下、実装装置と略す)1A、1B、1Cと、電子部品を装着するのに必要な後述する部品ライブラリデータを保存しているサーバPCと、通信回線CLを介して、サーバとデータをやり取りし、実装装置を管理する管理コンピュータ2とを備える。管理コンピュータ2には、キーボードなどの入力手段21と表示画面の入力装置としての表示装置22とが接続されており、管理コンピュータ2は、部品ライブラリデータの作成も行う。
各実装装置1A、1B、1Cは基本的には同一構造を有する。従って、以下の説明では、各実装装置1A、1B、1Cを区別して説明する必要がある場合を除いて、添え字A、B、Cを省略する。他の装置、機構についても同様である。
【0017】
実装装置1は、独立して電子部品を装着でき、図面上で上下に分れた破線(装置1Cのみに示す)で示す装着ブロック11U、11Dと、実装装置内の機器の状態を監視制御し、外部との通信を行う制御装置19と、指示内容や情報を表示するモニタ18とを有する。装着ブロック11は、図面上にて上下、左右方向に移動可能な装着ヘッド6(6U、6D)を有する。装着ヘッド6は、フィーダエリア13((13U、13D)から電子部品を取り出し、搬送ライン12(12U、12D)の装着位置に搬送されてきた基板Pに電子部品を装着する。そのために、装着ブロック11は、装着ヘッド6を左右に移動させる左右移動レール14(14U、14D)と、左右移動レール14を上下に移動させる上下移動用レール15とを有する。
【0018】
図2は、各実装装置1の制御ブロック図である。
実装装置1の各要素は、制御装置19内のCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)19cが統括制御している。この制御に係るプログラムは、ROM(リ−ド・オンリー・メモリ)19oに、この制御に必要なデータは、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)19aに、それぞれ格納されている。CPU19c、ROM19o及びRAM19aは、バスライン20を介して接続されている。
【0019】
制御プログラムとしては、装着に係る動作を制御するもの、様々な判定を行うもの、様々な比較を行うもの、装着処理の実行をするもの等がある。制御に必要なデータとしては、装着データ、部品配置データ及び部品ライブラリデータ等がある。これら必要なデータは、管理コンピュータ2にも記憶されている。
【0020】
また、CPU19cには、モニタ18及びモニタに設けられたタッチパネルスイッチ18pが、インターフェイス24を介して接続されている。また、実装装置1は、装着ヘッド6をX、Y方向軸及び上下方向に移動させ、θ回転させる、それぞれのモータ23x、23y、23z及び23θを備える。各モータは、駆動回路23により駆動される。駆動回路は、インターフェイス24を介してCPU19cに接続されている。さらに、実装装置1は、装着すべき基板の位置を認識する基板認識カメラ25pと、各装着ヘッド6の吸着ノズル(図示せず)に吸着した電子部品の吸着状態、形状を認識する部品認識カメラ25bとを備える。それらカメラの画像は、画像処理装置25で処理されインターフェイス24を介してRAM19aに格納される。
【0021】
図3は、
図1に示した実装装置1のフィーダエリア13に装着されたフィーダカート50の一実施形態を示した図である。フィーダカート50は、ベース部51、基板に装着すべき種々の電子部品を収納した供給テープ60を巻回した複数の供給リール70を格納するリール格納部52を備える。また、フィーダカート50は、複数の供給リールに対応し規則正しく配列された複数のフィーダ3を固定するフィーダレーンを備えるフィーダ固定部53と、フィーダカート50をフィーダエリア13に装脱着するためのハンドル部54及び実装装置1との信号の授受を行なう信号授受ケーブル57を接続するコネクタ(図示せず)とを備える。
【0022】
さらに、実装装置1には前記信号授受ケーブル56を接続するカート用コネクタ55と後述する供給リールの貼りつけられたバーコード58を読み取るバーコードリーダ56が設けられている。バーコード58には、電子部品の内容を示す部品IDやメーカ名が内蔵されている。メーカ名は単なるラベルに記入されているときもある。
【0023】
このような構成によって、新たにフィーダ固定部53にフィーダ3を搭載する時や、実装装置1が可動中に部品切れが発生した部品交換時に、バーコード58を読込み、然るべき供給テープ60かどうかを判断しながらフィーダ3をセット又はフィーダ3に挿入する。
なお、
図3においては煩雑さの防ぐために供給リール70と供給テープ60を2組のみ示している。
【0024】
図4は、管理コンピュ―タ2で作成される部品ライブラリデータの作成画面の一例を示す図である。部品ライブラリデータは、電子部品に与えられる部品ID毎に、該電子部品の特徴を表すデータである。部品ライブラリデータは、部品ID毎に部品形状、部品種別、供給方法、収納テープの幅であるテープ幅、部品寸法及び使用優先順序毎のノズル候補等で構成される。
図4では、選定された電子部品の形状や部品寸法等と共に、メーカ名が表示される。
【0025】
本発明では、部品切れ時の部品交換を確実に行うために、部品ライブラリデータとして部品IDと共に部品のメーカ名を備える。供給リール70には、メーカ名が記載されているので、数字等の記号が羅列されている部品IDだけでは、適正な部品かどうかを判断し難い。また、同じ型式の部品でも、複数のメーカから供給される場合もある。そこで、メーカを基準に代替部品を選択することで、代替部品が適正かどうかを確実に判断でき、切替ミスを低減できる。
【0026】
また、機種(基板)生産は、パターンプログラムデータは、管理コンピュータ2で作成され、実装装置1に転送される。パターンプログラムデータは、装着順番号毎に部品装着位置及びフィーダの配置から構成され、さらにフィーダの配置毎に供給されるべき部品IDを格納したフィーダ配置データをも有している。また部品ID毎に部品ライブラリのデータとして部品サイズやヘッド上ノズル配置等のデータがパターンプログラムデータとは独立して格納されている。フィーダレーン(フィーダ配置を示す番号で表わされる。)に対して登録された部品(部品ID名で登録される。)は、パターンプログラムデータ上で設定された基板上の位置へ実装される。
【0027】
そこで、パターンプログラムデータとして登録部品の部品IDで示される部品ライブラリデータと選択された代替部品の部品IDで示される部品ライブラリデータとを入れ替えるだけで、実装を実行するパターンプログラムデータからは、何の変化もなく機種生産を、効率的に続けることができる。
【0028】
図5は、実装装置1で部品切れが発生し、登録部品または代替部品を補給する場合のフローチャートである。実装処理中(S51)に、供給テープ60より供給される電子部品がなくなる部品切れが発生した時(S52)に、フィーダ3に部品を供給するする必要がある。その場合、まず実装装置1の運転を停止する(S53)。
【0029】
例えば、部品ライブラリデータに登録されている登録部品がなく(S54)、交換可能な代替部品を搭載する必要がある。その場合、
図6に示す代替部品補給処理を行い(S55(サブルーティン処理SB1))、その後、運転を再開する(S57)。登録部品で交換処理を行う(S56)。登録部品で交換処理を行う場合は、
図3で示したように、バーコード58を読取り、登録部品どうか確認し、登録部品による部品ライブラリデータに基づき運転を再開する(S57)。これらの処理を処理すべき基板がなくなるまで行う(S58)。
【0030】
通常、登録部品以外の電子部品は部品供給ユニットに対して搭載した場合、電子部品実装装置1に搭載される部品認識カメラの認識により、登録部品の寸法と、搭載した部品寸法が異なる場合は認識エラーとなるが、代替部品機能を利用することで登録部品と、代替する部品の部品ライブラリデータを入れ替えることにより、部品認識カメラの認識による認識異常無しとなり、登録部品以外の部品をフィーダ3に搭載できるようにする。
【0031】
図6は、
図5の代替部品補給処理(S55(サブルーティン処理SB1))のフローチャートを示す図である。
代替部品補給処理では、まず、
図2に示すように対応する供給リール70のバーコード58からメーカ名及び部品IDを読み取り、部品メーカを確認する(S61)。メーカ名は単なるラベルに記入されている時は、オペレータは肉眼で確認する。
【0032】
次に、後述する
図7(a)の画面から、補給対象のフィーダレーンを入力し、メーカ名による代替部品を確認し選択する(S62)。選択された代替部品が交換条件に適合するかをチェックする(S63)。適合すれば(S64)、当該フィーダレーンのフィーダ3に供給リール70の巻回された供給テープ60をセットする(S65)。部品切れした登録部品と代替部品との部品ライブラリデータ等の部品データの切替処理し(S66)、
図5に示すメインルーティンに戻る。適合していなければ、他に交換候補があるか判断し(S67)、あれば、その代替部品が収納されている供給リール70を探し、S61から再度やり直す。なければ、運転停止を継続し(S68)、然るべき処理を行う。
【0033】
図7は、
図6のメーカ名による代替部品の確認・選択処理(S62(サブルーティン処理SB2))のフローチャートを示す図である。
代替部品を確認し選択処理では、まず、
図7(a)に示すボタン(i)にタッチし、補給対象のフィーダレーンを入力すると、当該フィーダレーンの登録部品の部品IDが表示される。そこで、
図7(a)に示すボタン(ii)にタッチすると、
図7(b)に示す、登録部品に対応する代替部品選択の部品ID一覧表が表示され、バーコード58で読み込まれた黒枠で示す代替部品の示す部品IDが選択される。部品IDでは適正な代替部品かどうかよく解らないので、表示切替ボタン(iii)をタッチすると、
図7(c)に示す、登録部品に対応する代替部品の部品IDと共に、メーカ名一覧表が表示され、当該選択された部品IDのメーカ名が黒枠で表示される。メーカ名のみならず同時に部品IDを示すことでより分かり易くなる。なお、
図7(c)において、メーカ名のみを表示してもよい。
【0034】
黒枠示されたメーカ名が、供給リール70に添付されたバーコード58は、又はラベルにより得られたメーカ名と一致したものがあるかを確認し、一致しているかどうか確認し、一致していれば代替部品として選択する。具体的には、
図7(c)に示す、代替部品選択ボタン(iv)にタッチし、登録部品の代替部品として選択する。一致してなければ、処理を停止する。
なお、確認のために、
図7(c)において、表示切替ボタン(v)をタッチすることにより、
図7(b)の部品ID一覧表に戻り、当該代替部品の部品IDを再度確認できる。
【0035】
以上説明したように、数字等が羅列した紛らわしい部品IDで選択するのではなく、必ず供給リールに付いてくるメーカ名でシンプルに選択することができ、より確実に代替部品を確認、選択できる。
【0036】
図8は、
図6の交換条件適合チェエク処理(S63(サブルーティン処理SB3))のフローチャートを示す図である。
図9は、交換適合条件を表に纏めた図である。
【0037】
まず、第1に、部品IDが異なることである(S81)。登録部品であろうが代替部品であるが異なる部品には同一の部品IDの登録は禁止されている。第2に、供給形態が一致していることである(S82)。供給形態が一致していないと、正常に部品吸着を行うことができない。第3に、供給形態が供給テープの場合、代替部品のテープ幅が登録部品以下であることである(S83)。隣接するフィーダ3と干渉しないためには、登録部品のフィーダ幅以下である必要がある。即ち代替部品が登録部品より大きい場合、登録部品のフィーダ幅に入りきらない場合がある。第5に、代替部品と登録部品で同じ吸着ノズルが設定されていることである(S84)。吸着ノズルが一致しない場合、部品吸着ができない可能性がある。第5に、代替部品のサイズは、登録部品サイズの最大の範囲内である、又は、親の部品サイズ以下であることである(S85)。代替部品サイズが登録部品サイズより大きい場合、部品吸着時に吸着済み部品と衝突してしまう。
【0038】
以上の交換条件適合チェエク処理を行うことにより、部品交換後のトラブルを確実に防ぐことができる。
【0039】
次に、
図6の部品データ切替処理(S66(サブルーティン処理SB4))の一例のフローを説明する。部品データ切替処理とは、パターンプログラムデータに登録されている交換前の登録部品のデータや部品ライブラリデータを代替部品に置き換える処理である。
【0040】
実施形態では、実装に使う部品は、パターンプログラムデータに登録部品として登録する必要がある。パターンプログラムデータおいて、配置できる部品は1つのフィーダレーンにつき1つの部品である。従って、実際に実装に使用される登録部品と、代替部品を別に管理することによって、パターンプログラムは、登録部品のデータだけを管理することで、これまで利用していたパターンプログラムを作成しなおす必要がなくなる。この結果、作成時間、切換完了までの待ち時間を低減でき、部品実装時に部品切れが発生した時に、機種生産を効率的に継続して生産できる。
【0041】
具体的には、
図7の登録画面の登録により、フィーダレーン毎の使用する部品IDの切換をリスト中より選択して行う。現在使用している部品IDはフィーダレーン毎に記憶され、その記憶データに基づき代替部品の部品IDのデータと交換され、部品装着運転(認識処理等)が制御される。切り替えたい代替え部品の部品IDが直接分かっていれば、
図7(b)の画面で切り替えができる。メーカ名を頼りに切り替えたい場合は、表示切換により
図7(b)に示した画面から
図7(c)に示した画面に切り換え、この画面によりメーカ名を確認して容易に代替え部品を選択して切り替えを行うことができる。
【0042】
図10は、部品データ切替処理の一部を構成する登録画面によって上の部品ライブラリの部品IDの代替関係を示すリストの登録フローの一例を示す図である。
まず、代替(子)部品(i)を登録(親)部品として登録する部品として選択する。次に、選択した代替部品を登録(親)部品の登録欄に登録する(ii)。そして、新たに登録(親)部品となった代替(子)部品(i)に対して、必要な代替(子)部品(iii)を代替部品欄に登録する。
【0043】
この処理は、管理コンピュータ2で行うが、実装装置1のみに影響するならば、実装装1で行ってもよい。
【0044】
以上説明した実施形態によれば、代替部品を使用できるマルチベンダ機能を備える場合には、代替部品の選定にメーカ名を用いることで、確実に登録部品から代替部品に交換することができる。
【0045】
また、以上の説明では、電子部品を供給する電子部品供給装置としてフィーダ3の場合を説明したが、電子部品供給装置としてトレイを用いる場合にも適用できる。
【0046】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。