(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6030973
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】生産性向上システム
(51)【国際特許分類】
G06F 9/44 20060101AFI20161114BHJP
G06Q 10/06 20120101ALI20161114BHJP
【FI】
G06F9/06 620A
G06Q10/06
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-28253(P2013-28253)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-157503(P2014-157503A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100113642
【弁理士】
【氏名又は名称】菅田 篤志
(74)【代理人】
【識別番号】100117008
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100147430
【弁理士】
【氏名又は名称】坂次 哲也
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 行央
【審査官】
多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−029986(JP,A)
【文献】
特開2006−040194(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/171864(WO,A1)
【文献】
清野 貴博 外4名,「自治体EAへの形式手法適用の試み」,電子情報通信学会技術研究報告,社団法人電子情報通信学会,2007年 4月12日,第107巻,第5号,pp.7−12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/44
G06F 9/445
G06F 21/00−21/88
G06Q 10/06
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運用手順のフロー、および前記フローのステップに適用するエビデンス取得ステップを設定するエビデンス取得ステップ設定プロパティ画面を表示する表示部と、
前記フローのステップに対応した前記エビデンス取得ステップの候補情報が格納されたエビデンス取得ステップ定義情報データベースと、
新しい前記フローを初期実装する場合に、前記エビデンス取得ステップ設定プロパティ画面に基づいて設定された設定情報、および前記エビデンス取得ステップ定義情報データベースに格納された情報に基づいて、新しい前記フローのステップに対して前記エビデンス取得ステップを適用するエビデンス取得ステップ自動適用部と、
を備えた、生産性向上システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生産性向上システムにおいて、
前記エビデンス取得ステップ定義情報データベースは、前記エビデンス取得ステップの候補に対応する利用実績の情報を格納し、
前記エビデンス取得ステップ自動適用部は、新しい前記フローのステップに対して前記エビデンス取得ステップを適用した場合に、前記エビデンス取得ステップ定義情報データベースの前記利用実績の情報を更新する、
生産性向上システム。
【請求項3】
請求項2に記載の生産性向上システムにおいて、
前記フローのステップに対して、前記エビデンス取得ステップ定義情報データベースに格納された情報に基づいて、新しいエビデンス取得ステップが適用され、利用され始めた場合に、前記新しいエビデンス取得ステップの利用実績を更新するエビデンス取得ステップ利用実績更新部を備えた、
生産性向上システム。
【請求項4】
請求項3に記載の生産性向上システムにおいて、
前記エビデンス取得ステップ定義情報データベースは、前記エビデンス取得ステップの候補に対応する作成日の情報を格納し、
前記フローのステップに対して、古いエビデンス取得ステップを利用している場合に、前記フローの運用管理者に対して、前記エビデンス取得ステップ定義情報データベースに格納された情報に基づいて、新しいエビデンス取得ステップがある旨の通知を出力する推奨ステップアラート部を備えた、
生産性向上システム。
【請求項5】
請求項4に記載の生産性向上システムにおいて、
前記推奨ステップアラート部は、前記エビデンス取得ステップ定義情報データベースに格納された前記作成日および前記利用実績の情報に基づいて、利用日が新しく、かつ前記利用実績が予め設定された設定値以上の場合に、通知を出力する、
生産性向上システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ITシステム運用手順の自動化において、RBAツールを利用する際にフローの可読性、安定した品質を確保することを目的とした生産性向上システムに関し、特に、エビデンス取得ステップの初期開発時の自動適用やエビデンス取得ステップが変更された場合の自動適用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ITシステムの運用を自動化するためには、運用手順をシステム化することが必要である。
【0003】
従来、システム化には、汎用プログラミング言語(Java(登録商標)、C#など)、汎用スクリプト言語(バッチファイル、シェル、vbscript、javascript(登録商標)、perl、powershellなど)を利用していたが、昨今では、RBAツール(Run Book Automationツールの略)と呼ばれるGUIベースで運用手順をフローとして定義、実行できるツールが利用されるようになってきた。
【0004】
また、特開2007−280415号公報(特許文献1)に記載されたような、プログラムのバージョンアップの履歴と実際の動作環境との整合をとる技術があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−280415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ITシステムの運用では、各手順の前後に必ずエビデンスを取得する手順が入る。一般的なRBAツールでは、各エビデンスを取得する手順はフローの作りこみにより実装する必要があり、標準化された方式はなく、可読性の悪さ、よりよいエビデンス取得ステップの適用時のフロー修正の煩雑さという点で課題がある。
【0007】
エビデンス取得ステップを複数のフローから利用されるバージョン管理するべきプログラムとしてみた場合、特許文献1の技術では、各フローが利用しているプログラムの情報を収集することはできるが、別のフローに対して、プログラムのバージョンやリリース日、利用数などの実績に基づいて利用しているプログラムの更新を提案・アラートを出す、もしくは自動適用することはできない。
【0008】
このように、従来の生産性向上システムでは、以下のような問題がある。
【0009】
(1)運用手順の各ステップについて、開始時、異常時、成功時の各ケースでエビデンスを取得するステップを作りこむと非常に可読性が悪い。
【0010】
(2)よりよいエビデンス取得ステップが提供された場合に差し替えが難しい。
【0011】
(3)よりよいエビデンス取得ステップが提供されたタイミングが分かりづらい。
【0012】
そこで、本発明の目的は、エビデンス取得ステップの自動適用および更新、またプロパティ設定を行うことができる生産性向上システムを提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0015】
すなわち、代表的なものの概要は、運用手順のフロー、およびフローのステップに適用するエビデンス取得ステップを設定するエビデンス取得ステップ設定プロパティ画面を表示する表示部と、フローのステップに対応したエビデンス取得ステップの候補情報が格納されたエビデンス取得ステップ定義情報データベースと、新しいフローを初期実装する場合に、エビデンス取得ステップ設定プロパティ画面に基づいて設定された設定情報、およびエビデンス取得ステップ定義情報データベースに格納された情報に基づいて、新しいフローのステップに対してエビデンス取得ステップを適用するエビデンス取得ステップ自動適用部と、を備えた。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0017】
すなわち、フローの可読性を確保でき、フローへのエビデンス取得ステップの初期適用や更新時の修正工数を低減することが可能となり、安定した品質を確保したうえで各運用業務への迅速な適用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムの構成を示す構成図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムで使用されるエビデンス取得ステップ定義情報データベースの一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムの表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムのエビデンス取得ステップ自動適用部の動作を説明するための説明図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムのエビデンス取得ステップ利用実績更新部の動作を説明するための説明図である。
【
図6】本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムの推奨ステップアラート部の動作を説明するための説明図である。
【
図7】本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムの利用実績更新後のエビデンス取得ステップ定義情報データベースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
<生産性向上システムの構成>
図1および
図2により、本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムの構成について説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムの構成を示す構成図、
図2は本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムで使用されるエビデンス取得ステップ定義情報データベースの一例を示す図である。
【0021】
図1において、生産性向上システム100は、エビデンス取得ステップ自動適用部101、エビデンス取得ステップ利用実績更新部102、推奨ステップアラート部103、表示部104、操作部105、およびエビデンス取得ステップ定義情報データベース106から構成されている。
【0022】
生産性向上システム100の運用管理者110は、生産性向上システム100の操作部105を操作し、表示部104に表示される情報により、各種操作を行う。
【0023】
なお、運用管理者110は、運用管理者用の端末をネットワークを介して生産性向上システム100に接続し、運用管理者用の端末上の表示部および操作部により各種操作を行うようにしてもよい。
【0024】
エビデンス取得ステップ自動適用部101は、新しいフローを初期実装する場合、エビデンス取得ステップを自動的に適用する処理を行う。
【0025】
エビデンス取得ステップ利用実績更新部102は、新しいエビデンス取得ステップが開発されフローにより利用され始めた場合、エビデンス取得ステップ定義情報データベース106の利用実績を更新する処理を行う。
【0026】
新しいエビデンス取得ステップは、予め、エビデンス取得ステップ定義情報データベース106に登録されており、その登録された日が、作成日として格納されている。
【0027】
推奨ステップアラート部103は、新しいエビデンス取得ステップの利用実績が増えてきた場合、古いエビデンス取得ステップを利用しているフローの運用管理者110へ新しいエビデンス取得ステップがある旨を通知する処理を行う。
【0028】
通知を受けた運用管理者110は、手動で更新するか、または自動更新を選択すれば、自動的に更新することが可能である。
【0029】
エビデンス取得ステップの通知または更新は、作成日が新しく、かつ利用実績がより多いかどうかによって判定する。
【0030】
エビデンス取得ステップ定義情報データベース106は、
図2に示すように、フローのステップ名、エビデンス取得ステップの適用のタイミング、フローのステップに対応したエビデンス取得ステップの候補情報であるエビデンス取得ステップの候補ステップ、エビデンス取得ステップの作成日、およびエビデンス取得ステップが利用された場合に更新される利用実績の情報が格納されている。
【0031】
フローのステップ名に対して、開始時、異常時、および成功時のタイミング毎に、エビデンス取得ステップの候補ステップが指定されている。
【0032】
また、エビデンス取得ステップの通知または更新の判断に、各候補ステップの作成日と、利用実績の情報が利用される。
【0033】
<生産性向上システムの動作>
次に、
図3〜
図7により、本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムの動作について説明する。
【0034】
図3は本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムの表示部に表示される画面の一例を示す図、
図4は本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムのエビデンス取得ステップ自動適用部の動作を説明するための説明図である。
【0035】
また、
図5は本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムのエビデンス取得ステップ利用実績更新部の動作を説明するための説明図、
図6は本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムの推奨ステップアラート部の動作を説明するための説明図、
図7は本発明の一実施の形態に係る生産性向上システムの利用実績更新後のエビデンス取得ステップ定義情報データベースを示す図である。
【0036】
まず、運用管理者110が生産性向上システム100を利用する場合、生産性向上システム100は、表示部に
図3に示すような画面を表示する。
【0037】
図3に示す画面には、運用手順のフロー画面1やフローのステップに関するエビデンス取得を設定するエビデンス取得ステップ設定プロパティ画面2が表示されている。
【0038】
このフロー画面1やエビデンス取得ステップ設定プロパティ画面2により、可読性をよくし、設定方式を標準化することができる。
【0039】
図3に示す例では、フローのステップ名がXXXステップに対して、エビデンス取得ステップ設定プロパティ画面2において、開始時、異常時、および成功時のエビデンス取得を行うかどうかのチェックボックスや、エビデンス取得を行う場合の具体的なステップ名を画面上で設定することができる。
【0040】
また、更新時については、自動的に最新に更新するのチェックボックスにより、自動更新を行うこともでき、手動更新の場合は、運用管理者110が、エビデンス取得ステップ設定プロパティ画面2のエビデンス取得ステップを設定し、手動更新するのボタンを押下することにより、手動更新が行われる。
【0041】
また、新しいフローを初期実装する場合、
図4に示すように、エビデンス取得ステップ自動適用部101により、エビデンス取得ステップを自動的に適用する。
【0042】
まず、新しいフローを初期実装する場合、新しいフローのステップ名に基づいて、エビデンス取得ステップ定義情報データベース106を検索し、開始時、異常時、および成功時のエビデンス取得ステップを自動適用する。
【0043】
エビデンス取得ステップを自動適用した場合、エビデンス取得ステップ定義情報データベース106の利用実績を更新し、
図4に示す例では、例えば10→11と更新される。
【0044】
また、新しいエビデンス取得ステップが開発されフローにより利用され始めた場合は、
図5に示すように、新しいエビデンス取得ステップが開発されて、フローのステップのエビデンス取得ステップとして利用されると、エビデンス取得ステップ利用実績更新部102により、エビデンス取得ステップ定義情報データベース106に登録されている利用実績が自動更新される。
【0045】
図5に示す例では、複数のエビデンス取得ステップ設定プロパティ画面2での設定が行われ、候補ステップとして、開始時のXXX10、異常時のXXX11、成功時のXXX12が新しいエビデンス取得ステップとして登録されており、利用実績が、例えば、XXX10が10→20、XXX11が5→10、XXX12が10→20と更新される。
【0046】
また、新しいエビデンス取得ステップの利用実績が増えてきた場合は、
図6に示すように、推奨ステップアラート部103により、古いエビデンス取得ステップを利用しているフローの運用管理者110に対して、アラートが出力される。
【0047】
アラートを受けたフローの運用管理者110は、エビデンス取得ステップ設定プロパティ画面2を操作し、最新のエビデンス取得ステップを確認し、最新のエビデンス取得ステップへ手動更新する。
【0048】
または、自動的に最新に更新するのチェックボックスがチェックされていれば、自動的に新しいステップへ更新することもできる。
【0049】
エビデンス取得ステップの通知または更新は、作成日が新しく、かつ利用実績がより多いかどうかによって判定しており、
図6に示す例では、作成日が2012/4/1の候補ステップが新しく、利用実績も10や20と多いため、通知または更新の対象となっている。
【0050】
なお、利用実績の判断は、予め設定された設定値との比較により行われ、例えば、利用実績が10以上の場合に通知または更新の対象となるなどの設定が行われている。
【0051】
また、エビデンス取得ステップの更新後は、エビデンス取得ステップ定義情報データベース106の利用実績が自動更新される。
【0052】
図6に示す例では、複数のエビデンス取得ステップ設定プロパティ画面2で、エビデンス取得ステップが更新されたXXX10が20→21、XXX11が10→11、XXX12が20→21と更新される。
【0053】
エビデンス取得ステップが更新された後のエビデンス取得ステップ定義情報データベース106は、例えば
図7に示すように、開始時、異常時、成功時の各タイミングに対して、複数の候補ステップが登録され、それぞれ作成日と利用実績が設定されたデータとなる。
【0054】
また、
図7に示す例は、ステップ名がXXXステップの他に、他のフローのYYYステップのデータも示している。その他、エビデンス取得ステップ定義情報データベース106には、複数のフローのステップに対応したエビデンス取得ステップの情報が格納され、利用実績などが更新されている。
【0055】
このように、エビデンス取得ステップ設定プロパティ画面2を運用管理者110が操作し、エビデンス取得ステップ定義情報データベース106に基づいて、エビデンス取得ステップを自動適用し、適用後にエビデンス取得ステップ定義情報データベース106の利用実績を更新することにより、フローの可読性を確保でき、フローへのエビデンス取得ステップの初期適用や更新時の修正工数を低減することが可能となり、安定した品質を確保したうえで各運用業務への迅速な適用が可能となる。
【0056】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0057】
1…フロー画面、2…エビデンス取得ステップ設定プロパティ画面、100…生産性向上システム、101…エビデンス取得ステップ自動適用部、102…エビデンス取得ステップ利用実績更新部、103…推奨ステップアラート部、104…表示部、105…操作部、106…エビデンス取得ステップ定義情報データベース、110…運用管理者。