(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特定手段は、発生した災害の位置を囲む第1の領域と当該第1の領域を囲む第2の領域とに囲まれるドーナッツ状領域を特定し、特定したドーナッツ状領域に位置する前記燃料電池制御装置のうち、所定の割合若しくは所定の数の前記燃料電池制御装置から受信状況情報を受信しない場合、第2の領域より外側に位置する前記燃料電池制御装置を停止指定装置として特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池制御システム。
前記特定手段は、発生した災害の位置を囲む第1の領域と当該第1の領域を囲む第2の領域とに囲まれるドーナッツ状領域を特定し、特定したドーナッツ状領域に位置する前記燃料電池制御装置のうち、所定の割合若しくは所定の数の前記燃料電池制御装置から受信状況情報を受信した場合、第1の領域より内側に位置する前記燃料電池制御装置を起動指定装置として特定する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くの燃料電池は、起動後、所望の電力を供給するまでに一定の時間を要する。例えば、燃料電池を無線基地局のバックアップ電源として利用する場合、先に示した燃料電池の特性により、災害時に、一時的に電力が足りずにサービスが中断してしまうおそれがある。そのため、補助電源として蓄電池などが別途必要となる。
【0005】
図1は、無線基地局を含む通信装置等の負荷のバックアップ電源として燃料電池を利用し、さらに補助電源として蓄電池を利用した従来システムの構成を示す図である。
図1に示す従来システムでは、商用電力と負荷とが整流器を介して接続され、商用電力からの交流電力が整流器において直流電力に変換されて負荷に供給される。また、整流器と負荷との間には燃料電池と蓄電池とが接続されている。災害時等に商用電力の供給が停止した際に、燃料電池による所望の電力が供給されるまでに、蓄電池の電力が供給される。
【0006】
図3は、従来システム及び後述の提案システムにおける燃料電池起動後の出力推移を示すグラフである。
図3において、グラフL1は従来システムにおける燃料電池の出力推移を示している。グラフL1は、時刻T1において地震が発生すると共に燃料電池による電力供給が開始され、時刻T2において所望の電力Pに達していることを示している。T1からT2までの間の不足する電力は蓄電池によって供給される(
図3の領域M)。
【0007】
以上のように、燃料電池をバックアップ電源として利用する場合、補助電源として蓄電池などが別途必要となるため、システム構成が複雑になると共にコストが高くなる。
【0008】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、災害時に、補助電源を利用することなく燃料電池による電力供給を効果的に行うことができる燃料電池制御システ
ム及び燃料電池制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の燃料電池制御システムは、燃料電池に接続された燃料電池制御装置と、監視サーバとを含む燃料電池制御システムであって、燃料電池制御装置は、災害の発生を知らせる災害情報を受信する災害情報受信手段と、災害情報受信手段によって災害情報が受信されると、災害情報を受信した状況を示す受信状況情報を監視サーバに送信する受信状況情報送信手段と、災害情報受信手段によって災害情報が受信されると燃料電池を起動する第1の制御手段と、監視サーバから燃料電池の起動又は停止を指示する制御情報を受信する制御情報受信手段と、制御情報受信手段によって制御情報が受信されると当該制御情報に基づいて燃料電池を起動又は停止する第2の制御手段と、を備え、監視サーバは、複数の燃料電池制御装置から受信状況情報を受信する受信状況情報受信手段と、受信状況情報受信手段によって受信された受信状況情報に基づいて、起動すべき燃料電池に接続された燃料電池制御装置である起動指定装置、又は停止すべき燃料電池に接続された燃料電池制御装置である停止指定装置を特定する特定手段と、特定手段によって特定された起動指定装置に燃料電池の起動を指示する制御情報を送信する、又は、特定手段によって特定された停止指定装置に燃料電池の停止を指示する制御情報を送信する制御情報送信手段と、を備える。
【0010】
また、本発明の燃料電池制御方法は、燃料電池に接続された燃料電池制御装置と、監視サーバとを含む燃料電池制御システムにより実行される燃料電池制御方法であって、燃料電池制御装置の災害情報受信手段が、災害の発生を知らせる災害情報を受信する災害情報受信ステップと、燃料電池制御装置の受信状況情報送信手段が、災害情報受信ステップにおいて災害情報が受信されると、災害情報を受信した状況を示す受信状況情報を監視サーバに送信する受信状況情報送信ステップと、燃料電池制御装置の第1の制御手段が、災害情報受信ステップにおいて災害情報が受信されると燃料電池を起動する第1の制御ステップと、監視サーバの受信状況情報受信手段が、複数の燃料電池制御装置から受信状況情報を受信する受信状況情報受信ステップと、監視サーバの特定手段が、受信状況情報受信ステップにおいて受信された受信状況情報に基づいて、起動すべき燃料電池に接続された燃料電池制御装置である起動指定装置、又は停止すべき燃料電池に接続された燃料電池制御装置である停止指定装置を特定する特定ステップと、監視サーバの制御情報送信手段が、特定ステップにおいて特定された起動指定装置に燃料電池の起動を指示する制御情報を送信する、又は、特定ステップにおいて特定された停止指定装置に燃料電池の停止を指示する制御情報を送信する制御情報送信ステップと、燃料電池制御装置の制御情報受信手段が、監視サーバから燃料電池の起動又は停止を指示する制御情報を受信する制御情報受信ステップと、燃料電池制御装置の第2の制御手段が、制御情報受信ステップにおいて制御情報が受信されると当該制御情報に基づいて燃料電池を起動又は停止する第2の制御ステップと、を含む。
【0011】
このような燃料電池制御システム及び燃料電池制御方法によれば、まず、燃料電池制御装置は、災害情報を受信すると受信状況情報を監視サーバに送信すると共に燃料電池を起動する。監視サーバは、複数の燃料電池制御装置から受信した受信状況情報に基づいて起動指定装置又は停止指定装置を特定する。そして、監視サーバは、起動指定装置に燃料電池の起動を指示する制御情報を送信し、又は、停止指定装置に燃料電池の停止を指示する制御情報を送信する。次に、燃料電池制御装置は、監視サーバから受信した燃料電池の起動又は停止を指示する制御情報に基づいて燃料電池を起動又は停止する。かかる構成を採れば、災害情報を受信したと共に燃料電池を起動するため、例えば、災害による停電を事前に予測し、停電前に燃料電池を起動し、停電が発生する時点までに所望の電力を供給することができる。これにより、災害時に、蓄電池など補助電源を利用することなく無瞬断で燃料電池による電力供給を効果的に行うことができる。また、監視サーバからの制御情報に基づいて燃料電池を起動又は停止することにより、不要な起動による燃料ロスや起動ミスによる電力供給断を回避することができる。
【0012】
また、本発明の燃料電池制御システムにおいて、受信状況情報送信手段は、燃料電池制御装置の位置を特定するための情報及び発生した災害の位置を特定するための情報を含む受信状況情報を送信し、特定手段は、受信状況情報から特定される燃料電池制御装置の位置情報及び発生した災害の位置情報に基づいて、起動指定装置又は停止指定装置を特定する、ことが好ましい。かかる構成を採れば、燃料電池制御装置の位置情報及び発生した災害の位置情報に基づいて、より正確に、起動指定装置又は停止指定装置を特定することができる。それにより、不要な起動による燃料ロスや起動ミスによる電力供給断を回避することができる。
【0013】
また、本発明の燃料電池制御システムにおいて、特定手段は、発生した災害の位置を囲む第1の領域と当該第1の領域を囲む第2の領域とに囲まれるドーナッツ状領域を特定し、特定したドーナッツ状領域に位置する燃料電池制御装置のうち、所定の割合若しくは所定の数の燃料電池制御装置から受信状況情報を受信しない場合、第2の領域より外側に位置する燃料電池制御装置を停止指定装置として特定する、ことが好ましい。当該ドーナッツ状領域に位置する燃料電池制御装置のうち、所定の割合若しくは所定の数の燃料電池制御装置から受信状況情報を受信しない場合、当該ドーナッツ状領域より外側に位置する燃料電池制御装置は、震源地から遠く、災害による停電の可能性が極めて低いと一般的に考えられるが、そのような燃料電池制御装置においても、災害情報を受信し、燃料電池を起動してしまっている可能性がある。かかる構成を採れば、災害による停電の可能性が極めて低い燃料電池制御装置に対して停止指定装置として正確に特定することができる。それにより不要な起動による燃料ロスを回避することができる。
【0014】
また、本発明の燃料電池制御システムにおいて、特定手段は、発生した災害の位置を囲む第1の領域と当該第1の領域を囲む第2の領域とに囲まれるドーナッツ状領域を特定し、特定したドーナッツ状領域に位置する燃料電池制御装置のうち、所定の割合若しくは所定の数の燃料電池制御装置から受信状況情報を受信した場合、第1の領域より内側に位置する燃料電池制御装置を起動指定装置として特定する、ことが好ましい。当該ドーナッツ状領域に位置する燃料電池制御装置のうち、所定の割合若しくは所定の数の燃料電池制御装置から受信状況情報を受信した場合、当該ドーナッツ状領域より内側に位置する燃料電池制御装置は、震源地から近く、災害による停電の可能性が極めて高いと一般的に考えられるが、そのような燃料電池制御装置において、災害情報を受信しておらず、燃料電池を起動していない可能性がある。かかる構成を採れば、災害による停電の可能性が極めて高い燃料電池制御装置に対して起動指定装置として正確に特定することができる。それにより起動ミスによる電力供給断を回避することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、災害時に、補助電源を利用することなく燃料電池による電力供給を効果的に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面とともに本発明による燃料電池制御システム及び燃料電池制御方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
まず、本発明の実施形態に係る燃料電池制御システム3の概要について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は、燃料電池制御システム3を利用する上での一態様である提案システムの構成を示す図である。
図2に示す提案システムは、
図1に示す従来システムとほぼ同様の構成であり、以下、差分についてのみ説明する。
【0022】
提案システムは、従来システムに比べて蓄電池がなく、燃料電池に燃料電池制御システム3が接続されている。燃料電池制御システム3は、災害による停電を事前に予測し、停電前に燃料電池を起動させる。これにより、蓄電池など補助電源がなくても無瞬断で負荷に電力供給を行うことができる。また、燃料電池制御システム3は、状況に応じて適宜燃料電池の起動及び停止を制御することで、不要な起動による燃料ロスや起動ミスによる電力供給断を回避することもできる。
【0023】
図3において、グラフL0は提案システムにおける燃料電池の出力推移を示している。グラフL0は、時刻T1において地震が発生する以前の時刻T0において燃料電池による電力供給が開始され、遅くとも時刻T1において所望の電力Pに達していることを示している。燃料電池制御システム3は、時刻T0において緊急地震速報等の災害情報を受信し、受信と共に燃料電池による電力供給を開始する。このように、提案システムでは、地震等の災害による停電が発生する時刻T1において、所望の電力Pに達した燃料電池による電力を供給することができる。
【0024】
続いて、燃料電池制御システム3の詳細について説明する。
【0025】
図4は、燃料電池制御システム3の機能ブロック図である。
図4に示す通り、燃料電池制御システム3は、燃料電池制御装置1と、監視サーバ2とを含んで構成される。燃料電池制御装置1及び2は、それぞれ一般的なサーバ装置等のコンピュータ装置であり、お互いインターネット等のネットワークで接続されている。また、燃料電池制御装置1は、本実施形態では基地局(無線基地局)のバックアップ電源である燃料電池に接続されており、燃料電池制御装置1は基地局内に含まれ、燃料電池と同じ場所に位置する。本実施形態の説明において、燃料電池制御装置1を基地局と適宜読み替えてもよい。ただし、燃料電池制御装置1の構成はこれに限るものではない。例えば、燃料電池制御装置1は、あらゆる負荷のバックアップ電源である燃料電池に接続されていてもよいし、燃料電池とは異なる場所に位置してもよい。
【0026】
次に、燃料電池制御装置1の構成について説明する。
図4に示す通り、燃料電池制御装置1は、災害情報受信部10(災害情報受信手段)、受信状況情報送信部11(受信状況情報送信手段)、制御情報受信部12(制御情報受信手段)及び制御部13(第1の制御手段、第2の制御手段)を含んで構成される。
【0027】
燃料電池制御装置1は、CPU等のハードウェアから構成されているものである。
図5は、燃料電池制御装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示される燃料電池制御装置1は、物理的には、
図5に示すように、CPU100、主記憶装置であるRAM101及びROM102、ディスプレイ等の入出力装置103、通信モジュール104、及び補助記憶装置105などを含むコンピュータシステムとして構成されている。
【0028】
図4に示す燃料電池制御装置1の各機能ブロックの機能は、
図5に示すCPU100、RAM101等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU100の制御のもとで入出力装置103、通信モジュール104、及び補助記憶装置105を動作させるとともに、RAM101におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0029】
次に、監視サーバ2の構成について説明する。
図4に示す通り、監視サーバ2は、受信状況情報受信部20(受信状況情報受信手段)、特定部21(特定手段)及び制御情報送信部22(制御情報送信手段)を含んで構成される。
【0030】
監視サーバ2は、CPU等のハードウェアから構成されているものである。
図5は、監視サーバ2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示される監視サーバ2は、物理的には、
図5に示すように、CPU100、主記憶装置であるRAM101及びROM102、ディスプレイ等の入出力装置103、通信モジュール104、及び補助記憶装置105などを含むコンピュータシステムとして構成されている。
【0031】
図4に示す監視サーバ2の各機能ブロックの機能は、
図5に示すCPU100、RAM101等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU100の制御のもとで入出力装置103、通信モジュール104、及び補助記憶装置105を動作させるとともに、RAM101におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0032】
以下、
図4に示す燃料電池制御装置1の各機能ブロックを説明する。
【0033】
災害情報受信部10は、災害の発生を知らせる災害情報を受信する。具体的には、災害情報受信部10は、気象庁が管理するサーバ装置から、ネットワークを介して、緊急地震速報を受信する。
図6は、緊急地震速報のデータ例を示すテーブルである。
図6に示す通り、緊急地震速報には、当該速報の識別情報である速報ID、震源地の位置情報を示す緯度・経度、及び震度が含まれる。なお、緊急地震速報に含まれるデータのうち、一部がなくてもよい。
【0034】
受信状況情報送信部11は、災害情報受信部10によって災害情報が受信されると、災害情報を受信した状況を示す受信状況情報を監視サーバ2に送信する。具体的には、受信状況情報送信部11は、災害情報受信部10によって
図6に示す緊急地震速報が受信されると、
図7に示すテーブルの受信状況情報を監視サーバ2に送信する。
図7に示す通り、受信状況情報には、燃料電池制御装置1の識別情報である燃料電池制御装置IDと、燃料電池制御装置1の位置情報である緯度・経度、災害情報受信部10によって受信された緊急地震速報に含まれる速報ID、当該緊急地震速報を受信した日時、及び後述の制御部13によって燃料電池が起動された際の起動日時を含む起動情報が含まれる。また、受信状況情報には、緊急地震速報に含まれる、震源地の位置情報を示す緯度・経度が含まれてもよい。なお、受信状況情報に含まれるデータのうち、一部がなくてもよい。また、受信状況情報に含める情報として、燃料電池制御装置IDや燃料電池制御装置1の位置情報ではなく、燃料電池制御装置1が接続されている燃料電池を利用する基地局の識別情報である基地局IDや当該基地局の位置情報を含めてもよい。
【0035】
制御情報受信部12は、監視サーバ2から燃料電池の起動又は停止を指示する制御情報を受信する。制御情報には、燃料電池の起動又は停止を指示する旨の情報が含まれる。
【0036】
制御部13は、災害情報受信部10によって災害情報が受信されると燃料電池を起動する。また、制御部13は、制御情報受信部12によって燃料電池の起動を指示する制御情報が受信されると当該制御情報に基づいて燃料電池を起動する。また、制御部13は、制御情報受信部12によって燃料電池の停止を指示する制御情報が受信されると当該制御情報に基づいて燃料電池を停止する。ここで、燃料電池を起動する及び停止するとは、制御部13が、接続されている燃料電池に対して、燃料電池を起動する又は停止する指示情報を送信することを示す。なお、制御部13は、災害情報受信部10によって受信された災害情報に含まれる震度が所定の閾値(例えば、震度6)以上である場合のみ、燃料電池を起動してもよい。
【0037】
なお、ほぼ同時期に狭い範囲内の2箇所以上で地震が発生した場合で、かつ、ある燃料電池制御装置1の制御情報受信部12が、燃料電池の起動を指示する制御情報と燃料電池の停止を指示する制御情報とを受信した場合、少なくとも1つの地震に対しては起動が必要という状況でるため、燃料電池の停止を指示する制御情報を無効とし、燃料電池を起動する。また、地震によって停電が発生しなかった場合の予防策として、災害情報受信部10が緊急地震速報を受信後、一定時間が経過しても停電が生じない(商用電力断が生じない)場合は、制御部13は、燃料電池を停止する。
【0038】
以下、
図4に示す監視サーバ2の各機能ブロックを説明する。
【0039】
受信状況情報受信部20は、複数の燃料電池制御装置1から受信状況情報を受信する。
【0040】
特定部21は、受信状況情報受信部20によって受信された受信状況情報に基づいて、起動すべき燃料電池に接続された燃料電池制御装置1である起動指定装置、又は停止すべき燃料電池に接続された燃料電池制御装置1である停止指定装置を特定する。具体的には、特定部21は、受信状況情報に含まれる情報に基づいて燃料電池制御装置1の位置情報及び発生した災害の位置情報を特定し、特定した位置情報に基づいて、起動指定装置又は停止指定装置を特定する。受信状況情報に燃料電池制御装置1の位置情報が含まれている場合には、当該位置情報を用いてもよいし、受信状況情報に燃料電池制御装置1が接続されている燃料電池を利用する基地局の識別情報である基地局IDが含まれている場合には、当該基地局IDから該当する基地局位置を求め、当該位置を燃料電池制御装置1の位置情報として用いてもよい。また、受信状況情報に災害の位置情報が含まれている場合には、当該位置情報を用いてもよいし、受信状況情報に、当該災害を特定する速報IDが含まれている場合には、監視サーバ2自身が、緊急地震速報等の災害情報を受信し、受信した緊急地震速報から、前述の速報IDを用いて災害の位置情報を特定してもよい。
【0041】
さらに具体的には、特定部21は、発生した災害の位置を囲む第1の領域と当該第1の領域を囲む第2の領域とに囲まれるドーナッツ状領域を特定し、特定したドーナッツ状領域に位置する燃料電池制御装置のうち、所定の割合若しくは所定の数の燃料電池制御装置から受信状況情報を受信しない場合、第2の領域より外側に位置する燃料電池制御装置を停止指定装置として特定する。また、特定部21は、発生した災害の位置を囲む第1の領域と当該第1の領域を囲む第2の領域とに囲まれるドーナッツ状領域を特定し、特定したドーナッツ状領域に位置する燃料電池制御装置のうち、所定の割合若しくは所定の数の燃料電池制御装置から受信状況情報を受信した場合、第1の領域より内側に位置する燃料電池制御装置を起動指定装置として特定する。
【0042】
以下、具体例を用いて特定部21の処理について説明する。
【0043】
特定部21は、受信状況情報受信部20によって1件でも受信状況情報を受信した場合、まず、受信した受信状況情報に含まれる震源地の位置情報を抽出し、抽出した位置情報が示す震源地の位置を中心に一定間隔で地図上に円を描く。ここで、円を描くとは、監視サーバ2のメモリ空間上等で電子的・擬似的に描くことを意味する(以降も同様)。震源地に一番近い円の内側の領域をエリア1、次に近い円の内側のうちエリア1の領域を除くドーナッツ状の領域をエリア2、次に近い円の内側のうちエリア1及びエリア2の領域を除くドーナッツ状の領域をエリア3、次に近い円の内側のうちエリア1〜3の領域を除くドーナッツ状の領域をエリア4、としてエリアを決定していく。
図8は、そのようにして各エリアが決定された、震源地に基づくエリアを示す図である。なお、監視サーバ2は、燃料電池制御装置1と同様に、緊急地震速報等の災害情報を受信する災害情報受信部(不図示)を備え、当該災害情報受信部が緊急地震速報を受信したことをトリガーとして円を描く処理を行ってもよいし、当該災害情報受信部が受信した緊急地震速報に含まれる震源地の位置情報を利用して震源地の位置を特定してもよい。また、エリア間隔を狭くすると後述の通り精度は向上するが、これはいかなる値を設定してもよい。
【0044】
次に、特定部21は、円を描いた地図上において、燃料電池制御装置1が位置する場所を全てプロットする。なお、特定部21は予め全ての燃料電池制御装置1の位置情報を格納しており、当該位置情報を用いてプロットする。
図9は、
図8に対して全ての燃料電池制御装置1をプロットした際の一例を示す図である。
図9において、全ての燃料電池制御装置1は初期状態において白丸で表現する。
【0045】
次に、特定部21は、受信状況情報受信部20によって受信された受信状況情報に含まれる燃料電池制御装置ID又は燃料電池制御装置1の位置情報に基づき、当該受信状況情報を送信した燃料電池制御装置1を特定する。例えば、
図10に示す図のように、
図9に対して、受信状況情報を送信してきた燃料電池制御装置1を黒丸で表現する。
【0046】
次に、特定部21は、所定のタイミング(後述)にて、起動指定装置又は停止指定装置を特定する。具体的には、特定部21は、あるエリアnに位置する全ての燃料電池制御装置1が受信状況情報を送信してきた場合、そのエリアnより震源地から近いエリアn−1以下のエリアにて受信状況情報を送信していない燃料電池制御装置1があった場合、当該燃料電池制御装置1を起動指定装置として特定する。例えば、
図10においてエリア2に位置する燃料電池制御装置1は全て受信状況情報を送信してきているため、特定部21は、エリア1に含まれ、かつ受信状況情報を送信していない燃料電池制御装置1であるA1を起動指定装置として特定する。
【0047】
なお、上述の例では、あるエリアnに位置する全ての燃料電池制御装置1が受信状況情報を送信してきた場合に、そのエリアnより震源地から近いエリアn−1以下のエリアの燃料電池制御装置1を起動指定装置として特定していたが、あるエリアnに位置する燃料電池制御装置1のうち、所定の割合あるいは所定の数以上の燃料電池制御装置1が受信状況情報を送信してきた場合に、そのエリアnより震源地から近いエリアn−1以下のエリアの燃料電池制御装置1を起動指定装置として特定することとしてもよい。
【0048】
一方、特定部21は、あるエリアnにて受信状況情報を送信してきた燃料電池制御装置1の数がゼロであり、そのエリアnより震源地から遠いエリアn+1以上のエリアにて受信状況情報を送信してきた燃料電池制御装置1があった場合、当該燃料電池制御装置1を停止指定装置として特定する。例えば、
図10においてエリア3に位置する燃料電池制御装置1は全て受信状況情報を送信してきていないため、特定部21は、エリア4に含まれ、かつ受信状況情報を送信してきた燃料電池制御装置1であるA2を停止指定装置として特定する。
【0049】
なお、上述の例では、あるエリアnにて受信状況情報を送信してきた燃料電池制御装置1の数がゼロである場合に、そのエリアnより震源地から遠いエリアn+1以上のエリアの燃料電池制御装置1を停止指定装置として特定していたが、あるエリアnに位置する燃料電池制御装置1のうち、所定の割合あるいは所定の数以上の燃料電池制御装置1が受信状況情報を送信してこない場合に、そのエリアnより震源地から遠いエリアn+1以上のエリアの燃料電池制御装置1を停止指定装置として特定することとしてもよい。
【0050】
ここで、特定部21が起動指定装置又は停止指定装置を特定する所定のタイミングについて説明する。特定部21は予め格納している全ての燃料電池制御装置1の位置情報を利用して、全ての燃料電池制御装置1のうち所定の割合以上の燃料電池制御装置1から受信状況情報を受信した時点で、統計上信頼できるものと判断し、起動指定装置又は停止指定装置を特定する。なお、上述の所定の割合の数値を下げることで迅速性を重視、上げることで信頼性を重視できる。その他の所定のタイミングとしては、燃料電池制御装置1から受信状況情報を最初に受信した時刻から所定の時間経過した時点が挙げられる。以上が特定部21の説明である。
【0051】
制御情報送信部22は、特定部21によって特定された起動指定装置に燃料電池の起動を指示する制御情報を送信する。また、制御情報送信部22は、特定部21によって特定された停止指定装置に燃料電池の停止を指示する制御情報を送信する。
【0052】
続いて、
図11に示すシーケンス図を用いて、本実施形態に係る燃料電池制御システム3における燃料電池制御方法の処理について説明する。
【0053】
まず、地震が発生する(ステップS1)。次に、燃料電池制御装置1の災害情報受信部10により、緊急地震速報が受信される(ステップS2、災害情報受信ステップ)。なお、燃料電池制御装置1の災害情報受信部10により、緊急地震速報が受信されなかった場合は後述のS8に進む。S2の次に、燃料電池制御装置1の受信状況情報送信部11により、受信状況情報が燃料電池制御システム3に送信(報告)される(ステップS3、受信状況情報送信ステップ)。次に、燃料電池制御装置1の制御部13により、燃料電池が起動される(ステップS4、第1の制御ステップ)。
【0054】
ここで、監視サーバ2では、S3の次に、監視サーバ2の受信状況情報受信部20により、受信状況情報が受信及び集計される(ステップS5、受信状況情報受信ステップ)。次に、監視サーバ2の特定部21により、受信及び集計された受信状況情報に基づいて起動指定装置又は停止指定装置が特定される(ステップS6、特定ステップ)。次に、監視サーバ2の制御情報送信部22により、特定された起動指定装置又は停止指定装置に対して燃料電池の起動又は停止を指示する制御情報が送信される(ステップS7、制御情報送信ステップ)。
【0055】
次に、燃料電池制御装置1の制御情報受信部12にて、監視サーバ2から送信された制御情報が受信される(ステップS8、制御情報受信ステップ)。次に、燃料電池制御装置1の制御部13にて、受信された制御情報に基づいて燃料電池が起動又は停止される(第2の制御ステップ)。具体的には、燃料電池制御装置1の制御部13により、制御情報に起動指令が含まれるか停止指令が含まれるかが判定され(ステップS9)、起動指令が含まれる場合は燃料電池が起動される(ステップS10)。一方、S9の判定にて制御情報に停止指令が含まれる場合は燃料電池が停止される(ステップS11)。S10又はS11の後、停電が復旧されると(ステップS12)、ステップS1に戻る。
【0056】
次に、本実施形態のように構成された燃料電池制御システム3及び燃料電池制御装置1の作用効果について説明する。
【0057】
本実施形態の燃料電池制御システム3によれば、まず、燃料電池制御装置1は、災害情報を受信すると燃料電池を起動すると共に受信状況情報を監視サーバ2に送信する。監視サーバ2は、複数の燃料電池制御装置1から受信した受信状況情報に基づいて起動指定装置又は停止指定装置を特定する。そして、監視サーバ2は、起動指定装置に燃料電池の起動を指示する制御情報を送信し、又は、停止指定装置に燃料電池の停止を指示する制御情報を送信する。次に、燃料電池制御装置1は、監視サーバ2から受信した燃料電池の起動又は停止を指示する制御情報に基づいて燃料電池を起動又は停止する。かかる構成を採れば、災害情報を受信したと共に燃料電池を起動するため、例えば、災害による停電を事前に予測し、停電前に燃料電池を起動し、停電が発生する時点までに所望の電力を供給することができる。これにより、災害時に、蓄電池など補助電源を利用することなく無瞬断で燃料電池による電力供給を効果的に行うことができる。また、監視サーバ2からの制御情報に基づいて燃料電池を起動又は停止することにより、不要な起動による燃料ロスや起動ミスによる電力供給断を回避することができる。つまり、監視サーバ2は、災害情報の不正確性を修正する役割を担う。
【0058】
また、本実施形態の燃料電池制御システム3において、特定部21は、受信状況情報から特定される燃料電池制御装置1の位置情報及び発生した災害の位置情報に基づいて、起動指定装置又は停止指定装置を特定する、ことが好ましい。かかる構成を採れば、燃料電池制御装置1の位置情報及び発生した災害の位置情報に基づいて、より正確に、起動指定装置又は停止指定装置を特定することができる。それにより、不要な起動による燃料ロスや起動ミスによる電力供給断を回避することができる。
【0059】
また、本実施形態の燃料電池制御システム3において、特定部21は、発生した災害の位置を囲む第1の領域と当該第1の領域を囲む第2の領域とに囲まれるドーナッツ状領域を特定し、特定したドーナッツ状領域に位置する燃料電池制御装置1のうち、所定の割合若しくは所定の数の燃料電池制御装置1から受信状況情報を受信しない場合、第2の領域より外側に位置する燃料電池制御装置1を停止指定装置として特定する、ことが好ましい。当該ドーナッツ状領域に位置する燃料電池制御装置1のうち、所定の割合若しくは所定の数の燃料電池制御装置1から受信状況情報を受信しない場合、当該ドーナッツ状領域より外側に位置する燃料電池制御装置1は、震源地から遠く、災害による停電の可能性が極めて低いと一般的に考えられるが、そのような燃料電池制御装置1においても、災害情報を受信し、燃料電池を起動してしまっている可能性がある。かかる構成を採れば、災害による停電の可能性が極めて低い燃料電池制御装置1に対して停止指定装置として正確に特定することができる。それにより不要な起動による燃料ロスを回避することができる。
【0060】
また、本実施形態の燃料電池制御システム3において、特定部21は、発生した災害の位置を囲む第1の領域と当該第1の領域を囲む第2の領域とに囲まれるドーナッツ状領域を特定し、特定したドーナッツ状領域に位置する燃料電池制御装置1のうち、所定の割合若しくは所定の数の燃料電池制御装置1から受信状況情報を受信した場合、第1の領域より内側に位置する燃料電池制御装置1を起動指定装置として特定する、ことが好ましい。当該ドーナッツ状領域に位置する燃料電池制御装置1のうち、所定の割合若しくは所定の数の燃料電池制御装置1から受信状況情報を受信した場合、当該ドーナッツ状領域より内側に位置する燃料電池制御装置1は、震源地から近く、災害による停電の可能性が極めて高いと一般的に考えられるが、そのような燃料電池制御装置1において、災害情報を受信しておらず、燃料電池を起動していない可能性がある。かかる構成を採れば、災害による停電の可能性が極めて高い燃料電池制御装置1に対して起動指定装置として正確に特定することができる。それにより起動ミスによる電力供給断を回避することができる。
【0061】
また、本実施形態の燃料電池制御装置1によれば、まず、災害情報を受信すると燃料電池を起動すると共に受信状況情報を監視サーバ2に送信する。そして、監視サーバ2から受信した燃料電池の起動又は停止を指示する制御情報に基づいて燃料電池を起動又は停止する。かかる構成を採れば、災害情報を受信したと共に燃料電池を起動するため、例えば、災害による停電を事前に予測し、停電前に燃料電池を起動し、停電が発生する時点までに所望の電力を供給することができる。これにより、災害時に、蓄電池など補助電源を利用することなく無瞬断で燃料電池による電力供給を効果的に行うことができる。また、監視サーバ2からの制御情報に基づいて燃料電池を起動又は停止することにより、不要な起動による燃料ロスや起動ミスによる電力供給断を回避することができる。